説明

ユーザ装置の測位方法、測位装置及びコンピュータプログラム

ネットワーク内のアクセスポイントからデータを収集することを行うユーザ装置の位置を推定する方法が開示される。データはアクセスポイント間の或る関係を規定するために使用され、その関係は例えば送信信号が受ける電力損失である。その関係は、ネットワーク内のユーザ装置の位置を判定するためにマトリクス、データベース又はその他の任意の適切な参照可能なストレージ手段に保存され、ネットワーク内のユーザ装置の位置を判定するためにユーザ装置からの対応する測定値と相関が計算される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線ネットワークにおけるユーザ装置の一を推定する方法に関連する。本発明は無線ネットワークにおけるユーザ装置の一を推定する装置にも関連する。
【背景技術】
【0002】
無線ネットワークは特にアクセスポイント及びユーザ装置を含む。例えばラップトップ等のようなユーザ装置は、無線ネットワークを用いて無線ネットワーク通信を可能にするインタフェースを備えた任意の装置とすることができる。アクセスポイントは、例えばブルートゥース(登録商標)又はWi-Fi等を用いてユーザ装置が特定の無線ネットワークにアクセスできるようにする装置である。ユーザが無線ネットワークにアクセスすると、ユーザはネットワークを介してデータを送受信できるようになる。
【0003】
無線ネットワークにおけるユーザの位置を推定することは有用である。例えばユーザ装置に提供されるサービスがネットワークにおけるユーザ装置の位置に基づいているような場合がある。ユーザ装置は移動可能であり、従ってネットワーク要素がその性質上静的でない場合、測位は特に困難になる。
【0004】
移動装置がアクセスできるネットワーク内の装置の位置を判定するため、いくつかの解決手段が提案されている。これらはRFフィンガープリント、三角測量による到着時間、及び移動装置におけるGPS装置等を利用することを含む。
【0005】
RFフィンガープリントは、無線ネットワークによりカバーされている地域又はエリアの測定を行い、そのエリア内の或る地点におけるRFスペクトルを評価する。システム又は移動端末自身は、ユーザ装置のRFスペクトルを判定し、測定により得られたエリア内の別の地点のRFスペクトルと判定結果と比較する。この比較結果を用いてユーザ装置がネットワーク内の何処にいるかを判定することができる。しかしながらこの測位方法はエリア内の地点における受信RFスペクトルを判定するためのりソースを必要とする。さらに、エリア内のRF環境の性質は変動し、測位誤差を大きくしてしまうかもしれない。
【0006】
三角測量における到着時間を利用する場合、ユーザ装置からアクセスポイントまでの通信信号の伝搬時間(time of flight)をアクセスポイントが判定することを要する。この伝搬時間からアクセスポイントまでの距離を判定することができ、距離の一致点がユーザ装置の推定位置である。しかしながら三角測量における到着時間を用いて正確に測位するには、ユーザ装置はネットワークの中で少なくとも3つのアクセスポイントと通信できなければならず、これは測位に必要なアクセスポイント数がネットワークサービスに必要な数よりも多くなってしまうことを意味する。更に、時間を推定する際に、ユーザ装置及びアクセスポイントにおけるクロック同士の時間差があり、位置及び推定の誤差をもたらすおそれがある。
【0007】
ユーザ装置内のGPS受信機又は他の測位装置を用いてユーザ装置の位置を判定することもできる。しかしながらこの方法はユーザ装置の測位点において衛星が見えることを当てにしているので、建物の中では不可能である。また、ユーザ装置各々にGPS受信機を設けることはコスト高にもなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、無線ネットワークにおけるユーザ装置の位置を推定する改善された装置及び方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態による測位方法は、
複数のアクセスポイントを含む無線ネットワーク内のユーザ装置の位置を推定する測位方法であって、
i)前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントの内の何れかとの間のチャネル損失を判定するステップと、
ii)前記複数のアクセスポイントの少なくとも1つについての相関値を算出するステップであって、アクセスポイントについての相関値は、前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つとの間のチャネル損失と、前記アクセスポイントと前記複数のアクセスポイント各々との間のチャネル損失との間の相関の測定値である、ステップと、
iii)少なくとも1つのアクセスポイントの既知の位置、及び前記少なくとも1つのアクセスポイントについての相関値から、前記ユーザ装置の位置を推定するステップと
を有する測位方法である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明が使用されてもよい無線ネットワークを示す図。
【図2】本発明による方法を示すフローチャート。
【図3】アクセスポイント間で測定された電力損失を正規化する様子を示す図。
【図4】ユーザ装置及びアクセスポイント間で測定される電力損失を正規化する様子を示す図。
【図5】システム内の各AP及びセンサに対するユーザの一群の相関値を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態による方法は、複数のアクセスポイントを含む無線ネットワーク内のユーザ装置の位置を推定する測位方法であって、
前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントの内の何れかとの間のチャネル損失(channel loss)を判定するステップと、
前記複数のアクセスポイントの少なくとも1つについての相関値を算出するステップであって、アクセスポイントについての相関値(correlation value)は、前記ユーザ装置及び前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つの間のチャネル損失と、前記アクセスポイント及び前記複数のアクセスポイント各々の間のチャネル損失との間の相関の測定値である、ステップと、
少なくとも1つのアクセスポイントの既知の位置、及び前記少なくとも1つのアクセスポイントについての相関値から、前記ユーザ装置の位置を推定するステップとを有する測位方法である。
【0012】
チャネル損失は、ネットワークを介して送信された信号の電力損失に比例する任意の属性による測定値である。それは例えば2つのアクセスポイント間で通信される信号の受信電力であるが、この場合において、信号の送信電力はネットワーク内の全てのアクセスポイントに共通していることが仮定されている。或いは、チャネル損失は、同じ信号についての信号対雑音電力比でもよいし、或いは信号が送信された際の電力からアクセスポイントが受信した信号の電力を減算することで算出された、信号の推定電力損失でもよい。
【0013】
選択的に、本方法は、アクセスポイント及び複数のアクセスポイント各々について算出されたチャネル損失を規格化又は正規化して正規アクセスポイントチャネル損失を判定し、前記ユーザ装置及び前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つの間のチャネル損失を規格化又は正規化して正規ユーザ装置チャネル損失を判定するステップを更に有し、前記相関値は前記正規アクセスポイントチャネル損失及び前記正規ユーザ装置チャネル損失の測定値である。チャネル損失又はチャネルのパスロスを正規化することで(すなわち、アクセスポイントについての一群のパスロスに対する平均チャネル損失に関して値を調整し直すことで)、合致するパターンのパスロスに基づいて有意義な相関値を見出すことができる。相関値は1及び-1の範囲内にあるべきである。
【0014】
ユーザの位置を推定する際に、ユーザ装置の位置を推定する前に相関値を規格化又は正規化してもよい。更に、ユーザの位置を推定する際に、アクセスポイント各々のベクトル位置にそのアクセスポイントの正規相関値を乗算し、重み付けされたベクトル位置を合成してもよい。
【0015】
本方法は、前記ユーザ装置と多数の前記複数のアクセスポイントとの間の一群のチャネル損失を判定し、一群のチャネル損失と別の一群のチャネル損失を測定することで相関値を算出するステップを有してもよく、該別の一群のチャネル損失は前記アクセスポイントと前記複数のアクセスポイントとの間の一群のチャネル損失である。
【0016】
前記ユーザ装置の位置は、前記ネットワーク内の全てのアクセスポイントに関する測定値ではなく、前記複数のアクセスポイントの内の選択された個数を用いて推定されてもよい。選択されたアクセスポイントは、例えば、前記ユーザ装置又は前記多数のアクセスポイントから、前記ユーザ装置チャネル損失に対して最も高い相関値をもたらす信号を受信できるようなアクセスポイントである。
【0017】
有利なことに複数の相関値が算出される。相関値の各々は、ネットワーク内の様々なアクセスポイントとユーザ装置との間の値である。更に、該ユーザ装置に関する一群のチャネル損失の値が算出され、チャネル損失の値の各々は、一群のアクセスポイントに属する異なるアクセスポイントとユーザ装置との間の値である。相関値は、前記ユーザ装置について算出された前記一群のチャネル推定値と、アクセスポイント各々及び関連する一群のアクセスポイント間の一群のチャネル損失値との間の相関値でもよい。
【0018】
選択的に、無線ネットワークには1つのセンサ又は一群のセンサが備わっていてもよい。この場合、算出される相関値は、前記ユーザ装置及び前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つの間のチャネル損失と、前記アクセスポイント並びに前記複数のアクセスポイント及びセンサの各々の間のチャネル損失の測定値である。
【0019】
代替的に本方法は、前記ユーザ装置から前記複数のアクセスポイントの何れかに至る通信信号の到来角を判定するステップと、前記ユーザ装置及び前記複数のアクセスポイントの何れかの間で通信される信号の電力損失により、前記複数のアクセスポイントの内の何れかから前記ユーザ装置までの距離を推定するステップと、前記到来角及び推定された距離を用いて前記ユーザ装置の位置を推定するステップとを有する。到来角は、最も高い相関値をもたらす2つのアクセスポイントにとって相応しい任意の方法を用いて算出される。
【0020】
選択的に、ユーザの位置の推定に信頼度の値(confidence value)が算出されてもよい。信頼度の値は、例えば、チャネル損失の測定値における誤差の値や、ユーザ装置が存在していると推定されるエリアのサイズ等に基づいていてもよい。
【0021】
本発明の第2の実施形態による装置は、複数のアクセスポイント及びユーザ装置を含む無線ネットワーク内のユーザ装置の位置を推定するように形成されており、本装置は、
前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つとの間のチャネル損失を判定するステップと、
前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つについて相関値を算出するステップであって、アクセスポイントについての相関値は、前記ユーザ装置及び前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つの間のチャネル損失と、前記アクセスポイント及び前記複数のアクセスポイント各々の間のチャネル損失との間の相関の測定値である、ステップと、
少なくとも1つのアクセスポイントの既知の位置、及び前記少なくとも1つのアクセスポイントについての相関値から、前記ユーザ装置の位置を推定するステップとを実行する、装置である。
【0022】
本装置はネットワークコントローラであってもよい。
【0023】
選択的に本装置はパスの受信信号強度の測定値を受信し、該受信信号強度の測定値を用いてチャネル損失を算出するように形成された入力部を有してもよい。本装置は、アクセスポイント(位置が既に知られているアクセスポイント)のデータベースや、該アクセスポイントと前記ネットワーク内の複数のアクセスポイントとの間のチャネル損失のデータベースを有していてもよい。
【0024】
本発明の実施形態によるコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取ることが可能な媒体に保存され、装置において実行されると該装置に測位方法を実行させ、外側異方法は、
前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントの内の何れかとの間のチャネル損失を判定するステップと、
前記複数のアクセスポイントの少なくとも1つについての相関値を算出するステップであって、アクセスポイントについての相関値は、前記ユーザ装置及び前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つの間のチャネル損失と、前記アクセスポイント及び前記複数のアクセスポイント各々の間のチャネル損失との間の相関の測定値である、ステップと、
少なくとも1つのアクセスポイントの既知の位置、及び前記少なくとも1つのアクセスポイントについての相関値から、前記ユーザ装置の位置を推定するステップと
を有する、コンピュータプログラムである。
【0025】
本発明の特定の実施形態に関する以下の詳細な説明を添付図面と共に参照することで、本発明の特徴及び他の形態は少なくとも当業者にとって更に明確になるであろう。
【0026】
<好適な実施形態の詳細な説明>
図1に示されているネットワーク10のような1つの無線ネットワークに関連して、本発明を説明する。無線ネットワーク10は複数のアクセスポイント12及び少なくとも1つのユーザ装置14を有する。ユーザ装置に対する無線ネットワークの接続は(不図示の)ネットワークコントローラにより制御される。当業者に理解されるように、アクセスポイント12及び無線ネットワーク10は従来の任意の方法で実現されてもよい。ユーザ装置14は、例えば、ラップトップやネットブックでもよいし、或いは無線ネットワークを用いて無線ネットワーク通信を可能にするインタフェースを備えた他の任意の装置でもよい。なお、本発明は1つの無線ネットワークに関連して説明されるが、当業者は本発明が複数のネットワークと共に実現されてもよいことを認めるであろう。
【0027】
本方法はネットワーク内のアクセスポイントからデータを収集するステップを有する。このデータは、アクセスポイント間における或る関係(relationship)を判定するために使用され、例えば送信された信号が受ける電力損失(power loss)が判定される。この関係は、ネットワークの中のユーザ装置の位置を判定するためにマトリクス、行列、データベース又は参照可能な適切な任意のストレージに保存され、ネットワークの中のユーザ装置の位置を判定するためにユーザ装置からの対応する測定値と相関が計算される。この点については後述する。
【0028】
図2には本方法が詳細に示されている。本方法において、ネットワークの中でペアをなすアクセスポイントの各々は、ペアの中の一方のアクセスポイントからペアの中の他方のアクセスポイントへ信号を送信する。アクセスポイントは、信号が送信された際の電力と信号が受信された際の電力を記録する。送信された信号と受信された信号との間の電力差を計算することで、アクセスポイント間で送受信された信号の電力の損失が判定される(ステップ20)。
【0029】
図3に示されているように、無線ネットワークの中でペアをなすアクセスポイント各々の間の電力損失は平均電力損失に関して正規化される(ステップ22)。アクセスポイントに対する実際の電力とそのアクセスポイントに対する平均電力との間の差分が判定される。以下に説明するように、算出された差分を示すテーブル(表)が作成される(ステップ24)。好ましくはテーブルは自身に送信されるアクセスポイントの電力損失を表すデフォルト値を含む。これはゼロでもよいし、或いはアクセスポイントの直近に位置するユーザ装置が観測する予想される電力損失を表す値であってもよい。
【0030】
【表1】

テーブルが作成されると、それを用いて無線ネットワーク内のユーザ装置の位置を推定することができる。
【0031】
無線ネットワークにおけるユーザ装置の位置を推定するため、1つ以上のアクセスポイントからユーザ装置が受信した信号の電力が、ユーザ装置によって測定され、無線ネットワークのネットワークコントローラに報告される。アクセスポイント各々から受信した信号の電力は、その信号の既知の送信電力と比較され、ユーザ装置及びアクセスポイント間で通信される信号の電力損失が算出される(ステップ26)。
【0032】
ユーザ装置について判定された電力損失は、アクセスポイント間の通信に関して説明したのと同様に、図4に示すように平均送信電力に関して規格化される(ステップ28)。
【0033】
正規化されたユーザ装置の電力損失は、アクセスポイント各々に対する相関値を算出するために使用される(ステップ30)。算出される相関は、ユーザ装置と該ユーザ装置が信号を送受信できる一群のアクセスポイントとの間の電力損失と、あるアクセスポイントとネットワーク内の他のアクセスポイントとの間の電力損失との間の相関である。相関値は例えば以下の数式を用いて計算されてもよい。
【0034】
【数1】

ここで、
Correlationは相関値であり、
Nはアクセスポイント数であり、
Xはユーザ装置及びアクセスポイント間の正規化された電力損失であり、
Yはアクセスポイントと等価的なアクセスポイント(ユーザ測定値が得られているもの)との間の正規化された電力損失である。
【0035】
アクセスポイント各々に対する相関値が判定されると、例えば通信信号強度の割合により全ての値をスケーリングし直すことで又は0ないし1の範囲内にスケーリングし直すことで、相関値は正規化される(図示せず)。
【0036】
アクセスポイント各々の位置ベクトルに該アクセスポイントの正規化された相関値が乗算され、アクセスポイントの位置に関する重み付けされたベクトルを求める(ステップ32)。重み付けされたベクトルは互いに加算され、ユーザ装置の推定位置を求める(ステップ34)。
【0037】
このような推定は任意の時点で行われてもよく、例えばユーザ装置が所定の時間間隔でネットワークに接続する場合や、或いはコントローラ又はユーザが手動で測位演算のトリガを与えた場合に行われてもよい。
【0038】
本発明の代替例において、無線通信環境が1つ以上のセンサを更に含んでいてもよい。センサは、アクセスポイントからの信号を受信し、受信した信号の電力を測定するように形成されている。マトリクスは、アクセスポイント間の信号に生じる電力損失に関するデータだけでなく、アクセスポイント各々からセンサが受信した信号に生じている電力損失に関するデータをも含む。
【0039】
更に、アクセスポイントが受信した信号だけでなくセンサが受信した信号についても上述したように相関値、すなわち正規化された相関値が計算される。そして、ユーザ装置の位置が、多数の重み付けされた位置に対して決定することができ、それ故に精度が更に向上する。センサは電力を判定することが可能な適切な如何なる装置でもよく、必要であればセンサが受信した信号の到来角を判定することが可能な装置が使用されてもよい。
【0040】
ネットワーク内での通信信号の数を最小化するため、センサは、ネットワークコントローラ又はユーザ装置の位置を推定する装置に対してのみ電力測定値を送信し、例えばアクセスポイントから受信した信号の電力損失を測定するセンサ又はアクセスポイントには信号を送信しないことが好ましい。しかしながら、センサが他のセンサへ信号を送信できるように形成されていた場合、アクセスポイント及び/又はユーザ装置は、他のセンサ、アクセスポイント及び/又はユーザ装置が、センサから送信された信号の電力損失を測定できるようにしてもよい。図5は、システム内の各アクセスポイント及びセンサに対するユーザの一群の相関値を示す。
【0041】
別の実施形態において、相関値は、例えば到来角三角測量(angle of arrival triangulation)又は三角測量のような他の測位方法と共に使用されてもよい。例えば、ユーザ装置のチャネル損失スペクトルにおいて最高の相関値をもたらす3つのアクセスポイントの相関値が選択され、パスロスを距離に変換することでアクセスポイントからユーザ装置までの距離が推定されてもよい。距離が推定されると、アクセスポイントからの該距離が交わる地点を選択することでユーザ装置の位置が判定される。
【0042】
或いは、本方法が三角測量による到来角度の推定を行う場合、アクセスポイントからユーザ装置までの近似的な距離が、上記の第1及び第2の実施形態に関して説明した方法を用いて推定されてもよい。アクセスポイントの位置におけるユーザ装置からの信号の到来角も判定される。そして、ユーザ装置の位置は、アクセスポイントの位置から到来角の方向にユーザ装置の距離だけ進んだ地点であると推定される。
【0043】
選択的に信頼度の値が測位結果又は位置の推定値に割り当てられてもよい(指定されてもよい)。例えば、第1の実施形態において説明された方法を使用して位置を推定する場合、信頼度の値は、ユーザ装置の位置を判定するために使用されるアクセスポイント各々の電力損失測定値に対するパーセンテージエラーの合計であってもよい。
【0044】
或いは、上記の三角測量に関する方法を使用する場合、複数の直線が1つの地点で交わらず、それ故にユーザ装置が存在し得る領域又はエリアが規定されるかもしれない。このエリアのサイズは推定される測位精度であるユーザ装置の信頼度に反比例する。到来角度法と共に本方法を使用する際、関連する方法が使用されてもよい。例えば、到来角の推定における誤差は、1つより多い数のアクセスポイントと共に使用される場合、ユーザ装置が存在する領域を評価するのに使用できる。
【0045】
当業者に理解されるように、無線ネットワークにおける2つのアクセスポイント間で通信される信号の電力損失は、適切な任意の方法によって算出されてよい。更に、電力損失データだけでなく、例えば遅延プロファイル等のような適切な何らかのデータを用いて相関係数が算出されてもよい。
【0046】
電力損失は適切な任意の単位で測定及び保存されてもよい。例えば、電力損失はデシベルのような対数スケール又は線形な電力単位を用いて測定されてもよい。
【0047】
測位又は位置の推定は無線ネットワークにおける適切な任意の装置により又は無線ネットワークにおける装置に接続された任意の装置により実行されてよい。例えば、測位はネットワークコントローラ又はネットワーク外に位置する別個のサーバにより実行されてもよい。更に、当業者に理解されるように、本方法における様々な処理が別個の装置において実行されてもよく、例えばユーザ装置は通信における電力損失を計算するが、相関値の計算はネットワークコントローラにおいて実行されてもよい。
【0048】
電力損失がテーブル又は適切な任意の手段に保存され、後の時点でそれにアクセスできるようにしてもよい。
【0049】
相関値は適切な任意の方法で規格化又は正規化されてもよく、例えば信号強度のパーセンテージの観点から各アクセスポイントの相関値をスケーリングし直してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアクセスポイントを含む無線ネットワーク内のユーザ装置の位置を推定する測位方法であって、
i)前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントの内の何れかとの間のチャネル損失を判定するステップと、
ii)前記複数のアクセスポイントの少なくとも1つについての相関値を算出するステップであって、アクセスポイントについての相関値は、前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つとの間のチャネル損失と、前記アクセスポイントと前記複数のアクセスポイント各々との間のチャネル損失との間の相関の測定値である、ステップと、
iii)少なくとも1つのアクセスポイントの既知の位置、及び前記少なくとも1つのアクセスポイントについての相関値から、前記ユーザ装置の位置を推定するステップと
を有する測位方法。
【請求項2】
前記アクセスポイント及び複数のアクセスポイント各々について算出されたチャネル損失を正規化して正規アクセスポイントチャネル損失を判定し、前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つとの間のチャネル損失を正規化して正規ユーザ装置チャネル損失を判定するステップを更に有し、前記相関値は前記正規アクセスポイントチャネル損失及び前記正規ユーザ装置チャネル損失の測定値である、請求項1記載の測位方法。
【請求項3】
前記ユーザ装置の位置を推定する際に、前記ユーザ装置の位置を推定する前に前記相関値正規化する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザ装置の位置を推定する際に、アクセスポイント各々の位置ベクトルに該アクセスポイントの正規相関値を乗算し、重み付けされた位置ベクトルを合成する、請求項3記載の測位方法。
【請求項5】
前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントとの間の一群のチャネル損失を判定し、前記一群のチャネル損失と別の一群のチャネル損失とを測定することで相関値を算出するステップを有し、該別の一群のチャネル損失は前記アクセスポイントと前記複数のアクセスポイントとの間の一群のチャネル損失である、請求項1-4の何れか1項に記載の測位方法。
【請求項6】
前記複数のアクセスポイントは、前記ユーザ装置からの信号を受信できるような位置にあるアクセスポイントから成る群中の何れかより成り、前記複数のアクセスポイントは前記ユーザ装置との間で最も高いチャネル損失の相関値をもたらす、請求項5記載の測位方法。
【請求項7】
前記ユーザ装置及びアクセスポイントの間の複数の相関値を算出するステップを更に有し、該相関値の各々は、前記ユーザ装置及び何れかのアクセスポイントの間の相関の測定値である、請求項1-6の何れか1項に記載の測位方法。
【請求項8】
前記無線ネットワークが1つ以上のセンサを更に有し、アクセスポイントの相関値は、前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも何れかとの間のチャネル損失と、前記アクセスポイント又はセンサと前記複数のアクセスポイント各々との間のチャネル損失の測定値である、請求項1-7の何れか1項に記載の測位方法。
【請求項9】
前記ユーザ装置の位置についての信頼度を算出するステップを更に有する請求項1-8の何れか1項に記載の測位方法。
【請求項10】
複数のアクセスポイント及びユーザ装置を含む無線ネットワーク内のユーザ装置の位置を推定する測位装置であって、
i)前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つとの間のチャネル損失を判定するステップと、
ii)前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つについて相関値を算出するステップであって、アクセスポイントについての相関値は、前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つとの間のチャネル損失と、前記アクセスポイントと前記複数のアクセスポイント各々との間のチャネル損失との間の相関の測定値である、ステップと、
少なくとも1つのアクセスポイントの既知の位置、及び前記少なくとも1つのアクセスポイントについての相関値から、前記ユーザ装置の位置を推定するステップと
を実行する、測位装置。
【請求項11】
当該測位装置がネットワークコントローラである、請求項10記載の測位装置。
【請求項12】
パスの受信信号強度の測定値を受信し、該受信信号強度の測定値を用いてチャネル損失を算出する入力部を更に有する請求項10又は11に記載の測位装置。
【請求項13】
アクセスポイントのデータベース及びアクセスポイント各々と前記ネットワーク内の前記複数のアクセスポイントとの間のチャネル損失のデータベースを更に有する請求項10-12の何れか1項に記載の測位装置。
【請求項14】
コンピュータで読み取ることが可能な媒体に保存され、装置において実行されると該装置に測位方法を実行させるコンピュータプログラムであって、該測位方法は、
i)前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントの内の何れかとの間のチャネル損失を判定するステップと、
ii)前記複数のアクセスポイントの少なくとも1つについての相関値を算出するステップであって、アクセスポイントについての相関値は、前記ユーザ装置と前記複数のアクセスポイントの内の少なくとも1つとの間のチャネル損失と、前記アクセスポイントと前記複数のアクセスポイント各々との間のチャネル損失との間の相関の測定値である、ステップと、
少なくとも1つのアクセスポイントの既知の位置、及び前記少なくとも1つのアクセスポイントについての相関値から、前記ユーザ装置の位置を推定するステップと
を有する、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−505456(P2013−505456A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530340(P2012−530340)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051588
【国際公開番号】WO2011/036482
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(511225310)ロックスター ビーアイディーシーオー,エルピー (26)
【Fターム(参考)】