説明

ラミネート装置、及びラミネート方法

【課題】気泡の混入や皺の発生を抑制したラミネート装置を適用すること。
【解決手段】第1樹脂フィルム11を搬送する第1搬送路21と、第1搬送路21に対して傾斜すると共に第1樹脂フィルム11の搬送方向に向かって第1搬送路21に次第に近づいて配設され、第2樹脂フィルム12を搬送する第2搬送路22と、搬送された第1樹脂フィルム11の搬送方向端部と、搬送された第1樹脂フィルム11の搬送方向端部と、を重ね合わせると共に位置合せする位置合せ部材30と、重ね合わされた第1樹脂フィルム11及び第2樹脂フィルム12の搬送方向端部における一方の角部から他方の角部に向かって順次圧力を付与する圧力付与部材40と、圧力が付与された第1樹脂フィルム及び前記第2樹脂フィルムをラミネートするラミネート部材50と、をラミネート装置101に具備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート装置、及びラミネート方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶素子や有機エレクトロルミネッセンス素子等を用いた表示媒体や、太陽電池等の電気光学素子が種々開発されている。この電気光学素子は、例えば、2つの樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に機能層(例えば、電極、液晶層、光スイッチング層、有機エレクトロルミネッセンス素子層、光電気変換層等)を形成し、ラミネートすることで、作製される。このラミネートに関しては、上記電気光学素子以外にも、種々開発がなされている。
【0003】
特許文献1には、可撓性状体の面に可撓性フィルムを保持し、該可撓性フィルムを、補強板の有機物層を有する面と一定間隔をもって対面させた後、可撓面状体と可撓性フィルムを同時に補強板に押圧することにより、可撓性フィルムを補強板に移し替えることを特徴とする可撓性フィルムのラミネート方法が提案されている。
【特許文献1】特開2004−66812公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、本構成を有さない場合に比べ、気泡の混入や皺の発生を抑制したラミネート装置を適用することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
第1樹脂フィルムを搬送する第1搬送路と、
前記第1搬送路に対して傾斜すると共に前記第1樹脂フィルムの搬送方向に向かって前記第1搬送路に次第に近づいて配設され、第2樹脂フィルムを搬送する第2搬送路と、
搬送された前記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの双方の搬送方向端部とが重ね合わせられると共に位置合せされた第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムにおける当該搬送方向端部の一方の角部から他方の角部に向かって順次圧力を付与する圧力付与手段と、
前記圧力が付与された第1樹脂フィルム及び前記第2樹脂フィルムをラミネートするラミネート手段と、
を具備するラミネート装置。
【0006】
請求項2に係る発明は、
前記第1樹脂フィルム及び前記第2樹脂フィルムの少なくとも一方の対向面に、塗布形成層が配設されている請求項1に記載のラミネート装置。
【0007】
請求項3に係る発明は、
前記塗布形成層が、複数の層から構成されてなる請求項2に記載のラミネート装置。
【0008】
請求項4に係る発明は、
第1樹脂フィルムを搬送する工程と、
前記第1樹脂フィルムの搬送方向に対して傾斜させると共に前記第1樹脂フィルムの搬送方向に向かって前記第1樹脂フィルムに次第に近づいて、第2樹脂フィルムを搬送する工程と、
搬送された前記第1樹脂フィルムの搬送方向端部と、搬送された前記第2樹脂フィルムの搬送方向端部と、を重ね合わせると共に位置合せする位置合せ工程と
前記重ね合わされた第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの搬送方向端部における一方の前記角部から他方の角部に向かって順次圧力を付与する工程と、
圧力が付与された前記第1樹脂フィルム及び前記第2樹脂フィルムをラミネートする工程と、
を有するラミネート方法。
【0009】
請求項5に係る発明は、
前記第1樹脂フィルム及び前記第2樹脂フィルムの少なくとも一方の対向面に、塗布形成層が配設されている請求項4に記載のラミネート方法。
請求項6に係る発明は、
前記塗布形成層が、複数の層から構成されてなる請求項5に記載のラミネート方法。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、気泡の混入や皺の発生が抑制される。
請求項2に係る発明によれば、他の形成層に比べカールやうねりが生じやすい塗布形成層を配設している樹脂フィルムをラミネートする場合でも、気泡の混入や皺の発生が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、単層構成に比べカールやうねりが生じやすい複層構成の塗布形成層を配設している樹脂フィルムをラミネートする場合でも、気泡の混入や皺の発生が抑制される。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、気泡の混入や皺の発生が抑制される。
請求項5に係る発明によれば、他の形成層に比べカールやうねりが生じやすい塗布形成層を配設している樹脂フィルムをラミネートする場合でも、気泡の混入や皺の発生が抑制される。
請求項6に係る発明によれば、単層構成に比べカールやうねりが生じやすい複層構成の有機化合物を配設している樹脂フィルムをラミネートする場合でも、気泡の混入や皺の発生が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同一の機能・作用を持つ部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0012】
図1は、本実施形態に係るラミネート装置の主要部を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態に係るラミネート装置において、2つの樹脂フィルムの搬送方向端部を重ね合わせた様子を示す概略斜視図である。図3は、本実施形態に係るラミネート装置において、2つの樹脂フィルムの搬送方向端部を重ね合わせた様子を示す概略側面図である。
【0013】
本実施形態に係るラミネート装置101は、図1乃至図3に示すように、第1樹脂フィルム11を搬送する第1搬送路21と、第1搬送路21に対して傾斜すると共に第1樹脂フィルム11の搬送方向に向かって第1搬送路21に次第に近づいて配設され、第2樹脂フィルム12を搬送する第2搬送路22と、搬送された第1樹脂フィルム11の搬送方向端部と、搬送された第1樹脂フィルム11の搬送方向端部と、を重ね合わせると共に位置合せする位置合せ部材30と、重ね合わされた第1樹脂フィルム11及び第2樹脂フィルム12の搬送方向端部における一方の角部から他方の角部に向かって順次圧力を付与する圧力付与部材40と、圧力が付与された第1樹脂フィルム及び前記第2樹脂フィルムをラミネートするラミネート部材50と、を具備している。
【0014】
第1搬送路21は、例えば、その樹脂フィルム搬送面が水平に沿って配設されている。そして、第1搬送路21の樹脂フィルム搬送方向端部には、吸引口23が複数配設されている。この吸引口23は、図示しない吸引装置に通じており、外気を吸引することで第1樹脂フィルム11の搬送方向端部を引き付けて、当該端部幅方向全体にわたって固定させる。
【0015】
一方、第2搬送路22は、その樹脂フィルム搬送面が第1搬送路21の樹脂フィルム搬送面に対して傾斜して配設されている。具体的には、例えば、第2搬送路22は、その樹脂フィルム搬送面が第1搬送路21の樹脂フィルム面に対して樹脂フィルム搬送方向側が最も近く且つ樹脂フィルム搬送方向とは反対方向側が最も遠くなるように傾斜して配設されている。
【0016】
第2搬送路22(その樹脂フィルム搬送面)は、その樹脂フィルム搬送方向側端部が第1搬送路21の樹脂フィルム搬送面と離間して配設され、第1搬送路21の樹脂フィルム搬送面上を搬送する第1樹脂フィルム11の搬送路を確保している。そして、第2搬送路22は、第1搬送路21の樹脂フィルム搬送面上を搬送する第1樹脂フィルム11と接触しないように第1搬送路21の樹脂フィルム搬送面に対して離間して配設されている(図3参照)。特に、第1樹脂フィルム11の幅方向両端部が湾曲して第1搬送路21の樹脂フィルム搬送面とは反対方向に浮き上がる状態(所謂カールした状態)の場合には、当該第1樹脂フィルム11の幅方向両端部と接触しないように、第2搬送路22は、第1搬送路21に対して離間させると共に傾斜させて配設させる(図2及び図3参照)。
【0017】
ここで、第1搬送路21及び第2搬送路22は、具体的には例えば、各搬送路の樹脂フィルム搬送面となる板状部材21A、22Bと、樹脂フィルムの幅方向(搬送搬送方向と交差する方向)の移動を規制する2つの案内板24と、で構成し、これら部材を一体的に組み立てられた構成としている。
【0018】
位置合せ部材30は、例えば、第1搬送路21の樹脂フィルム搬送路面の幅と同等又はそれ以上の長さを持つ板状部材で構成されている。位置合せ部材30は、第1搬送路の樹脂フィルム搬送方向端面との対向面に段差部31が配設されている。位置合せ部材30は、段差部31を境に、厚肉部32とそれよりも薄い薄肉部33とで構成された断面L字状となっている。位置合せ部材30は、その段差部31と第1搬送路21の樹脂フィルム搬送方向端部とが特定の間隙を持つと共に、薄肉部33の表面が第1搬送路の樹脂フィルム搬送方向端面が接触して配設される。これにより、位置合せ部材30の段差部31及び薄肉部33と第1搬送路とで囲まれる空間(凹部)が存在することとなる。
【0019】
圧力付与部材40は、例えば、ロール部材(例えば、樹脂ロール部材、ゴムロール部材、金属ロール部材等)、ブレード部材(例えば、樹脂ブレード、ゴムブレード、金属ブレード部材等)等から構成される。本実施形態では、ロール部材を採用した形態を示している。
【0020】
ラミネート部材50は、例えば、一対のロール部材で構成され、ロール間に第1樹脂フィルム11と第2樹脂フィルム12とを重ね合わせた状態又は重ね合わせつつ圧力を付与する部材である。ラミネート部材50には、図示しないが、ロール外部又はロール内部に加熱源を備えてもよく、当該加熱源により圧力付与時に樹脂フィルムに熱を付与してもよい。無論、ラミネート部材50は、これら構成に限られず、周知のラミネーターが採用してもよい。
【0021】
次に、本実施形態に係るラミネート装置101を適用したラミネート方法について説明する。図4及び図5は、本実施形態に係るラミネート方法を示す工程図である。なお、図4は、平面図での工程図である。また、図5は、断面図での工程図である。
【0022】
本実施形態に係るラミネート方法は、まず、図4(A)及び図5(A)に示すように、第1樹脂フィルム11を第1搬送路21に沿って搬送する。この搬送により、位置合せ部材30の段差部31及び薄肉部33と第1搬送路21とで囲まれる空間(凹部)に、第1樹脂フィルム11の搬送方向端部を入り込ませると共に、当該空間(凹部)を構成する位置合せ部材30の薄肉部33の表面に突き当てる。そして、第1搬送路21の樹脂フィルム搬送方向端部に設けられた吸引口23により、外気を吸引し、第1樹脂フィルム11の搬送方向端部を引き付けて、当該端部幅方向全体にわたって固定させる。
【0023】
そして、第2樹脂フィルム12を第2搬送路22に沿って搬送する。この搬送により、位置合せ部材30の段差部31及び薄肉部33と第1搬送路21(第1樹脂フィルム11が存在した状態の第1搬送路)とで囲まれる空間(凹部)に、第1樹脂フィルム11の搬送方向端部を入り込ませると共に、当該空間(凹部)を構成する位置合せ部材30の薄肉部33の表面に突き当てる。そして、第2樹脂フィルム12の搬送方向端部のみが、第1樹脂フィルムの搬送方向端部と重ね合わされると共に、位置合せがなされる。また、位置合せがなされた後、例えば、位置合せ部材30(その段差部31)により、第1樹脂フィルム11の搬送方向端部と第2樹脂フィルム12の搬送方向端部とが重ね合わされた領域の幅方向全体に圧力を付与してもよい。なお、第1樹脂フィルム11の搬送方向端部と第2樹脂フィルム12の搬送方向端部とを重ねる幅(樹脂フィルム搬送方向長さ)は、例えば、180mm以上400mm以下とすることがよい。
【0024】
ここで、第1樹脂フィルム11の搬送方向端部と第2樹脂フィルム12の搬送方向端部との搬送方向の位置合わせは、位置合わせ部材に当該樹脂フィルムの搬送方向端部を突き当てることでなされると共に、幅方向(樹脂フィルム搬送方向に対して交差する方向)の位置合わせは、第1搬送路21及び第2搬送路22を構成する案内板24によりなされる。
【0025】
一方で、例えば、第1樹脂フィルム11の搬送方向端部と第2樹脂フィルム12の搬送方向端部とに、図6に示すように、位置合わせマーク13(アライメントマーク:例えば、フィルムに設けた開口(穴)等)を設け、これを基準として位置合わせを行ってもよい。ここで、図6は、本実施形態に係るラミネート方法において、樹脂フィルムに位置合わせマークを配設している様子を示す平面図である。
【0026】
なお、第1樹脂フィルム11及び第2樹脂フィルム12の搬送は、手動で行ってもよいし、第1搬送路21及び第2搬送路22に駆動ロール、又は駆動ベルト等を配設し、これにより行ってもよい。また、これら樹脂フィルムは、シート状の樹脂フィルムを搬送して塗布させてもよいし、ロール状の樹脂フィルムを引き出しつつ搬送して塗布させてもよい。
【0027】
次に、図4(B)及び図5(B)に示すように、圧力付与部材40により、重ね合わされた第1樹脂フィルム11の搬送方向端部及び第2樹脂フィルムの搬送方向端部における一方の角部から他方の角部に向かって順次圧力を付与する。具体的には、例えば、圧力付与部材40を、重ね合わされた2つの樹脂フィルムの搬送方向端部における当該搬送方向と交差方向(直交方向)一端部に相当する一方の角部に押し当てて圧力を付与する。次に、樹脂フィルム側に圧力を付与した状態で樹脂フィルム搬送方向と交差方向(直交方向)に沿って当該樹脂フィルム表面(第2樹脂フィルム12表面)を擦りつつ、当該一方の角部に押し当てた圧力付与部材40を移動させる。そして、圧力付与部材40を、重ね合わされた2つの樹脂フィルムの搬送方向端部における当該搬送方向と交差方向(直交方向)他端部に相当する他方の角部に位置させる。
ここで、圧力付与部材40により付与する圧力は、例えば0.05Mpa以上0.1Mpa以下とすることがよい。
また、圧力付与部材40の移動速度は、例えば0.2m/Sec以上1m/Sec以下とすることがよい。
また、第1樹脂フィルム11の搬送方向端部と第2樹脂フィルム12の搬送方向端部とにおいて、圧力付与部材40により圧力付与する幅(樹脂フィルム搬送方向長さ)は、例えば、180mm以上400mm以下とすることがよい。
【0028】
ここで、圧力付与部材40の移動は、樹脂フィルム表面を擦りつつ行ってよいが、例えば、圧力付与部材40がロール状部材の場合、回転させて行ってもよい。
【0029】
次に、図4(C)及び図5(C)に示すように、圧力付与部材40により圧力を付与された第1樹脂フィルム11の搬送方向端部及び第2樹脂フィルムの搬送方向端部を、不図示のロール部材等によりラミネート部材(一対のロール間)へ突入させ、2つの樹脂フィルムをラミネートする。無論、手動で当該2つの樹脂フィルムの搬送方向端部をラミネート部材50へ突入させてもよい。なお、第1搬送路21の樹脂フィルム搬送面と第2搬送路22の樹脂フィルム搬送面とが離間して配設されていることから、圧力付与がなされる搬送方向端部以外の第1樹脂フィルム11と第2樹脂フィルム12とは、互いに離間した状態でラミネート部材50に突入し、ラミネートがなされる。
【0030】
このようにして、第1樹脂フィルム11と第2樹脂フィルム12とのラミネートがなされる。
【0031】
ここで、2つの樹脂フィルム同士をラミネートする際は、2つの樹脂フィルム同士を位置合わせしつつ全体を重ね合わせた後、ラミネート部材50により、フィルム搬送方向に沿って順次圧力を付与していく。この2つの樹脂フィルムを重ね合せる際、互いの樹脂フィルムが接触していない領域が存在することがある。特に、樹脂フィルムにカールやうねりを生じていると、例えば、位置合わせにより樹脂フィルム同士の幅方向両端部は位置が合うと共に接触するものの、樹脂フィルム幅方向中央部)が浮いたままで非接触になることが多い。樹脂フィルム幅が広ければ広い程、同様に位置合わせにより樹脂フィルム同士の幅方向両端部は位置が合うと共に接触するものの、樹脂フィルム幅方向中央部)が浮いたままで非接触になることが多い。この状態で、重ね合わせた2つの樹脂フィルムをラミネートすると、互いの樹脂フィルム間で先に接触してる領域や接触してない領域において先に接触した領域により閉じられた空間が生じ、樹脂フィルム間に気泡や皺が生じてしまう。そして、この発生した気泡は例えばラミネート部材50により筋状に形成されてしまう。また、一端発生した気泡は樹脂フィルム間に残ってしまうか、樹脂フィルム間を樹脂フィルム搬送方向反対側へと移動しつづける。ロール状の樹脂フィルムを引き出しつつ搬送してラミネートする場合には、樹脂フィルムを切断しない限り、気泡は移動し続けることになる。このため、気泡の発生と共に、皺も生じてしまう。
【0032】
そこで、本実施形態に係るラミネート装置(ラミネート方法)では、ラミネート前において、圧力付与部材40により重ね合わされた第1樹脂フィルム11の搬送方向端部及び第2樹脂フィルムの搬送方向端部における一方の角部から他方の角部に向かって順次圧力を付与する。これにより、第1樹脂フィルム11の搬送方向端部及び第2樹脂フィルムの搬送方向端部におけるにおいて2つの樹脂フィルム間の非接触領域を接触させると共に、当該2つの樹脂フィルム間に介在した気体(空気)を2つの樹脂フィルムの外部へ押し出させる。つまり、当該樹脂フィルムの搬送方向端部において、気泡の原因となる樹脂フィルム間の非接触領域の存在を抑制する。この状態で、第1樹脂フィルム11の搬送方向端部及び第2樹脂フィルムの搬送方向端部を、ラミネート部材50に突入させラミネートを行う。ラミネートを開始する樹脂フィルムの搬送方向端部において樹脂フィルム間の非接触領域が抑制されていることから、気泡が発生せず、この状態で順次ラミネートが行われることになる。
【0033】
したがって、本実施形態に係るラミネート装置(ラミネート方法)では、気泡の混入や皺の発生が抑制される。
【0034】
また、本実施形態に係るラミネート装置(ラミネート方法)では、第1樹脂フィルム11及び第2樹脂フィルム12の少なくとも一方に機能層が形成されていてもよい。特に、機能層として塗布形成層(例えば、塗布により形成される有機化合物層等)が形成されている場合、当該塗布形成層は、例えば乾燥や硬化するために加熱を施すことから、この加熱による熱履歴により樹脂フィルムにカールやうねりが生じやすい。これは、塗布形成層を複数層形成する場合に顕著である。このようなカールやうねりが生じやすい塗布形成層が形成された樹脂フィルムをラミネートする際にも、上記操作を経ることで、当該樹脂フィルムの搬送方向端部において、気泡の原因となる樹脂フィルム間の非接触領域の存在が抑制されることから、気泡の混入や皺の発生が抑制される。
【0035】
本実施形態に係るラミネート装置(ラミネート方法)は、例えば、光学電気素子、キャリアテープとカバーフィルムの貼り合わせ等の分野に適用される。光学電気素子としては、例えば、表示媒体(液晶素子、有機電界発光素子、光変調素子、液晶調光素子等)、太陽電池、光起電力素子等が挙げられる。
【0036】
ここで、樹脂フィルムに形成される機能層としては、例えば、液晶層、有機エレクトロルミネッセンス素子層、光電気変換層、光スイッチング層(電荷発生層及び電荷輸送層等の積層体から構成される光導電層:なお、各層が機能層に該当する)、電極層(例えばITO層)等が挙げられる。これらの機能層を形成するための機能層塗布液は、各機能層の種類に応じた周知のものが適用され、非硬化性の材料を用いてもよいし、硬化性の材料を用いてもよい。つまり、機能層塗布液は、その塗膜の乾燥のみで機能層が形成されるもの、及びその塗膜を硬化させることで機能層が形成されるもののいずれでもよい。
【0037】
特に、液晶表示媒体は、例えば、電極層(例えばITO層)及び光電気変換層(例えば第1電荷発生層、電荷輸送層、及び第2電荷発生層)がこの順で積層された第1樹脂フィルムと、電極層(例えばITO層)及び液晶層がこの順で積層された第2樹脂フィルムと、をラミネートして作製されるものがある。そして、光電気変換層、及び液晶層は、塗布形成される層であり、特に光電気変換層は、複数の塗布形成層により構成されることが多い。このため、ラミネート前の樹脂フィルムは、カールやうねりが生じ易く、この液晶表示媒体の作製に上記本実施形態に係るラミネート装置(ラミネート方法)は有効に適用される。無論、その他素子(例えば、有機電界発光素子や太陽電池等)も、機能層として塗布形成層を有する場合、その作製に上記本実施形態に係るラミネート装置(ラミネート方法)は有効に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態に係るラミネート装置の主要部を示す概略斜視図である。
【図2】本実施形態に係るラミネート装置において、2つの樹脂フィルムの搬送方向端部を重ね合わせた様子を示す概略斜視図である。
【図3】本実施形態に係るラミネート装置において、2つの樹脂フィルムの搬送方向端部を重ね合わせた様子を示す概略平面図である。
【図4】本実施形態に係るラミネート方法を示す工程図である。
【図5】本実施形態に係るラミネート方法を示す工程図である。
【図6】本実施形態に係るラミネート方法において、樹脂フィルムに位置合わせマークを配設している様子を示す平面図である。
【符号の説明】
【0039】
11 第1樹脂フィルム
12 第2樹脂フィルム
13 位置合わせマーク
20 平成
21 第1搬送路
21A 板状部材
22 第2搬送路
22A 板状部材
23 吸引口
24 案内板
30 位置合わせ部材
31 段差部
32 厚肉部
33 薄肉部
40 圧力付与部材
50 ラミネート部材
101 ラミネート装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂フィルムを搬送する第1搬送路と、
前記第1搬送路に対して傾斜すると共に前記第1樹脂フィルムの搬送方向に向かって前記第1搬送路に次第に近づいて配設され、第2樹脂フィルムを搬送する第2搬送路と、
搬送された前記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの双方の搬送方向端部とが重ね合わせられると共に位置合わせされた第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムにおける当該搬送方向端部の一方の角部から他方の角部に向かって順次圧力を付与する圧力付与手段と、
前記圧力が付与された第1樹脂フィルム及び前記第2樹脂フィルムをラミネートするラミネート手段と、
を具備するラミネート装置。
【請求項2】
前記第1樹脂フィルム及び前記第2樹脂フィルムの少なくとも一方の対向面に、塗布形成層が配設されている請求項1に記載のラミネート装置。
【請求項3】
前記塗布形成層が、複数の層から構成されてなる請求項2に記載のラミネート装置。
【請求項4】
第1樹脂フィルムを搬送する工程と、
前記第1樹脂フィルムの搬送方向に対して傾斜させると共に前記第1樹脂フィルムの搬送方向に向かって前記第1樹脂フィルムに次第に近づけて、第2樹脂フィルムを搬送する工程と、
搬送された前記第1樹脂フィルムの搬送方向端部と、搬送された前記第2樹脂フィルムの搬送方向端部と、を重ね合わせると共に位置合せする位置合せ工程と
前記重ね合わされた第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの搬送方向端部における一方の前記角部から他方の角部に向かって順次圧力を付与する工程と、
圧力が付与された前記第1樹脂フィルム及び前記第2樹脂フィルムをラミネートする工程と、
を有するラミネート方法。
【請求項5】
前記第1樹脂フィルム及び前記第2樹脂フィルムの少なくとも一方の対向面に、塗布形成層が配設されている請求項4に記載のラミネート方法。
【請求項6】
前記塗布形成層が、複数の層から構成されてなる請求項5に記載のラミネート方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−155358(P2010−155358A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334114(P2008−334114)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】