説明

ヨウ素標識のホモグルタミン酸およびグルタミン酸

本願発明は、ヨウ素で標識するのに適する、または既にヨウ素で標識されているヨウ素標識のホモグルタミン酸およびグルタミン酸ならびにそのアナログ、かかる化合物の製造法、かかる化合物を含む組成物、かかる化合物または組成物を含むキット、およびかかる化合物、組成物またはキットの診断撮影または放射線療法のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ヨウ素で標識するのに適するヨウ素標識のホモグルタミン酸およびグルタミン酸の誘導体ならびにそのアナログ、かかる化合物の製造法、かかる化合物を含む組成物、かかる化合物または組成物を含むキットおよび診断を画像化するためのかかる化合物、組成物またはキットの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明は、特許請求の範囲に示される内容、すなわち、一般式(I)および(II)のヨウ素化標識のグルタミン酸またはホモグルタミン酸の誘導体ならびにそのアナログ、式(III)のその先駆体、それらの製造および使用方法、すなわちSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)/PET(Positron Emisson Tomography)および放射線療法に関する。
【0003】
悪性腫瘍疾患の特定の初期診断およびその標的となる療法は、腫瘍患者の生命予後のために依然として極めて重要なままであろう。診断に関して、非侵襲的撮影法が重要な助けとなる。過去数年において、特にPET(陽電子放出型断層撮影(Positron Emisson Tomography))技法が診断の分野にて多くの注目を集めてきた。しかしながら、PETの好ましい放射性核種は18F(T1/2=110分)および11C(T1/2=20分)である:これらの同位元素は半減期が相対的に短く、実際には、複雑な長い合成経路および精製手段は許されない。これらのPET同位元素と比較して、99mTc(T1/2=6.05時間)または123I(T1/2=13.30時間)などの単光子放出物質は半減期が極めて長く、特定の利点をもたらし得る。これらは標的の取り込みの遅い、またはバックグラウンドの清掃の遅い、いずれかの放射性薬品を利用する能力、およびクリニックに配布するのにオフサイトにて放射性薬品を製造する能力を包含する。加えて、研究において、より長い半減期は放射性医薬品の開発をより便利なものとする。異なるエネルギーの単光子放出物質(小動物SPECT画像またはカットおよびカウント生体内分布)の同時使用は、並行して複数のパラメータの研究を可能とする。
【0004】
現在、2−[18F]−フルオロ−デオキシグルコース(18F−FDG)のPETでの使用は広く受け入れられており、診断において、さらには腫瘍障害を臨床的にモニター観察する場合において補助的に使用されることが多い。悪性腫瘍は宿主器官と栄養供給源としてのグルコースについて競合する(Warburg O、Uber den Stoffwechsel der Carcinomzelle [The metabolism of the carcinoma cell], Biochem.Zeitschrift 1924; 152: 309-339;Kellof G.、Progress and Promise of FDG-PET Imaging for Cancer Patient Management and Oncologic Drug Development, Clin. Cancer Res. 2005; 11(8): 2785-2807)。正常組織の周辺細胞と比べて、腫瘍細胞は、通常、グルコース代謝作用が高い。このことは、標識されたグルコース誘導体が漸増的に細胞に輸送され、そこでリン酸化反応を介してFDG6−ホスフェートに代謝的に変換され、細胞内に捕獲される(ワールブルグ効果)場合に活用される。従って、18F標識のFDGはPET技法を用いて患者の腫瘍障害を検出するのに効果的なトレーサーである。しかしながら、この方法は感度が高く、2つの大きな制限、すなわち炎症病変での蓄積が大きいこと、および脳腫瘍の診断を無意味にする、脳での取り込みが高いこと、がある。
【0005】
SPECTおよびPETの放射性アミノ酸の使用が、より大きな役割を果たすために、これらの欠点を克服しうることが明らかにされた。80年段後半にて、メチオニン(J. Nucl. Med. 1987, 28, 1037-1040)およびチロシン(Eur. J. Nucl. Med. 1986, 12, 321-324)などの数種の11C−標識のアミノ酸がPETの研究のために使用された。より最近になって、また新たな量の18F標識のアミノ酸がPETの画像化に利用された(例えば(review):Eur. J. Nucl. Med. Mol. Imaging May 2002;29 (5):681-90)。18F標識のアミノ酸のいくつかは、蛋白合成の割合を測定するのに適しているが、他の大部分の誘導体は腫瘍での直接的な細胞取り込みを測定するのに適している。既知の18F−標識のアミノ酸は、例えば、チロシンアミノ酸、フェニルアラニンアミノ酸、プロリンアミノ酸、アスパラギンアミノ酸および非天然アミノ酸より誘導される(例えば、J. Nucl. Med. 1991; 32:1338-1346、J. Nucl. Med. 1996; 37:320-325、J. Nucl. Med. 2001; 42: 752-754 and J. Nucl. Med. 1999; 40: 331-338)。
【0006】
PET同位元素、11Cおよび18Fと比べて、放射性ヨウ素標識のアミノ酸誘導体への導入は、その組み込まれた放射性ヨウ素同位元素のインビボでの安定性に関してより限定的である。ヨウ素の不飽和炭素原子とのより強固な結合のため、放射性ヨウ素標識は、インビボでの早い脱ヨウ素化を回避するために、分子内にあるビニルまたは芳香族sp炭素中心に結合する。したがって、過去において、チロシンおよびフェニルアラニンなどの芳香族アミノ酸の誘導体だけが、SPECT画像化および放射線療法におけるその使用のために広く研究されてきた。他のアミノ酸の中で、最も顕著な例が、画像化については3−[123I]ヨード−α−メチルチロシン(IMT)(J. Nucl. Med. 1989, 30, 110-112)およびp−[123I]ヨード−フェニルアラニン(IPA)(Nucl. Med. Com. 2002, 23, 121-130)であり、ホルモン依存性悪性腫瘍の治療についてはp−[131I]ヨード−フェニルアラニン(WO2007/060012)であった。
【0007】
3−[123I]ヨード−α−メチルチロシン(IMT)が、例えば、脳腫瘍用のSPECTトレーサーとして広く使用されており、その場合、PETトレーサー18F−FDGは、その脳での高いバックグラウンド信号のため、利用できない。このトレーサーの腫瘍への取り込みは、主に、L−型輸送システム(Nucl. Med. Comm. 2001, 22, 87-96)によりもたらされる。細胞膜輸送システムLは、多くの細胞にとって、大きな分岐した芳香族中性アミノ酸の取り込みのための単に(効果的な)経路にすぎない。L−型アミノ酸輸送体1(LAT1)はNa依存性アミノ酸輸送体であり、悪性細胞にて過剰に発現され、細胞の成長および増殖にて臨界的役割を果たす。機能発現の場合、LAT1は表面抗原AF2の重鎖(重鎖4F2hc)を必要とする。蛋白に組み込まれるよりもむしろ、アミノ酸輸送活性が大きく増加することで、蓄積の増加が主に測定される。しかしながら、このトレーサーの適用性を制限する主たる欠点は高腎蓄積である(Nucl. Med. Comm. 2002, 23, 121-130)。好ましくない生体内分布にも拘わらず、チロシンの例は、標識されたアミノ酸の腫瘍トレーサーとしての利用が、現在流通している「ゴールドスタンダード」である18F−FDGよりも、より高い腫瘍特異性を示し得ることを明らかにした。
【0008】
該FDGはもう一つ別の主な欠点を有する。高いグルコース代謝作用を有する細胞にて蓄積されることが好ましいが、異なる病理学的および生理学的条件下でも、感染部位または損傷を治癒する領域で関与する細胞および組織により吸収され得る(J. Nucl. Med. Technol. (2005), 33, 145-155にて要約されている)。FDG−PETを介して検出される病変が、実際に、新生物の起源であるかどうか、あるいは組織の別の生理学的または病理学的条件の結果であるかどうかを確認することが困難であることも多い。全体として、腫瘍学におけるFDG−PETによる診断は、84%の感受性および88%の特異性を有する(Gambhirら、「A tabulated summary of the FDG PET literature」、J. Nucl. Med. 2001, 42, 1-93S)。
【0009】
グルコースと同様に、グルタミン酸およびグルタミンも腫瘍細胞の増殖にて代謝作用の強化を示す(Medina、J. Nutr. 1131:2539S-2542S, 2001;Souba、Ann Surg 218:715-728, 1993)。蛋白および核酸合成の割合の強化およびエネルギー発生そのものは、腫瘍細胞におけるグルタミン消費が増加したためと考えられる。天然基質と同じである、対応するC−11およびC−14標識の化合物の合成は既に文献に記載されている(例えば、Antoni、Enzyme Catalyzed Synthesis of L-[4-C-11]aspartate and L-[5-C-11]glutamate. J. Labelled Compd. Radiopharm. 44;(4)2001:287-294およびBuchanan、The biosynthesis of showdomycin:studies with stable isotopes and the determination of principal precursors、J. Chem. Soc. Chem. Commun.;EN;22;1984;1515-1517)。C−11標識の化合物を用いる最初の試験は腫瘍にて顕著な蓄積を示さない。
【0010】
臨床業務における放射線療法は、通常、131I−ヨウ化ナトリウムを用いて、甲状腺にあるヨウ素の生理的蓄積に基づき、甲状腺機能低下症および脱分化した甲状腺癌を治療するものである。標的放射線療法は一の分子を必要とし、その分子は適当な物理特性を有する放射性核種に結合した腫瘍組織に対して特異性を有する(Perkins AC、In vivo molecular targeted radiotherapy Biomed Imaging Interv J 2005;1(2):e9)。この組み合わせは、結果として、正常な組織と相対的にスペアリングしている腫瘍細胞への選択的照射をもたらす。この分野の一例がカテコールアミンアナログ[131I]MIBGであり、神経芽細胞腫を治療するのにクリニックにて使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
放射性ヨウ素標識の形態の、診断および/または放射線療法に適する新規な化合物を提供することが本願発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、本願発明の、一般式(I)および(II)の、単一異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、E−およびZ−異性体、その混合物およびその適当な塩を含む、放射性ヨウ素標識のグルタミン酸およびホモグルタミン酸誘導体が提供されることで達成される。
【0013】
要約
本願発明は、特許請求の範囲に示される内容、すなわち、一般式(I)および(II)のヨウ素化グルタミン酸またはホモグルタミン酸およびそのアナログの誘導体、式IIIのその先駆体、それらの製造および使用方法、すなわちSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)/PET(Positron Emisson Tomography)および放射線療法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】種々の濃度の(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−ヨードフェノキシ]プロピル)ペンタンジオン酸を用いる、H460細胞での3H−グルタミン酸取り込みの濃度依存性遮断の結果を示す。
【図2】腫瘍細胞取り込み/結合実験における(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−[I−125]−ヨードフェノキシ]プロピル)ペンタンジオン酸の生物学的活性の試験結果を示す。(NCI−H460細胞、I125−標識の誘導体と一緒に30分間までインキュベーション)
【図3】細胞競合実験における(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−[I−125]−ヨードフェノキシ]プロピル)ペンタンジオン酸の生物学的活性の試験結果を示す。(NCI−H460細胞、PBS−緩衝液中、I125−標識の誘導体と一緒に30分間インキュベーション、「コールド」誘導体の濃度、1mM)
【図4】細胞競合実験における(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヨード−ベンジル)ペンタンジオン酸の生物学的活性の試験結果を示す。(NCI−H460細胞、A549細胞、PBS−緩衝液中、1μCi 3H−グルタミン酸と共に10分間インキュベーション、試験化合物の濃度、1mM)
【図5】細胞競合実験における(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−3−[I−125]−ヨードベンジル)ペンタンジオン酸の生物学的活性の試験結果を示す。(NCI−H460細胞、PBS−緩衝液中、[I125]−標識の誘導体と共に10分間インキュベーション、L−グルタミン酸塩濃度、1mM)
【図6】(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)ペンタンジオン酸の取り込みの時間依存性を測定した。H460細胞を0.25MBq(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸と共に60分間までインキュベートし、10、20、30および60 分後に細胞結合フラクションを測定した)
【図7】H460腫瘍細胞における(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)ペンタンジオン酸の滞留を試験した。H460細胞を0.25MBqの(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸でPBS/BSA中にて30分間ローディングした。洗浄した後、該細胞を新鮮な緩衝液(放射能なし)と共に付加的に10、20、30分間インキュベートした。放射能の上澄みへの放出ならびに該細胞内での滞留を測定した。
【図8】H460腫瘍担持マウスに注射した後の(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)ペンタンジオン酸でのSPECT造影を示す。
【図9】細胞競合実験における(S)−2−アミノ−5−(4−ヨードベンジル)ヘキサンジオン酸の生物学的活性の試験結果を示す。(H460細胞、PBS−緩衝液中、3H−グルタミン酸と共に30分間インキュベーション、競合物質の濃度、1mMおよび0.1mM)
【発明を実施するための形態】
【0015】
第一の態様において、本願発明は、一般式(I):
【化1】

(I)
[式中
n=0または1であり;
Aは
【化2】


からなる群より選択され、ここで、*はAの結合原子を示し;
、RおよびRは、相互に独立して、水素およびXより選択される、ただしR、RおよびRの一つはXであり、
ここで、Xは、
ヨード−アリール−G−CHであり、この場合、Gは直接結合またはC−Cアルキルであり、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、アリール部分はR、OH、OR、NH、NHR、NRより独立して選択される1または2個の置換基により所望により置換されていてもよく、ここでRはC−C−アルキルであり、好ましくはメチルであり;
ヨード−ヘテロアリール−G−CHであり、この場合、Gは直接結合またはC−Cアルキルであり、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、ヘテロアリールは5ないし6個の環原子を含み、1または2個の原子は独立してN、OまたはSより選択され、ヘテロアリール部分はメチル基で所望により置換されていてもよく、あるいは
ヨード−CH=CH−(CH、ここでm=1−3である]
で示される化合物を対象とする。
【0016】
式(I)は単一異性体、ジアステレオマー、互変異性体、E−およびZ−異性体、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0017】
好ましくは、ヨウ素は123I、124Iまたは125Iである。好ましくは、ヨウ素は127Iである。より好ましくは、ヨウ素が127Iである場合、その時は、式Iの化合物は(2R,4S)−2−アミノ−4−(m−ヨード)ベンジル ペンタンジオン酸または(2R,4S)−2−アミノ−4−(p−ヨード)ベンジル ペンタンジオン酸ではない。
【0018】
好ましくは、ヨウ素は131Iである。
【0019】
好ましくは、Aはカルボキシル基である。
【0020】
好ましくは、RおよびRは水素であり、RはXである。
【0021】
好ましくは、Xは
ヨード−アリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであり、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、アリール部分はR、OH、OR、NH、NHR、NRより独立して選択される1または2個の置換基により所望により置換されていてもよく、ここでRはC−C−アルキル、好ましくはメチルであるか;または
ヨード−CH=CH−(CH、ここでm=1−3である。
【0022】
好ましくは、分岐または直鎖C−CアルキルはC−Cアルキル、Cアルキル(CH)、Cアルキル((CH)、Cアルキル(例、(CH)、Cアルキル(例、(CH)またはCアルキル(例、(CH)である。より好ましくは、アルキル鎖はC−Cアルキルである。
【0023】
好ましくは、アリールはフェニルまたはナフチル基、例、1−ナフチルおよび2−ナフチル、より好ましくはフェニルである。
【0024】
好ましくは、ヘテロアリールはチエニル、フラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニルまたはピリミジニル、より好ましくはピリジニルである。
【0025】
好ましくは、mは1または2である。好ましくは、mは3である。
【0026】
好ましくは、nは0である。好ましくは、nは1である。
【0027】
より好ましくは、式Iの化合物は2−アミノ−4−(m−ヨード)ベンジルペンタンジオン酸、2−アミノ−4−(p−ヨード)ベンジルペンタンジオン酸、(2R,4S)−2−アミノ−4−(m−ヨード)ベンジルペンタンジオン酸または(2R,4S)−2−アミノ−4−(p−ヨード)ベンジルペンタンジオン酸ではない。さらにより好ましくは、式Iの化合物は(2R,4S)−2−アミノ−4−(m−ヨード)ベンジルペンタンジオン酸または(2R,4S)−2−アミノ−4−(p−ヨード)ベンジル ペンタンジオン酸ではない。
【0028】
好ましくは、Aは
【化3】

であり、Xはヨード−アリール−G−CHであり、ヨード−フェニル−G−CHであり、ここでGはC−C−アルキルまたは−O−C−C−アルキルであり、アリールはOHで所望により置換されていてもよい。より好ましくは、ヨード−フェニル−C−C−アルキル−CHまたはヨード−フェニル−O−C−C−アルキル−CHである。
【0029】
好ましくは、Aは
【化4】

であり、Xはヨード−ヘテロアリール−G−CHであり、ヨード−ピリジニル−G−CHまたはヨード−チエニル−G−CHであり、ここでGはC−C−アルキルまたは−C(O)−NH−C−C−アルキルである。
【0030】
好ましくは、Aは
【化5】

であり、Xはヨード−アリール−G−CHはヨード−フェニル−G−CHであり、ここでGはC−C−アルキルまたは−O−C−C−アルキルであり、アリールはOHで所望により置換されていてもよい。より好ましくは、ヨード−フェニル−C−C−アルキル−CHまたはヨード−フェニル−O−C−C−アルキル−CHである
【0031】
好ましくは、Aは
【化6】

であり、Xはヨード−ヘテロアリール−G−CHであり、ヨード−ピリジニル−G−CHまたはヨード−チエニル−G−CHであり、ここでGはC−C−アルキルまたは−C(O)−NH−C−C−アルキルである。
【0032】
第一の実施態様において、本願発明は、一般式(I):
【化7】

(I)
[式中
n=1であり;
Aは
【化8】


からなる群より選択され、ここで、*はAの結合の原子を示し;
、RおよびRは、相互に独立して、水素およびXから選択される、ただしR、RおよびRの一つはXであり、
ここで、Xは
ヨード−アリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであって、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、アリール部分はR、OH、OR、NH、NHR、NRより独立して選択される1または2個の置換基により所望により置換されていてもよく、ここでRはC−C−アルキル、好ましくはメチルであり;
ヨード−ヘテロアリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであって、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、ヘテロアリールは5ないし6個の環原子を含み、1または2個の原子は独立してN、OまたはSより選択され、ヘテロアリール部分はメチル基で所望により置換されていてもよく、あるいは
ヨード−CH=CH−(CHであり、ここでm=1−3である]
で示される化合物を対象とする。
【0033】
好ましくは、一般式(I)であって、n=1である、化合物は、一般式(I−H2S):
【化9】

(I−H2S)
[式中
ないしR、AおよびXは上記の記載と同じ]
で示される化合物である。
【0034】
一般式(I)の化合物について開示されている好ましい特性RないしR、AおよびXはこの中に組み入れられる。
【0035】
第二の実施態様において、本願発明は、一般式(I):
【化10】

(I)
[式中、n=0であり;
Aは
【化11】


ここで、*はAの結合の原子を示す;
からなる群より選択され、
、RおよびRは、相互に独立して、水素およびXより選択される、ただしR、RおよびRの一はXであり、
ここで、Xは
ヨード−アリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであって、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、アリール部分はR、OH、OR、NH、NHR、NRより独立して選択される1または2個の置換基により所望により置換されていてもよく、ここでRはC−C−アルキル、好ましくはメチルであり;
ヨード−ヘテロアリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであって、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、ヘテロアリールは5ないし6個の環原子を含み、1または2個の原子は独立してN、OまたはSより選択され、ヘテロアリール部分はメチル基で所望により置換されていてもよく、あるいは
ヨード−CH=CH−(CHであり、ここでm=1−3である]
で示される化合物を対象とする。
【0036】
好ましくは、一般式(I)であって、n=0である、化合物は、一般式(I−G2S):
【化12】

(I−G2S)
[式中、RないしR、AおよびXは上記の開示と同じである]
で示される化合物である。
【0037】
一般式(I)の化合物について開示されている好ましい特性RないしR、AおよびXはこの中に組み入れられる。
【0038】
実施態様および好ましい特徴は一緒に組み合わせることができ、それらは本願発明の範囲内にある。
【0039】
発明の化合物は、限定されるものではないが、次の化合物より選択される:
(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−3−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸
【化13】

(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−3−[125−I]ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸
【化14】

(2S,4S)−2−アミノ−4−[3−(4−ヨード−フェノキシ)−プロピル]−ペンタンジオン酸
【化15】

(2S,4S)−2−アミノ−4−[3−(4−[125−I]ヨード−フェノキシ)−プロピル]−ペンタンジオン酸
【化16】

(S)−2−アミノ−7−(4−ヨード−フェノキシ)−4−(1H−テトラゾール−5−イル)−ヘプタン酸
【化17】

(S)−2−アミノ−7−(4−[125−I]ヨード−フェノキシ)−4−(1H−テトラゾール−5−イル)−ヘプタン酸
【化18】

(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸
【化19】

(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[125−I]ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸
【化20】

(S)−2−アミノ−4−(2−ヨード−チオフェン−3−イルメチル)−ペンタンジオン酸
【化21】

(S)−2−アミノ−4−(2−[125−I]ヨード−チオフェン−3−イルメチル)−ペンタンジオン酸
【化22】

(2S,4S)−2−アミノ−4−{3−[(2−ヨード−ピリジン−4−カルボニル)−アミノ]−プロピル}−ペンタンジオン酸
【化23】

(2S,4S)−2−アミノ−4−{3−[(2−[125−I]ヨード−ピリジン−4−カルボニル)−アミノ]−プロピル}−ペンタンジオン酸
【化24】

(2S,4S)−2−アミノ−4−[3−(3−ヨード−ベンゾイルアミノ)−プロピル]−ペンタンジオン酸
【化25】

(2S,4S)−2−アミノ−4−[3−(3−[125−I]ヨード−ベンゾイルアミノ)−プロピル]−ペンタンジオン酸
【化26】

(S)−2−アミノ−5−(4−ヨード−フェニル)−4−(1H−テトラゾール−5−イル)−ペンタン酸
【化27】

(S)−2−アミノ−5−(4−[125−I]ヨード−フェニル)−4−(1H−テトラゾール−5−イル)−ペンタン酸
【化28】

(2S,5S)−2−アミノ−5−(4−ヨード−ベンジル)−ヘキサンジオン酸
【化29】

および
(S)−2−アミノ−5−(4−ヨードベンジル)−ヘキサンジオン酸
【化30】

【0040】
第二態様において、本願発明は、一般式(II):
【化31】

(II)
[式中
n=0または1であり;
Eは
【化32】


ここで、*はEの結合する原子を示す;
からなる群より選択され、
、RおよびRは、相互に独立して、水素およびXより選択される、ただしR、RおよびRの一はXであり、
ここで、Xは
ヨード−アリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであって、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、アリール部分はR、OH、OR、NH、NHR、NRより独立して選択される1または2個の置換基により所望により置換されていてもよく、ここでRはC−C−アルキル、好ましくはメチルであり;
ヨード−ヘテロアリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであって、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、ヘテロアリールは5ないし6個の環原子を含み、1または2個の原子は独立してN、OまたはSより選択され、ヘテロアリール部分はメチル基で所望により置換されていてもよく、あるいは
ヨード−CH=CH−(CHであり、ここでm=1−3であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはトリフェニルメチルであり;
=水素またはN−保護基である;
ただし、置換基R、R、RまたはRの少なくとも一つは水素ではない]
で示される化合物を対象とする。
【0041】
式(II)は単一異性体、ジアステレオマー、互変異性体、E−およびZ−異性体、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0042】
好ましくは、ヨウ素は123I、124Iまたは125Iである。
【0043】
好ましくは、ヨウ素は127Iである。
【0044】
好ましくは、ヨウ素は131Iである。
【0045】
好ましくは、Eは
【化33】

であり、*はEの結合の原子を示す。
【0046】
好ましくは、RおよびRは水素であり、RはXである。
【0047】
式IIの化合物はヨウ素標識の化合物であり、OHおよびNHなどの官能基はすべてまたは一部にて、各々、RないしRとして定義される、適当な保護基で保護されている。
【0048】
一般式(I)の化合物について開示されている好ましい特性n、RないしRはこの中に組み入れられる。
【0049】
O−保護基は、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択される。好ましくは、O−保護基はメチル、エチルおよびt−ブチルからなる群より選択される。より好ましくは、O−保護基はt−ブチルである。
【0050】
好ましくは、RおよびRはO−保護基である。
【0051】
N−保護基は、カルボベンジルオキシ(Cbz)、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)およびトリフェニルメチルからなる群より選択される。好ましくは、N−保護基はカルボベンジルオキシ(Cbz)、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)および9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)からなる群より選択される。より好ましくは、N−保護基はtert−ブチルオキシカルボニル(BOC)または9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)である。
【0052】
好ましくは、RはN−保護基である。
【0053】
好ましくは、アリールはフェニルまたはナフチル基、例、1−ナフチルおよび2−ナフチルである。
【0054】
好ましくは、ヘテロアリールはチエニル、フラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニルまたはピリミジニルである。
【0055】
好ましくは、mは1または2である。好ましくは、mは3である。
【0056】
好ましくは、nは 0である。好ましくは、nは1である。
【0057】
好ましくは、Eは
【化34】

であり、Xはヨード−アリール−G−CHであり、ヨード−フェニル−G−CHであり、ここでGはC−C−アルキルまたは−O−C−C−アルキルであり、アリールはOHで所望により置換されていてもよい。より好ましくは、ヨード−フェニル−C−C−アルキル−CHまたはヨード−フェニル−O−C−C−アルキル−CHである。
【0058】
好ましくは、Eは
【化35】

であり、Xはヨード−ヘテロアリール−G−CHであり、ヨード−ピリジニル−G−CHまたはヨード−チエニル−G−CHであり、ここでGはC−C−アルキルまたはC(O)−NH−C−C−アルキルである。
【0059】
好ましくは、Eは
【化36】

であり、Xはヨード−アリール−G−CHであり、ヨード−フェニル−G−CHであり、ここでGはC−C−アルキルまたは−O−C−C−アルキルであり、アリールはOHで所望により置換されていてもよい。より好ましくは、ヨード−フェニル−C−C−アルキル−CHまたはヨード−フェニル−O−C−C−アルキル−CHである。
【0060】
好ましくは、Eは
【化37】

であり、Xはヨード−ヘテロアリール−G−CHであり、ヨード−ピリジニル−G−CHまたはヨード−チエニル−G−CHであり、ここでGはC−C−アルキルまたは−C(O)−NH−C−C−アルキルである。
【0061】
好ましくは、Eは
【化38】

であり、
はt−ブチルであり;
はt−ブチルであり;
は tert−ブトキシカルボニル(BOC)である。
【0062】
第一の実施態様において、本願発明は、一般式(II):
【化39】

(II)
[式中
n=1であり;
Eは
【化40】


ここで、*はEの結合の原子を示す;
からなる群より選択され;
、RおよびRは、相互に独立して、水素およびXより選択される、ただしR、RおよびRの一つはXであり、
ここで、Xは
ヨード−アリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであって、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、アリール部分はR、OH、OR、NH、NHR、NRより独立して選択される1または2個の置換基により所望により置換されていてもよく、ここでRはC−C−アルキル、好ましくはメチルであり;
ヨード−ヘテロアリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであって、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、ヘテロアリールは5ないし6個の環原子を含み、1または2個の原子は独立してN、OまたはSより選択され、ヘテロアリール部分はメチル基で所望により置換されていてもよく、あるいは
ヨード−CH=CH−(CHであり、ここでm=1−3であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはトリフェニルメチルであり;
=水素またはN−保護基である;
ただし、R、R、RまたはRの少なくとも一つは水素ではない]
で示される化合物を対象とする。
【0063】
好ましくは、n=1である、一般式(II)の化合物は、一般式(II−H2S):
【化41】

(II−H2S)
[式中、R、R、R、R、R、EおよびXは、上記の開示と同じである]
で示される化合物である。
【0064】
一般式(II)の化合物について上記開示の好ましい特性R、R、R、R、R、EおよびXはこの中に組み入れられる。
【0065】
第二の実施態様において、本願発明は、一般式(II):
【化42】

(II)
[式中
n=0であり;
Eは
【化43】


ここで、*はEの結合の原子を示す;
、RおよびRは、相互に独立して、水素およびXより選択される、ただしR、RおよびRの一はXであり、
ここで、Xは
ヨード−アリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであって、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、アリール部分はR、OH、OR、NH、NHR、NRより独立して選択される1または2個の置換基により所望により置換されていてもよく、ここでRはC−C−アルキル、好ましくはメチルであり;
ヨード−ヘテロアリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであって、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、ヘテロアリールは5ないし6個の環原子を含み、1または2個の原子は独立してN、OまたはSより選択され、ヘテロアリール部分はメチル基で所望により置換されていてもよく、あるいは
ヨード−CH=CH−(CHであり、ここでm=1−3であり、
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはトリフェニルメチルであり;
=水素またはN−保護基である;
ただし、R、R、RまたはRの少なくとも一つは水素ではない]
で示される化合物を対象とする。
【0066】
好ましくは、n=0である一般式(I)の化合物は、一般式(II−G2S):
【化44】

(II−G2S)
[式中、R、R、R、R、R、EおよびXは上記の開示と同じである]
で示される化合物である。
【0067】
上記の一般式(II)の化合物について上記のように開示されている好ましい特性R、R、R、R、R、EおよびXはこの中に組み入れられる。
【0068】
一般式(I)の化合物について開示されている好ましい特性はこの中に組み入れられる。
【0069】
発明の化合物は、限定されるものではないが、次の化合物より選択される:
(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−[3−(4−ヨード−フェノキシ)−プロピル]−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化45】

(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(4−[125−I]ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化46】

(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−{3−[(2−[125−I]ヨード−ピリジン−4−カルボニル)−アミノ]−プロピル}−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化47】

(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−[3−(3−[125−I]ヨード−ベンゾイルアミノ)−プロピル]−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化48】

(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−ヨード−アリル)−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化49】

【0070】
第三の態様において、本願発明は、一般式(III):
【化50】

(III)
[式中
n=0または1であり;
Eは
【化51】


ここで、*はEの結合の原子を示す;
からなる群より選択され、
10、R11およびR12は、相互に独立して、水素およびYより選択される、ただし、R10、R11およびR12の一つはYであり、
ここでYは、
L−アリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであり、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、アリール部分はR、OH、OR、NH、NHR、NRより独立して選択される1または2個の置換基により所望により置換されていてもよく、ここでRはC−C−アルキル、好ましくはメチルであり;
L−ヘテロアリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであり、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、ヘテロアリールは5ないし6個の環原子を含み、1または2個の原子は独立してN、OまたはSより選択され、ヘテロアリール部分はメチル基で所望により置換されていてもよいか、または
L−CH=CH−(CHであり、ここでm=1−3であって、Lは(R13Sn、(R13Siまたは(HO)Bであり、
ここでR13はC−Cアルキルであり、好ましくはn−ブチルであって;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはトリフェニルメチルであり;
=水素またはN−保護基である]
で示される化合物を対象とする。
【0071】
式(III)は単一異性体、ジアステレオマー、互変異性体、E−およびZ−異性体、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0072】
式IIIの化合物はヨウ素をカップリングするのに適する化合物であり、OH、NHおよびNHなどの官能基は、各々、R、R、RおよびRなどの適当な保護基で保護されている。
【0073】
好ましくは、Eは
【化52】

ここで、*はEの結合の原子を示す
である。
好ましくは、R11およびR12は水素であり、R10はYである。
【0074】
O−保護基は、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択される。好ましくは、O−保護基はメチル、エチルおよびt−ブチルからなる群より選択される。より好ましくは、O−保護基はt−ブチルである。
【0075】
好ましくは、RおよびRはO−保護基である。
【0076】
N−保護基は、カルボベンジルオキシ(Cbz)、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)およびトリフェニルメチルからなる群より選択される。好ましくは、N−保護基はカルボベンジルオキシ(Cbz)、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)および9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)からなる群より選択される。より好ましくは、N−保護基はtert−ブチルオキシカルボニル(BOC)または9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)である。好ましくは、RはN−保護基である。
【0077】
好ましくは、アリールはフェニルまたはナフチル基、例、1−ナフチルおよび2−ナフチルである。
【0078】
好ましくは、ヘテロアリールはチエニル、フラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニルまたはピリミジニルである。
【0079】
好ましくは、mは1または2である。好ましくは、mは3である。
【0080】
好ましくは、nは0である。好ましくは、nは1である。
【0081】
好ましくは、Eは
【化53】

であり、YはL−アリール−G−CHであり、L−フェニル−G−CHであり、ここでGはC−C−アルキルまたは−O−C−C−アルキルであり、アリールはOHで所望により置換されていてもよく、Lは(R13Sn−または(R13Si−である。より好ましくは、L−フェニル−C−C−アルキル−CHまたはL−フェニル−O−C−C−アルキル−CHであり、ここでLは(R13Sn−であり、R13はn−ブチルである。
【0082】
好ましくは、Eは
【化54】

であり、YはL−ヘテロアリール−G−CHであり、L−ピリジニル−G−CHまたはL−チエニル−G−CHであって、ここでGはC−C−アルキルまたは−C(O)−NH−C−C−アルキルであり、Lは(R13Sn−または(R13Si−であり、ここでLは(R13Sn−であって、R13はn−ブチルである。
【0083】
好ましくは、Eは
【化55】

であり、YはL−アリール−G−CHであり、L−フェニル−G−CHであって、ここでGはC−C−アルキルまたは−O−C−C−アルキルであり、アリールはOHで所望により置換されていてもよく、Lは(R13Sn−または(R13Si−である。より好ましくは、L−フェニル−C−C−アルキル−CHまたはL−フェニル−O−C−C−アルキル−CHであって、Lは(R13Sn−であり、R13はn−ブチルである。
【0084】
好ましくは、Eは、
【化56】

であり、YはL−ヘテロアリール−G−CHであり、L−ピリジニル−G−CHまたはL−チエニル−G−CHであって、ここでGはC−C−アルキルまたは−C(O)−NH−C−C−アルキルであり、Lは(R13Sn−または(R13Si−であって、ここでLは(R13Sn−であり、R13はn−ブチルである。
【0085】
好ましくは、Eは
【化57】

であり、
はt−ブチルであり;
はt−ブチルであり;および
はtert−ブトキシカルボニル(BOC)である。
【0086】
第一の実施態様において、本願発明は、一般式(III):
【化58】

(III)
[式中、
n=1であり;
Eは
【化59】


からなる群より選択され、ここで、*はEの結合の原子を示し;
10、R11およびR12は、相互に独立して、水素およびYから選択される、ただしR10、R11およびR12の一はYであり、
ここで、Yは
L−アリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであり、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、アリール部分はR、OH、OR、NH、NHR、NRより独立して選択される1または2個の置換基により所望により置換されていてもよく、ここでRはC−C−アルキル、好ましくはメチルであり;
L−ヘテロアリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであり、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、ヘテロアリールは5ないし6個の環原子を含み、1または2個の原子は独立してN、OまたはSより選択され、ヘテロアリール部分はメチル基で所望により置換されていてもよいか、または
L−CH=CH−(CHであり、ここでm=1−3であって、Lは(R13Sn、(R13Siまたは(HO)Bであり、
ここでR13はC−Cアルキルであり、好ましくはn−ブチルであって;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはトリフェニルメチルであり;
=水素またはN−保護基である]
で示される化合物を対象とする。
【0087】
好ましくは、n=1である一般式(III)の化合物は、一般式(III−H2S):
【化60】

(III−H2S)
[式中、R10、R11、R12、R、R、R、R、EおよびY上記の開示と同じである]
で示される化合物である。
【0088】
一般式(III)の化合物について上記開示されている好ましい特性R10、R11、R12、R、R、R、R、EおよびYはこの中に組み入れられる。
【0089】
第二の実施態様において、本願発明は、一般式(III):
【化61】

(III)
[式中、
n=0であり;
Eは
【化62】


からなる群より選択され、ここで、*はEの結合の原子を示し;
10、R11およびR12は、相互に独立して、水素およびYから選択される、ただしR10、R11およびR12の一はYであり、
ここで、Yは
L−アリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであり、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、アリール部分はR、OH、OR、NH、NHR、NRより独立して選択される1または2個の置換基により所望により置換されていてもよく、ここでRはC−C−アルキル、好ましくはメチルであり;
L−ヘテロアリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであり、アルキル鎖のメチレン基は所望により酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、ヘテロアリールは5ないし6個の環原子を含み、1または2個の原子は独立してN、OまたはSより選択され、ヘテロアリール部分はメチル基で所望により置換されていてもよいか、または
L−CH=CH−(CHであり、ここでm=1−3であって、Lは(R13Sn、(R13Siまたは(HO)Bであり、
ここでR13はC−Cアルキルであり、好ましくはn−ブチルであって;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはトリフェニルメチルであり;
=水素またはN−保護基である]
で示される化合物を対象とする。
【0090】
好ましくは、n=0である一般式(III)の化合物は、一般式(III−G2S):
【化63】

(III−G2S)
[式中、R、R、R、R、R、R、R、EおよびYは上記の開示と同じである]
で示される化合物である。
【0091】
上記の一般式(II)の化合物について上記開示されている好ましい特性R、R、R、R、R、EおよびYはこの中に組み入れられる。
【0092】
実施態様および好ましい特性は一緒に組み合わせることができ、当該発明の範囲内にある。一般式(I)または(II)の化合物について開示されている好ましい特性はこの中に組み入れられる。
【0093】
発明の化合物は、限定されないが、次の化合物より選択される:
(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(4−トリブチルスタンナニル−ベンジル)−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化64】

(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−[3−(4−トリブチルスタンナニル−フェノキシ)−プロピル]−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化65】

(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−[3−(3−トリブチルスタンナニル−ベンゾイルアミノ)−プロピル]−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化66】

ジ−tert−ブチル(4S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−[(2E)−3−(ジヒドロキシボリル)プロパ−2−エン−1−イル]−L−グルタメート
【化67】

【0094】
第四の態様において、本願発明は、一般式(I)、(II)、(III)の化合物またはその混合物、ならびに医薬上許容される担体または希釈体を含む組成物を対象とする。
【0095】
当業者は、その専門的知識を理由として、所望の医薬製剤、調製物または組成物に適する、補助剤、ベヒクル、賦形剤、希釈剤、担体またはアジュバントに精通している。
【0096】
本願発明の化合物、医薬組成物または組み合わせの投与は、当該分野にて利用可能な一般に許容される投与方法にて実施される。静脈内送達が好ましい。
【0097】
一般に、本願発明の医薬組成物は、活性な化合物の用量が37MBq(1mCi)ないし740MBq(20mCi)の範囲にあるように投与され得る。特に、150MBqから370MBqの範囲にある容量が使用されるであろう。
【0098】
放射線療法を目的とする放射性標識された化合物の好ましい用量は、用量を限定する器官および体重に応じて、1850MBq(50mCi)ないし11100MBq(300mCi)の範囲にある。
【0099】
第五の態様において、本願発明は、式(I)、(II)の化合物またはその混合物を得る方法を対象とする。
【0100】
本願発明の方法はヨウ素標識化法である。
【0101】
好ましくは、該ヨウ素標識化法は、当該発明の化合物を含ヨウ素部分で標識する方法であって、該含ヨウ素部分が好ましくは123I、124I、125I、127Iまたは131Iを含む、方法に関する。
【0102】
より好ましくは、含ヨウ素部分は123I、124I、125Iまたは131Iを含む。
【0103】
好ましくは、ヨウ素標識化法はヨウ素放射性標識化法である。
【0104】
本願発明において、ヨウ素標識化法は、式(I)、(II)の化合物またはその混合物を得るための、直接的または間接的標識化法である。
【0105】
ヨウ素標識化法は、次の工程:
−一般式(III)の化合物を含ヨウ素部分と反応させ、
−所望により、式(II)の化合物を脱保護してもよく、
−所望により、得られた化合物を無機または有機酸のその適当な塩、その水和物、複合体および溶媒和物に変換してもよい、工程を含む。
【0106】
ヨウ素標識化法は、次の工程:
−一般式(III)の化合物を、含ヨウ素部分と反応させ、ここでヨウ素は123I、124I、125Iまたは131Iであり、
−所望により、式(II)の化合物の保護基を除去してもよく、
−所望により、得られた化合物を無機または有機酸のその適当な塩、その水和物、複合体、エステル、アミドおよび溶媒和物に変換してもよい、工程を含む。
【0107】
好ましくは、ヨウ素標識化法は、次の工程:
−一般式(III)の化合物を、含ヨウ素部分と反応させ、ここでヨウ素は123I、124I、125Iまたは131Iであり、
−式(II)の化合物の保護基を除去し、
−所望により、得られた化合物を無機または有機酸のその許容される塩、その水和物、複合体、エステル、アミドおよび溶媒和物に変換してもよい、工程を含む。
【0108】
このヨウ素化に使用される試薬、溶媒および条件は、当業者に一般的であり、周知である。
【0109】
好ましくは、本願発明の方法にて使用される溶媒は水、水性緩衝液、DMF、DMSO、アセトニトリル、DMAまたはその混合液である。好ましくは該溶媒は水、水性緩衝液またはアセトニトリルである。
【0110】
好ましくは、ヨウ素標識化法は、次の工程:
−一般式(III)の化合物を、含ヨウ素部分と反応させ、ここでヨウ素は123Iまたは125Iであり、
−式(II)の化合物の保護基を除去し、
−所望により、得られた化合物を無機または有機酸のその許容される塩、その水和物、複合体、エステル、アミドおよび溶媒和物に変換してもよい、工程を含む。
【0111】
好ましくは、ヨウ素標識化法は、次の工程:
−一般式(III)の化合物を、含ヨウ素部分と反応させ、ここでヨウ素は124Iであり、
−式(II)の化合物の保護基を除去し、
−所望により、得られた化合物を無機または有機酸のその許容される塩、その水和物、複合体、エステル、アミドおよび溶媒和物に変換してもよい、工程を含む。
【0112】
好ましくは、ヨウ素標識化法は、次の工程:
−一般式(III)の化合物を、含ヨウ素部分と反応させ、ここでヨウ素は131Iであり、
−式(II)の化合物の保護基を除去し、
−所望により、得られた化合物を無機または有機酸のその許容される塩、その水和物、複合体、エステル、アミドおよび溶媒和物に変換してもよい、工程を含む。
【0113】
好ましくは、ヨウ素標識化法は、次の工程:
−一般式(III)の化合物を、含ヨウ素部分と反応させ、ここでヨウ素は127Iであり、
−式(II)の化合物の保護基を除去し、
−所望により、得られた化合物を無機または有機酸のその許容される塩、その水和物、複合体、エステル、アミドおよび溶媒和物に変換してもよい、工程を含む。
【0114】
式(I)、(II)または(III)の化合物は上記に開示されるとおりである。
【0115】
実施態様および好ましい特性は一緒に組み合わせることができ、本願発明の範囲内にある。一般式(I)、(II)および(III)の化合物について開示されている好ましい特性はこの中に組み入れられる。
【0116】
第六の態様において、当該発明は、増殖性疾患を画像化するための造影トレーサーを製造するための一般式(I)または(II)の化合物を対象とする。
【0117】
言い換えれば、本願発明は、増殖性疾患を画像化するための造影トレーサーを製造するための一般式(I)および(II)の化合物の使用を対象とする。
【0118】
一般式(I)および(II)の化合物は上記したとおりであり、すべての実施態様および好ましい特徴を包含する。好ましくは、本願発明の化合物は一般式 (I)または(II)の化合物であってヨウ素が123I、124Iまたは125Iである、化合物である。
【0119】
該造影トレーサーは、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)および陽電子放出型断層撮影(PET)に適する。
【0120】
該造影トレーサーは、ヨウ素が123Iまたは125Iである場合、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)に適する。
【0121】
該造影トレーサーは、ヨウ素が124Iである場合、陽電子放出型断層撮影(PET)に適する。
【0122】
本願発明はまた、増殖性疾患を画像化または診断するための方法であって、次の工程を含む:
−有効量の一般式(I)または(II)で示される化合物またはその混合物をを哺乳動物に投与する工程、
−該哺乳動物の画像を得る工程、および
−画像を評価する工程。
【0123】
増殖性疾患は、腫瘍および/または転移の存在によって特徴付けられる癌である。好ましくは、胃腸または結腸直腸管の悪性腫瘍、肝臓癌、膵臓癌、腎臓癌、膀胱癌、甲状腺癌、前立腺癌、子宮内膜癌、卵巣癌、精巣癌、黒色腫、小細胞および非小細胞気管支癌、形成異常口腔粘膜癌、浸潤性口腔癌;ホルモン依存性およびホルモン非依存性乳癌を含む乳癌、扁平上皮癌、神経学的癌障害、例えば神経芽細胞腫、神経膠腫、星状細胞腫、骨肉腫、髄膜腫、軟組織肉腫;血管腫および内分泌腫瘍、例えば下垂体性腺腫、有色細胞腫、傍神経節種、リンパ腫および白血病を含む血液学的腫瘍障害からなる群より選択される。好ましくは、腫瘍は前立腺癌である。
【0124】
好ましくは、転移は上記した腫瘍の一の転移である。
【0125】
好ましくは、本願発明の化合物および使用は、哺乳動物の腫瘍を画像化するためのSPECT造影トレーサーを製造するためであって、ここで該腫瘍は好ましくは前立腺癌/前立腺腫瘍である。
【0126】
第七の態様において、本願発明は、一般式(I)、(II)または(III)の化合物の、生物学的アッセイおよびクロマトグラフィー同定法を行うための使用を対象とする。より好ましくは、該使用は一般式(I)または(II)の化合物であって、ヨウ素同位元素が123I、124I、125Iまたは131Iである、より好ましくは125Iである、化合物に関する。
【0127】
一般式(I)、(II)または(III)の化合物であって、ヨウ素同位元素が127Iである化合物は、対照および/または測定物質として有用である。
【0128】
一般式(I)、(II)および(III)の化合物は上記に定義されるとおりであり、すべての実施態様および好ましい特徴を包含する。
【0129】
第八の態様において、本願発明は、所定量の一般的化学式(I)、(II)または(III)の化合物あるいは無機または有機酸のその適当な塩、その水和物、複合体、エステル、アミドまたは溶媒和物を含有する密封したバイアルを含む、キットを提供する。所望により、該キットは、医薬上許容される担体、希釈体、賦形剤またはアジュバントを含んでもよい。
【0130】
第九の態様において、本願発明は増殖性疾患の放射線療法のための医薬を製造するための、ヨウ素同位元素が131Iである、一般式(I)または(II)の化合物を対象とする。
【0131】
定義
本願発明にして使用される定義が以下に記載されるが、発明の範囲を限定するものではない。
【0132】
本願発明の化合物に、キラル中心または他の形態の異性中心があるならば、エナンチオマーおよびジアステレオマーを含め、かかる立体異性体のいずれの形態も本願発明の範囲内に含まれることを意図とするものである。キラル中心を含有する化合物は、ラセミ混合物として、エナンチオマーに富む混合物として、ジアステレオマー混合物として、ジアステレオマーに富む混合物として使用されてもよく、あるいはこれらの異性体混合物は周知技法を用いて分離され、個々の立体異性体を単独で使用してもよい。化合物が炭素−炭素二重結合を有する場合には、(Z)−異性体および(E)−異性体の両方ならびにその混合物も本願発明の範囲内にある。化合物が、ケト−エノ−ル互変異性体などの互変異性体の形態にて存在しうる場合には、各互変異性体が、均等に、あるいは一の形態にて優勢的に存在するいずれであっても、本願発明の範囲内に含まれるものと考えられる。
【0133】
本願発明の化合物の適当な塩は、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の塩、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩を包含する。
【0134】
本願発明の化合物の適当な塩はまた、一例として、かつ好ましいものとして、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、アンモニア、または一例として、かつ好ましいものとして、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジンなどの炭素数1−16の有機アミンより誘導されるアンモニウム塩などの、慣用的な塩基の塩を包含する。
【0135】
本願明細書にて、それ自体で、あるいは他の基の一部として使用される「C−Cアルキル」なる語は、直鎖または分岐していてもよい飽和炭素鎖、特にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、メチルプロピル、n−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、2−メチルブチルまたは3−メチルブチルをいう。好ましくは、アルキルはメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはn−ペンチルである。
【0136】
本願明細書にて、それ自体で、あるいは他の基の一部として使用される「アリール」なる語は、単環式または二環式C−C10の芳香族環、特にフェニルまたはナフチル基、例えば、1−ナフチルおよび2−ナフチルをいい、それ自体が、限定されるものではないが、OH、NH、保護アミノ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシからなる群より、独立して、個々に選択される1または2個の置換基で置換され得る。
【0137】
本願明細書にて、それ自体で、あるいは他の基の一部として使用される「ヘテロアリール」なる語は、5ないし6個の環原子を含み、環部分の1または2個の原子が独立してN、OまたはSより選択される、ヘテロ芳香族基、例えば、チエニル、フラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル等をいい;それ自体が1個のメチル基で置換され得る。
【0138】
本願明細書にて使用されるハロゲンはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードをいう。
【0139】
Bはボロンを意味する。
【0140】
本願明細書にて、それ自体で、あるいは他の基の一部として使用される「アミン保護基」なる語は当業者に公知であるか、自明なものであり、限定されるものではないが、一連の保護基、すなわち、カルバメート、アミド、イミド、N−アルキルアミン、N−アリールアミン、イミン、エナミン、ボラン、N−P保護基、N−スルフェニル、N−スルホニルおよびN−シリルより選択され、それは限定されるものではないが、出典明示により本願明細書の一部とする、テキストブックGreene and Wuts、Protecting groups in Organic Synthesis、第三版、494-653頁に記載されるもの、より選択される。
【0141】
アミノ保護基は、例えば、カルボベンジルオキシ(Cbz)、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)または9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、からなる群より選択される。
【0142】
O−保護基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチルまたはベンジルからなる群より選択される。
【0143】
特記しない限り、本願発明の式の化合物その物に、ならびにその医薬組成物に言及する場合は、本願発明は水和物、塩および複合体のすべてを包含する。
【0144】
放射性ヨード化合物:アリール−Iおよび(ヘテロ)アリール−Iの一般的合成
SPECT検出可能なヨード同位元素は、次の公開されている方法により化合物に導入され得る。
【0145】
放射性ヨウ素化反応は、例えば、当業者に既知の、典型的な反応容器(例、ホイートンバイアル(Wheaton vial)、エッペンドルフバイアル、ヨードゲンチューブ等)にて、またはマイクロ反応容器にて実施され得る。典型的には、反応は、水溶液中にて室温で実施される。これらの水溶液は、限定されるものではないが、酸および緩衝剤を含有し得る。より迅速な変換のために必要ならば、反応(例えば、放射性ヨード−脱ハロゲン化または放射性ヨード−デトリアゼーション)を高温下、密封バイアル中で実施され得る。したがって、該バイアルは典型的な方法、例えば、油浴、ヒーティングブロックまたはマイクロ波により加熱することができる。電子求引性放射性ヨウ素化置換反応においては、電子求引性ヨウ素種の生成は、適当な酸化剤を添加することで系内にて実施される。これらの酸化剤は、限定されるものではないが、N−クロルアミド、過酸化水素、ヨードゲン、N−ハロスクシンイミドおよび過酸の群より選択され得る。これらの系内酸化は、例えば、直接ヨード脱プロトン化、ヨード脱金属化、または4−ヒドロキシフェニルスクシンイミジルエステルなどのヘテロ二官能性試薬を用いる間接ヨウ素化に用いることができる(BoltonおよびHunter試薬;Biochem. J. 1973、133、529)。有機溶媒は共溶媒としてかかる反応に適用され得る。放射性ヨウ素化反応は1ないし60分間行われ得る。かかる放射性ヨウ素化のこのおよび他の条件は当業者に既知である(Eisenhut M.、Mier W.、Radioiodination Chemistry and radioiodinated Compounds (2003) in: Vertes A.、Nagy S.、Klenscar Z.、(eds.) Rosch F. (volume ed.)、Handbook of Nuclear Chemistry, 4, pp.257-278およびCoenen H.H.、Mertens J.、Maziere B.、radioiodination Reactions for Pharmaceuticals, pp.29-72)。
【0146】
一般式IおよびIIのアリール−放射性ヨード化合物の先駆体は、例えば、アリール環に電子供与基の有る、または無い、ヨウ素不含の式(I)の化合物または式(III)の化合物である。電子供与基のないアリール化合物は、例えば、放射性ヨードデタレーション(dethallation)(例、J. Nucl. Med. 2000、38、1864)。対応する電子供与基置換のアリール化合物は、例えば、クロラミン−T(例、J. Med. Chem. 1988、31、1039)、ヨードゲン(例、J. Biol. Chem. 1990、265、14008)、過酢酸(例、J. Nucl. Med. 1991、32、339)、ラクトペルオキシダーゼ(例、Meth. Enzymol. 1980、70、214)等などの酸化剤の補助で直接放射性ヨウ素化され得る。
【0147】
一般式IおよびIIのアリール−放射性ヨード化合物に対する他の一般式IIIの先駆体は、例えば、アリールスタンニル化合物(例、Nucl. Med. Biol. 1993、20、597)、アリールボロン酸(例、US2008/312459)またはアリール−トリアゼン(例、J. Med. Chem. 1984、27、156)である。これらの先駆体の出発物質は市販されているか、または当該分野にて既知の方法により合成され得る(R.C. Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers 1989)。
【0148】
一般式IおよびIIのアリール−放射性ヨード化合物に対する先駆体はまた、アリールヨウ化物(例、J. Org. Chem. 1982、47、1484)またはアリール臭化物(例、J. Labeled Comp. radiopharm. 1986、23、1239)などのアリールハロゲン化の化合物である。
【0149】
一般式IおよびIIの放射性ヨウ素化化合物はまた、ボルトン−ハンター試薬(Biochem. J. 1973、133、529)などの補綴基を用いる間接的標識方法を介してビルドアップされ得る。
【0150】
一般式IおよびIIのヘテロアリール−放射性ヨード化合物に対する先駆体は、ヨウ素不含の対応する式(I)の化合物または式(III)の化合物、ハロゲン化された化合物、ヘテロアリールスタンニル化合物またはヘテロアリールボロン酸であり得る。これらの先駆体は、アリール−放射性ヨード化合物について上記されたような対応する放射性ヨウ素化生成物に変換され得る。
【0151】
一般式Iのビニル放射性ヨード化合物に対する先駆体は、例えば、ビニルトリアルキルシリル化合物(例、J. Med. Chem. 1997、40、2184)、ビニルトリアルキルスタンニル化合物(例、J. Labeled Comp. radiopharm. 1998、41、801)、ビニルボロン酸(例、J. Med. Chem. 1984、27、1287)、例えばカテコールボラン(例、J. Med. Chem. 1984、27、57)を用いるヒドロホウ素化を介して、または例えば、HSnBu3(例、J. Med. Chem. 1995、38、3908)wo用いるヒドロスタンニル化を介して適当なビニル化合物に変換することのできるアルキニル化合物であり得る。
【0152】
実験項目
略語
【表1】

【0153】
実施例:
実施例1
(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−3−[I−125]−ヨードベンジル)−ペンタンジオン酸
【0154】
a)ジ−tert−ブチル(2S,4S)−4−(4−ベンジルオキシ)ベンジル−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンタンジオエート
【化68】

【0155】
2.16g(6ミリモル)のジ−tert−ブチルBoc−グルタメート(Journal of Peptide Research(2001)、58、338)を18mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶かし、−70℃に冷却した。13mL(13ミリモル)のリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのテトラヒドロフラン中1M溶液をこの温度で滴下し、該混合物を−70℃でさらに2時間攪拌した。ついで、5.0g(18ミリモル)の4−ベンジルオキシベンジルブロミド/15mLのTHFを滴下し、この温度で2時間経過した後、冷却浴を取り外し、150mLの2N水性塩酸および500mLのジクロロメタンを添加した。有機相を分離し、中性になるまで水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮した。この操作で得られた粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル勾配を用いる、シリカゲルでのクロマトグラフィーに付し、適切なフラクションを合わせ、濃縮した。
【0156】
収量:0.48g(12.5%)
MS(ESIpos):m/z=556[M+H]
H NMR(300MHz、クロロホルム−d)d ppm 1.32(s,9H)、1.44−1.45(m,18H)、1.86−1.91(t,2H)、2.60−2.64(m,1H)、2.79−2.82(m,2H)、4.15−4.22(m,1H)、4.87−4.90(m,1H)、5.05(s,2H)、6.87−6.89(m,2H)、7.08−7.10(m,2H)、7.36−7.44(m,5H)
【0157】
b)ジ−tert−ブチル(2S,4S)−4−(4−ヒドロキシ)ベンジル−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンタンジオエート
【化69】

【0158】
340mg(0.61ミリモル)のジ−tert−ブチル(2S,4S)−4−(4−ベンジルオキシ)ベンジル−2−tert−ブトキシ−カルボニルアミノ−ペンタンジオエート(1a)を20mLのメタノールに溶かした。170mgのチャコール上パラジウム(10%)を添加し、該懸濁液を室温で一夜水素添加した。触媒より濾過した後、濾液を濃縮し、この操作で得られた粗生成物をヘキサン/酢酸エチル勾配を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーに付し、and 適切なフラクションを合わせ、濃縮した。.
【0159】
収量:186mg(64.0%)
MS(ESIpos):m/z=466[M+H]
H NMR(500MHz、クロロホルム−d)d ppm 1.34(s,9H)、1.45−1.46(m,18H)、1.87−1.90(t,2H)、2.60−2.63(m,1H)、2.78−2.81(m,2H)、4.18−4.20(m,1H)、4.86−4.90(m,2H)、6.72−6.74(m,2H)、7.03−7.05(m,2H)
【0160】
c)(2S,4S)−4−(4−ヒドロキシ)ベンジル−2−アミノ−ペンタンジオン酸
【化70】

【0161】
90mg(0.193ミリモル)のジ−tert−ブチル(2S,4S)−4−(4−ヒドロキシ)ベンジル−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンタンジオエート(1b)を2mLのジクロロメタンおよび2mLのトリフルオロ酢酸に溶かし、室温で3日間攪拌した。次に、該反応混合物を蒸発乾固させ、ついで得られた粗生成物をC18−シリカゲル上で水/メタノールを用いてクロマトグラフィーに付し、得られたフラクションを合わせ、蒸発により容量を減少させた。
【0162】
収量:20mg(40.9%)
MS(ESIpos):m/z=254[M+H]
H NMR(400MHz、DMSO−d6) d ppm 1.64−1.68(t,2H)、2.38−2.43(m,1H)、2.74−2.87(m,2H)、3.44−3.49(m,1H)、6.64−6.66(m,2H)、6.94−6.96(m,2H)、9.17(br,1H)
【0163】
d)(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−3−[I−125]−ヨードベンジル)−ペンタンジオン酸
【化71】

【0164】
0.5mgの(2S,4S)−4−(4−ヒドロキシ)ベンジル−2−アミノ−ペンタンジオン酸を1mLのPBS緩衝液に溶かし、500μgのヨードゲン(登録商標)で被覆したバイアルに移した。この混合物に、10μLの[125I]NaI(81MBq)の、0.1N NaOH中0.1N溶液を加え、25℃で15分間攪拌した。該反応混合物をもう一つ別のバイアルに注ぎ、4mLの水/アセトニトリル(2/1 v/v)で希釈し、その後で遠隔操作のHPLC注入システムを用いるHPLCユニットに移し、Agilent Zorbax Bonus−RP C18、5μm;250_9.4mm カラムを用いる半分取性HPLC精製に供した。アセトニトリル/水を0.1%トリフルオロ酢酸と共に溶出液として4ml/分の流速で用いた。精製には、20分間で20から80%へのアセトニトリルの線状勾配を用いた。生成物をピークで含有するHPLCフラクションを0.5M NaOHで中和し、滅菌フィルターに通し、83分の合成時間の後に、5.5mL中に67MBqの最終トレーサーを放射性化学收率82%にて、および99%の放射性化学純度にて得た。
【0165】
実施例2
(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−3−ヨードベンジル)−ペンタンジオン酸
【化72】

【0166】
10mg(0.039ミリモル)の(2S,4S)−4−(4−ヒドロキシ)ベンジル−2−アミノ−ペンタンジオン酸/0.7mL水性アンモニアを氷浴にて冷却した。ついで、10mg(0.039ミリモル)のヨウ素/0.1mLのエタノールを該溶液に滴下した。ついで、有機溶媒を蒸発させ、得られた水溶液を濃塩酸でpH4.5の酸性にした。得られた沈殿物を分離し、濾液を蒸発乾固させ、次に得られた粗生成物をC−18シリカゲル上で水/メタノールを用いるクロマトグラフィーに付し、得られたフラクションを合わせ、蒸発により容量を減少させた。
【0167】
収量:9mg(57.1%)
MS(ESIpos):m/z=380[M+H]
H NMR(300MHz、D2O) d ppm 1.68−4.06(m,6H)、6.81−6.86(m,1H)、7.03−7.09(m,1H)、7.58−7.60(m,1H)
【0168】
実施例3
(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−[I−125]−ヨードフェノキシ]プロピル)−ペンタンジオン酸
【0169】
a)ジ−tert−ブチル (2S,4S)−4−アリル−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンタンジオエート
【化73】

【0170】
26.96g(75ミリモル)のジ−tert−ブチルBoc−グルタメート(Journal of Peptide Research(2001)、58、338)を220mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶かし、−70℃に冷却した。165mL(165ミリモル)のリチウムビス(トリメチルシリル)アミドの、THF中1M溶液をこの温度で2時間にわたって滴下し、該混合物を−70℃でさらに2時間攪拌した。ついで、27.22g(225ミリモル)のアリルブロミドを滴下し、この温度で2時間経過した後、冷却浴を取り外し、375mLの2N水性塩酸および1.25Lの酢酸エチルを添加した。有機相を分離し、中性になるまで水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて濾過し、濾液を濃縮させた。この操作にて得られた粗生成物をヘキサン/酢酸エチル勾配を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーに付し、適切なフラクションを合わせ、濃縮した。
【0171】
収量:15.9g(53.1%)
MS(ESIpos):m/z=400[M+H]
H NMR(300 MHz、クロロホルム−d) d ppm 1.32−1.58(m,27H)、1.81−1.92(m,2H)、2.25−2.39(m,2H)、2.40−2.48(m,1H)、4.10−4.18(m,1H)、4.85−4.92(d,1H)、5.02−5.11(m,2H)、5.68−5.77(m,1H)
【0172】
b)ジ−tert−ブチル(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−ヒドロキシプロピル)−ペンタンジオエート
【化74】

【0173】
15.58g(39ミリモル)の実施例3aに記載の化合物を200mLのテトラヒドロフランに溶かし、氷浴にて冷却した。約20分間経過した後、54.6mL(54.6ミリモル)の1M ジボラン/テトラヒドロフラン複合体/テトラヒドロフランを窒素下で氷冷しながら滴下し、該混合物を氷上で2時間攪拌し、室温で一夜攪拌した。0℃に再び冷却し、次に58.5mLの1N水酸化ナトリウム水溶液および58.5mLの30%過酸化水素水溶液を滴下した。30分後、該混合物を水で希釈し、テトラヒドロフランを留去し、残りの水溶液を酢酸エチルで抽出した。有機相を分離し、中性になるまで水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて濾過し、濾液を濃縮させた。この操作にて得られた粗生成物をヘキサン/酢酸エチル勾配を用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、適切なフラクションを合わせ、濃縮した。
【0174】
収量: 8.5g(52.2%)
MS(ESIpos):m/z=418[M+H]
H NMR(300MHz、クロロホルム−d) d ppm 1.32−1.58(m,27H)、1.60−1.70(m,2H)、1.73−1.94(m,4H)、2.05−2.12(m,1H)、2.33−2.40(m,1H)、3.58−3.68(m,2H)、4.15−4.22(m,1H)、4.95−5.03(d,1H)
【0175】
c)ジ−tert−ブチル(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−[4−ヨードフェノキシ]プロピル)−ペンタンジオエート
【化75】

【0176】
4.18g(10ミリモル)のジ−tert−ブチル(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−ヒドロキシプロピル)ペンタンジオエート(3b)を100mLのTHFに溶かし、氷浴にて冷却した。0.94g(10ミリモル)のフェノールおよび3.67g(14ミリモル)のトリフェニルホスフィンを添加した後、2.92g(2.60mL、18.8ミリモル)のジエチルアゾジカルボキシレートを加えた。該混合物を氷上で2時間、および室温で一夜攪拌し、ついで濃縮させた。この操作にて得られた粗生成物をヘキサン/酢酸エチル勾配を用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、適切なフラクションを合わせ、濃縮した。
【0177】
収量: 2.1g(42.5%)
MS(ESIpos):m/z=494[M+H]
H NMR(300MHz、クロロホルム−d) d ppm 1.44(s,9H)、1.46−1.48(m,18H)、1.60−2.01(m,6H)、2.38−2.42(m,1H)、3.94−3.96(m,3H)、4.02−4.24(m,1H)、4.87−4.90(m,1H)、5.30−5.31(m,1H)、6.87−6.98(m,3H)、7.25−7.30(m,2H)
【0178】
d)(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−フェノキシ]プロピル)−ペンタンジオン酸
【化76】

【0179】
987mg(2ミリモル)のジ−tert−ブチル(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−[4−ヨードフェノキシ]プロピル)−ペンタンジオエート(3c)を20mLのメトキシベンゼンおよび10mLのトリフルオロ酢酸に溶かし、室温で一夜攪拌した。ついで、該反応混合物を蒸発乾固させ、次に得られた粗生成物をC18−シリカゲル上で水/メタノールのクロマトグラフィーに付し、得られたフラクションを合わせ、蒸発により容量を減少させた。
【0180】
収量:0.3g(53%)
MS(ESIpos):m/z=282[M+H]
H NMR(300MHz、DMSO−d6) d ppm 1.39−1.76(m,6H)、2.67−2.78(m,1H)、3.33−3.50(m,3H)、3.82−4.02(m,2H)、6.89−6.92(m,3H)、7.24−7.29(m,2H)
【0181】
e)(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−[I−125]−ヨードフェノキシ]プロピル)−ペンタンジオン酸
【化77】

【0182】
20μLの10mMの(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−フェノキシ]プロピル)−ペンタンジオン酸のトリフルオロ酢酸(TFA)溶液を、10μLのTFAに溶かした10mMのタリウム−(III)−トリス−トリフルオロアセテートと混合した。25℃で10分間攪拌した後、0.1N [125I]NaI(35.9MBq)溶液の0.1N NaOH中溶液(2μL)を、該反応混合物に加え、25℃でさらに5分間攪拌した。該反応混合物をもう一つ別のバイアルに注ぎ、4mLの水で希釈し、その後で遠隔操作のHPLC注入システムを用いるHPLCユニットに移し、Agilent Zorbax Bonus−RP C18、5μm;250_9.4mm カラムを用いる半分取性HPLC精製に供した。アセトニトリル/水を0.1%トリフルオロ酢酸と共に溶出液として4ml/分の流速で用いた。精製には、20分間で20から80%へのアセトニトリルの線状勾配を用いた。生成物をピークで含有するHPLCフラクションを0.5M NaOHで中和し、滅菌フィルターに通し、102分の合成時間の後に、2.4mL中に18.2MBqの最終トレーサーを放射性化学收率51%にて、および98%の放射性化学純度にて得た。
【0183】
実施例4
(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−ヨードフェノキシ]プロピル)−ペンタンジオン酸
【0184】
a)ジ−tert−ブチル (2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−[4−ヨードフェノキシ]プロピル)−ペンタンジオエート
【化78】

【0185】
2.92g(7ミリモル)のジ−tert−ブチル(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−ヒドロキシプロピル)ペンタンジオエート(3b)を50mLのTHFに溶かし、氷浴にて冷却した。1.10g(5ミリモル)の4−ヨードフェノールおよび1.84g(7ミリモル)のトリフェニルホスフィンを添加した後、1.46g(1.3mL、8.4ミリモル)のジエチルアゾジカルボキシレートを加えた。該混合物を氷上で2時間、室温で一夜攪拌し、ついで濃縮させた。この操作にて得られた粗生成物をヘキサン/酢酸エチル勾配を用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、適切なフラクションを合わせ、濃縮させた。
【0186】
収量: 1.0g(32.3%)
MS(ESIpos):m/z=620[M+H]
H NMR(400MHz、クロロホルム−d) d ppm 1.43−1.46(m,27H)、1.73−1.90(m,6H)、2.38−2.41(m,1H)、3.90−3.93(m,1H)、4.12−4.17(m,2H)、4.89(d,1H)、6.63−6.69(m,2H)、7.50−7.56(m,2H)

【0187】
b)(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−ヨードフェノキシ]プロピル)−ペンタンジオン酸
【化79】

【0188】
929mg(11.5ミリモル)のジ−tert−ブチル(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−[4−ヨードフェノキシ]プロピル)−ペンタンジオエート(4a)を20mLのトリフルオロ酢酸に溶かし、室温で一夜攪拌した。ついで、該反応混合物を蒸発乾固させ、次に得られた粗生成物をC18−シリカゲル上で水/メタノールを用いるクロマトグラフィーに付し、得られたフラクションを合わせ、蒸発により容量を減少させた。
【0189】
収量:0.32g(52.4%)
MS(ESIpos):m/z=408[M+H]
H NMR(300MHz、DMSO−d6) d ppm 1.33−1.73(m,6H)、2.55−2.69(m,1H)、3.37−3.43(m,3H)、3.85−3.89(m,2H)、6.71−6.75(m,2H)、7.50−7.55(m,2H)
【0190】
実施例5
生物学的特徴付け
本願発明の化合物の腫瘍細胞との結合能を数種の細胞実験にて研究した。
【0191】
NCI−H460(ヒトNSCLC)腫瘍細胞との結合の特異性を、3H−グルタミン酸をトレーサーとして、および(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−ヨードフェノキシ]プロピル)−ペンタンジオン酸を4μMから1mMの範囲にある濃度にて用いて試験した。意外にも、(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−ヨードフェノキシ]プロピル)−ペンタンジオン酸は、グルタミン酸のNCI−H460細胞における取り込みを濃度依存的に減少させることができ、このことは同じ輸送システムがヨウ素化された化合物によって活用されている可能性のあることを示す(図1)。
【0192】
次の実験では、NCI−H460細胞を[I125]−標識の(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−[I−125]−ヨードフェノキシ]プロピル)−ペンタンジオン酸と共に30分間インキュベートし、細胞結合フラクションを測定した。30分間インキュベーションすると、およそ12%の投与された活性が細胞に結合されている(図2)。
【0193】
さらには、(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−[I−125]−ヨードフェノキシ]プロピル)−ペンタンジオン酸をトレーサーとして、および(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−ヨードフェノキシ]プロピル)−ペンタンジオン酸を結合部位について競合するように過剰量(1mM)にて用い、結合の特異性を試験した。興味深いことに、結合の大きな減少が観察された(図3)。
【0194】
実施例6
細胞競合実験にて、3H−グルタミン酸をトレーサーとして、および(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸をトランスポーターについて競合するように過剰量(1mM)にて用い、結合の特異性を試験した。興味深いことに、試験した化合物はA549(ヒトNSCLC細胞系)ならびにNCI−H460(ヒトNSCLC)細胞におけるグルタミン酸の取り込みを減少させることができ、このことは同じ輸送システムが試験化合物にて活用されている可能性のあることを示すものである(図4)。
【0195】
実施例7
(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−3−[I−125]−ヨードベンジル)−ペンタンジオン酸の特異性を測定するために、該化合物を過剰量のL−グルタミン酸(1mM)に対するH460腫瘍細胞の細胞競合実験にてトレーサーとして用いた。興味深いことに、該取り込みは過剰なグルタミン酸により遮断可能であることが判明し、このことは同じ取り込みシステムを用いている可能性のあることを示すものである(図5)。
【0196】
図1:種々の濃度の(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−ヨードフェノキシ]プロピル)ペンタンジオン酸を用いる、H460細胞での3H−グルタミン酸取り込みの濃度依存性遮断
【0197】
図2;腫瘍細胞取り込み/結合実験における(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−[I−125]−ヨードフェノキシ]プロピル)ペンタンジオン酸の生物学的活性の試験;(NCI−H460細胞、I125標識の誘導体と一緒に30分間インキュベーション)
【0198】
図3:細胞競合実験における(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−[4−[I−125]−ヨードフェノキシ]プロピル)ペンタンジオン酸の生物学的活性の試験;(NCI−H460細胞、PBS−緩衝液中、I125標識の誘導体と一緒に30分間インキュベーション、「コールド」誘導体の濃度、1mM)
【0199】
図4:細胞競合実験における(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヨード−ベンジル)ペンタンジオン酸の生物学的活性の試験;(NCI−H460細胞、A549細胞、PBS−緩衝液中、1μCi 3H−グルタミン酸と共に10分間インキュベーション、試験化合物の濃度、1mM)
【0200】
図5:細胞競合実験における(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−3−[I−125]−ヨードベンジル)ペンタンジオン酸の生物学的活性の測定;(NCI−H460細胞、PBS−緩衝液中、[I125]標識の誘導体と共に10分間インキュベーション、L−グルタミン酸塩濃度、1mM)
【0201】
実施例8
(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸
【化80】

【0202】
8a)(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(4−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化81】

【0203】
1.44g(4ミリモル)のジ−tert−ブチルBoc−グルタメート(Journal of Peptide Research(2001)、58、338)を40mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶かし、−70℃に冷却した。10.4mL(10.4ミリモル)のリチウムビス(トリメチルシリル)アミドの、テトラヒドロフラン中1M溶液を、この温度で滴下し、該混合物を−70℃でさらに2時間攪拌した。次に、1.85g(6.2ミリモル)の4−ヨードベンジルブロミド/4mLのTHFを滴下し、この温度で2時間経過した後、冷却浴を取り外し、20mLの2N水性塩酸および250mLのジクロロメタンを添加した。有機相を分離し、中性になるまで水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて濾過し、濾液を濃縮させた。この操作にて得られた粗生成物をヘキサン/酢酸エチル勾配を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーに付し、適切なフラクションを合わせ、濃縮させた。
【0204】
収量:0.84g(36.6%)
MS(ESIpos):m/z=576[M+H]
H NMR(400MHz、クロロホルム−d) δppm 1.31(s,9H)、1.44(m,18H)、1.79−1.92(m,2H)、2.05−2.39(m,2H)、2.76−2.86(m,2H)、4.17−4.19(m,2H)、5.03−5.06(m,2H)、6.92−6.95(m,2H)、7.56−7.59(m,2H)
【0205】
8b)(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸
【化82】

【0206】
49mg(0.085ミリモル)のジ−tert−ブチル(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(4−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオエート(8a)を1mLのトリフルオロ酢酸に溶かし、室温で3時間攪拌した。ついで、該反応混合物を蒸発乾固させ、得られた粗生成物をC18−シリカゲル上で水/メタノールを用いるクロマトグラフィーに付し、得られたフラクションを合わせ、蒸発により容量を減少させた。
【0207】
収量:28mg(90.5%)
MS(ESIpos):m/z=364[M+H]
H NMR(400MHz、DMSO−d6) δppm 1.73−1.78(m,1H)、1.93−1.96(m,1H)、2.77−2.89(m,3H)、3.82−3.86(t,1H)、7.01−7.03(m,2H)、7.64−7.66(m,2H)、8.23(br,3H)
【0208】
実施例9
(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ4−(4−トリブチルスタンナニル−ベンジル)−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化83】

【0209】
777mg (1.35ミリモル)の(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(4−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル(8a)を30mLのトルエンに窒素下にて溶かした。2.34g(4.03ミリモル)のヘキサブチルジスタンナンおよび17.3mg(0.015ミリモル)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)/テトラヒドロフランを加え、該混合物を60℃で3日間攪拌した。得られた懸濁液を濾過し、ほとんど無色の濾液を真空下で濃縮させ、その直ぐ後で、ヘキサン/酢酸エチル勾配を用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、適切なフラクションを合わせ、濃縮させた。
【0210】
収量:218mg(21.9%)
MS(ESIpos):m/z=740[M+H]
H NMR(500MHz、クロロホルム−d) δppm 0.88(t,9H)、0.97−1.09(m,6H)、1.28−1.57(m,18H)、1.89−1.92(m,2H)、2.65−2.69(m,1H)、2.76−2.85(m,2H)、4.17−4.19(m,1H)、4.86−4.88(m,1H)、7.12−7.13(d,2H)、7.33−7.35(d,2H)
【0211】
実施例10
(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸
【化84】

【0212】
25μLの[125I]NaI(360.6MBq)の、0.1N NaOH中0.1N溶液を、25℃で、25μLの0.05Nリン酸(HPO)、500μgの(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ4−(4−トリブチルスタンナニル−ベンジル)−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル(9)と一緒に、100μLのエタノールおよび25μLのクロマチン−T溶液(1mg/100μLの0.1N KHPO)中にて5分間インキュベートした。インキュベーションした後、該反応混合物を1mLの水/アセトニトリル (1:1)で希釈し、その後で遠隔操作のHPLC注入システムを用いるHPLCユニットに移し、Agilent Zorbax Bonus−RP C18、5μm;250_9.4mm カラムを用いる半分取性HPLC精製に供した。アセトニトリル/水を0.1%トリフルオロ酢酸と共に溶出液として4ml/分の流速で用いた。精製には、15分間で60から100%へのアセトニトリルの線状勾配を用いた。集めたHPLCフラクション(保持時間:17.4分)を15mLの水で希釈し、C18plusカートリッジ(Waters)に適用した。10mLの水で洗浄した後、活性を2mLのエタノールで溶出した。この溶液に、300μLの4N HClを加え、開口したウィットンバイアル中、窒素がわずかに流れている環境下にて110℃で10分間加熱した。
【0213】
残渣を2mLの水/アセトニトリル(9:1)で希釈し、その後で遠隔操作のHPLC注入システムを用いるHPLCユニットに移し、Agilent Zorbax Bonus−RP C18、5μm;250_9.4mm カラムを用いる半分取性HPLC精製に供した。アセトニトリル/水を0.1%トリフルオロ酢酸と共に溶出液として4ml/分の流速で用いた。精製には、20分間で10から50%へのアセトニトリルの線状勾配を用いた。集めたHPLCフラクション(保持時間:13.9分)を18mLの水で希釈し、C18plusカートリッジ(Waters)に適用した。5mLの水で2回洗浄した後、活性を1mLのエタノールで溶出し、
126分の合成時間の後に、113.3MBqの最終トレーサーを放射性化学收率31%にて、および99%の放射性化学純度にて得た。最終トレーサーの比活性は42.9GBq/マイクロモルであった。
【0214】
実施例11
(2S,5S)−2−アミノ−5−(4−ヨード−ベンジル)−ヘキサンジオン酸
【化85】

【0215】
(11a)(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化86】

【0216】
13.67g(50ミリモル)のジ−tert−ブチル−L−アルファ−アミノアジペート(J Med Chem 1994、37(20)、3294-3302)を150mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶かした。20.79mL(150ミリモル)のトリエチルアミンを、および14.19g(65ミリモル)のジ−tert−ブチルジカルボネートの、50mLのTHF中溶液を添加した。該混合物を室温で一夜攪拌し、溶媒を真空下で濃縮させた。残渣を水および酢酸エチルに溶かし、有機相を分離し、水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮させた。この操作にて得られた粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル勾配を用いる、シリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、適切なフラクションを合わせ、真空下で濃縮させた。
【0217】
収量:8.4g(45.0%)
MS(ESIpos):m/z=374[M+H]
H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δppm 1.43−1.46(m,27H)、1.58−1.65(m,3H)、1.76−1.79(m,1H)、2.22−2.25(m,2H)、4.12−4.19(m,1H)、5.02−5.04(m,1H)
【0218】
(11b)(S)−2−アミノ−5−(4−ヨードベンジル)−ヘキサンジオン酸
【化87】

【0219】
1.87g(5ミリモル)の(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル(11a)を25mLのTHFに溶かし、−70℃に冷却した。11mL(11ミリモル)のリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのTHF中1M溶液をこの温度で30分間にわたって滴下し、該該混合物を−70℃で2時間攪拌した。次に、1.93g(6.5ミリモル)の4−ヨードベンジルブロミドを加え、この温度で3時間経過した後、冷却浴を取り外し、25mLの2N水性塩酸および100mLのジクロロメタンを加えた。有機相を分離し、中性になるまで水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮させた。この操作にて得られた粗生成物をヘキサン/酢酸エチル勾配を用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、適切なフラクションを合わせ、濃縮させた(75mg)。MS(ESIpos):m/z=590[M+H]
【0220】
残渣を3mLのトリフルオロ酢酸に溶かし、室温で一夜攪拌した。ついで、該反応混合物を蒸発乾固させ、次に得られた粗生成物をC18−シリカゲル上で水/メタノールを用いるクロマトグラフィーに付し、得られたフラクションを合わせ、蒸発により容量を減少させた。
【0221】
収量:7.5mg(0.4%)
MS(ESIpos):m/z=378[M+H]
H NMR(600MHz、酸化ジュウテリウム)δppm 1.36−1.48(m,2H)、1.63−1.76(m,2H)、2.33−2.40(m,1H)、2.56−2.63(m,2H)、3.51−3.61(m,1H)、6.89−6.92(d,2H)、7.53−7.57(d,2H)
【0222】
実施例11と同様にして、(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサンジオン酸ジ−tert−ブチルエステルは他のヨウ素化ブロモメチル(ヘテロ)アリール誘導体または個々のヨードメチル(ヘテロ)アリール誘導体でアルキル化され、つづいて脱保護され得る。
【0223】
実施例12
(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸の細胞の取り込みおよび滞留
(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸の生物学的活性を測定するために、H460(ヒトNSCLC)細胞を用いる細胞取り込み実験にてI−125標識の化合物をトレーサーとして使用した。およそ100,000個の細胞を0.25MBq(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸と、0.1%BSA含有のPBS緩衝液中で60分間までインキュベートし、細胞結合フラクションを測定した。経時的取り込みを60分間のインキュベーションの期間中観察した。適用した線量のおよそ22.3%がその60分間のインキュベーション期間の間に細胞に取り込まれた(図6を参照)。
【0224】
第二の実験において、活性の腫瘍細胞中での滞留を試験した。H460細胞を0.25MBqの(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸をPBS/BSA−緩衝液中にて30分間ローディングした。この取り込みが終わった後、緩衝液を除去し、細胞をPBSで洗浄した。ついで該細胞を新しいPBS緩衝液(活性を含まない)と30分間までインキュベートした。活性の上澄みへの放出、活性の細胞内での滞留を試験した。これらの流出条件下で30分間インキュベートした後、活性の75%以上が腫瘍細胞内に保持されることが判明した(図7を参照のこと)。
【0225】
実施例13
H460腫瘍担持マウスにおける生体内分布
(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸の薬物動態特性を試験するために、ヨウ素化された化合物をH460腫瘍担持マウスにて試験した。NMRI(nu/nu)マウスにH460腫瘍細胞を接種し、8ないし10日後に生体内分布を実験した。185kBqのトレーサーの活性を各マウスに注射した。各時点でn=3のマウスを用いた。I125標識の化合物を注射した後、指示される時点でマウスを殺した。器官のすべてを摘出し、γ−カウンターを用いて放射能を測定した。腫瘍にて高い取り込み(注射した30分後で、腫瘍1g当たり注射された線量の4.12%)が観察された。放射能の極めて速い清掃は腎臓を介して行われ、注射した30分後に90%より多くの活性が排泄された。生体内分布データは(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸の優れたSPECT画像化特性を示唆する(表1を参照のこと)。
【0226】
表1:H460腫瘍担持マウスにおける生体内分布
【表2】

【0227】
実施例14
SPECT画像化
(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸をNCI−H460(ヒトNSCLC)腫瘍担持ヌードマウス(NMRI nu/nu)にて試験した。およそ10MBqの(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[I−125]−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸を該マウスに注射した。SPECT画像化はγカメラ(Nucline SPIRIT DH-V)を用いて行われた。注射した60分後の35分間、60秒/フレームにて画像を撮影した。これらのSPECT画像にて腫瘍は極めて鮮明であった(図8を参照のこと)。
【0228】
実施例15
(S)−2−アミノ−5−(4−ヨードベンジル)−ヘキサンジオン酸の、グルタミン酸の腫瘍細胞への取り込みと競合する能力を試験した。したがって、腫瘍細胞を3H標識のグルタミン酸誘導体および(S)−2−アミノ−5−(4−ヨードベンジル)−ヘキサンジオン酸と一緒にインキュベートした。この化合物をトレーサー3H−グルタミン酸に比べてかなり過剰に使用した。2種の濃度(1mMまたは0.1mM)を試験した。意外にも、この化合物はグルタミン酸の取り込みを大きく減少させ、このことは同じ送達システムが試験化合物により活用されている可能性を示唆するものである。図9を参照のこと。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

(I)
[式中
n=0または1であり;
Aは
【化2】


からなる群より選択され、ここで、*はAの結合原子を示し;
およびRは水素であり、
はXであり、
ここで、Xは、
ヨード−アリール−G−CHであり、この場合、Gは直接結合またはC−Cアルキルであり、アルキル鎖のメチレン基は酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、アリール部分はR、OH、OR、NH、NHR、NRより独立して選択される1または2個の置換基により置換されていてもよく、ここでRはC−C−アルキル、好ましくはメチルであり;
ヨード−ヘテロアリール−G−CHであり、この場合、Gは直接結合またはC−Cアルキルであり、アルキル鎖のメチレン基は酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、ヘテロアリールは5ないし6個の環原子を含み、1または2個の原子は独立してN、OまたはSより選択され、ヘテロアリール部分はメチル基で置換されていてもよいか、あるいは
ヨード−CH=CH−(CH、ここでm=1−3である]
で示される、単一異性体、ジアステレオマー、互変異性体、E−およびZ−異性体、エナンチオマー、その混合物ならびにその適当な塩を含む、化合物。
【請求項2】
(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−3−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸
【化3】

(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−3−[125−I]ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸
【化4】

(2S,4S)−2−アミノ−4−[3−(4−ヨード−フェノキシ)−プロピル]−ペンタンジオン酸
【化5】

(2S,4S)−2−アミノ−4−[3−(4−[125−I]ヨード−フェノキシ)−プロピル]−ペンタンジオン酸
【化6】

(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸
【化7】

(2S,5S)−2−アミノ−5−(4−ヨード−ベンジル)−ヘキサンジオン酸
【化8】

および
(2S,4S)−2−アミノ−4−(4−[125−I]ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸
【化9】

から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
一般式(II):
【化10】

(II)
[式中
n=0または1であり;
Eは
【化11】


からなる群より選択され、ここで、*はEの結合する原子を示し;
およびRは水素であり、
がXであり、
ここで、Xは
ヨード−アリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであって、アルキル鎖のメチレン基は酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、アリール部分はR、OH、OR、NH、NHR、NRより独立して選択される1または2個の置換基により置換されていてもよく、ここでRはC−C−アルキル、好ましくはメチルであり;
ヨード−ヘテロアリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであって、アルキル鎖のメチレン基は酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、ヘテロアリールは5ないし6個の環原子を含み、1または2個の原子は独立してN、OまたはSより選択され、ヘテロアリール部分はメチル基で置換されていてもよいか、あるいは
ヨード−CH=CH−(CHであり、ここでm=1−3であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはトリフェニルメチルであり;
=水素またはN−保護基である;
ただし、置換基R、R、RまたはRの少なくとも一つは水素ではない]
で示される、単一異性体、ジアステレオマー、互変異性体、E−およびZ−異性体、エナンチオマー、その混合物ならびにその適当な塩を含む、化合物。
【請求項4】
(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−[3−(4−ヨード−フェノキシ)−プロピル]−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化12】

および
(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(4−[125−I]ヨード−ベンジル)−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化13】

より選択される、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
一般式(III):
【化14】

(III)
[式中、
n=0または1であり;
Eは
【化15】


からなる群より選択され、ここで、*はEの結合の原子を示し;
11およびR12は水素であり、
10はYであって、
ここで、Yは
L−アリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであり、アルキル鎖のメチレン基は酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、アリール部分はR、OH、OR、NH、NHR、NRより独立して選択される1または2個の置換基により置換されていてもよく、ここでRはC−C−アルキル、好ましくはメチルであり;
L−ヘテロアリール−G−CHであり、ここでGは直接結合またはC−Cアルキルであり、アルキル鎖のメチレン基は酸素原子または窒素原子により置き換えられていてもよく、メチレン基はオキソ基(=O)で置換されていてもよく、ヘテロアリールは5ないし6個の環原子を含み、1または2個の原子は独立してN、OまたはSより選択され、ヘテロアリール部分はメチル基で置換されていてもよいか、または
L−CH=CH−(CHであり、ここでm=1−3であって、Lは(R13Sn、(R13Siまたは(HO)Bであり、
ここでR13はC−Cアルキルであり、好ましくはn−ブチルであって;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはトリフェニルメチルであり;
=水素またはN−保護基である]
で示される、単一異性体、ジアステレオマー、互変異性体、E−およびZ−異性体、エナンチオマー、その混合物ならびにその適当な塩を含む、化合物。
【請求項6】
(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(4−トリブチルスタンナニル−ベンジル)−ペンタンジオン酸ジ−tert−ブチルエステル
【化16】

より選択される、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
請求項1ないし6に記載の一般式(I)、(II)、(III)の化合物またはその混合物と、医薬上許容される担体または希釈体とを含む、組成物。
【請求項8】
請求項1ないし4の式(I)、(II)の化合物またはその混合物を得る方法であって、
−一般式(III)の化合物を含ヨウ素部分と反応させ、ここで該ヨウ素が123I、124I、125I、127Iまたは131Iである工程、
−式(II)の化合物を脱保護してもよい工程、および
−得られた化合物を、無機または有機酸のその適当な酸、その水和物、その複合体、またはその溶媒和物に変換してもよい工程
を含む、方法。
【請求項9】
増殖性疾患を画像化するための造影トレーサーの製造のための請求項1ないし4の式(I)または(II)の化合物あるいはその混合物。
【請求項10】
所定量の請求項1ないし6の一般的化学式(I)、(II)または(III)の化合物またはその混合物、および無機または有機酸のその適当な塩、その水和物、複合体、エステル、アミドまたは溶媒和物を含有する密封したバイアルを含む、キット。
【請求項11】
増殖性疾患の放射線療法のための治療薬を製造するための、請求項1ないし4の一般式(I)または(II)の化合物またはその混合物であって、ヨウ素同位元素が131Iである、化合物または混合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−510894(P2013−510894A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539291(P2012−539291)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067500
【国際公開番号】WO2011/061154
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(507113188)バイエル・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】