説明

ラパチョ抽出物を含有する耳鼻科用溶液

本発明は、ラパチョ抽出物を含有する耳鼻科用溶液、並びにその調製及び使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体衛生用の製品に係り、特に、極性又は非極性溶媒中にラパチョ抽出物を基本的に有する耳鼻科用溶液に関する。
【0002】
また、本発明は、斯かる製品の調製、及び人体衛生用の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
紫いぺー(Tabebuia impetiginosa)(いぺー(T. avellanedae)として公知)は、中央及び南部アメリカの全体を通じて熱帯雨林で天然のノウゼンカズラ科における樹種である。
【0004】
アルゼンチン、パラグアイ及びブラジルから主要に輸入され、ラパチョ、パウダルコ、タヒーボ及びイペロシュとして周知である。
【0005】
数千年も前から、植物は、種々の疾病の処置に有用な抽出物を得る樹皮の内部を特に利用する固有の集団により、医薬目的に使用される。
【0006】
ラパチョ抽出物の医薬的な能力を同定するため、多くの検討がなされてきており、種々の活性本体が単離されてきた。本質的に、18の異なるキノンが同定されている(非特許文献1参照)。
【特許文献1】伊国特許第1.304.304号明細書
【非特許文献1】Edward H.Oswald著、British Journal of Phytotherapy、1993及び1994年、3巻、3号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
種々の抽出物の医薬的な特徴が検討され、口腔、鼻及びのどの感染を処置するのに適当なものとされる抗菌、抗ウィルス、抗マイコプラズマ及び防腐活性を有することが証明された。
【課題を解決するための手段】
【0008】
極性又は非極性溶媒の両方で得られたラパチョの樹皮の伝統的な抽出物が、耳垢を分離し、溶解し且つ除去するという特別な特性を得ることを驚くべきことに見出され、従って、耳の管(auricular duct)を洗浄するのに有用な耳鼻科用溶液に用いられ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明によると、これらの製品は、ラパチョの樹皮の、極性溶媒(例えば、水、アルコール、アセトン)若しくは非極性溶媒(例えば、エーテル)又はこれらの混液を用いた熱抽出を通じ、その後、懸濁液を濾過することにより簡便に調製可能である。
【0010】
調製の際、ラパチョの樹皮に含まれるキノン(ケルセチンなどの水に溶解性を有しないもの)は、本願出願人と同一の特許文献1に言及の方法に従って、樹皮から得られた水抽出物に添加されてもよい。
【0011】
この後者の特許によると、水不溶性のキノンは、市販の製品によって、又は上記の特許に広く言及されているように水に溶解させるように、樹皮から回収することのいずれかによって、水溶液に添加されてもよい。
【0012】
後者の例は、市販ではないとはしても、ラパチョの樹皮に含まれる天然に存在する全てのキノンを利用可能であるという明らかな利点を示す。
【0013】
得られる製品は、その後、即座に使用可能な最終混合物を得るように、公知の技術に従って、処理される。
【0014】
通常、抽出物は、約10%以下に濃縮される;しかしながら、異なる濃縮率を用いることもできる。
【0015】
ラパチョ抽出物に加えて、本発明で言及する耳鼻科用の製剤は、可能な保存料(ニパギン(nipagine))と組み合わせた抗炎症及び/又は防腐成分などのその他の活性成分を含有してもよい。
【0016】
耳鼻科の分野(特に、耳の管の洗浄に用いるもの)において公知の化粧用の賦形剤を上記の溶液に添加してもよく、例えば、グリセリン、過酸化尿素、PEG、ラウリルザルコシネートナトリウム(sodium lauret sarcosinate)、クエン酸、第二リン酸ナトリウム、ポリソルビタンモノステアレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。
【0017】
調製の際、ラパチョ抽出物を含有する溶液には、その他の植物由来のラパチョ抽出物を添加してもよく、例えば、カモミール、アーモンド油又はフラボノイド、ビタミンなどの抗炎症活性を有するその他の薬草の抽出物が挙げられる。
【0018】
本発明によって調製される耳鼻科用製剤は、例えば、下記のものを有してもよい。
【0019】
ラパチョ抽出物 5〜90%
水 5〜90%
薬草のラパチョ抽出物 5〜90%
【0020】
本発明による製剤は、下記のものを有してもよい。
【0021】
ラパチョ抽出物 10%
水 89.8%
ニパギン 0.2%
水酸化ナトリウム pH6.5とする
【実施例】
【0022】
下記の例により、本発明をより詳細に述べる。
【0023】
(例1)
10kgの微粉砕したラパチョの樹皮(タベブイア種)を、空気を有しない状態での連続した攪拌下、90kgの水性溶媒(pHを7.5に調整)中で、1〜3時間、65〜70℃で加温する。その後、この溶液を、20℃に冷却し、その後、濾過する。濾過物を採取し、保存料(0.2%のパラベン混合物)を添加する。上記の溶液を、最終的な製剤の調製に利用し得る。
【0024】
(例2)
10kgの微粉砕したラパチョの樹皮(タベブイア種)を、空気を有しない状態での連続した攪拌下、90kgの水性溶媒(pHを7.5に調整)中で、1〜3時間、65〜70℃で加温する。その後、この溶液を、20℃に冷却し、その後、濾過する。濾過物を採取し、保存料(0.2%のパラベン混合物)を添加する。その後、上記の溶液に、1〜70%(p/p)の濃度で、エタノール性、グリセロール性、及び/又は親水性の抽出物を添加する。上記の溶液を、最終的な製剤の調製に利用し得る。
【0025】
既に報告されているように、ラパチョ抽出物は、水とは異なる溶媒(極性又は非極性のもの)により、又は適当な混合物(極性又は非極性のもの)により、上記に言及したものと同様に、且つ科学論文に既に言及の方法を用いて、調製されてもよい。
【0026】
上記の手法に従って得られた溶液は、好適な使用方法に適合するように、可変な量の液体を含有する点滴薬、ボトル及び/又はストリップ(strip)、ガス推進剤を含有又は含有しない異なるスプレーの形態で、製剤化されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラパチョ抽出物を含有する耳鼻科用製剤。
【請求項2】
前記のラパチョ抽出物は、ラパチョの樹皮を極性溶媒で処理することにより、得られることを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記の抽出物は、ラパチョの樹皮を非極性溶媒で処理することにより、得られることを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記の抽出物には、水に不溶のキノンを添加することを特徴とする請求項2に記載の製剤。
【請求項5】
抗炎症剤、防腐剤、植物由来の抽出物、フラボノイド、ビタミン、保存料をも有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
ラパチョ抽出物 5〜90%
水 5〜90%
薬草のラパチョ抽出物 5〜90%
を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
ラパチョ抽出物 10.0%
水 89.8%
ニパギン 0.2%
水酸化ナトリウム pH6.5とする
を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
極性又は非極性の溶媒のいずれかにおいて耳鼻科用の溶液を調製するためのラパチョ抽出物の使用。
【請求項9】
可変な量の液体を含有する点滴薬、ボトル及び/又はストリップ、ガス推進剤を含有若しくは含有しない異なるスプレー、ディスポーザブル又はそうではないゴム製シリンジの形態であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の製剤による、耳の管における耳垢を溶解し、分離し且つ除去する方法。

【公表番号】特表2009−502878(P2009−502878A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523369(P2008−523369)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064780
【国際公開番号】WO2007/014912
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(508024267)ユーロ−ファルマ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (1)
【Fターム(参考)】