説明

ユーザ認証システム

【課題】原稿画像データのセキュリティを確保し、表示した原稿画像データ選択して印鑑画像データを合成する処理を容易かつ確実に実行できるようにする。
【解決手段】ユーザ認証システム10は、ユーザの指紋を検知する指紋検知センサ11と、指紋情報記憶部15と、指紋情報に関連付けて原稿画像データを記憶する原稿画像データ記憶部16と、液晶表示パネル12と、指紋情報に関連付けて印鑑画像データを記憶する印鑑画像データ記憶部17とを備える。制御部14は、指紋検知センサ11により検知した指紋情報と指紋情報記憶部16が記憶した指紋情報とを照合して認証を行う。認証が成功すると、その指紋情報に関連付けられた原稿画像データのリストを表示する。そしてリストから選択された原稿画像データに対して、その指紋情報に関連付けられた印鑑画像データのリストを表示し、ユーザが選択した印鑑画像データを原稿画像データに合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ認証システム、より詳細には、指紋認証に従ってユーザが登録した画像データを出力できるようにしたユーザ認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの指紋を読み取ってユーザ認証を行い、その認証結果に従って各種の処理を行ったり、特定の機能を使用可能としたりするような認証システムが知られている。
例えば特許文献1には、コンピュータと入力装置と指紋データベースを有し、入力装置はキーボードとこれと一体の指紋センサと表示装置とアダプタ回路を有し、指紋センサにより検出された指紋の情報と指紋データベースの指紋の情報が一致する時にのみログオン処理およびデータ暗号化処理等の処理を行うようにした本人認証システムが開示されている。
【特許文献1】特開平11−175478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば予め用意された各種フォーマットの原稿書類など、各種の原稿画像データを一括して保管し、必要に応じてそれらの原稿画像データを呼び出して利用したい、というようなニーズは一般的に存在する。このようなニーズに対して、パソコンなどのユーザ個人が使用する機器に対して、ユーザ自身が利用する書類などの原稿画像データを保管しておくことはごく普通に行われている。
これに対して、例えば、複写機などの不特定多数のユーザが使用する画像形成装置において、このような個人用の原稿画像データなどを保管しておくと、ユーザは任意にそれらの画像データを呼び出して画像形成装置で印刷出力させることができるため便利である。しかしながらこのような場合、不特定多数のユーザが使用するために、特定の個人が保管している情報を他のユーザに見られるとセキュリティ上の問題となる。
【0004】
また書類などの原稿画像データに編集を加えるときに、例えば印鑑画像データを原稿画像データに合成することにより、印鑑が必要な書類などのデータを画像処理のみで生成することができ、これを印刷するだけで必要な押印画像が付与された印刷物を得ることができる。このような場合にも、不特定多数が利用するシステムでは、特定の個人に関連する印鑑画像データに対するセキュリティを確保する必要がある。
また不特定多数の人の印鑑データを管理して使用する場合でも、膨大な印鑑データの中からユーザが所望する特定の印鑑画像データを選択する必要があり、作業が繁雑で時間がかかるという問題も生じる。
【0005】
上記特許文献1のような認証システムを使用して、ユーザ個人用の情報を管理する場合、特許文献1の技術では、認証が成功して一旦ユーザがシステムにログオンしてしまえば他人の情報も簡単に見ることができてしまう、という問題が生じる。
また特許文献1においては、上記のように各種の原稿画像データと印鑑画像データとを合成可能とする思想については何ら開示されていない。
【0006】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、指紋認証に従って、ユーザが予め記憶させておいた原稿画像データをリスト表示することにより、原稿画像データのセキュリティを確保することができ、さらに表示された原稿画像データ選択して印鑑画像データを合成する処理を容易かつ確実に実行できるようにしたユーザ認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、ユーザの指紋を検知する指紋検知手段と、ユーザの指紋情報を記憶しておく指紋情報記憶手段と、指紋情報に関連付けて原稿画像データを記憶する原稿画像データ記憶手段と、指紋検知手段により検知した指紋情報と指紋情報記憶手段が記憶した指紋情報とを照合することにより利用者の認証を行う認証手段と、原稿画像データを表示する表示手段とを有し、認証手段による認証の結果、指紋検知手段で検知した指紋に一致する指紋情報が指紋情報記憶手段に記憶されていると判断したときに、一致した指紋情報に関連付けて画像データ記憶手段に記憶されている原稿画像データをリストにして表示手段に表示することを特徴としたものである。
【0008】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、指紋情報に関連付けてユーザの印鑑画像データを記憶する印鑑画像データ記憶手段を有し、表示手段に表示した原稿画像データのリストから、利用者認証システムに対する操作入力に従って特定の原稿画像データが選択された場合、選択された原稿画像データを表示手段に表示するとともに、検知した指紋情報に関連付けられた印鑑画像データをリストにして表示手段に表示することを特徴としたものである。
【0009】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、表示手段に表示した印鑑画像データのリストから、利用者認証システムに対する操作入力に従って特定の印鑑画像データが選択された場合、印鑑画像データのリストから選択された印鑑画像データを原稿画像データに合成する画像合成手段を有し、画像合成手段が合成した画像を表示手段に表示することを特徴としたものである。
【0010】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、原稿画像データに印鑑画像データを合成する位置を、利用者認証システムに対する操作入力に応じて指定する合成位置指定手段を有し、画像合成手段は、印鑑画像データと原稿画像データとを合成する際に、合成位置指定手段による指定に応じて合成を行うことを特徴としたものである。
【0011】
第5の技術手段は、第3または第4の技術手段において、画像合成手段が、印鑑画像データと原稿画像データとを合成する際に、印鑑画像データを合成すべき原稿画像データの領域の大きさに応じて、印鑑画像データのサイズを変更した上で合成を行うことを特徴としたものである。
【0012】
第6の技術手段は、第4または第5の技術手段において、ユーザ認証システムが、少なくとも指紋検知手段及び表示手段を備えた画像データ表示装置と、画像データ表示装置に対して通信回線を介して接続され、画像データ表示装置との間でデータの送受信を可能としたサーバ装置とにより構成され、サーバ装置は、認証手段、指紋情報記憶手段、原稿画像データ記憶手段、画像合成手段のうち少なくとも一つを備えていることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、指紋認証に従って、ユーザが予め記憶させておいた原稿画像データをリスト表示することにより、原稿画像データのセキュリティを確保することができ、さらに表示された原稿画像データ選択して印鑑画像データを合成する処理を容易かつ確実に実行することができる。
ここでは、認証されたユーザのみが、自身の指紋情報に関連付けられた原稿画像データのみをリスト表示させることができ、このリストのなかからユーザが利用したい原稿画像データを簡単に選択することができる。
【0014】
また原稿画像データのプレビュー表示に伴ってユーザ自身の印鑑画像データをリスト表示させ、このリストのなかからユーザが使用したい印鑑画像データを簡単に選択することができ、さらに選択した原稿画像データと印鑑画像データとを合成した画像データを得ることができる。これによりセキュリティを確保した上で簡単な操作でユーザが所望する書類などの原稿画像データを作成することができるようになる。
【0015】
また本発明によれば、原稿画像データに合わせて印鑑画像データのサイズを変更することにより、印鑑画像データのサイズに関わらず原稿画像データとの最適な合成処理を実行させることができる。
また本発明によれば、ユーザ認証システムを通信回線を介して分離配置することにより、通信回線に接続された複数のシステムを使用して原稿画像データや印鑑画像データなどの情報を共有して利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明によるユーザ認証システムの一実施形態を説明するためのブロック図である。本実施形態のユーザ認証システム10は、例えば、スキャナ機能と画像形成機能とを備えた画像形成装置の内部に組み込まれた状態で動作する。
本例のユーザ認証システム10は、ユーザの指紋を検知する指紋検知センサ11と、液晶表示パネル12と、ユーザの操作入力が可能な操作入力部13と、システムの各部を制御する制御部14と、ユーザの指紋情報を予め登録しておく指紋情報記憶部15と、ユーザが利用するための原稿画像データを記憶する原稿画像データ記憶部16と、ユーザの印鑑画像データを記憶する印鑑画像データ記憶部17とを有している。
【0017】
指紋情報記憶部15は、予めユーザの指紋情報を記憶しておく指紋情報記憶手段である。本ユーザ認証システムを利用するユーザは、予め自分の指紋情報をユーザ認証システム10に入力し、指紋情報記憶部15に記憶保持させておく。指紋情報はユーザ認証を行うために使用するもので、例えば右手の人差し指などの指紋情報を入力しておく。
【0018】
ユーザ認証システム10に対する指紋情報の入力には、ユーザ認証システム10に接続された画像読取装置20を使用することができる。ここでは画像読取装置20によって指紋を読み取ってその画像データを指紋情報記憶部15に記憶保持させる。あるいはユーザ認証システム10に接続された図示しないPC等の外部機器や記録媒体から、予め用意した指紋情報をユーザ認証システム10に入力させるようにしてもよい。あるいは指紋検知センサ11によって読み取った指紋データを使用するようにしてもよい。
【0019】
原稿画像データ記憶部16は、ユーザが利用する原稿画像データを記憶しておく原稿画像データ記憶手段である。ここでいう原稿画像は、例えば、ユーザが作成する書類の雛形の画像であったり、所定の枠組みや必須の記載事項のみが記載されたブランク書類の画像であったりする。具体的には、例えば会社内で使用する所定形式の報告書であったり、プレゼンテーション資料であったり、レターであったり、製品情報などであったりする。
ユーザは、原稿画像データ記憶部16に記憶したこれらの原稿画像データを利用して、さらに加筆、修正等の編集を加えて所望の画像データを作成することができる。
【0020】
原稿画像データは、指紋情報と同様に、画像読取装置20によって読み取った原稿の画像データを用いてもよく、あるいはユーザ認証システム10に接続された図示しない外部機器や記録媒体から転送させた原稿画像データを用いることができる。
【0021】
そして原稿画像データ記憶部16に記憶する原稿画像データは、指紋情報記憶部15に記憶するユーザの指紋情報と関連付けられている。つまり、指紋情報記憶部15に記憶した特定の指紋情報から、その指紋情報に関連付けられた原稿画像データを特定できるようになっている。
この場合、指紋情報記憶部15に記憶する指紋情報に対して特定のユーザの識別情報(IDなど)を関連付けておき、原稿画像データ記憶部16に記憶する原稿画像データは、ユーザの識別情報と関連付けて記憶させるようにしてもよい。これにより特定の識別情報を介して指紋情報と原稿画像データとが関連付けられ、特定の指紋情報から、関連する原稿画像データを抽出することができる。
【0022】
印鑑画像データ記憶部17は、ユーザが使用している印鑑の画像データを記憶させておく印鑑画像データ記憶手段である。また一人のユーザが使用する印鑑が複数ある場合には、複数の印鑑画像データを記憶させておくこともできる。印鑑画像データは、予めPCなどで作成したデータをユーザ認証システム10に入力することで、印鑑画像データ記憶部17に記憶させることができる。
【0023】
印鑑画像データ記憶部17に記憶する印鑑画像データは、指紋情報記憶部15に記憶するユーザの指紋情報と関連付けられる。つまり、指紋情報記憶部15に記憶した特定の指紋情報から、その指紋情報に関連付けられた印鑑画像データを特定できるようになっている。
この場合にも、指紋情報記憶部15に記憶する指紋情報に対して特定のユーザの識別情報(IDなど)を関連付けておき、印鑑画像データ記憶部17に記憶する印鑑画像データは、ユーザの識別情報と関連付けて記憶させるようにしてもよい。これにより、特定の識別情報を介して指紋情報と印鑑画像データとが関連付けられ、特定の指紋情報から関連する印鑑画像データを抽出することができる。
【0024】
指紋検知センサ11は、ユーザの指がその指紋検知センサ11の検知領域に置かれたときに、その検知信号を出力する指紋検知手段である。指紋検知センサ11の検知方式は具体的に限定されるものではなく、公知の方式を適宜適用することができる。例えば指紋検知センサ11として、光学式、静電容量式、あるいは熱伝導式の検知センサを適用することができる。
【0025】
例えば光学式の指紋検知センサは、ガラス板やプリズム等の透明ブロックの表面に指が押し当てられたときに、そのブロックの表面に光を照射し、透明ブロックの表面に生じた指紋のパターンをレンズによってCCD等の撮像素子に結像させるようになっている。
また静電容量式の指紋検知センサは、指紋の凹部と凸部との距離差に伴う静電容量差を検知し、この静電容量差をもとに指紋の凹凸パターンを検知する。あるいは熱伝導式の指紋検知センサは、指紋の凹部と凸部との伝熱特性の差をもとに指紋の凹凸パターンを検知するようになっている。
【0026】
ユーザ認証システム10には、さらにユーザの操作入力を可能とする操作入力部13が設けられる。操作入力部13としては、液晶表示パネル12の表面に設置したタッチパネルを適用することができる。またこの他、操作パネルなどに設けたハードキー群であってもよく、あるいは他のポインティングデバイスであってもよい。
【0027】
そして本例のユーザ認証システム10は、スキャナによる画像読取装置20から出力された原稿画像データの入力を可能とするとともに、原稿画像データやその編集画像データなどを画像形成装置30に出力する機能を備えている。またPCなどの図示しない外部機器に原稿画像データや編集した原稿画像データを出力させるインタフェースを備えてもよい。
【0028】
制御部14は、本ユーザ認証システム10の各部を制御するもので、メモリとCPUなどのプロセッサが内蔵され、メモリには本発明に関わる各手段や機能を実現するためのプログラムが保持される。そしてそのプログラムが本ユーザ認証システムのハードウェアと協働することにより、本発明に関わる各種の処理、すなわち指紋情報の記録処理、原稿画像データの記憶処理、印鑑画像データの記憶処理、指紋検知・認証処理、原稿画像データのリスト表示及びプレビュー処理、印鑑画像データのリスト表示処理、原稿画像データと印鑑画像データとの合成処理、合成位置の指定処理、合成画像データのプレビュー及び出力処理などが実行される。
【0029】
上記のような構成をもつユーザ認証システム10において、制御部14は、指紋検知センサ11から指紋情報が出力された際に、その検知された指紋情報と、指紋情報記憶部15に記憶した指紋情報とを照合して、検知した指紋情報の認証を行う。
ここでは指紋検知センサ11で検知した指紋情報と、指紋情報記憶部15に記憶した指紋情報とを比較照合し、検知した指紋情報に一致する指紋情報が指紋情報記憶部15にあるかどうかを判別する。指紋情報が一致するかどうかは、例えば指紋情報のパターン比較によって判別することができる。
【0030】
そして制御部14は、指紋検知センサ11で検知した指紋情報に一致する指紋情報が指紋情報記憶部15に記憶されていれば、認証が成功したものと判断し、その指紋情報に関連付けられている原稿画像データを原稿画像データ記憶部16から抽出する。
このときに、制御部14は、まず原稿画像データに付与されているファイル名や日付、ユーザ名などの情報のみを抽出し、これらをリストにして表示手段である液晶表示パネル12に表示させる処理を行う。
【0031】
図2は、原稿画像データリストの表示画面の一例を示す図である。指紋情報の認証が成功すると、液晶パネル12にはリスト表示画面100が表示される。このときリスト表示画面100には、原稿画像データのファイル名101、ユーザ名102、日付103の項目が設定され、これらにより原稿画像データがリストになって表示される。
【0032】
表示される原稿画像データのリストは、上述のように指紋検知センサ11で検出された指紋情報に関連付けられて記憶されている原稿画像データに関するリストになる。つまり特定の個人のみが閲覧し利用できる原稿画像データがリストにより表示される。ここで表示画面100では、例えば「Yamada Taroさんのファイルリストです。編集したいファイルを選択して下さい」というようなキャプション105が表示される。
【0033】
認証が成功して上記のような原稿画像データのリストを表示させたユーザは、そのリストの中から所望の原稿画像データを選択することができる。原稿画像データの選択は、液晶表示パネル12の表面に設置したタッチパネルなどの操作入力部13により実行することができる。またリスト表示画面100にリストが表示しきれなければ、スクロールキー104の操作によって適宜リストをスクロールさせることができる。
【0034】
図3は、原稿画像データと印鑑画像データのプレビュー表示画面の一例を示す図である。上記図2に示すような原稿画像データのリスト表示画面100において、ユーザ所望の原稿画像データが選択された場合、制御部14は、選択されたリストに対応する原稿画像データを原稿画像データ記憶部16から抽出してプレビュー表示させる。例えば図3に示すように、液晶表示パネル12の表示画面110に、ユーザが選択した原稿画像データのプレビュー120を表示する。
【0035】
プレビュー120は原稿画像データ121が表示され、印鑑画像データを合成すべき領域となる印鑑合成部122が設定される。印鑑合成部122の位置情報は予め原稿画像データに付加されていてもよく、また操作入力部13を用いてユーザが任意に指定できるようにしてもよい。またこの他、印鑑を合成すべき画像パターンを幾つかユーザ認証システム10で保持しておき、原稿画像データから自動的に印鑑合成部122の位置を判別するようにしてもよい。
【0036】
そしてこのときに、ユーザ認証システム10の制御部14は、認証が成功したユーザの指紋情報に関連付けて記憶している印鑑画像データを印鑑画像データ記憶部17から抽出して表示画面110に表示させる。表示画面110には、ユーザが選択した原稿画像データのプレビュー120とともに、印鑑画像データのリスト130が表示される。このとき該当する印鑑画像データが複数あれば、全ての印鑑画像データを表示し、一つしかなければその印鑑画像データを表示する。
【0037】
印鑑画像データのリスト130には、印鑑画像データの名称131と、その印鑑の画像132とが対応付けて表示される。印鑑画像データの名称131の種類には、例えば、“認印”、“検収印”、“訂正印”などがあり、ユーザは使用目的に合わせてこれら複数の種類の印鑑画像データを予め印鑑画像データ記憶部17に記憶させておくことができる。
そしてユーザは操作入力部13を操作することにより、印鑑画像データのリスト130から、原稿画像データ121に合成する印鑑画像データを任意に選択することができる。
【0038】
またこの場合に、ユーザは、予め記憶させておいた原稿画像データを使用せずに、その場で新たに原稿画像データを読み込ませてプレビュー表示させることもできる。
この場合ユーザ認証システム10では、認証が成功した後に新たな原稿画像データを読み込ませる入力操作を可能としておく。新たな原稿画像データを読み込む場合には、ユーザ認証システム10では、画像読取装置20により原稿を読み取って原稿画像データを取得し、取得した原稿画像データをプレビュー表示させるとともに原稿画像データ記憶部16に記憶させる。
【0039】
図4は、原稿画像データと印鑑画像データとを合成した合成画像のプレビュー表示画面の一例を示す図である。図3の表示画面110において印鑑画像データが選択された場合、制御部14は、プレビュー表示させた原稿画像データ121に対して、選択された印鑑画像データを合成し、液晶表示パネル12に合成画像のプレビュー140を表示する。ここでは、合成画像データ141が表示され、選択された印鑑画像データは、合成画像データ141の印鑑合成部122に合成される。
【0040】
またこのときに、制御部14は、印鑑合成部122の領域の大きさに合わせて印鑑画像データのサイズを変更する処理を行うようにしてもよい。
上記のように印鑑合成部122の位置情報は、原稿画像データに予め付加されているか、ユーザ操作によって指定されたものであるか、もしくは原稿画像データから自動認識したものである。制御部14は、この印鑑合成部122の領域内に印鑑の画像が最適に収まるように、必要に応じて印鑑画像データの変倍処理を行って原稿画像データと合成する。
【0041】
こうして得られた合成画像データをプレビュー140にて確認したユーザは、合成画像データを画像形成装置30に転送して印刷出力させることができる。あるいは、合成画像データをPCなどの外部機器に転送し、さらにPCで画像処理を行ったり、PCを介して所望のプリンタで印刷出力を行わせたりすることができる。あるいは合成画像データをメール送信したり、ファクシミリ送信できるようにしてもよい。
【0042】
図5は、本発明によるユーザ認証システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
まずユーザ認証システムにおける印鑑合成機能を選択する(ステップS1)。例えばユーザ認証システムは、上記のような原稿画像データに対する印鑑合成機能を実行するための印鑑合成モードを備え、ユーザが任意にこのモードを選択できるようになっている。ユーザは、操作入力部13に対する所定の操作によって印鑑合成機能を選択し、ユーザ認証システム10を印鑑合成モードに移行させることができる。
【0043】
そしてユーザは、指紋検知センサ11の所定の検知位置に指をおき、指紋検知センサ11にて指紋検知させる(ステップS2)。そしてユーザ認証システム10の制御部14では、指紋検知センサ11で検知した指紋情報と、指紋情報記憶部15に記憶した指紋情報とを照合し(ステップS3)、登録されたユーザであるかどうかを認証する(ステップS4)。
【0044】
ここで認証に失敗し、登録されたユーザでないものと判断した場合には、ユーザに関連付けられた原稿画像データや印鑑画像データを提示できないため、印鑑合成モードの処理を終了する。また認証に成功し、登録されたユーザであるものと判断した場合、制御部14は、原稿画像データ記憶部16からユーザの指紋情報に関連付けられた原稿画像データを抽出し、リスト表示を行う(ステップS5)。
【0045】
そしてユーザは、利用する原稿画像データを選択する(ステップS6)。ここでは、ユーザは、リスト表示された原稿画像データのなかから原稿画像データを選択してもよく、また新たに原稿画像データを読み込ませる選択を行ってもよい。
【0046】
そしてすでに記録されている原稿画像データを利用する場合(ステップS7−YES)、制御部14は、その原稿画像データを原稿画像データ記憶部16から抽出し、液晶表示パネル12にプレビュー表示する(ステップS8)。
一方、新たに原稿画像データを読み込ませる場合(ステップS7−NO)、画像読取装置20により原稿画像データの読み取りを行って(ステップS16)、読み取りが終了したならば(ステップS17-YES)、読み取った原稿画像データを液晶表示パネル12にプレビュー表示する(ステップS8)。なおステップS16における原稿画像データの読み取り処理は、画像読取装置20を用いることなく、外部機器や記録媒体等から原稿画像データを転送させる処理であってもよい。
【0047】
次いで制御部14は、認証が成功したユーザの指紋情報に関連付けられた印鑑画像データを印鑑画像データ記憶部17から抽出し、リストにして液晶表示パネル12に表示させる(ステップS9)。そしてユーザが、使用する印鑑画像データを選択すると(ステップS10)、原稿画像データに印鑑画像データを合成する以下の処理に進む。
【0048】
ここで原稿画像データに対する印鑑画像データの合成位置(図3の印鑑合成部122)をユーザが指定する場合には(ステップS11−YES)、ユーザは、操作入力部13により合成位置を指定する(ステップS12)。制御部14では、合成位置の指定入力に従って、原稿画像データと印鑑画像データとの合成を行う(ステップS13)。
一方、印鑑画像データの合成位置を指定しない場合には、制御部14は、予め指定された印鑑合成部の位置情報もしくは自動認識した印鑑合成部の位置情報に従って、原稿画像データと印鑑画像データとの合成を行う(ステップS13)。
【0049】
そして制御部14は、合成した合成画像データを印刷するかどうかを判断する(ステップS14)。合成画像データの印刷の可否は、合成画像データのプレビュー表示画面に対する所定のユーザ操作に従って判断する。ユーザは、合成画像データのプレビュー画面を確認した上で、印刷処理を実行するかどうかを決定することができる。
印刷を行う場合には、制御部14は、合成画像データを画像形成装置30に出力し、印刷処理を開始させる(ステップS15)。
【0050】
図6は、本発明によるユーザ認証システムにおける処理の他の例を示すフローチャートである。本例の処理は、図5のフローチャートにおけるステップS13以降の処理の他の例を示すものである。
ユーザ認証システム10の制御部14は、図5にて説明したステップS1〜S13の処理を行って合成画像データを生成した後、その合成画像データを印刷するかどうかを判別する(ステップS21)。そして合成画像データを印刷する場合には上記の処理と同様に、合成画像データを画像形成装置30に出力し、印刷処理を開始させる(ステップS22)。
【0051】
一方、印刷処理を行わない場合、制御部14は、他の外部機器に合成画像データを出力するかどうかを判別する(ステップS23)。他の外部機器は、例えば外部接続されたPCや記録装置などであり、この他外部機器へのメール送信やファクシミリ送信も含まれる。これらはユーザ認証システムが備える機能に応じて、ユーザにより適宜選択が可能に構成される。制御部14ではこれらのユーザ選択に応じて、どのような方式で合成画像データを出力するかどうかを判別することができる。
【0052】
そして外部機器に合成画像データを出力する場合、制御部14は、外部機器への出力方式に応じてインタフェース(I/F)を選択し(ステップS24)、外部機器に対して合成画像データを出力する。
なお本例では印刷を行わない場合に外部機器への出力を行うかどうか判別しているが、合成画像データの印刷を実行するとともに、他の外部機器へ合成画像データを出力できるようにしてもよい。
【0053】
図7は、本発明によるユーザ認証システムの他の実施形態を説明するための図である。上記図1の構成例では、ユーザ認証システムは一体の装置として構成されているが、本実施形態では、図1の構成のユーザ認証システムの各機能が、通信回線により接続されたサーバ装置60と画像データ表示装置40とに分離された構成を備えている。従って本実施形態においても、図1のユーザ認証システムと同様の機能を実現することができる。
【0054】
画像データ表示装置40は、ユーザの指紋を検知する指紋検知センサ11と、液晶表示パネル12と、ユーザの操作入力が可能な操作入力部13と、装置各部を制御する制御部14とを備えている。また画像データ表示装置40には画像読取装置20が接続され、読み取られた原稿画像データの入力を可能としている。また画像データ表示装置40には、画像データを印刷出力可能な画像形成装置30が接続される。
【0055】
サーバ装置60は、公衆回線網50を経由した通信回線51を介して画像データ表示装置40に接続される。通信回線51は、LANやWANなどのネットワークを経由したものであってもよく、あるいはこれらと公衆回線網とが混在したものであってもよい。
【0056】
サーバ装置60は、ユーザの指紋情報を予め登録しておく指紋情報記憶部15と、ユーザが利用するための原稿画像データを記憶する原稿画像データ記憶部16と、ユーザの印鑑画像データを記憶する印鑑画像データ記憶部17とを有している。
【0057】
画像データ表示装置40では、指紋検知センサ11によりユーザの指紋情報を検知したときに、その指紋情報をサーバ装置60へ転送する。サーバ装置60では、画像データ表示装置40から転送された指紋情報と、自身の指紋情報記憶部15に記憶した指紋情報とを照合して認証を行い、認証が成功すればその指紋情報に関連付けられている原稿画像データのリスト情報を画像データ表示装置40に転送する。
【0058】
画像データ表示装置40では、サーバ装置60から転送された原稿画像データのリストを液晶表示パネル12表示し、ユーザにより原稿画像データが選択されると、その選択情報をサーバ装置60に送信する。サーバ装置60は、ユーザに選択された原稿画像データを原稿画像データ記憶部16から抽出するとともに、関連する印鑑画像データを印鑑画像データ記憶部17から抽出して、これらを画像データ表示装置40に送信する。
【0059】
画像データ表示装置40では、原稿画像データと印鑑画像データとを液晶表示パネル12にプレビュー表示し、ユーザによる選択操作に応じてこれらを合成し、合成画像データを生成する。また使用する原稿画像データを画像読取装置20から読み取ることも可能である。そして生成した合成画像データは、画像形成装置30に出力して印刷させたり、他の外部機器に出力させたりすることが可能である。
【0060】
上記のように、本実施形態の構成により、上記図1に示すユーザ認証システムと同様の機能を実現することができる。そして本実施形態によれば、指紋情報や原稿画像データ、印鑑画像データをサーバ装置60に保持しているため、例えば公衆回線網50を介したネットワーク上に接続された複数の画像データ表示装置40により、情報の共有が可能となる。ユーザは、サーバ装置60にアクセス可能な任意の画像データ表示装置40を使用することにより、ユーザ認証と合成画像データの生成処理とを実行することができるようになる。
【0061】
なお上記の指紋情報記憶部15、原稿画像データ記憶部16、及び印鑑画像データ記憶部17は、必ずしも全てをサーバ装置60に備える必要はなく、サーバ装置60ではこれらの要素の少なくとも一つを備え、他の要素を画像データ表示装置40で保持するようにしてもよい。また指紋情報によるユーザ認証を画像データ表示装置40側で実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明によるユーザ認証システムの一実施形態を説明するためのブロック図である。
【図2】原稿画像データリストの表示画面の一例を示す図である。
【図3】原稿画像データと印鑑画像データのプレビュー表示画面の一例を示す図である。
【図4】原稿画像データと印鑑画像データとを合成した合成画像のプレビュー表示画面の一例を示す図である。
【図5】本発明によるユーザ認証システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明によるユーザ認証システムにおける処理の他の例を示すフローチャートである。
【図7】本発明によるユーザ認証システムの他の実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0063】
10…ユーザ認証システム、11…指紋検知センサ、12…液晶表示パネル、13…操作入力部、14…制御部、15…指紋情報記憶部、16…原稿画像データ記憶部、17…印鑑画像データ記憶部、20…画像読取装置、30…画像形成装置、40…画像データ表示装置、50…公衆回線網、51…通信回線、60…サーバ装置、100…リスト表示画面、101…ファイル名、102…ユーザ名、103…日付、104…スクロールキー、105…キャプション、110…表示画面、120…プレビュー、121…原稿画像データ、122…印鑑合成部、130…印鑑画像データのリスト、131…名称、132…画像、140…プレビュー、141…合成画像データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指紋を検知する指紋検知手段と、
ユーザの指紋情報を記憶しておく指紋情報記憶手段と、
前記指紋情報に関連付けて原稿画像データを記憶する原稿画像データ記憶手段と、
前記指紋検知手段により検知した指紋情報と前記指紋情報記憶手段が記憶した指紋情報とを照合することにより利用者の認証を行う認証手段と、
前記原稿画像データを表示する表示手段とを有し、
該認証手段による認証の結果、前記指紋検知手段で検知した指紋に一致する指紋情報が前記指紋情報記憶手段に記憶されていると判断したときに、該一致した指紋情報に関連付けて前記画像データ記憶手段に記憶されている原稿画像データをリストにして前記表示手段に表示することを特徴とするユーザ認証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の利用者認証システムにおいて、
前記指紋情報に関連付けてユーザの印鑑画像データを記憶する印鑑画像データ記憶手段を有し、
前記表示手段に表示した前記原稿画像データのリストから、該利用者認証システムに対する操作入力に従って特定の原稿画像データが選択された場合、該選択された原稿画像データを前記表示手段に表示するとともに、前記検知した指紋情報に関連付けられた印鑑画像データをリストにして前記表示手段に表示することを特徴とするユーザ認証システム。
【請求項3】
請求項2に記載のユーザ認証システムにおいて、
前記表示手段に表示した前記印鑑画像データのリストから、該利用者認証システムに対する操作入力に従って特定の印鑑画像データが選択された場合、該印鑑画像データのリストから選択された印鑑画像データを前記原稿画像データに合成する画像合成手段を有し、
該画像合成手段が合成した画像を前記表示手段に表示することを特徴とするユーザ認証システム。
【請求項4】
請求項3に記載のユーザ認証システムにおいて、
前記原稿画像データに前記印鑑画像データを合成する位置を、該利用者認証システムに対する操作入力に応じて指定する合成位置指定手段を有し、
前記画像合成手段は、前記印鑑画像データと前記原稿画像データとを合成する際に、前記合成位置指定手段による指定に応じて前記合成を行うことを特徴とするユーザ認証システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載のユーザ認証システムにおいて、
前記画像合成手段は、前記印鑑画像データと前記原稿画像データとを合成する際に、前記印鑑画像データを合成すべき前記原稿画像データの領域の大きさに応じて、前記印鑑画像データのサイズを変更した上で前記合成を行うことを特徴とするユーザ認証システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載のユーザ認証システムにおいて、
該ユーザ認証システムは、少なくとも前記指紋検知手段及び前記表示手段を備えた画像データ表示装置と、
該画像データ表示装置に対して通信回線を介して接続され、前記画像データ表示装置との間でデータの送受信を可能としたサーバ装置とにより構成され、
前記サーバ装置は、前記認証手段、前記指紋情報記憶手段、前記原稿画像データ記憶手段、前記画像合成手段のうち少なくとも一つを備えていることを特徴とするユーザ認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−134769(P2008−134769A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319690(P2006−319690)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】