説明

ユーザのコミュニケーションを支援する技術

【課題】ユーザのコミュニケーションを効果的に支援する。
【解決手段】ユーザごとに、当該ユーザが利用する少なくとも1つのコミュニケーション手段のそれぞれを、当該ユーザが当該コミュニケーション手段を利用するスキルの高さを示すスコアに対応付けて記憶している記憶装置と、第1のユーザおよび第2のユーザが共通して利用することができる少なくとも1つのコミュニケーション手段を前記記憶装置から検索する検索部と、検索したそれぞれの前記コミュニケーション手段についての前記第1および第2のユーザの前記スコアを前記記憶装置から読み出して、読み出したそれぞれの前記スコアに基づいて、前記第1および第2のユーザのコミュニケーションに利用するべきコミュニケーション手段を選択する選択部とを備えるシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザのコミュニケーションを支援する技術に関する。特に、本発明は、コミュニケーションに利用するべきコミュニケーション手段を選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機械翻訳技術、音声認識技術または音声合成技術などの、自然言語処理技術が開発されて、実用化されてきている。一方で、インターネットなどの通信ネットワークの普及により、世界中の様々な人々が様々な形式でコミュニケーションを行うようになってきている。例えば、電子メールまたはチャットなどのテキストデータによるコミュニケーションのほか、VoIP(Voice over Internet Protocol)などの音声データによるコミュニケーションが行われている。
仮想空間に関する背景的技術については例えば特許文献1を参照されたい。
【特許文献1】特開2001−321571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、インターネット上に仮想的な世界を構築する試みが広がっている。例えば、ユーザは自分の分身であるアバターをその世界の中で操作する。アバターは例えば3D画像として画面に表示される。他のユーザの分身であるアバターも画面に表示される。自分のアバターが他人のアバターと近づくとテキストや音声によるコミュニケーションを開始できる。
【0004】
しかしながら、アバターの外観はユーザ自身の外観とは異なるので、アバターの外観からそのアバターの人種、居住地または性格などを判断することは難しい。例えば、あるアバターに話しかけようと思っても、そのアバターがどのような言語を話すことができるのか判別するのは難しい。また、機械翻訳技術を利用すればコミュニケーションが成立するのかどうか、成立するのであればどのような翻訳技術の利用が最適なのか、などを判別するのは一層難しい。このため、ユーザはコミュニケーションを開始することに躊躇し、コミュニケーションが阻害されるおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできるシステム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、ユーザのコミュニケーションを支援するシステムであって、ユーザごとに、当該ユーザが利用する少なくとも1つのコミュニケーション手段のそれぞれを、当該ユーザが当該コミュニケーション手段を利用するスキルの高さを示すスコアに対応付けて記憶している記憶装置と、第1のユーザおよび第2のユーザが共通して利用することができる少なくとも1つのコミュニケーション手段を前記記憶装置から検索する検索部と、検索したそれぞれの前記コミュニケーション手段についての前記第1および第2のユーザの前記スコアを前記記憶装置から読み出して、読み出したそれぞれの前記スコアに基づいて、前記第1および第2のユーザのコミュニケーションに利用するべきコミュニケーション手段を選択する選択部とを備えるシステムを提供する。また、当該システムとしてコンピュータを機能させるプログラムおよび当該システムによりコミュニケーションを支援させる方法を提供する。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本実施形態に係る情報システム10の全体構成を示す。情報システム10は、クライアント・コンピュータ100と、サーバ・コンピュータ200とを備える。サーバ・コンピュータ200は、基本的なハードウェアとして、例えばハードディスクドライブなどの記憶装置204と、例えばネットワーク・インターフェイス・カードなどの通信インターフェイス206とを備える。そして、サーバ・コンピュータ200は、記憶装置204から読み出したプログラムをCPUにより実行することで、仮想世界サーバ202として機能する。仮想世界サーバ202は、仮想世界に含まれる様々なオブジェクト、例えば、ユーザの分身であるアバター、アバターが身につける衣類、仮想的な建造物、または、背景などについて、それらの立体形状を示すデータをクライアント・コンピュータ100に提供する。
【0009】
クライアント・コンピュータ100は、基本的なハードウェアとして、例えばハードディスクドライブなどの記憶装置104と、例えばネットワーク・インターフェイス・カードなどの通信インターフェイス106とを備える。そして、クライアント・コンピュータ100は、記憶装置104から読み出したプログラムをCPUにより実行することで、仮想世界ブラウザ102として機能する。仮想世界ブラウザ102は、通信回線を経由してサーバ・コンピュータ200から取得した立体形状のデータを2次元の画像にレンダリングして、ユーザに表示する。また、仮想世界ブラウザ102は、サーバ・コンピュータ200と通信し、ユーザの入力に応じて、サーバ・コンピュータ200に格納された立体形状のデータを更新する。
【0010】
本実施形態に係る情報システム10は、このような仮想世界を実現するシステムにおいて、ユーザ間のコミュニケーションを支援する様々な仕組みを提供することを目的とする。以下、具体的に説明をすすめてゆく。
【0011】
図2は、本実施形態に係る仮想世界ブラウザ102により表示される画面の一例を示す。仮想世界ブラウザ102は、ユーザに対し、そのユーザの仮想世界における分身であるアバターの視点から見た画像を表示する。この画面において、アバターは表示オブジェクトの一例であり、例えば人型の画像として表示されている。画面手前側のアバター20は、クライアント・コンピュータ100のユーザ自身により操作されるアバターを示す。
【0012】
これに対し、画面奥側のアバター22およびアバター24のそれぞれは、他のユーザに対応付けられており、当該他のユーザにより操作されるアバターを示す。このように、アバターはその立体形状をレンダリングした2次元画像として画面に表示される。そしてアバターがユーザの操作によって動作すると、そのアバターの立体形状も変化し、従ってこの2次元画像も変化する。この結果、仮想世界ブラウザ102に表示された画面も変更される。さらに、コミュニケーションに利用されるテキストデータは、例えば画面右下のサブ・ウィンドウに表示されてよい。
【0013】
図3は、本実施形態に係るクライアント・コンピュータ100およびサーバ・コンピュータ200の機能構成を示す。サーバ・コンピュータ200は、完全3DモデルDB210と、全ユーザ情報DB220と、検索部230と、算出部240と、選択部250と、サーバ情報更新部260とを有する。完全3DモデルDB210および全ユーザ情報DB220は、記憶装置204によって実現される。検索部230、算出部240、選択部250およびサーバ情報更新部260は、仮想世界サーバ202によって実現される。
【0014】
完全3DモデルDB210は、仮想世界の各オブジェクトの立体形状を示すデータを含む。全ユーザ情報DB220は、仮想世界の各アバターの属性を含む。アバターの属性は、そのアバターを操作するユーザ自身の属性であってもよいし、そのユーザがそのアバターのために仮想的に設定した属性であってもよい。
【0015】
あるユーザの属性とは、例えば、そのユーザが利用する少なくとも1つのコミュニケーション手段を示してよい。その場合には、全ユーザ情報DB220は、属性として、そのユーザがそのコミュニケーション手段を利用するスキルの高さを示すスコアを更に記憶していてよい。
【0016】
検索部230は、第1のユーザおよび第2のユーザが共通して利用することができる少なくとも1つのコミュニケーション手段を、全ユーザ情報DB220から検索する。そして、算出部240は、検索したそれぞれのコミュニケーション手段についての第1および第2のユーザのスコアを全ユーザ情報DB220から読み出す。
【0017】
そして、算出部240は、読み出したそれぞれのスコアに基づいて、第1および第2のアバターの間の関係性の強さを算出する。例えば、読み出したスコアの積が基準値よりも大きければ、当該積が基準値より小さい場合よりも、関係性の強さは強い。算出された関係性の強さは、全ユーザ情報DB220に記憶される。
【0018】
また、選択部250は、検索部230が検索したそれぞれのコミュニケーション手段についての第1および第2のユーザのスコアを全ユーザ情報DB220から読み出す。選択部250は、読み出したそれぞれのスコアに基づいて、第1および第2のユーザのコミュニケーションに利用するべきコミュニケーション手段を選択する。例えば、第1および第2のユーザのスコアの積が最も高いコミュニケーション手段が選択される。選択されたコミュニケーション手段は全ユーザ情報DB220に記憶される。
【0019】
サーバ情報更新部260は、完全3DモデルDB210および全ユーザ情報DB220が更新されると、その更新の差分をクライアント・コンピュータ100に送信する。また、サーバ情報更新部260は、部分3DモデルDB110および本人ユーザ情報DB120の更新の差分をクライアント・コンピュータ100から受信すると、その更新の差分により完全3DモデルDB210および全ユーザ情報DB220を更新する。このように、ユーザの操作に基づくアバターの変化は、完全3DモデルDB210および全ユーザ情報DB220に順次反映されてゆくと共に、他のユーザの操作に基づくアバターの変化は、部分3DモデルDB110および本人ユーザ情報DB120に順次反映されてゆく。
【0020】
クライアント・コンピュータ100は、部分3DモデルDB110と、ローカル情報更新部115と、本人ユーザ情報DB120と、3D加工部130と、2Dレンダリング部140と、表示部150とを有する。部分3DモデルDB110は、完全3DモデルDB210の一部分をサーバ・コンピュータ200から取得して記憶している。記憶している当該一部分は、例えば、クライアント・コンピュータ100のユーザに対応するアバターの視界に入っている部分を含む。即ち例えば、ローカル情報更新部115は、そのアバターの視界(例えば視線の方向または視野の広さ)が変更される毎に、サーバ・コンピュータ200に要求して完全3DモデルDB210のうち必要部分を取得し、部分3DモデルDB110に格納する。
【0021】
本人ユーザ情報DB120は、クライアント・コンピュータ100のユーザの属性を記憶している。この属性が更新されると、ローカル情報更新部115は、この更新の差分をサーバ・コンピュータ200に送信する。その差分によって、サーバ・コンピュータ200の全ユーザ情報DB220が更新される。
【0022】
3D加工部130は、例えば、クライアント・コンピュータ100のユーザにより操作されるアバターの向きが変更された場合、そのアバターの視界にあるオブジェクトが変化した場合、あるいは定期的に動作する。そして、3D加工部130は、部分3DモデルDB110に記憶されたデータを、サーバ・コンピュータ200から取得した関係性の強さに基づいて加工する。例えば、クライアント・コンピュータ100のユーザのアバターの視界に、他のユーザのアバターが含まれている場合には、当該他のユーザのアバターの立体形状が部分3DモデルDB110に記憶されている。
【0023】
そして、3D加工部130は、クライアント・コンピュータ100のユーザのアバターと当該他のあるアバターとの関係性の強さを示す指標値を、ローカル情報更新部115を介して全ユーザ情報DB220から読み出す。3D加工部130は、読み出した指標値が示す関係性の強さが基準よりも強いことを条件に、当該他のアバターの立体形状を、当該関係性を識別可能な形態に変更する。さらに、3D加工部130は、当該他のアバターの色彩を変更してもよいし、当該他のアバターの動作を変更してもよい。この変更は、部分3DモデルDB110のみに局所的に反映されて、完全3DモデルDB210には反映されない。
【0024】
そして、2Dレンダリング部140は、部分3DモデルDB110から読み出され、3D加工部130により加工されたデータに基づいて、アバターの視界にある各オブジェクトを当該アバターの視点を基準としてレンダリングして、2次元画像を生成する。例えば、2Dレンダリング部140は、クライアント・コンピュータ100のユーザのアバターの視界に他のアバターが含まれていれば、当該アバターの形状・動作または色彩を、関係性の強さを識別可能な形態に変更した2次元画像を生成する。生成された画像は、表示部150により表示される。
【0025】
図4は、本実施形態に係る部分3DモデルDB110が記憶するデータの構造の一例を示す。部分3DモデルDB110は、仮想世界のうち表示部150による表示に必要な部分の立体形状を示すデータを記憶している。例えば、部分3DモデルDB110は、仮想世界のうち、クライアント・コンピュータ100のユーザに対応するアバターの視界に含まれるそれぞれの表示オブジェクトについて、その表示オブジェクトの情報を記憶している。
【0026】
表示オブジェクトとは、例えば他のユーザのアバターである。部分3DモデルDB110は、他のそれぞれのユーザのアバターに対応付けて、そのアバターのID、そのアバターの仮想世界における位置、そのアバターに備わった各コンポーネント、そのアバターの体の向き、および、そのアバターの視線の向きを記憶している。
【0027】
具体的には、IDが1のアバターについて、そのアバターの仮想世界における位置は(5F21,1E3A,00A0)という座標により定まる。ここでは位置の座標を16進数の3次元座標により表現したが、その座標を示すデータの具体的構造についてはこれに限定されない。
【0028】
また、そのアバターは、頭、衣類、手および足のコンポーネントを備える。一例として頭のコンポーネントの識別情報は32353である。このコンポーネントの立体形状などの更なる詳細を示すデータは、部分3DモデルDB110に記憶されていてもよいし、完全3DモデルDB210その他のデータベースに記憶されている。このデータについても、2Dレンダリング部140により読み出されて2次元画像としてレンダリングされてよい。
【0029】
また、そのアバターの体の向きの法線ベクトルは(E0,1B,03)であり、視線の向きの法線ベクトルは(E0,1B,03)である。ここでは体および視線の向きを16進数の3次元ベクトルによって表現したが、体および視線の向きを示すデータの具体的構造についてはこれに限定されない。
【0030】
これに加えて、部分3DモデルDB110は、アバターの視界に入っているオブジェクトであれば、土地または空などの環境に関するオブジェクトについて、その立体形状を示すデータを記憶していてよい。そのほかにも、部分3DモデルDB110は、仮想世界に含まれる各種オブジェクトについて、そのオブジェクトの立体形状を示すデータを記憶していてよい。
【0031】
図5は、本実施形態に係る情報システム10が順次表示を変更する処理のフローチャートを示す。ローカル情報更新部115およびサーバ情報更新部260は、仮想世界に参加している何れかのユーザが当該ユーザのアバターを操作する毎に、あるいは、予め定められた頻度で定期的に、以下のように動作する。
【0032】
まず、ローカル情報更新部115およびサーバ情報更新部260は、クライアント・コンピュータ100およびサーバ・コンピュータ200間でユーザ情報(例えば活動履歴などの属性)を同期させる(S500)。例えば、ローカル情報更新部115は、本人ユーザ情報DB120が変更されると、その変更の差分をサーバ情報更新部260に通知する。これに応じて、サーバ情報更新部260は、通知を受けたその差分により全ユーザ情報DB220を更新する。
【0033】
次に、ローカル情報更新部115およびサーバ情報更新部260は、クライアント・コンピュータ100およびサーバ・コンピュータ200間で3Dモデルを同期させる(S510)。例えば、ローカル情報更新部115は、クライアント・コンピュータ100のユーザの操作によりそのユーザのアバターの向きや形状その他の属性が変更されると、その変更の差分をサーバ情報更新部260に通知される。
【0034】
この通知に応じて、サーバ情報更新部260は、その変更の差分により完全3DモデルDB210を更新する。そして、サーバ情報更新部260は、更新の差分を、必要に応じて、他のそれぞれのクライアント・コンピュータに通知する。これにより、当該コンピュータにおいては当該該アバターを視界に含む他のアバターの視野を示す画像が変更される。
【0035】
また、この通知に応じて、クライアント・コンピュータ100のユーザのアバターの視界が変更された場合には、サーバ情報更新部260は、その視界に新たに含まれることとなったオブジェクトの立体形状を示すデータを完全3DモデルDB210から読み出して、ローカル情報更新部115に返信する。ローカル情報更新部115は、受け取ったそのデータにより部分3DモデルDB110を更新する。
【0036】
以上の同期が終了すると、仮想世界サーバ202は、変更後のデータに基づいて、それぞれのアバターと他のそれぞれのアバターとの間の関係性の強さを示す指標値を算出する(S520)。仮想世界サーバ202がある第1ユーザの第1アバターと他の第2ユーザの第2アバターとの関係性の強さを判断する具体例について、図6−12を参照して説明する。
【0037】
図6は、S520における処理の詳細を示す。まず、検索部230は、第1アバターの活動履歴および第2ユーザの第2アバターの活動履歴を全ユーザ情報DB220から検索する。活動履歴の一例を図7に示す。
【0038】
図7は、本実施形態に係る全ユーザ情報DB220が記憶する活動履歴の具体例を示す。全ユーザ情報DB220は、ユーザごとに、そのユーザまたはそのアバターの属性の一例として、そのアバターの活動履歴を記憶している。
【0039】
具体的には、全ユーザ情報DB220は、ユーザごとに、ユーザIDおよびユーザ名などの基本的情報と共に、そのユーザの活動履歴を記憶している。活動履歴は、活動時間、活動場所および活動内容を示す。活動時間は、例えば時刻である。これに代えて、または、これに加えて、活動時間とは、例えば何時から何時までといった時間の幅、または、夜間、昼間または朝などの時間帯を示してよい。
【0040】
活動場所は、例えば、仮想世界における位置を示す座標である。これに代えて、または、これに加えて、活動場所は、仮想世界におけるコミュニティの名前、または、仮想世界における不動産の名前(例えば展示場、美術館、遊園地、博物館、百貨店またはあるアバターの所有する自宅など)であってよい。
【0041】
活動内容は、例えば、移動から到着、コミュニティへの参加、または、商品の購入などのアバターの行動を示す。これに代えて、または、これに加えて、活動内容は、発言という活動による発言の内容を示してもよいし、ユーザが仮想世界自体またはその中の特定のコミュニティにログインまたはログアウトしたということであってもよい。
【0042】
さらに、全ユーザ情報DB220は、ユーザごとにそのユーザに付与された認定ポイントを記憶している。認定ポイントは、そのユーザのアバターが予め定められた活動を行うことによって与えられるポイントの累積値を示す。
【0043】
ここでいう予め定められた活動とは、例えば、ある第1アバターが他の第2アバターに対し行う有益な情報提供などの良い活動をいう。その場合、第2アバターの意志で第1アバターの認定ポイントが加算される。
【0044】
反対に、予め定められた活動とは、例えば、ある第1アバターが他の第2アバターに対し行う、約束違反などの悪い活動をいう。その場合、第2アバターの意志で第1アバターの認定ポイントが減算される。
【0045】
また、認定ポイントは、アクセシビィティまたはオープンコミュニティ活動などに応じて、仮想世界または特定コミュニティの運営管理者によって付加されてもよい。さらに、認定ポイントの不正利用を防ぐために、一度の活動で加減算できるポイントの上限数は予め定められていてもよい。
【0046】
また、以上のような活動履歴は全ユーザについて集計されて、全ユーザ情報DB220に記憶される。その一例を図8に示す。
図8は、本実施形態に係る全ユーザ情報DB220が記憶する統計情報の一例を示す。全ユーザ情報DB220は、仮想世界の全アバターの活動履歴を集計した統計情報を記憶している。例えば、全ユーザ情報DB220は、少なくとも何れか1つのアバターが行った活動のそれぞれについて、その活動がその仮想世界で行われた合計の回数を記憶している。さらに、全ユーザ情報DB220は、それぞれの活動について、その活動が過去の1ヶ月間で行われた合計の回数を記憶していてもよい。
【0047】
また、活動回数に代えて、全ユーザ情報DB220は、活動頻度、即ち、活動回数を観測期間で割り算した値を記憶していてもよい。これに加えて、または、これに代えて、全ユーザ情報DB220は、仮想世界の全てのユーザではなく、仮想世界のあるコミュニティに所属するユーザのみについて集計した活動回数を記憶してもよい。
【0048】
図6の説明に戻る。次に、算出部240は、検索した活動履歴に基づいて、第1および第2のアバターの間の関係性の強さを示す指標値を算出する(S610)。その算出方法の具体例を以下に示す。
【0049】
まず、活動Xが行われる確率をP(X)とおく。また、第1アバターをアバターAとし、第2アバターをアバターBとする。そして、あるアバターAが活動Xを行う確率をP(X|A)と表現する。ここで、活動Xを観測したとき、それがアバターAによるものである確率は、以下の式(1)のように計算される。
【数1】

【0050】
また、仮想世界をブラウズしていてたまたま出会ったアバターがアバターAである確率を、事前確率P(A)とする。すると、その事前確率P(A)に対して、活動Xを観測したことによる重みを掛け合わせた事後確率P(A|X)は、活動XとアバターAの関係の強さを表している。
【0051】
たとえば、どんなアバターも均等に活動Xを行うなら、P(X|A)=P(X)なので、左辺の事後確率P(A|X)は事前確率P(A)と等しい(活動Xにアバターを区別する情報は無い)。アバターAがほとんど活動Xを行わないならば、P(X|A)がほぼ0なので、式(1)の値はほぼ0に等しい。
【0052】
ほとんどアバターAのみがいつも活動Xをするならば、P(X|A)の値はほぼ1に等しく、かつ、P(X)=P(A)なので、式(1)の値はほぼ1に等しい。なお、活動Xが行われる確率は、仮想世界に含まれる各アバターをアバターaとして、以下の式(2)により表される。
【数2】

【0053】
尤度P(X|a)は、観測により決定される。事前確率P(a)についても、観測により決定されてもよいが、近似的に、仮想世界に含まれるアバターの総数の逆数としてもよい。本実施形態においては、図8を参照して説明した、全ユーザ情報DB220に記憶された活動の合計回数を、各活動XについてのP(X)として用いてよい。
【0054】
さて、活動X、Y、…のそれぞれに対応する事後確率P(A|X)、P(A|Y)、…を要素とするベクトルvをアバターAの属性とすると、アバターAおよびアバターBの間における活動履歴の相関は以下の式(3)のように表される。
【数3】

【0055】
ここで、センタードットはベクトルの内積を表す。
この式(3)の値は、アバターAの活動履歴およびアバターBの活動履歴とが共通の活動履歴をより多く含む場合に、当該共通の活動履歴がより少ない場合と比較して、より大きい値をとる。したがって、算出部240は、この式(3)の値を指標値として算出すれば、その指標値は、第1アバターおよび第2アバターの間における関係性の強さを示すことができる。
【0056】
また、式(1)の右辺においてP(X)が分数の分母にあることから、式(3)の右辺の算出に用いられるベクトルの各要素は、その要素が示す活動の頻度が大きいほど小さくなる。この結果、その要素がその内積の値に寄与する程度も小さくなる。従って、この指標値は、第1または第アバターの共通の活動履歴に、他の各アバターにより行われた頻度のより高い活動が含まれる場合と比較して、他の各アバターにより行われた頻度のより低い活動が含まれる場合に、より大きい値を採る。このため、算出部240は、第1および第2アバターの活動履歴がより珍しい活動を共有する場合に、第1および第2アバターの関係性がより強いものとして評価することができる。
【0057】
他の例として、算出部240は、各アバターに対応する認定ポイントに基づいて、第1および第2アバターの間の関係性の強さを示す指標値を算出してよい。例えば、算出部240は、第1アバターに対応する認定ポイントと、第2アバターに対応する認定ポイントとの差分がより小さい場合に、当該差分がより大きい場合と比較して、関係性がより強いことを示す指標値を算出してよい。この指標値によれば、モラルの高さが類似しており、かつ、仮想世界における活動の活発さが類似しているアバターの組を、関係性がより強いアバターの組として判断できる。
【0058】
更に他の例として、全ユーザ情報DB220が、それぞれのアバターの属性としてそのアバターまたは対応するユーザが興味を持っている事項の項目を記憶している場合において、算出部240は、第1アバターおよび第2アバターの間におけるその項目の相関に基づいて、関係性の強さを示す指標値を算出してよい。指標値を算出する具体的な方法は、仮想世界の設計その他に依存して異なってよいし、上記のような複数の方法を組み合わせた方法であってもよい。
【0059】
図6の説明に戻る。次に、検索部230は、第1のユーザおよび第2のユーザが共通して利用することができる少なくとも1つのコミュニケーション手段を全ユーザ情報DB220から検索する。なお、仮想世界においてアバターがコミュニケーションを行うということは、そのアバターに対応するユーザがコミュニケーションを行うことと実質的に等しい場合が多いので、ここからの説明においては、「アバター」の用語に代えて「ユーザ」の用語を用いる。
【0060】
全ユーザ情報DB220が記憶するコミュニケーション手段の具体例を図9に示す。
図9は、本実施形態に係る全ユーザ情報DB220が記憶するコミュニケーション手段の具体例を示す。全ユーザ情報DB220は、ユーザごとに、そのユーザのアバターのIDを記憶している。また、全ユーザ情報DB220は、ユーザごとに、そのユーザが利用する少なくとも1つのコミュニケーション手段のそれぞれを、そのユーザがそのコミュニケーション手段を利用するスキルの高さを示すスコアに対応付けて記憶している。
【0061】
スコアには以下の2種類があってよい。即ち例えば、全ユーザ情報DB220は、ユーザごとに、それぞれのコミュニケーション手段を情報の発信に利用するスキルの高さを示す発信スコア、および、それぞれのコミュニケーション手段を情報の受信に利用するスキルの高さを示す受信スコアを記憶している。
【0062】
例えば、IDが1のアバターについて、そのユーザが日本語の音声を利用して情報を発信するスキルの高さは、100%を満点として90%である。このスキルは、即ち、そのユーザが日本語を話すスキルに相当する。
【0063】
また、そのユーザが日本語のテキストを利用して情報を発信するスキルの高さは80%である。このスキルは、即ち、そのユーザが日本語の文章を筆記するスキルに相当する。このように、コミュニケーション手段は、送受信するデータがテキストデータおよび音声データの何れであるかの種別を示してもよい。これに加えて、コミュニケーション手段は、ユーザが手話を用いてコミュニケーションをとるかどうかを示してもよい。
【0064】
また、そのユーザが英語の音声を利用して情報を発信するスキルの高さは50%である。このスキルは、即ち、そのユーザが英語を話すスキルに相当する。このように、コミュニケーション手段は、コミュニケーションのための言語の区別を示してもよい。
【0065】
なお、スキルの高さを示すスコアは、上記の例においては、数値0から予め定められた定数値である1までの間の値を採る。これに代えて、スコアは、特に上限値を設けない数値であってよい。さらに、スコアは、ユーザ自身が自己申告して全ユーザ情報DB220に登録したものであってもよいし、ユーザが言語スキルの評価のための試験を受験した結果を示すものであってもよい。
【0066】
さらに、全ユーザ情報DB220は、ユーザごとに、それぞれのコミュニケーション手段に対応付けて、そのコミュニケーション手段を優先して使用する優先度を記憶してもよい。例えば、全ユーザ情報DB220は、ユーザの指示に基づいて、格納している優先度を変更してもよい。これにより、ユーザは、例えばコミュニケーションについての特定のスキルを向上させたいなどの、ユーザの事情または好みなどを関係性の強さの評価に反映させることができる。
【0067】
検索部230は、以上のようなデータ構造を有する全ユーザ情報DB220から、第1および第2のユーザが共通して利用することができる少なくとも1つのコミュニケーション手段を検索する。例えば図9の例において、アバターのIDが1のユーザおよびアバターのIDが2のユーザが共通して利用することができるのは、英語の音声および英語のテキストである。従って、英語の音声および英語のテキストがコミュニケーション手段として検索部230により検索される。
【0068】
また、仮想世界におけるコミュニケーションは、機械翻訳などの所定の変換システムを利用して成立する場合もある。そのような場合に備えて、全ユーザ情報DB220は、仮想世界に備わる変換手段に関する情報を記憶している。その一例を図10に示す。
【0069】
図10は、本実施形態に係る全ユーザ情報DB220が記憶する変換手段の一例を示す。全ユーザ情報DB220は、あるコミュニケーション手段を他のコミュニケーション手段に変換する変換手段ごとに、当該変換手段による変換の精度を記憶している。
【0070】
例えば、日本語の音声合成は、仮想世界において予め準備された音声合成システムを示す。そしてそのシステムは、具体的には、日本語のテキストを日本語の音声に変換する変換手段を示し、その変換の精度は75%である。
【0071】
また、日本語の音声認識は、仮想世界において予め準備された音声認識システムを示す。そしてそのシステムは、具体的には、日本語の音声を日本語のテキストに変換する変換手段を示し、その変換の精度は65%である。
【0072】
また、日英翻訳は、日本語のテキストを英語のテキストに機械翻訳するための、予め準備された機械翻訳システムを示す。そして、その変換の精度は70%である。
【0073】
検索部230は、コミュニケーション手段のみならず変換手段についても全ユーザ情報DB220から検索する。その検索の処理の具体例を図11および図12に示す。
図11は、アバター1がアバター2に情報を伝達する場合におけるデータ変換の経路を示す。まず、検索部230は、第1のユーザが利用する第1のコミュニケーション手段の中から、何れかの変換手段によって(複数の変換手段を順次利用する場合も含む)、第2のユーザが利用する何れかの第2のコミュニケーション手段に一致する、第1のコミュニケーション手段を検索する。
【0074】
図11の例において、第1のコミュニケーション手段である「日本語の音声」は、日本語の音声認識および日英翻訳を順次利用して、第2のコミュニケーション手段の1つである「英語のテキスト」に変換される。また、この例では、第1のコミュニケーション手段の何れもが、何らかの変換手段を利用して、何れかの第2のコミュニケーション手段に変換される。したがって、その結果、検索部230は、第1のユーザが利用する全ての第1のコミュニケーション手段を検索する。
【0075】
次に、検索部230は、第1のユーザが利用するそれぞれの第1のコミュニケーション手段を、少なくとも1つの変換手段により、第2のユーザが利用する何れかの第2のコミュニケーション手段に変換する変換の経路を複数検索する。たとえば、「日本語の音声」を、日本語の音声認識、および、日英機械翻訳を利用して、「英語のテキスト」に変換する経路がその1つである。また、「英語の音声」を、英語の音声認識を利用して、「英語のテキスト」に変換する経路もその1つである。
【0076】
図6の説明に戻る。次に、算出部240は、検索された各経路に基づいて、第1のユーザおよび第2のユーザの間のコミュニケーションの成立性を判断する。具体的には、算出部240は、検索されたそれぞれの変換の経路について、変換前の第1のコミュニケーション手段に対応するスコア、変換の経路上のそれぞれの変換手段に対応する変換の精度、および、変換後の第2のコミュニケーション手段に対応するスコアを、全ユーザ情報DB220から読み出す。
【0077】
そして、算出部240は、それぞれの変換の経路について、変換前の第1のコミュニケーション手段に対応するスコア、変換の経路上のそれぞれの変換手段に対応する変換の精度、および、変換後の第2のコミュニケーション手段に対応するスコアの積を算出する。算出したスコアの積が、コミュニケーションの成立性を示す。なお、コミュニケーションの成立性は、スコアおよび変換の精度に基づけば、スコアおよび変換の精度の積として算出されることには限定されない。
【0078】
具体例として図11を参照すると、たとえば、「日本語の音声」を、日本語の音声認識、および、日英機械翻訳を利用して、「英語のテキスト」に変換する経路について、コミュニケーションの成立性として、第1ユーザによる日本語の音声の発信スコアである90%、日本語の音声認識の精度である65%、日英機械翻訳の精度である70%、および、第2ユーザによる英語のテキストの受信スコアである80%の積が算出される。積の値は、例えば32.7%である。
【0079】
他の例として、同じく図11を参照すると、例えば、「英語の音声」を、英語の音声認識を利用して、「英語のテキスト」に変換する経路について、コミュニケーションの成立性として、第1ユーザによる英語の音声の発信スコアである50%、英語の音声認識の精度である70%、および、第2ユーザによる英語のテキストの受信スコアである70%の積が算出される。積の値は、例えば24.5%である。
【0080】
そして、算出部240は、算出したコミュニケーションの成立性の最も高い経路を選択する。また、算出部240は、選択した経路の両端に含まれる各コミュニケーション手段を、第1および第2ユーザの間のコミュニケーションに利用するべきコミュニケーション手段として選択する。
【0081】
また、算出部240は、選択した経路に基づいて、第1および第2ユーザの間の関係性の強さを示す指標値を算出する(S640)。例えば、コミュニケーションの成立性の最も高い経路について算出された、その経路におけるコミュニケーションの成立性それ自体が、第1および第2ユーザの間の関係性の強さを示す指標値として算出されてもよい。
【0082】
これに代えて、関係性の強さには、第1ユーザから第2ユーザへの情報伝達のみならず、第2ユーザから第1ユーザへの情報伝達を含む、双方向のコミュニケーションが考慮されてもよい。その一例を、図12を参照して説明する。
【0083】
図12は、アバター2がアバター1に情報を伝達する場合におけるデータ変換の経路を示す。図11の例と反対に、検索部230は、まず、第2のユーザが利用する第2のコミュニケーション手段の中から、何れかの変換手段によって(複数の変換手段を順次利用する場合も含む)、第1のユーザが利用する何れかの第1のコミュニケーション手段に一致する、第2のコミュニケーション手段を検索する。
【0084】
図11の例において、第2のコミュニケーション手段である「英語のテキスト」は、英日翻訳を利用して、第1のコミュニケーション手段の1つである「日本語のテキスト」に変換される。また、この例では、アラビア語の音声を除く第2のコミュニケーション手段の何れもが、何らかの変換手段を利用して、何れかの第1のコミュニケーション手段に変換される。したがって、その結果、検索部230は、第2のユーザが利用するアラビア語のテキスト、英語の音声、および、英語のテキストを検索することができる。
【0085】
次に、検索部230は、第2のユーザが利用するそれぞれの第2のコミュニケーション手段を、少なくとも1つの変換手段により、第1のユーザが利用する何れかの第1のコミュニケーション手段に変換する変換の経路を複数検索する。たとえば、「英語のテキスト」を、英日翻訳を利用して、「日本語のテキスト」に変換する経路がその1つである。また、「英語の音声」を、英語の音声認識および英日翻訳を順次利用して、「日本語のテキスト」に変換する経路もその1つである。
【0086】
次に、算出部240は、算出部240は、検索されたそれぞれの変換の経路について、変換前の第2のコミュニケーション手段に対応する発信スコア、変換の経路上のそれぞれの変換手段に対応する変換の精度、および、変換後の第1のコミュニケーション手段に対応する受信スコアを、全ユーザ情報DB220から読み出す。
【0087】
そして、算出部240は、それぞれの変換の経路について、変換前の第2のコミュニケーション手段に対応する発信スコア、変換の経路上のそれぞれの変換手段に対応する変換の精度、および、変換後の第1のコミュニケーション手段に対応する受信スコアの積を算出する。算出したスコアの積が、コミュニケーションの成立性を示す。なお、コミュニケーションの成立性は、スコアおよび変換の精度に基づけば、スコアおよび変換の精度の積として算出されることには限定されない。
【0088】
具体例として図12を参照すると、たとえば、「英語のテキスト」を、英日翻訳を利用して、「日本語のテキスト」に変換する経路について、コミュニケーションの成立性として、英語のテキストの発信スコアである80%、英日翻訳の精度である70%、および、日本語のテキストの受信スコアである90%の積が算出される。一例としてその値は、50.4%である。
【0089】
また、「英語の音声」を、英語の音声認識および英日翻訳を順次利用して、「日本語のテキスト」に変換する経路について、コミュニケーションの成立性として、英語の音声の発信スコアである50%、英語の音声認識の精度である70%、英日翻訳の精度である70%、および、日本語のテキストの受信スコアである90%の積が算出される。一例としてその値は、22.05%である。
【0090】
このようにして、算出部240は、双方向のコミュニケーションについてそのスコアの積を算出する。そのうえで、算出部240は、第1コミュニケーション手段および第2コミュニケーション手段のそれぞれの組について、第1ユーザの発信スコアおよび第2ユーザの受信スコアの積に基づくコミュニケーションの成立性(第1成立性)の最大値(図11を参照されたい。)、および、第2ユーザの発信スコアおよび第1ユーザの受信スコアの積に基づくコミュニケーションの成立性(第2成立性)の最大値(図12を参照されたい。)、のうち何れか大きくない方を、第1および第2ユーザによるコミュニケーションの成立性と判断する。
【0091】
そして、算出部240は、このようにして判断された成立性に対応するコミュニケーション手段の組を選択して、そのコミュニケーション手段を利用した場合におけるコミュニケーションの成立性を上記指標値として算出する。この場合に選択されるコミュニケーション手段の組は、第1ユーザの発信、第1ユーザの受信、第2ユーザの発信、および、第2ユーザの受信、のための、合計4つのコミュニケーション手段を含む。
【0092】
算出部240による上記の処理を数式を用いて以下に示す。まず、アバターAが言語lを受信および送信するスキルのスコアをそれぞれPIN(A,l)、POUT(A,l)とおく。これらのそれぞれは、ゼロ以上の実数の範囲の値を採る。また、値が大きいほどスキルが高いことを示す。確率値ではないので、あるユーザについて全ての言語スキルのスコアを合計しても1になるとは限らない。
【0093】
このとき、アバターAからアバターBへ情報を伝達する場合に利用すべき最適な言語lA→Bは、以下の式(4)のように算出される。
【数4】

【0094】
ここで、Lは利用可能なコミュニケーション手段の全ての集合をあらわす。同様に、アバターBからアバターAへ情報を伝達する場合に利用すべき最適な言語lB→Aは、以下の式(5)のように算出される。
【数5】

【0095】
この2者間でのコミュニケーションの成立性は上記いずれかの大きくない方なので、以下の式(6)のように計算できる。
【数6】

【0096】
各アバターにおいては送受信言語を一致させるようにし、または、必要に応じてアバター間に機械翻訳などを挿入して2者間で異なる言語で会話を行うとするならば、翻訳における変換の精度T(l,l´)を用いて、以下の式(7)により、コミュニケーションに成立性を算出することもできる。
【数7】

【0097】
ただし、各アバターにとって、ある言語に関する送信と受信の性能は同一としてP(A,l)で表現した。また、機械翻訳の性能も両方向で同一とした。
【0098】
以上の例に加えて、算出部240は、第1ユーザおよび第2ユーザの間の一方向のコミュニケーション、および他方向のコミュニケーションの双方がバランスする場合に、コミュニケーションの成立性がより高いと判断してもよい。例えば、算出部240は、第1および第2のコミュニケーション手段について、それぞれのスコアの差がより小さい場合にそれぞれのスコアの差がより多い場合よりも当該成立性をより高く評価してよい。
【0099】
さらに他の例として、算出部240は、第1および第2のコミュニケーション手段について、第1および第2のコミュニケーション手段に対応するそれぞれのスコアを、前記第1および第2のコミュニケーション手段に対応するそれぞれの優先度で重み付けしたスコアに基づいて、コミュニケーションの成立性を判断してもよい。これにより、使用すべきコミュニケーション手段にユーザの好みを反映できるので、ユーザ間の適切なコミュニケーションを一層促進できる。
【0100】
以上により図6−12の説明を終了し、図5の説明に戻る。次に、仮想世界ブラウザ102は、算出または更新された指標値に基づいて、第2アバターを示す表示オブジェクトを、関係性の強さを識別可能な形態で表示する(S530)。
【0101】
関係性の強さを識別可能な形態は、例えば、アバターの向きによって表される。例えば、ユーザの画面上に、そのユーザと関係性の強いアバターが、視線をユーザ側に向けて表示されれば、そのユーザはそのアバターとの間の関係性の強さを認識できる。そのような表示を実現する具体的方法を、図13を参照して以下に示す。
【0102】
図13は、アバター1およびアバター2の向きの関係を示す。アバター1の位置はP=(x,y,z)という座標によって表される。アバター1の体の向きは、d=(u,v,w)という法線ベクトルによって表される。アバター2の位置はP=(x,y,z)という座標によって表される。アバター2の体の向きは、d=(u,v,w)という法線ベクトルによって表される。
【0103】
この状態において、まず、以下の式(8)に示す2つの関数を用意する。
【数8】

【0104】
アバター1の視界にアバター2が含まれるためには、以下の式(9)の条件が成立する必要がある。
【数9】

【0105】
ここで、Tは視野の範囲を表す閾値、LABはアバター1およびアバター2の間の距離である。なお、方向ベクトルは単位長に正規化されているとする。また、アバター2が首を回して視線を動かせる範囲にアバター1が含まれている条件は、以下の式(10)のとおりである。
【数10】

【0106】
ここで、Tは首を回すことのできる上限に対応する閾値である。式(9)および式(10)の双方の条件が満たされるときに限り、3D加工部130は、アバター2の首を回して、式(11)のような方向に傾けるよう、部分3DモデルDB110において立体形状を変更する。
【数11】

【0107】
ここで、αは0から1の間の値をとる実数であり、関係の強さを示す指標値Pそのものであってもよい。αが1ならば、アバター2はアバター1の方を向く。αがゼロなら、アバター2Bの向きは変わらない。変更された立体形状は、既に説明したように、2Dレンダリング部140によりレンダリングされて、表示部150により表示される。
【0108】
以上のように制御すれば、表示部150は、関係性がより強い場合に関係性がより弱い場合と比較して、アバター1の向きおよびアバター2の向きのなす角度がより小さくなるように、アバター2の向きを変更して表示できる。また、表示部150は、アバター2の体の向きと視線の向きのなす角度が予め定められた基準よりも小さいという条件を満たす範囲内で、アバター2の視線の向きを変更できる。
【0109】
なお、ここで変更する「向き」は、上述のように、首または顔の向きに伴って変化する視線の向きであることが好ましいが、それに限定されるものではない。例えば、表示部150は、アバターの体の向きを変更してもよい。
【0110】
これに代えて、または、これに加えて、表示部150は、アバターの動作または表情を変更してもよい。その一例を図14を参照して説明する。
図14は、アバターの表情を変更する手続きの一例を示す。表示部150は、アバターの表情を、予め定められた手順に従って変更している。図14にはその一例としてアバターの目を変更する手順の一例を示す。
【0111】
表示部150は、アバターの表情を決定付けるパラメータとして1を設定している場合において、パターン1から8までのそれぞれに対応する目の画像を、予め定められた時間間隔で次々に表示する。
【0112】
例えばパターン4および8において、目の画像は目を閉じた画像を示し、その他のパターンにおいて、目の画像は目を開いた画像を示す。この結果、アバターの目は時々閉じられて、他の多くの時間は開いているように表示される。
【0113】
表示部150は、第1アバターおよび第2アバターの間の関係性の強さを示す指標値が、予め定められた基準よりも大きい値に変更されたことを条件に、第2アバターの表情を変更するための当該予め定められた手順を変更するパラメータを変更する。
【0114】
例えば、パラメータが1から2に変更されると、パターン2およびパターン6において新たに目が閉じられた画像が表示される。この結果、アバターの目は頻繁に瞬きするように表示される。
【0115】
以上に示す目の表示の例は一例である。このほかに、表示部150は、いわゆる表情パラメータまたは動作パラメータと呼ばれる、アバターのアニメーション・パターンを決定付けるパラメータを変更してよい。
【0116】
このようなパラメータの変更によれば、アバターの表情または表現を、例えば好意的な感情を示すように変更することができる。また、アバターの動作、例えばジャンプを繰り返し、または、宙に浮くというような動作をさせて、アバターの感情を表現させることができる。
【0117】
図15は、本実施形態に係る仮想世界ブラウザ102により表示される画面の他の例を示す。図2の例と同様に、仮想世界ブラウザ102は、ユーザに対し、そのユーザの仮想世界における分身であるアバターの視点から見た画像を表示する。画面手前側のアバター20は、クライアント・コンピュータ100のユーザ自身により操作されるアバターを示す。これに対し、画面奥側のアバター22およびアバター24のそれぞれは、他のユーザに対応付けられており、当該他のユーザにより操作されるアバターを示す。
【0118】
但し、図2の例とは異なり、仮想世界ブラウザ102は、アバター20との関係が予め定められた基準よりも強い他のアバターを、さらに他のアバターとは識別可能な形態で表示する。具体的には、いま、図2のアバター22は、アバター20との関係が予め定められた基準よりも強いアバターである。従って、仮想世界ブラウザ102は、そのアバター22にエクスクラメーション・マークの吹き出しを付加して表示する。
【0119】
既に図14を参照して説明したように、識別可能な形態とは、この吹き出しの例のみならず、表情または動作の変更など、様々な形態を含む。さらにそれに加えて、仮想世界ブラウザ102は、関係性の強さを示す指標値それ自体を表示してもよい。
【0120】
図14の例では、例えば、仮想世界ブラウザ102は、HUD(Head Up Display)内に、指標値を示すレベルメータおよび指標値自体をアバター(ユーザー)毎に表示している。これにより、ユーザは関係性の強さをより詳細に知ることができる。
【0121】
さらに他の例として、仮想世界ブラウザ102は、関係性の強さに基づいてアバター20またはアバター22の属性を変更してもよい。属性としては、既に説明したように、アバターの向きの他、アバターが備えるコンポーネントまたはアバターの位置などが挙げられる。
【0122】
この属性変更の例としては、例えば、コンポーネントの色彩変更がある。即ち例えば、仮想世界ブラウザ102は、アバター20との間の関係性が強いアバター22について、アバター22が身に着けている衣類またはアクセサリーなどの色彩を、例えば金色などの目立ち易い色彩、または、クライアント・コンピュータ100のユーザの好みに沿った予め定められた色彩に変更すれば、クライアント・コンピュータ100のユーザはその関係性の強さを容易に認識できる。
【0123】
図16は、本実施形態に係るクライアント・コンピュータ100またはサーバ・コンピュータ200として機能するコンピュータ500のハードウェア構成の一例を示す。コンピュータ500は、ホストコントローラ1082により相互に接続されるCPU1000、RAM1020、及びグラフィックコントローラ1075を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ1084によりホストコントローラ1082に接続される通信インターフェイス1030、ハードディスクドライブ1040、及びCD−ROMドライブ1060を有する入出力部と、入出力コントローラ1084に接続されるROM1010、フレキシブルディスクドライブ1050、及び入出力チップ1070を有するレガシー入出力部とを備える。
【0124】
ホストコントローラ1082は、RAM1020と、高い転送レートでRAM1020をアクセスするCPU1000及びグラフィックコントローラ1075とを接続する。CPU1000は、ROM1010及びRAM1020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィックコントローラ1075は、CPU1000等がRAM1020内に設けたフレームバッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置1080上に表示させる。これに代えて、グラフィックコントローラ1075は、CPU1000等が生成する画像データを格納するフレームバッファを、内部に含んでもよい。
【0125】
入出力コントローラ1084は、ホストコントローラ1082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス1030、ハードディスクドライブ1040、及びCD−ROMドライブ1060を接続する。通信インターフェイス1030は、例えば図1を参照して説明した通信インターフェイス106または通信インターフェイス206の一例であり、ネットワークを介して外部の装置と通信する。ハードディスクドライブ1040は、図1を参照して説明した記憶装置104または記憶装置204の一例であり、コンピュータ500が使用するプログラム及びデータを格納する。CD−ROMドライブ1060は、CD−ROM1095からプログラム又はデータを読み取り、RAM1020又はハードディスクドライブ1040に提供する。
【0126】
また、入出力コントローラ1084には、ROM1010と、フレキシブルディスクドライブ1050や入出力チップ1070等の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM1010は、コンピュータ500の起動時にCPU1000が実行するブートプログラムや、コンピュータ500のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスクドライブ1050は、フレキシブルディスク1090からプログラム又はデータを読み取り、入出力チップ1070を介してRAM1020またはハードディスクドライブ1040に提供する。入出力チップ1070は、フレキシブルディスク1090や、例えばパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0127】
コンピュータ500に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク1090、CD−ROM1095、又はICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、入出力チップ1070及び/又は入出力コントローラ1084を介して、記録媒体から読み出されコンピュータ500にインストールされて実行される。プログラムがコンピュータ500等に働きかけて行わせる動作は、図1から図15において説明したクライアント・コンピュータ100またはサーバ・コンピュータ200における動作と同一であるから、説明を省略する。
【0128】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク1090、CD−ROM1095の他に、DVDやPD等の光学記録媒体、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークやインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ500に提供してもよい。
【0129】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。例えば、選択部250は、コミュニケーションに成立性が最も高いとして選択した変換の経路について、その経路上の変換手段を、アバターに自動的に装着してもよい(即ち直ちに利用可能な状態に設定してもよい。)。また、関係性の強いアバターではなく、関係性の弱いアバターを目立たせて表示すれば、コミュニケーションの幅を広げたいというユーザの希望に応じることができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】図1は、本実施形態に係る情報システム10の全体構成を示す。
【図2】図2は、本実施形態に係る仮想世界ブラウザ102により表示される画面の一例を示す。
【図3】図3は、本実施形態に係るクライアント・コンピュータ100およびサーバ・コンピュータ200の機能構成を示す。
【図4】図4は、本実施形態に係る部分3DモデルDB110が記憶するデータの構造の一例を示す。
【図5】図5は、本実施形態に係る情報システム10が順次表示を変更する処理のフローチャートを示す。
【図6】図6は、S520における処理の詳細を示す。
【図7】図7は、本実施形態に係る全ユーザ情報DB220が記憶する活動履歴の具体例を示す。
【図8】図8は、本実施形態に係る全ユーザ情報DB220が記憶する統計情報の一例を示す。
【図9】図9は、本実施形態に係る全ユーザ情報DB220が記憶するコミュニケーション手段の具体例を示す。
【図10】図10は、本実施形態に係る全ユーザ情報DB220が記憶する変換手段の一例を示す。
【図11】図11は、アバター1がアバター2に情報を伝達する場合におけるデータ変換の経路を示す。
【図12】図12は、アバター2がアバター1に情報を伝達する場合におけるデータ変換の経路を示す。
【図13】図13は、アバター1およびアバター2の向きの関係を示す。
【図14】図14は、アバターの表情を変更する手続きの一例を示す。
【図15】図15は、本実施形態に係る仮想世界ブラウザ102により表示される画面の他の例を示す。
【図16】図16は、本実施形態に係るクライアント・コンピュータ100またはサーバ・コンピュータ200として機能するコンピュータ500のハードウェア構成の一例を示す。
【符号の説明】
【0131】
10 情報システム
20 アバター
22 アバター
24 アバター
100 クライアント・コンピュータ
102 仮想世界ブラウザ
104 記憶装置
106 通信インターフェイス
110 部分3DモデルDB
115 ローカル情報更新部
120 本人ユーザ情報DB
130 3D加工部
140 2Dレンダリング部
150 表示部
200 サーバ・コンピュータ
202 仮想世界サーバ
204 記憶装置
206 通信インターフェイス
210 完全3DモデルDB
220 全ユーザ情報DB
230 検索部
240 算出部
250 選択部
260 サーバ情報更新部
500 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのコミュニケーションを支援するシステムであって、
ユーザごとに、当該ユーザが利用する少なくとも1つのコミュニケーション手段のそれぞれを、当該ユーザが当該コミュニケーション手段を利用するスキルの高さを示すスコアに対応付けて記憶している記憶装置と、
第1のユーザおよび第2のユーザが共通して利用することができる少なくとも1つのコミュニケーション手段を前記記憶装置から検索する検索部と、
検索したそれぞれの前記コミュニケーション手段についての前記第1および第2のユーザの前記スコアを前記記憶装置から読み出して、読み出したそれぞれの前記スコアに基づいて、前記第1および第2のユーザのコミュニケーションに利用するべきコミュニケーション手段を選択する選択部と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記記憶装置は、あるコミュニケーション手段を他のコミュニケーション手段に変換する変換手段ごとに、当該変換手段による変換の精度を更に記憶しており、
前記検索部は、さらに、前記第1のユーザが利用する前記第1のコミュニケーション手段の中から、何れかの前記変換手段によって、前記第2のユーザが利用する何れかの前記第2のコミュニケーション手段に一致する第1のコミュニケーション手段を検索し、
前記選択部は、検索された前記第1のコミュニケーション手段に対応する前記スコア、当該第1のコミュニケーション手段を当該第2のコミュニケーション手段に一致させる前記変換手段に対応する前記変換の精度、当該第2のコミュニケーション手段に対応する前記スコア、を、前記記憶装置から読み出して、読み出したそれぞれの前記スコアおよび前記変換の精度に更に基づいて、前記第1および第2のユーザのコミュニケーションに利用するべきコミュニケーション手段を選択する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検索部は、前記第1のユーザが利用するそれぞれの前記第1のコミュニケーション手段を、少なくとも1つの前記変換手段により、前記第2のユーザが利用する何れかの前記第2のコミュニケーションに変換する変換の経路を複数検索し、
前記選択部は、さらに、検索されたそれぞれの前記変換の経路について、変換前の前記第1のコミュニケーション手段に対応する前記スコア、当該変換の経路上のそれぞれの変換手段に対応する前記変換の精度、および、変換後の前記第2のコミュニケーション手段に対応する前記スコアに更に基づいて、前記第1および第2のユーザの間のコミュニケーションの成立性を判断し、当該成立性の最も高い経路を選択する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記スコアおよび前記変換の精度のそれぞれは、共に、数値0から予め定められた定数値までの間の値をとり、
前記選択部は、検索されたそれぞれの前記変換の経路について、変換前の前記第1のコミュニケーション手段に対応する前記スコア、当該変換の経路上のそれぞれの変換手段に対応する前記変換の精度、および、変換後の前記第2のコミュニケーション手段に対応する前記スコアの積を算出して、算出した当該積に基づいて前記第1および第2のユーザの間のコミュニケーションの成立性を判断する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
それぞれの前記コミュニケーション手段は、コミュニケーションのための言語を示し、
前記変換手段は、予め準備された機械翻訳システムである、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
それぞれの前記コミュニケーション手段は、さらに、送受信するデータがテキストデータおよび音声データの何れであるかの種別を示し、
前記変換手段は、さらに、予め準備された音声合成システム又は音声認識システムを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記記憶装置は、ユーザごとに、それぞれのコミュニケーション手段を情報の発信に利用するスキルの高さを示す発信スコア、および、それぞれのコミュニケーション手段を情報の受信に利用するスキルの高さを示す受信スコアを記憶しており、
前記選択部は、検索したそれぞれの前記コミュニケーション手段について、前記第1のユーザの前記発信スコアおよび前記第2のユーザの前記受信スコアの積に基づくコミュニケーションの成立性である第1成立性、および、前記第1のユーザの前記受信スコアおよび前記第2のユーザの前記発信スコアの積に基づくコミュニケーションの成立性である第2成立性のそれぞれを算出し、第1成立性の最大値および第2成立性の最大値のうち何れか大きくない方の値を、当該コミュニケーション手段によるコミュニケーションの成立性と判断する、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記選択部は、検索された前記第1および第2のコミュニケーション手段について、対応するそれぞれのスコアの積がより高い場合に当該積がより低い場合よりもコミュニケーションの成立性をより高く評価すると共に、それぞれのスコアの差がより小さい場合にそれぞれのスコアの差がより多い場合よりも当該成立性をより高く評価する、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記記憶装置は、さらに、ユーザごとに、それぞれのコミュニケーション手段に対応付けて、当該コミュニケーション手段を優先して使用する優先度を記憶しており、
前記選択部は、検索された前記第1および第2のコミュニケーション手段について、前記第1および第2のコミュニケーション手段に対応するそれぞれの前記スコアを、前記第1および第2のコミュニケーション手段に対応するそれぞれの前記優先度で重み付けしたスコアに基づいて、コミュニケーションの成立性を判断する、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
それぞれの前記ユーザを仮想世界において表すアバターを表示する表示部を更に備え、
前記表示部は、前記仮想世界において前記第1のユーザのアバターの視界に前記第2のユーザのアバターが含まれることを条件に、前記第1のユーザのアバターの視界を示す画面に、前記第2のユーザのアバターを、前記コミュニケーションの成立性を識別可能な形態で表示する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
コンピュータによって、ユーザのコミュニケーションを支援する方法であって、
前記コンピュータは、ユーザごとに、当該ユーザが利用する少なくとも1つのコミュニケーション手段のそれぞれを、当該ユーザが当該コミュニケーション手段を利用するスキルの高さを示すスコアに対応付けて記憶している記憶装置を有し、
第1のユーザおよび第2のユーザが共通して利用することができる少なくとも1つのコミュニケーション手段を前記記憶装置から検索するステップと、
検索したそれぞれの前記コミュニケーション手段についての前記第1および第2のユーザの前記スコアを前記記憶装置から読み出して、読み出したそれぞれの前記スコアに基づいて、前記第1および第2のユーザのコミュニケーションに利用するべきコミュニケーション手段を選択するステップと
を備える方法。
【請求項12】
コンピュータを、ユーザのコミュニケーションを支援するシステムとして機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
ユーザごとに、当該ユーザが利用する少なくとも1つのコミュニケーション手段のそれぞれを、当該ユーザが当該コミュニケーション手段を利用するスキルの高さを示すスコアに対応付けて記憶している記憶装置と、
第1のユーザおよび第2のユーザが共通して利用することができる少なくとも1つのコミュニケーション手段を前記記憶装置から検索する検索部と、
検索したそれぞれの前記コミュニケーション手段についての前記第1および第2のユーザの前記スコアを前記記憶装置から読み出して、読み出したそれぞれの前記スコアに基づいて、前記第1および第2のユーザのコミュニケーションに利用するべきコミュニケーション手段を選択する選択部と
して機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−104481(P2009−104481A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276931(P2007−276931)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【復代理人】
【識別番号】100104156
【弁理士】
【氏名又は名称】龍華 明裕
【Fターム(参考)】