説明

ライスセンターやカントリーエレベータ等の荷受における生籾の仕分け方法

【課題】地上に設置したカメラで圃場を斜め上方から撮影して求めたタンパク含有率の分布割合から、荷受けした生籾を該生籾のタンパク含有率で仕分けるための閾値を設定し、前記閾値により仕分けを行うことを技術的課題とする。
【解決手段】本発明は、閾値を設定し、該閾値に基づいて、荷受けする生籾を該生籾のタンパク含有率により仕分ける方法において、荷受対象の各圃場で栽培されている稲の窒素含有率を、地上に設置したカメラで圃場を斜め上方から撮影して測定し、前記窒素含有率の測定値を使用して、前記稲から収穫する生籾の収穫時におけるタンパク含有率を圃場ごとに求め、前記タンパク含有率を使用して荷受対象の全圃場における生籾のタンパク含有率の分布割合を作成し、荷受対象の圃場で収穫が開始される前に、前記タンパク含有率の分布割合から前記閾値を設定することを特徴とする穀類乾燥調製施設における生籾の仕分け方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライスセンターやカントリーエレベータ等(以下、「穀物乾燥調製施設」という)で荷受けされる生籾を該生籾のタンパク含有率に基づいて仕分ける方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、穀物乾燥調製施設において、荷受けした生籾を該生籾のタンパク含有率等の品質情報により仕分ける場合、荷受時に生籾のタンパク含有率等の測定を行って、その測定値により仕分けを行っていた。この場合、仕分けを行うための閾値を事前に設定する必要があるが、荷受けした全ての生籾を測定した後でなければ、その年に荷受けする全生籾のタンパク含有率の正確な分布割合を求めることは不可能なため、荷受開始前に閾(しきい)値を経験によって設定する必要があった。しかし、この閾値設定方法では、荷受開始後に閾値を変更しなければならないおそれがある。このため、非特許文献1は、人工衛星を利用したリモートセンシング技術を用いて、その年に荷受けする生籾のタンパク含有率の分布割合を荷受開始前に把握し、集出荷計画を策定することが示唆されている。
【0003】
しかし、人工衛星を利用した前記リモートセンシングでは、人工衛星を利用することから撮影高度が必然的に高くなるので、解像度が低く、また、大気中の水分や塵による影響を受けるので、高精度の測定を行うことが困難である。さらに、雲のない晴天時にしか必要な画像を撮影できないにもかかわらず、人工衛星には既定の観測周期があるため、決められた日時の画像しか取得することができない。その上、日本国内の山間部のように入り組んだ地形に圃(ほ)場が点在する場合は、荷受対象の全圃場の画像を取得するために、圃場以外の不必要な広い範囲の地域の画像も同時に購入しなければならないこともあり、コスト的に好ましくない、という欠点がある。
【非特許文献1】上川支庁旭川地区農業改良普及センター水稲部会、”衛星画像を利用したリモートセンシング活用事例”、[online]、平成13年3月31日、[平成16年8月23日]、北海道上川中央部良食味米産地リモートセンシング推進協議会、インターネット〈URL:http://www.agri.pref.hokkaido.jp/center/syuppan/a_rimosen/index.htm〉
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点をかんがみ、人工衛星を利用せず、地上に設置したカメラで圃場を斜め上方から撮影するリモートセンシング技術を利用して求めたタンパク含有率の分布割合から、荷受けした生籾を該生籾のタンパク含有率で仕分けるための閾値を設定し、穀物乾燥調製施設において前記閾値により仕分けを行うことを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明は、閾値を設定し、該閾値に基づいて、荷受けする生籾を該生籾のタンパク含有率により仕分ける方法において、荷受対象の各圃場で栽培されている稲の窒素含有率を、地上に設置したカメラで圃場を斜め上方から撮影して測定し、前記窒素含有率の測定値を使用して、前記稲から収穫する生籾の収穫時におけるタンパク含有率を圃場ごとに求め、前記タンパク含有率を使用して荷受対象の全圃場における生籾のタンパク含有率の分布割合を作成し、前記荷受対象の圃場で収穫が開始される前に、前記タンパク含有率の分布割合から前記閾値を設定することを特徴とする穀類乾燥調製施設における生籾の仕分け方法とした。
また、前記窒素含有率を補正するために、稲葉の窒素含有率を直接測定することが可能な測定装置を利用した。
【発明の効果】
【0006】
リモートセンシング技術を用いることで、その年に荷受けする生籾のタンパク含有率の分布割合を前記生籾の収穫前に把握することができる。したがって、荷受けした生籾を該生籾のタンパク含有率で仕分ける場合の閾値を、前記タンパク含有率の分布割合から収穫開始前に確実に設定することが可能となる。また、地上に設置したカメラで圃場を斜め上方から撮影するリモートセンシング技術を用いるので、撮影日時を測定者が自由に設定でき、その上、圃場のみを撮影できるので、撮影を効率良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。図1は、本発明の実施形態における処理プロセスを示すフローチャート1である。まず、リモートセンシングによる稲体の窒素含有率の測定(ステップS1)について説明する。この窒素含有率は、荷受けする生籾のタンパク含有率を求めるために必要な測定値である。ここでは、作物として水稲を例にして説明する。なお、地上に設置したカメラで圃場を斜め上方から撮影するリモートセンシングに関しては、特開2000−350517号公報、特開2001−45867号公報及び特開2001−45868号公報にて詳細な説明があるので、ここでは概要のみを説明する。図2は、圃場2を撮影する一例を示している。水稲が栽培されている圃場2に向けてカメラ3が所定の位置に設置されている。圃場2は自然光にさらされている。符号4は基準板であり、基準板4は、基準板4の自然光による反射光をカメラ3が受光できる位置に設置されている。また、カメラ3の撮影範囲には圃場2全体が含まれている。カメラ3はデータ処理装置20と接続されている。データ処理装置20は、カメラ3で撮影した画像データを処理できるものであればよく、例えば一般的なノート型パソコンを用いることができる。符号21は、カメラ3での測定値を補正するために必要な、後述する携帯型の測定装置である。なお、ここでの圃場2とは、「畔(あぜ)」で区切られた1枚の圃場であってもよいし、その1枚の圃場内の一区画であってもよい。また、複数枚の圃場を同時に撮影することも可能である。
【0008】
図3で示すものは、カメラ3の機能を表す簡略なブロック図である。カメラ3は、例えば24万画素(600×400)の解像度を有するCCD5を備えている。また、カメラ3には複数の狭帯域フィルタ6を備えたフィルタホイール7が取り付けられている。このフィルタホイール7を回転させることにより狭帯域フィルタ6を切り換えて、各狭帯域フィルタ6で撮影することができる。狭帯域フィルタ6を透過した光は、集光レンズ8を介してCCD5によって受光される。フィルタホイール7は、制御回路9によって駆動制御されるステッピングモータ10によって回転する。また、制御回路9は、CCD5が受光して得た画像データをデータ処理装置20に送出する。なお、狭帯域フィルタ6は、可視光域波長と近赤外波長とから、それぞれ適宜選択すればよい。これらの波長は、稲体の窒素含有率を測定するための帯域を選択することが必要である。図3では4枚の狭帯域フィルタ6を示しているが、目的に応じて随時変更可能である。
【0009】
カメラ3での撮影においてCCD5で受光するのは、圃場2内の稲体及び基準板4の自然光による反射光である。稲体の自然光による反射光量は、気象(照度)の影響により変動する。そのため、圃場2内の稲体及び基準板4の反射光量を同時に測定し、稲体の反射光量と基準板4の反射光量との比による稲体の反射率を求め、該反射率を用いることで気象(照度)の影響を除去する。具体的には、基準板4の反射率が95%で一定で、基準板4の反射光量がXであるとすると、基準とする基準反射量Yは、
【数1】

によって求まる。次に、カメラ3で測定した圃場2の稲体の反射光量をZとすると、
【数2】

によって、稲体の反射率Uが求まる。このように、反射率が既知の基準板4を用いて稲体の反射率を求めることで気象(照度)の影響を除去することができる。なお、この稲体の反射率は、稲体の窒素含有率を求めるために使用する。
【0010】
前述の稲体及び基準板4の反射光量は、次のように測定する。狭帯域フィルタ6を切り換えて各狭帯域フィルタ6を透過した自然光による圃場2の稲体及び基準板4の反射光をカメラ3のCCD5によってそれぞれ受光する。受光して得た画像データは、データ処理装置20に送出する。データ処理装置20では、前記画像データから前記稲体及び基準板4の反射光量を計算により求める。これらの反射光量を、数式1及び数式2にあてはめることにより稲体の反射率が得られる。なお、カメラ3への圃場からの反射光は、カメラ3に近い位置の圃場からの反射光と、カメラ3から離れた位置の圃場からの反射光とで、カメラ3への入射角度が異なる。したがって、入射角度が異なることによる入射光量の差を補正して反射率を求めることが好ましい。
【0011】
データ処理装置20には、前もって作成しておいた検量線(以下、「第1の作物関係式」という)が記憶されている。この第1の作物関係式は、稲体の反射率からその稲体の窒素含有率を求めるためのものである。前記第1の作物関係式は次のようにして求める。まず、カメラ3で圃場内の一定面積の範囲を撮影し、前記一定面積の範囲内で生育している稲体の反射率を各狭帯域フィルタ6で求める。次に、前記一定面積の範囲内に生育する複数の稲体から稲葉を採取し、採取した稲葉の窒素含有率を直接化学分析により求める。そして、前記反射率を説明変数、前記窒素含有率を目的変数として重回帰分析等を用いて第1の作物関係式を作成する。一般的に、重回帰分析に用いる説明変数及び目的変数のサンプル数が多いほど第1の作物関係式の精度を高めることができる。また、第1の作物関係式は、サンプルデータを加えて毎年更新することにより、より的確なものとなる。
【0012】
数式1、数式2及び第1の作物関係式は、データ処理装置20に前もって記憶されているので、カメラ3によって、基準板4と圃場2で生育している稲体とを撮影し、撮影して得られた画像データをデータ処理装置20に送出すれば、データ処理装置20にて、数式1、数式2及び第1の作物関係式に基づき前記稲体の窒素含有率(以下、「第1の作物情報」という)を計算することができる。このようにして荷受対象の各圃場で栽培されている稲体の第1の作物情報を測定する。前記第1の作物情報は、荷受時のことを考慮して、圃場ごとに平均値を求め、この平均値を各圃場の第1の作物情報として扱う。
【0013】
ところで、特開平10−96692に記載されているような携帯型の葉の成分測定装置(以下、「測定装置21」という)を用いることで、圃場2で栽培されている稲体の稲葉の窒素含有率(以下、「第2の作物情報」という)を容易に測定することができる。また、この第2の作物情報にて、第1の作物情報を補正することができる。測定装置21は、稲葉を直接測定して稲体の窒素含有率を求めるので、測定方位や植栽密度などの影響を受けない。このため、本発明では、第1の作物情報の測定方位や植栽密度の影響による誤差の補正に、測定装置21で測定した第2の作物情報を使用する。具体的には、第1の作物情報と第2の作物情報との差異を補正に用いる。例えば、ある圃場の一定面積の範囲内で生育している稲体の窒素含有率が、カメラ3による測定で4.0%(第1の作物情報)、測定装置21による測定で3.0%(第2の作物情報)であったとする。なお、測定装置21による測定値は、前記一定面積の範囲に生育している複数の稲体の葉を測定した平均値である。前記第1の作物情報はデータ処理装置20内のRAMに記憶されており、前記第2の作物情報は測定装置21に記憶されているから、この第2の作物情報を、データ処理装置20に入力して、データ処理装置20内のRAMに記憶する。前記入力方法は、自動又は手動のどちらの方法でも良い。データ処理装置20では、RAMに記憶した前記第1の作物情報と前記第2の作物情報との差異を算出し、この差異によって第1の作物情報の補正を行う。ここでは、第1の作物情報を4.0%、第2の作物情報を3.0%としているので、第1の作物情報が第2の作物情報よりも1.0%高い値となっているから、差異は−1.0%となる。この差異を前記第1の作物情報に加えて、前記第1の作物情報は3.0%と補正される。
【0014】
前記差異を補正値としてデータ処理装置20内のRAMに記憶しておくことで、今後、カメラ3による測定で求めた第1の作物情報を、前記差異の−1.0%によって補正することができる。これにより、測定方位や植栽密度の影響を除去した測定が、カメラ3とデータ処理装置20とによって実現可能となる。なお、補正値(差異)を定めるに当たって、カメラ3によって得られた第1の作物情報の情報源と、測定装置21によって得られた第2の作物情報の情報源とは共通であることが重要である。つまり、カメラ3によって撮影する稲体と、測定装置21によって測定する稲葉の稲体とが、同一であることが重要である。測定装置21の測定値は、測定方位や植栽密度に関係なく得られた値であることから、前記測定値を利用して補正した第1の作物情報、すなわち、カメラ3による測定値は、従来のリモートセンシングに比べて外的要因に左右されないものとなる。
【0015】
また、カメラ3の解像度が24万画素であるとすると、面積が10アールの圃場をカメラ3によって一度に撮影した場合、1平方メートル当たりの画素数は240画素となる。この程度の解像度が確保できるのであれば、地上からの撮影の他、気球、ラジコン飛行装置(飛行機、ヘリ)又は有人飛行機にカメラ3を搭載して圃場を撮影することも可能である。なお、地上からの撮影とは、地面から1m〜10mの高さから圃場を見下ろすようにカメラにて撮影することである。
【0016】
次に、カメラ3によるリモートセンシングによって求めた各圃場の稲体の平均窒素含有率、すなわち、第1の作物情報から、収穫時における生籾のタンパク含有率(玄米換算)を圃場単位で求めるステップS2について説明する。なお、「玄米換算」とは、生籾が玄米に処理されたときの玄米状態でのタンパク含有率のことを示す。まず、特定の生育時期における稲体の窒素含有率と、収穫時の生籾のタンパク含有率(玄米換算)との関係を解析することによって、前記タンパク含有率を求めるための検量線(第2の作物関係式)を事前に作成しておく。
【0017】
前記検量線(以下、「第2の作物関係式」という)は次のように作成する。ここで、カメラ3にて測定して求めた、ある圃場で栽培されている、ある特定の生育時期の稲体の平均窒素含有率N1と、前記圃場で収穫された生籾の平均タンパク含有率P1(玄米換算)とが存在し、
【数3】

が成立するとすれば、複数の圃場で、前記平均窒素含有率と前記平均タンパク含有率とを求めることによって、
【数4】

となり、これらを単回帰分析により解析すれば、
【数5】

として、第2の作物関係式を求めることができる。なお、この第2の作物関係式は、前記生育時期に対応しているので、前記生育時期とは別の生育時期においては精度が低下する。したがって、第2の作物関係式は、各生育時期で作成することが望ましい。第2の作物関係式をデータ処理装置20に記憶しておけば、カメラ3による測定値(窒素含有率)から前記平均タンパク含有率を演算することができる。すなわち、リモートセンシングによって求めた各圃場の稲体の平均窒素含有率を第2の作物関係式に適用することにより、収穫時における生籾のタンパク含有率(玄米換算)を圃場単位で求めることが可能となる。一般的に回帰分析に用いるサンプル数が多いほど関係式の精度を高めることができるので、第2の作物関係式は、サンプルデータを加えて毎年更新することで、より的確なものとなる。また、作物の生長は、土壌の地力窒素発現力と施肥量の影響を受けるので、第2の作物関係式は、灰色低地土・グライ土・黒ボク土といった土壌別に作成することが望ましい。
【0018】
次に、穀物乾燥調製施設においてタンパク含有率によって仕分けを行う場合の閾値を設定するステップS3について説明する。まず、カメラ3による測定で求めたタンパク含有率を用いて、荷受対象の全圃場におけるタンパク含有率の分布割合を求める。この分布割合は、例えば、図4で示すようなグラフを作成することにより容易に求めることができる。図4は、横軸にタンパク含有率、縦軸に収穫量をとっている。なお、ここでのタンパク含有率とは、当然、各圃場の収穫時における生籾の平均タンパク含有率(玄米換算)のことである。また、収穫量は、各圃場の面積から計算した値である。図4では、1つの閾値を設定して区分Aと区分Bとの2区分に仕分けた場合を示している。図4中のB1は、荷受けする生籾を2区分に仕分ける場合の閾値である。この閾値B1は、タンパク含有率の分布割合から各ユーザーが最適な値を設定すればよい。本発明においては、区分の数に規制はなく、閾値により自由に仕分けの区分を設けてよい。なお、仕分けは通常2区分、多くても3区分が好ましい。また、タンパク含有率の正確な分布割合を求めるためには、荷受対象の全圃場を測定する必要があるが、大凡の分布割合が判ればよい場合は、測定する圃場数を減らしてもよい。
【0019】
ところで、カメラ3によって収穫時の生籾のタンパク含有率(玄米換算)を測定しても、測定後の、収穫を行うまでの生育期間の気象条件の影響により、前記タンパク含有率(玄米換算)が変動することが考えられる。このため、前記測定は、収穫適期よりも前の、極力収穫適期に近い時期に行うことが好ましい。なお、前記タンパク含有率(玄米換算)が気象条件の影響により測定後に変動したとしても、本発明の仕分け方法への影響は小さい。なぜなら、気象条件の影響による変動は、限定された狭い地域内で生じるものではなく、少なくとも荷受対象の全圃場で同様の傾向で生じる。したがって、荷受対象の、ある圃場にて収穫された生籾の収穫時のタンパク含有率(玄米換算)が、カメラ3による測定値よりも仮に高くなったとしたら、荷受対象の、その他の圃場で収穫された生籾の収穫時のタンパク含有率(玄米換算)も同様に高くなっている。このため、カメラ3での測定後に気象条件の影響によって収穫時のタンパク含有率(玄米換算)が高い方へ変動する場合は、図5の点線で示すように、荷受対象の全圃場で全体的に高い方へシフトすることになる。つまり、タンパク含有率(玄米換算)の絶対値が変動したとしても、荷受対象の全圃場でのタンパク含有率(玄米換算)の相対的な分布割合が変わらないため、各区分の荷受量に変化はなく、すなわち、本発明の仕分け方法への影響は小さい。
【0020】
次に、荷受時の仕分け(ステップS4)方法について、図6により説明する。荷受は一般的な穀物乾燥調製施設で行えばよい。穀物乾燥調製施設では、荷受けした生籾を全てバッチ処理しているので、このときに品種や品質情報などによって投入すべき貯蔵タンクを決定して仕分けを行っている。本発明の仕分け方法では、荷受けした生籾を該生籾のタンパク含有率(玄米換算)により仕分けるようにして、荷受時の煩雑な仕分け作業を簡素化しているので、特定の時期に集中する荷受に十分対応できるものとなっている。荷受した生籾は、荷受ホッパ31に投入され、揚穀機33を介して粗選機32に供給され、切れ穂、夾雑物及び未熟粒が除去される。粗選された生籾は、計量機34へ送られて計量される。そのとき計量機34にてサンプル生籾が採取される。なお、サンプル採取は必ずしもこの位置でなくとも荷受ホッパ等任意の位置に選定可能である。前記サンプル生籾は、サンプル計測装置48に送られ、サンプル計測装置48にて測定される。サンプル計測装置48は、一般に用いられているものを使用すればよく、特に限定されない。なお、サンプル計測装置48は、水分等の必要とされる生籾の品質情報を測定するのに用いられる。また、前記サンプル生籾のタンパク含有率(玄米換算)を測定し、カメラ3の測定によるリモートセンシングによって求めたタンパク含有率(玄米換算)の確認を行うとよい。
【0021】
計量機34にて計量が終了した生籾は、カメラ3の測定により求めたタンパク含有率(玄米換算)により貯留タンク37a〜37fのいずれかに供給される。ここでは、前述の図4のグラフで示しているように、閾値B1によって、2区分に仕分けを行う。したがって、前記タンパク含有率がB1未満の生籾は区分A、前記タンパク含有率がB1以上の生籾は区分Bと仕分けされる。貯蔵タンク37a〜37fは、区分Aの生籾の全荷受量と区分Bの生籾の全荷受量の割合によって使い分ければよい。なお、ここでの全荷受量とは、圃場の面積から求めた計算値であり、実測値ではない。しかし、仕分けは通常2区分、多くても3区分程度なので、荷受量の計算値の精度がそれほど正確でなくとも現実として問題ない。図6で示すように6基の貯蔵タンク37a〜37fが配置されていて、区分Aの生籾の荷受量と区分Bの生籾の荷受量とがほぼ同量である場合は、6基の貯蔵タンクを3基ずつに配分して、区分Aの生籾を貯蔵タンク37a、37b及び37cに供給し、区分Bの生籾を貯蔵タンク37d、37e及び37fに供給する。また、区分Aの生籾の荷受量が、区分Bの生籾の荷受量の2倍であれば、区分Aの生籾を4基の貯蔵タンク37a〜37dへ供給し、区分Bの生籾を2基の貯蔵タンク37e、37fに供給するようにすればよい。
【0022】
このように、荷受けした生籾は、タンパク含有率(玄米換算)によって、計量機34から揚穀機35及び搬入用コンベア36を介して貯蔵タンク37a〜37fのいずれかへ仕分け供給される。貯留タンク37a〜37fに一定量の生籾が貯留されると、前記生籾は排出用コンベア38から揚穀機39を介して乾燥機40へ送られる。乾燥機40により乾燥された籾は、揚穀機41及び搬入用コンベア42を介してサイロ43に送られる。サイロ43は、複数の貯蔵サイロ44と乾燥作用を受けた籾を調質する複数の間隙サイロ45とからなる。乾燥開始直後、籾は間隙サイロ45へ送られてテンパリングされる。この間隙サイロは、貯蔵サイロ44の間隙に立設された一回り小さいサイロであり、乾燥作用を受けた籾を調質するために使用する。間隙サイロ45へ送られた籾は、排出用コンベア46、揚穀機39によって乾燥機40に送ることができるようになっており、前記籾が設定水分に乾燥されるまで乾燥機40と間隙サイロ45との間を循環する。収穫期間中は、荷受と乾燥が同時に行われ、設定水分、例えば18%になった籾は貯蔵サイロ44に一時貯留される。貯蔵サイロ44に貯留された籾は、排出用コンベア46、揚穀機39によって乾燥機40に送ることができるようになっているので、荷受期間終了時点から、仕上がり水分、例えば15%までさらに乾燥機40にて乾燥が行われる。そして、乾燥終了後は出荷されるまで貯蔵サイロ44に貯蔵される。なお、貯蔵サイロ44及び間隙サイロ45は、それぞれ複数設置されているので、仕分けを行った籾が混ざらないように使い分けを行う。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の処理プロセスを示すフローチャートである。
【図2】撮影状態を示した説明図である。
【図3】圃場の撮影に使用するカメラの概略ブロック図である。
【図4】タンパク含有率の分布割合を表すためのグラフである。
【図5】タンパク含有率が高い方へシフトした場合の分布割合を示したグラフである。
【図6】仕分けを行う穀物乾燥調製施設の概略図である。
【符号の説明】
【0024】
1 処理プロセスのフローチャート
2 圃場
3 カメラ
4 基準板
5 CCD
6 フィルタ
7 フィルタホイール
8 レンズ
9 制御回路
10 ステッピングモータ
20 データ処理装置
21 測定装置
31 荷受ホッパ
32 粗選機
33 揚穀機
34 計量機
35 揚穀機
36 搬入用コンベア
37a 貯蔵タンク
37b 貯蔵タンク
37c 貯蔵タンク
37d 貯蔵タンク
37e 貯蔵タンク
37f 貯蔵タンク
38 排出用コンベア
39 揚穀機
40 乾燥機
41 揚穀機
42 搬入用コンベア
43 サイロ
44 貯蔵サイロ
45 間隙サイロ
48 サンプル計測装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
閾値を設定し、該閾値に基づいて、荷受けする生籾を該生籾のタンパク含有率により仕分ける方法において、荷受対象の各圃場で栽培されている稲の窒素含有率を、地上に設置したカメラで圃場を斜め上方から撮影して測定し、前記窒素含有率の測定値を使用して、前記稲から収穫する生籾の収穫時におけるタンパク含有率を圃場ごとに求め、前記タンパク含有率を使用して荷受対象の全圃場における生籾のタンパク含有率の分布割合を作成し、前記荷受対象の圃場で収穫が開始される前に、前記タンパク含有率の分布割合から前記閾値を設定することを特徴とするライスセンターやカントリーエレベータにおける生籾の仕分け方法。
【請求項2】
稲葉の窒素含有率を直接測定することが可能な測定装置を用いて前記窒素含有率を補正する請求項1に記載の生籾の仕分け方法。






































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−101768(P2006−101768A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−293157(P2004−293157)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】