説明

リグニン焚き発電プラント

【課題】水分を多く含んだリグニンを主成分とする残渣を用いるリグニン焚き発電プラントにおいて、発電効率をより一層向上させることができるリグニン焚き発電プラントを提供する。
【解決手段】リグニン焚き発電プラント1は、リグニンを燃料とするボイラシステム2と、蒸気タービン3と、発電機4とを備えている。このうちボイラシステム2は、リグニンを乾燥する乾燥機構10aと、乾燥機構10aに連結され、乾燥されたリグニンを粉砕する粉砕機構10bと、粉砕機構10bに連結され、燃焼用空気が燃焼用空気供給ライン41から供給されて、粉砕されたリグニンを燃焼する燃焼機構11とを有している。また燃焼機構11内に、燃焼機構11において生成された燃焼ガスにより、蒸気を過熱する蒸気過熱機構12が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグノセルロースからエタノールを製造する場合に生成されるリグニンを燃料とするリグニン焚きボイラシステムと、ボイラシステムに連結され、ボイラシステムにおいて過熱された蒸気が機械仕事を行う蒸気タービンと、蒸気タービンに連結され、蒸気タービンの回転仕事を電力に変換する発電機とを備えたリグニン焚き発電プラントに係り、とりわけ、リグニンを乾燥して粉砕することにより、発電効率をより一層向上させることができるリグニン焚き発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地球温暖化対策として、バイオエタノールを利用することが促進されている。バイオエタノールを製造する場合、食料と競合することがない木材、稲わら、またはトウモロコシの茎などに含まれるリグノセルロースを用いることが望ましい。
【0003】
リグノセルロースの主な成分として、セルロースと、ヘミセルロースと、リグニンとが挙げられる。このうちリグニンは、セルロースおよびヘミセルロースの糖化過程において障害になることが多い。
【0004】
このため、リグノセルロースからエタノールを製造する際、リグノセルロースを前処理してリグニンを分離する必要がある。この前処理をする方法として、酸処理法、アルカリ処理方法、蒸煮爆砕法、機械的粉砕法などが知られている。また、熱水処理と粉砕機処理とを組み合わせて、セルロースを効率的に酵素糖化する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、木材に、リグニンが20〜40%存在することが知られている。このことにより、木材に含まれるリグノセルロースからエタノールを製造する場合、リグニン、または低次元化したリグニンを主成分とする残渣が大量に生じる。
【0006】
このように大量に生じたリグニンまたは低次元化したリグニンを主成分とする残渣を有効利用するために、リグニンを燃料とするボイラを設置して、ボイラから高温高圧蒸気をエタノール製造プラントに供給するとともに、余剰の高温高圧蒸気を発電プラントに供給することが示されている(例えば、非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−136263号公報
【非特許文献1】「バイオマスエネルギー高効率転換技術開発/セルロース系バイオマスを原料とする新規なエタノール醗酵技術等により燃料用エタノールを製造する技術の開発」平成13年度〜平成17年度成果報告書(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、乾燥時におけるリグニンの発熱量は、一般に5000kcal/kg程度の比較的高い発熱量を有しているが、エタノールを製造する際に生成されるリグニンを主成分とする残渣は、一般に水分を50%以上含んでいる。このため、高い発熱量を有するにもかかわらず、リグニンを燃料とする発電プラントの発電効率を向上させることが困難になっている。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、水分を多く含んだリグニンを主成分とする残渣を用いるリグニン焚き発電プラントにおいて、発電効率をより一層向上させることができるリグニン焚き発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、リグノセルロースからエタノールを製造する場合に生成されるリグニンを燃料とするボイラシステムと、ボイラシステムに連結され、ボイラシステムにおいて過熱された蒸気が機械仕事を行う蒸気タービンと、蒸気タービンに連結され、蒸気タービンの回転仕事を電力に変換する発電機とを備えたリグニン焚き発電プラントにおいて、ボイラシステムは、リグニンを乾燥する乾燥機構と、乾燥機構に連結され、乾燥されたリグニンを粉砕する粉砕機構と、粉砕機構に連結され、燃焼用空気が燃焼用空気供給ラインから供給されて、粉砕されたリグニンを燃焼する燃焼機構と、燃焼機構内に設けられ、燃焼機構において生成された燃焼ガスにより、蒸気を過熱する蒸気過熱機構と、を有することを特徴とするリグニン焚き発電プラントである。
【0010】
本発明は、燃焼機構から排出される排ガスが乾燥機構に供給されて、リグニンを乾燥することを特徴とするリグニン焚き発電プラントである。
【0011】
本発明は、乾燥機構および粉砕機構は単一の乾燥粉砕機を構成し、乾燥粉砕機は、排ガスを用いてリグニンを乾燥するとともに、リグニンを粉砕することを特徴とするリグニン焚き発電プラントである。
【0012】
本発明は、リグニンの乾燥に用いられる排ガスの温度が、260℃〜320℃であることを特徴とするリグニン焚き発電プラントである。
【0013】
本発明は、燃焼機構から排出される排ガスと、乾燥用空気供給ラインから供給される乾燥用空気とが熱交換する空気予熱器を更に有し、空気予熱器によって加熱された乾燥用空気が、乾燥用空気供給ラインから乾燥機構に供給されて、リグニンを乾燥することを特徴とするリグニン焚き発電プラントである。
【0014】
本発明は、乾燥機構および粉砕機構は単一の乾燥粉砕機を構成し、乾燥粉砕機は、空気予熱器によって加熱された乾燥用空気を用いてリグニンを乾燥するとともに、リグニンを粉砕することを特徴とするリグニン焚き発電プラントである。
【0015】
本発明は、リグニンの乾燥に用いられる乾燥用空気の温度が、260℃〜320℃であることを特徴とするリグニン焚き発電プラントである。
【0016】
本発明は、燃焼機構において生成された燃焼ガスが乾燥機構に供給されて、リグニンを乾燥することを特徴とするリグニン焚き発電プラントである。
【0017】
本発明は、乾燥機構および粉砕機構は単一の乾燥粉砕機を構成し、乾燥粉砕機は、燃焼ガスを用いてリグニンを乾燥するとともに、リグニンを粉砕することを特徴とするリグニン焚き発電プラントである。
【0018】
本発明は、乾燥粉砕機は、ハンマミルまたはビータミルからなることを特徴とするリグニン焚き発電プラントである。
【0019】
本発明は、乾燥機構の上流側に、リグニンを脱水処理する脱水処理機構が設けられることを特徴とするリグニン焚き発電プラントである。
【0020】
本発明は、粉砕機構と燃焼機構との間に、粉砕機構により粉砕されたリグニンを貯蔵する貯蔵機構が連結されることを特徴とするリグニン焚き発電プラントである。
【0021】
本発明は、燃焼機構に、微粉炭を供給する微粉炭供給機が連結されることを特徴とするリグニン焚き発電プラントである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ボイラシステムの乾燥機構においてリグニンが乾燥され、乾燥されたリグニンが粉砕機構において粉砕されて、燃焼機構において燃焼用空気供給ラインから供給される空気とともに粉砕されたリグニンが燃焼する。このことにより、リグニンの燃焼効率をより一層向上させることができる。また、燃焼機構において生成された燃焼ガスを用いて蒸気過熱機構の蒸気が過熱され、蒸気タービンにおいて過熱された蒸気が機械仕事を行い、発電機が蒸気タービンの回転仕事を電力に変換する。このため、リグニンを燃料として用いるリグニン焚き発電プラントの発電効率をより一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。ここで、図1は、本発明におけるリグニン焚き発電プラントの第1の実施の形態おいてリグニン焚き発電プラントの全体構成を示す図である。
【0024】
まず、図1により、本発明におけるリグニン焚き発電プラント1について説明する。ここで、リグニン焚き発電プラント1は、リグノセルロースからエタノールを製造する際に生成されるリグニンを主成分とする残渣(以下、リグニンと記す)を燃焼させて発電させるためのものである。
【0025】
図1に示すようにリグニン焚き発電プラント1は、リグニンを燃料とするボイラシステム2と、ボイラシステム2に連結され、ボイラシステム2において過熱された蒸気が機械仕事を行う蒸気タービン3と、蒸気タービン3に連結され、蒸気タービン3の回転仕事を電力に変換する発電機4とを備えている。
【0026】
このうち、ボイラシステム2は、リグニンを乾燥する(乾燥機構10a)とともに、リグニンを微粉状に粉砕する(粉砕機構10b)リグニン粉砕ミル10(乾燥粉砕機)と、リグニン粉砕ミル10に連結され、燃焼用空気が燃焼用空気供給ライン41(後述)から供給されて、粉砕されたリグニンを燃焼する火炉11(燃焼機構)とを有している。このうちリグニン粉砕ミル10は、ハンマミルまたはビータミルからなっている。また、火炉11内に、火炉11において生成された燃焼ガスにより、蒸気を過熱する過熱器12(蒸気過熱機構)が設けられ、この過熱器12は蒸気タービン3に連結されている。
【0027】
なお、リグニン粉砕ミル10に、後述するように火炉11から排出される排ガスが供給され、リグニン粉砕ミル10において、この排ガスを用いてリグニンを乾燥するようになっている。
【0028】
また、リグニン粉砕ミル10の上流側に、リグニンを脱水処理する遠心分離機13(脱水処理機構)が設けられ、遠心分離機13とリグニン粉砕ミル10との間に、脱水処理されたリグニンを貯蔵するリグニン貯蔵バンカ14が連結されている。このリグニン貯蔵バンカ14は、貯蔵されたリグニンをリグニン粉砕ミル10へ送るリグニン給炭機(図示せず)を含んでいる。
【0029】
また、リグニン粉砕ミル10に、排ガスとともに送られてきたリグニンを、排ガスから採取するバグフィルタ15が連結され、バグフィルタ15に、採取されたリグニンを貯蔵する微粉リグニンビン16(貯蔵機構)が連結されている。なお、リグニンを採取するために、バグフィルタ15の代わりに分離器(サイクロン)を用いてもよい。また、微粉リグニンビン16に、貯蔵されたリグニンを火炉11側へ供給する微粉リグニン供給機17が連結され、この微粉リグニン供給機17に、バーナー18を介して火炉11が連結されている。すなわち、この微粉リグニン供給機17に、後述するリグニン用一次通風機34とバーナー18との間に連結され、リグニンと燃焼用空気とが混合されるリグニン用混合ライン36が連結されて、火炉11に連結されるようになっている。
【0030】
また、火炉11においてリグニンの燃焼を補助するために、火炉11に供給する微粉炭を貯蔵する微粉炭ビン19が設けられている。この微粉炭ビン19に、貯蔵された微粉炭を火炉11側へ供給する微粉炭供給機20が連結され、この微粉炭供給機20に、バーナー18を介して火炉11が連結されている。すなわち、この微粉炭供給機20に、後述する微粉炭用一次通風機35とバーナー18との間に連結され、微粉炭と燃焼用空気とが混合される微粉炭用混合ライン37が連結されて、火炉11に連結されるようになっている。
【0031】
また、火炉11に、火炉11から排出される排ガスと空気とが熱交換する空気予熱器21が連結され、この空気予熱器21に電気集塵機22が連結されている。また、火炉11と空気予熱器21との間に第1ボイラ煙道23が連結され、空気予熱器21と電気集塵機22との間に第2ボイラ煙道24が連結されている。
【0032】
また、第1ボイラ煙道23から分岐して、排ガスの流量を調整する第1排ガス制御ダンパ25を含む第1分岐ライン25aが連結されるとともに、第2ボイラ煙道24から分岐して、排ガスの流量を調整する第2排ガス制御ダンパ26を含む第2分岐ライン26aが連結されている。また、第1排ガス制御ダンパ25および第2排ガス制御ダンパ26に、排ガス供給ライン27を介してリグニン粉砕ミル10が連結され、リグニン粉砕ミル10に排ガスが供給されるようになっている。
【0033】
また、排ガス供給ライン27に、排ガス供給ライン27を通る排ガスの温度を計測する温度計器28が連結されている。この温度計器28により計測された排ガスの温度に基づいて、第1排ガス制御ダンパ25および第2排ガス制御ダンパ26を制御する制御部29が設けられ、この制御部29に、温度計器28、第1排ガス制御ダンパ25、および第2排ガス制御ダンパ26が各々接続され、この制御部29により制御される。このようにして制御部29は、第1排ガス制御ダンパ25を通る比較的高温の排ガスの流量と、第2排ガス制御ダンパ26を通る比較的低温の排ガスの流量とを各々調整して、リグニン粉砕ミル10に供給される排ガスの温度を調整することができる。なお、リグニンの乾燥に用いられる排ガスの温度は、ボイラシステムのヒートバランスに整合して260℃〜320℃であることが望ましく、とりわけ約300℃であることが好適である。
【0034】
また、リグニン粉砕ミル10に連結されたバグフィルタ15に、バグフィルタ15を通過した排ガスを第2ボイラ煙道24に戻す排気通風機30が連結されている。
【0035】
一方、空気予熱器21に、第1空気取込ライン38を介して、空気予熱器21に向けて燃焼用空気を取り込んで送る押込通風機31が連結され、この第1空気取込ライン38から分岐して第1燃焼用空気制御ダンパ32を含む第3空気取込ライン40が連結されている。また、空気予熱器21に、第2空気取込ライン39を介して第2燃焼用空気制御ダンパ33が連結されている。これらの第1燃焼用空気制御ダンパ32および第2燃焼用空気制御ダンパ33は、制御部29に各々接続され、この制御部29により制御される。このように制御部29は、第1燃焼用空気制御ダンパ32を通る比較的低温の燃焼用空気の流量と、第2燃焼用空気制御ダンパ33を通る比較的高温の燃焼用空気の流量とを各々調整して、火炉11に供給される燃焼用空気の温度を調整することができる。
【0036】
また第1燃焼用空気制御ダンパ32および第2燃焼用空気制御ダンパ33に、燃焼用空気供給ライン41が連結され、この燃焼用空気供給ライン41に、リグニン用一次通風機34および微粉炭用一次通風機35が各々連結されている。
【0037】
また、リグニン用一次通風機34に、リグニン用混合ライン36を介してバーナー18が連結されている。このように、リグニン用混合ライン36において、空気予熱器21において加熱された燃焼用空気と、微粉リグニン供給機17から供給されるリグニンとが混合され、バーナー18へ送られるようになっている。
【0038】
同様に、微粉炭用一次通風機35に、微粉炭用混合ライン37を介してバーナー18が連結されている。このように、微粉炭用混合ライン37において、空気予熱器21において加熱された燃焼用空気と、微粉炭供給機20から供給される微粉炭とが混合されて、バーナー18へ送られるようになっている。
【0039】
また、図1に示すように、本実施の形態によるリグニン焚き発電プラント1に、リグノセルロースからエタノールを製造するエタノール製造プラント70が併設されている。すなわち、エタノール製造プラント70から生成されるリグニンは、リグニン焚き発電プラント1の遠心分離機13に供給されるとともに、過熱器12において過熱された蒸気は、エタノール製造プラント70に供給されるようになっている。
【0040】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0041】
まず、図1に示すように、リグニン焚き発電プラント1に併設されたエタノール製造プラント70においてリグノセルロースから分離されたリグニンが、リグニン焚き発電プラント1の遠心分離機13に供給されて脱水処理される。次に、脱水処理されたリグニンはリグニン貯蔵バンカ14へ送られて貯蔵される。次に、リグニン貯蔵バンカ14に貯蔵されたリグニンは、リグニン貯蔵バンカ14のリグニン給炭機(図示せず)を用いてリグニン粉砕ミル10に送られる。一方、リグニン粉砕ミル10に、排ガス供給ライン27を介して後述する排ガスが供給される。
【0042】
次に、リグニン粉砕ミル10において、リグニンは、供給された排ガスにより乾燥されるとともに微粉状に粉砕される。その後、粉砕されたリグニンは、供給された排ガスの流れに乗ってバグフィルタ15へ送られる。
【0043】
次に、バグフィルタ15へ排ガスとともに送られてきたリグニンはバグフィルタ15において採取され、微粉リグニンビン16に送られて貯蔵される。一方排ガスは、バグフィルタ15内を通過し、バグフィルタ15に連結された排気通風機30を用いて、第2ボイラ煙道24を介して電気集塵機22に送られる。
【0044】
次に、微粉リグニンビン16に貯蔵されたリグニンは、微粉リグニン供給機17を用いてリグニン用混合ライン36に送られる。その後、リグニン用混合ライン36において後述する燃焼用空気と混合されて、バーナー18を介して火炉11へ送られる。このことにより、ボイラシステム2の運転状況に応じて、火炉11に送るリグニンの量を調整することができ、ボイラシステム2の運用性を向上させることができる。
【0045】
同時に、微粉炭ビン19に貯蔵された微粉炭は、微粉炭供給機20により微粉炭用混合ライン37に送られる。その後、微粉炭用混合ライン37において後述する燃焼用空気と混合されて、バーナー18を介して火炉11へ送られる。このことにより、火炉11におけるリグニンの燃焼が補助され、ボイラシステムの熱効率を向上させることができる。また、ボイラシステム2の運転状況に応じて、火炉11に送る微粉炭の量を調整することができ、ボイラシステム2の運用性を向上させることができる。
【0046】
一方、燃焼用空気は押込通風機31において取り込まれ、押込通風機31から第1空気取込ライン38および第3空気取込ライン40を介して第1燃焼用空気制御ダンパ32に送られると共に、押込通風機31から第1空気取込ライン38を介して空気予熱器21に送られる。第1燃焼用空気制御ダンパ32に送られた燃焼用空気は、燃焼用空気供給ライン41へ送られる。同時に、空気予熱器21に送られた燃焼用空気は、空気予熱器21において後述する排ガスと熱交換して加熱され、第2空気取込ライン39および第2燃焼用空気制御ダンパ33を介して燃焼用空気供給ライン41へ送られる。この間、制御部29により第1燃焼用空気制御ダンパ32および第2燃焼用空気制御ダンパ33が制御され、第1燃焼用空気制御ダンパ32および第2燃焼用空気制御ダンパ33を通る燃焼用空気の流量が各々調整される。このことにより、火炉11においてリグニンの燃焼に用いられる燃焼用空気の温度を調整することができる。
【0047】
次に、燃焼用空気供給ライン41に送られた燃焼用空気は、リグニン用一次通風機34を用いてリグニン用混合ライン36に送られ、微粉リグニン供給機17から供給されるリグニンと混合される。その後、リグニンと混合された燃焼用空気は、バーナー18を介して火炉11へ送られる。同時に、燃焼用空気が、微粉炭用一次通風機35を用いて微粉炭用混合ライン37に送られ、微粉炭供給機20から供給される微粉炭と混合される。その後、微粉炭と混合された燃焼用空気は、バーナー18を介して火炉11へ送られる。
【0048】
次に、燃焼用空気と各々混合されたリグニンおよび微粉炭は、火炉11内において燃焼する。このことにより過熱器12内の蒸気は、火炉11内の輻射熱を受けるとともに高温の燃焼ガスから熱を受けて過熱される。次に、過熱器12内で過熱された蒸気は、過熱器12に連結された蒸気タービン3に供給されて機械仕事を行い、蒸気タービン3に連結された発電機4において、蒸気タービン3の回転仕事が電力に変換される。
【0049】
同時に、過熱器12内において過熱された蒸気は、リグニン焚き発電プラント1に併設されたエタノール製造プラント70に供給されて使用される。このことにより、過熱器12内において過熱された蒸気を余すことなく有効に利用することができる。
【0050】
一方、火炉11から排出される排ガスは、第1ボイラ煙道23を介して空気予熱器21に送られる。次に、空気予熱器21に送られた排ガスは、上述したように燃焼用空気と熱交換し、その後第2ボイラ煙道24を介して電気集塵機22に送られ、電気集塵機22から排出される。
【0051】
この間、第1ボイラ煙道23から分岐して連結された第1排ガス制御ダンパ25を含む第1分岐ライン25a、および第2ボイラ煙道24から分岐して連結された第2排ガス制御ダンパ26を含む第2分岐ライン26aに排ガスが各々送られる。その後排ガスは、上述したように排ガス供給ライン27を介してリグニン粉砕ミル10に供給される。ここで、リグニン粉砕ミル10に供給される排ガスの温度は、排ガス供給ライン27に連結された温度計器28を用いて計測される。この温度計器28を用いて計測された排ガスの温度に基づいて、制御部29により第1排ガス制御ダンパ25および第2排ガス制御ダンパ26が制御され、第1排ガス制御ダンパ25および第2排ガス制御ダンパ26を通る排ガスの流量が各々調整される。このことにより、リグニンの乾燥に用いられる排ガスの温度が、260℃〜320℃、とりわけ約300℃に調整され、リグニンを確実に乾燥させることができる。
【0052】
このように本実施の形態によれば、水分を多く含んだリグニンは、遠心分離機13において脱水処理されるとともに、リグニン粉砕ミル10において供給された排ガスにより乾燥される。このことにより、水分を多く含んだリグニンから、水分を確実に除去することができる。また、乾燥されたリグニンはリグニン粉砕ミル10において微粉状にされて、火炉11において供給された微粉炭および燃焼用空気とともに燃焼する。このことにより、リグニンの燃焼効率をより一層向上させることができる。また、火炉11において生成された燃焼ガスを用いて過熱器12内の蒸気が過熱され、蒸気タービン3において過熱された蒸気が機械仕事を行い、発電機4が蒸気タービン3の回転仕事を電力に変換する。このため、水分を多く含むリグニンを燃料として用いるリグニン焚き発電プラント1の発電効率をより一層向上させることができる。
【0053】
第2の実施の形態
次に、図2により、本発明の第2の実施の形態におけるリグニン焚き発電プラントについて説明する。ここで、図2は、本発明の第2の実施の形態におけるリグニン焚き発電プラントの全体構成を示す図である。
【0054】
図2に示す第2の実施の形態におけるリグニン焚き発電プラント1は、リグニンを乾燥するために乾燥用空気を用いている点が異なるが、他の構成は図1に示す第1の実施の形態と略同一である。図2において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0055】
図2に示すように、遠心分離機13に、乾燥機50(ドライヤ)が連結され、この乾燥機50に後述する乾燥用空気が供給されて、脱水処理されたリグニンが予め乾燥されるようになっている。また乾燥機50に、予め乾燥されたリグニンを貯蔵するリグニン貯蔵バンカ14が連結されている。このリグニン貯蔵バンカ14は、貯蔵されたリグニンをリグニン粉砕ミル10へ送るリグニン給炭機(図示せず)を含んでいる。
【0056】
また、燃焼用空気の一部を乾燥用空気として用いるために、第1空気取込ライン38から分岐して、乾燥用空気の流量を調整する第1乾燥用空気制御ダンパ51を含む第1分岐ライン51aが連結されるとともに、第2空気取込ライン39から分岐して、乾燥用空気の流量を調整する第2乾燥用空気制御ダンパ52を含む第2分岐ライン52aが連結されている。また、第1乾燥用空気制御ダンパ51および第2乾燥用空気制御ダンパ52に、第1乾燥用空気供給ライン53(乾燥用空気供給ライン)を介して乾燥機50が連結され、乾燥機50に乾燥用空気が供給されるようになっている。さらに、乾燥機50に第2乾燥用空気供給ライン54(乾燥用空気供給ライン)を介してリグニン粉砕ミル10が連結され、リグニン粉砕ミル10に乾燥用空気が供給されるようになっている。このようにして、リグニン粉砕ミル10に乾燥用空気が供給され、リグニン粉砕ミル10において、この乾燥用空気を用いてリグニンを乾燥するようになっている。
【0057】
また、第1乾燥用空気供給ライン53に、第1乾燥用空気供給ライン53を通る乾燥用空気の温度を計測する温度計器28が連結されている。また温度計器28、第1乾燥用空気制御ダンパ51、および第2乾燥用空気制御ダンパ52に制御部29が接続され、この温度計器28により計測された乾燥用空気の温度に基づいて、制御部29により第1乾燥用空気制御ダンパ51および第2乾燥用空気制御ダンパ52が制御される。このように、制御部29により第1乾燥用空気制御ダンパ51を通る比較的低温の乾燥用空気の流量と、第2乾燥用空気制御ダンパ52を通る比較的高温の乾燥用空気の流量とを各々調整して、乾燥機50およびリグニン粉砕ミル10に供給される乾燥用空気の温度を調整することができる。なお、リグニンの乾燥に用いられる乾燥用空気の温度は、260℃〜320℃であることが望ましく、とりわけ約300℃であることが好適である。
【0058】
また、リグニン粉砕ミル10に連結されたバグフィルタ15に、バグフィルタ15を通過した乾燥用空気をバーナー18に送る乾燥用空気通風機55が連結されている。
【0059】
図2において、遠心分離機13に連結された乾燥機50に、遠心分離機13において脱水処理されたリグニンが送られるともに、第1乾燥用空気供給ライン53を介して、後述する乾燥用空気が供給されて、リグニンが乾燥される。
【0060】
乾燥されたリグニンはリグニン貯蔵バンカ14へ送られ、リグニン貯蔵バンカ14に貯蔵される。次に、リグニン貯蔵バンカ14に貯蔵されたリグニンは、リグニン貯蔵バンカ14のリグニン給炭機(図示せず)を用いてリグニン粉砕ミル10に送られる。この間、乾燥機50においてリグニンを乾燥させた乾燥用空気は、第2乾燥用空気供給ライン54を介してリグニン粉砕ミル10に供給される。
【0061】
次に、リグニン粉砕ミル10において、リグニンは供給された乾燥用空気により再び乾燥されるとともに微粉状に粉砕される。その後、粉砕されたリグニンは、供給された乾燥用空気の流れに乗ってバグフィルタ15へ送られる。
【0062】
次に、バグフィルタ15へ乾燥用空気とともに送られてきたリグニンはバグフィルタ15に採取され、微粉リグニンビン16に送られて貯蔵される。一方乾燥用空気は、バグフィルタ15を通過し、バグフィルタ15に連結された乾燥用空気通風機55を用いてバーナー18へ送られる。このことにより、予熱された乾燥用空気を余すことなく有効に利用することができる。
【0063】
一方、第1空気取込ライン38から分岐して連結された第1乾燥用空気制御ダンパ51を含む第1分岐ライン51a、および第2空気取込ライン39から分岐して連結された第2乾燥用空気制御ダンパ52を含む第2分岐ライン52aに乾燥用空気が各々送られる。その後乾燥用空気は、上述したように第1乾燥用空気供給ライン53を介して乾燥機50に送られ、さらに第2乾燥用空気供給ライン54を介してリグニン粉砕ミル10に供給される。ここで、乾燥機50およびリグニン粉砕ミル10に供給される乾燥用空気の温度は、第1乾燥用空気供給ライン53に連結された温度計器28を用いて計測される。この温度計器28を用いて計測された乾燥用空気の温度に基づいて、制御部29により第1乾燥用空気制御ダンパ51および第2乾燥用空気制御ダンパ52における乾燥用空気の流量が各々調整される。このことにより、リグニンの乾燥に用いられる乾燥用空気の温度が、260℃〜320℃、とりわけ約300℃に調整され、リグニンを確実に乾燥させることができる。このように乾燥機50およびリグニン粉砕ミル10において、リグニンが乾燥される。
【0064】
このように本実施の形態によれば、水分を多く含んだリグニンは、遠心分離機13において脱水処理されるとともに、乾燥機50において供給された乾燥用空気を用いて予め乾燥され、さらに、リグニン粉砕ミル10において供給された乾燥用空気を用いて再び乾燥される。このことにより、水分を多く含んだリグニンから、水分を確実に除去することができる。また、リグニンを乾燥するために乾燥用空気を用いているため、乾燥機50などにおいて粉塵などによるトラブルが発生することが少ない。
【0065】
第3の実施の形態
次に、図3により、本発明の第3の実施の形態におけるリグニン焚き発電プラントについて説明する。ここで、図3は、本発明の第3の実施の形態におけるリグニン焚き発電プラントの全体構成を示す図である。
【0066】
図3に示す第3の実施の形態におけるリグニン焚き発電プラント1は、リグニンを乾燥するために燃焼ガスを用いている点が異なるが、他の構成は図1に示す第1の実施の形態と略同一である。図3において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0067】
図3に示すように、遠心分離機13に連結されたリグニン貯蔵バンカ14に、火炉11の上部とリグニン粉砕ミル10との間を連結する燃焼ガス供給ライン60が連結されている。
【0068】
また、第1燃焼用空気制御ダンパ32および第2燃焼用空気制御ダンパ33に、燃焼用空気供給ライン41が連結されこの燃焼用空気供給ライン41に、一次通風機61が連結されている。この一次通風機61にリグニン粉砕ミル10が連結され、一次通風機61により燃焼用空気がリグニン粉砕ミル10に供給されるようになっている。このようにして、リグニン粉砕ミル10に乾燥用空気が供給され、リグニン粉砕ミル10において、この乾燥用空気を用いてリグニンを乾燥するようになっている。
【0069】
また、リグニン粉砕ミル10に、バーナー18が連結されている。
【0070】
図3において、リグニン貯蔵バンカ14のリグニン給炭機(図示せず)から送られたリグニンは、燃焼ガス供給ライン60において、火炉11から供給される燃焼ガスと混合される。この間、燃焼ガス供給ライン60において、リグニンは、600℃を超える比較的高温の燃焼ガスと混合される。このため、リグニンは昇温されて確実に乾燥される。次に、リグニンは、燃焼ガスの流れに乗ってリグニン粉砕ミル10に送られる。一方、燃焼用空気は、燃焼用空気供給ライン41を介して一次通風機61によりリグニン粉砕ミル10に供給される。
【0071】
次に、リグニン粉砕ミル10において、リグニンは、供給された燃焼用空気および燃焼ガスとともにさらに乾燥されるとともに、微粉状に粉砕される。その後、粉砕されたリグニンは、燃焼用空気および燃焼ガスとともに、燃焼ガスの流れに乗ってバーナー18へ送られる。
【0072】
このように本実施の形態によれば、水分を多く含んだリグニンは、燃焼ガス供給ライン60およびリグニン粉砕ミル10において供給された比較的高温の燃焼ガスを用いて乾燥される。このことにより、比較的水分を多く含んだリグニンから、水分を確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態におけるリグニン焚き発電プラントの全体構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施の形態におけるリグニン焚き発電プラントの全体構成を示す図である。
【図3】図3は、本発明の第3の実施の形態におけるリグニン焚き発電プラントの全体構成を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1 リグニン焚き発電プラント
2 ボイラシステム
3 蒸気タービン
4 発電機
10 リグニン粉砕ミル
10a 乾燥機構
10b 粉砕機構
11 火炉
12 過熱器
13 遠心分離機
14 リグニン貯蔵バンカ
15 バグフィルタ
16 微粉リグニンビン
17 微粉リグニン供給機
18 バーナー
19 微粉炭ビン
20 微粉炭供給機
21 空気予熱器
22 電気集塵機
23 第1ボイラ煙道
24 第2ボイラ煙道
25 第1排ガス制御ダンパ
25a 第1分岐ライン
26 第2排ガス制御ダンパ
26a 第2分岐ライン
27 排ガス供給ライン
28 温度計器
29 制御部
30 排気通風機
31 押込通風機
32 第1燃焼用空気制御ダンパ
33 第2燃焼用空気制御ダンパ
34 リグニン用一次通風機
35 微粉炭用一次通風機
36 リグニン用混合ライン
37 微粉炭用混合ライン
38 第1空気取込ライン
39 第2空気取込ライン
40 第3空気取込ライン
41 燃焼用空気供給ライン
50 乾燥機
51 第1乾燥用空気制御ダンパ
51a 第1分岐ライン
52 第2乾燥用空気制御ダンパ
52a 第2分岐ライン
53 第1乾燥用空気供給ライン
54 第2乾燥用空気供給ライン
55 乾燥用空気通風機
60 燃焼ガス供給ライン
61 一次通風機
70 エタノール製造プラント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロースからエタノールを製造する場合に生成されるリグニンを燃料とするボイラシステムと、ボイラシステムに連結され、ボイラシステムにおいて過熱された蒸気が機械仕事を行う蒸気タービンと、蒸気タービンに連結され、蒸気タービンの回転仕事を電力に変換する発電機とを備えた
リグニン焚き発電プラントにおいて、
ボイラシステムは、リグニンを乾燥する乾燥機構と、
乾燥機構に連結され、乾燥されたリグニンを粉砕する粉砕機構と、
粉砕機構に連結され、燃焼用空気が燃焼用空気供給ラインから供給されて、粉砕されたリグニンを燃焼する燃焼機構と、
燃焼機構内に設けられ、燃焼機構において生成された燃焼ガスにより、蒸気を過熱する蒸気過熱機構と、を有することを特徴とするリグニン焚き発電プラント。
【請求項2】
燃焼機構から排出される排ガスが乾燥機構に供給されて、リグニンを乾燥することを特徴とする請求項1に記載のリグニン焚き発電プラント。
【請求項3】
乾燥機構および粉砕機構は単一の乾燥粉砕機を構成し、
乾燥粉砕機は、排ガスを用いてリグニンを乾燥するとともに、リグニンを粉砕することを特徴とする請求項2に記載のリグニン焚き発電プラント。
【請求項4】
リグニンの乾燥に用いられる排ガスの温度が、260℃〜320℃であることを特徴とする請求項2または3に記載のリグニン焚き発電プラント。
【請求項5】
燃焼機構から排出される排ガスと、乾燥用空気供給ラインから供給される乾燥用空気とが熱交換する空気予熱器を更に有し、
空気予熱器によって加熱された乾燥用空気が、乾燥用空気供給ラインから乾燥機構に供給されて、リグニンを乾燥することを特徴とする請求項1に記載のリグニン焚き発電プラント。
【請求項6】
乾燥機構および粉砕機構は単一の乾燥粉砕機を構成し、
乾燥粉砕機は、空気予熱器によって加熱された乾燥用空気を用いてリグニンを乾燥するとともに、リグニンを粉砕することを特徴とする請求項5に記載のリグニン焚き発電プラント。
【請求項7】
リグニンの乾燥に用いられる乾燥用空気の温度が、260℃〜320℃であることを特徴とする請求項5または6に記載のリグニン焚き発電プラント。
【請求項8】
燃焼機構において生成された燃焼ガスが乾燥機構に供給されて、リグニンを乾燥することを特徴とする請求項1に記載のリグニン焚き発電プラント。
【請求項9】
乾燥機構および粉砕機構は単一の乾燥粉砕機を構成し、
乾燥粉砕機は、燃焼ガスを用いてリグニンを乾燥するとともに、リグニンを粉砕することを特徴とする請求項8に記載のリグニン焚き発電プラント。
【請求項10】
乾燥粉砕機は、ハンマミルまたはビータミルからなることを特徴とする請求項3、6、または9に記載のリグニン焚き発電プラント。
【請求項11】
乾燥機構の上流側に、リグニンを脱水処理する脱水処理機構が設けられることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のリグニン焚き発電プラント。
【請求項12】
粉砕機構と燃焼機構との間に、粉砕機構により粉砕されたリグニンを貯蔵する貯蔵機構が連結されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のリグニン焚き発電プラント。
【請求項13】
燃焼機構に、微粉炭を供給する微粉炭供給機が連結されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のリグニン焚き発電プラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−138999(P2009−138999A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314671(P2007−314671)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】