説明

ラウドスピーカ

【課題】ラウドスピーカの提供。
【解決手段】ラウドスピーカ(30)は、支持構造(32)上に取り付けられた音生成エレメント(31)と、音生成エレメント(31)の互いに対向するエッジ(34)に取り付けられた2つのロータリーアクチュエータ(1)とを備える。アクチュエータ(1)は、支持構造(32)に対する音生成エレメント(31)の動きであって回転成分を含む動きを駆動するように動作可能である。ラウドスピーカ(30)は、一方のエッジのみで駆動された場合よりも大きい音出力を生成し、特に携帯電話などの携帯電子デバイスでの使用に適している。この場合、支持構造(32)はデバイスのケーシングの一部分であってもよく、音生成エレメント(31)は表示デバイス(33)を覆う透明パネルであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的小型で携帯可能な電子デバイス(例えば携帯電話、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)またはラップトップコンピュータ)での使用に特に適したラウドスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電子デバイスでの使用に適したタイプのラウドスピーカの一例は、本願と同一の所有者を有する国際出願WO-03/001841号に記載されている。このタイプのラウドスピーカは、本明細書では「C窓スピーカ」と呼び、「Cモルフアクチュエータ」により駆動する音生成エレメント(ダイヤフラム)を含む。「Cモルフアクチュエータ」は圧電アクチュエータであって、ベンダ構造を有し、一部が除去された円筒形状(したがって断面C字形状である)を有する。アクチュエータの一端は音生成エレメントに取り付けられ、他端は電子デバイスのハウジングに取り付けられている。動作中、アクチュエータの端部は相対的に回転する。このようにアクチュエータは音生成エレメントの、回転成分を含む動作を駆動するように動作可能である。C窓スピーカは、様々な製品(例えば携帯電話およびPDA)のハウジング内のパネルがラウドスピーカとして駆動することを可能にし、以下の利点を提供する。
【0003】
・スピーカは断面が非常に小さいため製品内部であまりスペースをとらない。
・Cモルフアクチュエータは電気的にはキャパシタに類似しており、消費電力が小さい。
・表示部を用いる製品(例えば携帯電話)の場合、音生成エレメントは現在LCDの保護に用いられているポリカーボネートスクリーンであってもよい。
・このようなラウドスピーカを用いることにより、製品を水分および埃に対してより効果的にシールすることができる。
・生成される音が分散するため、耳の近くで大音量で用いても聴力を損なわない。
・同等サイズのスピーカに比べて音質が良い。
・スピーカのパーツおよび構造は簡素であり、従来のスピーカに対して潜在的にコスト面で勝る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの利点を有する一方で、ラウドスピーカの出力音レベルは他のラウドスピーカ同様、サイズによって制限される。携帯電子デバイスの典型的な使用の場合、例えば、音生成エレメントがデバイスのケーシングの一部分である場合には、デバイスのサイズがラウドスピーカのサイズを制限する。したがってより小さい電子デバイスを求める傾向は、内蔵ラウドスピーカが適度の出力音レベルを生成するための要件とは相容れない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の局面によると、ラウドスピーカであって、支持構造上に取り付けられた音生成エレメントと、音生成エレメントの互いに対向するエッジに取り付けられた2つのロータリーアクチュエータであって、支持構造に対する音生成エレメントのエッジの回転動作を駆動して音生成エレメントに音を生成させるように動作可能な2つのロータリーアクチュエータとを備えたラウドスピーカが提供される。
【0006】
各アクチュエータは音生成エレメントのエッジに取り付けられる。2つのアクチュエータは音生成エレメントの互いに対向するエッジに取り付けられる。アクチュエータはロータリーアクチュエータであり、WO-03/001841号に開示されたタイプのCモルフアクチュエータであってもよい。ダイヤフラムの両エッジは回転成分によって動く。ダイヤフラムの各エッジにドライブを設けることにより、WO-03/001841号に開示されたように1つのエッジでのみ駆動される場合に比べて、音生成エレメントが所与の面積で生成する出力音レベルが大きくなる。例えば2つのロータリーアクチュエータは共通の信号で駆動してもよい。この場合、音生成エレメントの両エッジが協調して駆動される。すなわち両エッジが同方向に動く。この場合、達成可能な出力音レベルは明らかに高い。あるいはアクチュエータは別々の信号、例えば2つのステレオ信号で駆動してもよい。この場合、単一のアクチュエータを用いる場合に比べて全体の出力音レベルが高まるだけでなく、ステレオ音の出力などのさらなる効果を得ることができる。
【0007】
各アクチュエータは単一エレメントであることが好ましいが、複数のアクチュエータエレメントを含んでもよい。
【0008】
各アクチュエータの一端はダイヤフラムに取り付けられている。各アクチュエータの他端は支持構造に直接取り付けられていてもよいし、ダイヤフラムの別の部分を介して支持構造に間接的に取り付けられていてもよい。
【0009】
ラウドスピーカはアクチュエータに駆動信号を供給する駆動回路を備えていてもよい。各アクチュエータに別々の信号を供給する場合、以下の特徴が有利に適用される。
【0010】
駆動回路は、別々の駆動信号の各々の低周波数成分と、それに対して他方側の駆動信号とを混合するように構成された低周波数ミキサ回路を備えていてもよい。低周波数成分は、所定のカットオフ周波数(例えば400 Hz)より低い成分であってもよい。このことは、両方のアクチュエータが別々の信号の各々の低周波数成分を受け取るという意味で、低周波数成分がある程度組み合わされたものになるという効果を有する。したがって、音生成エレメント全体が一体的に動く傾向を得、低周波数成分をより有効に放射する。その低周波数放射効率は概してダイヤフラムまたはパネルの放射部分の面積の二乗に比例する。このアプローチが上手くいくのは、駆動周波数が増加するにつれて音生成エレメントがより屈曲し、共動する剛性物体としての挙動が減少する傾向にあるからである。他方、非常に低い周波数では、音生成エレメントは全く屈曲せず単一の硬いダイヤフラムとして有効に動作する。
【0011】
この効果は概して、2つのアクチュエータが音生成エレメントの互いに対向する半分部分を駆動するラウドスピーカにおいて達成される。この場合、アクチュエータはロータリーアクチュエータでなく例えば線形アクチュエータであってもよい。このようなラウドスピーカは本発明のさらなる局面により提供される。
【0012】
駆動回路は、頭部伝達関数により別々の駆動信号を処理するように構成されていてもよい。これは、リスナーに方向的効果を知覚させる。このような頭部伝達関数による処理はそれ自体、様々な方向的効果、例えば擬似ステレオ効果または擬似サラウンド効果を生じさせるものとして公知である。一例は、英国University of SouthamptonのISVRでNelsonによって設計されたステレオダイポールシステムである。
【0013】
この効果は概して、2つのアクチュエータが音生成エレメントの互いに対向する半分部分を駆動するラウドスピーカにおいて達成される。この場合、アクチュエータはロータリーアクチュエータでなく例えば線形アクチュエータであってもよい。このようなラウドスピーカは本発明のさらなる局面により提供される。
【0014】
駆動回路は、別々の駆動信号の各々から、少なくともその高周波数成分を反転させることにより対向信号を取り出し、かつ、対向信号の各々と、別々の駆動信号のうち対向信号が取り出されたものではない方の駆動信号とを混合するように構成された対向ミキサ回路を備えていてもよい。このことは、音生成エレメントの複数の部分であって2つの音チャネルの源であると考えられる部分間の距離を増加させることによって、2つのアクチュエータに供給された2つの駆動信号のステレオ効果を高めるという利点を有する。これは、各対向信号が、音生成エレメントの反対のエッジでアクチュエータによって生成された音を打ち消し、それによって反対のエッジ方向に音を集中させることによって達成される。
【0015】
この効果は概して、2つのアクチュエータが音生成エレメントの互いに対向する半分部分を駆動するラウドスピーカにおいて達成される。この場合、アクチュエータはロータリーアクチュエータでなく例えば線形アクチュエータであってもよい。このようなラウドスピーカは本発明のさらなる局面により提供される。
【0016】
好ましくは、音生成エレメントが、2つのアクチュエータ間で変化する物理特性を有するパネルを含む。
【0017】
これにより以下に詳細に述べるように、2つのアクチュエータに供給された別々の駆動信号から生成された音の分断が高まること、または音生成エレメントを表示デバイス用のレンズとして用いることなどを含む複数の効果が得られる。
【0018】
これらの効果は概して、2つのアクチュエータが音生成エレメントの互いに対向する半分部分を駆動するラウドスピーカにおいて達成される。この場合、アクチュエータはロータリーアクチュエータでなく例えば線形アクチュエータであってもよい。このようなラウドスピーカは本発明のさらなる局面により提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のより良い理解のために本発明の実施形態を、添付の図面を参照して非限定的実施例により説明する。
【0020】
まず図1に示すアクチュエータ1を説明する。アクチュエータ1はバイモルフベンダ構造を有しており、2つの外電極4および5と中央電極6との間に層構造で設けられた圧電材料の2つの層2および3を含む。層2および3の圧電材料は好ましくは圧電セラミック(例えばPZT)である。圧電材料の層2および3は電極4〜6に電圧を印加することにより作動する。極方向および作動電圧方向は、層2と層3とが長さ方向に異なる変化をし(例えば、層2が伸張し層3が収縮する)、それによりアクチュエータ1を屈曲させるように選択される。例えば、層2および3は同一方向の極性を有し、外電極4および5を接地して中央電極6に電圧を印加することにより逆方向の電圧によって作動してもよい。アクチュエータ1は両端11および12間で湾曲しており、特に円の一部の形状、この場合は完全な円の3/4の形状を有している。したがってアクチュエータ1は管状である。この形状により、アクチュエータ1が作動して屈曲すると、両端11および12がアクチュエータの湾曲軸を中心として相対的に回転する。
【0021】
アクチュエータ1は細長く、横方向長さが両端部11および12間の長さよりも長い。これによりアクチュエータ1とダイヤフラム21(後述)との連結部の剛性が高まり、両端部11および12間に所与の長さを有するアクチュエータ1に付与される力も高まる。
【0022】
図2は、WO-03/001841号に開示され上記でC窓と記載した公知のタイプのラウドスピーカ20内でのアクチュエータ1の動作を示す模式図である。この場合、アクチュエータ1はダイヤフラム21に機械的に連結されて音を発生させる。アクチュエータ1の一端12は支持部8に機械的に連結されており、したがって固定されている。アクチュエータ1の他端11はダイヤフラム21に剛性に連結されている。アクチュエータ1が作動すると、他端11が固定端12に対して回転する。これにより矢印23で模式的に示すようにダイヤフラム21が回転する(実際にはダイヤフラム21がある程度屈曲する)。このようにアクチュエータ1はダイヤフラム21を振動させて音を発生させるように用いられる。
【0023】
図3は、2つの同一のアクチュエータ1が用いられたラウドスピーカ30を示す。ラウドスピーカ30は、音生成エレメントとして作用するダイヤフラム31を含む。ダイヤフラム31は、例えばポリカーボネートなどの材料の平坦なパネルとして形成されている。ダイヤフラム31は、アクチュエータを介して携帯電子デバイス(例えば携帯電話)のケーシング32に取り付けられている。ケーシング32はラウドスピーカ30の支持構造として作用する。ダイヤフラム31はケーシング32内のアパチャ36を覆っており、したがってケーシング32の一部分と考えることもできる。ダイヤフラム31は透明であり、図4に示すように、ケーシング32内に収容される表示デバイス33用の保護層を形成する。
【0024】
アクチュエータ1は、ダイヤフラム31の互いに対向するエッジ34に取り付けられている。各アクチュエータ1は、図2に示す公知のラウドスピーカ20と同様の様式で連結されている。すなわち、アクチュエータ1の一端12の側面がケーシング32に連結され、他端11の端面がダイヤフラム31に剛性に連結されている。アクチュエータ1は、適切な接着剤でケーシング32とダイヤフラム31とに連結されて剛性連結を提供している。
【0025】
アクチュエータ1は、ケーシング32に直接連結される代わりに、ダイヤフラム31の一部分を介してケーシング32に間接的に連結されてもよい。連結の様式は同時係属中の国際出願PCT/GB04/004314号に開示されている。上記出願の教示は本発明に適用可能であり、その内容を参考のため本明細書に組み込まれる。この場合、ラウドスピーカは自己包含型ユニットとして製造することができ、後の製造工程でケーシング32に簡単に組み込むことができる。
【0026】
ダイヤフラム31は、エッジのうちアクチュエータ1が存在しない部分にシール部材(図示せず)を備えていてもよい。シール部材は、同時係属中の国際出願PCT/GB04/004314号に開示されているように、ダイヤフラム31の平面の周囲に設けられてもよい。このようなシール部材を設ける主な目的は、流体および粉体の進入を阻止するシールとして作用させることであり、この目的のためにはダイヤフラム31の動きを制限しない、完全にフレキシブルな材料が適している。しかし、音にある程度の制動を与えることによりラウドスピーカ30の周波数応答の平坦度が向上するため、そのような材料を用いることが有利である。シール部材の材料は、高度な柔軟性(低硬度)を有する泡状エラストマー(例えばポリウレタンフォーム)であってもよい。例えば、シール部材の材料の圧縮力偏向(Compression Force Deflection)は好ましくは25〜500 kPaの範囲であり、より好ましくは100〜300 kPaの範囲(0.2インチ/分の歪み率および25%偏向で測定)である。Shore「A」スケールでのデュロメータ硬度は好ましくは8〜45の範囲であり、より好ましくは約25である。シール部材67に適した材料の一例はポリウレタンフォーム、例えばRogers CorporationによりPORON(商標)の名称で提供されているフォーム(PORON 4701-40 Softなど)であり、好ましくは高密度グレード(例えば480 kg/m3)、厚み0.8 mm、典型的圧縮力偏向173 kPaおよびShore「A」硬度25を有するものである。
【0027】
ラウドスピーカ30はさらに、各アクチュエータ1に駆動信号を供給する駆動回路35を含む。図5に、駆動回路35の1つの使用可能構成を示す。この場合、駆動回路35は、入力信号を受け取る入力51を有する。入力信号は増幅器52の入力に供給され、増幅器52は入力信号を増幅して駆動信号を生成する。増幅器52の出力は、駆動回路35の2つの出力53に接続されており、出力53は各々アクチュエータ1のうちの1つに接続されている。
【0028】
これにより駆動回路35は共通駆動信号を2つのアクチュエータ1に供給する。各アクチュエータ1は、ダイヤフラム31のエッジ34のうちそれが接続されている方のエッジ34の回転動作を駆動する。アクチュエータ1は互いに逆の方向に向けられているため、共通駆動信号により各々の軸回りに、互いに逆方向に回転する。したがって両方のアクチュエータ1が同期してダイヤフラム31の全体的動きを同方向に駆動して音を生成するが、各アクチュエータ1が生成する回転成分によりダイヤフラムが屈曲する。その結果得られる動きの振幅を図4に破線40で模式的に示す(図4では明瞭化のため動きが誇張されている)。ダイヤフラム31は、2つのアクチュエータ1の互いに逆方向の回転に順応するに十分フレキシブルであるように設計されている。すなわち、ダイヤフラム31の材料および寸法は、適切なレベルの硬度を提供するように、つまりダイヤフラム31が隣接する空気を有効に動かして音を生成するには十分硬いが互いに対向するエッジ34を逆方向に回転させるには十分フレキシブルとなるように選択されている。さらにダイヤフラム31は、表示デバイス33を適切に保護するに十分硬い。例えばダイヤフラム31は、一般に表示デバイス用保護カバーとして用いられるものと同じタイプのポリカーボネートにより形成されていてもよい。
【0029】
アクチュエータ1をダイヤフラム31の各エッジ34に設けた場合、ダイヤフラム31の面積が同じであれば、WO-03/001841号に開示されているように単一アクチュエータ1によって駆動される場合に比べて、ダイヤフラム31の出力音レベルがより高くなる。
【0030】
図6は、駆動回路35の別の構成であって、アクチュエータ1に2つの別々の駆動信号を供給する構成を示す。この場合駆動回路35は、2つの別々の入力信号VLおよびVRを受け取って対応する信号経路62に沿って各アクチュエータ1に接続された対応する出力63に供給する2つの入力61を有する。入力信号VLおよびVRは典型的にはステレオ信号の左チャネルと右チャネルである。各信号経路62は増幅器64を有し、増幅器64は入力信号を増幅して駆動信号を生成する。この駆動モードでは、ダイヤフラム31の左部分が主に左ステレオ入力信号VLに応答して動き、ダイヤフラム31の右部分が主に右ステレオ入力信号VRに応答して動く。これは左および右のアクチュエータ1がそれぞれダイヤフラム31の左および右エッジ34に近いからであり、かつダイヤフラム31および周囲のシール部材が有限の硬度を有しているからである。このように2つのアクチュエータ1に隣接する、ダイヤフラムの左部分および右部分は別々の信号を出力する傾向があり、それにより音の放出を局地化しステレオ効果を提供する。これを図7に模式的に示す。図7において、第1の信号の結果起こる動きを破線71で模式的に示し、第2の信号の結果起こる動きを破線72で模式的に示す(図7では明瞭化のため動きが誇張されている)。ダイヤフラム31の動きの変動は、低い周波数よりも高い周波数においてより強調される。これは、ダイヤフラム31の弾性力と慣性、およびシール部材の弾性力と制動による。したがってステレオ「距離」は低い周波数よりも高い周波数においてより大きい。
【0031】
図8は、駆動回路35のさらに別の構成を示す。この構成もアクチュエータ1に2つの別々の駆動信号を供給する。この場合も駆動回路35は、2つの別々の入力信号VLおよびVRを受け取って対応する信号経路82に沿って各アクチュエータ1に接続された対応する出力83に供給する2つの入力81を有する。入力信号VLおよびVRは典型的にはステレオ信号の左チャネルと右チャネルである。各信号経路82は増幅器84を有し、増幅器84は信号経路82上で入力信号を増幅して駆動信号を生成する。しかし駆動回路35はさらに、信号が増幅器84の入力に供給される前に信号を処理する回路を含む。上記回路は具体的には、低周波数ミキサ回路85と、対向ミキサ回路86と、方向的効果回路87である。
【0032】
低周波数ミキサ回路85を図9に示す。低周波数ミキサ回路85は、各入力信号VLおよびVRの低周波数成分を他方の入力信号VLまたはVRと混合することにより、ラウドスピーカ30の低周波数出力をできるだけ最大にするように作用する。低周波数ミキサ回路85は2つの入力91を有し、2つの入力91は2つの別々の入力信号VLおよびVRを受け取って対応する信号経路92(駆動回路35の全体的信号経路82の一部分を形成する)に沿って対応する出力93に供給する。入力信号VLおよびVRは、各信号経路92上の周波数分割フィルタ94に供給される。周波数分割フィルタ94は、各入力信号VLおよびVRの低周波数成分VLLおよびVRLをフィルタリングにより除去し、入力信号VLおよびVRのうちの残った高周波数成分VLHおよびVRHを信号経路92に沿って供給する。周波数分割フィルタ94は、低周波数成分VLLおよびVRLを、入力信号VLおよびVRのうち所定のカットオフ周波数(典型的には400 Hz)未満の成分とするようなフィルタ特性を有する。
【0033】
低周波数成分VLLおよびVRLは両方のフィルタ94から第1の加算器95に出力される。第1の加算器95はこれらを組み合わせて、組合せ低周波数信号Vlowを生成する。第1の加算器95から出力された組合せ低周波数信号Vlowは、必要に応じて設けられる利得調整器97を介して、信号経路92にそれぞれ設けられた2つの加算器96の両方に供給される。利得調整された組合せ低周波数信号Vlowは、信号経路92上に残る高周波数成分VLHおよびVRHに追加される。このように第2の加算器96は組合せ低周波数信号Vlowを信号経路92上の信号に再導入する効果を有する。
【0034】
最終的な効果は、各入力信号VLおよびVRの低周波数成分VLLおよびVRLの一部、おそらく半分を他方の入力信号VLまたはVRと混合することである。その結果、低周波数成分VLLおよびVRLに関しては、図4を参照して上記したようにダイヤフラム31全体が共通信号により駆動されて共通音放射源として動く傾向を得る。この結果、低周波数成分VLLおよびVRLがより有効に放出され、その低周波数放射効率は概してダイヤフラム31の放射部分の面積の二乗に比例する。しかし信号経路92上に残る高周波数成分VLHおよびVRHに関しては、ダイヤフラム31のうち2つのアクチュエータ1に隣接する左部分および右部分が別々の信号を出力する傾向を得、それにより図7を参照して上記したようにステレオ効果を提供する。このアプローチが上手くいくのは、駆動周波数が増加するにつれてダイヤフラム31がより屈曲し、共動する剛性物体としての挙動が減少する傾向にあるからである。他方、非常に低い周波数では、ダイヤフラム31はほとんど屈曲せず単一の硬い物体として有効に動作する。このタイプの有効なラウドスピーカを構築するためには、ダイヤフラム31の硬度をフィルタ94の所定のカットオフ周波数に合致させることが望ましい。これによりカットオフ周波数より上の周波数では、ダイヤフラム31のうち2つのアクチュエータ1に隣接する2つの半分部分から有用な放射を独立して得ることができ、カットオフ周波数より下の周波数ではダイヤフラム31全体から有用な放射を均一に得ることができる。
【0035】
言うまでもなく低周波数ミキサ回路85は他の構成を有していてもよく、特に、各低周波数成分VLLおよびVRLの半分以外の量が他方の入力信号VLまたはVRと混合された場合も同様の効果を得ることができる。
【0036】
図10に対向ミキサ回路86を示す。対向ミキサ回路86は2つの入力101を有する。2つの入力101は、2つの別々の入力信号VLおよびVRを受け取って対応する信号経路102(駆動回路35の全体的信号経路82の一部分を形成する)に沿って対応する出力103に供給する。対向ミキサ回路86は、2つの入力信号VLおよびVRを対応するインバータ104に供給し、インバータ104は入力信号VLおよびVRを反転させる。対向ミキサ回路86は必要に応じて、1前後の利得を印加して対応する対向信号VLOおよびVROを生成する。各対向信号VLOおよびVROは、他方の入力信号VLまたはVRの信号経路102上の加算器105に供給される。このように対向ミキサ回路86は、各入力信号VLおよびVRを反転させて、反転した信号を他方の入力信号VLまたはVRと混合するという効果を有する。
【0037】
対向ミキサ回路86の効果は、ダイヤフラム31上の複数の位置であって2つの入力信号VLおよびVRの発信源であると考えられる位置間の距離を増加させることによってステレオ効果を高めることである。これは各対向VLOおよびVROが、ダイヤフラム31のアクチュエータ1に隣接する半分部分であって他方のアクチュエータ1による駆動とは反対に対向信号VLOおよびVROが印加される半分部分を駆動し、それにより上記他方のアクチュエータに印加される信号VLおよびVRの効果をある程度打ち消すからである。すなわち、右チャネルがダイヤフラム31の左半分で打ち消され、その逆も同じである。その結果、2つの別々の信号間の距離が増加し、ステレオ効果が高められる。これを図11に模式的に示す。図11は、単一の入力信号VRが図中右側のアクチュエータ1に印加された場合を示す。入力信号VRはダイヤフラム31を、ライン111で模式的に示す振幅で振動させる(明瞭化のため振幅は誇張されている)。右側のアクチュエータ1近傍では、右にいくにつれて振幅が増大している。そのため右チャネルの音はダイヤフラム31の中心より右側の点、例えば位置112から出ているように思える。同時に左側のアクチュエータ1は対応信号VRO、すなわち右側のアクチュエータ1に印加された入力信号VRに対して負であるか又は部分的に負である信号で駆動され、ライン113で示すダイヤフラム振幅を生じさせる。この対向振動はダイヤフラム31の左エッジに向かってピークとなる。その結果得られる2つの振動の振幅の合計はライン114で示すようになり、そのピークはライン111よりも狭い。そのため右チャネルの音はダイヤフラム31の右側エッジ近傍の点、例えば位置115から出ているように思える。左側のアクチュエータ1に印加される入力信号VLにも同様の効果が得られる。単純なステレオ駆動に比べて、2つのチャネル間の距離が増加し、ステレオ効果が高まる。
【0038】
実際には、ダイヤフラム31に沿った音の有限速度のために、インバータ104の相訂正を追加することにより、各周波数での反転振幅がアクチュエータの互いに対向する端部に駆動されること、すなわちインバータ104が一方のアクチュエータ1から他方のアクチュエータ1までダイヤフラム31に沿って音経路を相追跡すべきであることを確認することがさらに必要となり得る。
【0039】
対向ミキサ回路86は供給された入力信号VLおよびVRを処理するが、これにより得られる効果は高周波数成分にとって特に重要である。そのため別の実施形態として、対向ミキサ回路86は高周波数成分のみを抽出し処理することも可能である。これは例えば、対向ミキサ回路86と低周波数ミキサ回路85とを組み合わせて、フィルタ94から出力される信号を処理することにより行われる。
【0040】
方向的効果回路87は、2つの駆動信号VLおよびVRを、頭部伝達関数によって処理するように構成されている。頭部伝達関数は、知覚された方向的効果、例えば、音がラウドスピーカ30以外の位置から出ているとリスナーに知覚させる擬似ステレオまたは擬似サラウンド効果を生成する。このような頭部伝達関数による処理はそれ自体公知であり、本発明にも適用可能である。公知の一例は、英国University of SouthamptonのISVRでNelsonによって設計されたステレオダイポールシステムである。ステレオダイポールシステムでは、2つの別々の放射ラウドスピーカが好ましくは互いに近接しており、場合によっては用いるトランスデューサの物理的サイズによってラウドスピーカを実際どのくらい近接して取り付けることができるかが限定される。本発明のラウドスピーカ30では、アクチュエータ間の距離、パネルサイズ、厚み、材料、物理特性の不均一性を適切に選択することができ、それにより主に放射する領域が左および右駆動信号VLおよびVRに応答する。駆動信号VLおよびVRはダイヤフラム31内であれば、ほぼいずれの間隔で設けられてもよい。すなわち音響トランスデューサ間の有効距離はほぼゼロからパネル幅までのいずれでもよく(パネルを駆動するアクチュエータはダイヤフラム31のエッジに固定されてはいるが)、さらに所望であれば、このトランスデューサ間の有効距離は周波数に応じて変化するように設計することもできる。このようにラウドスピーカ30は、適切な位置にいるリスナーにステレオおよび/またはサラウンド音を提供するように用いることができる。
【0041】
ラウドスピーカ30の構造は様々に変更することが可能である。
【0042】
1つの可能性としては、ダイヤフラム31の形態を変更することができる。上記したラウドスピーカでは、ダイヤフラム31が平坦な平面シートであり、その領域内に均一な物理特性を有している。これに代えて、ダイヤフラム31において1以上の物理特性を変化させることが可能である。特定の利点を有する変化を以下に述べる。
【0043】
ダイヤフラムは概していずれの形態でもよい。例えばリブ状でもよいし、任意のパターンの構造であってもよい。しかし物理特性を2つのアクチュエータ1間の中心線に対してミラー対称にすることにより特定の利点が得られる。この場合、両方のアクチュエータ1の動作に対する効果は同一であるが、さらに追加の効果をも得ることができる。上記に加えてまたは上記に代えて、物理特性を2つのアクチュエータ1の中心を結ぶ線に対してミラー対称に変化させることができる。
【0044】
1つの可能性は、物理特性としてダイヤフラム31の硬度を変化させることである。これにより音響特性を制御することが可能となる。硬度を変化させるには、ダイヤフラム31の材料を変化させて不均一にし、その密度、モジュラス、またはその両方を位置に応じて変化させることが可能である。しかし硬度を変化させるには、ダイヤフラム31の材料の組成を均一にしたまま厚み(すなわち音が主に放射される前方方向に直交する方向のパネル寸法)を変化させる方が簡便である。
【0045】
上記の1つの好ましい例を図12に示す。図12は、ダイヤフラム31の別の形態を示す。この形態においてダイヤフラム31の厚みおよびしたがって硬度は、アクチュエータ1が連結されているエッジ34間の中心線120に沿う部分が他の部分よりも小さい。ダイヤフラム31のこの形態は、2つのアクチュエータ1に供給される別々の駆動信号によって駆動されるダイヤフラム31の2つの半分部分の別々の音放射モードを分断することを補助する。上記分断によりラウドスピーカ30の前にいるリスナーが聞くステレオ効果が高まる。ラウドスピーカ30のダイヤフラム31が表示デバイス33の前にある透明且つおそらくは保護的な窓として用いられる場合、ダイヤフラム31の厚みを位置に応じて非常に滑らかに変化させて表示デバイス33上の像がダイヤフラム31によって光学的に歪むことを最低限に抑えることが望ましい。
【0046】
図13は、ダイヤフラム31の別の形態を示す。図13においては、ダイヤフラム31の厚みが変化し、ダイヤフラム31はレンズとして作用する。特に、厚みはアクチュエータ1間の中心線130に向かって平滑に増加し、ダイヤフラム31がその下の表示デバイス34上の像をある程度拡大するレンズを構成する。厚みは中心線130に平行な線に沿って均一であるため、このように形成されたレンズは円筒レンズとして公知のタイプであるが、形状はかならずしも円筒形状である必要はない。あるいは中心線130に平行な線にそって厚みを変化させて球状レンズを形成し、表示デバイス34上の像を拡大してもよいが、形状はかならずしも球状である必要はない。
【0047】
図12および図13はダイヤフラム31の一方側のみで厚みが変化し他方側は平坦であるように示しているが、実際には厚みの変化は片側のみでもよいし両側にあってもよい(すなわち一方の側が平坦で他方の側が厚み方向に変化があってもよいし、両側で厚み方向に変化があってもよい)。
【0048】
あるいは、他の物理特性を位置に応じて変化させることによりダイヤフラム31をレンズとして用いてもよい。
【0049】
上記の物理特性のいずれか又はすべての組み合わせが1つのダイヤフラム31に適用可能である。これにより例えばダイヤフラム31は中央に向かって薄くなり、中央に向かってモジュラスが低くなり、エッジに向かって密度が高くなることがあり得る。その場合、様々なパネル特性が選択されて、パネルが透明である場合には関連する光学的効果を位置に応じて増加させたり最小限にしたりし、および/または依存するパネル特性、すなわちパネル硬度を位置に応じて増加させたり最小限にしたりする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、層構造の詳細図を含むCモルフアクチュエータの斜視図である。
【図2】図2は、図1のアクチュエータを用いたラウドスピーカアセンブリの模式的側面図である。
【図3】図3は、図1に示すアクチュエータを2つ用いたラウドスピーカの斜視図である。
【図4】図4は、第1の動作モードにある図3のラウドスピーカの側面図である。
【図5】図5は、図3のラウドスピーカに用いられる駆動回路の回路図である。
【図6】図6は、図3のラウドスピーカに用いられる別の駆動回路の回路図である。
【図7】図7は、第2の動作モードにある図3のラウドスピーカの側面図である。
【図8】図8は、図3のラウドスピーカに用いられるさらに別の駆動回路の回路図である。
【図9】図9は、図8の駆動回路の低周波数ミキサ回路の回路図である。
【図10】図10は、図8の駆動回路の対向ミキサ回路の回路図である。
【図11】図11は、対向ミキサ回路の効果を示す、図3のラウドスピーカの側面図である。
【図12】図12は、図3のラウドスピーカに用いられるダイヤフラムの第1の変形例の斜視図である。
【図13】図13は、図3のラウドスピーカに用いられるダイヤフラムの第2の変形例の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラウドスピーカであって、
支持構造上に取り付けられた音生成エレメントと、
前記音生成エレメントの互いに対向するエッジに取り付けられた2つのロータリーアクチュエータであって、前記エッジを回転させることにより前記支持構造に対する前記音生成エレメントの動きを駆動するように動作可能な2つのロータリーアクチュエータと、
を備えたラウドスピーカ。
【請求項2】
2つのロータリーアクチュエータが、共通の駆動信号で駆動された場合に、互いに逆方向の回転成分を含む動きを駆動するように動作可能である、請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項3】
2つのロータリーアクチュエータが同一である、請求項1または2に記載のラウドスピーカ。
【請求項4】
ロータリーアクチュエータが圧電アクチュエータである、前記請求項のいずれかに記載のラウドスピーカ。
【請求項5】
ロータリーアクチュエータがベンダ構造を有する、請求項4に記載のラウドスピーカ。
【請求項6】
ロータリーアクチュエータの各々が、音生成エレメントと支持構造との間で湾曲している、請求項4または5に記載のラウドスピーカ。
【請求項7】
湾曲が円弧である、請求項6に記載のラウドスピーカ。
【請求項8】
ロータリーアクチュエータの各々が、動作により回転するアクチュエータのエッジ間方向におけるよりも前記回転の軸に沿った方向において長い、請求項4から7のいずれかに記載のラウドスピーカ。
【請求項9】
ロータリーアクチュエータの各々が、一端で音生成エレメントに連結され、他端で支持構造に連結されている、請求項4から8のいずれかに記載のラウドスピーカ。
【請求項10】
アクチュエータの各々に共通の駆動信号を供給する駆動回路をさらに備えた、前記請求項のいずれかに記載のラウドスピーカ。
【請求項11】
アクチュエータの各々に別々の駆動信号を供給する駆動回路をさらに備えた、請求項1から9のいずれかに記載のラウドスピーカ。
【請求項12】
駆動回路が、別々の駆動信号の各々の低周波数成分と、それに対して他方側の駆動信号とを混合するように構成された低周波数ミキサ回路を備えた、請求項11に記載のラウドスピーカ。
【請求項13】
低周波数ミキサ回路が、
2つの信号経路であって、各々が、別々の駆動信号の各々を対応するアクチュエータに供給する2つの信号経路と、
前記信号経路の各々に設けられたフィルタ構造であって、前記2つの別々の駆動信号の低周波数成分をフィルタンリングにより除去するフィルタ構造と、
信号処理回路であって、前記フィルタ構造によって除去された前記2つの別々の駆動信号の低周波数成分を組み合わせ、組み合わされた低周波数成分を前記信号経路の各々に再導入する信号処理回路と、
を備えた、請求項12に記載のラウドスピーカ。
【請求項14】
低周波数成分が、所定のカットオフ周波数より低い周波数帯域の成分である、請求項12または13に記載のラウドスピーカ。
【請求項15】
所定のカットオフ周波数が、400 Hz以下である、請求項14に記載のラウドスピーカ。
【請求項16】
駆動回路が、頭部伝達関数により前記別々の駆動信号を処理するように構成された、請求項11から15のいずれかに記載のラウドスピーカ。
【請求項17】
駆動回路が対向ミキサ回路を備え、前記対向ミキサ回路は、別々の駆動信号の各々から、少なくともその高周波数成分を反転させることにより対向信号を取り出し、かつ、前記対向信号の各々と、前記別々の駆動信号のうち前記対向信号が取り出されたものではない方の駆動信号とを混合するように構成されている、請求項11から16のいずれかに記載のラウドスピーカ。
【請求項18】
音生成エレメントが、2つのアクチュエータ間で変化する物理特性を有するシートを含む、前記請求項のいずれかに記載のラウドスピーカ。
【請求項19】
物理特性が、シート内において2つのアクチュエータ間の中心線に対してミラー対称に変化する、請求項18に記載のラウドスピーカ。
【請求項20】
物理特性が硬度である、請求項18または19に記載のラウドスピーカ。
【請求項21】
シートの硬度が、2つのアクチュエータ間の中心線の両側部分においてよりも、前記中心線に沿った部分において低い、請求項20に記載のラウドスピーカ。
【請求項22】
シートが全体的に均一な組成を有する材料を含み、前記シートの厚みが2つのアクチュエータ間において変化する、請求項20または21に記載のラウドスピーカ。
【請求項23】
物理特性が厚みである、請求項18に記載のラウドスピーカ。
【請求項24】
シートが透明であり表示デバイス上に設けられており、前記シートの厚みが2つのアクチュエータ間において変化することにより前記シートがレンズを構成している、請求項23に記載のラウドスピーカ。
【請求項25】
支持構造が電子デバイスのハウジングの一部分である、前記請求項のいずれかに記載のラウドスピーカ。
【請求項26】
音生成エレメントが透明であり表示デバイスを覆っている、請求項25に記載のラウドスピーカ。
【請求項27】
ラウドスピーカであって、
支持構造上に取り付けられた音生成エレメントと、
前記音生成エレメントの互いに対向する半分部分に取り付けられた2つのアクチュエータであって、前記支持構造に対する前記音生成エレメントの動きを駆動するように動作可能な2つのアクチュエータと、
前記アクチュエータの各々に別々の駆動信号を供給する駆動回路であって、前記駆動回路が低周波数ミキサ回路を備え、前記低周波数ミキサ回路が前記別々の駆動信号の各々の低周波数成分と、それに対して他方側の駆動信号とを混合するように構成されている、駆動回路と、
を備えたラウドスピーカ。
【請求項28】
ラウドスピーカであって、
支持構造上に取り付けられた音生成エレメントと、
前記音生成エレメントの互いに対向する半分部分に取り付けられた2つのアクチュエータであって、前記支持構造に対する前記音生成エレメントの動きを駆動するように動作可能な2つのアクチュエータと、
前記アクチュエータの各々に別々の駆動信号を供給する駆動回路であって、頭部伝達関数により前記別々の駆動信号を処理して方向的効果を生成するように構成された駆動回路と、
を備えたラウドスピーカ。
【請求項29】
ラウドスピーカであって、
支持構造上に取り付けられた音生成エレメントと、
前記音生成エレメントの互いに対向する半分部分に取り付けられた2つのアクチュエータであって、前記支持構造に対する前記音生成エレメントの動きを駆動するように動作可能な2つのアクチュエータと、
前記アクチュエータの各々に別々の駆動信号を供給する駆動回路であって、前記駆動回路が対向ミキサ回路を備え、前記対向ミキサ回路が前記別々の駆動信号の各々から、少なくともその高周波数成分を反転させることにより対向信号を取り出し、かつ、前記対向信号の各々と、前記別々の駆動信号のうち前記対向信号が取り出されたものではない方の駆動信号とを混合するように構成されている、駆動回路と、
を備えたラウドスピーカ。
【請求項30】
ラウドスピーカであって、
支持構造上に取り付けられた音生成エレメントと、
前記音生成エレメントの互いに対向する半分部分に取り付けられた2つのアクチュエータであって、前記支持構造に対する前記音生成エレメントの動きを駆動するように動作可能な2つのアクチュエータと、
を備え、
前記音生成エレメントが、前記2つのアクチュエータ間で変化する物理特性を有するシートを含む、ラウドスピーカ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2007−515873(P2007−515873A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540572(P2006−540572)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004735
【国際公開番号】WO2005/053356
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(502113699)1...リミテッド (12)
【Fターム(参考)】