説明

ラメラ構造を有する個人の保護用具

【課題】本発明は、化学薬品に対してバリアを形成する材料及び相溶化剤を分散させた、ポリオレフィンマトリックスの連続した相から壁が作製された個人の保護物品に関する。本発明はまた、構成物をブレンドすることを含むこのような材料を調製し、それを押出してフィルムを形成し、そして、それを望ましい厚みに延伸する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学薬品に不透過性であり及び三次元に転換可能な、薄く隣接したラメラ材料から作製されたフィルムからなる物品に関する。それはまた、化学薬品からの保護を目的とする新規の個人の保護物品、及び、これらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
危険な化学薬品を取り扱うユーザーを保護するために、少なくとも1層の前記化学薬品が透過しない材料、すなわちバリア材料を含む多層材料を使用することが、通常行われている。材料のバリア効果の有効性は、その耐透過性により決定され、これは、与えられた化学薬品が該材料を通過する時間の尺度である。個人保護物品を製造するために使用する材料はまた、例えば実験室または工場における標準的な使用において、十分な強度及び十分な耐破壊性をも有さなければならない。
【0003】
特に、共押出フィルムにおいて、化学薬品不透過性の材料として、エチレン/ビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリビニルアセテートまたはポリビニルアルコールを使用することが提案されている。読者は例えば、以下の文献:US-5 491 022;US-5 059 477;US-4 855 178;及びUS-5 162 148を参照し得る。保護衣服または手袋においてバリア層として使用され得るために、高融点のこれらの材料は、両方のそれらの表面で、(ポリエチレンまたはポリプロピレンフィルムのような)ポリオレフィンフィルムで被覆される。これは、ポリオレフィンが容易に熱−溶接され得るためであり、ゆえに、ポリオレフィン/バリア材料/ポリオレフィン多層の幾つかの部分が、密封様式において組み立てられることを可能にする。さらに、ポリオレフィンは一般的に耐透過性が高くないにもかかわらず、ポリオレフィンフィルムの存在は、バリア材料を、外部の環境が原因の任意の劣化から(これが機械学的な要因(粗く(abrasive)またはざらざらした(rough)材料との接触)であろうと、化学的な要因(攻撃性のある化学薬品が原因の劣化)であろうと)保護できるようにする。該ポリオレフィンフィルムは、全てのその形態において良好な耐水性を提供する。
【0004】
しかし、上述した化学的な耐性を有する保護多層材料は、二次元形態でしか製造できないという欠点を有する。これは、このような多層材料が簡単に熱成形され得ない、すなわち、熱作用下で変形及び湾曲するためであり、このような処理は結果として、変形されている多層領域において、バリア効果を示す多層材料がもはや連続的なネットワークを形成せず、従って、これらの領域におけるその耐透過性を欠如した領域の形成を生じるためである。
【0005】
二次元形態にみられる化学耐性材料を有することは特に不都合であり、特に手袋の場合−前記材料の平らな形状は、それらを人間工学的に不十分なものとし、そして、着用者の手の自然な形状に適合できない。これらが人間工学的に不十分であることは、これらの手袋を着用することを特に不愉快にし、また、着用者は、その者の動きの器用さを失う。これは、このような二次元の手袋が手の動きを妨害し、そして、指を覆う部分で張力的にストレス領域を生じるためであり、その結果、ユーザーは細かい動き及び正確な手作業を行うことができない。
【0006】
さらに、隣接したラメラ構造を有する物品が、パッケージング分野において、知られており、これはポリオレフィン及びこのポリオレフィンと非相溶性のポリマーとの不均質ブレンドからなり、これは相溶化材料を使用してポリオレフィンに分散される。バリア特性はこの2つのポリマーのブレンドの特定の構造配列に起因し、及び、必須の特徴は層の隣接にあり、これは従来の多層のバリア特性に匹敵する、または、より良い、良好なバリア特性を得るための必須の特徴である。ポリオレフィンに分散させるポリマーは、エチレン/ビニルアルコールコポリマー(EVOH)のような化学的なバリア材料であり得る。読者はこのような物品を記載する以下の文献:US-4 410 482;US-4 971 864及びJ.B. Faisant et al. (Polymer, 1998, 39(3), 533-545) を参照し得る。
【0007】
このような不均質の材料から従来製造されている物品は、硬式の、または、半硬式の物品−該材料を延伸することにより製造されたシート−またはパッケージング物品、ボトル及び容器であった。
【0008】
US-4 410 482において得られた物品の場合、隣接したラメラ構造を有する三次元物品は押出ブロー成形により製造されているが、ここで、これらの最小厚は、望ましい適用に対して非常に厚い。US-4 410 482において得られたフィルムの場合、押し出されたフィルムを圧縮することは、隣接したラメラ構造を得ることを可能にしない。
【0009】
J.B. Faisant et al. (Polymer, 1998, 39(3), 533-545) により記載された物品の場合、それらはEVOHのポリプロピレンへの分散により製造されている。該著者は200μmに薄くすることが可能な厚みを有するシートを記載しているにもかかわらず、使用された材料は、該シートに、それらを個人の保護物品に使用可能にするに十分なフレキシビリティーを与えていない。
【0010】
特許US-4 971 864及びデュポン(DuPont) からのSELAR(登録商標)RB冊子には、EVOHのポリオレフィン(これはポリエチレンであり得る)への分散から製造された物品が記載されている。これらの物品は、不均質の材料を延伸することにより製造されたシートまたは押出ブロー成形により得られた三次元の物品であり得る。しかし、上記文献に記載された物品は、まだ500μmより厚い厚みを有し、これは、例えば手袋のような個人の保護物品のためには非常に厚すぎる。
【0011】
US-4 971 864に記載されるように、EVOH/ポリオレフィン分散物のシートの従来の形成プロセスを適用する当業者は、200μm未満の厚みを有する三次元の熱成形物品を得るために、このシートの化学的なバリア特性、そして特に溶媒バリア特性が低下することを知っており、これが、それを個人の保護材料として使用することを不適切にする。これは、隣接したラメラ構造が熱力学的に不安定な構造であるために、それを加熱することは結果として、隣接したラメラ構造の、隣接していないラメラ構造への、またはノジュール構造への不可逆的な変化すら生じるためである。
【0012】
文献EP-0 189 270は、防湿性のような望ましい特性を有する材料を製造するために選択された連続したポリオレフィン相及び不連続な相からなるブレンドから製造された物品を記載している。
【0013】
相溶化剤が使用され得る。不連続相は、ポリアミドまたはコポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、あるいはエチレン/ポリビニルアルコールコポリマーからなり得る。
【0014】
該プロセスは、連続相における不連続相の分布を改良するために、ブレンドを回転式チューブ状押出機に通過させることからなる。得られた材料は、隣接したラメラ構造を有する。押出後、押し出されたチューブ内へのブローイング、ガス圧の適用が続く。押し出されたフィルム状チューブはまた、それを望ましい形状にするために、鋳型内でブロー成形され得る。
【0015】
しかし、鋳型内での押し出されたフィルムのブロー成形は、フィルムクラッキング及び/またはラメラ構造の隣接性を失う恐れがあるために、薄い物品を得るために使用することはできない。ゆえに、その文献に記載されたプロセスは、溶媒バリアという特性を有する三次元構造を有する物品を得ることを可能にしない。
【0016】
文献US-5 338 502には、ポリオレフィン及び可能な相溶化剤が混ぜられたEVOHを成形することにより得た物品が記載されている。
【0017】
2つの原料は融解ブレンドされる。ブレンドは、例えばフィルムを形成するために、押出によって、望ましい形状に成形される。これらの物品はガス不透過性であり、そして、熱成形により転換され得る。この文献に記載された物品はラメラ構造を有さず、また硬く、そして、それらの溶媒不透過性は不十分である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
この先行技術を読む時、当業者は、十分なフレキシビリティー及び十分な人間工学的なデザインを有するにもかかわらず、優れた化学薬品バリア特性を有し、それらを個人の保護物品として使用することを可能にする、隣接したラメラ構造を有し、化学薬品、特に溶媒に不透過性であり、繊細で三次元に転換可能であるフィルムを製造することが可能であることを、予測し得ない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
ゆえに、本発明の目的は:
(a)ポリオレフィンまたはポリオレフィンのブレンド;
(b)化学薬品に対するバリアを形成する少なくとも一つの材料、この材料はポリオレフィン(a)の融点より少なくとも5℃高い融点を有する;及び
(c)バリア材料(b)をポリオレフィン(a)に分散させることを可能にする少なくとも一つの相溶化剤、
を含む不均質の材料由来の隣接したラメラ構造を有する保護物品を製造する方法であり、
該方法は、以下の工程:
(i)成分(a)、(b)及び(c)のブレンド;
(ii)フィルムチューブを形成するための、(i)で得たブレンドの押出;
(iii)(ii)で、有利にはストレッチブロー成形により得たフィルムチューブの延伸;及び
(v)(iii)で得たフィルムの適切な温度での熱成形、
を含み、
工程(iii)及び工程(v)は、物品の全ての部分の厚みが60と190μmの間、好ましくは80と160μmの間、そしてさらに好ましくは100〜140μmであるように制御される。
【0020】
本発明に従うと、工程(i)において、成分(a)、(b)及び(c)のブレンドは、これらの3つの成分があらかじめメルトブレンドすることなく行われる。
【0021】
成分(a)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンまたはそれらのコポリマーであり得る。
【0022】
好ましくは、本発明に従うと、成分(a)はポリエチレンである。それは高密度、中密度または低密度のポリエチレンであり得る。有利には、低密度のポリエチレンが選択される。
【0023】
成分(b)は:ポリアミド;ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル;ポリカーボネート;エチレン/ビニルアルコールコポリマー;ポリビニルアセテート及びポリビニルアルコールから選択され得る。
【0024】
有利には、本発明に従うと、成分(b)はエチレン/ビニルアルコールコポリマーである。好ましくは、このコポリマーは、コポリマー(b)の全重量に対して20〜60重量%のエチレンユニットを含有する。本発明に従うと、該コポリマー(b)は、ポリオレフィン(a)のそれより少なくとも5℃高い、さらに好ましくはポリオレフィン(a)のそれより10℃高い融点を有する。
【0025】
好ましくは、本発明に従うと、相溶化剤(c)は、カルボキシリックユニット(すなわちカルボン酸、エステル、無水物及びカルボン酸塩から選ばれる基)がグラフトされたポリオレフィンである。
【0026】
有利には、本発明に従うと、相溶化剤(c)は、環状無水物フラグメントがグラフトされたポリオレフィンユニットを含有するポリマーであり、前記ポリオレフィンユニットはポリオレフィン(a)と相溶性があり、該環状無水物フラグメントは、相溶化剤(c)の全重量に対するカルボニル官能基の重量パーセントが0.1と4%の間であるような量である。
【0027】
好ましくは、成分(a)、(b)及び(c)のブレンドにおいて、これらは以下のような量で導入される:ポリオレフィン(a)は、該ブレンド重量の60〜95重量%、好ましくは70〜90重量%を表し;成分(b)は、該ブレンドの全重量の2〜40重量%、好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは4〜12重量%を表し;及び、成分(c)は、成分(c)のカルボニル官能基の重量が成分(b)の0.14〜0.6重量%を表すような量で導入される。
【0028】
材料(a)、(b)及び(c)に関して、読者は、これらを詳細に記載する文献US-4 971 864及びUS-4 410 482を参照し得る。
【0029】
本発明に従う方法により得られるフィルムは、バリア材料(b)の微細なラメラが分散したポリオレフィン連続相を有し、これらの層は、互いに実質的に平行であり、オーバーラップしている。
【0030】
本発明に従う方法は、以下の工程を含む:
(i)ブレンドから得た任意の2つの検体が、常に成分(a)、(b)及び(c)の実質的に同じ比率を有するように、当業者に知られた任意の方法により成分(a)、(b)及び(c)のブレンド工程。有利には、成分(a)、(b)及び(c)は固形粒子の形態でブレンドされ、これは、押出スクリューに運ばれる。好ましくは、0.5〜10mm、好ましくは1〜7mm、さらに好ましくは2〜4mmの範囲の大きさを有する固形粒子のブレンドが使用される。相溶化剤(c)は、その分散を容易にするために粉末の形態で混合され得る;
(ii)3つの成分の均一ブレンドを作製した後、前記ブレンドを、成分(b)の融点より高い温度に加熱された押出機へと運ぶ工程。
【0031】
有利には、該成分のブレンドを最小にする押出機が用いられる。
【0032】
もし材料(b)がEVOHであるなら、ブレンドの押出温度は有利には195と240℃の間で選択される。
【0033】
そして、該ブレンドは、ダイを通して押し出され、これは好ましくはラジアル−チャンネルヘリカルタイプまたはフラットタイプである。
【0034】
該ダイにおける温度は、好ましくは、成分(b)の融点より数度高い温度に調整される。
【0035】
該押出スクリューの回転速度は、40と100rpmの間、好ましくは60と100rpmの間であり得る。
【0036】
ダイから得られたものは、0.5mm〜3mm、好ましくは0.5mm〜2mmの範囲の厚みを有するフィルムである。
【0037】
押出機を離れるとき、該フィルムは延伸ブロー成形によりブローおよび延伸される。
【0038】
ブローは溶融状態でフィルムチューブ上で行われる。1〜5、好ましくは1.5〜3の範囲のブロー比及び1〜5、好ましくは2〜4の範囲の延伸比が適用される。
【0039】
チューブを構成する該フィルムは、それを空気または水に暴露することによって、またはロールを使用することによって、好ましくは空気中で冷却される。この冷却は、該フィルムが、フィルムの構造における破裂によってそのバリア特性を損なうことを防止するために、制御様式で行われる。冷却条件は、成分(a)、(b)及び(c)、ブレンド中のそれらの比率、ならびに、フィルムの厚みに従い調整される。
【0040】
当業者は、実施例に記載した試験を行うことにより冷却速度を調整する:所与のブレンド及び所与のフィルム厚について、当業者は、このパラメーターをフィルムの特性に応じて最適に調整するために、様々な冷却速度でいくつかのフィルムを製造し、そして、冷却フィルムの溶媒浸透性を測定する。そして得られるものはフィルムチューブである。
【0041】
この方法により得られたフィルムは、薄く耐化学薬品性であり、そして、また三次元に転換可能である。このようなフィルムは、保護材料として、例えば保護衣服またはカバーの形態で使用され得る。
【0042】
該フィルムにこのストレッチ工程を施した後、それは熱成形され得る。
【0043】
本発明に従うと、フィルムの延伸及び熱成形は、60と160μmの間、有利には80〜160μm、さらに有利には100〜146μmの厚みを有する壁を有する物品を得るために適切な条件下で行われる。
【0044】
当業者は、最終的な物品の厚みを調整するために、既知のフィルムの延伸方法をどのように改変するか、簡単な試験によってわかる。これらの改変は、ダイギャップ厚、ブロー比及び延伸比からなる。
【0045】
フォーミングとしてまた知られている熱成形は、該フィルムの平坦な最初の構造に対して起伏を作製する領域を作り出すことからなる。例えば、熱成形は、さらに人間工学的なデザインにするために、ならびに、指の動き及び握る動きをより容易にするために、手袋のような個人の保護物品における快適な部分を作り出すために使用され得る。
【0046】
フォーミングは、製造するに望ましい物品に応じて、適切な形状の鋳型を使用することにより行われる。この鋳型は、フィルムのフォーミングが生じることを可能にするのに十分であるが、隣接したラメラ構造の崩壊を防ぐために高過ぎない温度に加熱される。
【0047】
熱成形は、フィルムを特定の温度に予備加熱することと、鋳型内で予備加熱されたフィルムをフォーミングすることの組み合わせである。
【0048】
予備加熱は、フィルムのバリア特性の減少(これは、バリア層のガラス転移温度とマトリックスの融点の間の温度範囲外で予備加熱した場合に観察される)を回避するために、バリア層のガラス転移温度とマトリックスの融点との間で行わなければならない。
【0049】
例えば、低密度ポリエチレン中に分散されたEVOHポリマーの場合、予備加熱温度は80と120℃の間、さらに有利には90と110℃の間で選択され、及び、有利には50と80℃の間の温度に加熱された鋳型が使用される。
【0050】
驚くべきことに、もし予熱温度がバリア層のガラス転移温度より高く、また、ポリオレフィンの融点より高い場合には、引き続く不透過特性の損失を伴いながら、バリア相の構成要素であるラメラが、自然に収縮し、そして隣接したラメラ構造の自己崩壊が観察される。ゆえに、これらの2つの臨界温度(分散相のガラス転移温度とポリオレフィンの融点)の間、そして、EVOH/低密度ポリエチレンブレンドの場合には、好ましくはポリオレフィンの融点より5〜15℃低い温度で、フィルムを予備加熱することが必要である。
【0051】
本発明の他のバリアントに従うと、さらに該方法は、工程(iii)と工程(v)の間に、複合化工程(iv)を含む。これは、該フィルムの一表面にポリマー(a)と相溶性のあるポリマーに基づく不織布を加えることからなる。(a)が低密度ポリエチレンの場合、ポリエチレンベースの不織布が好ましく選択される。
【0052】
不織布の構造を損なうことなく熱結合することにより、隣接したラメラ構造を有するフィルムと不織布との間で複合体を形成するために、不織布は有利には、ポリオレフィンの融点に近い、及び、ポリオレフィンの融点より僅かに高い融点を有するように選択される。ポリオレフィンのそれより僅かに低い融点を有する接着剤の使用もまた可能である。
【0053】
例えば、PE/EVOHラメラ構造のフィルムと複合化する場合、高密度のPE、及び、97℃の融点を有するサーリンタイプのポリオレフィン接着剤に基づく不織布を使用することが好ましい。
【0054】
複合化は工程(iii)の後に行われ得る。
【0055】
最終的に、個人の保護物品を製造するために、本発明の方法は、さらに、溶接工程(vi)を含み得、これは、(可能であれば不織布と複合化された)ラメラ材料の2つのフィルムを、熱パルスまたはレーザー溶接による既知の方法で共に溶接する。
【0056】
溶接及び/またはフォーミング工程は、フィルムから始めて、三次元構造のフレキシブルかつ人間工学的な生産物を得ることを可能にする。さらに、これらの生産物は、一般的に化学薬品及び特に溶媒に関してバリア特性を有する。
【0057】
本発明の他の課題は個人の保護物品からなり、これらの壁は:
(a)分散された連続的なポリオレフィン相;
(b)化学薬品に対してバリアを形成する少なくとも一つの材料(この材料はポリオレフィン(a)の融点より少なくとも5℃高い融点を有する);及び
(c)該バリア材料(b)が、ポリオレフィン(a)に分散されることを可能にする少なくとも一つの相溶化剤(この物品の少なくとも一部分が熱成形され、この材料は60μm〜190μm、好ましくは80と160μmの間、さらに好ましくは100〜140μmの範囲の厚みを有する)、
からなる材料から作製される。
【0058】
本発明に従う物品は、様々な形状やフォーマットであり得る−これらは、例えば、手袋、オーバーシューズ、オーバーオール、フード、シュラウドまたはカバーであり得る。
【0059】
本発明の材料の隣接したラメラの特徴は、顕微鏡法により観察され得る。それはまた、ヘリウム透過性を測定することによっても評価され得る。
【0060】
高いバリア特性を有するフィルム及び3D生産物のラメラ構造を示すことは、困難であり、及び、長期のプロセスである。該フィルムのヘリウム透過性の新しい測定法が開発されており、良好な相関関係が、試験したフィルムの構造と測定値との間に観察される。ヘリウムは、液体、溶媒、酸及び塩基のそれと比較してポリマーに高い速度で溶解することを特徴とするガスである。この技術は、隣接したラメラ構造、隣接していないシンプルなラメラ構造及びノジュール構造を迅速に識別することを可能にする。
【0061】
本発明において使用する評価方法に従って、本発明の方法により調製した材料及びポリオレフィン(a)からなる同じ厚みのフィルムのヘリウム透過性を測定する。ポリオレフィン(a)の透過性に対する本発明の材料の透過性の比を「ヘリウムバリア向上係数」と呼ぶ。
【0062】
本発明の方法に従うと、少なくとも3、好ましくは少なくとも4、さらに好ましくは少なくとも5の向上係数を有する材料が得られるということが分かる。
【0063】
このヘリウム透過性試験は、非常に高い信頼性を有しており、本発明の材料の溶媒バリア品質を予測するために使用される。
【0064】
本発明は以下の実施例からより良く理解され、これはそれを説明することを意図する。
【実施例】
【0065】
NF EN 374−3標準法に従い、耐化学薬品透過性試験を行った。
実施例1:個人の保護手袋の製造
I.フィルムの製造
1)隣接及連続したラメラ構造
フィルムは、決められたポリマーブレンドから及び以下に記載の条件下で製造し、これは、隣接及び連続した「ラメラ」構造として呼ばれる構造を得ることを可能にした。この連続または隣接は、望ましいバリア特性を得る上で必須である。該ラメラ構造は、EVOHが互いにオーバーラップした多数のほぼ平行な薄層の形態で存在する、PEマトリックスからなる構造である。
【0066】
2)ブレンド及び構成ポリマー
該ブレンドは:
−低密度PE(アトフィナにより販売されているリファレンス1008FE24);
−EVOH(ミツイにより販売されているリファレンスL101);及び、
−相溶化剤(デュポンドゥヌムールにより販売されているリファレンスSELAR(登録商標)A100)
を主材料とする。
【0067】
これらのポリマーは以下の基準:
−その良好な化学薬品耐性及びその水蒸気に対する不透過性のためのポリオレフィンとしてのPE、ならびに、より詳細には、それが高密度PE及びさらに硬いポリプロピレンと比較して提供する快適さのためのラジカル低密度PE;
−その高いバリア特性のためのEVOH L101(最大のビニルアルコール含有量を有するグレード);及び、
−ポリオレフィン中にEVOHのラメラ構造を有する厚い中空体を得るための相溶化剤としてのSELAR(登録商標)A100、
に従い選択された。
【0068】
このブレンドで使用された比率は以下の通りである(ブレンド全重量に対する重量):
−88% PE 1008 FE 24;
−6% EVOH L101;及び
−6% SELAR(登録商標)A100。
【0069】
3)ブレンドの乾燥及び調製
通風炉において80℃で4時間、EVOHのみ、または、EVOH/SELARブレンドの乾燥後、3成分のブレンドを「ドラム」法により最初に調製した。
【0070】
4)フィルムの製造方法
フィルムは、チューブ状ブローイングツールを使用した押出法により製造した。押出は、転換条件とツールを採用することにより、ダイを離れる時に連続的なラメラ構造を得ることを可能にする方法である。
【0071】
該フィルムを製造するために、該押出ブロー成形法が好ましく使用され:
−「連続的なラメラ構造のゆるみ(relaxation)」が隣接していないラメラ構造に、あるいは、より長い冷却時間の場合には、繊維状構造、そしてノジュール構造になることを回避するための十分に急速な冷却;及び
−二軸延伸(これは該構造を維持するための単軸延伸より好ましいと思われる)、
のために、隣接したラメラ構造の連続性が維持されることを可能にする。それ自身による単軸延伸では、望ましい厚みを得るには大きすぎる縦方向の延伸比となるが、一方、縦方向への延伸を併用した横方向への延伸(インフレーション)の組み合わせは、縦方向への延伸を減少させ、そして、ラメラ構造の連続性を維持することを可能にする。
【0072】
5)設備条件
押出機
使用する押出機は、直径Dが30ミリメーター及び長さ33Dを特徴とするMAPREブランドの押出機であり、そのバレルのシリンダーヘッドには溝があった。
【0073】
押出スクリューは、様々なポリマーのブレンドを最小にするために、そして、さらなる混合エレメントを伴うことのない、穏やかな性質を有するものでなければならなかった。それは、3つの単純なゾーンを伴う従来の形態でなければならなかった。
【0074】
ダイ
該ダイは、好ましくは、該フィルムの機械的性質を損なう溶接ラインが存在しないように(フィンダイ)、または、非常に薄い部分が発生しないように(サイド−フェドダイ(side-fed die))するために、ラジアル−チャンネルヘリコイダルタイプが好ましかった。
【0075】
それは、従来の値0.8ミリメーターを有するギャップ厚を有するマンドレルの直径50ミリメーターからなる。ホモジナイズエレメントの高さは、ヘリコイダルチャンネルを含有するエレメントのそれに等しかった。
【0076】
温度、スクリュー回転速度及び冷却
ダイにおいて必要とされる温度は、190℃と215℃の間であり、有利には197℃であった。該スクリュー回転速度は40と80rpmの間であり得たが、それは60rpmで理想的にセットされた。
【0077】
冷却条件
冷却は、ブロワーにより発生した空気を使用して、6つのインレットを介したブローリングフフェドを含む従来の冷却アセンブリによって行った。ブロワーにより放出される空気の流量は、ブロワーのダンパーを使用して調整し、そして、中央アイリス位置は、吹き出した空気圧を調整することを可能にする。本発明に従うフィルムを製造するために、該アイリスは、冷却空気圧を高めるために低位置に置き、また、ブロワーの流量は中速にセッティングした。これらの条件下では、該チューブはすばやく吹き込まれ、それはダイから離れ、そして、十分な空気の流量が、このように形成されたチューブをできるだけ急速に冷却することを可能にし、このように、その微小構造のゆるみを防止する。
【0078】
パラメーターの調整は、以下に記載の方法を使用して機械から放出させたフィルムの透過性を測定することにより評価した(テトラヒドロフラン/トルエン透過テスト)。
【0079】
ブローイング及び延伸
ブロー比は理想的には1.9であり、これは、該機械において、使用したダイと共にこのタイプのブレンドに許されるほぼ最大のブロー比に一致した。
【0080】
延伸はまた、フィルムの厚みを決定する上で重要なパラメーターであった。使用した延伸比は、局所的な最小厚が120ミクロン、及び、平均厚が140μmを有するフィルムを得るために、2.9であった。
【0081】
II.複合化及びフォーミング
複合化及びフォーミング作業は、快適さを向上することに寄与しなければならない手袋の製造の2つの段階であった。バリア特性を測定することを可能にするために、試験は手袋においてではなく、小さいエリア(せいぜい23.7cm)において行った。
【0082】
複合化は、不織布を該手袋の内部表面に添加することからなるものであった。該不織布は、ポリエチレンベースであった。
【0083】
該不織布の性質は、以下の基準:
−品質を劣化させることを防止する目的のために、バリアフィルムの融点と比較的近い温度で結合することを可能にするための、バリアフィルムの110℃の融点に近い融点;
−しかし、不織布の融解を生じさせない温度で熱的に結合することによって複合化することを可能にするための、バリアフィルムのそれよりわずかに高い融点、
に従い選択した。
【0084】
これらの要求に合った唯一の不織布は、融点130℃を有する高密度ポリエチレンから作製される不織布であった。
【0085】
不織布のバリアフィルムへの接着は、サーリン1652(登録商標)(デュポンドゥヌムールにより販売されているアイオノマー樹脂)の薄い(約10〜20ミクロンの厚み)フィルムにより提供され、この利点は、低融点(97℃)であり、バリアフィルムのそれより低い。これは、フィルムのバリア特性を改変することなく、及び、不織布がフィルムを形成することなく、不織布のバリアフィルムへの十分な接着を可能にする。
【0086】
採用した複合化プロセスは、95℃と105℃の間の温度、すなわち、ポリオレフィンの融点より5〜15℃低い温度の加熱されたプラテン間の熱的結合プロセスであった。
【0087】
フォーミング作業は、手袋の裏に「快適な隆起」を加えるために使用した。提唱した方法は、複合化及びフォーミング作業が、同時に行われることを可能にした。複合化/フォーミングプロセスの原理を示す図解を図1〜3に示す:
−複合体を2つのフレームの間に置いた(図1);
−結合していない複合体を、±2℃以内で制御されたフォーミング温度を可能にする2つの加熱されたプラテンの間で予備加熱した(図2)。該加熱温度は90℃と105℃の間であった。;
−モールドを50と70℃の間の温度で加熱し、そして、複合体に適用した(図3)。
【0088】
III.溶接
溶接は手袋の製造における最終工程であった。
【0089】
それは、トングにより生み出された熱パルスを伴う溶接技術を使用して従来のように行った。
【0090】
手袋の一般的な形状を有する生産物は、該手袋の裏面上に、接合部分に快適な隆起を伴って製造された。耐化学薬品透過性は、以下に記載の方法を使用して試験し、そして、表Iに要約した結果を示す。
【0091】
透過性測定方法
試験した溶媒
テトラヒドロフラン(THF)
メチルエチルケトン(MEK)
ジクロロメタン(DCM)
トルエン
ジメチルホルムアミド(DMF)
ジエチルアミン(DEA)
使用した標準品
NF EN 374−3
透過性のために使用した設備
透過セル(標準化された、そして、試験される検体が間に置かれる2つの部分:
第1部分:試験する化学薬品を含有する(ここでは溶媒)
第2部分:測定されたコレクターコンパートメント、
からなる)
クロマトグラフ:モデルHP5890
炉の温度:60℃
カラム: HP1キャピラリー
30m×0.53mm×0.88μm df
THF、MEC、DCM及びトルエンのために使用する無極性の固定
相(メチルシリコーン)
カラム: VOCOLキャピラリー
30m×0.53mm×3μm df
DEA及びDMFのために使用
キャリアガス: ヘリウム、カラム流量20ml/min
パージ流量100ml/min
スプリットネスモード150℃で使用するスプリット/スプリットレ
ス インジェクター
THF、MEC、DCM、トルエン及びDEAのための60℃の等温
DMFのための100℃の等温。
FID(フレームイオン化検出器)
検出温度:250℃
水素取り込み圧:2bar
圧縮空気取り込み圧:4bar
インジェクションループ:Valco Instruments Co.Inc.(VICI)
タイマーを使用して2分毎に注入。
【0092】
サーモスタット浴:Haake
試験温度:23±1℃
分析時間:4時間。
【0093】
透過性測定
試験した酸及び塩基
35% 塩酸
52.5% 硝酸
95% 硫酸
85% オルトリン酸
100% 酢酸
50% 水酸化ナトリウム
使用した標準品
NF EN 374−3
装置
試験される検体が間に置かれる2つの部分から作製された標準化された透過セル。第1の部分は化学薬品(ここで酸または塩基)を含み、そして、第2の部分(コレクターコンパートメント)は、その中で導電性測定が行われる水を含む:
CD230(Radiometer Analytical)導電性メーター
水中に保存される導電性メーターのためのプローブ
National Instrumentからの「ウインドウズ用の測定」ソフトウェア。
【0094】
導電性メーターとPCの間の光電子工学保護装置。
【0095】
予備調製物
0.01M KCl 検量線溶液
水で調製した標準溶液(1/4浸透水+3/4まで(超純)水)
分析期間:4時間。
【0096】
フィルムの透過様式の評価
もし、その破損時間、すなわち、フィルムが化学薬品に接触させられる瞬間と、導電性測定値が透過流束1μg/min/cmを表示する瞬間の間に経過する時間が4時間より長ければ、フィルムは不透過性であるとした。
【0097】
ヘリウム透過性測定
原理
フィルムのヘリウム透過性を測定する装置は:
−ASM142スニファーモードで操作するAdixen(Alcatel)ヘリウム検出器;
−二つのガラスハーフ−部分からなる面積23.76cmの測定セル及びエラストマーシール;
−2つのハーフセルのうちの一つを、大気圧でヘリウムで飽和するためのヘリウムフローデバイス;
窒素の流量の調整及び60ml/minのスニファー流量による、フィルムを通したヘリウムを、圧力を下げることなくヘリウム検出器へ運ぶための窒素フローデバイス;及び
−任意の瞬間に60ml/minの窒素の流量を課すフローメーター、
からなる。
【0098】
検体をかえる際、検出器内のヘリウムによる汚染を避けるために、測定セルは、好ましくはフードの下に置き、そして、ガス結合部はポリアミド、または、好ましくはステンレススチールから作製される。
【0099】
ヘリウム検出器に接続された記録計は、mbar.l/sでSにより表示される未処理のシグナル(raw signal)の時間にわたる変化を記録するために用い、これは、瞬間のヘリウムフローに等しかった。材料に溶解しているヘリウムに相当する部分(ヘリウムバルブを開放した時のシグナルSの速やかな上昇)、そして、分散部分(定常シグナルS)を示す典型的な曲線を図4に表す。
【0100】
初期シグナルは、空気中のヘリウム値、すなわち5×10−6mbar.l/sに等しい。
【0101】
その後、cm.cm/m.day.barで示されるヘリウム透過性測定値は、分散部分で得たシグナルSを使用して得た。
【0102】
mbar.l/sにおける平衡状態で測定したシグナルSを、cm.cm/m.day.barにおける透過性に変換するために、要求される全てのものは、測定したシグナルに24×3600を乗じて、秒から日にして、また、それにcmでのフィルムの厚みを乗じ、そして、それをmのセルの面積で除することによる。ガラスセルの場合、フィルムの厚みを無視すると、ファクターは36363636、すなわち:
P=36363636×S×e、ここでeはcmでの厚み、及び、Sはmbar.l/sでのシグナルである、
に等しい。
【0103】
この技術は、最初、PVC及びバージンポリエチレンフィルムのために開発され(これらの有用性は文献に見られる)、そして、検出器を調整するための操作方法の開発を導いた。
【0104】
ヘリウム透過を測定することの選択は、4つの主な利点:
1)ヘリウムは、非常に速やかに溶解する分子であり、したがって、溶媒を使用する測定時間と比較して測定時間を短縮することができ、目的は、隣接したラメラ構造の存在を、材料を通過した拡散により検証することである;
2)ヘリウムは、非常に低濃度(5ppm)で空気中に存在する−したがって、測定はほとんど妨げられず、そして、セットアップは簡単である;
3)空気中でのその存在は、測定値を較正することを可能にする;ならびに
4)非常に感受性の高いヘリウム検出器(質量分光光度計をヘリウムバンドにセットする)が存在し、そして直接使用し得る、
により正当化される。
【0105】
ヘリウム透過性測定のフィルム及び3D生産物の検証への適用
転換条件(押出機の特徴、押出パラメーター、冷却の特徴)によって、3つのタイプの構造:
−隣接したラメラ構造またはリファレンス構造;
−隣接していないラメラ構造(ラメラ構造と呼ぶ);及び
−ノジュール構造
(これらは図5に図解的に示す)
が実証できた。
【0106】
図7は、本発明に従い得たフィルムの顕微鏡写真を示す(実施例1)。
【0107】
実施例2(比較例):
フィルムは上記セクションIと同じ構成で調製したが、顆粒を押出ホッパーに直接混ぜず、3つのタイプの顆粒をツインスクリュー押出機で溶融−予備ブレンドさせた後であったことが実施例1と異なる。この作業は、200℃の温度で、混合を最適化するための逆ピッチと組み合わせた混合エレメントを有するクレクストラル(CLEXTRAL)BC21ツインスクリュー押出機において行った。
【0108】
そして、該フィルムは、実施例1と同じ方法で、及び、同じパラメーターを使用して押出した。
【0109】
このとき、分散相は、光学顕微鏡において、ラメラの形態にはないが、直径数ミクロンのノジュールの形態にあることが観察された。該ブレンドは、ノジュール構造を有すると言えた。図6はこの構造を示す。
【0110】
実施例3(比較例):
この実施例のフィルムは、実施例1のフィルム(複合化されておらず、熱成形されておらず、及び、溶接されていない)を得て、そして、それをフォーミングする前に、130℃の温度に、すなわちマトリックスのポリエチレンの融点より30℃高い温度に予備加熱することにより、実施例1のフィルムから得た。
【0111】
実施例4(比較例):
ポリエチレンのみからなるフィルム(ブレンドの1008 FE24 PE)を、実施例1のフィルムの押出ブロー成形条件下で製造し、このフィルムを、結果を比較するコントロールとして使用した。
【0112】
実施例の評価
これらの様々なフィルムのヘリウム透過性測定値及びこれらの溶媒透過性を表IIに示す。
【0113】
【表1】

【0114】
フィルムの破損時間は、フィルムを溶媒に接触させたときと、クロマトグラフが1μg.min−1.cm−2の透過流束を検出するときの瞬間の間の時間である。
【0115】
溶媒に接触させたフィルムの面積が23.76cmであり、セルを通過するヘリウム流量が100ml/minであるため、ゆえに、フィルムの破損時間は、透過流束が0.237g/mlの値に到達した瞬間として測定した。
【0116】
破損時間の大きな変化は、フィルムの厚みの大きな局所的な変化により説明し得る。
【0117】
該チューブをブローイングすることにより得た厚さ100μmの低密度ポリエチレンフィルムのヘリウム透過性は、約40cm.cm/m.day.barである。
【0118】
該表は、ブレンドフィルムの構造による、ヘリウム透過性値の違いを示す。
【0119】
ノジュールフィルムは、ブレンドのポリエチレンのそれとほぼ等しい値を有する。
【0120】
隣接していないラメラ構造を有するフィルムは、ノジュールフィルムのそれと隣接したラメラフィルムのそれの間の中間値を有する。これは、ラメラが隣接しておらず、及び、それらの役割が拡散に対する障害を産み出すこと(これは、経路の長さ、ゆえに分散時間の増加である)のみに制限されているという事実により簡単に説明される。
【0121】
隣接したラメラ構造を有するフィルムに関して、そのヘリウム透過性は、PEフィルムまたはノジュールフィルムのそれと比較して、4倍減少する。
【0122】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】図1は、フレーム/複合体システムの調製を示す。
【図2】図2は、複合体の加熱を示す。
【図3】図3は、複合体のフォーミングを示す。
【図4】図4は、ヘリウムバブル開放後、ヘリウム検出器において読んだシグナルSの変化を示す。
【図5】図5は、フィルムの図解的構造を示す。
【図6】図6は、マトリックス中のノジュールを示す。
【図7】図7は、隣接したラメラを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリオレフィンまたはポリオレフィンのブレンド;
(b)化学薬品に対するバリアを形成する少なくとも一つの材料、この材料はポリオレフィン(a)の融点より少なくとも5℃高い融点を有する;及び
(c)バリア材料(b)をポリオレフィン(a)に分散させることを可能にする少なくとも一つの相溶化剤、
を含む不均質材料由来の隣接したラメラ構造を有し、
以下の工程:
(i)成分(a)、(b)及び(c)のブレンド;
(ii)フィルムチューブを形成するための、(i)で得たブレンドの押出;
(iii)(ii)で得たフィルムチューブの延伸;及び
(v)(iii)で得たフィルムの熱成形、
を含み、
工程(iii)及び工程(v)は、物品の全ての部分の厚みが60と190μmの間になるよう制御されている、
保護物品の製造方法。
【請求項2】
成分(a)がポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分(b)が、ポリアミド;ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル;ポリカーボネート;エチレン/ビニルアルコールコポリマー;ポリビニルアセテート及びポリビニルアルコールから選択されることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
成分(b)がエチレン/ビニルアルコールコポリマーであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
相溶化剤(c)が、カルボキシル基ユニットがグラフトされたポリオレフィンであることを特徴とする上記請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
相溶化剤(c)が、環状無水物フラグメントがグラフトされたポリオレフィンユニットを含有するポリマーであり、前記ポリオレフィンユニットがポリオレフィン(a)と相溶性であり、該環状無水物フラグメントが、相溶化剤(c)の全重量に対するカルボニル官能基の重量パーセントが0.1と4%の間であるような量であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
成分(a)、(b)及び(c)が、:ポリオレフィン(a)は、ブレンドの重量の60〜95重量%、好ましくは70〜90重量%を表し;成分(b)は、ブレンドの全重量の2〜40重量%、好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは4〜12重量%を表し;そして、成分(c)は、成分(c)のカルボニル官能基の重量が成分(b)の0.14〜0.6重量%を表すような量で混合されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
0.5〜10mm、好ましくは1〜7mm、さらに好ましくは2〜4mmの範囲の大きさを有する固形粒子が、成分(a)及び(b)のブレンド(i)のために使用されることを特徴とする上記請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
工程(ii)において、3つの成分の均質ブレンドを調製した後、これが、前記ブレンドが成分(b)の融点より高い温度に加熱される押出機へと運ばれることを特徴とする上記請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
工程(ii)において、該ブレンドが、ラジアル−チャンネルヘリカルタイプ(radial-channel helical type)またはフラットタイプのダイを通して押し出されることを特徴とする上記請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
工程(iii)におけるチューブの延伸がストレッチブロー成形により行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
冷却されたフィルムチューブが1〜5、好ましくは1.5〜3の範囲のブロー比、及び、1〜5、好ましくは2〜4の範囲の延伸比で延伸されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
工程(iii)と(v)の間に、ポリマーと相溶性のあるポリマーに基づく不織布と複合化する工程(iv)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
さらに溶接工程(vi)を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
壁が:
(a)分散された連続的なポリオレフィン相;
(b)化学薬品に対してバリアを形成する少なくとも一つの材料(この材料はポリオレフィン(a)の融点より少なくとも5℃高い融点を有する);及び
(c)該バリア材料(b)が、ポリオレフィン(a)に分散されることを可能にする少なくとも一つの相溶化剤(この物品の少なくとも一部分が熱成形される)、
からなる材料から作製され、
この材料は60μm〜190μmの範囲の厚みを有する、
個人の保護物品。
【請求項16】
手袋、オーバーシューズ、オーバーオール、フード、シュラウドまたはカバーの形態にあることを特徴とする請求項15に記載の物品。
【請求項17】
作製された該材料が、ポリオレフィン(a)よりも4倍以上改良されたヘリウム透過性を有することを特徴とする請求項18に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−523266(P2007−523266A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548357(P2006−548357)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000099
【国際公開番号】WO2005/072544
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(591136931)
【氏名又は名称原語表記】HUTCHINSON
【Fターム(参考)】