説明

ラベル、ラベル発行システム及びプリンタ

【課題】血液型毎に複数種類存在する血液製剤ラベルを統一することが可能なラベル、ラベル発行システム及びプリンタを提供すること。
【解決手段】
従来のラベル発行方法では、血液型の種別毎に専用の血液製剤ラベルを用意する必要があるため、ラベルの製造コストや在庫コストが嵩むという問題がある。そこで、各血液型を表した複数の領域からなり、特定の領域を選択的に指定するための入力領域を有し、当該入力領域において前記血液型を表した領域の夫々が互いに異なる色を用いて表されていることを特徴とするラベルとすることで血液型毎に複数種類存在するラベルを共通化したラベル様式にて提供することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラベル、ラベル発行システム及びプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療の現場においては、医療過誤を防止するために、血液に関するもの、例えば、輸血用血液製剤等について、バーコードラベルを用いて管理している。これらのバーコードラベルに記載される内容等はバーコードプリンタによって印字される。(例えば、特許文献1。)なお、血液製剤とは、人の血液を原料として製造される医薬品の総称のことをいう。例えば、献血などにより、血液提供者から採血を行い、当該採血により得た血液を原料として血液製剤は製造される。
【0003】
ここで、血液製剤容器に貼り付けられるラベルである血液製剤ラベルにおいては、各血液型に応じて、予め色分け印字されたラベルが使用される(図17)。これらのラベルは例えば、A型は黄色、B型は白色、AB型は緑色、O型は桃色のように各血液型に応じて個別に色分けされている。この血液型毎に色分けされたラベルに対してプリンタにより血液に関する表示が必要な事項(採血年月日、最終有効年月日など)を印字する。医療従事者は、この各血液型に応じて色分けされた血液製剤ラベルを目視により確認し、各血液型に対応する血液製剤容器に貼り付ける。そして、貼られたラベルの色を見て血液製剤容器に内包されている血液の血液型を確認し、その管理を行っている。
【0004】
特許文献1には、血液製剤ラベルに印字される所定の印字情報(採血日及び有効年月日又はこれらに対応するバーコード等)をバーコードプリンタにて1回の印字処理で済ませることが可能なラベル発行方法が開示されている。
【0005】
このラベル発行方法は、血液提供者から取得した血液に関する所定の情報(例えば、血液型、採血日時、採血者ID等)の入力を受け付け、かつプリンタに対してラベル印字発行命令を通知する1台の端末(例えばパーソナル・コンピュータ)に対して、血液型の種別毎に専用の血液製剤ラベルがセットされたプリンタを接続することにより血液製剤ラベルの印刷を行っている。つまり、1台の端末に対して4台のプリンタ(A型、B型、O型、AB型それぞれの血液型専用の血液製剤ラベル発行専用プリンタ)が接続され、各血液製剤ラベルを印字発行している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のラベル発行方法では、血液型の種別毎に専用の血液製剤ラベルを用意する必要があるため、ラベルの製造コストや在庫コストが嵩むという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、複数種類存在していたラベルを共通化することによって、ラベルの低コスト化を図ることが可能なラベル、ラベル発行システム及びプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
各血液型を表した複数の領域からなる入力領域を有し、当該入力領域において前記血液型を表した領域の夫々が互いに異なる色を用いて表されていることを特徴とするラベル。
【0009】
選択された血液型を印字するための入力領域を有し、当該入力領域が前記選択された血液型毎に予め定められた色に発色可能な感熱用紙で形成されていることを特徴とするラベル。
【0010】
少なくとも血液に関する情報を受け付ける入力装置と、前記入力装置が受け付けた血液に関する情報に基づいてラベルに印刷するプリンタと、を有するラベル発行システムにおいて、前記プリンタは各血液型を表した互いに異なる色の複数の領域からなるラベルに特定の血液型を選択的に指定する印字を行うことを特徴とするラベル発行システム。
【0011】
少なくとも血液に関する情報を受け付ける入力装置と、前記入力装置が受け付けた血液に関する情報に基づいてラベルに印刷するプリンタと、を有するラベル発行システムにおいて、前記プリンタは、選択された血液型を印字するための入力領域を有し、当該入力領域が前記選択された血液型毎に予め定められた色に発色可能な感熱用紙で形成されているラベルに特定の血液型を選択的に指定する印字を行うことを特徴とするラベル発行システム。
【0012】
選択された血液型を表示するラベルを発行するプリンタであって、少なくとも血液に関する情報を受け付ける受付手段を備え、前記受付手段が受け付けた前記血液に関する情報に基づいて、各血液型を表した互いに異なる色の複数の領域からなるラベルに特定の血液型を選択的に指定する印字を行うことを特徴とするプリンタ。
【0013】
選択された血液型を表示するラベルを発行するプリンタであって、少なくとも血液に関する情報を受け付ける受付手段を備え、前記受付手段が受け付けた前記血液に関する情報に基づいて、前記選択された血液型を印字するための入力領域を有し、当該入力領域が前記選択された血液型毎に予め定められた色に発色可能な感熱用紙で形成されているラベルに特定の血液型を選択的に指定する印字を行うことを特徴とするプリンタ
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ラベルの低コスト化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、ラベル発行システムを概略的に示す図である。
【図2】図2は、PC端末の構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】図3は、プリンタに収納されるロール紙を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態で用いるラベルの一例を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係るプリンタの構成を模式的に示すブロック図である。
【図6】図6は、血液情報管理テーブルを構成するデータ項目の一例を示す図である。
【図7】図7は、血液情報受付からラベル印刷発行開始までの手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、第1の実施形態に係るラベル印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、図4のラベルを用いて発行されたラベルの一例を示す図である。
【図10】図10は、第1の実施形態で用いるラベルの他の例を示す図である。
【図11】図11は、図11のラベルを用いて発行された一例を示す図である。
【図12】図12は、第2の実施形態で用いるラベルの一例を示す図である。
【図13】図13は、第2の実施形態に係るプリンタの構成を模式的に示すブロック図である。
【図14】図14は、第2の実施形態に係るラベル印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】図15は、図12のラベルを用いて発行された配送伝票の一例を示す図である。
【図16】図16は、従来のラベル発行システムを概略的に示す図である。
【図17】図17は、従来のラベルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るラベル、ラベル発行システム及びプリンタの実施形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では献血用血液製剤ラベルを例として説明を行う。また、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係るラベルの発行システムを概略的に示すブロック図である。同図に示すように、ラベル発行システム1は、PC(パーソナル・コンピュータ)端末11、プリンタ12及びセンタサーバ13を有して構成されている。
【0018】
PC端末11は、医師や看護師等の操作者H1により入力される所定の情報を受け付ける入力装置である。ここで、操作者H1が入力する情報としては、採血された患者の氏名、生年月日などの血液提供者を特定する情報、血液型、採血年月日、採血時間、採血場所、等の採血を行った血液に関する情報等が挙げられる。
【0019】
図2は、PC端末11のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。同図に示すように、PC端末11は、制御部111と、表示部112と、入力部113と、コードスキャナ部114と、サーバ通信部115と、プリンタ通信部116とを備え、各部がバス117により接続されている。なお、ここで各構成は必ずしも必要ではなく、例えばコードスキャナ部114は付加的にPC端末に接続されて設けられる状態であってもよい。
【0020】
制御部111は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。CPUとROMに記憶された所定の制御プログラムとの協働により、PC端末11の動作を統括的に制御する。また、制御部111は、CPUとROMに記憶された所定の制御プログラムとの協働により、後述する医療従事者等の操作者H1からの情報の入力を受け付ける処理を実行する。
【0021】
表示部112は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスにより構成され、制御部111の制御に従い文字や画像の表示を行う。入力部113は、キーボードやテンキー等から構成され、操作者H1による操作に応じた入力信号を制御部111へ出力する。コードスキャナ部114は、操作者H1の負担を減らすために、PC端末11に手入力にて登録する必要がある情報(採血担当者情報、採血場所等)が記録されたバーコードや二次元コード等のコード情報を読み取り、制御部111へ出力する。
【0022】
サーバ通信部115は、ネットワークNに接続可能なネットワークインタフェースであって、センタサーバ13との間の通信を制御する。プリンタ通信部116は、無線又は有線によりプリンタ12と接続可能なインタフェースであって、プリンタ通信部116との間の通信を制御する。
【0023】
なお、PC端末11は他の入力装置に置き換えることも可能である。例えば、ハンディスキャナやPDAといった情報入力が可能な入力装置で構成されていればよい。
【0024】
図1に戻り、プリンタ12は、血液製剤ラベルを印字発行するプリンタ装置であって、PC端末11からの指示に従い後述するラベル印刷処理を実行する。具体的に、プリンタ12は、記録用紙となるロール紙を収納するための用紙収納部を有し、このロール紙上に印字した血液製剤ラベルを発行口から出力(発行)する。なお、発行口付近には、出力されたラベル用紙を切り離すためのカッターが設けられている。
【0025】
図3は、プリンタ12に収納されるロール紙の一例を示す図である。同図に示すように、ロール紙20は、台紙22と、この台紙22に所定間隔をもって貼り付けられたラベル21とを備えている。ラベル21は、A型、B型、O型、AB型といった血液型の情報が予め印字され、かつ、採血年月日、採血時間、採血場所、最終有効年月日、等の血液提供者から取得した血液に関する情報を印字するための欄が予め形成されている。プリンタ12は、ラベル21の各欄に上述した血液に関する情報等を印字することで、当該ラベル21を血液製剤ラベルとして発行口から出力する。なお、本実施形態では、単一色(黒色)による印字を想定しているため、プリンタ12が感熱方式のプリンタである場合には、ロール紙20として黒色を発色可能な感熱用紙を用いることも可能である。
【0026】
図4は、ロール紙20に形成されたラベル21の一例を示す図である。同図に示すように、ラベル21には、血液提供者の血液に関する情報、すなわち血液製剤の原料となる血液に関する情報を記録するための各欄が設けられている。領域A11には、各血液型の種別に対応する領域が夫々異なる色を用いて表されている。ここで、領域A11の各血液型を表した複数の領域には「A型」、「B型」、「O型」、「AB型」が予めそれぞれ異なる色によって色分けされて印刷されている。ここで、例えば、「A型」は黄色、「B型」は白色、「O型」は緑色、「AB型」は桃色と夫々異なる色にて色分けされて印刷されている。
【0027】
領域A12には、操作者H1からPC端末により入力された血液提供者の血液に関する情報(血液型、採血年月日、採血時間、採血場所など)を印刷するための欄が設けられている。例えば、この領域A12には、操作者H1がPC端末11により上記の血液提供者の血液に関する情報を入力し、PC端末11が受け付けた当該血液に関する情報の中に含まれる血液型の情報とこの血液型の情報に対応するバーコードを印刷する。領域A13には、血液提供者に対して採血を行った採血場所、その血液提供者の血液型、また血液を提供した血液提供者を識別す血液提供者ID等の情報を印刷するための欄が設けられている。領域A14は、上記領域A13に印字された情報に対応する情報を有したバーコードを印刷するための欄である。また、領域A15は、血液提供者に対して採血を行った採血年月日、採血により得た血液を凍結した日を示す凍結年月日、当該凍結した血液を解凍した日を示す解凍年月日などの情報を印刷するための欄である。なお、領域A12〜領域A15に印刷される事項は上記に示した事項に限られるものではなく、また上記の血液に関係する情報を示す欄は上下に入れ替わって印刷されていてもよい。
【0028】
領域A16には、血液製剤取り扱い時の注意事項を印刷する欄である。この欄には、例えば、「貯蔵方法について2℃から6℃の範囲にて貯蔵する。」との注意書きや、「医師などの処方箋により使用すること。」等の事項や、当該血液製剤の製造元などが印字される領域である。領域A12〜領域A15の欄に印刷される印刷事項は、サーバ13から送信される後述する印字情報に基づいて印字される。また、領域A16は予め上述した所定の注意事項が印字されていてもよく、またサーバ13から情報が送信された後、当該ラベル12に対して印刷を行う形態であってもよい。
【0029】
次に、プリンタ12のハードウェア構成について説明する。図5は、プリンタ12のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。同図に示すように、プリンタ12は、制御部121と、表示部122と、入力部123と、端末通信部124と、印字部125とを備え、各部がバス126により接続されている。
【0030】
制御部121は、CPU、ROM、RAM等で構成され、CPUとROMに記憶された所定の制御プログラムとの協働により、ポータブルプリンタ12の動作を統括的に制御する。また、制御部121は、CPUとROMに記憶された所定の制御プログラムとの協働により、後述するラベル印刷処理を実行する。
【0031】
表示部122は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスにより構成され、制御部121の制御に従い文字や画像の表示を行う。入力部123は、キーボードや操作ボタン等から構成され、操作者H1による操作に応じた入力信号を制御部121に出力する。
【0032】
端末通信部124は、無線又は有線によりPC端末11のプリンタ通信部116と接続可能なインタフェースであって、PC端末11とプリンタ12の間の通信を制御する。
【0033】
印字部125は、黒色印字可能なサーマルプリンタやドットプリンタ等のプリンタエンジンであって、制御部121の制御に従い、後述する印字情報に含まれた各情報(例えば、血液型、採血年月日等)をラベル21の対応する領域に印字する。
【0034】
図1に戻り、センタサーバ13は、操作者H1である医療従事者が使用するデータベースサーバ等のサーバ装置である。センタサーバ13は、CPU、ROM、RAM等で構成される制御部と、液晶等の表示デバイスから構成される表示部と、キーボードやマウス等の入力デバイスから構成される入力部と、ネットワークNに接続可能な通信部と、HDDやSDD等の記憶装置から構成される記憶部とを備えている(何れも図示せず)。
【0035】
センタサーバ13の記憶部は、血液提供者から取得した血液に関する情報を管理するための血液情報管理テーブル131を記憶している。
【0036】
図6は、血液情報管理テーブル131を構成するデータ項目の一例を示す図である。同図に示すように、血液情報管理テーブル131は、血液提供者通し番号、採血年月日、採血場所、血液提供者ID,血液型、血液製剤の最終有効年月日、血液製剤を凍結した年月日である凍結年月日、血液製剤を解凍した年月日である解凍年月日等の血液に関する情報によって構成されている。なお、当然のことながらその他の各種血液に関する情報を当該血液情報管理テーブルにて管理していてもよい。
【0037】
ここで、図1を参照して、血液情報管理テーブル131の利用形態について説明する。PC端末11は、操作者H1により血液製剤の原料となる血液提供者から取得した血液に関する情報が入力されたことを受け付けると、当該血液に関する情報をセンタサーバ13に通知するとともに、センタサーバ13に当該情報を問い合わせる。センタサーバ13の制御部は、当該情報の問い合わせを受け付けると、例えばPC端末から入力された血液提供者IDに関連付けられた情報(血液型、採血者氏名など)を血液情報管理テーブル131から読み出す。次に、センタサーバ13は、後述する所定の印字情報をプリンタ12に送信し、当該印字情報に基づいてラベル印字する動作を開始するよう、ラベル印刷処理開始の命令をプリンタ12に通知する。
【0038】
血液情報が血液情報管理テーブル131に未登録であった場合、操作者H1等により、血液提供者ID、血液型など、血液に関する情報を血液情報管理テーブル131に登録する。これにより、次回以降は、血液情報管理テーブル131に登録された情報を用いてラベル印刷発行処理を進めることが可能となる。
【0039】
なお、センタサーバ13の制御部は、ネットワークNを介してPC端末11から血液製剤ラベルの印刷発行依頼を受け付ける毎に固有の印刷番号を発行(生成)する。印刷番号の発行方法は特に問わないものとするが、例えば、昇順に番号を割り振ることで重複しない印刷番号を発行することができる。
【0040】
以下、図4及び図9を参照して血液製剤ラベルの印刷処理について説明する。
【0041】
以下、血液製剤ラベル発行システム1の動作について説明する。図7は、PC端末11、プリンタ12及びセンタサーバ13による血液情報受付からラベル発行処理の手順を示すフローチャートである。なお、本処理の前提として、医療従事者が血液提供者H2から献血などにより採血を行い、血液を取得しているとする。
【0042】
まず、PC端末11において、操作者H1がPC端末11に採血により血液提供者から得た血液に関する血液情報(例えば、採血者の氏名、生年月日などの採血者を特定する情報、血液型、採血年月日、採血時間、採血場所等)の入力を行うと、PC端末11は、これらの血液情報を受け付ける(ステップS11)。次に、ラベル印字発行の開始を指示する入力部113からの入力信号に応じ、制御部111が上述の血液情報及び血液製剤ラベルの発行を依頼する発行要求をセンタサーバ13へ送信する(ステップS12)。センタサーバ13では、PC端末11からのラベル発行要求に応じて図示しない制御部が、PC端末11から送信された血液情報を受信し、血液情報管理テーブル131を新たに更新する(ステップS21)。更新する情報としては、図6にて示す血液提供者通し番号、採血を行った年月日日である採血年月日、採血を行った採血場所、血液提供者を識別する固有の番号である血液提供者ID、血液提供者の血液型、採血により得られた血液の最終有効年月日、血液を凍結した年月日を示す凍結年月日、血液を解凍した年月日を示す解凍年月日などである。なお、これらの情報は、更新する必要がない場合、情報の更新は行われなくてもよい。すなわち、既に血液情報管理テーブル131に血液提供者IDや当該血液提供者の血液型の情報が記憶されている場合、これらの情報は新たに記憶されることがなくてもよい(ステップS21)。次に、図示しない制御部は血液情報管理テーブル131から既に当該テーブル131に記憶済みの血液情報を取得する(ステップS22)。そして、次にこれら血液情報管理テーブルから取得した情報から血液製剤ラベルに印字するために必要な印字情報を抽出する(ステップS23)。抽出する印字情報としては、例えば、血液型(A型、B型、O型、AB型)や採血年月日、採血場所、最終有効年月日、凍結年月日、解凍年月日、またこれらの情報に対応したバーコード化のためのコード情報などを抽出する。そして、図示しない制御部は抽出した情報を印字情報としてPC端末11に通知する(ステップS24)。
【0043】
PC端末11の制御部111では、センタサーバ13からラベル印刷のための印字情報を受け付けた後、この印字情報をプリンタ12に送信することで、プリンタ12にラベル印刷の発行処理を指示する(ステップS13)。プリンタ12では、PC端末11から送信された印字情報を受け付けると、制御部121がラベル印刷の発行処理を開始する(ステップS31)。
【0044】
なお、図7の実施の形態ではセンタサーバ13にて血液情報から血液製剤ラベルに印字するための印字情報を抽出する形態としているが、これらに限られることない。すなわち、センタサーバ13は血液情報管理テーブル131に記録されている血液情報をPC端末に送信し、PC端末11にてセンタサーバ13から送信された血液情報から血液製剤ラベルに印字するための印字情報を選択して抽出し、当該印字情報をプリンタ12に送信してラベル発行を行う形態であってもよい。
【0045】
また、PC端末11自身が血液情報管理テーブル131を有している場合は、以下のラベル発行システムであってもよい。PC端末11自身が血液情報管理テーブル131を有しているため、センタサーバ13を経由することなく、血液情報管理テーブル131を参照してラベルに印字するための印字情報を取得し、プリンタ12に対してラベル発行要求と共に印字情報を送信してラベルに印刷を行う形態としてもよい。また、ラベルに印字するための印字情報は必ずしも血液情報管理テーブル131に記憶されている情報とする必要はなく、操作者H1が入力装置に入力した情報を、PC端末11などの入力装置がセンタサーバ13を経由することなく、プリンタ12へと送信し、ラベルの発行を行う形態であってもよい。
【0046】
図8は、本実施形態にかかるラベル印刷処理の手順の一例を示すフローチャートである。制御部121は、PC端末11からラベル印刷のための印字情報(例えば、血液型、採血年月日、採血場所、最終有効年月日、凍結年月日、解凍年月日、これらの情報に対応したバーコード印字情報)とラベル印刷の発行命令とを受け付けると、印字部125を制御することで、図4に示したラベル21の領域A11のうち、PC端末から送信された印字情報に含まれた血液型に該当する領域以外の領域を塗り潰す(ステップS311)。例えば、印字情報に血液型:O型の情報が含まれていた場合、O型以外の血液型に該当する領域を塗り潰す。つまり、A型、B型、AB型の領域については例えば黒色などにて塗り潰すことによってO型を選択的に指定する印字となる。続いて、制御部121は、印字部125を用いて領域A12の対応する欄に、血液型(Rh−など)及びバーコードを印字する(ステップS312)。当該領域A12に印字するための情報は、センタサーバ13から送信された印字情報に含まれる血液型の情報を基としている(ステップS312)。その後、センタサーバ13から送信された印字情報に含まれる採血を行った場所である採血場所の情報、血液型の情報、採血された血液提供者IDの情報を領域A13の対応する欄に印字する(ステップS313)。例えば、採血場所が東京で行われていた場合、東京と印字し、続いて採血された血液提供者がO型であった場合は、O型、この血液提供者の固有IDを「XXX999999」として領域A13に印字を行う。
【0047】
次いで、制御部121は、センタサーバ13から送信された印字情報に含まれる採血年月日の情報、凍結年月日の情報、解凍年月日の情報を領域A15に印字する(ステップS314)。また、制御部121は、印字情報に領域A16に記述すべき情報が含まれている場合には、該当する領域A16に印字する(ステップS315)。ここで記述すべき情報としては、注意書きなどが考えられる。なお、印字情報にこれらの情報が含まれていない場合には、ステップS315をスキップする。また、領域A16の印字内容は事前にラベルに印刷されている状態であってもよい。
【0048】
そして、制御部121は、領域A13に印字した印字情報(採血場所、血液型、血液提供者ID等)をバーコード化したコード情報を生成すると(ステップS316)、このコード情報を領域A14に印字する。また、領域A15に印字した印字情報(印字情報に含まれた採血年月日、凍結年月日、解凍年月日など)をバーコード化したコード情報を生成し、領域A15の対応する欄に印字した後(ステップS317)、本処理を終了する。
【0049】
図9は、本実施形態のラベル印刷発行処理により印字された血液製剤ラベル211の一例を示す図である。なお、同図では、血液製剤容器内に血液型がO型である血液が内包されている場合であって、この血液の血液型を表すために、O型を表す血液製剤ラベルが容器に貼り付けられている例を示している。領域A11に示すように、特定の血液型に対応する領域以外の領域が黒にて塗り潰されている。なお、本実施の形態では黒にて塗り潰す形態にて例示してあるが、この形態に限られることは無く、特定の血液型以外の領域に模様を付して印字を行う場合であってもよい。
【0050】
このように、本実施形態のラベル印刷処理では、図4に示したラベル21を用いて、特定の血液型に対応する領域のみを残し、この領域以外の他の領域を塗り潰す。これにより、特定の血液型を選択的に指定する印字となる。そして、領域A11において塗り潰しがされなかった領域の色は他の塗り潰し印字がされた領域よりも際立って表示されるため、操作者H1は、血液製剤容器内に封入されている血液の血液型を容易に識別することが可能となる。また、指定された血液型を周囲と異なる色として際立たせるために、上述したラベルを使用しているので、プリンタとしては、いわゆるカラープリンタを用いる必要はなく、単色で印刷できればよい。したがって、安価なプリンタを用いることができるという利点がある。
【0051】
また、本実施例のラベルは、各血液型に対応可能な共通のラベルであるため、PC端末に接続するプリンタは1台で足りることとなる。したがって、医療従事者等の操作者は、ロール紙20がなくなってロール紙20を補充する場合も、プリンタ1台に対して補充作業を行えばよいこととなり、作業負担を軽減することが可能となる。また、従来、血液型毎に保管場所を区別する等、各血液型に対応したラベル毎に管理を行う必要が生じていたが、本発明の一実施の形態である統一した1枚の血液製剤ラベルを用いることにより、各血液型に対応するラベル毎に管理を行う必要がなくなるので在庫管理が容易となる効果を奏する。
【0052】
また、本発明の一実施の形態である血液製剤ラベルは、統一した1枚のラベルであるため、従来の各血液型に対応してラベル製造を行うよりも製造にかかるコストを極小化することができる効果を奏する。
【0053】
なお、図8の例では、印字情報に含まれる血液型以外の領域を、非選択を意味する所定のパターンとして黒色で塗り潰すこととしたが、これに限らず、斜線やドット印字、取消線等のパターンを印字する形態としてもよい。
【0054】
また、印字情報に含まれる血液型に対応する領域に対して選択を意味する所定の模様(例えば丸印、領域の周囲を黒く縁取る印字など)を付した場合であってもよい。かかる場合は、当該模様が付されている領域が選択された血液型であることが示され、これにより操作者H1は容易に選択された血液型を判断することが可能となる。すなわち、上述したこれらの印字は特定の血液型を選択的に指定する印字に該当する。
【0055】
図10は、ラベルの他の形態を示す図である。同図に示すように、ラベル22は図3に示したラベル21と同様の様式を有しているが、当該ラベル21と領域A23のみが異なっている。ここで、領域A23は、採血が行われた場所を示す採血場所、血液型、固有IDに関する情報を印字する領域A23であるが、当該領域A23についても領域A11と同様に予め各血液型に対応した色にて色分けされて印字がされている。
【0056】
プリンタ12の制御部121は、ラベル22に対し、上述したラベル印刷処理を実行する際に、領域A11だけでなく、領域A23についても、印字情報に含まれている血液型に対応する領域以外の領域を塗り潰すことで、図11に示す血液製剤ラベル221を発行する。ここで、図11は、一例を示す図であって、血液型:O型を表示する場合の例を示している。なお、領域A12およびA14、A15、A16の印字については、上述したラベル印刷処理と同様であるため説明を省略する。
【0057】
このように、図10に示したラベル22を用いることで、色による血液型の識別表示を二重に表示して発行することができるため、作業者のラベル読取間違いを未然に防止することに大きく貢献することができる。なお、ラベル22の例では、領域A23の領域を塗り潰し印字をするようにしたが、これらの形態に限らず、ラベル内の他の領域A12やA14の領域を予め血液型毎に色分けして表記しておき、これらの箇所に印字情報を印刷し、かつ所定の領域については塗り潰し印字を行う形態であってもよい。
【0058】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、上述した第1の実施形態とは異なるロール紙(ラベル)を用いて血液製剤用のラベルを発行する形態について説明する。なお、上述した第1の実施形態と同様の要素については、同じ符号を付与し説明を省略する。
【0059】
図12は、本実施形態で用いるロール紙30に設けられたラベル31の一例を示す図である。ロール紙30は、赤色や青色、黄色、黒色等の複数の発熱色層を有した感熱用紙であって、印字部125の加熱温度に応じて複数の色を発色する。なお、本実施形態の感熱用紙は公知・公用のものを用いることが可能であり、例えばZINKペーパー(登録商標)等の用紙を用いることができる。
【0060】
また、ロール紙30には、印字情報を印字するための欄を有したラベル31が予めプリントされている。ここで、ラベル31は、領域A31及び上述した領域A12〜A18を有して構成されている。領域A31は、血液提供者から採血により取得された血液の血液型に対応する項目が文字列や記号として印字される欄であって、印字が行われていない初期状態では空欄となっている。なお、領域A31のみを複数の色を発色可能な感熱用紙とし、当該領域A31以外の領域を単一色(黒色)のみ発色可能な感熱用紙とする形態としてもよい。
【0061】
図13は、本実施形態に係るプリンタ41のハードウェア構成を示すブロック図である。同図に示すように、プリンタ41は、制御部411と、表示部122と、入力部123と、端末通信部124と、印字部412とを備え、各部がバス126により接続されている。
【0062】
制御部411は、CPU、ROM、RAM等で構成され、CPUとROMに記憶された所定の制御プログラムとの協働により、プリンタ41の動作を統括的に制御する。また、制御部411は、CPUとROMに記憶された所定の制御プログラムとの協働により、後述するラベル印刷処理を実行する。
【0063】
具体的に制御部411は、印字情報に含まれた血液型を表す文字列や記号を、当該血液型に対し予め割り当てられた色で領域A31に印字するよう印字部412を制御する。なお、血液型と印字色との対応関係は、ROM等の記憶媒体に記憶されているものとする。
【0064】
印字部412は、ロール紙30の各発熱色層に応じた温度で発熱するサーマルヘッドを有した熱転写プリンタエンジンである。印字部412は、制御部411から指示された印字色に応じてサーマルヘッドの熱エネルギーを制御し、ラベル31の領域A31に血液型を表す文字列や記号を印字する。
【0065】
以下、図13及び図15を参照して本実施形態に係るラベル印刷処理について説明する。なお、本処理は、第1の実施形態のラベル印刷処理(ステップS31)に対応するものである。
【0066】
制御部411は、PC端末11から印字情報を受け付けると、印字部412を制御することで、印字情報に含まれた血液型を表す情報を当該血液型に応じた色で領域A31に印字する(ステップS41)。続く、ステップS42〜S47については、上述した第1の実施形態のラベル印刷処理のステップS312〜S317と同様であるため、説明を省略する。なお、領域A12〜A16の印字については、黒色で印字するよう制御することが好ましい。
【0067】
なお、同図では、血液製剤の容器に貼り付ける血液製剤ラベルとして血液型:O型が表示された例を示している。領域A31に示すように、印字情報にふくまれている血液型が、この血液型に対して予め定められた色(例えば、青色)で印字されている。この印字は特定の血液型を選択的に指定する印字に該当する。
【0068】
このように、本実施形態のラベル印刷処理では、特定の血液型に対応する項目を当該血液型に対し予め定められた色で印字することで、特定の血液型を明示する。これにより、操作者H1は、血液製剤の容器に貼り付けられた血液製剤ラベルの領域A31に表された項目の色により当該容器内の血液の血液型を容易に識別することが可能となる。また、色で識別することができるため、視認性をよくすることができる。
【0069】
さらに、図4に示す各血液型を色分け印刷したラベル21を用いるので、従来、血液型毎に存在した血液製剤ラベルを統一することが可能となる。これにより、血液型毎に対応する血液製剤ラベルを各プリンタにセットする必要が無くなる。すなわち、統一された血液製剤ラベルを1台のプリンタにセットし、ラベル発行したい所望の血液型に対応した血液製剤ラベルを発行する。このため、従来、血液製剤ラベルが用紙切れとなった場合、医療従事者などの操作者H1は各プリンタに対してラベル用紙交換作業を行う必要が生じていたが、1台のプリンタに対するラベル用紙交換作業とすることができ、ラベル用紙交換作業に伴う作業負担を軽減することができる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲での種々の変更、置換、追加等が可能である。
【0071】
例えば、容器等のラベル貼付対象物への貼付を支援するため、上記実施形態で用いたロール紙の裏面に粘着材が塗布する形態としてもよい。また、上記実施形態では、血液製剤容器に貼り付ける血液製剤ラベルを例として説明したが、血液製剤を用途とするラベルに限らず、他の用途に用いる形態としてもよい。例えば、予め複数の色で色分け印字されたラベルであって、プリンタにより所定の項目を表現するように所定の項目以外を塗りつぶして使用する医療用ラベルや、所定の項目をプリンタにより印字することで、所定の項目を所定の色で表示させることで使用する医療用ラベルであってもよい。
【0072】
例えば、本実施の形態では、血液製剤ラベルを一例として説明したが、これに限られるものではない。例えば、人の血液が内包されている容器(例えば、試験管などの容器)に対して、容器に内包されている血液を識別するために本発明のラベルを用いることが可能である。また、特定の血液型の患者にのみ投薬することが可能な薬に対して、その投薬可能な血液型を示すために本発明のラベルを用いて使用することが可能である。
【0073】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。また、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0074】
また、上記プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 ラベル発行システム
11 PC端末
111 制御部
112 表示部
113 入力部
114 コードスキャナ部
115 サーバ通信部
116 プリンタ通信部
117 バス
12 プリンタ
121 制御部
122 表示部
123 入力部
124 端末通信部
125 印字部
126 バス
13 センタサーバ
131 血液提供者情報管理テーブル
20 ロール紙
21 ラベル
30 ロール紙
31 ラベル
41 プリンタ
411 制御部
412 印字部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2002−35085号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各血液型を表した複数の領域からなる入力領域を有し、当該入力領域において前記血液型を表した領域の夫々が互いに異なる色を用いて表されていることを特徴とするラベル。
【請求項2】
選択された血液型を印字するための入力領域を有し、当該入力領域が前記選択された血液型毎に予め定められた色に発色可能な感熱用紙で形成されていることを特徴とするラベル。
【請求項3】
少なくとも血液に関する情報を受け付ける入力装置と、前記入力装置が受け付けた血液に関する情報に基づいてラベルに印刷するプリンタと、を有するラベル発行システムにおいて、
前記プリンタは各血液型を表した互いに異なる色の複数の領域からなるラベルに特定の血液型を選択的に指定する印字を行うことを特徴とするラベル発行システム。
【請求項4】
少なくとも血液に関する情報を受け付ける入力装置と、前記入力装置が受け付けた血液に関する情報に基づいてラベルに印刷するプリンタと、を有するラベル発行システムにおいて、
前記プリンタは、選択された血液型を印字するための入力領域を有し、当該入力領域が前記選択された血液型毎に予め定められた色に発色可能な感熱用紙で形成されているラベルに特定の血液型を選択的に指定する印字を行うことを特徴とするラベル発行システム。
【請求項5】
選択された血液型を表示するラベルを発行するプリンタであって、
少なくとも血液に関する情報を受け付ける受付手段を備え、
前記受付手段が受け付けた前記血液に関する情報に基づいて、各血液型を表した互いに異なる色の複数の領域からなるラベルに特定の血液型を選択的に指定する印字を行うことを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
選択された血液型を表示するラベルを発行するプリンタであって、
少なくとも血液に関する情報を受け付ける受付手段を備え、
前記受付手段が受け付けた前記血液に関する情報に基づいて、前記選択された血液型を印字するための入力領域を有し、当該入力領域が前記選択された血液型毎に予め定められた色に発色可能な感熱用紙で形成されているラベルに特定の血液型を選択的に指定する印字を行うことを特徴とするプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−182917(P2011−182917A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50465(P2010−50465)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】