ラインヘッドの組み立て方法、ラインヘッド、画像形成装置
【課題】発光素子から照射された光が支持部材を通り、ゴースト光となって感光体に照射されるので、感光体に形成される静電潜像のコントラストが低下してしまうという課題がある。
【解決手段】レンズが形成されたレンズアレイ８０と、透光性を有する支持部材８２と、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、を備え、レンズアレイ８０と、支持部材８２とが、紫外線硬化型接着剤９０に支持部材８２より光透過率が低いギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤によって接合されていることを特徴とするラインヘッドを提供する。
【解決手段】レンズが形成されたレンズアレイ８０と、透光性を有する支持部材８２と、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、を備え、レンズアレイ８０と、支持部材８２とが、紫外線硬化型接着剤９０に支持部材８２より光透過率が低いギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤によって接合されていることを特徴とするラインヘッドを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ラインヘッドの組み立て方法、ラインヘッド、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
電子写真方式を用いる複写機、プリンター等の画像形成装置には、回転する感光体の表面を露光処理して静電潜像を形成する露光手段が備えられている。このような露光手段としては、例えば発光ダイオードなどの複数の発光素子を、感光体の軸方向に配列した構造のラインヘッドが知られている。
【０００３】
例えば、特許文献１では、発光素子が形成されたガラスなどの発光素子基板と、レンズが形成されたレンズアレイを備え、発光素子から照射された光を、レンズアレイを通して感光体に照射するラインヘッドが記載されている。このようなラインヘッドでは、レンズの光軸方向において、発光素子基板とレンズアレイとの間には、発光素子基板とレンズアレイを支持する支持部材としてのスペーサーが設けられる。発光素子の光軸やレンズの光軸が一致するように、発光素子基板やレンズアレイは、このスペーサーによって支持される。
光軸と直角方向において、発光素子の位置と、レンズアレイのレンズの光軸の位置がずれることによって感光体に形成される像が歪んだりしないようにするため、特許文献２では、レンズアレイの位置を調整する方法が提案されている。
発光素子とレンズアレイとの光軸と直角方向における位置の調整の後、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型接着剤を用いて、スペーサーを介して発光素子とレンズアレイを固定すれば、発光素子とレンズアレイとの位置の調整を開始してから固定するまでの時間を短縮することができる。
そこで、透光性を有するスペーサーを用いることで、紫外線がスペーサーを透過し、スペーサーと発光素子基板との間や、スペーサーとレンズアレイとの間に塗布された紫外線硬化型接着剤を硬化させることによって、発光素子やレンズアレイの位置の調整を開始してから固定するまでの時間を短縮することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００９−９８６１３号公報
【特許文献２】特開２００８−１５２０４０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、ラインヘッドを構成する支持部材が透光性を有すると、発光素子から照射された光が支持部材を通り、ゴースト光となって感光体に照射されるので、感光体に形成される静電潜像のコントラストが低下してしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【０００７】
［適用例１］レンズが形成されたレンズアレイと、透光性を有する支持部材と、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、を備え、前記レンズアレイと、前記支持部材とが、接着剤に前記支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されていることを特徴とするラインヘッド。
【０００８】
この構成によれば、レンズアレイと、支持部材とが、接着剤に支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されている。これにより、発光素子から照射され、支持部材を透過した光は、接着用混合剤に含まれるギャップ材を通ることが抑制される。
【０００９】
［適用例２］前記接着剤は、紫外線照射により硬化する紫外線硬化型接着剤である上記ラインヘッド。
【００１０】
この構成によれば、レンズアレイと支持部材との相対的な位置調整を行った後で紫外線を紫外線硬化型接着剤に照射してレンズアレイと支持部材とを接合して組み立てることができる。これにより、レンズアレイと支持部材との相対的な位置精度が高いラインヘッドが得られる。
【００１１】
［適用例３］前記レンズアレイは、光透過性基材上に樹脂層を備え、前記樹脂層に前記レンズが形成されている上記ラインヘッド。
【００１２】
この構成によれば、レンズアレイと支持部材との接合性が向上する。
【００１３】
［適用例４］前記レンズアレイである第１のレンズアレイとは異なる第２のレンズアレイが、前記第１のレンズアレイの前記レンズの光軸方向に配され、前記支持部材である第１の支持部材とは異なる第２の支持部材が、前記第１のレンズアレイと前記第２のレンズアレイとの間に配設され、前記第１のレンズアレイと前記第２の支持部材とが、前記接着用混合剤により接合され、前記第２のレンズアレイと前記第２の支持部材とが、前記接着用混合剤により接合されている上記ラインヘッド。
【００１４】
この構成によれば、発光素子から照射され、第１の支持部材、第２の支持部材を透過した光は、第１のレンズアレイと第２の支持部材との接合面および第２のレンズアレイと第２の支持部材との接合面にある接着用混合剤に含まれるギャップ材を通ること抑制される。
【００１５】
［適用例５］潜像担持体と、レンズが形成されたレンズアレイと、透光性を有する支持部材と、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、を備え、前記レンズアレイと、前記支持部材とが、接着剤に前記支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されているラインヘッドと、を備え、前記発光素子から出た光が前記レンズを通過して前記潜像担持体表面に集光されることを特徴とする画像形成装置。
【００１６】
この構成によれば、レンズアレイと支持部材とが、接着剤に支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されている。これにより、発光素子から照射され、支持部材を透過した光は、接着用混合剤に含まれるギャップ材を通ることが抑制される。そのため、発光素子から照射された光がゴースト光となって潜像担持体に照射されることを抑制することが可能となり、潜像担持体に形成される静電潜像のコントラストが低下してしまうことを抑制できる。
【００１７】
［適用例６］レンズが形成されたレンズアレイと、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、透光性を有し、前記レンズアレイと前記発光素子基板とを支持する支持部材と、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型接着剤に、前記支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤と、を用意する準備工程と、前記レンズアレイまたは前記支持部材に前記接着用混合剤を塗布する塗布工程と、前記レンズアレイと前記支持部材とを前記接着用混合剤を介して当接させる当接工程と、前記レンズアレイと前記支持部材との前記レンズの光軸方向と直交または略直交する平面における相対的な位置を調整する位置調整工程と、前記支持部材を透過して前記レンズアレイと前記支持部材との間にある前記接着用混合剤に紫外線を照射する紫外線照射工程と、を含むことを特徴とするラインヘッド組立方法。
【００１８】
この構成によれば、レンズアレイと、支持部材とが、接着剤に支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されている。これにより、発光素子から照射され、支持部材を透過した光は、接着用混合剤に含まれるギャップ材を通ることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本実施例の画像形成装置の全体構成を示す概略図。
【図２】ラインヘッドの斜視図。
【図３】ラインヘッドを主走査方向から見た断面図。
【図４】複数の発光素子群と複数のレンズの配置を示す図。
【図５】レンズアレイとスペーサーとの接合部分を示す図。
【図６】スペーサーによって支持されたレンズアレイを主走査方向から見た断面図。
【図７】レンズアレイとスペーサーとを接合する工程におけるフローチャート。
【図８】レンズアレイとスペーサーとが当接していることを示す主走査方向から見た断面図。
【図９】図８の状態に、さらにレンズアレイを備えた状態を示す図。
【図１０】図９の状態に、さらにスペーサーを備えた状態を示す図。
【図１１】図１０の状態に、さらに発光素子基板を備えた状態を示す図。
【図１２】比較例におけるゴースト光を示す図。
【図１３】本実施例におけるゴースト光の照射が抑制されること示す図。
【発明を実施するための形態】
【００２０】
以下、図を参照し、本実施例におけるラインヘッドおよび画像形成装置について説明する。
【００２１】
図１は、本実施例の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。画像形成装置１は、帯電工程・露光工程・現像工程・転写工程・定着工程を含む一連の画像形成プロセスによって画像を記録媒体Ｐに記録する電子写真方式のプリンターである。本実施例では、画像形成装置１は、いわゆるタンデム方式を採用するカラープリンターである。このような画像形成装置１は、図１に示すように、帯電工程・露光工程・現像工程のための画像形成ユニット１０と、転写工程のための転写ユニット２０と、定着工程のための定着ユニット３０と、紙などの記録媒体Ｐを搬送するための搬送機構４０と、この搬送機構４０に記録媒体Ｐを供給する給紙ユニット５０とを有している。
【００２２】
画像形成ユニット１０は、イエローのトナー像を形成する画像形成ステーション１０Ｙと、マゼンタのトナー像を形成する画像形成ステーション１０Ｍと、シアンのトナー像を形成する画像形成ステーション１０Ｃと、ブラックのトナー像を形成する画像形成ステーション１０Ｋとの４つの画像形成ステーションを備えている。
【００２３】
各画像形成ステーション１０Ｙ、１０Ｃ、１０Ｍ、１０Ｋは、それぞれ、静電的な潜像を担持する潜像担持体である感光ドラム（感光体）１１を有し、その周囲（外周側）には、帯電ユニット１２、ラインヘッド（露光ユニット）１３、現像装置１４、クリーニングユニット１５が配設されている。各画像形成ステーション１０Ｙ、１０Ｃ、１０Ｍ、１０Ｋを構成するこれらの装置は、同じ構成であるため、以下、１つの装置について説明する。
【００２４】
感光ドラム１１は、全体形状が円筒状をなすものである。感光ドラム１１の外周面（円筒面）には、感光層（不図示）が形成され、ラインヘッド１３からの光（出射光）を受光する受光面（被照射面）（不図示）を構成している。また、この感光ドラム１１は、その軸線まわりに図１中矢印方向に回転可能となっている。
【００２５】
帯電ユニット１２は、コロナ帯電などにより感光ドラム１１の受光面を一様に帯電させるものである。ラインヘッド１３は、パーソナルコンピューター（不図示）などのホストコンピューターから画像情報を受け、これに応じて、感光ドラム１１の受光面に向けて光を放射する。一方、感光ドラム１１の受光面は、一様に帯電された状態となっており、光の放射パターンに対応した潜像が形成される。
【００２６】
現像装置１４は、トナーを貯留する貯留部（不図示）を有しており、当該貯留部から、静電的な潜像を担持する感光ドラム１１の受光面にトナーを供給し、付与する。これにより、感光ドラム１１上の潜像がトナー像として可視化（現像）される。クリーニングユニット１５は、感光ドラム１１の受光面に当接するゴム製のクリーニングブレード１５１を有し、後述する一次転写後の感光ドラム１１上に残存するトナーをクリーニングブレード１５１により掻き落として除去するようになっている。
【００２７】
転写ユニット２０は、各画像形成ステーション１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋの感光ドラム１１上に形成された各色のトナー像を一括して記録媒体Ｐに転写するようになっている。
【００２８】
各画像形成ステーション１０Ｙ、１０Ｃ、１０Ｍ、１０Ｋでは、それぞれの感光ドラム１１が１回転する間に、帯電ユニット１２による感光ドラム１１の受光面の帯電と、ラインヘッド１３による受光面の露光と、現像装置１４による受光面へのトナーの供給と、一次転写ローラー２２との圧着による中間転写ベルト２１への一次転写と、クリーニングユニット１５による受光面１１１のクリーニングとが順次行なわれる。
【００２９】
転写ユニット２０は、エンドレスベルト状の中間転写ベルト２１を有し、この中間転写ベルト２１は、複数（図１に示す構成では４つ）の一次転写ローラー２２と駆動ローラー２３と従動ローラー２４とで張架されており、駆動ローラー２３の回転により、図１に示す矢印方向に、感光ドラム１１の周速度とほぼ同じ周速度で回転駆動される。
【００３０】
各一次転写ローラー２２は、それぞれ対応する感光ドラム１１に中間転写ベルト２１を介して対向配設されており、感光ドラム１１上の単色のトナー像を中間転写ベルト２１に転写（一次転写）するようになっている。この一次転写ローラー２２は、一次転写時に、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧（一次転写バイアス）が印加される。
【００３１】
中間転写ベルト２１上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのうちの少なくとも１色のトナー像が担持される。例えば、フルカラー画像の形成時には、中間転写ベルト２１上に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの４色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が中間転写像として形成される。
【００３２】
転写ユニット２０は、中間転写ベルト２１を介して駆動ローラー２３に対向配設される二次転写ローラー２５と、中間転写ベルト２１を介して従動ローラー２４に対向配設されるクリーニングユニット２６とを有している。
【００３３】
二次転写ローラー２５は、中間転写ベルト２１上に形成された単色あるいはフルカラーなどのトナー像（中間転写像）を、給紙ユニット５０から供給される紙、フィルム、布等の記録媒体Ｐに転写（二次転写）するようになっている。二次転写ローラー２５は、二次転写時に、中間転写ベルト２１に押圧されるとともに二次転写電圧（二次転写バイアス）が印加される。このような二次転写時には、駆動ローラー２３は、二次転写ローラー２５のバックアップローラーとしても機能する。
【００３４】
クリーニングユニット２６は、中間転写ベルト２１の表面に当接するゴム製のクリーニングブレード２６１を有し、二次転写後の中間転写ベルト２１上に残存するトナーをクリーニングブレード２６１により掻き落として除去するようになっている。
【００３５】
定着ユニット３０は、定着ローラー３０１と、定着ローラー３０１に圧接される加圧ローラー３０２とを有しており、定着ローラー３０１と加圧ローラー３０２との間を記録媒体Ｐが通過するよう構成されている。また、定着ローラー３０１は、その内側に当該定着ローラーの外周面を加熱するヒーターが内蔵されており、通過する記録媒体Ｐを加熱および加圧することができる。このような構成の定着ユニット３０より、トナー像の二次転写を受けた記録媒体Ｐを加熱および加圧して、トナー像を記録媒体Ｐに融着させて永久像として定着する。
【００３６】
搬送機構４０は、前述した二次転写ローラー２５と中間転写ベルト２１との間の二次転写部へ給紙タイミングを計りつつ記録媒体Ｐを搬送するレジストローラー対４１と、定着ユニット３０での定着処理済みの記録媒体Ｐを挟持搬送する搬送ローラー対４２、４３、４４とを有している。
【００３７】
このような搬送機構４０は、記録媒体Ｐの一方の面のみに画像形成を行う場合には、定着ユニット３０によって一方の面に定着処理された記録媒体Ｐを搬送ローラー対４２により挟持搬送して、画像形成装置１の外部へ排出する。また、記録媒体Ｐの両面に画像形成する場合には、定着ユニット３０によって一方の面に定着処理された記録媒体Ｐを一旦、搬送ローラー対４２により挟持した後に、搬送ローラー対４２を反転駆動するとともに、搬送ローラー対４３、４４を駆動して、当該記録媒体Ｐを表裏反転してレジストローラー対４１へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Ｐの他方の面に画像を形成する。
【００３８】
給紙ユニット５０は、未使用の記録媒体Ｐを収容する給紙カセット５１と、給紙カセット５１から記録媒体Ｐを１枚ずつレジストローラー対４１へ向け給送するピックアップローラー５２とを備えている。
【００３９】
次に、ラインヘッド１３について説明する。図２は、ラインヘッド１３の斜視図である
。図３は、図２のラインヘッド１３を主走査方向Ｄ１から見たＡ−Ａ線における断面図である。図３に示すように、ラインヘッド１３は、感光ドラム１１の受光面１１１に対向して配置されている。また、ラインヘッド１３は、主走査方向Ｄ１が、感光ドラム１１の回転軸と平行となるように配置されている。
【００４０】
第１のレンズアレイとしてのレンズアレイ８３と、第２のレンズアレイとしてのレンズアレイ８０は、レンズアレイ８０，８３を支持するための第２の支持部材としてのスペーサー８１，８２を挟んで長手方向を主走査方向Ｄ１にして備えられる。さらに、レンズアレイ８３と発光素子基板８７は、レンズアレイ８３と発光素子基板８７を支持するための第１の支持部材としてのスペーサー８４，８５を挟んで長手方向を主走査方向Ｄ１にして備えられる。
【００４１】
遮光部材８６は、長手方向を主走査方向Ｄ１にして発光素子基板８７とレンズアレイ８３との間に備えられる。発光素子基板８７は、ガラスや樹脂などの透明性を有する基板から形成され、収容部材８８を介してベース８９に備えられる。
【００４２】
レンズアレイ８０、レンズアレイ８３の発光素子基板８７側には、複数の凸曲面からなるレンズ６４がそれぞれ形成されている。レンズ６４の構成材料としては、光学特性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、樹脂材料、ガラス材料が好適に用いられる。
【００４３】
発光素子基板８７のベース８９側には、例えば有機ＥＬ（Ｏｒｇａｎｉｃ Ｅｌｅｃｔｒｏｌｕｍｉｎｅｓｃｅｎｃｅ）、発光ダイオードなどの発光素子群７１が備えられる。発光素子群７１は、収容部材８８に形成された凹部８８１の空間領域内に収容される。
【００４４】
凹部８８１には、発光素子群７１を構成する発光素子（不図示）と電気的に接続された導線類（不図示）、または、各発光素子を駆動させるための回路（不図示）が収納されている。
【００４５】
発光素子群７１から光軸方向Ｄ３に照射された光Ｌは、発光素子基板８７、遮光部材８６に形成された貫通孔８６１、レンズアレイ８３に形成されたレンズ６４、スペーサー８１とスペーサー８２との間に形成された空間領域、レンズアレイ８０に形成されたレンズ６４を通過し感光ドラム１１の受光面１１１に照射される。
【００４６】
図４は、光軸方向Ｄ３から見た図で、発光素子基板８７における複数の発光素子群７１と、レンズアレイ８０，８３における複数のレンズ６４の配置を示す図である。図４に示すように、レンズ６４は、主走査方向Ｄ１に複数列配置されるとともに、主走査方向Ｄ１に直交する副走査方向Ｄ２に複数行配置されている。
【００４７】
複数のレンズ６４は、互いに離間して、３行ｎ列（ｎは２以上の整数）の行列状に配置されている。レンズアレイ８０に形成されている一つのレンズ６４と、レンズアレイ８３に形成されている一つのレンズ６４とは、図３に示すように、光軸が一致するように対向し配置されている。
【００４８】
図４に示すように、複数の発光素子群７１は、複数のレンズ６４に対応して、互いに離間し、３行ｎ列（ｎは２以上の整数）の行列状に配置されている。また、各発光素子群７１は、それぞれ、複数（本実施例では８つ）の発光素子７４で構成されている。
【００４９】
各発光素子群７１を構成する８つの発光素子７４は、発光素子基板８７のベース８９側の面に沿って配置されている。各発光素子７４から発せられた図３の光Ｌは、それぞれ一対のレンズ６４を通過し、感光ドラム１１の受光面１１１上で集光する。
【００５０】
また、図４に示すように、８つの発光素子７４は、互いに離間して、主走査方向Ｄ１に４列配置され、副走査方向Ｄ２に２行配置されている。このように、８つの発光素子７４は、２行４列の行列状をなしている。１つの列（発光素子列）に属する互いに隣接した２つの発光素子７４同士は、主走査方向Ｄ１にずれて配置されている。そして、このように２行４列の行列状をなす８つの発光素子７４では、主走査方向Ｄ１に隣接する発光素子７４同士の間を、次の行の１つの発光素子７４で補完している。
【００５１】
図５は、図２の部分Ｂを拡大した図で、レンズアレイ８０とスペーサー８２との接合部分を示す図である。図６は、スペーサー８１，８２，８４，８４によって支持されたレンズアレイ８０，８３と発光素子基板８７を主走査方向Ｄ１から見た断面図である。
【００５２】
本実施例のレンズアレイ８０は、ガラスで形成されたガラス基板８０ａと、樹脂で形成された樹脂表層８０ｂとから構成されている。レンズ６４は、樹脂表層８０ｂに形成されたものである。同様に、レンズアレイ８３は、ガラスで形成されたガラス基板８３ａと、樹脂で形成された樹脂表層８３ｂとから構成されている。レンズ６４は、樹脂表層８３ｂに形成されたものである。
【００５３】
レンズアレイ８０は、樹脂表層８０ｂに凸曲面Ｓ１が形成されたレンズ６４を有し、副走査方向Ｄ２における範囲Ｃ２に形成されたレンズ形成部８０２と、副走査方向Ｄ２の平面Ｓ２を有し、レンズアレイ８０の副走査方向Ｄ２における範囲Ｃ１に形成された端部８０１とから構成される。図６の端部８０１は、レンズアレイ８０の副走査方向Ｄ２における両端部に形成される。
【００５４】
同様に、レンズアレイ８３は、樹脂表層８３ｂに凸曲面Ｓ１が形成されたレンズ６４を有し、副走査方向Ｄ２における範囲Ｃ２に形成されたレンズ形成部８３２と、副走査方向Ｄ２の平面Ｓ２を有し、レンズアレイ８３の副走査方向Ｄ２における範囲Ｃ１に形成された端部８３１とから構成される。図６の端部８３１は、レンズアレイ８３の副走査方向Ｄ２における両端部に形成される。
【００５５】
スペーサー８１，８２は、レンズアレイ８０とレンズアレイ８３とを支持する支持部材であり、レンズアレイ８０とレンズアレイ８３の間の光軸方向Ｄ３における距離を規制するものである。スペーサー８４，８５は、レンズアレイ８３と発光素子基板８７とを支持する支持部材であり、レンズアレイ８３と発光素子基板８７の間の光軸方向Ｄ３における距離を規制するものである。
【００５６】
図６に示すように、レンズアレイ８０の端部８０１に形成された平面Ｓ２とスペーサー８１，８２に形成された平面Ｓ３との間の接着用混合剤によって、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とが接合されている。接着用混合剤は、斜線で示す紫外線硬化型接着剤９０に、白い円で示すギャップ材９１を混ぜたものである。
【００５７】
また、図６のスペーサー８１，８２の平面Ｓ４と、レンズアレイ８３に形成された平面Ｓ５との間にも、紫外線硬化型接着剤９０にギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤が備えられ、スペーサー８１，８２とレンズアレイ８３とが接合されている。
【００５８】
また、図６のレンズアレイ８３の端部８３１の平面Ｓ２と、スペーサー８４，８５に形成された平面Ｓ６との間にも、紫外線硬化型接着剤９０にギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤が備えられ、レンズアレイ８３とスペーサー８４，８５とが接合されている。
【００５９】
また、図６のスペーサー８４，８５の平面Ｓ７と、発光素子基板８７に形成された平面Ｓ８との間にも、紫外線硬化型接着剤９０にギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤が備えられ、スペーサー８４，８５と発光素子基板８７とが接合されている。
【００６０】
レンズアレイ８０に形成されたレンズ６４と対向する位置にあるレンズアレイ８３に形成されたレンズ６４とは光軸Ｅが一致するように備えられている。さらに、図４の発光素子７４から構成される発光素子群７１の副走査方向Ｄ２における中心の位置が光軸Ｅの位置になるように、発光素子基板８７が備えられる。
【００６１】
次に、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とを接合する方法について説明する。図７は、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とを接合する工程におけるフローチャートである。
【００６２】
図７の準備工程Ｓ１００では、レンズ６４が形成されたレンズアレイ８０，８３と、レンズ６４の光軸方向Ｄ３に光を発光する発光素子基板８７と、透光性を有し、レンズアレイ８０，８３を支持する支持部材としてのスペーサー８１，８２と、レンズアレイ８３と発光素子基板８７を支持する支持部材としてのスペーサー８４，８５と、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型接着剤９０に、発光素子基板８７、スペーサー８１，８２，８４，８５より光透過率が低いギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤とを用意する（図６参照）。
【００６３】
塗布工程としての第１塗布工程Ｓ１１０では、レンズアレイ８０の平面Ｓ２またはスペーサー８１，８２の平面Ｓ３に準備工程Ｓ１００で用意した接着用混合剤を塗布する（図６参照）。
【００６４】
図８は、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とが接着用混合剤を介して当接していることを示す主走査方向Ｄ１から見た断面図である。当接工程としての第１当接工程Ｓ１２０では、平面を有する台１０００の上に、レンズ６４を台１０００とは反対側に向けてレンズアレイ８０を置く。そして、レンズアレイ８０の端部８０１に形成された平面Ｓ２に、接着用混合剤を介してスペーサー８１，８２の平面Ｓ３をそれぞれ当接させる。
【００６５】
位置調整工程としての第１位置調整工程Ｓ１３０では、図８のレンズアレイ８０とスペーサー８１，８２との光軸方向Ｄ３と直角方向における相対的な位置を調整する。すなわち、主走査方向Ｄ１と副走査方向Ｄ２におけるレンズアレイ８０とスペーサー８１，８２との相対的な位置を調整する。本実施例においては、台１０００に固定されたレンズアレイ８０に対して、スペーサー８１，８２をそれぞれ移動させて位置を調整する。
【００６６】
紫外線照射工程として第１紫外線照射工程Ｓ１４０では、図８の矢印に示す方向から紫外線を照射する。スペーサー８１，８２は、透光性を有する。紫外線硬化型接着剤９０は、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型接着剤であるので、矢印に示す方向から紫外線が照射されると、紫外線硬化型接着剤９０は硬化し、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とは接合される。
【００６７】
図９は、図８の状態に、さらにレンズアレイ８３を備えた状態を示す図である。本実施例では、図７の第１紫外線照射工程Ｓ１４０を行った後、第１塗布工程Ｓ１１０に戻る。第１塗布工程Ｓ１１０では、紫外線硬化型接着剤９０にギャップ材９１を混合した接着用混合剤を、レンズアレイ８３またはスペーサー８１，８２に塗布する。
【００６８】
第１当接工程Ｓ１２０では、図９に示すように、スペーサー８１，８２の平面Ｓ４にレンズアレイ８３の平面Ｓ５を、接着用混合剤を介して当接させる。第１位置調整工程Ｓ１３０では、スペーサー８１，８２とレンズアレイ８３との主走査方向Ｄ１、副走査方向Ｄ２における相対的な位置調整を行う。
【００６９】
第１紫外線照射工程Ｓ１４０では、図９の矢印に示す方向から紫外線を照射する。レンズアレイ８３は、透光性を有するので、矢印に示す方向から紫外線が照射されると、紫外線硬化型接着剤９０は硬化し、レンズアレイ８３とスペーサー８１，８２とは接合される。
【００７０】
図１０は、図９の状態に、さらにスペーサー８４，８５を備えた状態を示す図である。本実施例では、第１紫外線照射工程Ｓ１４０から、再び、第１塗布工程Ｓ１１０に戻る。第１塗布工程Ｓ１１０では、レンズアレイ８３の平面Ｓ２またはスペーサー８４，８５の平面Ｓ６に、紫外線硬化型接着剤９０にギャップ材９１を混合した接着用混合剤を塗布する。
【００７１】
第１当接工程Ｓ１２０では、図１０に示すように、レンズアレイ８３の平面Ｓ２に、スペーサー８４，８５の平面Ｓ６を当接させる。第１位置調整工程Ｓ１３０では、スペーサー８４，８５とレンズアレイ８３との主走査方向Ｄ１、副走査方向Ｄ２における相対的な位置調整を行う。
【００７２】
第１紫外線照射工程Ｓ１４０では、図１０の矢印に示す方向から紫外線を照射する。スペーサー８４，８５は、透光性を有するので、矢印に示す方向から紫外線が照射されると紫外線硬化型接着剤９０は硬化し、レンズアレイ８３とスペーサー８４，８５とは接合される。
【００７３】
図１１は、図１０の状態に、さらに発光素子基板８７を備えた図である。第２塗布工程Ｓ１５０では、発光素子基板８７の平面Ｓ８またはスペーサー８４，８５の平面Ｓ７に接着用混合剤を塗布する。
【００７４】
第２当接工程Ｓ１６０では、図１１に示すように、発光素子基板８７の平面Ｓ８とスペーサー８４，８５の平面Ｓ７とを、接着用混合剤を介して当接させる。
【００７５】
第２位置調整工程Ｓ１７０では、発光素子基板８７とスペーサー８４，８５との光軸方向Ｄ３と直角方向における相対的な位置を調整する。
【００７６】
第２紫外線照射工程Ｓ１８０では、図１１の矢印に示す方向から紫外線を照射する。発光素子基板８７は、透光性を有するので、矢印に示す方向から紫外線が照射されると紫外線硬化型接着剤９０は硬化し、発光素子基板８７とスペーサー８４，８５とは接合される。
【００７７】
（比較例）
図１２は、本実施例との比較例を示す図である。図１２のギャップ材９２は、光透過率がスペーサー８１，８２，８４，８５以上である。そのため、図１２に示すように、発光素子群７１から照射された光Ｆは、発光素子基板８７、スペーサー８１，８２，８４，８５を透過するとともに、ギャップ材９２も透過する。
【００７８】
これにより、感光ドラム１１の受光面１１１には、発光素子群７１から照射された光Ｆがゴースト光Ｇとなって照射されてしまう。従って、受光面１１１に形成される静電潜像のコントラストが低下し、画像形成装置１から形成される画像の品質が劣化する。
【００７９】
以上、本実施例で説明したラインヘッド１３の組み立て方法は、レンズ６４が形成されたレンズアレイ８０，８３と、光を発光する発光素子７４からなる発光素子群７１が設けられた発光素子基板８７と、透光性を有し、レンズアレイ８０，８３を支持する支持部材としてのスペーサー８１，８２と、レンズアレイ８３と発光素子基板８７とを支持する支持部材としてのスペーサー８４，８５と、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型接着剤９０にスペーサー８１，８２，８４，８５より光透過率が低いギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤と、を用意する準備工程Ｓ１００と、レンズアレイ８０，８３またはスペーサー８１，８２に接着用混合剤を塗布する塗布工程として第１塗布工程Ｓ１１０と、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とを接着用混合剤を介して当接させる当接工程としての第１当接工程Ｓ１２０と、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２との光軸方向Ｄ３と直角方向における相対的な位置を調整する位置調整工程としての第１位置調整工程Ｓ１３０と、スペーサー８１，８２を透過してレンズアレイ８０とスペーサー８１，８２との間にある接着用混合剤に紫外線を照射する紫外線照射工程としての第１紫外線照射工程Ｓ１４０と、発光素子基板８７または支持部材としてのスペーサー８４，８５に接着用混合剤を塗布する第２塗布工程Ｓ１５０と、発光素子基板８７とスペーサー８４，８５とを接着用混合剤を介して当接させる第２当接工程Ｓ１６０と、発光素子基板８７とスペーサー８４，８５との光軸方向Ｄ３と直角方向における相対的な位置を調整する第２位置調整工程Ｓ１７０と、発光素子基板８７を透過して発光素子基板８７とスペーサー８４，８５との間にある接着用混合剤に紫外線を照射する第２紫外線照射工程Ｓ１８０と、を含む。
【００８０】
本実施例の組み立て方法によって製造されたラインヘッド１３は、レンズ６４が形成されたレンズアレイ８３と、透光性を有する第１の支持部材としてのスペーサー８４，８５と、光を発光する発光素子群７１が設けられた発光素子基板８７と、を備え、レンズアレイ８３と、スペーサー８４，８５とが、紫外線硬化型接着剤９０にスペーサー８４，８５より光透過率が低いギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤によって接合されている。
【００８１】
また、ラインヘッド１３は、第２のレンズアレイとしてのレンズアレイ８０が、第１のレンズアレイとしてのレンズアレイ８３のレンズ６４の光軸方向Ｅに配され、第２の支持部材としてのスペーサー８１，８２が、レンズアレイ８０とレンズアレイ８３との間に配設され、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とが、接着用混合剤により接合され、レンズアレイ８３とスペーサー８１，８２とが、接着用混合剤により接合されている。
【００８２】
図１３は、本実施例におけるギャップ材９１によって、ゴースト光の照射が抑制されることを示す図である。本実施例に用いたギャップ材９１は、スペーサー８１，８２，８４，８５より光透過率が低い。そのため、発光素子群７１から照射された光Ｆがギャップ材９１を透過してゴースト光となって感光ドラム１１に照射されることが抑制される。
【００８３】
これにより、感光ドラム１１の受光面１１１に形成される静電潜像が劣化することを抑制できる。従って、本実施例における画像形成装置１によって形成される画像の品質が劣化することを抑制できる。
【００８４】
接着剤は、紫外線照射により硬化する紫外線硬化型接着剤である。そのため、レンズアレイ８０，８３とスペーサー８１，８２，８４，８５との相対的な位置調整を行った後で紫外線を紫外線硬化型接着剤に照射してレンズアレイ８０，８３とスペーサー８１，８２，８４，８５とを接合して組み立てることができる。これにより、８０，８３とスペーサー８１，８２，８４，８５との相対的な位置精度が高いラインヘッド１３が得られる。
【００８５】
本実施例では、紫外線照射により硬化する紫外線硬化型接着剤を用いたが、紫外線硬化型接着剤を用いないでも硬化する接着剤を用いてラインヘッドを組み立てる場合にも適用する。
【００８６】
レンズアレイ８０，８３は、ガラス基板８０ａ，８３ａ上に樹脂表層８０ｂ，８３ｂを備え、樹脂表層８０ｂ，８３ｂにレンズ６４が形成されている。この構成によれば、レンズアレイ８０，８３とスペーサー８１，８２，８４，８５との接合性が向上する。
【符号の説明】
【００８７】
１…画像形成装置、１３…ラインヘッド、６４…レンズ、７１…発光素子群、７４…発光素子、８０，８３…レンズアレイ、８１，８２，８４，８５…スペーサー、８７…発光素子基板、９０…紫外線硬化型接着剤、９１…ギャップ材、Ｄ３…光軸方向、Ｓ１００…準備工程、Ｓ１１０…第１塗布工程、Ｓ１２０…第１当接工程、Ｓ１３０…第１位置調整工程、Ｓ１４０…第１紫外線照射工程、Ｓ１５０…第２塗布工程、Ｓ１６０…第２当接工程、Ｓ１７０…第２位置調整工程、Ｓ１８０…第２紫外線照射工程。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ラインヘッドの組み立て方法、ラインヘッド、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
電子写真方式を用いる複写機、プリンター等の画像形成装置には、回転する感光体の表面を露光処理して静電潜像を形成する露光手段が備えられている。このような露光手段としては、例えば発光ダイオードなどの複数の発光素子を、感光体の軸方向に配列した構造のラインヘッドが知られている。
【０００３】
例えば、特許文献１では、発光素子が形成されたガラスなどの発光素子基板と、レンズが形成されたレンズアレイを備え、発光素子から照射された光を、レンズアレイを通して感光体に照射するラインヘッドが記載されている。このようなラインヘッドでは、レンズの光軸方向において、発光素子基板とレンズアレイとの間には、発光素子基板とレンズアレイを支持する支持部材としてのスペーサーが設けられる。発光素子の光軸やレンズの光軸が一致するように、発光素子基板やレンズアレイは、このスペーサーによって支持される。
光軸と直角方向において、発光素子の位置と、レンズアレイのレンズの光軸の位置がずれることによって感光体に形成される像が歪んだりしないようにするため、特許文献２では、レンズアレイの位置を調整する方法が提案されている。
発光素子とレンズアレイとの光軸と直角方向における位置の調整の後、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型接着剤を用いて、スペーサーを介して発光素子とレンズアレイを固定すれば、発光素子とレンズアレイとの位置の調整を開始してから固定するまでの時間を短縮することができる。
そこで、透光性を有するスペーサーを用いることで、紫外線がスペーサーを透過し、スペーサーと発光素子基板との間や、スペーサーとレンズアレイとの間に塗布された紫外線硬化型接着剤を硬化させることによって、発光素子やレンズアレイの位置の調整を開始してから固定するまでの時間を短縮することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００９−９８６１３号公報
【特許文献２】特開２００８−１５２０４０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、ラインヘッドを構成する支持部材が透光性を有すると、発光素子から照射された光が支持部材を通り、ゴースト光となって感光体に照射されるので、感光体に形成される静電潜像のコントラストが低下してしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【０００７】
［適用例１］レンズが形成されたレンズアレイと、透光性を有する支持部材と、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、を備え、前記レンズアレイと、前記支持部材とが、接着剤に前記支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されていることを特徴とするラインヘッド。
【０００８】
この構成によれば、レンズアレイと、支持部材とが、接着剤に支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されている。これにより、発光素子から照射され、支持部材を透過した光は、接着用混合剤に含まれるギャップ材を通ることが抑制される。
【０００９】
［適用例２］前記接着剤は、紫外線照射により硬化する紫外線硬化型接着剤である上記ラインヘッド。
【００１０】
この構成によれば、レンズアレイと支持部材との相対的な位置調整を行った後で紫外線を紫外線硬化型接着剤に照射してレンズアレイと支持部材とを接合して組み立てることができる。これにより、レンズアレイと支持部材との相対的な位置精度が高いラインヘッドが得られる。
【００１１】
［適用例３］前記レンズアレイは、光透過性基材上に樹脂層を備え、前記樹脂層に前記レンズが形成されている上記ラインヘッド。
【００１２】
この構成によれば、レンズアレイと支持部材との接合性が向上する。
【００１３】
［適用例４］前記レンズアレイである第１のレンズアレイとは異なる第２のレンズアレイが、前記第１のレンズアレイの前記レンズの光軸方向に配され、前記支持部材である第１の支持部材とは異なる第２の支持部材が、前記第１のレンズアレイと前記第２のレンズアレイとの間に配設され、前記第１のレンズアレイと前記第２の支持部材とが、前記接着用混合剤により接合され、前記第２のレンズアレイと前記第２の支持部材とが、前記接着用混合剤により接合されている上記ラインヘッド。
【００１４】
この構成によれば、発光素子から照射され、第１の支持部材、第２の支持部材を透過した光は、第１のレンズアレイと第２の支持部材との接合面および第２のレンズアレイと第２の支持部材との接合面にある接着用混合剤に含まれるギャップ材を通ること抑制される。
【００１５】
［適用例５］潜像担持体と、レンズが形成されたレンズアレイと、透光性を有する支持部材と、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、を備え、前記レンズアレイと、前記支持部材とが、接着剤に前記支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されているラインヘッドと、を備え、前記発光素子から出た光が前記レンズを通過して前記潜像担持体表面に集光されることを特徴とする画像形成装置。
【００１６】
この構成によれば、レンズアレイと支持部材とが、接着剤に支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されている。これにより、発光素子から照射され、支持部材を透過した光は、接着用混合剤に含まれるギャップ材を通ることが抑制される。そのため、発光素子から照射された光がゴースト光となって潜像担持体に照射されることを抑制することが可能となり、潜像担持体に形成される静電潜像のコントラストが低下してしまうことを抑制できる。
【００１７】
［適用例６］レンズが形成されたレンズアレイと、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、透光性を有し、前記レンズアレイと前記発光素子基板とを支持する支持部材と、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型接着剤に、前記支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤と、を用意する準備工程と、前記レンズアレイまたは前記支持部材に前記接着用混合剤を塗布する塗布工程と、前記レンズアレイと前記支持部材とを前記接着用混合剤を介して当接させる当接工程と、前記レンズアレイと前記支持部材との前記レンズの光軸方向と直交または略直交する平面における相対的な位置を調整する位置調整工程と、前記支持部材を透過して前記レンズアレイと前記支持部材との間にある前記接着用混合剤に紫外線を照射する紫外線照射工程と、を含むことを特徴とするラインヘッド組立方法。
【００１８】
この構成によれば、レンズアレイと、支持部材とが、接着剤に支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されている。これにより、発光素子から照射され、支持部材を透過した光は、接着用混合剤に含まれるギャップ材を通ることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本実施例の画像形成装置の全体構成を示す概略図。
【図２】ラインヘッドの斜視図。
【図３】ラインヘッドを主走査方向から見た断面図。
【図４】複数の発光素子群と複数のレンズの配置を示す図。
【図５】レンズアレイとスペーサーとの接合部分を示す図。
【図６】スペーサーによって支持されたレンズアレイを主走査方向から見た断面図。
【図７】レンズアレイとスペーサーとを接合する工程におけるフローチャート。
【図８】レンズアレイとスペーサーとが当接していることを示す主走査方向から見た断面図。
【図９】図８の状態に、さらにレンズアレイを備えた状態を示す図。
【図１０】図９の状態に、さらにスペーサーを備えた状態を示す図。
【図１１】図１０の状態に、さらに発光素子基板を備えた状態を示す図。
【図１２】比較例におけるゴースト光を示す図。
【図１３】本実施例におけるゴースト光の照射が抑制されること示す図。
【発明を実施するための形態】
【００２０】
以下、図を参照し、本実施例におけるラインヘッドおよび画像形成装置について説明する。
【００２１】
図１は、本実施例の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。画像形成装置１は、帯電工程・露光工程・現像工程・転写工程・定着工程を含む一連の画像形成プロセスによって画像を記録媒体Ｐに記録する電子写真方式のプリンターである。本実施例では、画像形成装置１は、いわゆるタンデム方式を採用するカラープリンターである。このような画像形成装置１は、図１に示すように、帯電工程・露光工程・現像工程のための画像形成ユニット１０と、転写工程のための転写ユニット２０と、定着工程のための定着ユニット３０と、紙などの記録媒体Ｐを搬送するための搬送機構４０と、この搬送機構４０に記録媒体Ｐを供給する給紙ユニット５０とを有している。
【００２２】
画像形成ユニット１０は、イエローのトナー像を形成する画像形成ステーション１０Ｙと、マゼンタのトナー像を形成する画像形成ステーション１０Ｍと、シアンのトナー像を形成する画像形成ステーション１０Ｃと、ブラックのトナー像を形成する画像形成ステーション１０Ｋとの４つの画像形成ステーションを備えている。
【００２３】
各画像形成ステーション１０Ｙ、１０Ｃ、１０Ｍ、１０Ｋは、それぞれ、静電的な潜像を担持する潜像担持体である感光ドラム（感光体）１１を有し、その周囲（外周側）には、帯電ユニット１２、ラインヘッド（露光ユニット）１３、現像装置１４、クリーニングユニット１５が配設されている。各画像形成ステーション１０Ｙ、１０Ｃ、１０Ｍ、１０Ｋを構成するこれらの装置は、同じ構成であるため、以下、１つの装置について説明する。
【００２４】
感光ドラム１１は、全体形状が円筒状をなすものである。感光ドラム１１の外周面（円筒面）には、感光層（不図示）が形成され、ラインヘッド１３からの光（出射光）を受光する受光面（被照射面）（不図示）を構成している。また、この感光ドラム１１は、その軸線まわりに図１中矢印方向に回転可能となっている。
【００２５】
帯電ユニット１２は、コロナ帯電などにより感光ドラム１１の受光面を一様に帯電させるものである。ラインヘッド１３は、パーソナルコンピューター（不図示）などのホストコンピューターから画像情報を受け、これに応じて、感光ドラム１１の受光面に向けて光を放射する。一方、感光ドラム１１の受光面は、一様に帯電された状態となっており、光の放射パターンに対応した潜像が形成される。
【００２６】
現像装置１４は、トナーを貯留する貯留部（不図示）を有しており、当該貯留部から、静電的な潜像を担持する感光ドラム１１の受光面にトナーを供給し、付与する。これにより、感光ドラム１１上の潜像がトナー像として可視化（現像）される。クリーニングユニット１５は、感光ドラム１１の受光面に当接するゴム製のクリーニングブレード１５１を有し、後述する一次転写後の感光ドラム１１上に残存するトナーをクリーニングブレード１５１により掻き落として除去するようになっている。
【００２７】
転写ユニット２０は、各画像形成ステーション１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋの感光ドラム１１上に形成された各色のトナー像を一括して記録媒体Ｐに転写するようになっている。
【００２８】
各画像形成ステーション１０Ｙ、１０Ｃ、１０Ｍ、１０Ｋでは、それぞれの感光ドラム１１が１回転する間に、帯電ユニット１２による感光ドラム１１の受光面の帯電と、ラインヘッド１３による受光面の露光と、現像装置１４による受光面へのトナーの供給と、一次転写ローラー２２との圧着による中間転写ベルト２１への一次転写と、クリーニングユニット１５による受光面１１１のクリーニングとが順次行なわれる。
【００２９】
転写ユニット２０は、エンドレスベルト状の中間転写ベルト２１を有し、この中間転写ベルト２１は、複数（図１に示す構成では４つ）の一次転写ローラー２２と駆動ローラー２３と従動ローラー２４とで張架されており、駆動ローラー２３の回転により、図１に示す矢印方向に、感光ドラム１１の周速度とほぼ同じ周速度で回転駆動される。
【００３０】
各一次転写ローラー２２は、それぞれ対応する感光ドラム１１に中間転写ベルト２１を介して対向配設されており、感光ドラム１１上の単色のトナー像を中間転写ベルト２１に転写（一次転写）するようになっている。この一次転写ローラー２２は、一次転写時に、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧（一次転写バイアス）が印加される。
【００３１】
中間転写ベルト２１上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのうちの少なくとも１色のトナー像が担持される。例えば、フルカラー画像の形成時には、中間転写ベルト２１上に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの４色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が中間転写像として形成される。
【００３２】
転写ユニット２０は、中間転写ベルト２１を介して駆動ローラー２３に対向配設される二次転写ローラー２５と、中間転写ベルト２１を介して従動ローラー２４に対向配設されるクリーニングユニット２６とを有している。
【００３３】
二次転写ローラー２５は、中間転写ベルト２１上に形成された単色あるいはフルカラーなどのトナー像（中間転写像）を、給紙ユニット５０から供給される紙、フィルム、布等の記録媒体Ｐに転写（二次転写）するようになっている。二次転写ローラー２５は、二次転写時に、中間転写ベルト２１に押圧されるとともに二次転写電圧（二次転写バイアス）が印加される。このような二次転写時には、駆動ローラー２３は、二次転写ローラー２５のバックアップローラーとしても機能する。
【００３４】
クリーニングユニット２６は、中間転写ベルト２１の表面に当接するゴム製のクリーニングブレード２６１を有し、二次転写後の中間転写ベルト２１上に残存するトナーをクリーニングブレード２６１により掻き落として除去するようになっている。
【００３５】
定着ユニット３０は、定着ローラー３０１と、定着ローラー３０１に圧接される加圧ローラー３０２とを有しており、定着ローラー３０１と加圧ローラー３０２との間を記録媒体Ｐが通過するよう構成されている。また、定着ローラー３０１は、その内側に当該定着ローラーの外周面を加熱するヒーターが内蔵されており、通過する記録媒体Ｐを加熱および加圧することができる。このような構成の定着ユニット３０より、トナー像の二次転写を受けた記録媒体Ｐを加熱および加圧して、トナー像を記録媒体Ｐに融着させて永久像として定着する。
【００３６】
搬送機構４０は、前述した二次転写ローラー２５と中間転写ベルト２１との間の二次転写部へ給紙タイミングを計りつつ記録媒体Ｐを搬送するレジストローラー対４１と、定着ユニット３０での定着処理済みの記録媒体Ｐを挟持搬送する搬送ローラー対４２、４３、４４とを有している。
【００３７】
このような搬送機構４０は、記録媒体Ｐの一方の面のみに画像形成を行う場合には、定着ユニット３０によって一方の面に定着処理された記録媒体Ｐを搬送ローラー対４２により挟持搬送して、画像形成装置１の外部へ排出する。また、記録媒体Ｐの両面に画像形成する場合には、定着ユニット３０によって一方の面に定着処理された記録媒体Ｐを一旦、搬送ローラー対４２により挟持した後に、搬送ローラー対４２を反転駆動するとともに、搬送ローラー対４３、４４を駆動して、当該記録媒体Ｐを表裏反転してレジストローラー対４１へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Ｐの他方の面に画像を形成する。
【００３８】
給紙ユニット５０は、未使用の記録媒体Ｐを収容する給紙カセット５１と、給紙カセット５１から記録媒体Ｐを１枚ずつレジストローラー対４１へ向け給送するピックアップローラー５２とを備えている。
【００３９】
次に、ラインヘッド１３について説明する。図２は、ラインヘッド１３の斜視図である
。図３は、図２のラインヘッド１３を主走査方向Ｄ１から見たＡ−Ａ線における断面図である。図３に示すように、ラインヘッド１３は、感光ドラム１１の受光面１１１に対向して配置されている。また、ラインヘッド１３は、主走査方向Ｄ１が、感光ドラム１１の回転軸と平行となるように配置されている。
【００４０】
第１のレンズアレイとしてのレンズアレイ８３と、第２のレンズアレイとしてのレンズアレイ８０は、レンズアレイ８０，８３を支持するための第２の支持部材としてのスペーサー８１，８２を挟んで長手方向を主走査方向Ｄ１にして備えられる。さらに、レンズアレイ８３と発光素子基板８７は、レンズアレイ８３と発光素子基板８７を支持するための第１の支持部材としてのスペーサー８４，８５を挟んで長手方向を主走査方向Ｄ１にして備えられる。
【００４１】
遮光部材８６は、長手方向を主走査方向Ｄ１にして発光素子基板８７とレンズアレイ８３との間に備えられる。発光素子基板８７は、ガラスや樹脂などの透明性を有する基板から形成され、収容部材８８を介してベース８９に備えられる。
【００４２】
レンズアレイ８０、レンズアレイ８３の発光素子基板８７側には、複数の凸曲面からなるレンズ６４がそれぞれ形成されている。レンズ６４の構成材料としては、光学特性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、樹脂材料、ガラス材料が好適に用いられる。
【００４３】
発光素子基板８７のベース８９側には、例えば有機ＥＬ（Ｏｒｇａｎｉｃ Ｅｌｅｃｔｒｏｌｕｍｉｎｅｓｃｅｎｃｅ）、発光ダイオードなどの発光素子群７１が備えられる。発光素子群７１は、収容部材８８に形成された凹部８８１の空間領域内に収容される。
【００４４】
凹部８８１には、発光素子群７１を構成する発光素子（不図示）と電気的に接続された導線類（不図示）、または、各発光素子を駆動させるための回路（不図示）が収納されている。
【００４５】
発光素子群７１から光軸方向Ｄ３に照射された光Ｌは、発光素子基板８７、遮光部材８６に形成された貫通孔８６１、レンズアレイ８３に形成されたレンズ６４、スペーサー８１とスペーサー８２との間に形成された空間領域、レンズアレイ８０に形成されたレンズ６４を通過し感光ドラム１１の受光面１１１に照射される。
【００４６】
図４は、光軸方向Ｄ３から見た図で、発光素子基板８７における複数の発光素子群７１と、レンズアレイ８０，８３における複数のレンズ６４の配置を示す図である。図４に示すように、レンズ６４は、主走査方向Ｄ１に複数列配置されるとともに、主走査方向Ｄ１に直交する副走査方向Ｄ２に複数行配置されている。
【００４７】
複数のレンズ６４は、互いに離間して、３行ｎ列（ｎは２以上の整数）の行列状に配置されている。レンズアレイ８０に形成されている一つのレンズ６４と、レンズアレイ８３に形成されている一つのレンズ６４とは、図３に示すように、光軸が一致するように対向し配置されている。
【００４８】
図４に示すように、複数の発光素子群７１は、複数のレンズ６４に対応して、互いに離間し、３行ｎ列（ｎは２以上の整数）の行列状に配置されている。また、各発光素子群７１は、それぞれ、複数（本実施例では８つ）の発光素子７４で構成されている。
【００４９】
各発光素子群７１を構成する８つの発光素子７４は、発光素子基板８７のベース８９側の面に沿って配置されている。各発光素子７４から発せられた図３の光Ｌは、それぞれ一対のレンズ６４を通過し、感光ドラム１１の受光面１１１上で集光する。
【００５０】
また、図４に示すように、８つの発光素子７４は、互いに離間して、主走査方向Ｄ１に４列配置され、副走査方向Ｄ２に２行配置されている。このように、８つの発光素子７４は、２行４列の行列状をなしている。１つの列（発光素子列）に属する互いに隣接した２つの発光素子７４同士は、主走査方向Ｄ１にずれて配置されている。そして、このように２行４列の行列状をなす８つの発光素子７４では、主走査方向Ｄ１に隣接する発光素子７４同士の間を、次の行の１つの発光素子７４で補完している。
【００５１】
図５は、図２の部分Ｂを拡大した図で、レンズアレイ８０とスペーサー８２との接合部分を示す図である。図６は、スペーサー８１，８２，８４，８４によって支持されたレンズアレイ８０，８３と発光素子基板８７を主走査方向Ｄ１から見た断面図である。
【００５２】
本実施例のレンズアレイ８０は、ガラスで形成されたガラス基板８０ａと、樹脂で形成された樹脂表層８０ｂとから構成されている。レンズ６４は、樹脂表層８０ｂに形成されたものである。同様に、レンズアレイ８３は、ガラスで形成されたガラス基板８３ａと、樹脂で形成された樹脂表層８３ｂとから構成されている。レンズ６４は、樹脂表層８３ｂに形成されたものである。
【００５３】
レンズアレイ８０は、樹脂表層８０ｂに凸曲面Ｓ１が形成されたレンズ６４を有し、副走査方向Ｄ２における範囲Ｃ２に形成されたレンズ形成部８０２と、副走査方向Ｄ２の平面Ｓ２を有し、レンズアレイ８０の副走査方向Ｄ２における範囲Ｃ１に形成された端部８０１とから構成される。図６の端部８０１は、レンズアレイ８０の副走査方向Ｄ２における両端部に形成される。
【００５４】
同様に、レンズアレイ８３は、樹脂表層８３ｂに凸曲面Ｓ１が形成されたレンズ６４を有し、副走査方向Ｄ２における範囲Ｃ２に形成されたレンズ形成部８３２と、副走査方向Ｄ２の平面Ｓ２を有し、レンズアレイ８３の副走査方向Ｄ２における範囲Ｃ１に形成された端部８３１とから構成される。図６の端部８３１は、レンズアレイ８３の副走査方向Ｄ２における両端部に形成される。
【００５５】
スペーサー８１，８２は、レンズアレイ８０とレンズアレイ８３とを支持する支持部材であり、レンズアレイ８０とレンズアレイ８３の間の光軸方向Ｄ３における距離を規制するものである。スペーサー８４，８５は、レンズアレイ８３と発光素子基板８７とを支持する支持部材であり、レンズアレイ８３と発光素子基板８７の間の光軸方向Ｄ３における距離を規制するものである。
【００５６】
図６に示すように、レンズアレイ８０の端部８０１に形成された平面Ｓ２とスペーサー８１，８２に形成された平面Ｓ３との間の接着用混合剤によって、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とが接合されている。接着用混合剤は、斜線で示す紫外線硬化型接着剤９０に、白い円で示すギャップ材９１を混ぜたものである。
【００５７】
また、図６のスペーサー８１，８２の平面Ｓ４と、レンズアレイ８３に形成された平面Ｓ５との間にも、紫外線硬化型接着剤９０にギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤が備えられ、スペーサー８１，８２とレンズアレイ８３とが接合されている。
【００５８】
また、図６のレンズアレイ８３の端部８３１の平面Ｓ２と、スペーサー８４，８５に形成された平面Ｓ６との間にも、紫外線硬化型接着剤９０にギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤が備えられ、レンズアレイ８３とスペーサー８４，８５とが接合されている。
【００５９】
また、図６のスペーサー８４，８５の平面Ｓ７と、発光素子基板８７に形成された平面Ｓ８との間にも、紫外線硬化型接着剤９０にギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤が備えられ、スペーサー８４，８５と発光素子基板８７とが接合されている。
【００６０】
レンズアレイ８０に形成されたレンズ６４と対向する位置にあるレンズアレイ８３に形成されたレンズ６４とは光軸Ｅが一致するように備えられている。さらに、図４の発光素子７４から構成される発光素子群７１の副走査方向Ｄ２における中心の位置が光軸Ｅの位置になるように、発光素子基板８７が備えられる。
【００６１】
次に、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とを接合する方法について説明する。図７は、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とを接合する工程におけるフローチャートである。
【００６２】
図７の準備工程Ｓ１００では、レンズ６４が形成されたレンズアレイ８０，８３と、レンズ６４の光軸方向Ｄ３に光を発光する発光素子基板８７と、透光性を有し、レンズアレイ８０，８３を支持する支持部材としてのスペーサー８１，８２と、レンズアレイ８３と発光素子基板８７を支持する支持部材としてのスペーサー８４，８５と、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型接着剤９０に、発光素子基板８７、スペーサー８１，８２，８４，８５より光透過率が低いギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤とを用意する（図６参照）。
【００６３】
塗布工程としての第１塗布工程Ｓ１１０では、レンズアレイ８０の平面Ｓ２またはスペーサー８１，８２の平面Ｓ３に準備工程Ｓ１００で用意した接着用混合剤を塗布する（図６参照）。
【００６４】
図８は、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とが接着用混合剤を介して当接していることを示す主走査方向Ｄ１から見た断面図である。当接工程としての第１当接工程Ｓ１２０では、平面を有する台１０００の上に、レンズ６４を台１０００とは反対側に向けてレンズアレイ８０を置く。そして、レンズアレイ８０の端部８０１に形成された平面Ｓ２に、接着用混合剤を介してスペーサー８１，８２の平面Ｓ３をそれぞれ当接させる。
【００６５】
位置調整工程としての第１位置調整工程Ｓ１３０では、図８のレンズアレイ８０とスペーサー８１，８２との光軸方向Ｄ３と直角方向における相対的な位置を調整する。すなわち、主走査方向Ｄ１と副走査方向Ｄ２におけるレンズアレイ８０とスペーサー８１，８２との相対的な位置を調整する。本実施例においては、台１０００に固定されたレンズアレイ８０に対して、スペーサー８１，８２をそれぞれ移動させて位置を調整する。
【００６６】
紫外線照射工程として第１紫外線照射工程Ｓ１４０では、図８の矢印に示す方向から紫外線を照射する。スペーサー８１，８２は、透光性を有する。紫外線硬化型接着剤９０は、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型接着剤であるので、矢印に示す方向から紫外線が照射されると、紫外線硬化型接着剤９０は硬化し、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とは接合される。
【００６７】
図９は、図８の状態に、さらにレンズアレイ８３を備えた状態を示す図である。本実施例では、図７の第１紫外線照射工程Ｓ１４０を行った後、第１塗布工程Ｓ１１０に戻る。第１塗布工程Ｓ１１０では、紫外線硬化型接着剤９０にギャップ材９１を混合した接着用混合剤を、レンズアレイ８３またはスペーサー８１，８２に塗布する。
【００６８】
第１当接工程Ｓ１２０では、図９に示すように、スペーサー８１，８２の平面Ｓ４にレンズアレイ８３の平面Ｓ５を、接着用混合剤を介して当接させる。第１位置調整工程Ｓ１３０では、スペーサー８１，８２とレンズアレイ８３との主走査方向Ｄ１、副走査方向Ｄ２における相対的な位置調整を行う。
【００６９】
第１紫外線照射工程Ｓ１４０では、図９の矢印に示す方向から紫外線を照射する。レンズアレイ８３は、透光性を有するので、矢印に示す方向から紫外線が照射されると、紫外線硬化型接着剤９０は硬化し、レンズアレイ８３とスペーサー８１，８２とは接合される。
【００７０】
図１０は、図９の状態に、さらにスペーサー８４，８５を備えた状態を示す図である。本実施例では、第１紫外線照射工程Ｓ１４０から、再び、第１塗布工程Ｓ１１０に戻る。第１塗布工程Ｓ１１０では、レンズアレイ８３の平面Ｓ２またはスペーサー８４，８５の平面Ｓ６に、紫外線硬化型接着剤９０にギャップ材９１を混合した接着用混合剤を塗布する。
【００７１】
第１当接工程Ｓ１２０では、図１０に示すように、レンズアレイ８３の平面Ｓ２に、スペーサー８４，８５の平面Ｓ６を当接させる。第１位置調整工程Ｓ１３０では、スペーサー８４，８５とレンズアレイ８３との主走査方向Ｄ１、副走査方向Ｄ２における相対的な位置調整を行う。
【００７２】
第１紫外線照射工程Ｓ１４０では、図１０の矢印に示す方向から紫外線を照射する。スペーサー８４，８５は、透光性を有するので、矢印に示す方向から紫外線が照射されると紫外線硬化型接着剤９０は硬化し、レンズアレイ８３とスペーサー８４，８５とは接合される。
【００７３】
図１１は、図１０の状態に、さらに発光素子基板８７を備えた図である。第２塗布工程Ｓ１５０では、発光素子基板８７の平面Ｓ８またはスペーサー８４，８５の平面Ｓ７に接着用混合剤を塗布する。
【００７４】
第２当接工程Ｓ１６０では、図１１に示すように、発光素子基板８７の平面Ｓ８とスペーサー８４，８５の平面Ｓ７とを、接着用混合剤を介して当接させる。
【００７５】
第２位置調整工程Ｓ１７０では、発光素子基板８７とスペーサー８４，８５との光軸方向Ｄ３と直角方向における相対的な位置を調整する。
【００７６】
第２紫外線照射工程Ｓ１８０では、図１１の矢印に示す方向から紫外線を照射する。発光素子基板８７は、透光性を有するので、矢印に示す方向から紫外線が照射されると紫外線硬化型接着剤９０は硬化し、発光素子基板８７とスペーサー８４，８５とは接合される。
【００７７】
（比較例）
図１２は、本実施例との比較例を示す図である。図１２のギャップ材９２は、光透過率がスペーサー８１，８２，８４，８５以上である。そのため、図１２に示すように、発光素子群７１から照射された光Ｆは、発光素子基板８７、スペーサー８１，８２，８４，８５を透過するとともに、ギャップ材９２も透過する。
【００７８】
これにより、感光ドラム１１の受光面１１１には、発光素子群７１から照射された光Ｆがゴースト光Ｇとなって照射されてしまう。従って、受光面１１１に形成される静電潜像のコントラストが低下し、画像形成装置１から形成される画像の品質が劣化する。
【００７９】
以上、本実施例で説明したラインヘッド１３の組み立て方法は、レンズ６４が形成されたレンズアレイ８０，８３と、光を発光する発光素子７４からなる発光素子群７１が設けられた発光素子基板８７と、透光性を有し、レンズアレイ８０，８３を支持する支持部材としてのスペーサー８１，８２と、レンズアレイ８３と発光素子基板８７とを支持する支持部材としてのスペーサー８４，８５と、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型接着剤９０にスペーサー８１，８２，８４，８５より光透過率が低いギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤と、を用意する準備工程Ｓ１００と、レンズアレイ８０，８３またはスペーサー８１，８２に接着用混合剤を塗布する塗布工程として第１塗布工程Ｓ１１０と、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とを接着用混合剤を介して当接させる当接工程としての第１当接工程Ｓ１２０と、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２との光軸方向Ｄ３と直角方向における相対的な位置を調整する位置調整工程としての第１位置調整工程Ｓ１３０と、スペーサー８１，８２を透過してレンズアレイ８０とスペーサー８１，８２との間にある接着用混合剤に紫外線を照射する紫外線照射工程としての第１紫外線照射工程Ｓ１４０と、発光素子基板８７または支持部材としてのスペーサー８４，８５に接着用混合剤を塗布する第２塗布工程Ｓ１５０と、発光素子基板８７とスペーサー８４，８５とを接着用混合剤を介して当接させる第２当接工程Ｓ１６０と、発光素子基板８７とスペーサー８４，８５との光軸方向Ｄ３と直角方向における相対的な位置を調整する第２位置調整工程Ｓ１７０と、発光素子基板８７を透過して発光素子基板８７とスペーサー８４，８５との間にある接着用混合剤に紫外線を照射する第２紫外線照射工程Ｓ１８０と、を含む。
【００８０】
本実施例の組み立て方法によって製造されたラインヘッド１３は、レンズ６４が形成されたレンズアレイ８３と、透光性を有する第１の支持部材としてのスペーサー８４，８５と、光を発光する発光素子群７１が設けられた発光素子基板８７と、を備え、レンズアレイ８３と、スペーサー８４，８５とが、紫外線硬化型接着剤９０にスペーサー８４，８５より光透過率が低いギャップ材９１を混ぜた接着用混合剤によって接合されている。
【００８１】
また、ラインヘッド１３は、第２のレンズアレイとしてのレンズアレイ８０が、第１のレンズアレイとしてのレンズアレイ８３のレンズ６４の光軸方向Ｅに配され、第２の支持部材としてのスペーサー８１，８２が、レンズアレイ８０とレンズアレイ８３との間に配設され、レンズアレイ８０とスペーサー８１，８２とが、接着用混合剤により接合され、レンズアレイ８３とスペーサー８１，８２とが、接着用混合剤により接合されている。
【００８２】
図１３は、本実施例におけるギャップ材９１によって、ゴースト光の照射が抑制されることを示す図である。本実施例に用いたギャップ材９１は、スペーサー８１，８２，８４，８５より光透過率が低い。そのため、発光素子群７１から照射された光Ｆがギャップ材９１を透過してゴースト光となって感光ドラム１１に照射されることが抑制される。
【００８３】
これにより、感光ドラム１１の受光面１１１に形成される静電潜像が劣化することを抑制できる。従って、本実施例における画像形成装置１によって形成される画像の品質が劣化することを抑制できる。
【００８４】
接着剤は、紫外線照射により硬化する紫外線硬化型接着剤である。そのため、レンズアレイ８０，８３とスペーサー８１，８２，８４，８５との相対的な位置調整を行った後で紫外線を紫外線硬化型接着剤に照射してレンズアレイ８０，８３とスペーサー８１，８２，８４，８５とを接合して組み立てることができる。これにより、８０，８３とスペーサー８１，８２，８４，８５との相対的な位置精度が高いラインヘッド１３が得られる。
【００８５】
本実施例では、紫外線照射により硬化する紫外線硬化型接着剤を用いたが、紫外線硬化型接着剤を用いないでも硬化する接着剤を用いてラインヘッドを組み立てる場合にも適用する。
【００８６】
レンズアレイ８０，８３は、ガラス基板８０ａ，８３ａ上に樹脂表層８０ｂ，８３ｂを備え、樹脂表層８０ｂ，８３ｂにレンズ６４が形成されている。この構成によれば、レンズアレイ８０，８３とスペーサー８１，８２，８４，８５との接合性が向上する。
【符号の説明】
【００８７】
１…画像形成装置、１３…ラインヘッド、６４…レンズ、７１…発光素子群、７４…発光素子、８０，８３…レンズアレイ、８１，８２，８４，８５…スペーサー、８７…発光素子基板、９０…紫外線硬化型接着剤、９１…ギャップ材、Ｄ３…光軸方向、Ｓ１００…準備工程、Ｓ１１０…第１塗布工程、Ｓ１２０…第１当接工程、Ｓ１３０…第１位置調整工程、Ｓ１４０…第１紫外線照射工程、Ｓ１５０…第２塗布工程、Ｓ１６０…第２当接工程、Ｓ１７０…第２位置調整工程、Ｓ１８０…第２紫外線照射工程。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
レンズが形成されたレンズアレイと、透光性を有する支持部材と、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、を備え、
前記レンズアレイと、前記支持部材とが、接着剤に前記支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されていることを特徴とするラインヘッド。
【請求項２】
前記接着剤は、紫外線照射により硬化する紫外線硬化型接着剤である請求項１に記載のラインヘッド。
【請求項３】
前記レンズアレイは、光透過性基材上に樹脂層を備え、前記樹脂層に前記レンズが形成されている請求項１または請求項２に記載のラインヘッド。
【請求項４】
前記レンズアレイである第１のレンズアレイとは異なる第２のレンズアレイが、前記第１のレンズアレイの前記レンズの光軸方向に配され、前記支持部材である第１の支持部材とは異なる第２の支持部材が、前記第１のレンズアレイと前記第２のレンズアレイとの間に配設され、前記第１のレンズアレイと前記第２の支持部材とが、前記接着用混合剤により接合され、前記第２のレンズアレイと前記第２の支持部材とが、前記接着用混合剤により接合されている請求項１から請求項３のいずれか一項に記載のラインヘッド。
【請求項５】
潜像担持体と、
レンズが形成されたレンズアレイと、透光性を有する支持部材と、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、を備え、前記レンズアレイと、前記支持部材とが、接着剤に前記支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されているラインヘッドと、を備え、
前記発光素子から出た光が前記レンズを通過して前記潜像担持体表面に集光されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項６】
レンズが形成されたレンズアレイと、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、透光性を有し、前記レンズアレイと前記発光素子基板とを支持する支持部材と、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型接着剤に、前記支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤と、を用意する準備工程と、
前記レンズアレイまたは前記支持部材に前記接着用混合剤を塗布する塗布工程と、
前記レンズアレイと前記支持部材とを前記接着用混合剤を介して当接させる当接工程と、
前記レンズアレイと前記支持部材との前記レンズの光軸方向と直交または略直交する平面における相対的な位置を調整する位置調整工程と、
前記支持部材を透過して前記レンズアレイと前記支持部材との間にある前記接着用混合剤に紫外線を照射する紫外線照射工程と、を含むことを特徴とするラインヘッド組立方法。
【請求項１】
レンズが形成されたレンズアレイと、透光性を有する支持部材と、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、を備え、
前記レンズアレイと、前記支持部材とが、接着剤に前記支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されていることを特徴とするラインヘッド。
【請求項２】
前記接着剤は、紫外線照射により硬化する紫外線硬化型接着剤である請求項１に記載のラインヘッド。
【請求項３】
前記レンズアレイは、光透過性基材上に樹脂層を備え、前記樹脂層に前記レンズが形成されている請求項１または請求項２に記載のラインヘッド。
【請求項４】
前記レンズアレイである第１のレンズアレイとは異なる第２のレンズアレイが、前記第１のレンズアレイの前記レンズの光軸方向に配され、前記支持部材である第１の支持部材とは異なる第２の支持部材が、前記第１のレンズアレイと前記第２のレンズアレイとの間に配設され、前記第１のレンズアレイと前記第２の支持部材とが、前記接着用混合剤により接合され、前記第２のレンズアレイと前記第２の支持部材とが、前記接着用混合剤により接合されている請求項１から請求項３のいずれか一項に記載のラインヘッド。
【請求項５】
潜像担持体と、
レンズが形成されたレンズアレイと、透光性を有する支持部材と、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、を備え、前記レンズアレイと、前記支持部材とが、接着剤に前記支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤によって接合されているラインヘッドと、を備え、
前記発光素子から出た光が前記レンズを通過して前記潜像担持体表面に集光されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項６】
レンズが形成されたレンズアレイと、光を発光する発光素子が設けられた発光素子基板と、透光性を有し、前記レンズアレイと前記発光素子基板とを支持する支持部材と、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型接着剤に、前記支持部材より光透過率が低いギャップ材を混ぜた接着用混合剤と、を用意する準備工程と、
前記レンズアレイまたは前記支持部材に前記接着用混合剤を塗布する塗布工程と、
前記レンズアレイと前記支持部材とを前記接着用混合剤を介して当接させる当接工程と、
前記レンズアレイと前記支持部材との前記レンズの光軸方向と直交または略直交する平面における相対的な位置を調整する位置調整工程と、
前記支持部材を透過して前記レンズアレイと前記支持部材との間にある前記接着用混合剤に紫外線を照射する紫外線照射工程と、を含むことを特徴とするラインヘッド組立方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【公開番号】特開２０１１−３７０５４（Ｐ２０１１−３７０５４Ａ）
【公開日】平成２３年２月２４日（２０１１．２．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１８４２２９（Ｐ２００９−１８４２２９）
【出願日】平成２１年８月７日（２００９．８．７）
【出願人】（０００００２３６９）セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年２月２４日（２０１１．２．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年８月７日（２００９．８．７）
【出願人】（０００００２３６９）セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Ｆターム（参考）】
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