説明

ラクトン由来の反応性β−ヒドロキシアミドを含有する硬化性組成物

【課題】硬化性組成物を提供する。
【解決手段】(i)少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはその塩を含む1以上のポリ酸;(ii)任意に、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む1以上のポリオール;並びに(iii)ラクトンまたは他の環状エステルとアルカノールアミンとの反応生成物である、式(I)の1以上の反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール:


を含み、該カルボン酸基、無水物基、またはそれらの塩の当量数の、該ヒドロキシル基の当量数に対する比が1/0.01〜1/3である硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合剤硬化エネルギー要求が低い、低コスト硬化性水性結合剤組成物、繊維性基体および複合体のための結合剤としてのそれらの使用方法、並びにそれらの方法によって製造される製品に関する。特には、本発明は、1種類以上のポリ酸、任意に1種類以上のポリオール、並びに、1種類以上の反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(これは、ラクトンとアルカノールアミンとの反応生成物である)、を含む熱硬化性結合剤樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
不織材料、例えば、ガラス繊維断熱体用の結合剤はほとんどが樹脂、例えば、尿素−ホルムアルデヒド(UF)およびフェノール−ホルムアルデヒド(PF)を含有するホルムアルデヒド縮合樹脂を含んでいる。これらの樹脂は安価であるが、ホルムアルデヒドは公知の発癌性物質であり、そのためPF樹脂の利用者はより害の少ない代替物を求めている。さらに、そのような樹脂は時間の経過と共に黄色化する傾向にあり、湿潤時にひどい臭気を発することがある。加えて、ホルムアルデヒドに共通して伴う健康および環境的な危険性の他にホルムアルデヒドの減量または排除に向けられた既存の、および提案されている規制のため、保存時または硬化中、ホルムアルデヒドをほとんど、もしくは、好ましくは、まったく含まないか、または放出しない硬化性組成物が長い間必要とされている。
【0003】
近年、ホルムアルデヒド非含有水性ポリ酸またはアクリル熱硬化性結合剤が導入されており、これらは無臭で事実上ホルムアルデヒドをまったく放出しないが、ガラス繊維断熱体または他の繊維性製品の製造コストを高めている。このコストの増加はホルムアルデヒド縮合体の使用に伴うコストとまったく対照的な立場にある。加えて、そのような樹脂系熱硬化性結合剤はフェノール/ホルムアルデヒド結合剤よりも硬化により多くのエネルギーを必要とすることがある。ガラス繊維および他の耐熱性不織基体はアクリル熱硬化性結合剤に必要な高い硬化エネルギーに耐えるのに十分な程度に熱的に安定である。しかしながら、ホルムアルデヒド非含有ポリ酸またはアクリル性熱硬化性結合剤の高い硬化エネルギー要求は、熱的感受性基体、例えば、ポリエステル、木材、リグノセルロース性もしくはセルロース性材料に対するそれらの使用を制限する。
【0004】
Stannsensらの米国特許第6,706,853号は鉱物線維用の結合剤を開示しており、これはアルカノールアミンとジカルボン酸または水と混合したラクトンとの樹脂性反応生成物を含む。そのような組成物の報告される利点は結合剤の低い粘性にある。しかしながら、Stannsensらの結合剤の硬化反応は十分に遅く、結合力は200℃で2時間の硬化の後にのみ測定されるものであった(実施例8「グリット・バー試験」(乾燥強度)および表1を参照)。さらに、アルカノールアミンおよびジカルボン酸からの開示される結合剤は入手または製造するのに高価であることが立証されている。
【特許文献1】米国特許第6,706,853号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明者らは、繊維性基体および複合体のための水性熱硬化性結合剤であって、有効なレベルの硬化をより低い温度およびより短時間でもたらしてそのような結合剤を使用するコストを低下し、かつ熱感受性基体の処理を可能にする水性熱硬化性結合剤を提供しようと努力してきた。さらに、本発明者らは、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂と競合できるコストで、ホルムアルデヒド放出の健康および環境的な危険性を生じることなしに、水性熱硬化性結合剤を提供しようと試みている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は:
少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはそれらの塩を含有する1種類以上のポリ酸;
(ii)任意に、少なくとも2つのヒドロキシル基を含有する1種類以上のポリオール;並びに
(iii)ラクトンまたは他の環状エステルとアルカノールアミンとの反応生成物である、下記式(I)の、1種類以上の反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール:
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、RおよびR’’は、独立に、H、または一価C〜C18直鎖もしくは分岐鎖アルキル基を表し、該基は1もしくは2個のアリールもしくはシクロアルキル基、1個以上のヒドロキシル、アミン、チオール、アミド、カルボキシルもしくはアルケニル基、またはそれらの組み合わせを含むことができ;R’は共有結合または二価C〜Cアルキレン基のいずれかを表し、該アルキレン基はアルキル基置換基を有することができ;yは整数1または2であり;xは、(x+y)=2となるように、0または1である):
を含み、
該カルボン酸基、無水物基、またはそれらの塩の当量数の該ヒドロキシル基の当量数に対する比が1/0.01〜1/3、好ましくは、1/0.2以上である、硬化性組成物を提供する。
【0009】
本発明の組成物は、水または1種類以上の水性溶媒で希釈して水性硬化性結合剤組成物をもたらすことができる濃縮物を提供する。好ましくは、本発明の硬化性組成物は促進剤または強酸を含まず、したがって、使用中の処理機器に対する腐食性が少ない。しかしながら、例えば低温での、それらの硬化速度を改善するため、本発明の組成物は1種類以上のリン含有促進剤をさらに含むことができる。さらに、1種類以上の塩基性ポリオール(iii)、例えば、アルカノールアミン、好ましくは、トリエタノールアミンがこの硬化性組成物の腐食性低減の助けとなり得る。
【0010】
耐候性および耐水性用途、例えば、住宅ガラス繊維断熱体バッティングについては、本発明の組成物は、基体、すなわち、耐水性エマルジョン(コ)ポリマーから磨き出されたり浸出したりしない、1種類以上の反応性防水剤または反応性両親媒性ポリオールをさらに含むことができる。
【0011】
無機酸化物基体、例えば、ガラスでの使用については、本発明の硬化性組成物は1種類以上のカップリング剤、例えば、シランをさらに含有することができる。
【0012】
加えて、本発明は、基体の処理方法であって:
水または1種類以上の水性溶媒と(i)少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはそれらの塩を含有する1種類以上のポリ酸;(ii)任意に、少なくとも2つのヒドロキシル基を含有する1種類以上のポリオール;並びに(iii)ラクトンまたは他の環状エステルとアルカノールアミンとの反応によって形成される、下記式(I)の、1種類以上の反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール:
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、RおよびR’’は、独立に、H、または一価C〜C18直鎖もしくは分岐鎖アルキル基(これは、アリール、シクロアルキルおよびアルケニル基を含んでいてもよい)を表し;R’は共有結合または二価C〜Cアルキレン基のいずれかを表し、該アルキレン基はアルキル基置換基を有することができ;yは整数1または2であり;xは、(x+y)=2となるように、0または1である)
とを混合することを含み、
該カルボン酸基、無水物基、またはそれらの塩の当量数の該ヒドロキシル基の当量数に対する比が1/0.01〜1/3である硬化性水性組成物を形成し;
該基体を該硬化性水性組成物と接触させるか、または、その代わりに、該硬化性水性組成物を該基体に適用し;並びに
該硬化性水性組成物を100℃〜400℃の温度で加熱する、
ことを含む方法を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、熱感受性木材、セルロース、紙、織物およびプラスチック基体、例えば、エアーダクト用のポリエスエル繊維フィルタ;および耐熱性織物、不織基体、例えば、ガラス繊維断熱体、並びに複合基体、例えば、シートおよびシーリングパネルを含む、本発明の方法によって製造される繊維性物品、不織物品または複合体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
出願人は、硬化の早期に高い強度を発現する、低エネルギー要求性で容易に処理される硬化性組成物を見いだした。本発明の水性ポリ酸およびポリオール混合物は、ポリオールの一部またはすべてとして、ラクトンとアルカノールアミンとの反応によって形成される、1種類以上の式(I)のβ−ヒドロキシアミド化合物を含む。この反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオールは、ラクトンとアルカノールアミンとの単純な混合によって比較的低コストで、好ましくは無水もしくは「乾燥」反応混合物から、作製することができる。ラクトンもしくはラクチドとアルカノールアミンとの反応は揮発性有機副生成物を遊離することがなく、完了に向かわせるのに水の除去を必要としない。したがって、この反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)の形成は副生成物の形成を最小限に止め、これがアミドの收率を高めて費用のかかる生成物精製および自由水除去の必要性を回避する。さらに、本発明の硬化性組成物における反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)の作製において形成されるあらゆる「副生成物」は反応して硬化した結合剤となる。
【0017】
本発明の低エネルギー硬化性組成物は、腐食性の強酸の添加なしで、およびリン含有促進剤の必要なしで硬化させることができる熱硬化性ポリ酸結合剤組成物を提供する。さらに、そのような組成物は、紙もしくは木材製品、熱感受性織物、例えば、織物および不織ポリエステル、レーヨン、ナイロン、並びに動物繊維、様々な複合体、例えば、加工木材もしくは中密度ファイバーボード(MDF)、並びにシートおよび複合体、例えば、セルロース誘導体から作製されるものの処理が可能となるように、100〜250℃、好ましくは、200℃未満、または、より好ましくは、190℃まで、または、さらにより好ましくは、150℃までという低い温度で硬化させることができる。加えて、これらの硬化性組成物は、耐熱性複合体およびシート、例えば、アラミド線維複合体、例えば、ブレーキシューに加えて、織物および不織物、例えば、断熱用のガラス繊維およびミネラルウールバッティングの処理に用いることができる。
【0018】
1種類以上の反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)は反応性消泡剤として用いることができ、それにより、表面から浸出または磨き出すことができ、したがって処理した基体から除去することができる、高価な非反応性消泡剤の必要性を排除することができる。
【0019】
望ましいβ−ヒドロキシアミドポリオールはラクトンもしくはラクチドとアルカノールアミンとの反応によって製造することができる。この反応の具体的、非限定的な例はカプロラクトンもしくはブチロラクトンのいずれかとジエタノールアミンとの、それらの対応するβ−ヒドロキシアミド生成物を形成する反応である。高度に揮発性の有機副生成物はこの反応によっては形成されない。無水でない条件が用いられる場合にラクトンの加水分解によって生成される酸および未反応ジエタノールアミンを含む潜在的な副生成物は硬化して熱硬化網になり得る。したがって、本発明の硬化性組成物はそれらで処理された基体からの浸出に耐性である。
【0020】
列挙されるすべての範囲は包括的および組み合わせ可能である。例えば、1.3μm以上、例えば、1.5μm以上、これは、4.5μm以下、または4.0μm以下であり得る、の平均粒子サイズは、1.3μm以上〜4.5μm以下、1.5μm以上〜4.5μm以下、1.5μm以上〜4.3μm以下、および1.3μm以上〜4.3μm以下の範囲を含む。
【0021】
他に指示されない限り、すべての温度および圧力単位は標準温度および圧力(STP)である。
【0022】
括弧書き語句を含むすべての語句はその括弧書き事物の包含およびその不在のいずれかまたは両者を示す。例えば、「(コ)ポリマー」という語句は、言い換えれば、ポリマー、コポリマーおよびそれらの混合物を含む。
【0023】
ここで用いられる場合、「付加ポリマー」という語句は、エチレン性不飽和モノマーを(コ)重合単位として含む任意の(コ)ポリマー、例えば、ポリマー性ポリ酸およびそのコポリマーを指す。
【0024】
ここで用いられる場合、「アルク(エン)イル」という語句は5個以上の炭素原子を有するアルキル、アルケニルまたは芳香族基の任意の組み合わせを意味し、アルキル基は従来定義される通りであり、アルケニル基は少なくとも1つの二重結合または少なくとも1つの芳香族基、例えば、フェニルまたはナフチルを有する分岐鎖、直鎖または環状炭素配列を含み得る。
【0025】
ここで用いられる場合、「アルキル」という語句は1個以上の炭素原子を有する任意の脂肪族アルキル基を意味し、このアルキル基にはn−アルキル、s−アルキル、i−アルキル、t−アルキル基または1つ以上の5、6もしくは7員環構造を含む環状脂肪族体が含まれる。
【0026】
ここで用いられる場合、「水性」または「水性溶媒」という語句は、水並びに実質的に水および水混和性溶媒で構成される混合液を含む。
【0027】
ここで用いられる場合、「結合剤固形分の総重量を基準とする」という語句は、ポリ酸、エマルジョン(コ)ポリマー、ポリオール(反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオールを含む)、反応性防水剤、および反応性両親媒性ポリオールの合計重量と比較した重量を指す。
【0028】
ここで用いられる場合、「(C−C12)−」または「(C−C)−」という語句は、それぞれ、3〜12個の炭素原子および3〜6個の炭素原子を含む有機化合物または有機化合物の構造部分を指す。
【0029】
ここで用いられる場合、他に指示されない限り、「コポリマー」という語句はコポリマー、ターポリマー、ブロックコポリマー、セグメント化コポリマー、グラフトコポリマー、およびそれらの任意の混合物もしくは組み合わせを独立に含む。
【0030】
ここで用いられる場合、「層間剥離」および「剥離」クレーという語句は、層が互いに分離している積層ケイ酸塩を指す。
【0031】
ここで用いられる場合、「エマルジョンポリマー」という語句は、エマルジョン重合によって製造された、水性媒体中に分散したポリマーを意味する。
【0032】
ここで用いられる場合、「ホルムアルデヒド非含有組成物」という語句は、実質的に添加されたホルムアルデヒドを含まず、かつ乾燥および/または硬化の結果として実施的なホルムアルデヒドを遊離しない組成物を指す。
【0033】
ここで用いられる場合、「耐熱性線維」という語句は、約125℃を上回る温度への暴露の影響を実質的に受けない線維を意味する。
【0034】
ここで用いられる場合、「マレイン」という用語は、他に指示されない限り、マレイン酸または無水マレイン酸のいずれかを互いに独立に含む。
【0035】
ここで用いられる場合、「(メタ)アクリレート」という用語はアクリレート、メタクリレート、およびそれらの混合物を意味し、ここで用いられる「(メタ)アクリル」という用語はアクリル、メタクリル、およびそれらの混合を意味する。
【0036】
ここで用いられる場合、他に指示されない限り、「分子量」という語句は、ポリアクリル酸標準で較正されたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定での、ポリマーの重量平均分子量を指す。
【0037】
ここで用いられる場合、「モノマー供給」という語句は、重合反応が行われるコンテナまたは容器に直接または間接的に供給されるモノマーおよび他のあらゆる反応体を意味する。
【0038】
ここで用いられる場合、「多塩基性」という語句は、少なくとも2つの反応性酸官能基を有することを意味する(例えば、Hawley′s Condensed Chemical Dictionary, 14th Ed., 2002, John Wiley and Sons, Inc.を参照)。
【0039】
ここで用いられる場合、「ポリオール」および「ポリヒドロキシ」という語句は、2つ以上のヒドロキシ基を含む有機化合物または有機化合物の構造部分を指す。
【0040】
ここで用いられる場合、「重量%」という語句は重量パーセントを表す。
【0041】
好ましくは、硬化性組成物はホルムアルデヒド非含有である。水性組成物のホルムアルデヒド含量を最小化するには、ポリマー含有ホルムアルデヒド非含有硬化性組成物を製造する場合、それら自体がホルムアルデヒドを含まず、重合プロセス中にホルムアルデヒドを生成せず、かつ耐熱性不織物の処理中にホルムアルデヒドを生成もしくは放出しない、重合助剤および添加剤、例えば、開始剤、還元剤、連鎖移動剤、硬化剤、殺生剤、界面活性剤、乳化剤、カップリング剤、消泡剤、粉塵抑制剤、充填剤等を用いることが好ましい。
【0042】
このホルムアルデヒド非含有硬化性組成物は1種類以上のポリ酸(i)を含有する。ポリ酸は、加熱および硬化操作の間、組成物中のポリオールとの反応のために実質的に利用可能なままである、十分に不揮発性のものでなければならない。ポリ酸は1種類以上のポリマー性ポリ酸または低分子量多塩基酸でありうる。
【0043】
低分子量ポリ酸は約1000未満の分子量を有し、少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはそれらの塩を有する化合物、例えば、多塩基性カルボン酸および無水物、またはそれらの塩であり得る。例示的な多塩基酸および無水物には、クエン酸、ブタントリカルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、無水コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸、アジピン酸、グルタル酸、酒石酸、イタコン酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、トリメシン酸、トリカルバリル酸、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、カルボン酸のオリゴマー等、およびそれらの塩が含まれ得る。任意に、低分子量多塩基性カルボン酸、無水物またはそれらの塩は、反応性条件下で、1種類以上のポリマー性ポリ酸との混合に先立ち、ヒドロキシル含有化合物と混合することができる。
【0044】
1種類以上のポリマー性ポリ酸は、例えば、少なくとも2つのカルボン酸基を含有するポリエステルおよび少なくとも2つの共重合カルボン酸官能性モノマーを含有する付加(コ)ポリマーもしくはオリゴマーから選択することができる。好ましくは、1種類以上のポリマー性ポリ酸は少なくとも1種類のエチレン性不飽和モノマーから形成される付加(コ)ポリマーから、最も好ましくは、(メタ)アクリル酸のポリマーおよびコポリマーから選択される。付加(コ)ポリマーは、水性媒体中の付加(コ)ポリマーの溶液の形態;水性分散体、例えば、エマルジョン重合分散体の形態;または水性懸濁液の形態であり得る。
【0045】
適切な付加(コ)ポリマーは、1種類以上のエチレン性不飽和カルボン酸、無水物およびそれらの塩並びに、任意に、1種類以上のコモノマーの付加重合から形成される、少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはそれらの塩を含む。エチレン性不飽和カルボン酸または無水物には、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、2−メチルマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、2−メチルイタコン酸、α−メチレングルタル酸、モノアルキルマレエート、およびモノアルキルフマレート、並びにそれらの塩;エチレン性不飽和無水物、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アクリル酸、および無水メタクリル酸、並びにそれらの塩が含まれうる。カルボン酸基、無水物基、または塩を含み得る好ましいモノマーは(メタ)アクリル酸およびマレイン酸、並びにそれらの塩、並びに無水マレイン酸である。カルボン酸基、無水物基、または塩を含むモノマーは、そのポリマーの重量を基準にして、1重量%以上、または10重量%以上、または25重量%以上、好ましくは、30重量%以上、または、より好ましくは、75重量%以上、または、さらにより好ましくは、85重量%以上、および100重量%まで、例えば、99重量%まで、または90重量%までのレベルで用いられる。
【0046】
適切なエチレン性不飽和コモノマーは1種類以上のアクリルエステルモノマーを含むことができ、これにはメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、およびイソデシルメタクリレート;ヒドロキシル基含有モノマー、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートおよびアリルオキシ官能性ヒドロキシル基含有モノマー;アクリルアミドまたは置換アクリルアミド、例えば、t−ブチルアクリルアミド;スチレンまたは置換スチレン;ブタジエン;酢酸ビニルまたは他のビニルエステル;アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル等が含まれる。好ましいコモノマーには、25℃で2g/水100g未満の溶解度を有する1種類以上のエチレン性不飽和モノマー、1種類以上のアリルオキシ官能性ヒドロキシル基含有モノマー;1種類以上のリン含有コモノマー、例えば、ビニルホスホン酸、ホスホアルキル(メタ)アクリレート、もしくはそれらの塩;または1種類以上の強酸官能性モノマー、例えば、ビニルスルホン酸モノマー、およびそれらの塩;またはそのようなコモノマーのいずれかの混合物が含まれる。
【0047】
25℃で2g/水100g未満の溶解度を有する1種類以上の好ましいコモノマーは、エチル(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、モノアルキル(メタ)アクリルアミド、およびジアルキル(メタ)アクリルアミドから選択することができる。1種類以上の付加(コ)ポリマーが水溶液の形態にある態様において、そのような25℃で2g/水100g未満の溶解度を有するコモノマーは、付加モノマー混合物中に、その付加コポリマーの作製に用いられるモノマーの総重量を基準にして、3重量%以上、または10重量%以上、および25重量%以下、または20重量%以下、または15重量%以下の量を含めることができる。
【0048】
1種類以上のポリ酸(i)が水性分散液、エマルジョンまたは水性懸濁液の形態にある付加(コ)ポリマーである態様において、適切なエチレン性不飽和コモノマーは、全モノマーを基準にして、50重量%〜99重量%または、より好ましくは、60重量%〜95重量%または、さらにより好ましくは、70重量%〜85重量%のレベルで用いられる。
【0049】
1種類以上の好ましいアリルオキシ官能性ヒドロキシル基含有モノマーは式II、
CH2=C(R1)CH(R2)OR3 (II)
(式中、R1およびR2は水素、メチル、および−CHOHから独立に選択され;並びにR3は水素、−CHCH(CH)OH、−CHCHOH、−CHC(CHOH)、および(C3−C12)ポリオール残基から選択される)
または式III
【0050】
【化3】

【0051】
(式中、RはCH、Cl、Br、およびCから選択され;並びにR1はH、OH、CHOH、CH(CH)OH、グリシジル、CH(OH)CHOH、および(C3−C12)ポリオール残基から選択される)
のヒドロキシ基含有モノマーから選択することができる。そのようなアリルオキシ官能性ヒドロキシル基含有モノマーは、付加モノマー混合物中に、そのモノマー混合物の総重量を基準にして、99重量%まで、または70重量%まで、好ましくは、30重量%までのレベルで含めることができ、そのモノマー混合物の総重量を基準にして、1重量%以上、または10重量%以上の量で用いることができる。
【0052】
式IIのアリルオキシ化合物の製造に有用な(C3−Cl2)含有ポリオールには、例えば、(C3−C6)−ポリヒドロキシ化合物、例えば、エリスリトール、ペンタエリスリトールおよびグリセリン;糖アルコール、例えば、キシリトール、ソルビトールおよびマンニトール;並びに、ポリヒドロキシアルデヒドおよびケトン糖、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マルトース、スクロース、ラクトース、エリトロースおよびトレオースが含まれる。適切な式(II)の不飽和非イオン化モノマーには、アリルアルコール、メタリルアルコール、アリルオキシエタノール、アリルオキシプロパノール、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、アリルオキシ(糖)、例えば、アリルオキシ(グルコース)、アリルオキシ(フルクトース)およびアリルオキシ(マンノース)、エリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、並びに1−ブテン−3,4−ジオールが含まれる。最も好ましい式IIおよび式IIIのモノマーは、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルおよび3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールである。
【0053】
1種類以上の付加(コ)ポリマーが水性分散液、エマルジョンまたは水性懸濁液の形態にあり、かつ低レベルの予備架橋またはゲル含量が望ましい態様においては、低レベルの共重合多エチレン性不飽和モノマー、例えば、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、および他の(ポリ)グリコールジ(メタ)アクリレートを、その(コ)ポリマーの作製に用いられるモノマー反応体の総重量を基準にして、約0.01重量%〜約5重量%のレベルで用いることができる。さらに、付加(コ)ポリマーが水性分散液、エマルジョンまたは懸濁液の形態にある場合、コポリマー粒子の平均直径は、光散乱技術を用いるBrookhaven BI−90 Particle Sizerを用いる測定で、80ナノメートル〜1000ナノメートルであり得る。しかしながら、多モード粒子サイズ分布、例えば、米国特許第4,384,056号および第4,539,361号に開示されるようなものを用いることができる。さらに、付加(コ)ポリマーが水性分散液の形態にある場合、(コ)ポリマー粒子は2種類以上の互いに適合しないコポリマーで構成される。これらの互いに適合しないコポリマーは様々な形態学的構成、例えば、コア/シェル粒子、シェル相がコアを不完全に封入するコア/シェル粒子、複数のコアを有するコア/シェル粒子、相互貫入網目粒子、不適合性ポリマーの凝集塊等で存在することができる。
【0054】
1種類以上のポリ酸付加(コ)ポリマーは1000以上の重量平均分子量を適切に有することができ、その分子量は10,000,000程度、または、好ましくは、250,000程度、または、より好ましくは、100,000程度、さらにより好ましくは、10,000程度、さらにより好ましくは、5,000程度の範囲をとることができる。より大きい分子量のアルカリ可溶性樹脂は過剰な粘性を示す硬化性組成物につながり得る。したがって、付加ポリマーが1種類以上のカルボン酸、無水物、またはそれらの塩の反応生成物を、その付加ポリマーを作製するのに用いられるモノマーの総重量を基準にして5重量%以上、例えば、30重量%の量で含むアルカリ可溶性樹脂である場合、1000〜20,000の分子量が好ましい。
【0055】
本発明の別の態様においては、ポリ酸付加(コ)ポリマーは、300〜900の数平均分子量を有する、フリーラジカル付加重合によって製造されるエチレン性不飽和カルボン酸のオリゴマーまたはコオリゴマーであり得る。
【0056】
本発明のさらに別の態様においては、組成物は1種類以上のポリマー性ポリ酸(i)を含み、および1000未満、好ましくは、500未満、最も好ましくは、200未満の分子量を有する1種類以上の低分子量多塩基性カルボン酸、無水物またはそれらの塩をさらに含む。
【0057】
1種類以上の付加(コ)ポリマーは、当該技術分野において公知である、エチレン性不飽和モノマーを重合するための溶液重合、エマルジョン重合、または懸濁重合技術によって製造することができる。エマルジョン重合を用いることが望ましい場合、アニオン性もしくは非イオン性界面活性剤、またはそれらの混合物を用いることができる。重合は様々な手段によって、例えば、重合反応開始時に反応ケトル内で1種類以上のモノマーをすべて用いて、重合反応の開始時に反応ケトル内に存在する乳化形態のモノマーの一部を用いて、または重合反応の開始時に反応ケトル内に存在する小粒子サイズエマルジョンポリマーシードを用いて行うことができる。
【0058】
コポリマー成分を製造する重合反応は、当該技術分野において公知の様々な方法によって、例えば、好ましくは、1種類以上の開始剤の熱分解を用いることによって、例えば、酸化−還元反応(「レドックス反応」)を用いてフリーラジカルを生成させ、重合を生じさせることによって開始させることができる。熱開始剤は過酸、例えば、過硫酸、過ホウ酸、および過ヨウ素酸を含むことができる。レドックス開始剤系は、少なくとも1種類の過酸化物含有化合物をレドックス共開始剤、例えば、反応性イオウ化合物、例えば、アルカリ金属およびアンモニウム化合物の亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜ジチオン酸塩、またはテトラチオエートとの組み合わせで含むことができる。したがって、ペルオキソジスルフェートとアルカリ金属亜硫酸水素またはアンモニウム亜硫酸水素、例えば、ベルオキシジスルフェートアンモニウムおよび亜硫酸アンモニウムとの組み合わせを用いることが可能である。過酸化物含有化合物のレドックス共開始剤に対する比は、典型的には、30:1〜0.05:1である。
【0059】
開始剤との組み合わせにおいて、遷移金属触媒、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、銅、バナジウム、およびマンガンの塩を加えて用いることができる。適切な塩には、例えば、硫酸鉄(II)、塩化コバルト(II)、硫酸ニッケル(II)、および塩化銅(I)が含まれる。遷移金属触媒は、硬化性組成物中のモノマーを基準にして、0.1〜1,000ppmの濃度で用いることができる。
【0060】
好ましくは、付加(コ)ポリマーは、低平均分子量の(コ)ポリマーを製造するため、1種類以上の連鎖移動剤の存在下で重合することができる。慣例的な調節剤、例えば、SH基を含む有機化合物、例えば、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトプロパノール、メルカプト酢酸もしくはそれらのエステル、メルカプトプロピオン酸もしくはそれらのエステル、tert−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、およびtert−ドデシルメルカプタン;C−Cアルデヒド、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド;ヒドロキシルアンモニウム塩、例えば、硫酸ヒドロキシルアンモニウム;ギ酸;亜硫酸水素ナトリウムもしくはイソプロパノールを用いることができる。付加(コ)ポリマーは、米国特許第5,294,686号に開示されるように、リン含有調節剤、例えば、次亜リン酸およびその塩、例えば、次亜リン酸ナトリウムの存在下で形成して、任意のリン含有種をポリ酸(コ)ポリマー分子に組み込むことができる。これらの調節剤は、一般には、硬化性組成物中のモノマーの重量を基準として、0〜40重量パーセント、好ましくは、0〜15重量パーセントの量で用いられる。
【0061】
付加(コ)ポリマーは水中または溶媒/水混合液、例えば、i−プロパノール/水、テトラヒドロフラン/水、およびジオキサン/水中で製造することができる。
【0062】
(コ)モノマーを反応コンテナまたは容器に供給することができる方法は変化し得る。重合の方法を問わず、好ましい総供給時間、すなわち、すべての反応混合物を反応容器に供給するのに必要な時間は2時間以下、より好ましくは、1時間以下の範囲であり得る。
【0063】
重合方法の一態様において、モノマー供給物の組成は重合プロセスを通して実質的に同じままである。その代わりに、コモノマー供給物組成を原料供給の期間の間で調整することもできる。さらに、重合の方法、(コ)モノマーまたはそれらの混合物を半連続供給によって供給することができる。
【0064】
好ましい重合方法は水中での漸次付加溶液重合である。この方法においては、エチレン性不飽和(コ)モノマーまたはモノマー混合物の一部またはすべてを反応器内に秤量投入することができる。より好ましくは、反応容器は用いられる連鎖移動剤の総量の10重量%以上を含有する反応混合物の初期投入を収容し、残りの連鎖移動剤の単一の一定供給をその反応容器に連続的に供給する。
【0065】
水性媒体中での溶解性を改善するため、1種類以上の付加(コ)ポリマーのカルボン酸基、無水物基、またはそれらの塩を1種類以上の不揮発性または揮発性塩基で中和することができる。好ましくは、付加(コ)ポリマーのカルボン酸基、無水物基、または塩は揮発性塩基で中和することができる。ここで「揮発性塩基」が意味するところは、硬化性組成物で基体を処理する条件下で実質的に揮発性である1種類以上の塩基である。ここで「不揮発性塩基」が意味するところは、硬化性組成物で基体を処理する条件下で実質的に不揮発性である塩基である。
【0066】
本発明の一態様によると、1種類以上の揮発性塩基が強酸なしでの結合剤組成物の硬化を可能にする。適切な揮発性塩基には、例えば、アンモニアまたは揮発性低級アルキルアミンが含まれる。適切な不揮発性塩基には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、および水酸化t−ブチルアンモニウムが含まれる。不揮発性塩基は加熱および硬化操作中に硬化性組成物中に実質的に残存するのに十分に不揮発性である。不揮発性塩基に加えて揮発性塩基を用いることができる。不揮発性多価塩基、例えば、炭酸カルシウムは、コポリマー成分が水性分散液の形態で用いられる場合、水性分散液を不安定化する傾向にあり得るが、少量で用いることはできる。
【0067】
用いられる1種類以上の塩基の量は、付加(コ)ポリマーのカルボン酸基、無水物基、またはそれらの塩が当量基準の算出で35%未満、または20%未満、または5%未満の程度まで中和されるようなものである。いかなる中和性塩基をも用いないことが好ましい。
【0068】
一態様において、硬化性組成物は1種類以上の強酸または1種類以上の多塩基性酸をさらに含むことができ、ここで強酸および多塩基性酸は3.0以下のpKaのものを少なくとも1つ有する。組成物は全カルボン酸の当量に対して0.2当量まで、例えば、0.01〜0.18当量の強酸を含むことができる。「全カルボン酸」はその結合剤組成物中に存在するカルボン酸の総量を意味する。強酸は鉱酸、例えば、硫酸であっても、有機酸、例えば、スルホン酸であってもよい。鉱酸が好ましい。
【0069】
付加(コ)ポリマーのカルボン酸基、無水物基、または塩が揮発性または不揮発性のいずれかの塩基で中和される態様において、結合剤組成物のpHは9.5以下、好ましくは、8.5以下、より好ましくは、7.5以下、さらにより好ましくは、6.5以下であり得る。結合剤組成物が強酸を含む態様においては、結合剤組成物のpHは4.5未満、好ましくは、3.5未満、さらにより好ましくは、2.5未満であり得る。
【0070】
1種類以上のポリオール(ii)は、好ましくは、少なくとも3つのヒドロキシル基を含み、すなわち、三価ポリオールである;しかしながら、2つのヒドロキシル基を含んでいてもよい。このポリオールは、加熱および硬化操作中に組成物中のポリ酸との反応に実質的に利用可能なままであるのに十分に不揮発性でなければならない。ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する、約1000未満の式分子量を有する1種類以上の化合物、例えば、(ポリ)エチレングリコール、ジエタノールアミン(DEOA)、グリコール化尿素、1,4−シクロヘキサンジオール、レゾルシノール、カテコール、およびC〜C(ポリ)アルキレングリコール;3つ以上のヒドロキシル基を含む、1種類以上の三価ポリオール、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン(TMP)、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリエタノールアミン(TEOA)、1,2,4−ブタントリオール、ポリ(ビニルアルコール)、部分的に加水分解されているポリ(酢酸ビニル)、ソルビトール、スクロース、グルコース、ピロガロール、プロポキシル化トリメチロールプロパン、およびプロポキシル化ペンタエリスリトールに加えて、それらの混合物であり得る。少なくとも3つのヒドロキシル基を有する他の適切な三価ポリオールには、反応性ポリオール、例えば、β−ヒドロキシアルキルアミド、例えば、米国特許第4,076,917号の教示に従って製造することができるビス−(N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル))アジパミド;少なくとも2つのヒドロキシル基を含む付加(コ)ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解されているポリ酢酸ビニル、およびヒドロキシル基含有モノマーの重合生成物を含む付加ホモポリマーもしくはコポリマー;またはそれらの混合物および組み合わせが含まれ得る。さらに、ポリオールは1種類以上の本発明のポリマー性ポリ酸を含むことができ、ここで、ポリマー性ポリ酸は1種類以上のエチレン性不飽和カルボン酸および1種類以上のヒドロキシル基含有モノマー、例えば、上記式(II)または(III)のモノマーの重合生成物を含む。好ましくは、1種類以上のポリオールは三価ポリオールを含む。好ましい三価アルコールは、トリエタノールアミン(TEOA)、グリセロール、およびTMPである。塩基性ポリオール、例えば、TEOAはそれらで形成される硬化性組成物のpHを上昇させることができ、それによりその硬化性組成物の腐食性を低下させ、かつ反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)の加水分解感受性を低下させる。
【0071】
反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)は1種類以上のアルカノールアミンと1種類以上のラクトンもしくはラクチドとの反応生成物を含む。適切なアルカノールアミンはモノ−もしくはジ−エタノールアミンの他に、任意のC〜C18直鎖もしくは分岐鎖α−アルク(エン)イル置換モノ−もしくはジ−エタノールアミンを含むことができ、ここで、アルク(エン)イル置換基はアリール、シクロアルキルおよびアルケニル基を含み得る。置換アルカノールアミンの例には、モノ−もしくはジ−イソプロパノールアミンおよび他のモノ−(1−アルク(エン)イル)エタノールアミンもしくはジ−(1−アルク(エン)イル)エタノールアミンが含まれ得る。適切なラクトンには、任意のC〜Cヒドロキシカルボン酸のラクチド、グリコリド、およびラクトンに加えて、それらの二量体およびオリゴマーが含まれ得る。好ましいラクトンには5〜7員環を含む任意のもの、例えば、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトンおよびそれらの任意のα−C〜C18アルク(エン)イル一置換形態、例えば、α−メチル−ε−カプロラクトンまたはα−メチル−γ−ブチロラクトンが含まれる。
【0072】
反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)は、ラクトンおよびアルカノールアミン反応体を単純に混合し、必要であれば、例えばラクトンの二量体またはオリゴマーを反応させるとき、加熱することによって生成することができる。好ましくは、反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)は反応体の「乾燥」、すなわち、無水混合物中で生成させる。
【0073】
本発明の硬化性組成物において、反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)は、ポリオール(ii)に加えて反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)の総重量を基準にして、10〜100重量%、好ましくは、20重量%以上、または、より好ましくは、40重量%以上の量で用いることができる。
【0074】
一態様においては、防水剤の添加を必要としない用途、例えば、オーブンの断熱およびオーブン用手袋の断熱のための基体に硬化性組成物を適用する。しかしながら、耐水性が望ましい他の態様、例えば、建造物の断熱および木材複合体もしくは加工木材においては、本発明の組成物は1種類以上の反応性防水剤を、結合剤固形分の総重量を基準にして、20重量%まで、または10重量%まで、または5重量%まで、または3重量%までの量で、および、好ましくは、結合剤固形分の総重量を基準にして、0.1重量%以上、または1.0重量%以上の量でさらに含むことができる。
【0075】
適切な反応性防水剤には、C〜C30アルク(エン)イル基含有酸もしくはグリセリド、好ましくは、C8−18アルク(エン)イル基含有酸もしくはグリセリド、特には、ベジタブル油または植物油に由来するもののアルカノールアミンでのアミド化によって形成される、モノ−もしくはジ−ヒドロキシエチルアミドを含み得る任意のものが含まれる;これは、アルカノールアミンとC〜C30アルク(エン)イル基含有アルコール、好ましくは、C8−18アルク(エン)イル基含有アルコールとの反応によって形成されるアミンを含むことができ;または、C〜C30アルク(エン)イル基含有カルボン酸と、モノグリセリドを生じる三価ポリオール、例えば、グリセロールとの反応、もしくは三価ポリオールのC〜C30アルク(エン)イルモノカルボキシレートを生じるペンタエリスリトールとの反応によって形成されるエステルを含むことができる。例示的な反応性防水剤にはヤシ油のモノもしくはジβ−ヒドロキシアミドが含まれ、それぞれ、コカミドMEAおよびコカミドDEAとして公知である。
【0076】
反応性防水剤と硬化性組成物の残部との適合性を改善するため、および/または防水性をさらに強化するため、本発明の組成物は反応性両親媒性ポリオール、例えば、C〜C30アルカノール(ポリ)アルコキシレート、三価ポリオール(ポリ)アルコキシレート、C〜C30ジカルボン酸の三価ポリオールモノエステル、またはC〜C30アルキレングリコールを、結合剤固形分の総重量を基準にして、20重量%まで、または10重量%まで、または5重量%まで、または3重量%までの量で、および、好ましくは、結合剤固形分の総重量を基準にして、0.1重量%以上、または1.0重量%以上の量でさらに含むことができる。適切な反応性両親媒性ポリオールには、例えば、C〜C30アルカノール(ポリ)アルコキシレート、三価ポリオール(ポリ)アルコキシレートまたはC〜C30(ジ)カルボン酸の三価ポリオールモノエステルが含まれ得る。適切な三価反応性両親媒性ポリオールの例には、Perstorp Specialty Chemicals、Perstorp、スウェーデンからPOLYOL PS 50として入手可能な(ポリ)プロポキシル化ペンタエリスリトール、またはPerstorp Specialty Chemicals、Perstorp、スウェーデンからPOLYOL TS 30として入手可能な(ポリ)プロポキシル化TMP、およびペンタエリスリトールもしくはTMPモノカプリレートが含まれ得る。適切な二価反応性両親媒性ポリオールの例には、C〜C18アルカノール(ポリ)プロポキシレート、脂肪アルコール(ポリ)プロポキシレート、Stepan Company、Northfield、ILからTOXIMUL(商標)として入手可能なエトキシル化獣脂アミン、Tomah Products、Inc.、Milton、WIからTOMADOL(商標)として入手可能なエトキシル化直鎖C〜C16アルカノール、およびヒマシ油プロポキシレートが含まれる。
【0077】
本発明の別の態様においては、1種類以上の防水エマルジョン(コ)ポリマー、例えば、米国特許出願公開第20050048212A1号に開示されるものを添加することによって硬化性組成物の防水を強化することができる。適切な防水エマルジョン(コ)ポリマーは、重合単位として、少なくとも1種類の共重合したエチレン性不飽和非イオン性アクリルモノマーを含み、これは、好ましくは、すべてのモノマーの重量を基準にして、50重量%を超える、または、より好ましくは、60重量%を超える、(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、および(メタ)アクリル酸に由来する共重合単位を含有する。ここで「非イオン性モノマー」が意味するところは、共重合したモノマー残基がpH1−14のイオン性電荷を持たないことである。防水エマルジョン(コ)ポリマーの作製に用いられる適切なエチレン性不飽和非イオン性アクリルモノマーには、例えば、付加コポリマー系ポリ酸(i)の作製において用いられるエチレン性不飽和コモノマー;例えば、C18アルキル(メタ)アクリレート、例えば、ラウリルメタクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ビニル芳香族化合物、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン、ビニルトルエン等;ビニルアセテート、ビニルブチレートおよび他のビニルエステル;ビニルモノマー、例えば、塩化ビニル、ビニルトルエン、ビニルベンゾフェノン、および塩化ビニリデン;アクリルアミド、アルキル置換アクリルアミドおよびヒドロキシル置換アクリルアミド、例えば、N−tert−ブチルアクリルアミドおよびメチロールアクリルアミド;並びにベータ−ヒドロキシアルキルアミドが含まれる。防水エマルジョン(コ)ポリマーは、共重合した多エチレン性不飽和モノマー、例えば、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,2−エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ブタジエン、およびジビニルベンゼンを含むことができる。
【0078】
防水エマルジョンポリマーは、付加ポリマーポリ酸(i)の作製に用いられる1種類以上のエチレン性不飽和カルボン酸、無水物およびそれらの塩の反応生成物をさらに含むことができ、かつ部分エステルモノマー、例えば、モノメチルイタコネート、モノアルキルフマレート、モノブチルフマレート;スルホン酸モノマー、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキルアリルスルホコハク酸、スルホエチル(メタ)アクリレート;ホスホアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ホスホエチル(メタ)アクリレート、ホスホプロピル(メタ)アクリレート、およびホスホブチル(メタ)アクリレート、ホスホアルキルクロトネート、ホスホアルキルマレエート、ホスホアルキルフマレート、ホスホジアルキル(メタ)アクリレート、ホスホジアルキルクロトネート、およびアリルホスフェートを含むこともできる。
【0079】
硬化性組成物、すなわち、ポリ酸(i)およびエマルジョンコポリマーにおけるカルボキシ、無水物、またはそれらの塩の当量数の、硬化性組成物、すなわち、ポリオール(ii)に加えて反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)および反応性防水剤もしくは反応性両親媒性ポリオールにおけるヒドロキシルの当量数に対する比は、約1/0.01〜約1/3、好ましくは、1/0.2以上であり、かつ1/1程度の範囲をとり得る。過剰の揮発性有機化合物(VOC)を回避し、かつ良好な硬化網の形成を保証するため、硬化組成物中のヒドロキシルの当量に対して過剰当量のカルボキシ、無水物、またはそれらの塩が好ましい。硬化した組成物における良好な網の形成を保証するため、硬化性組成物におけるカルボキシ、無水物、またはそれらの塩の当量数のヒドロキシルの当量数に対する好ましい比は、好ましくは、1/0.2以下である。カルボキシ、無水物またはそれらの塩の当量数の、ポリオール中のヒドロキシルの当量数に対する最も好ましい比は約1/0.2〜約1/0.8である。
【0080】
本発明の一態様において、硬化性結合剤組成物はリン含有促進剤、例えば、米国特許第6,136,916号に開示されるものを含む。好ましくは、この促進剤は、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、またはそれらの混合物からなる群より選択される。リン含有促進剤はリン含有基を有するオリゴマー、例えば、次亜リン酸ナトリウムの存在下において本発明の付加重合によって形成されるが、本発明の硬化性組成物の結合剤として機能するオリゴマーもしくはコオリゴマーとは別の化合物である、アクリル酸のオリゴマーであってもよい。1種類以上のリン含有促進剤は、結合剤固形分の総重量を基準にして、0重量%〜40重量%のレベルで用いることができる。リン含有促進剤は、結合剤固形分の総重量を基準にして、0.1重量%以上、並びに25重量%まで、または20重量%まで、または、好ましくは、15重量%まで、および、より好ましくは、12重量%までの量で用いることができる。リン含有促進剤が付加(コ)ポリマーまたは(コ)オリゴマーの一部を構成する場合、リン含有促進剤の重量%は全バッチ固形分のフラクションとして反応器に投入される次亜リン酸塩、ホスフィン酸塩またはホスホン酸塩のwt%を基準とし/それによって決定される。
【0081】
硬化性組成物は、1種類以上のポリ酸、1種類以上のポリオール、1種類以上の反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)、並びに、所望であれば、1種類以上のリン含有促進剤およびあらゆる追加成分を、通常の混合技術を用いて混合することによって製造することができる。水は、出荷重量を最小限に止めるため、使用前ではなく使用時点で組成物の残部と混合することができる。本発明の硬化性組成物の総固形分は、無水および溶媒非含有もしくは乾燥結合剤組成物のような場合、その組成物の総重量を基準にして、100重量%まで、または、溶液もしく分散液の場合には、70重量%まで、または60重量%、または50重量%までの範囲であり得る;そのような総固形分は、0.5重量%以上、または1重量%以上、または3重量%以上、または5重量%以上という少なさの範囲をとり得る。硬化性組成物の総固形分は、様々な基体の処理手段に適する粘性を有する組成物をもたらすように選択することができる。例えば、噴霧可能な硬化性組成物は5重量%の総固形分を有することができる。しかしながら、基体を、10重量%以上の総固形分を有する硬化性組成物中に浸漬し、またはそれとそれら自体を接触させることができる。ここで用いられる場合、「総固形分」という用語は、結合剤固形分の総量に加えてあらゆる充填剤または増量剤の合計を指す。
【0082】
一態様において、硬化性組成物の1種類以上のポリ酸付加(コ)ポリマー(i)はカルボキシル−もしくは無水物−基またはそれらの塩を含み、同じ付加コポリマー中に存在する1種類以上のポリオール(ii)を有する。別の態様において、1種類以上のポリ酸(i)中の1種類以上のカルボキシル基の塩は少なくとも2つのヒドロキシル基を有する官能性アルカノールアミンの塩、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミン、およびジイソプロパノールアミン、好ましくは、トリエタノールアミンである。さらに別の態様においては、1種類以上のポリオールおよび1種類以上のリン含有促進剤が同じ付加コポリマー中に存在することができ、その付加ポリマーを1種類以上のポリ酸と混合することができる。さらに別の態様においては、1種類以上のカルボキシル−もしくは無水物−基またはそれらの塩、1種類以上のポリオール、および1種類以上のリン含有促進剤が同じ付加コポリマー中に存在することができる。そのような態様においては、硬化性組成物は、ポリ酸(i)付加(コ)ポリマー、反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)、および、任意に、あらゆるポリオール(ii)、反応性防水剤もしくは防水性ポリオール、1種類以上のリン含有促進剤、および/または他の成分を、通常の混合技術を用いて混合することによって製造することができる。
【0083】
硬化性組成物は通常の添加剤をさらに含むことができ、これらはあらゆる時期に添加することができる。適切な添加物には、乳化剤;顔料;結合剤固形分の総重量を基準にして40重量%までの量で用いられる、充填剤もしくは増量剤;移動防止助剤;硬化剤、例えば、ウレタン、アルデヒド縮合物およびアミノプラスト、並びにエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールエポキシ樹脂;造膜助剤;結合剤固形分の総重量を基準にして0.01−5重量%の量で用いられる、アニオン性ホスホネート、マレエート、スルフィネート、およびドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)を含む、アニオン性もしくは非イオン性界面活性剤、好ましくは、5−25のHLBを有する非イオン性界面活性剤および非芳香族スルホネート;展着剤;粉塵抑制剤;殺生剤;可塑剤;カップリング剤;消泡剤、腐食防止剤、特には、pH<4で有効な腐食防止剤および酸化防止剤、例えば、チオ尿素、オキサレート、およびクロメート、例えば、シュウ酸スズ;着色料;耐電防止剤;潤滑剤;並びにワックスの各々1種類以上が含まれる。
【0084】
適切な充填剤または増量剤には、クリストバライト(cristobalite or christobalite)およびトリジマイトを含む微結晶性シリカ、カオリン、ベントナイト、焼成ケイ酸アルミニウム、珪灰石、メタケイ酸カルシウム、アルカリケイ酸アルミニウム、珪藻土シリカ、粉砕ガラス、ネフェリン・サイヤナイ、ヒドロタルサイト、雲母、スメクタイト、例えば、積層クレー並びに、モンモリロナイト、ベントナイト、サポナイト、バイデライト、モントロナイト、ヘクトライト、およびステベンサイトを含む、フィロシリケート、バーミキュライト、相間剥離した無水アルミノシリケートクレー、二酸化チタン、酸化亜鉛、焼成クレーおよび焼成シリケート、例えば、焼成ケイ酸アルミニウム並びにそれらの混合物が含まれる。カオリンクレー、スメクタイトまたはフィロシリケートは、それらを疎水性にするため、例えばトリアルキル−アリールアンモニウム化合物で、表面処理されていてもいなくてもよい。
【0085】
反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)が消泡特性をもたらすため、消泡剤は必須でない。所望であれば、他の消泡剤を、結合剤固形分の総重量を基準にして、10重量%まで、もしくはそれ以上、または5重量%まで、または3重量%まで、または1重量%までの量で、あるいは0.1重量%以上、または0.5重量%以上の量で含めることができる;適切な消泡剤には、各々結合剤固形分の総重量を基準にして0.001〜5重量%の量の、シリコーン油、エトキシル化非イオン化物および疎水性−親水性−疎水性ブロックコポリマー、例えば、会合性増粘剤が含まれる。
【0086】
好ましくは、ガラス基体を処理するための硬化性組成物はカップリング剤、例えば、シラン、特には、加水分解性アルコキシシラン、例えば、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、アミノプロピルトリメトキシ(またはエトキシ)シラン、またはSILQUEST(商標) A−187、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(OSi Specialties、Wilton、CT)として入手可能な化合物を含む。そのようなカップリング剤は、結合剤固形分の総重量を基準にして、0.1重量%以上、または0.2重量%以上、または0.5重量%以上の量で用いることができ、そのような量は、結合剤固形分を基準にして、5重量%まで、または2重量%まで、または1.5重量%までの範囲をとり得る。
【0087】
好ましくは、表面被覆を促進するため、1種類以上の界面活性剤または乳化剤を、結合剤固形分を互いに混合した直後に、硬化性組成物に添加する。この1種類以上の界面活性剤または乳化剤は、高固形分量(>30%)および室温以上の貯蔵温度で水溶液の均質性を維持するのに役立つ。適切な界面活性剤には、非イオン性体、スルホネート、スルフェート、ホスホネート、ホスフェート、マレエートが含まれ得る。特に有用なものは、非シリコーンおよびアセチレン性基含有界面活性剤、例えば、SURFYNOL(商標)(Air Products and Chemicals, Inc.、Allentown、PA)およびTERGITOL(商標)(The Dow Chemical Company、Midland、MI)の他に、エトキシル化脂肪アルコール、例えば、NEODOL(商標)(Shell Chemicals、Houston、TX)である。防水剤を熱硬化配合物の他の成分と適合させるのに他の配合助剤を添加することができる。これらには、反応性両親媒性ポリオール、例えば、C〜C12グリコール、例えば、ヘキシレングリコール、および米国特許第4,797,223号に記載されるポリマー性物質が含まれ得る。
【0088】
微細物もしくは細分物質を含む基体上での使用には、粉塵抑制剤を望ましく添加することができる。そのような粉塵抑制剤には、主としてC25を上回る炭素数および約400℃(752°F)を上回る沸点を有する、1種類以上の炭化水素が含まれ得る。これらには、非発煙性(non smoking)炭化水素エマルジョン、例えば:MULREX(商標)不燃性油(Exxonmobil Oil Corp.、Fairfax、Va)およびGaro 217(G.O.V.I.、NV、Drongen、ベルギー)が含まれ得る。そのような粉塵抑制剤はいかなる時期であっても添加することができる。それらは乳化水性分散液として、または乳化なしに直接、全結合剤固形分を基準として、1〜5重量%、好ましくは、3.0重量%までの量で添加することができる。通常、溶媒精製油と呼ばれる、高沸点炭化水素を、適用に先立ち、希釈水性結合剤配合物中に機械的に分散させることができる。機器の拘束およびコストが許容するのであれば、高沸点シリコーン油およびシリコーンエマルジョンを用いて処理中に生じるガラス粒子を抑制することもできる。
【0089】
本発明は、1以上の基体を処理するための方法であって、本発明の硬化性組成物を形成し、基体をその硬化性組成物と接触させるか、または硬化性組成物を基体に適用し、並びに硬化性組成物を100℃〜400℃の温度で加熱して組成物を乾燥および硬化させることによる方法を提供する。基体は、例えば、コーティング、例えば、浸漬コーティング、サイジング、飽和、接着、およびそれらの組み合わせとして通常説明される方法によって硬化性組成物と接触させることができる。硬化性組成物は、通常の技術、例えば、エアもしくはエアレススプレー、パディング、飽和、ロールコーティング、カーテンコーティング、ビーター堆積、または凝集によって基体に適用することができる。高い粘度、例えば、STPで40センチポアズ未満を有する硬化性組成物は、好ましくは、浸漬またはロールコーティングによって繊維性および複合体基体に適用することができる。粘度がより低い硬化性阻止得物は基体に噴霧適用することができる。
【0090】
代わりの態様においては、硬化性組成物を乾燥、例えば、凍結乾燥または噴霧乾燥してコーティング粉末を形成し、次にそれを、例えば、静電気的に、または流動床により金属、木材および(リグノ)セルロース基体上に適用することができる。
【0091】
硬化性組成物の乾燥および硬化において、加熱の持続時間および温度は乾燥速度、処理もしくは取り扱いの容易さ、および処理された基体の特性発現に影響を及ぼす。100℃以上400℃までの適切な加熱温度を3秒〜15分間維持することができる。好ましくは、加熱処理温度は150℃以上の範囲をとる;そのような好ましい加熱処理温度は225℃まで、または、より好ましくは、200℃まで、または、1種類以上のリン含有促進剤を用いるとき、150℃までの範囲をとり得る。基体が木材を含む場合、100℃〜220℃の温度が好ましい。
【0092】
乾燥および硬化は、所望であれば、2つ以上の別個の工程で達成することができる。例えば、まず硬化性組成物を、その組成物を実質的に乾燥させるが実質的に硬化はさせないのに十分な温度および時間で加熱した後、より高い温度および/またはより長い時間2回目の加熱を行って硬化をもたらすことができる。「B−ステージング(B−staging)」と呼ばれるそのような手順は、例えばロール形態にある、後に硬化させることができる結合剤処理された不織物を、特定の形状を形成もしくは成形するしないに関わらず、硬化プロセスと同時に、提供するのに用いることができる。
【0093】
ポリ酸(i)およびポリ酸ポリマーは特定のタイプの処理装置に対して腐食性であり得るため、そのようなポリ酸を含有する溶液を扱う場合、特定のタイプの腐食制御、例えば、pH制御を好ましく実施することができ、このpH制御は、例えば、TEOAもしくは塩基性ポリオール(ii)の使用、リン含有促進剤およびそれらを含有するポリマーの使用の低減、およびその処理装置自体において、腐食性の材料に代えて、ステンレス鋼のような材料を使用することによるものである。
【0094】
適切な基体には、例えば、熱感受性基体、例えば、固体木材、木材粒子、線維、チップ、粉末、パルプ、および薄片を含む木材;紙および段ボール;木綿、リネン、ウール、およびポリエステル、レーヨンもしくはナイロンからの合成織物、並びに超吸収性線維を含む織物;植物繊維、例えば、ジュート、サイザル、アマ、木綿および動物繊維;それに加えて、耐熱性基体、例えば、金属;プラスチック;線維、例えば、ガラスおよび鉱物線維、アラミド線維、セラミック線維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、並びにそれらから作製される織布および不織布が含まれる。耐熱性不織物は、それ自体は耐熱性ではない繊維、例えば、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維、および超吸収性線維を、それらがその基体の性能に実質的に悪影響を及ぼさない限り、またはそのような量で含むこともできる。
【0095】
適切な不織布基体は、純粋に機械的な手段により、例えば、ニードル・パンチングによって生じる絡み合いにより、エア・レイド(air laid)プロセスにより、またはウェット・レイド(wet laid)プロセスにより;化学的手段により、例えば、ポリマー結合剤での処理により;または機械的および化学的手段の組み合わせにより、不織布形成の前、その間、またはその後に強固にされている繊維を含むことができる。
【0096】
本発明の硬化性組成物で処置された耐熱性基体に適する用途には、不織布、例えば、オーブンおよび建造物の構築において用いられる断熱バットもしくはロール、屋根葺きもしくは床張り用の強化マットとしての、ロービングとしての、プリント回路板もしくは電池隔離板用のミクログラス系基体としての、屋根板もしくはロール屋根葺き材料を作製するため、例えば150℃〜250℃の温度で、熱アスファルト組成物が含浸されている鉱物もしくはガラス繊維含有耐熱性不織布としての不織布;研磨材およびそれらの素材もしくはプリプレグとしての複合体、例えば、ブレーキシューおよびパッド、クラッチ板、フィルター素材としての複合体、例えば、エアダクトフィルター、テープ素材としての複合体、石積み施工用のセメント質および非セメント質コーティングにおける強化スクリムとしての複合体、またはタイルの内張りにおけるようなシートおよびパネルが含まれる。
【0097】
本発明の硬化性組成物で処理されている熱感受性基体の強化に適する用途には、紙、段ボールおよび紙製フィルター、例えば、紙製オイルおよびエアフィルター素材;木材含有物品、構造的一体性を有する合体木材複合体、例えば、木材合板および成形パーツ、並びに合体させてファイバーボード、硬質繊維板、パーティクルボード、配向性ストランドボード、および加工木材にされているか、または合体させるのに適する木材繊維および薄片;カールしたパルプの修正;不織物、例えば、セルロース屋根葺きタイル、窓処理、壁被覆、セルロース積層素材、不織セルロースフェルト、セルロースワイプ、産業用ワイプ;レーヨン不織ワイプ、ポリエステル/木綿不織布および耐圧衣類が含まれる。
【0098】
以下の非限定的な例は、耐熱性不織物用の結合剤としての硬化性水性組成物およびそれらの使用を説明する。
【実施例】
【0099】
実施例1:ベータ−ヒドロキシアミド#1 − ε−カプロラクトンおよびジエタノールアミンの反応生成物
凝縮器、熱電対、および機械式攪拌機を備える1Lフラスコに157.5グラム(1.5モル)のジエタノールアミン(DEOA)を添加した。室温、1気圧の窒素の下、および外部加熱なしで開始し、171.2グラム(1.5モル)のε−カプロラクトンをその反応フラスコにピペットによって小等分で1時間にわたって添加した。その反応混合物は31℃への僅かな発熱を示した。ε−カプロラクトンの添加が完了した後、反応混合物をさらに1時間攪拌した。その時間の後、82.0グラムの脱イオン水を添加して80%の活性物質を得た。
【0100】
実施例2:ベータ−ヒドロキシアミド#2 − γ−ブチロラクトンおよびジエタノールアミンの反応生成物
凝縮器、熱電対、および機械式攪拌機を備える1Lフラスコに157.5グラム(1.5モル)のDEOAを添加した。室温、1気圧の窒素の下、および外部加熱なしで開始し、127.9グラム(1.5モル)のγ−ブチロラクトンをその反応フラスコにピペットによって小等分で1.5時間にわたって添加した。その反応混合物は27℃への僅かな発熱を示した。γ−ブチロラクトンの添加が完了した後、反応混合物をさらに1時間攪拌した。その時間の後、69.8グラムの脱イオン水を添加して80%の活性物質を得た。
【0101】
実施例3:漸次付加水溶液重合によるポリ(アクリル酸)(pAA)の製造
ホスフィン酸一ナトリウム塩を含む2−プロペノン酸テロマー(CAS#73256−97−0)を漸次、次亜リン酸ナトリウム連鎖移動重合によって製造した。機械式攪拌機、凝縮器、温度計およびモノマー、開始剤および次亜リン酸ナトリウム溶液を漸次添加するための導入口、の各々を備える1892.5リットル(500ガロン)反応器に645,000グラムの脱イオン(DI)水を添加した。そのフラスコの内容物を90℃に加熱し、60,000グラムのDI水に溶解した48,375グラムの次亜リン酸ナトリウム一水和物の溶液を添加した。1,075,000グラムの氷アクリル酸のモノマー投入物を製造した。48,375グラムの次亜リン酸ナトリウム一水和物を60,000グラムのDI水に溶解することによって鎖調節溶液を製造した。10,750グラムの過硫酸ナトリウムを60,000グラムのDI水に溶解することによって開始剤溶液を製造した。モノマー投入物、鎖調節溶液、および開始剤溶液の、加熱された攪拌フラスコへの別々の供給を同時に開始し、フラスコの内容物を90℃〜92℃で維持しながら、それを直線的かつ別々に、それぞれ、120分、95分、および120分間継続した。これらの供給が完了した後、フラスコの内容物を90℃〜92℃で30分間維持した。生じるポリ(アクリル酸)の溶液は52.1重量%の固形分含有率を有していた。
【0102】
以下の実施例4−13および17−28においては、湿潤引っ張り強さを以下のように測定した:
結合剤含浸ミクロ繊維フィルター(Whatman International Inc.、Maidstone、英国、GF/A、カタログ番号1820866、20.3cm×25.4cmシート状)を以下の通り製造した:攪拌によってさらに混合されている300グラムの5.5重量%予備混合水性結合剤溶液が充填されているトラフを通してその紙を引き出し、その浸漬サンプルを2枚の厚紙の間に挟んで過剰の結合剤を吸収させ、さらにその2枚の厚紙の間でBirch Bros.Padderにおいて68.9476kPa/速度5m/分でプレスすることによって製造した。生じるサンプルを90℃で1.5分間、排気されているか脱蔵装置を備えるMathis Oven内で乾燥させ、次いで、この初期乾燥の直後に、同じタイプのMathis Oven内で190℃/30秒、190℃/60秒、および190℃/180秒硬化させる。「追加率(Add on)」は、乾燥後かつ硬化前にフィルターシート上に保持される結合剤固形分の、フィルターシート重量を基準にした重量%である。これらの例において観察される平均追加率は14重量%であった。次に、張力試験のため、硬化させたフィルター紙を2.54cm×10.16cmの細片に切断した。試験の直前に、試験細片を85−90℃水に30分間浸漬し、湿ったままInstron張力試験機に取り付けた。試験機は死荷重1kg、全範囲10kgで較正した。細片を空気グリップに取り付け、2.54cm/分のクロスヘッド速度で試験した。各々の引っ張り強さを、各試験細片が2つに分離または破断する間に測定されるピーク力として記録した。1つの例について、7つの細片を試験した。湿潤引っ張り強さは22℃、相対湿度55%および760mmHgで決定した。
【0103】
実施例4−10:
以下の実施例は、ポリマー性ポリ酸、例えば、ポリ(アクリル酸)(pAA)の架橋のために、反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオールを用いる利益を示す。対照系はpAAを架橋剤としてのトリエタノールアミン(TEOA)と共に含む。下記表1の配合を参照のこと。下記表2に示されるように、反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオールを含むすべての配合物は対照よりも高い湿潤引っ張り強さを示し、その引っ張り強さもより速く発現し、硬化30秒での引っ張り強さは190℃で硬化180秒での対照系とほぼ等しいか、もしくはより高いものである。反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオールでの低エネルギー硬化の利益は、配合物中の硫酸エステル化触媒の添加の有無に関わらず、観察された。
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】

【0106】
実施例11−13
以下の実施例12−13は、表3に示される、本発明の反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール含有結合剤が、最初に揮発性塩基、例えば、アンモニアもしくはAMP−95で高pH、pH>9に中和されているポリマー性ポリ酸結合剤を有効に架橋することを示す。下記表4、実施例11における結果は、高レベルの不揮発性塩基、例えば、水酸化ナトリウムがポリ酸結合剤の中和に用いられる場合、引っ張り強さが発現しないことを示す。
【0107】
【表3】

【0108】
【表4】

【0109】
実施例14:ポリ(85AA/15TMPMAE)の製造
凝縮器、熱電対、および機械式攪拌機を備える3リットルフラスコに792.5グラムの脱イオン水および43.3グラムの次亜リン酸ナトリウム(SHP)を添加した。窒素雰囲気をフラスコ内に確立し、初期内容物を攪拌しながら92℃に加熱した。ひとたびフラスコの内容物が92℃に到達したら、脱イオン水13.1グラム中に2.6グラムの過硫酸ナトリウムの溶液を添加した。515.9グラムのアクリル酸および130.1グラムのトリメチロールプロパンモノアリルエーテル(TMPMAE)の初期モノマー混合物を90分にわたって徐々に添加した。ひとたび初期モノマー混合物の添加が完了したら、221.1グラムのアクリル酸からなる第2モノマー流を30分にわたって徐々に添加した。第1および第2モノマー流の添加の間、反応混合物を94℃で維持し、2つの別個の水溶液を徐々に添加した。その第1は脱イオン水99.2グラム中に23.5グラムの過硫酸ナトリウムからなり、120分にわたって添加し、その第2は脱イオン水111.7グラム中に43.3グラムの次亜リン酸ナトリウムからなり、105分にわたって添加した。モノマーおよび過硫酸ナトリウム溶液の添加が完了したら、反応混合物を94℃で30分間保持した後、室温に冷却した。生じるコポリマー溶液は48.8重量%の固形分含有率を有していた。
【0110】
実施例15−16:付加コポリマーの製造
実施例15および16においては、下記表5に示される変更を加えて、実施例14の手順に従った。
【0111】
【表5】

【0112】
実施例17−28
以下の例は、β−ヒドロキシアミド基含有ポリオールを含有する組成物(表6Aおよび6B)がカルボキシおよびヒドロキシ官能性の両者を含むコポリマー性ポリ酸を有効に架橋することを示す。
【0113】
【表6】

【0114】
【表7】

【0115】
下記表7における実施例17−19、21−22および24−25において示されるように、反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール、特には、DEOAとε−カプロラクトンとの反応によって作製されるもの(実施例18−19、22、および25)は、TEOAポリオールに対して、190℃で30秒硬化後の結合剤処理ガラス繊維フィルター紙の早期湿潤引っ張り強さを改善する。比較のため実施例20および23を参照のこと。さらに、反応性ポリオール(iii)からのヒドロキシル当量のポリマー性ポリ酸(i)からのカルボン酸当量に対する比がより低い状態で用いられるときでさえ(0.39)、反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオールは、TEOAポリオールに対して、190℃で60秒および180秒硬化後の結合剤処理ガラス繊維フィルター紙の湿潤引張り強さを改善する。
【0116】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはそれらの塩を含有する1種類以上のポリ酸;
(ii)任意に、少なくとも2つのヒドロキシル基を含有する1種類以上のポリオール;並びに
(iii)ラクトンまたは他の環状エステルとアルカノールアミンとの反応生成物である、下記式(I)の、1種類以上の反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール:
【化1】

(式中、RおよびR’’は、独立に、H、または一価C〜C18直鎖もしくは分岐鎖アルキル基を表し、該基は1もしくは2個のアリールもしくはシクロアルキル基、1個以上のヒドロキシル、アミン、チオール、アミド、カルボキシルもしくはアルケニル基、またはそれらの組み合わせを含むことができ;R’は共有結合または二価C〜Cアルキレン基のいずれかを表し、該アルキレン基はアルキル基置換基を有することができ;yは整数1または2であり;xは、(x+y)=2となるように、0または1である)
を含み、
該カルボン酸基、無水物基、またはそれらの塩の当量数の、該ヒドロキシル基の当量数に対する比が1/0.01〜1/3である
硬化性組成物。
【請求項2】
該1種類以上の反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)が、該ポリオール(ii)に該反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール(iii)を加えた総重量を基準にして、10〜100重量%を構成する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1種類以上のリン含有促進剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
該1種類以上のポリオール(ii)がアルカノールアミンを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
水をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
1種類以上の反応性防水剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
1種類以上のカップリング剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
該1種類以上のポリ酸(i)がエマルジョンコポリマーを含むか、または該組成物が防水性エマルジョン(コ)ポリマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
基体を処理する方法であって:
(i)少なくとも2つのカルボン酸基、無水物基、またはそれらの塩を含有する1種類以上のポリ酸;(ii)任意に、少なくとも2つのヒドロキシル基を含有する1種類以上のポリオール;並びに(iii)ラクトンとアルカノールアミンとの反応によって形成される、下記式(I)の、1種類以上の反応性β−ヒドロキシアミド基含有ポリオール
【化2】

(式中、RおよびR’’は、独立に、H、または一価C〜C18直鎖もしくは分岐鎖アルキル基を表し、該基はアリール、シクロアルキルおよびアルケニル基を含んでいてもよい;R’は共有結合または二価C〜Cアルキレン基のいずれかを表し、該アルキレン基はアルキル基置換基を有することができ;yは整数1または2であり;xは、(x+y)=2となるように、0または1である):
を、水または1種類以上の水性溶媒と混合することを含む;
該カルボン酸基、無水物基、またはそれらの塩の当量数の、該ヒドロキシル基の当量数に対する比が1/0.01〜1/3である;
硬化性水性組成物を形成し;
該基体を該硬化性水性組成物と接触させるか、または、その代わりに、該硬化性水性組成物を該基体に適用し;並びに
該硬化性水性組成物を100℃〜400℃の温度で加熱する;
ことを含む方法。
【請求項10】
請求項9の方法によって製造される繊維性物品、不織物品または複合体。

【公開番号】特開2007−16236(P2007−16236A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−185370(P2006−185370)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】