ランプユニット位置決め構造
【課題】フェンダーパネルとランプユニットの位置関係を一定に保ち、フェンダーパネルへの衝撃時にランプユニットをフェンダーパネルから離脱させることができること。
【解決手段】ランプユニット12は、フェンダーパネル11に対して対向するユニット端部17に、クリップ18が接着によって取付けられている。クリップ18は、フェンダーパネル11においてユニット端部17に対向するパネル端部21の裏面部分24にスペーサ25によって固定される。スペーサ25は、裏面部分24に固定可能なスペーサ固定部26と、このスペーサ固定部26に対して車体前後方向からクリップ18の挿入部分27を挿入可能な被挿入部28と、からなる。
【効果】組付け時にフェンダーパネルとランプユニットの位置関係を一定に保つことができ、フェンダーパネルとランプユニットとの離脱を抑制できる。
【解決手段】ランプユニット12は、フェンダーパネル11に対して対向するユニット端部17に、クリップ18が接着によって取付けられている。クリップ18は、フェンダーパネル11においてユニット端部17に対向するパネル端部21の裏面部分24にスペーサ25によって固定される。スペーサ25は、裏面部分24に固定可能なスペーサ固定部26と、このスペーサ固定部26に対して車体前後方向からクリップ18の挿入部分27を挿入可能な被挿入部28と、からなる。
【効果】組付け時にフェンダーパネルとランプユニットの位置関係を一定に保つことができ、フェンダーパネルとランプユニットとの離脱を抑制できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の前部からフェンダーパネル側へ回り込む形状のランプユニットを、フェンダーパネルに位置決めする、ランプユニット位置決め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ランプユニット位置決め構造として、ブラケットを利用したものが知られている(例えば、特許文献1(第1図、第4図)参照。)。
【0003】
この特許文献1に示されるランプユニット位置決め構造は、ブラケットを介してボルトによりランプユニットを車体パネルに取付けたというものである。ランプユニットのフェンダーパネル取付け面には、突起と挟持部が設けられている。突起をフェンダーパネルの切欠き溝に嵌め合わせることで上下方向の位置決めがされ、挟持部をフェンダーパネルの板状フランジに挟めることで車体左右方向の位置決めがされる。
【0004】
しかし、ランプユニット上端部の締結にはボルトを用いているので、大きい衝撃力が車体の前部に加わった場合に、ランプユニットは車体パネルから離脱しない。ランプユニットは、衝撃力から保護されることが好ましい。
【0005】
また、図12に示される従来の技術では、ランプユニット101をフェンダーパネル102に嵌め込み、ボルトによって固定する。この際、中間部分103において、ランプユニット101とフェンダーパネル102の間に、所定の寸法の隙間があればよい。
図13は、図12に示されたランプユニット101がフェンダーパネル102に取付けられた状態を示す。実線で示すフェンダーパネル102は適切な位置にあり、ランプユニット101のユニット端部104とフェンダーパネル102のパネル端部105との隙間の大きさはL1となる。
【0006】
しかし、フェンダーパネル102の寸法のばらつきにより、隙間の大きさL1は異なる。例えば、想像線で示すフェンダーパネル102の位置に上がった場合、隙間の大きさL1は大きくなる。逆に、想像線で示すフェンダーパネル102の位置に下がった場合、フェンダーパネル102がランプユニット101に干渉し得る。そこで、フェンダーパネルやランプユニットの寸法がばらつきを抑え建付け品質を維持する必要があるが、手作業による修正や金型の修正が必要になり手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2715643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、フェンダーパネルとランプユニットの位置関係を一定に保ち、フェンダーパネルへの衝撃時にランプユニットをフェンダーパネルから離脱させることができることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、車体のフェンダーパネルと、前記車体に取付けられるランプユニットとを有し、このランプユニットは、前記フェンダーパネルに対して対向するユニット端部に、クリップを接着によって取付けるものであり、このクリップは、前記フェンダーパネルにおいて前記ユニット端部に対向するパネル端部の裏面部分に対し、前記ユニット端部を位置決めし且つ固定する構成であることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明では、クリップは、フェンダーパネルのパネル端部に固定されるクリップ側固定部を有し、このクリップ側固定部は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、互いに接着される、クリップの接着面とユニット端部の接着面との、少なくとも一方は、凹凸に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明では、クリップは、フェンダーパネルの裏面部分にスペーサによって固定されるものであり、このスペーサは、裏面部分に固定可能なスペーサ固定部と、このスペーサ固定部に対して車体前後方向からクリップの挿入部分を挿入可能な被挿入部と、からなることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明では、被挿入部は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部を有していることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明では、パネル端部の裏面部分は、ユニット端部に臨む貫通孔を有し、クリップは、貫通孔に挿入可能な突起部と、この突起部を貫通孔に挿入したときにこの貫通孔の縁に掛け止まる爪部とを有し、この爪部は、突起部に一体に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、クリップは、フェンダーパネルにおいてユニット端部に対向するパネル端部の裏面部分に対し、ユニット端部を位置決めし且つ固定する構成である。ランプユニット自体にクリップ形状を一体成形することは困難であるが、本発明では接着によりランプユニットにクリップを設けることができる。ランプユニットはフェンダーパネルに対してクリップにより位置決めされているので、組付け時にフェンダーパネルとランプユニットの位置関係を一定に保つことができ、フェンダーパネルに対するランプユニットとの離脱を抑制できる。
【0016】
加えて、衝撃力が作用したときには、クリップ自体が破断、クリップとランプユニットとの接着が剥離、またはクリップとフェンダーパネルとの連結部分が破断することによってランプユニットがフェンダーパネルから離脱することができる。この結果、ランプユニットを衝撃力から保護することができる。
さらには、フェンダーパネルに対してランプユニットを適切に位置決めできる。このため、フェンダーパネルに対するランプユニットの位置ずれを規制することができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、クリップは、フェンダーパネルのパネル端部に固定されるクリップ側固定部を有し、このクリップ側固定部は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部を有している。衝突等衝撃が加わった際に切欠き部によりクリップが破断するので、ランプユニットをフェンダーパネルから離脱させることができ、この結果、軽衝突時のランプユニットの変位がフェンダーパネルに伝わらないので、ランプユニットを衝撃力から保護することができる。
【0018】
請求項3に係る発明では、互いに接着される、クリップの接着面とユニット端部の接着面との、少なくとも一方は、凹凸に形成されている。接着面を全面ではなく凹凸としたので、接着力を調整することが容易でき、衝突時の衝撃力によりクリップが剥がれる。結果、ランプユニットとフェンダーパネルが離脱され、軽衝突時のランプユニットの変位がフェンダーパネルに伝わらないので、フェンダーパネルを保護することができると共に、ランプユニットを衝撃力から保護することができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、スペーサは、車体前後方向からクリップの挿入部分を挿入可能な被挿入部を有する。スペーサにクリップを挿入するので、クリップを含むランプユニットを外側から容易に組付けることができ、生産性を向上することができる。
【0020】
請求項5に係る発明では、被挿入部は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部を有している。衝突等の衝撃が加わった際、スペーサの切欠き部が破断するので、ランプユニットとフェンダーパネルが離脱され、この結果、軽衝突時のランプユニットの変位がフェンダーパネルに伝わらないので、ランプユニットを衝撃力から保護することができる。
【0021】
請求項6に係る発明では、クリップは、貫通孔に挿入可能な突起部と、この突起部を貫通孔に挿入したときにこの貫通孔の縁に掛け止まる爪部とを有し、この爪部は、突起部に一体に形成されている。ランプユニット自体に爪を有する突起を一体成形することは困難であるが、本発明では、クリップに爪を有する突起部を形成するので、最小限の部品によりランプユニットとフェンダーパネルを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1に係るランプユニット及びフェンダーパネルの斜視図である。
【図2】図1の2部分解斜視図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図2の4−4線断面図である。
【図5】図2に示されたクリップの斜視図である。
【図6】図5に示されたクリップの接着面の別態様を説明する図である。
【図7】図6に示されたクリップの接着面の別態様を説明する図である。
【図8】図3に示されたクリップの別態様を説明する図である。
【図9】図4に示されたクリップの別態様を説明する図である。
【図10】本発明の実施例2に係る分解斜視図である。
【図11】図10の11−11線断面図である。
【図12】従来の技術に係るランプユニットの位置決め構造を説明する図である。
【図13】図12の13−13線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0024】
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、ランプユニットの位置決め構造は、車体10のフェンダーパネル11と、このフェンダーパネル11の前方に取付けられるランプユニット12とを有している。車体10の前部にボンネット13が取付けられ、このボンネット13の前方で車体10にフロントグリル14が取付けられ、このフロントグリル14の下方で車体10にフロントバンパー15が取付けられている。ランプユニット12は、車体10の前面16からフェンダーパネル11にかけての回り込みが大きい態様である。
【0025】
図2に示されるように、ランプユニット12は、フェンダーパネル11に対して対向するユニット端部17に、クリップ18が矢印(1)のように接着によって取付けられている。クリップ18は、ユニット端部17に対向するフェンダーパネル11のパネル端部21に固定されるクリップ側固定部22と、ユニット端部17に接着される接着部23と、を有する。クリップ18は、フェンダーパネル11においてユニット端部17に対向するパネル端部21の裏面部分24にスペーサ25によって固定される。
【0026】
スペーサ25は、裏面部分24に矢印(2)のように固定可能なスペーサ固定部26と、このスペーサ固定部26に対して車体前後方向から矢印(3)のようにクリップ18の挿入部分27を挿入可能な被挿入部28と、からなる。
【0027】
図3に示されるように、スペーサ固定部26は、フェンダーパネル11の裏面部分24に密着する密着部31を有し、この密着部31に貼られた両面接着テープ32aにより裏面部分24に固定されている。クリップ18は、接着部23に貼られた両面接着テープ32bによりユニット端部17に接着されている。
【0028】
クリップ18の挿入部分27はスペーサ25の被挿入部28に挿入されており、クリップ側固定部22が被挿入部28とパネル端部21に挟まれることで、ユニット端部17を位置決めし且つ固定する。これにより、図上下方向の位置決めも為され、ユニット端部17とフェンダーパネル11の隙間を一定に保つことができる。
ユニット端部17の車体前方側に凸部34が設けられている。これにより、車体前方から見た場合にクリップ18等を目隠しすることができ、外観性を向上させることができる。
【0029】
なお、両面接着テープ32a、32bの代わりに接着剤を用いてもよく、スペーサ25を裏面部分24に接着し、クリップ18をユニット端部17に接着できれば、他の接着剤を用いても差し支えない。
【0030】
図4に示されるように、スペーサ固定部26は、フェンダーパネル11の裏面部分24に密着する密着部31と、パネル端部21に設けられた固定穴33に引っ掛かる固定爪35と、この固定爪35からコの字状に曲がり、パネル端部21を下側から押さえる押さえ部36とからなる。この押さえ部36には、固定爪35が入り込む逃げ穴37が設けられている。
【0031】
図5に示されるように、クリップ18のクリップ側固定部22は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部38を有する。なお、実施例においては、切り欠き部38をクリップ側固定部22の片側に設けたが、反対側又は両側に設けてもよく、作用した衝撃力により破断すれば切り欠き部38をクリップ側固定部22の他の場所に設けても差し支えない。
【0032】
図6に示されるように、互いに接着される、クリップ18の接着面41とユニット端部17の接着面42うち、ユニット端部17の接着面42は、凹凸に形成されている。これにより、クリップ18接着強度を調整し、クリップ18に作用した衝撃力により適切にクリップ18がユニット端部17から外れるようにすることができる。なお、各々の接着面42の凸形状部分は5列とすることで接着面積を調整したが、これに限定されず、4列、6列等、あるいは格子状でもよく、クリップ18の必要な接着強度に応じて接着面積を調整すれば問題ない。
【0033】
次に図6の別態様について説明する。
図7に示されるように、互いに接着される、クリップ18の接着面41とユニット端部17(図6参照)の接着面42(図6参照)うち、クリップ18の接着面41は、凹凸に形成されている。これにより、クリップ18接着強度を調整し、クリップ18に作用した衝撃力により適切にクリップ18がユニット端部17から外れるようにすることができる。なお、図6と同様に、各々の接着面41の凸形状部分は5列とすることで接着面積を調整したが、これに限定されず、4列、6列等、あるいは格子状でもよく、クリップ18の必要な接着強度に応じて接着面積を調整すれば問題ない。
【0034】
次に図3の別態様について説明する。なお、図3に示した構成と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
図8に示されるように、スペーサ25の被挿入部28は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部43を有している。これにより、衝突等の大きな衝撃が加わった際、スペーサ25の切欠き部43が破断するので、ランプユニット12とフェンダーパネル11が離脱され、ランプユニット12を衝撃力から保護することができる。加えて、フェンダーパネル11の端部を切り欠き部43に突き当てることでスペーサ25の位置決めを容易に行うことができる。
【0035】
次に図4の別態様について説明する。
図9に示されるように、固定爪35の断面部分において、スペーサ25は、固定爪35と押さえ部36に挟まれる形態でフェンダーパネル11のパネル端部21に固定されている。図4に示されるスペーサ25は、密着部31を有するが、図9におけるスペーサ25は密着部31を小さくでき、スペーサ25のフェンダーパネル11への固定を容易にすることができる。
【実施例2】
【0036】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。なお、図2に示した構成と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
図10に示されるように、フェンダーパネル11のパネル端部21は、裏面部分24にユニット端部17に臨む貫通孔51を有する。
クリップ52は、貫通孔51に挿入可能な突起部53と、この突起部53を貫通孔51に挿入したときに貫通孔51の縁54に掛け止まる爪部55と、を有する。
【0037】
ランプユニット12は、フェンダーパネル11に対して対向するユニット端部17に、クリップ52が矢印(4)のように接着によって取付けられる。突起部53を矢印(5)のように貫通孔51に挿入することで、ランプユニット12がフェンダーパネル11に対して位置決めされる。
【0038】
図11(a)は比較例のランプユニット位置決め構造を説明する断面図であり、ランプユニット110のユニット端部111に突起112が設けられている。この突起112にカップ113を被せた状態で、フェンダーパネル114の貫通孔115に突起112が挿入されている。これによって、図左右方向及び図表裏方向の位置決めが為される。しかし、図上下方向の位置決めができないため、ユニット端部111とフェンダーパネル114の隙間を一定に保つことが難しい。
【0039】
図11(b)は実施例にランプユニット位置決め構造を説明する断面図であり、突起部53は切り欠き部56を有している。また、突起部53が貫通孔51の縁54に掛けられている。これにより、図上下方向の位置決めも為され、ユニット端部17とフェンダーパネル11の隙間を一定に保つことができる。
【0040】
以上に述べたランプユニットの位置決め構造の作用効果を以下に記載する。
上記の図2に示されるように、車体10のフェンダーパネル11と、車体10に取付けられるランプユニット12と、を有し、ランプユニット12は、フェンダーパネル11に対して対向するユニット端部17に、クリップ18を接着によって取付けるものであり、このクリップ18は、フェンダーパネル11においてユニット端部17に対向するパネル端部21の裏面部分24に対し、ユニット端部17を位置決めし且つ固定する構成である。
【0041】
この構成により、ランプユニット12自体にクリップ形状を一体成形することは困難であるが、本発明では接着によりランプユニット12にクリップ18を設けることができる。ランプユニット12はフェンダーパネル11に対してクリップ18により位置決めされているので、組付け時にフェンダーパネル11とランプユニット12の位置関係を一定に保つことができ、フェンダーパネル11とランプユニット12との離脱を抑制できる。加えて、衝撃力が作用したときには、ランプユニット12がフェンダーパネル11から離脱することができる。この結果、ランプユニット12を衝撃力から保護することができる。
さらには、フェンダーパネル11に対してランプユニット12を適切に位置決めできる。このため、フェンダーパネル11に対するランプユニット12の位置ずれを規制することができる。
【0042】
上記の図2、図5に示されるように、クリップ18は、フェンダーパネル11のパネル端部21に固定されるクリップ側固定部22を有し、このクリップ側固定部22は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部38を有している。
この構成により、衝突等の大きな衝撃が加わった際に切欠き部38によりクリップ18が破断するので、ランプユニット12をフェンダーパネル11から離脱させることができ、この結果、ランプユニット12を衝撃力から保護することができる。
【0043】
上記の図6、図7に示されるように、互いに接着される、クリップ18の接着面41とユニット端部17の接着面42との、少なくとも一方は、凹凸に形成されている。
この構成により、接着面41、42を全面ではなく凹凸としたので、接着力を調整することが容易でき、衝突時の衝撃力によりクリップ18が剥がれる。結果、ランプユニット12とフェンダーパネル11が離脱され、軽衝突時のランプユニット12の変位がフェンダーパネル11に伝わらないので、フェンダーパネル11を保護することができると共に、ランプユニット12を衝撃力から保護することができる。
【0044】
上記の図2に示されるように、クリップ18は、フェンダーパネル11の裏面部分24にスペーサ25によって固定されるものであり、このスペーサ25は、裏面部分24に固定可能なスペーサ固定部26と、このスペーサ固定部26に対して車体前後方向からクリップ18の挿入部分27を挿入可能な被挿入部28と、からなる。
この構成により、スペーサ25にクリップ18を挿入するので、クリップ18を含むランプユニット12を外側から容易に組付けることができ、生産性を向上することができる。
【0045】
上記の図8に示されるように、被挿入部28は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部43を有している。
この構成により、衝突等の大きな衝撃が加わった際、スペーサ25の切欠き部43が破断するので、ランプユニット12とフェンダーパネル11が離脱され、この結果、ランプユニット12を衝撃力から保護することができる。
【0046】
上記の図10、図11に示されるように、パネル端部21の裏面部分24は、ユニット端部17に臨む貫通孔51を有し、クリップ52は、貫通孔51に挿入可能な突起部53と、この突起部53を貫通孔51に挿入したときにこの貫通孔51の縁54に掛け止まる爪部55とを有し、この爪部55は、突起部53に一体に形成されている。
【0047】
この構成により、ランプユニット自体に爪を有する突起を一体成形することは困難であるが、本発明では、クリップ18に爪部55を有する突起部53を形成するので、最小限の部品によりランプユニット12とフェンダーパネル11を固定することができる。
【0048】
尚、本発明のランプユニットの位置決め構造は、実施の形態ではヘッドライトに適用したが、ブレーキランプやテールランプにも適用可能であり、一般車両のランプユニットに適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のランプユニットの位置決め構造は、車両のヘッドライトの位置決め構造に好適である。
【符号の説明】
【0050】
10…車体、11…フェンダーパネル、12…ランプユニット、17…ユニット端部、18、52…クリップ、21…パネル端部、22…クリップ側固定部、24…裏面部分、25…スペーサ、26…スペーサ固定部、27…挿入部分、28…被挿入部分、38、43…切り欠き部、41、42…接着面、51…貫通孔、53…突起部、54…縁、55…爪部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の前部からフェンダーパネル側へ回り込む形状のランプユニットを、フェンダーパネルに位置決めする、ランプユニット位置決め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ランプユニット位置決め構造として、ブラケットを利用したものが知られている(例えば、特許文献1(第1図、第4図)参照。)。
【0003】
この特許文献1に示されるランプユニット位置決め構造は、ブラケットを介してボルトによりランプユニットを車体パネルに取付けたというものである。ランプユニットのフェンダーパネル取付け面には、突起と挟持部が設けられている。突起をフェンダーパネルの切欠き溝に嵌め合わせることで上下方向の位置決めがされ、挟持部をフェンダーパネルの板状フランジに挟めることで車体左右方向の位置決めがされる。
【0004】
しかし、ランプユニット上端部の締結にはボルトを用いているので、大きい衝撃力が車体の前部に加わった場合に、ランプユニットは車体パネルから離脱しない。ランプユニットは、衝撃力から保護されることが好ましい。
【0005】
また、図12に示される従来の技術では、ランプユニット101をフェンダーパネル102に嵌め込み、ボルトによって固定する。この際、中間部分103において、ランプユニット101とフェンダーパネル102の間に、所定の寸法の隙間があればよい。
図13は、図12に示されたランプユニット101がフェンダーパネル102に取付けられた状態を示す。実線で示すフェンダーパネル102は適切な位置にあり、ランプユニット101のユニット端部104とフェンダーパネル102のパネル端部105との隙間の大きさはL1となる。
【0006】
しかし、フェンダーパネル102の寸法のばらつきにより、隙間の大きさL1は異なる。例えば、想像線で示すフェンダーパネル102の位置に上がった場合、隙間の大きさL1は大きくなる。逆に、想像線で示すフェンダーパネル102の位置に下がった場合、フェンダーパネル102がランプユニット101に干渉し得る。そこで、フェンダーパネルやランプユニットの寸法がばらつきを抑え建付け品質を維持する必要があるが、手作業による修正や金型の修正が必要になり手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2715643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、フェンダーパネルとランプユニットの位置関係を一定に保ち、フェンダーパネルへの衝撃時にランプユニットをフェンダーパネルから離脱させることができることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、車体のフェンダーパネルと、前記車体に取付けられるランプユニットとを有し、このランプユニットは、前記フェンダーパネルに対して対向するユニット端部に、クリップを接着によって取付けるものであり、このクリップは、前記フェンダーパネルにおいて前記ユニット端部に対向するパネル端部の裏面部分に対し、前記ユニット端部を位置決めし且つ固定する構成であることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明では、クリップは、フェンダーパネルのパネル端部に固定されるクリップ側固定部を有し、このクリップ側固定部は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、互いに接着される、クリップの接着面とユニット端部の接着面との、少なくとも一方は、凹凸に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明では、クリップは、フェンダーパネルの裏面部分にスペーサによって固定されるものであり、このスペーサは、裏面部分に固定可能なスペーサ固定部と、このスペーサ固定部に対して車体前後方向からクリップの挿入部分を挿入可能な被挿入部と、からなることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明では、被挿入部は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部を有していることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明では、パネル端部の裏面部分は、ユニット端部に臨む貫通孔を有し、クリップは、貫通孔に挿入可能な突起部と、この突起部を貫通孔に挿入したときにこの貫通孔の縁に掛け止まる爪部とを有し、この爪部は、突起部に一体に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、クリップは、フェンダーパネルにおいてユニット端部に対向するパネル端部の裏面部分に対し、ユニット端部を位置決めし且つ固定する構成である。ランプユニット自体にクリップ形状を一体成形することは困難であるが、本発明では接着によりランプユニットにクリップを設けることができる。ランプユニットはフェンダーパネルに対してクリップにより位置決めされているので、組付け時にフェンダーパネルとランプユニットの位置関係を一定に保つことができ、フェンダーパネルに対するランプユニットとの離脱を抑制できる。
【0016】
加えて、衝撃力が作用したときには、クリップ自体が破断、クリップとランプユニットとの接着が剥離、またはクリップとフェンダーパネルとの連結部分が破断することによってランプユニットがフェンダーパネルから離脱することができる。この結果、ランプユニットを衝撃力から保護することができる。
さらには、フェンダーパネルに対してランプユニットを適切に位置決めできる。このため、フェンダーパネルに対するランプユニットの位置ずれを規制することができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、クリップは、フェンダーパネルのパネル端部に固定されるクリップ側固定部を有し、このクリップ側固定部は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部を有している。衝突等衝撃が加わった際に切欠き部によりクリップが破断するので、ランプユニットをフェンダーパネルから離脱させることができ、この結果、軽衝突時のランプユニットの変位がフェンダーパネルに伝わらないので、ランプユニットを衝撃力から保護することができる。
【0018】
請求項3に係る発明では、互いに接着される、クリップの接着面とユニット端部の接着面との、少なくとも一方は、凹凸に形成されている。接着面を全面ではなく凹凸としたので、接着力を調整することが容易でき、衝突時の衝撃力によりクリップが剥がれる。結果、ランプユニットとフェンダーパネルが離脱され、軽衝突時のランプユニットの変位がフェンダーパネルに伝わらないので、フェンダーパネルを保護することができると共に、ランプユニットを衝撃力から保護することができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、スペーサは、車体前後方向からクリップの挿入部分を挿入可能な被挿入部を有する。スペーサにクリップを挿入するので、クリップを含むランプユニットを外側から容易に組付けることができ、生産性を向上することができる。
【0020】
請求項5に係る発明では、被挿入部は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部を有している。衝突等の衝撃が加わった際、スペーサの切欠き部が破断するので、ランプユニットとフェンダーパネルが離脱され、この結果、軽衝突時のランプユニットの変位がフェンダーパネルに伝わらないので、ランプユニットを衝撃力から保護することができる。
【0021】
請求項6に係る発明では、クリップは、貫通孔に挿入可能な突起部と、この突起部を貫通孔に挿入したときにこの貫通孔の縁に掛け止まる爪部とを有し、この爪部は、突起部に一体に形成されている。ランプユニット自体に爪を有する突起を一体成形することは困難であるが、本発明では、クリップに爪を有する突起部を形成するので、最小限の部品によりランプユニットとフェンダーパネルを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1に係るランプユニット及びフェンダーパネルの斜視図である。
【図2】図1の2部分解斜視図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図2の4−4線断面図である。
【図5】図2に示されたクリップの斜視図である。
【図6】図5に示されたクリップの接着面の別態様を説明する図である。
【図7】図6に示されたクリップの接着面の別態様を説明する図である。
【図8】図3に示されたクリップの別態様を説明する図である。
【図9】図4に示されたクリップの別態様を説明する図である。
【図10】本発明の実施例2に係る分解斜視図である。
【図11】図10の11−11線断面図である。
【図12】従来の技術に係るランプユニットの位置決め構造を説明する図である。
【図13】図12の13−13線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0024】
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、ランプユニットの位置決め構造は、車体10のフェンダーパネル11と、このフェンダーパネル11の前方に取付けられるランプユニット12とを有している。車体10の前部にボンネット13が取付けられ、このボンネット13の前方で車体10にフロントグリル14が取付けられ、このフロントグリル14の下方で車体10にフロントバンパー15が取付けられている。ランプユニット12は、車体10の前面16からフェンダーパネル11にかけての回り込みが大きい態様である。
【0025】
図2に示されるように、ランプユニット12は、フェンダーパネル11に対して対向するユニット端部17に、クリップ18が矢印(1)のように接着によって取付けられている。クリップ18は、ユニット端部17に対向するフェンダーパネル11のパネル端部21に固定されるクリップ側固定部22と、ユニット端部17に接着される接着部23と、を有する。クリップ18は、フェンダーパネル11においてユニット端部17に対向するパネル端部21の裏面部分24にスペーサ25によって固定される。
【0026】
スペーサ25は、裏面部分24に矢印(2)のように固定可能なスペーサ固定部26と、このスペーサ固定部26に対して車体前後方向から矢印(3)のようにクリップ18の挿入部分27を挿入可能な被挿入部28と、からなる。
【0027】
図3に示されるように、スペーサ固定部26は、フェンダーパネル11の裏面部分24に密着する密着部31を有し、この密着部31に貼られた両面接着テープ32aにより裏面部分24に固定されている。クリップ18は、接着部23に貼られた両面接着テープ32bによりユニット端部17に接着されている。
【0028】
クリップ18の挿入部分27はスペーサ25の被挿入部28に挿入されており、クリップ側固定部22が被挿入部28とパネル端部21に挟まれることで、ユニット端部17を位置決めし且つ固定する。これにより、図上下方向の位置決めも為され、ユニット端部17とフェンダーパネル11の隙間を一定に保つことができる。
ユニット端部17の車体前方側に凸部34が設けられている。これにより、車体前方から見た場合にクリップ18等を目隠しすることができ、外観性を向上させることができる。
【0029】
なお、両面接着テープ32a、32bの代わりに接着剤を用いてもよく、スペーサ25を裏面部分24に接着し、クリップ18をユニット端部17に接着できれば、他の接着剤を用いても差し支えない。
【0030】
図4に示されるように、スペーサ固定部26は、フェンダーパネル11の裏面部分24に密着する密着部31と、パネル端部21に設けられた固定穴33に引っ掛かる固定爪35と、この固定爪35からコの字状に曲がり、パネル端部21を下側から押さえる押さえ部36とからなる。この押さえ部36には、固定爪35が入り込む逃げ穴37が設けられている。
【0031】
図5に示されるように、クリップ18のクリップ側固定部22は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部38を有する。なお、実施例においては、切り欠き部38をクリップ側固定部22の片側に設けたが、反対側又は両側に設けてもよく、作用した衝撃力により破断すれば切り欠き部38をクリップ側固定部22の他の場所に設けても差し支えない。
【0032】
図6に示されるように、互いに接着される、クリップ18の接着面41とユニット端部17の接着面42うち、ユニット端部17の接着面42は、凹凸に形成されている。これにより、クリップ18接着強度を調整し、クリップ18に作用した衝撃力により適切にクリップ18がユニット端部17から外れるようにすることができる。なお、各々の接着面42の凸形状部分は5列とすることで接着面積を調整したが、これに限定されず、4列、6列等、あるいは格子状でもよく、クリップ18の必要な接着強度に応じて接着面積を調整すれば問題ない。
【0033】
次に図6の別態様について説明する。
図7に示されるように、互いに接着される、クリップ18の接着面41とユニット端部17(図6参照)の接着面42(図6参照)うち、クリップ18の接着面41は、凹凸に形成されている。これにより、クリップ18接着強度を調整し、クリップ18に作用した衝撃力により適切にクリップ18がユニット端部17から外れるようにすることができる。なお、図6と同様に、各々の接着面41の凸形状部分は5列とすることで接着面積を調整したが、これに限定されず、4列、6列等、あるいは格子状でもよく、クリップ18の必要な接着強度に応じて接着面積を調整すれば問題ない。
【0034】
次に図3の別態様について説明する。なお、図3に示した構成と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
図8に示されるように、スペーサ25の被挿入部28は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部43を有している。これにより、衝突等の大きな衝撃が加わった際、スペーサ25の切欠き部43が破断するので、ランプユニット12とフェンダーパネル11が離脱され、ランプユニット12を衝撃力から保護することができる。加えて、フェンダーパネル11の端部を切り欠き部43に突き当てることでスペーサ25の位置決めを容易に行うことができる。
【0035】
次に図4の別態様について説明する。
図9に示されるように、固定爪35の断面部分において、スペーサ25は、固定爪35と押さえ部36に挟まれる形態でフェンダーパネル11のパネル端部21に固定されている。図4に示されるスペーサ25は、密着部31を有するが、図9におけるスペーサ25は密着部31を小さくでき、スペーサ25のフェンダーパネル11への固定を容易にすることができる。
【実施例2】
【0036】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。なお、図2に示した構成と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
図10に示されるように、フェンダーパネル11のパネル端部21は、裏面部分24にユニット端部17に臨む貫通孔51を有する。
クリップ52は、貫通孔51に挿入可能な突起部53と、この突起部53を貫通孔51に挿入したときに貫通孔51の縁54に掛け止まる爪部55と、を有する。
【0037】
ランプユニット12は、フェンダーパネル11に対して対向するユニット端部17に、クリップ52が矢印(4)のように接着によって取付けられる。突起部53を矢印(5)のように貫通孔51に挿入することで、ランプユニット12がフェンダーパネル11に対して位置決めされる。
【0038】
図11(a)は比較例のランプユニット位置決め構造を説明する断面図であり、ランプユニット110のユニット端部111に突起112が設けられている。この突起112にカップ113を被せた状態で、フェンダーパネル114の貫通孔115に突起112が挿入されている。これによって、図左右方向及び図表裏方向の位置決めが為される。しかし、図上下方向の位置決めができないため、ユニット端部111とフェンダーパネル114の隙間を一定に保つことが難しい。
【0039】
図11(b)は実施例にランプユニット位置決め構造を説明する断面図であり、突起部53は切り欠き部56を有している。また、突起部53が貫通孔51の縁54に掛けられている。これにより、図上下方向の位置決めも為され、ユニット端部17とフェンダーパネル11の隙間を一定に保つことができる。
【0040】
以上に述べたランプユニットの位置決め構造の作用効果を以下に記載する。
上記の図2に示されるように、車体10のフェンダーパネル11と、車体10に取付けられるランプユニット12と、を有し、ランプユニット12は、フェンダーパネル11に対して対向するユニット端部17に、クリップ18を接着によって取付けるものであり、このクリップ18は、フェンダーパネル11においてユニット端部17に対向するパネル端部21の裏面部分24に対し、ユニット端部17を位置決めし且つ固定する構成である。
【0041】
この構成により、ランプユニット12自体にクリップ形状を一体成形することは困難であるが、本発明では接着によりランプユニット12にクリップ18を設けることができる。ランプユニット12はフェンダーパネル11に対してクリップ18により位置決めされているので、組付け時にフェンダーパネル11とランプユニット12の位置関係を一定に保つことができ、フェンダーパネル11とランプユニット12との離脱を抑制できる。加えて、衝撃力が作用したときには、ランプユニット12がフェンダーパネル11から離脱することができる。この結果、ランプユニット12を衝撃力から保護することができる。
さらには、フェンダーパネル11に対してランプユニット12を適切に位置決めできる。このため、フェンダーパネル11に対するランプユニット12の位置ずれを規制することができる。
【0042】
上記の図2、図5に示されるように、クリップ18は、フェンダーパネル11のパネル端部21に固定されるクリップ側固定部22を有し、このクリップ側固定部22は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部38を有している。
この構成により、衝突等の大きな衝撃が加わった際に切欠き部38によりクリップ18が破断するので、ランプユニット12をフェンダーパネル11から離脱させることができ、この結果、ランプユニット12を衝撃力から保護することができる。
【0043】
上記の図6、図7に示されるように、互いに接着される、クリップ18の接着面41とユニット端部17の接着面42との、少なくとも一方は、凹凸に形成されている。
この構成により、接着面41、42を全面ではなく凹凸としたので、接着力を調整することが容易でき、衝突時の衝撃力によりクリップ18が剥がれる。結果、ランプユニット12とフェンダーパネル11が離脱され、軽衝突時のランプユニット12の変位がフェンダーパネル11に伝わらないので、フェンダーパネル11を保護することができると共に、ランプユニット12を衝撃力から保護することができる。
【0044】
上記の図2に示されるように、クリップ18は、フェンダーパネル11の裏面部分24にスペーサ25によって固定されるものであり、このスペーサ25は、裏面部分24に固定可能なスペーサ固定部26と、このスペーサ固定部26に対して車体前後方向からクリップ18の挿入部分27を挿入可能な被挿入部28と、からなる。
この構成により、スペーサ25にクリップ18を挿入するので、クリップ18を含むランプユニット12を外側から容易に組付けることができ、生産性を向上することができる。
【0045】
上記の図8に示されるように、被挿入部28は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部43を有している。
この構成により、衝突等の大きな衝撃が加わった際、スペーサ25の切欠き部43が破断するので、ランプユニット12とフェンダーパネル11が離脱され、この結果、ランプユニット12を衝撃力から保護することができる。
【0046】
上記の図10、図11に示されるように、パネル端部21の裏面部分24は、ユニット端部17に臨む貫通孔51を有し、クリップ52は、貫通孔51に挿入可能な突起部53と、この突起部53を貫通孔51に挿入したときにこの貫通孔51の縁54に掛け止まる爪部55とを有し、この爪部55は、突起部53に一体に形成されている。
【0047】
この構成により、ランプユニット自体に爪を有する突起を一体成形することは困難であるが、本発明では、クリップ18に爪部55を有する突起部53を形成するので、最小限の部品によりランプユニット12とフェンダーパネル11を固定することができる。
【0048】
尚、本発明のランプユニットの位置決め構造は、実施の形態ではヘッドライトに適用したが、ブレーキランプやテールランプにも適用可能であり、一般車両のランプユニットに適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のランプユニットの位置決め構造は、車両のヘッドライトの位置決め構造に好適である。
【符号の説明】
【0050】
10…車体、11…フェンダーパネル、12…ランプユニット、17…ユニット端部、18、52…クリップ、21…パネル端部、22…クリップ側固定部、24…裏面部分、25…スペーサ、26…スペーサ固定部、27…挿入部分、28…被挿入部分、38、43…切り欠き部、41、42…接着面、51…貫通孔、53…突起部、54…縁、55…爪部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のフェンダーパネルと、前記車体に取付けられるランプユニットとを有し、
このランプユニットは、前記フェンダーパネルに対して対向するユニット端部に、クリップを接着によって取付けるものであり、
このクリップは、前記フェンダーパネルにおいて前記ユニット端部に対向するパネル端部の裏面部分に対し、前記ユニット端部を位置決めし且つ固定する構成であることを特徴とするランプユニット位置決め構造。
【請求項2】
前記クリップは、前記フェンダーパネルの前記パネル端部に固定されるクリップ側固定部を有し、
このクリップ側固定部は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部を有していることを特徴とする請求項1記載のランプユニット位置決め構造。
【請求項3】
互いに接着される、前記クリップの接着面と前記ユニット端部の接着面との、少なくとも一方は、凹凸に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のランプユニット位置決め構造。
【請求項4】
前記クリップは、前記フェンダーパネルの前記裏面部分にスペーサによって固定されるものであり、
このスペーサは、前記裏面部分に固定可能なスペーサ固定部と、このスペーサ固定部に対して車体前後方向から前記クリップの挿入部分を挿入可能な被挿入部と、からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のランプユニット位置決め構造。
【請求項5】
前記被挿入部は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部を有していることを特徴とする請求項4記載のランプユニット位置決め構造。
【請求項6】
前記パネル端部の前記裏面部分は、前記ユニット端部に臨む貫通孔を有し、
前記クリップは、前記貫通孔に挿入可能な突起部と、この突起部を前記貫通孔に挿入したときにこの貫通孔の縁に掛け止まる爪部とを有し、
この爪部は、前記突起部に一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載のランプユニット位置決め構造。
【請求項1】
車体のフェンダーパネルと、前記車体に取付けられるランプユニットとを有し、
このランプユニットは、前記フェンダーパネルに対して対向するユニット端部に、クリップを接着によって取付けるものであり、
このクリップは、前記フェンダーパネルにおいて前記ユニット端部に対向するパネル端部の裏面部分に対し、前記ユニット端部を位置決めし且つ固定する構成であることを特徴とするランプユニット位置決め構造。
【請求項2】
前記クリップは、前記フェンダーパネルの前記パネル端部に固定されるクリップ側固定部を有し、
このクリップ側固定部は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部を有していることを特徴とする請求項1記載のランプユニット位置決め構造。
【請求項3】
互いに接着される、前記クリップの接着面と前記ユニット端部の接着面との、少なくとも一方は、凹凸に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のランプユニット位置決め構造。
【請求項4】
前記クリップは、前記フェンダーパネルの前記裏面部分にスペーサによって固定されるものであり、
このスペーサは、前記裏面部分に固定可能なスペーサ固定部と、このスペーサ固定部に対して車体前後方向から前記クリップの挿入部分を挿入可能な被挿入部と、からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のランプユニット位置決め構造。
【請求項5】
前記被挿入部は、作用した衝撃力により破断可能な切り欠き部を有していることを特徴とする請求項4記載のランプユニット位置決め構造。
【請求項6】
前記パネル端部の前記裏面部分は、前記ユニット端部に臨む貫通孔を有し、
前記クリップは、前記貫通孔に挿入可能な突起部と、この突起部を前記貫通孔に挿入したときにこの貫通孔の縁に掛け止まる爪部とを有し、
この爪部は、前記突起部に一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載のランプユニット位置決め構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−71652(P2012−71652A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217043(P2010−217043)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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