説明

ラジエータの防塵装置

【課題】 防塵スクリーンあるいはラジエータコアへの塵埃付着を抑制して除塵作業の頻度を少なくし、圃場作業効率の向上を図る。
【解決手段】エンジン(E)のラジエータ(21)の吸気側コア(21a)全面に亘る面積の防塵スクリーン(29)をラジエータ(21)側枠部に設けたガイドに沿わせて抜き差し自在に設け、該防塵スクリーン(29)は細かい目合の網膜状に構成し、この防塵スクリーン(29)の一部を覆うように縦長の遮蔽板(30)を左右摺動自在に吊持姿勢に支持し、前記遮蔽板(30)を左右駆動機構(Y)によって任意のタイミングで、又は適宜設定されたタイミングで往復移動すべく構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水田用乗用管理機や農業用トラクタ等のラジエータの防塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水田の防除作業を行う所謂乗用管理機にあっては、稲花粉を初めとする植物花粉その他塵埃が立ち昇る環境下で作業を行うものであるから、エンジンのラジエータ部に目詰まりを生じ易い。即ちラジエータのコア前面に侵入して付着し、それが核となって後の塵埃類を捕捉し塊り状態に成長すると、ラジエータの前面を塞いで冷却液が高温となり所望の冷却効果を得られないこととなる。
【0003】
そこで、防塵スクリーンの目合いを小さくしたり、あるいは除塵の目的でワイパを設ける構成がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−159328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記特許文献1の構成では、ラジエータ前面の防塵スクリーンへの塵埃類付着を抑制することはできない。
この発明は、上記に鑑み、防塵スクリーンあるいはラジエータコアへの塵埃付着を抑制して除塵作業の頻度を少なくし、圃場作業効率の向上を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、エンジンEのラジエータ21の吸気側コア21a全面に亘る面積の防塵スクリーン29の一部を覆うように縦長の遮蔽板30を左右摺動自在に吊持姿勢に支持し、前記遮蔽板30を左右駆動機構Yによって任意のタイミングで、又は適宜設定されたタイミングで往復移動すべく構成してなる作業車両のラジエータ部防塵装置とする。
【0007】
左右駆動機構Yによって遮蔽板30が往復移動することにより、作業中、圃場の稲花粉などの微細な塵埃が舞い上がり吸気されてラジエータ21の防塵スクリーン29に付着しようとするが、この吸気風を横切るように作用する遮蔽板30が遮るため一部の塵埃類は防塵スクリーン29への吸着が阻止され下方に落下する。一方遮蔽板30を潜って防塵スクリーン29に付着した塵埃類は防塵スクリーン29に堆積してコア部21aへの侵入を阻止される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、左右駆動機構Yは、リードカム軸35、係合メタル36、駆動モータ3を備え、リードカム軸35の外周にタスキ掛け状に螺旋溝が往復するリード溝35aを形成し、このリードカム軸35に該リード溝35aに係合する係合メタル36を外嵌する構成とし、この係合メタル36に前記遮蔽板30を連結してなる請求項1に記載の作業車両のラジエータ部防塵装置とする。駆動モータ37がリードカム軸35を一定方向に回動すると、係合メタル36は左右方向に往復移動し、遮蔽板30を左右に連動する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、左右駆動機構Yの駆動モータ37に操作盤40の設けた駆動スイッチ41の入り操作に基づいて駆動出力する構成とした請求項2に記載の作業車両のラジエータ部防塵装置とする。駆動スイッチ41を入り操作することにより遮蔽板30は往復駆動される。
【0010】
請求項4に記載の発明は、左右駆動機構Yの駆動モータ37に予め設定した待機時間T1経過後に駆動出力する構成とした請求項2に記載の作業車両のラジエータ部防塵装置とする。待機時間T1経過毎に自動的に遮蔽板30は駆動される。
【0011】
請求項5に記載の発明は、左右駆動機構Yの駆動モータ37に駆動信号が出力された後、予め設定した駆動時間T2分往復駆動して停止する構成とした請求項3又は請求項4のいずれかに記載の作業車両のラジエータ部防塵装置とする。遮蔽板30は所定の駆動時間T2経過後、自動的に停止する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、エンジンEの前部をフロントグリル19で上面をフード20で覆いエンジンルームRを構成し、エンジンEの後方にラジエータ21を取り付け、エンジンE後部とラジエータ21との間に設ける間隔部に吸引ファン22を配置し、この吸引ファン22の回転により、前記エンジンルームR内へ外気が導入される構成とし、機体1を構成するフレーム25,25の上部に補強構造体27を装着し、この補強構造体27を側部枠28aと連結板枠28bとから構成し、前記フード20の後端側を支持するとともに、遮蔽板30の案内ロッド31に連結する左右駆動機構Yを上記連結板枠28b側でラジエータ21の存在側とは反対側に配設した請求項2〜請求項5のいずれか一に記載の作業車両のラジエータ部防塵装置とする。
【0013】
遮蔽板31をラジエータコア部21aに接近させて配置することができ、遮蔽による塵埃類付着低減を図れる。
請求項6に記載の発明は、駆動モータ37のコイル収容部の一部を連結板枠28bに形成する通気口28dに臨ませて配置する構成とした請求項5に記載の作業車両のラジエータ部防塵装置とする。これにより、駆動モータ37のコイル収容部の一部を連結板枠28bに形成する通気口28dに臨んでいるため吸気風の作用を受ける。
【発明の効果】
【0014】
請求項1又は請求項2に記載の発明によると、遮蔽板30が往復移動するため、何等遮蔽部材を設けない場合に比較して防塵スクリーン29への塵埃類付着を阻止でき防塵スクリーン29の限界までの堆積時間を長くし、ひいては圃場作業を長期に渡ってメンテナンスなしに行うことができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によると、オペレータは任意に遮蔽板30を駆動することができる。
請求項4に記載の発明によると、待機時間T1経過毎に自動的に遮蔽板30は駆動されるため、オペレータの負担を軽減する。
【0016】
請求項5に記載の発明は、遮蔽板30をラジエータコア部21aに接近させて配置することができ、遮蔽による塵埃類付着低減を図れる。なお、左右駆動機構Yのリードカム軸35を上部に配置するが、その位置はラジエータ21とは離れた位置に設けることにより、前記防塵スクリーン29を上方に引き出してメンテナンスを行う場合に邪魔にならずこの引き出しや装着を容易に行うことができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、駆動モータ37のコイル収容部は吸気風の作用を受けるため、冷却効果を得られ、品質を安定させる。然もダッシュボード23の周壁内部に配置する構成とすることで安全性も確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】乗用型防除機の全体側面図
【図2】乗用型防除機の全体正面図
【図3】散布装置の配管図
【図4】要部の側面図
【図5】要部を拡大して示す背面図(A)、その左側面図(B)、その右側面図(C)
【図6】要部を拡大して示す正面図(A)、その右側面図(B)、その左側面図(C)
【図7】防除操作盤および防除タンク部の平面図
【図8】フローチャート
【図9】別例を示す要部の側面図
【図10】更に別例を示す機体前部の側面図
【図11】フローチャート
【図12】ブラシ機能を備えた遮蔽板を示す背面図(A)、その右側面図(B)
【図13】左右駆動機構組み付けの別例を示す機体前部の側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施の態様を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、乗用型管理機の機体に防除装置を装着した乗用型防除機を示すものである。
【0020】
防除機機体1の前部にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケース2内の変速装置に伝達し、変速装置で適宜変速された動力により左右の前輪3,3および後輪4,4を駆動する構成としている。
【0021】
機体1の後部には薬液を収容する薬液タンク5を載置し、該薬液タンク5の前部で機体1の中央部には運転席6及びステアリングハンドル7を装備している。なお、運転席6の左右に上記薬液タンク5の張出前部が沿うように形成されている。17は、エンジン回転数の表示や各種警告灯を備えたパネルである。
【0022】
薬液タンク5内の薬液は、ポンプ8により後述する散布ブーム9に設けられた散布ホース10の各ノズル11から噴出される構成であり、該ポンプ8はベルト・プーリ等の伝動系8aを介して駆動される構成である。
【0023】
前記散布ブーム9について、中央のセンターブーム9aは機体1の横幅に略一致し、その左右両側に連結される左右サイドブーム9b,9bは前記センターブーム9aより長く構成されている。9c,9cは延長ブームであり、サイドブーム9b,9bに伸縮自在でかつ噴出ノズルを開閉連動すべく連結する構成である。
【0024】
前記サイドブーム9b,9bはセンターブーム9aに対し回動自在に連結され、サイドブーム昇降シリンダ機構15により上方へ回動させて収納状態に保持させたり、又は地面と略平行となる散布作業姿勢状態に回動させて支持することができる。なお、機体1の左右両側には散布ブーム9を収納支持するためのブーム収納支持枠13,13が立設され、ホルダ受具14によって係止保持されるよう構成される。
【0025】
前記エンジンEの周辺構成について、機体1を構成する左右の前部フレーム18,18にエンジンEを載置固定し、該エンジンEの前部をフロントグリル19で上面をフード20で覆いエンジンルームRを構成している。エンジンEの後方に位置してラジエータ21を前記前部フレーム18,18を介して取り付け、エンジンE後部とラジエータ21との間に設ける間隔部に吸引ファン22を配置し、この吸引ファン22の回転により、前記ステアリングハンドル7のダッシュボード23や前記操作パネル17の近傍において前記エンジンルームR内への吸気部を介して外気が導入される構成としている。
【0026】
なお、前記左右の前部フレーム18,18の後端に中継部材24,24を介在して後部フレーム25,25を連続させて設ける。この後部フレーム25,25の前端側の上部にステップ26等の支持を兼用して補強構造体27を装着し、この補強構造体27は側部枠28aと連結板枠28bとからなっていて、前記フード20の後端側を支持する支持構造部と後述する防塵機構Aの一部を支持する構造体として機能する構成である。このうち、連結板枠28bの上部外周にはフード20を受ける受体28c,28cを複数宛設け、中央部から下部に亘って通気窓28d,28dを形成している。
【0027】
次いで防塵機構Aについて説明する。前記ラジエータ21の吸気側コア21a全面に亘る面積の防塵スクリーン29をラジエータ21側枠部に設けた上下方向のガイドに沿わせて抜き差し自在に設ける。該防塵スクリーン29は細かい目合の網膜状に構成されている。そして、この防塵スクリーン29のさらに背面側には、縦長の遮蔽板30が、水平姿勢の案内ロッド31に左右摺動自在に吊持姿勢にて支持されている。なお、案内ロッド31は、前記連結板枠28bの上部前面に設けた左右のブラケット部材32,32に支持される構成であり、該案内ロッド31に遮蔽板30の取付ブラケット30aを介して該遮蔽板30を支持する構成である。
【0028】
前記遮蔽板30の大きさは、上下長さLが略ラジエータ21の吸気側コア21aの上下長さにほぼ等しい長さの短冊状で、所定幅Wを備えている。なお幅は吸気量を制約してラジエータ21の冷却効率に影響しない程度とするのが好ましく、このため、予め吸気に影響しない程度の幅をラジエータ21の性能上から判定して得た適宜の幅Wに設定する。
【0029】
前記遮蔽板30は左右駆動機構Yによって任意のタイミングで、あるいは適宜設定されたタイミングで往復移動すべく構成される。すなわち、この左右駆動機構Yは、リードカム軸35、係合メタル36、駆動モータ37等からなり、このうちリードカム軸35には、軸外周にタスキ掛け状に螺旋溝が往復して無限軌道(ループ)状を呈するようにリード溝35aが形成され、このリードカム軸35に、当該リード溝35aに係合する係合メタル36を外嵌している。従って、駆動モータ37がリードカム軸35を一定方向に回動すると、係合メタル36は左右方向に往復移動作用する。
【0030】
前記リードカム軸35を前記案内ロッド31と平行に設けると共に、前記係合メタル36と前記遮蔽板30の取付ブラケット30aとを連結することによって、係合メタル36の動きは直接遮蔽板30に伝えられて該案内ロッド31に沿って左右往復移動する構成である。
【0031】
なお、前記駆動モータ37は前記連結板枠28bの後面、即ちダッシュボード23側において、該連結板枠28bに装着固定される構成であり、その出力軸37aの中間伝動ギヤ37bをリードカム軸35の伝動ギヤ38に噛合させて該リードカム軸35を伝動する構成である。また、リードカム軸35の左右端は夫々軸受ブラケット39,39によって支持構成される。
【0032】
左右駆動機構Yによって遮蔽板30が往復移動することにより、作業中、圃場の稲花粉などの微細な塵埃が舞い上がり吸引ファン22の作用で共に吸気されてラジエータ21の防塵スクリーン29に付着しようとするが、この吸気風を横切るように遮蔽板30が遮るため一部の塵埃類は防塵スクリーン29への吸着が阻止され下方に落下する。一方遮蔽板30を潜って防塵スクリーン29に付着した塵埃類は防塵スクリーン29に堆積してコア部21aへの侵入を阻止される。
【0033】
遮蔽板30が往復移動するため、何等遮蔽部材を設けない場合に比較して防塵スクリーン29への塵埃類付着を阻止でき防塵スクリーン29の限界までの堆積時間を長くし、ひいては圃場作業を長期に渡ってメンテナンスなしに行うことができる。
【0034】
上記実施例では、遮蔽板30の案内ロッド31に連結する左右駆動機構Yを連結板枠28b側でラジエータ21の存在側とは反対側(図例では後側)に配設したことにより、遮蔽板31をラジエータコア部21aに接近させて配置することができ、遮蔽による塵埃類付着低減を図れる。なお、左右駆動機構Yのリードカム軸35を上部に配置するが、その位置はラジエータ21とは離れた位置に設けることにより、前記防塵スクリーン29を上方に引き出してメンテナンスを行う場合に邪魔にならずこの引き出しや装着を容易に行うことができる。
【0035】
また、案内ロッド31の上部に左右駆動機構Yのリードカム軸35を並行配置することで、駆動モータ37を連結板枠28bでエンジンE側とは遮蔽した側に配置することができるからエンジンEによる高温雰囲気の影響をなくする。然も該モータ37のコイル収容部の一部を図例のように連結板枠28bの通気口28dに臨ませて配置することにより、吸気風の作用を受け冷却効果を得られ、品質を安定させる。然もダッシュボード23の周壁内部に配置する構成とすることで安全性も確保できる。
【0036】
前記左右駆動機構Yの駆動モータ37は、手元の操作盤40に設けた駆動スイッチ41の入り操作に基づいて駆動モータ37をONする構成であり(ステップ103)、オペレータが任意に遮蔽板30を往復駆動させるように構成してもよく(例えば駆動スイッチ41の傾倒作動中ONを継続し、放すとOFFするスイッチ構成)、図8のように、予め設定した所定駆動時間T2時間往復駆動して停止する構成としてもよい(ステップ109〜111)。なお、駆動スイッチ41に代替して前記パネル17面適所に配設してオペレータの手の届き易い駆動スイッチ41aとしてもよい。
【0037】
また、図8の例では、左右駆動機構Yの駆動モータ37を所定待機時間T1経過毎に所定駆動時間T2に渡り往復駆動するようになっており(ステップ104〜106)、手動操作を行わずとも、自動的に定期的に遮蔽板30により吸引風に乗って浮遊する塵埃類の一部を堰き止めて落下させコア部21aへの侵入を抑制できる。上記所定待機時間T1は待機時間設定ダイヤル42によって長短に任意に変更できるようになっている。
【0038】
また、駆動モータ37を可変速モータ形態とし、の回転数を回転数設定ダイヤル43によって変更できる構成とすることにより、塵埃類の飛散状況や作業状況等に応じて遮蔽板20の左右移動速度を変更できる。なお、塵埃類の多い場所での作業においては移動速度を速く設定するとよい。前記吸引ファン22の吸気導入経路中に風量検出手段又は風圧検出手段50を設け(図9)、風速又は風圧が予め設定した所定速度又は風圧に達していないときには駆動モータ37に起動信号を出力し、遮蔽板30を強制的に駆動状態とするよう構成している。風量乃至風圧検出手段50は、風圧を受ける板体50aとこの板体50aの前後動に伴ない、入り切りするリミットスイッチ50bからなり、風量が標準以上に流通するときは図中(イ)のようにラジエータ21側に接近し、所定の風量を確保できないときは自重で略鉛直状態となってラジエータ21からやや離れるように構成してリミットスイッチ50bを入り切りに切り替えできる構成としている。このように構成すると、塵埃類の更なる付着を抑制できる。風量乃至風圧検出手段50はラジエータ21の通気下手側に配設してもよい。
【0039】
エンジンEの上部を覆う前記フード20は、前側又は後側を支点にして開閉自在に設けられている。前記左右駆動機構Yの駆動モータ37に回転指令信号が出力されて遮蔽板30が左右移動しているときにフード20を開けると、機体1側固定部材とフード20との間に配設された検出手段51(図10)によってフード20の開放が検出されたとき、駆動モータ37に停止信号が出力され、メンテナンスの際に駆動モータ37が駆動状態であったり、あるいは不意に駆動モータ37が起動して遮蔽板30が動き出すなどの恐れがなく安全を確保できる。なお、フード20が閉じられると、駆動モータ37への駆動出力信号は復帰し、所望の回転を行わせる。
【0040】
図11に基づいて散布作業中の遮蔽板駆動制御について説明する。キースイッチ(図示せず)をONし、エンジンEを起動する(ステップ201、202)。前記フード20の開閉検出を行い(ステップ203)、フード20が開いている場合には、駆動モータ37へ駆動出力が停止され該モータ37は起動しない(ステップ203、212)。そして、散布作業に必要な散布設定、例えば散布量、散布種類等を設定すると共に、図外防除ポンプスイッチをONして機体を発進させる(ステップ204〜206)。機体は走行開始するが、同時に低速での作業速の状態か高速での走行速かを車速検出又は副変速レバーの位置検出によって判定し、作業速の場合には図11に示すような遮蔽板駆動制御が実行される(ステップ207、208)。一方走行速の判定では駆動モータ37への出力は停止される(ステップ212)。
【0041】
作業途中で冷却水温が規定値以上になったり(ステップ209)、前記のように風速が所定値を超えると(ステップ210)、駆動モータ37に駆動信号を出力して遮蔽板30を強制駆動させる(ステップ213)。
【0042】
図5に示すように、ラジエータ21本体は上部が後位に下部が前位となる状態に側面視で傾斜させて取り付ける。従って、遮蔽板30の姿勢も傾斜姿勢となって堰き止められる塵埃類は自然落下し易い構成となる。なお、遮蔽板30の下部に塵埃受部(図示せず)を設けることにより、堰き止められて落下する塵埃類を回収することができ妄りに飛散させないで済む。
【0043】
さらに、遮蔽板30の裏面(ラジエータ21側)に上下に亘ってブラシ52を構成すると(図12)、防塵スクリーン29やラジエータコア部21aに付着した塵埃類を拭いとることができる。ブラシは上下に単列でもよく複数列に配列してもよい。
【0044】
前記実施例では、遮蔽板30の左右移動機構Yを補強構造体27を利用して組付ける形態としたが、この左右移動機構Yをラジエータ21の上部に該ラジエータ21の構造体を利用して組付ける形態としてもよい。機体組立の際、予めラジエータ21に左右移動機構Yや遮蔽板30を組付けておくことが出来、組立作業を効率的にかつ容易迅速に行うことができる(図13)。符号53は取付ベースで、この取付ベース53で駆動モータ37とリード軸35等からなる左右駆動機構Yを支持するとともに、その取付座部53aをラジエータ21の構成枠組部に着脱自在に取り付ける構成である。このように左右駆動機構Yを事前にラジエータ21に組付けておき、ラジエータ21の機体フレーム18,18への組付で左右駆動機構Yの機体1への装着が完了する。なお、予め遮蔽板30を左右駆動機構Yに組付支持することもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 機体
7 ステアリングハンドル
17 操作パネル
19 フロントグリル
20 フード
21 ラジエータ
21a コア
22 吸引ファン
23 ダッシュボード
25 (後部)フレーム
26 ステップ
27 補強構造体
28a 側部枠
28b 連結板枠
29 防塵スクリーン
30 遮蔽板
31 案内ロッド
35 リードカム軸
35a リード溝
36 係合メタル
37 駆動モータ
40 操作盤
41 駆動スイッチ
E エンジン
Y 左右駆動機構
R エンジンルーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)のラジエータ(21)の吸気側コア(21a)全面に亘る面積の防塵スクリーン(29)の一部を覆うように縦長の遮蔽板(30)を左右摺動自在に吊持姿勢に支持し、前記遮蔽板(30)を左右駆動機構(Y)によって任意のタイミングで、又は適宜設定されたタイミングで往復移動すべく構成してなる作業車両のラジエータ部防塵装置。
【請求項2】
左右駆動機構(Y)は、リードカム軸(35)、係合メタル(36)、駆動モータ(37)を備え、リードカム軸(35)の外周にタスキ掛け状に螺旋溝が往復するリード溝(35a)を形成し、このリードカム軸(35)に該リード溝(35a)に係合する係合メタル(36)を外嵌する構成とし、この係合メタル(36)に前記遮蔽板(30)を連結してなる請求項1に記載の作業車両のラジエータ部防塵装置。
【請求項3】
左右駆動機構(Y)の駆動モータ(37)に操作盤(40)に設けた駆動スイッチ(41)の入り操作に基づいて駆動出力する構成とした請求項2に記載の作業車両のラジエータ部防塵装置。
【請求項4】
左右駆動機構(Y)の駆動モータ(37)に予め設定した待機時間(T1)経過後に駆動出力する構成とした請求項2に記載の作業車両のラジエータ部防塵装置。
【請求項5】
左右駆動機構(Y)の駆動モータ37に駆動信号が出力された後、予め設定した駆動時間T2分往復駆動して停止する構成とした請求項3又は請求項4のいずれかに記載の作業車両のラジエータ部防塵装置。
【請求項6】
エンジン(E)の前部をフロントグリル(19)で上面をフード(20)で覆いエンジンルーム(R)を構成し、エンジン(E)の後方にラジエータ(21)を取り付け、エンジン(E)後部とラジエータ(21)との間に設ける間隔部に吸引ファン(22)を配置し、この吸引ファン(22)の回転により、前記エンジンルーム(R)内へ外気が導入される構成とし、機体(1)を構成するフレーム(25,25)の上部に補強構造体(27)を装着し、この補強構造体(27)を側部枠(28a)と連結板枠(28b)とから構成し、前記フード(20)の後端側を支持するとともに、遮蔽板(30)の案内ロッド(31)に連結する左右駆動機構(Y)を上記連結板枠(28b)側でラジエータ(21)の存在側とは反対側に配設した請求項2〜請求項5のいずれか一に記載の作業車両のラジエータ部防塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−148606(P2012−148606A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7099(P2011−7099)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】