説明

リソグラフィ装置およびデバイス製造方法

【課題】 良好なアライメント再現性を提供すること。
【解決手段】 デバイスを製造するための方法には、基板を提供する工程であって、基板が複数の露光フィールドを備え、個々の露光フィールドが1つまたは複数のターゲット部分および少なくとも1つのマーク構造を備え、マーク構造が露光フィールドのための位置マークとして配置される工程と、対応する個々の露光フィールドのためのアライメント情報を得るために個々の露光フィールドのマークをスキャンし、かつ、測定する工程と、対応する個々の露光フィールドのためのアライメント情報から個々の露光フィールドの絶対位置を決定する工程と、露光フィールドおよび少なくとも1つの他の露光フィールドの互いに対する相対パラメータに関する追加情報を使用して、少なくとも1つの他の露光フィールドに対する個々の露光フィールドの相対位置を決定する工程と、複数の露光フィールドの各々に対して、絶対位置および決定された相対位置を結合して改良型絶対位置にする工程が含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明の実施形態は、リソグラフィ装置およびデバイスを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、基板の上、一般的には基板のターゲット部分に所望のパターンを付与するマシンである。リソグラフィ装置は、たとえば集積回路(IC)の製造に使用することができる。その場合、マスクまたはレチクルとも呼ばれているパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層に形成すべき回路パターンが生成される。生成されたパターンが、基板(たとえばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(たとえば1つまたは複数のダイの一部が含まれている)に転写される。パターンの転写は、通常、基板の上に提供されている放射感応性材料(レジスト)の層への結像によるものである。通常、1枚の基板には、順次パターニングされる隣接するターゲット部分の回路網が含まれている。知られているリソグラフィ装置には、パターン全体を1回でターゲット部分に露光することによってターゲット部分の各々が照射されるいわゆるステッパと、パターンを放射ビームで所与の方向(「スキャンニング」方向)にスキャンし、かつ、基板をこの方向に平行または逆平行に同期スキャンすることによってターゲット部分の各々が照射されるいわゆるスキャナがある。パターンを基板にインプリントすることによってパターニングデバイスから基板へパターンを転写することも可能である。
【0003】
[0003] ICの個々のパターン付き層は、その個々の層がその上に配置されることになる先行する1つまたは複数のパターン付き層に対して、アライメントエラーが可能な限り小さい特定の十分なアライメントまたはオーバーレイを有していることが重要である。このような特定のアライメントを得るために、リソグラフィ装置は、半導体基板上の1つまたは複数のマークの位置を決定するアライメントシステムを備えている。通常、個々のマークは、露光フィールドと関連している。このような露光フィールドは、リソグラフィプロセスの実際のセットアップに応じて1つまたは複数のターゲット部分(またはダイ)を含むことができる。
【0004】
[0004] マークは、回折格子として具体化することができる。その場合、アライメントシステムには、その回折格子に照準が合わされる光ビームが使用される。回折パターンは、光ビームとマークの回折格子の相互作用によって生成される。アライメントシステムのセンサは、基板上の基準位置に対するマークの位置に関連する情報を得るために、回折パターン中の回折次数を測定するように配置されている。このマークの位置から、対応するターゲット部分の位置が決定される。次に、既にパターニングされている層が露光されると、次のパターン付き層の像を基板の上に形成する際に、最小のアライメントエラーを有するようにターゲット部分を配置することができる。
【0005】
[0005] ウェーハが整列すると、回折パターンからの情報に基づいてアライメントデータが決定され、ウェーハグリッド中のマークの位置が参照される。より高い次数のグリッドモデルなどのグリッドモデルが使用され、対応する個々のターゲット部分にパターンを転写するための露光位置が計算される。このような方法は、ウェーハ上のいくつかの位置しか測定しない場合に有用である。
【0006】
[0006] しかしながら、現在の傾向は、ウェーハ毎により多くのアライメントを有することであり、また、可能な限り多くの露光フィールドからアライメントデータを得ることである。この傾向は、検出速度が速くなるにつれて、個々の露光フィールドに関連するアライメント位置情報を得るために、最終的にはその個々の露光フィールドが測定されることになる状況をもたらすことになるものと思われる。
【0007】
[0007] したがって、アライメントの精度は、すべてセンサの精度によって決定されている。センサのアライメント再現性は、得ることができる最も良好な位置情報であると見なされている。したがってアライメントおよびオーバーレイの精度は、センサのアライメント再現性に制限されている。しかしながら、この手法は、詳細には集積回路中のフィーチャサイズの縮小傾向に鑑みて、現在なされている、既にパターニングされている層とのパターン付き層のオーバーレイを改善するための努力のためにはおそらく十分ではない。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本発明者らは、センサの再現性よりも良好なアライメント再現性を発見した。
【0009】
[0009] 本発明の一態様によれば、デバイスを製造するための方法が提供される。この方法には、基板を提供する工程であって、基板が複数の露光フィールドを備え、個々の露光フィールドが1つまたは複数のターゲット部分および少なくとも1つのマーク構造を備え、少なくとも1つのマーク構造が露光フィールドのための位置マークとして配置される工程と、対応する個々の露光フィールドのためのアライメント情報を得るために個々の露光フィールドの少なくとも1つのマークをスキャンし、かつ、測定する工程と、対応する個々の露光フィールドのためのアライメント情報から個々の露光フィールドの絶対位置を決定する工程と、露光フィールドおよび少なくとも1つの他の露光フィールドの互いに対する相対パラメータに関する追加情報を使用して、少なくとも1つの他の露光フィールドに対する個々の露光フィールドの相対位置を決定する工程と、複数の露光フィールドの各々に対して、絶対位置および決定された相対位置を結合して改良型絶対位置にする工程が含まれている。
【0010】
[0010] 本発明の一態様によれば、パターニングデバイスから基板の上にパターンを転写するようになされたリソグラフィ装置が提供される。このリソグラフィ装置は、さらに、基板を提供する工程であって、基板が複数の露光フィールドを備え、個々の露光フィールドが1つまたは複数のターゲット部分および少なくとも1つのマーク構造を備え、少なくとも1つのマーク構造が露光フィールドのための位置マークとして配置される工程と、対応する個々の露光フィールドのためのアライメント情報を得るために個々の露光フィールドの少なくとも1つのマークをスキャンし、かつ、測定する工程と、対応する個々の露光フィールドのためのアライメント情報から個々の露光フィールドの絶対位置を決定する工程と、露光フィールドおよび少なくとも1つの他の露光フィールドの互いに対する相対パラメータに関する追加情報を使用して、少なくとも1つの他の露光フィールドに対する個々の露光フィールドの相対位置を決定する工程と、複数の露光フィールドの各々に対して、絶対位置および決定された相対位置を結合して改良型絶対位置にする工程を実行するようになされている。
【0011】
[0011] 以下、本発明の他の特徴および利点、ならびに本発明の様々な実施形態の構造および動作について、添付の図面を参照して詳細に説明する。本発明は、本明細書において説明されている特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、単に説明を目的として本明細書において示されているにすぎない。1つまたは複数の関連する分野の技術者には、本明細書に包含されている教示に基づく追加実施形態が明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
[0012] 本明細書に組み込まれ、かつ、本明細書の一部をなしている添付の図面は、本発明の実施形態を示したもので、以下の説明と共に本発明の原理をさらに説明する役割を果しており、また、1つまたは複数の関連する分野の技術者による本発明の構築および使用を可能にしている。
【0013】
【図1】[0013]本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を示す図である。
【図2a】[0014]本発明の一態様による露光フィールド内の第1のマーク構造のレイアウトを示す図である。
【図2b】[0014]本発明の一態様による露光フィールド内の第1のマーク構造のレイアウトを示す図である。
【図2c】[0014]本発明の一態様による露光フィールド内の第1のマーク構造のレイアウトを示す図である。
【図3a】[0015]本発明の一態様による露光フィールド内の第2のマーク構造のレイアウトを示す図である。
【図3b】[0015]本発明の一態様による露光フィールド内の第2のマーク構造のレイアウトを示す図である。
【図3c】[0015]本発明の一態様による露光フィールド内の第2のマーク構造のレイアウトを示す図である。
【図4a】[0016]本発明の態様によるマークのレイアウトを示す図である。
【図4b】[0016]本発明の態様によるマークの他のレイアウトを示す図である。
【図4c】[0016]本発明の態様によるマークの他のレイアウトを示す図である。
【図5】[0017]本発明の一態様による、互いに隣り合ってプリントされる隣接する露光フィールドのレイアウトを示す図である。
【図6】[0018]現在使用されているキャリブレーションレチクルのレイアウトを示す図である。
【図7】[0019]Y方向における異なるオフセット位置で露光された、図6のキャリブレーションレチクルの6つの露光後にウェーハ上に得られたマークのパターンを示す図である。
【図8】[0020]本発明の一実施形態による方法を実行する際に使用されるレチクル上に使用される1つのタイプのマークを示す図である。
【図9】[0021]図8のマークを備えたレチクルを示す図である。
【図10】[0022]Y方向における異なるオフセット位置で露光された、図9のキャリブレーションレチクルの6つの露光後にウェーハ上に得られたマークのパターンを示す図である。
【図11a】[0023]本発明の一実施形態による方法に使用される他のタイプの傾斜サブマークを示す図である。
【図11b】[0023]複合マークを得るために次の露光で一体に縫合された図11aのマークを示す図である。
【図12】[0024]本発明の実施形態による方法に使用される他のタイプの傾斜サブマークを示す図である。
【図13】[0024]本発明の実施形態による方法に使用される他のタイプの傾斜サブマークを示す図である。
【図14】[0024]本発明の実施形態による方法に使用される他のタイプの傾斜サブマークを示す図である。
【図15a】[0024]本発明の実施形態による方法に使用される他のタイプの傾斜サブマークを示す図である。
【図15b】[0024]本発明の実施形態による方法に使用される他のタイプの傾斜サブマークを示す図である。
【図15c】[0024]本発明の実施形態による方法に使用される他のタイプの傾斜サブマークを示す図である。
【図15d】[0024]本発明の実施形態による方法に使用される他のタイプの傾斜サブマークを示す図である。
【0014】
[0025] 本発明の特徴および利点については、図面を参照して行う以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。図において、同様の参照文字は、すべての図を通して対応する素子を識別している。図において、同様の参照番号は、概ね、機能的に全く同じ類似素子および/または構造的に全く同じ類似素子を示している。ある素子が最初に出現する図面は、対応する参照番号中の最も左側の1つまたは複数の桁で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0026] 本明細書には、本発明の特徴を組み込んだ1つまたは複数の実施形態が開示されている。開示されている1つまたは複数の実施形態は、単に本発明の実例を示したものにすぎない。本発明の範囲は、開示されている1つまたは複数の実施形態に限定されない。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されている。
【0016】
[0027] 説明されている1つまたは複数の実施形態、および本明細書における「一実施形態」、「一実施形態例」、等々の参照は、説明されている1つまたは複数の実施形態は、特定の特徴、構造または特性を備えることができるが、必ずしもすべての実施形態がこれらの特定の特徴、構造または特性を備える必要はないことを示している。さらに、このような語句は、必ずしも同じ実施形態を意味しているわけではない。また、特定の特徴、構造または特性がある1つの実施形態に関連して説明されている場合、明確に説明されているいないにかかわらず、このような特徴、構造または特性を他の実施形態に関連して実施することは当業者の知識の範囲内であることを理解されたい。
【0017】
[0028] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたはそれらの任意の組合せの中で実施することができる。また、本発明の実施形態は、機械読取可能媒体に記憶された、1つまたは複数のプロセッサによって読み取ることができ、かつ、実行することができる命令として実施することも可能である。機械読取可能媒体は、情報を機械(たとえば計算デバイス)が読み取ることができる形態で記憶し、あるいは転写するための任意の機構を備えることができる。たとえば、機械読取可能媒体は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気式、光学式、音響式または他の形態の伝搬信号(たとえば搬送波、赤外信号、ディジタル信号、等々)などを備えることができる。また、本明細書においては、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチンおよび命令は、特定のアクションを実行するものとして記述することも可能である。しかしながら、このような説明は単に便宜上のものにすぎないこと、また、このようなアクションは、実際、計算デバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令、等々を実行する他のデバイスによるものであることを理解すべきである。
【0018】
[0029] しかしながら、このような実施形態の詳細な説明に入る前に、本発明の実施形態を実施することができる環境の一例を提供しておくことは有意義である。
【0019】
[0030] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を略図で示したものである。この装置は、
[0031] − 放射ビームB(たとえばUV放射またはEUV放射)を条件付けるように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0032] − パターニングデバイス(たとえばマスク)MAをサポートするように構築されたサポート構造(たとえばマスクテーブル)MTであって、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に配置するように構成された第1ポジショナPMに接続されたサポート構造(たとえばマスクテーブル)MTと、
[0033] − 基板(たとえばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築された基板テーブル(たとえばウェーハテーブル)WTであって、特定のパラメータに従って基板を正確に配置するように構成された第2ポジショナPWに接続された基板テーブル(たとえばウェーハテーブル)WTと、
[0034] − パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(たとえば1つまたは複数のダイが含まれている)に投影するように構成された投影システム(たとえば屈折投影レンズシステム)PSと
を備えている。
【0020】
[0035] 照明システムは、放射を導き、整形し、あるいは制御するための、屈折光学コンポーネント、反射光学コンポーネント、磁気光学コンポーネント、電磁光学コンポーネント、静電光学コンポーネントまたは他のタイプの光学コンポーネントあるいはそれらの任意の組合せなどの様々なタイプの光学コンポーネントを備えることができる。
【0021】
[0036] サポート構造はパターニングデバイスをサポートしている。つまり、サポート構造はパターニングデバイスの重量を支えている。サポート構造は、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計および他の条件、たとえばパターニングデバイスが真空環境中で保持されているか否か等に応じた方法でパターニングデバイスを保持している。サポート構造には、パターニングデバイスを保持するための、機械式クランプ技法、真空クランプ技法、静電クランプ技法または他のクランプ技法を使用することができる。サポート構造は、たとえば必要に応じて固定または移動させることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスをたとえば投影システムに対して所望の位置に確実に配置することができる。本明細書における「レチクル」または「マスク」という用語の使用はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語の同義語と見なすことができる。
【0022】
[0037] 本明細書において使用されている「パターニングデバイス」という用語は、放射ビームの断面にパターンを付与し、それにより基板のターゲット部分にパターンを生成するべく使用することができる任意のデバイスを意味するものとして広義に解釈されたい。たとえばパターンに位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャが含まれている場合、放射ビームに付与されるパターンは、基板のターゲット部分における所望のパターンに必ずしも厳密に対応している必要はないことに留意されたい。放射ビームに付与されるパターンは、通常、ターゲット部分に生成されるデバイス、たとえば集積回路などのデバイス中の特定の機能層に対応している。
【0023】
[0038] パターニングデバイスは、透過型であってもあるいは反射型であってもよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDパネルがある。マスクについてはリソグラフィにおいては良く知られており、バイナリ、レベンソン型(alternating)位相シフトおよびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスクタイプ、ならびに様々なハイブリッドマスクタイプが知られている。プログラマブルミラーアレイの例には、マトリックスに配列された、入射する放射ビームが異なる方向に反射するよう個々に傾斜させることができる微小ミラーが使用されている。これらの傾斜したミラーによって、ミラーマトリックスで反射した放射ビームにパターンが付与される。
【0024】
[0039] 本明細書において使用されている「投影システム」という用語は、たとえば使用する露光放射に適した、もしくは液浸液の使用または真空の使用などの他の要因に適した、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁光学システムおよび静電光学システムまたはそれらの任意の組合せを始めとする任意のタイプの投影システムが包含されているものとして広義に解釈されたい。本明細書における「投影レンズ」という用語の使用はすべて、より一般的な「投影システム」という用語の同義語と見なすことができる。
【0025】
[0040] 図に示されているように、この装置は、透過型(たとえば透過型マスクを使用した)タイプの装置である。別法としては、この装置は、反射型(たとえば上で参照したタイプのプログラマブルミラーアレイを使用した、あるいは反射型マスクを使用した)タイプの装置であってもよい。
【0026】
[0041] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または複数のマスクテーブル)を有するタイプの装置であってもよい。このような「マルチステージ」マシンの場合、追加テーブルを並列に使用することができ、あるいは1つまたは複数の他のテーブルを露光のために使用している間、1つまたは複数のテーブルに対して予備ステップを実行することができる。
【0027】
[0042] また、リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が比較的屈折率が大きい液体、たとえば水で覆われ、それにより投影システムと基板の間の空間が充填されるタイプの装置であってもよい。リソグラフィ装置内の他の空間、たとえばマスクと投影システムの間の空間に液浸液を加えることも可能である。液浸技法は、当分野では、投影システムの開口数を大きくすることで良く知られている。本明細書において使用されている「液浸」という用語は、基板などの構造を液体中に浸さなければならないことを意味しているのではなく、単に、露光の間、投影システムと基板の間に液体が置かれることを意味しているにすぎない。
【0028】
[0043] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受け取っている。放射源がたとえばエキシマレーザである場合、放射源およびリソグラフィ装置は、個別の構成要素にすることができる。このような場合、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとは見なされず、放射ビームは、たとえば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを備えたビームデリバリシステムBDを使用して放射源SOからイルミネータILへ引き渡される。それ以外のたとえば放射源が水銀灯などの場合、放射源はリソグラフィ装置の一構成要素にすることができる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に放射システムと呼ぶことができる。
【0029】
[0044] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタADを備えることができる。通常、イルミネータの瞳面内における強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(一般に、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれている)は調整が可能である。また、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOなどの他の様々なコンポーネントを備えることができる。このイルミネータを使用して、所望の均一性および強度分布をその断面に有するように放射ビームを条件付けることができる。
【0030】
[0045] サポート構造(たとえばマスクテーブルMT)の上に保持されているパターニングデバイス(たとえばマスクMA)に放射ビームBが入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。マスクMAを通過した放射ビームBは、ビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる投影システムPSを通過する。基板テーブルWTは、第2ポジショナPWおよび位置センサIF(たとえば干渉計デバイス、リニアエンコーダまたは容量センサ)を使用して正確に移動させることができ、それによりたとえば異なるターゲット部分Cを放射ビームBの光路内に配置することができる。同様に、第1ポジショナPMおよびもう1つの位置センサ(図1には明確に示されていない)を使用して、たとえばマスクライブラリから機械的に検索した後、またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの光路に対して正確に配置することができる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成しているロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使用して実現することができる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2ポジショナPWの一部を形成しているロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使用して実現することができる。ステッパの場合(スキャナではなく)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに接続することができ、あるいは固定することも可能である。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して整列させることができる。図には専用ターゲット部分を占有している基板アライメントマークが示されているが、基板アライメントマークは、ターゲット部分とターゲット部分の間の空間に配置することも可能である(このような基板アライメントマークは、スクライブラインアライメントマークとして知られている)。同様に、複数のダイがマスクMA上に提供される場合、ダイとダイの間にマスクアライメントマークを配置することができる。
【0031】
[0046] 図に示されている装置は、以下のモードのうちの少なくとも1つのモードで使用することができる。
【0032】
[0047] 1.ステップモード:マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTが基本的に静止状態に維持され、放射ビームに付与されたパターン全体がターゲット部分Cに1回で投影される(すなわち単一静止露光)。次に、基板テーブルWTがX方向および/またはY方向にシフトされ、異なるターゲット部分Cが露光される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静止露光で結像するターゲット部分Cのサイズが制限される。
【0033】
[0048] 2.スキャンモード:放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影されている間、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTが同期スキャンされる(すなわち単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの倍率(縮小率)および画像反転特性によって決まる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の幅(非スキャン方向の幅)が制限され、また、スキャン運動の長さによってターゲット部分の高さ(スキャン方向の高さ)が決まる。
【0034】
[0049] 3.その他のモード:プログラマブルパターニングデバイスを保持するべくマスクテーブルMTが基本的に静止状態に維持され、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影されている間、基板テーブルWTが移動またはスキャンされる。このモードでは、通常、パルス放射源が使用され、スキャン中、基板テーブルWTが移動する毎に、あるいは連続する放射パルスと放射パルスの間に、必要に応じてプログラマブルパターニングデバイスが更新される。この動作モードは、上で参照したタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用しているマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0035】
[0050] 上で説明した使用モードの組合せおよび/または変形形態、あるいは全く異なる使用モードを使用することも可能である。
【0036】
[0051] 本発明の実施形態では、露光フィールドのアライメント位置情報およびその露光フィールドならびに隣接する露光フィールドに関連する追加関連位置情報を単一のスキャンで露光フィールド毎に測定すると、個々の露光フィールドのアライメント位置情報の精度を改善することができることが分かる。2つの露光フィールド間の追加関連位置情報を使用することにより、これらの露光フィールドのマーク位置を既知の精度で結合することができ、また、アライメント位置情報のみから得られる精度よりも高い精度でフィールドの絶対位置を計算することができる。
【0037】
[0052] 以下で説明する第1の例示的リソグラフィ装置は、測定された露光フィールド位置と、隣接する露光フィールド対と対の間の測定された相対位置とからアライメントデータを検出するようになされたアライメントシステムを備えている。アライメントシステムは、さらに、アライメントデータに基づいて基板の位置を調整するようになされている。
【0038】
[0053] 以下で説明する第2の例示的リソグラフィ装置は、測定された露光フィールド位置と、ある露光フィールド位置から次に露光される他の露光フィールド位置までの関係を記述しているアプリオリフィールドパラメータ知識とからアライメントデータを検出するようになされたアライメントシステムを備えている。アライメントシステムは、さらに、アライメントデータに基づいて基板の位置を調整するようになされている。
【0039】
[0054] アライメントシステムは、アライメントを測定している間、マークからマーク応答信号を検出するようになされたセンサを備えている。マーク応答信号は、マークの位置に対する測度である。
【0040】
[0055] 第1の例は、マークの単一スキャンで、1つまたは複数の隣接する露光フィールドからマークの絶対位置およびマークの相対位置の両方を決定するための手法に関している。一実施形態では、図2a〜2cに示されているマークレイアウトを使用して、単一スキャンでこれらの相対位置を決定することができる。
【0041】
[0056] 図2aは、本発明の一態様による露光フィールド内の第1のマーク構造のレイアウトを示したものである。図2bは、本発明の一態様による一対の隣接する露光フィールド内に生成された第1の複合マークを示したものである。図2cは、本発明の一態様による一対の隣接する露光フィールド内に生成された第2の複合マークを示したものである。
【0042】
[0057] 図2aには、関連するマーク120、130、140および150を備えた露光フィールド110のレチクルレイアウトが略図で示されている。露光フィールドに関連するマークは、露光フィールド110を取り囲んでいるスクライブライン領域115の中に配置されている。
【0043】
[0058] 通常、露光フィールド110は、第1の方向Xおよび該第1の方向Xに対して実質的に直角の第2の方向Yに沿って導かれた直角の形状を有している。本発明の一実施形態によれば、マーク120は、露光フィールドの第1の側の第1の位置L1に配置されている。マーク120は、第1のサブマーク124および第2のサブマーク126を備えている。露光フィールドの第1の側とは反対側の第2の側には、付随マーク140が第2の位置L2に配置されている。
【0044】
[0059] 第2の位置L2と第1の位置L1は、ある1つの露光フィールドの付随マーク140と、その1つの露光フィールドに隣接して第1の方向Xに沿って水平方向に配置されている他の露光フィールドのマーク120とを一致させるために互いに相関している。他の露光フィールドのマーク120とその1つの露光フィールドの付随マーク140との一致は、それぞれの部分としてマーク120および付随マーク140を含む複合マークが形成されるようになっている。
【0045】
[0060] 図2bは、第1の複合マーク10として、ある1つの露光フィールドの第1および第2のサブマーク124、126および水平方向に隣接する他の露光フィールドの付随マーク140の配列を略図で示したものである。
【0046】
[0061] 同様の方法で、露光フィールドの第3の側には、第3の位置L3にマーク130が配置されている。マーク130は、第3のサブマーク134および第4のサブマーク136を備えている。露光フィールドの第3の側とは反対側の第4の側には、付随マーク150が第4の位置L4に配置されている。
【0047】
[0062] 同様に、第4の位置L4と第3の位置L3は、ある1つの露光フィールドの付随マーク150と、その1つの露光フィールドに隣接して第2の方向Yに沿って垂直方向に配置されている他の露光フィールドのマーク130とを一致させるために互いに相関している。
【0048】
[0063] 図2cは、第2の複合マーク20として、ある1つの露光フィールドの第3および第4のサブマーク134、136および垂直方向に隣接する他の露光フィールドの付随マーク150の配列を略図で示したものである。
【0049】
[0064] 以下でより詳細に説明するように、個々の複合マーク内では、1つの露光フィールドのマークは、(光学)スキャンに対して第1のマーク応答信号を生成するように配置されており、一方、第2のマーク応答信号は、スキャン中、隣接する他の露光フィールドの付随マークによって生成されるようになっている。
【0050】
[0065] さらに、複合マーク内では、1つの露光フィールドのマークおよび隣接する他の露光フィールドの付随マークは、マークと付随マークとの間にギャップが全く存在することなく連続的に配置することができることに留意されたい。別法としては、1つの露光フィールドのマークおよび隣接する他の露光フィールドの付随マークは、それらの間に中間ギャップを設けて配置することも可能である。
【0051】
[0066] 限定されない例では、このような中間ギャップの範囲は、0ミクロン(連続している)から約2ミクロンまでである。
【0052】
[0067] 図3a〜3cは、本発明の一態様による露光フィールド内の第2のマーク構造のレイアウトを示したものである。
【0053】
[0068] 第2のマーク構造は、スクライブライン領域115の露光フィールド110の第1の側の位置L5およびL6に、それぞれマーク160およびマーク170を備えており、また、第1の側とは反対側の第2の側の位置L7および位置L8に、それぞれ付随マーク180および付随マーク190を備えている。
【0054】
[0069] さらに、第2のマーク構造は、スクライブライン領域115の露光フィールド110の第3の側の位置L9およびL10に、それぞれマーク200およびマーク210を備えており、また、第3の側とは反対側の第4の側の位置L11およびL12に、それぞれ付随マーク220および付随マーク230を備えている。
【0055】
[0070] 位置L5と位置L7は、ある1つの露光フィールドの付随マーク180と、その1つの露光フィールドに隣接して第1の方向Xに沿って水平方向に配置されている他の露光フィールドのマーク160とを一致させるために互いに相関しており、第3の複合マークが形成される。
【0056】
[0071] 同様の方法で、位置L6と位置L8も互いに相関しており、したがって1つの露光フィールドのマーク170と、その1つの露光フィールドに隣接して第1の方向Xに沿って水平方向に配置されている他の露光フィールドの付随マーク190は複合マークを形成することになる。
【0057】
[0072] 位置L9と位置L11は、ある1つの露光フィールドの付随マーク220と、その1つの露光フィールドに隣接して第2の方向Yに沿って垂直方向に配置されている他の露光フィールドのマーク200とを一致させるために互いに相関している。
【0058】
[0073] 同様の方法で、1つの露光フィールドの付随マーク230と、その1つの露光フィールドに隣接して第2の方向Yに沿って垂直方向に配置されている他の露光フィールドのマーク210のために、位置L10と位置L12も互いに相関している。
【0059】
[0074] 付随マーク180は、第5のサブマーク182および第6のサブマーク184を備えている。同様に、付随マーク190、付随マーク220および付随マーク230は、それぞれ、第7および第8のサブマーク192、194、第9および第10のサブマーク222、224、および第11および第12のサブマーク232、234を備えている。
【0060】
[0075] この第2のマーク構造(図3a)は、マーク構造中のマークの数がより多いため、また、より多くの数のマークによってアライメントデータに冗長性を提供することができるため、第1のマーク構造(図2a)と比較すると、よりロバストで、かつ、より正確な構造にすることができるマーク構造に関している。
【0061】
[0076] 図3bは、第3の複合マーク30として、1つの露光フィールドのマーク160および水平方向に隣接する他の露光フィールドの付随マーク180の配列を示したものである。
【0062】
[0077] 図3cは、第4の複合マーク40として、1つの露光フィールドのマーク200および垂直方向に隣接する他の露光フィールドの付随マーク220の配列を示したものである。
【0063】
[0078] 当業者には理解されるように、同様の方法で、マーク170および210ならびに付随マーク190および230の各々に対しても複合マークが構築されている。
【0064】
[0079] 図2a〜2cおよび3a〜3cに示されている実施形態では、1つの露光フィールドのマークは、隣接する他の露光フィールドの付随マークが位置することになるギャップによって分離された2つの部分を備えている。
【0065】
[0080] 図4a〜4cは、本発明の実施形態によるマークまたはサブマークのレイアウトの様々な例を示したものである。
【0066】
[0081] 一実施形態では、使用されているマーク140、150、160、170、200、210またはサブマーク124、126、134、136、182、184、192、194、222、224、232、234は、空間によって互いに分離された複数の平行線などの周期構造の回折格子である。このような周期構造は、光ビームによる照明の間、第1の方向Xまたは第2の方向Yに沿って、あるいはX方向またはY方向に対して傾斜した方向に沿って展開する回折パターンが生成されるように配置することができる。
【0067】
[0082] 図4aは、Y方向に沿った回折に適した線回折格子を略図で示したものである。回折格子の線は、Y方向に沿って平行に配置されており、また、X方向に沿って展開している。
【0068】
[0083] 図4bは、X方向に沿った回折に適した線回折格子を略図で示したものである。回折格子の線は、X方向に沿って平行に配置されており、また、Y方向に沿って展開している。
【0069】
[0084] 別法としては、光ビームによる照明の間、第1の方向Xおよび第2の方向Yに対して一定の傾斜角で展開する回折パターンが生成されるように回折格子の周期構造を配置することも可能である。
【0070】
[0085] 図4cは、X方向およびY方向の両方に沿った回折に適した回折格子を略図で示したものである。このような回折格子は、第1および第2の方向X、Yの両方に対して傾斜した方向に展開している複数の平行線を備えている。これらの複数の平行線は、X方向およびY方向に対して第1の傾斜角A1で傾斜した第1の部分Q1と、X方向およびY方向に対して第2の傾斜角A2で傾斜した第2の部分Q2に仕切ることができる。第2の傾斜角A2は、第1の傾斜角A1とは異なっている。
【0071】
[0086] 他の実施形態では、第1の傾斜角A1は、第2の傾斜角A2に対してX方向またはY方向に鏡映された角度である。
【0072】
[0087] 回折格子のタイプおよび/または形状には、図4a〜4cに示されているタイプおよび/または形状以外のタイプおよび/または形状を使用することも可能であることは当業者には理解されよう。
【0073】
[0088] 複合マーク10、20、30および40は、図2a〜2cに示されている第1のマーク構造または図3a〜3cに示されている第2のマーク構造などのマーク構造をウェーハの上に使用することによってウェーハのスクライブラインの中に形成することができ、それにより複数の被露光フィールドのパターンを生成することができる。
【0074】
[0089] 複合マーク10、20、30および40は、第1のマーク応答信号を生成するために配置された1つの露光フィールドのマークと、異なる第2のマーク応答信号を生成するために配置された隣接する他の露光フィールドの付随マークとの配列で構築されているため、複合マークの1つの位置で、1回の単一スキャンで、1つの露光フィールドからアライメント位置情報を測定し、かつ、隣接する他の露光フィールドからさらにアライメント位置情報を測定することができる。
【0075】
[0090] たとえば、1つのフィールドのマーク120は、他の露光フィールドの付随マーク140のスキャンと同じスキャンで測定される。スキャン中、複合マーク120、140が光ビームに露光され、複合マークで光ビームが回折する。回折した光の異なる回折次数の位置を決定することができるセンサを使用して、回折した光が様々な回折次数として測定される。マーク120から発信される信号と付随マーク140から発信される信号とを区別することができるよう、マーク120の周期構造と付随マーク140の周期構造が異なっているか、あるいはさもなければ、スキャン方向に対して、1つの露光フィールドのマークの照明によって生成される変調検出信号の変調周期と、隣接する他の露光フィールドの付随マークの照明によって生成される変調検出信号の変調周期が異なる方法で、1つの露光フィールドのマークと隣接する他の露光フィールドの付随マークとの間の傾斜角が異なっている。
【0076】
[0091] この方法によれば、複合マークで回折した光には、2つの異なるマーク応答信号、つまり1つの露光フィールドのマークに関連する第1のマーク応答信号および隣接する他の露光フィールドの付随マークに関連する第2のマーク応答信号が含まれている。
【0077】
[0092] たとえば、1つの露光フィールドのマークは、所与の波長の光ビームによって実質的に5次回折次数の変調光がスキャン方向に生成される周期構造を有することができ、一方、付随マークは、その光ビームの波長で実質的に7次回折次数の変調光が生成される付随周期構造を有することができる。変調光のこのような2つの回折次数は、空間的に分離することが可能であり、個別に測定することができる。
【0078】
[0093] 同じスキャンにおける複合マークの測定から、1つの露光フィールドおよびその複合マークと結合した隣接する露光フィールドの絶対位置に関する情報が得られる。さらに、1つの露光フィールドの位置および隣接する露光フィールドの位置に関する情報が相対関係で得られる。露光フィールド毎の相対位置測定は、1回のスキャンで同時に実施されるため、位置再現性誤差(マークおよび付随マークに対する)は同じである。したがって、1つの変調信号から他の変調信号へのセンサ再現性誤差によって精度が決定される。一例では、センサ再現性誤差は、場合によっては絶対位置再現性誤差の約10%である。したがって、追って示すように、より正確に絶対位置を決定することができる改善された精度で露光フィールドの相対位置が決定される。
【0079】
[0094] さらに、高速のスキャン速度、したがって安定性にかけるスキャンでは、差動方式を使用して同じスキャンで出現する信号トレースの共通誤差が除去されるため、相対フィールド位置に対する影響は、絶対フィールド位置に対する影響よりも小さい。
【0080】
[0095] 図5は、本発明による方法の一実施形態を示すために、互いに隣り合ってプリントされる隣接する露光フィールドのレイアウトを示したものである。
【0081】
[0096] 図5には、それぞれ図3aに示されているように構築された多数の露光フィールドが示されている。ウェーハ上の1つのアレイ露光フィールドから4つの露光フィールドF(m−1、n−1)、F(m−1、n)、F(m、n−1)およびF(m、n)が示されている。第1の方向Xでは、露光フィールドF(m−1、n−1)は露光フィールドF(m、n−1)に隣接しており、また、露光フィールドF(m−1、n)は露光フィールドF(m、n)に隣接している。第2の方向Yでは、露光フィールドF(m−1、n−1)は露光フィールドF(m−1、n)に隣接しており、また、露光フィールドF(m、n−1)は露光フィールドF(m、n)に隣接している。スクライブライン領域115には、複合マーク300、304、308、312、400、401、402および403が示されており、これらは、図2a〜2cおよび3a〜3cを参照して上で説明したように構築されている。
【0082】
[0097] 複合マーク300は、露光フィールドF(m−1、n)のマーク301、303および露光フィールドF(m、n)の付随マーク302を備えている。同様に、複合マーク304は、露光フィールドF(m−1、n−1)のマーク305、307および露光フィールドF(m、n−1)の付随マーク306を備えている。複合マーク308は、露光フィールドF(m、n−1)のマーク309、311および露光フィールドF(m、n)の付随マーク310を備えている。複合マーク312は、露光フィールドF(m−1、n−1)のマーク313、315および露光フィールドF(m−1、n)の付随マーク314を備えている。
【0083】
[0098] 矢印Sは、複合マーク304のスキャンを示している。このスキャンから以下の情報を得ることができる(マーク305、306および307は傾斜回折格子であることが仮定されている)。
1)Mx、m−1、n−1、My、m−1、n−1で表される、X方向およびY方向におけるフィールドF(m−1、n−1)のマーク305、307に関する絶対位置情報
2)X方向およびY方向におけるフィールドF(m、n−1)の付随マーク306に関する絶対位置情報、Mx、m、n−1、My、m、n−1
3)Mrx=Mx、m、n−1−Mx、m−1、n−1およびMry=My、m、n−1−My、m−1、n−1であるMrx、Mryで表される、X方向およびY方向における2つのマークの相対位置情報
【0084】
[0099] 複合マーク300、308および312も同様の方法でスキャン中に測定することができ、同様の絶対位置情報および相対位置情報を得ることができる。
【0085】
[00100] ウェーハ上の個々の露光フィールドは、少なくとも1つの他の露光フィールドに関連する少なくとも1つの複合マークを有していることは理解されよう。
【0086】
[00101] 本発明の一実施形態による複合マークのマーク構造と共に使用するためのウェーハアライメントの方法には、次のような工程が含まれている。
[00102] −ウェーハをウェーハステージに装荷する工程。本発明の一実施形態による複合マークを使用することにより、+−40ミクロンよりも良好な精度でこの装荷を実施することができる。
[00103] −ウェーハを捕捉し、かつ、ウェーハの粗動アライメントを実施する工程。この段階で、ウェーハのアライメントマークの位置精度が約400nm以内まで高める。この段階は、2つのX(COWA)マークおよび2つのY(COWA)マークに対するアライメントを実行し、かつ、適切な精度で4つのウェーハパラメータを決定することによって実行される。このようにして形成されたCOWA(粗動ウェーハアライメント)グリッドを使用してFIWA(微動ウェーハアライメント)複合マークの期待位置が計算される。真のFIWA複合マーク位置の約400nm以内の期待位置を得るためには、COWAグリッドは十分な精度を有していなければならない。
[00104] −ウェーハ上の本発明の一実施形態による複数のフィールドのFIWA複合マークをスキャンし、かつ、測定する工程。
[00105] −ウェーハ上の複数のフィールドの各々の絶対マーク位置を決定する工程。
[00106] −スキャン中に得られた、1つの露光フィールドと隣接する露光フィールドの互いの相対位置に関する情報を使用して、隣接するフィールドとの相互の相対マーク位置を決定する工程。
[00107] −アライメントデータ情報の精度誤差値を考慮することにより、複数のフィールドの各々に対して、絶対位置および決定された相対位置の結果を矛盾しない方法で結合して改良型絶対マーク位置にする工程。および、
[00108] −複数の露光フィールドの各々に対する改良型絶対位置を使用してウェーハの次の露光を実行する工程。
【0087】
[00109] 個々の複合マークから、別様に変調された信号をスキャン方向に測定することができる。傾斜した複合マークのスキャンニングは、本発明の実施形態による3つの異なるスキャンシナリオに従って実行することができる。
【0088】
[00110] シナリオI:すべてのスクライブラインをX方向およびY方向(第1および第2の方向)の両方向にスキャンする。それにより、スループットを犠牲にして最良のオーバーレイが引き渡され、キャリブレーションの目的には場合によっては有用である。個々の露光フィールドは、8つの絶対X、Y位置決定および4つの独自の相対X、Y位置決定を有している。個々の露光フィールドは、絶対位置毎に相対位置決定を有している(つまり8つの相対位置決定を有している)が、これらのすべての相対方程式を隣接する露光フィールドのうちの1つと共有しており、したがって1つのフィールド当たりに4つの独自の方程式が残されることに留意されたい。
【0089】
[00111] シナリオII:すべてのXスクライブラインまたはすべてのYスクライブラインのみをスキャンする(第1または第2の方向)。測定値の数はシナリオIの測定値の数の半分である。したがってオーバーレイ損失の一部が2倍良好なスループットによって補償される。1つのフィールド当たりの絶対マーク位置決定の数が8個であるため、このスキームの場合、最大8つのパラメータフィールド特性化が可能である。もっと少ない数のフィールドパラメータ特性化も可能であることは当業者には理解されよう。4パラメータモデルは、並進x、並進y、倍率および回転を考慮することができる。6パラメータモデルは、並進x、並進y、倍率x、倍率y、回転および非直交性を含むことができる。4パラメータモデルの場合、少なくとも4つのマーク位置が使用され、また、6パラメータモデルの場合、少なくとも6つのマーク位置が使用される。
【0090】
[00112] シナリオIII:XスクライブラインまたはYスクライブラインを1つ置きにスキャンする(第1の方向または第2の方向のスクライブラインを1つ置きにスキャンする)。シナリオIIIは、測定値の数を制限し、また、スキャンするスクライブラインを最小限に制限する。しかしながら、すべてのフィールドのマークが、スキャン毎にフィールドの異なる側でスキャンされる(これは最小限の要求事項である)。個々の露光フィールドは、フィールドパラメータとして2つの絶対X、Y位置決定および1つの独自の相対X、Y位置によって特性化される。ここでは、互いに直後に露光された露光フィールドのアプリオリフィールド間パラメータ傾向の影響、およびこの傾向が認識される精度は、フィールドの最終位置/パラメータ決定に対するよりも大きい影響を有している。
【0091】
[00113] シナリオIIIでは、任意選択により、1つの追加スクライブライン(このシナリオのために選択されるX方向またはY方向のいずれかのスクライブライン)がスキャンされる。この追加スクライブラインは、1つ置きにスキャンされるスクライブラインのうちの1つに隣接して配置され、また、この追加スクライブラインは、実質的にウェーハの中心を通る条件を満たしている。この追加スクライブラインに対するスキャンにより、シナリオIIIにおける露光フィールドパラメータを決定する精度を改善することができる。
【0092】
[00114] 以下に示す例示的方法を使用して、測定された(スキャンされた)複合マークからマーク位置を決定することができる。
【0093】
[00115] Pm、nを露光フィールドF(m、n)のためのマーク位置とする。Mx、m、n、My、m、nをそれぞれX方向およびY方向の対応するマーク位置に対する測定値とし、また、σm、nをそのマーク位置が関連している隣接する露光フィールドを示すポインタとし、また、そのマーク位置におけるスキャンが実施されている場合、スキャンシナリオのうちの1つが使用されるものとする。
【0094】
[00116] 行列形式では、ウェーハ上のすべての露光フィールドに対して、次のように形式化することができる。
M=Σ・P [式1]
上の式で、Pはマーク位置Pi、jの行列表記であり、Mは測定値Mx、i、jの行列表記である。また、My、i、jおよびΣは、測定されたすべての露光フィールドF(i、j)に対するポインタσi、jの行列表記である。
【0095】
[00117] 行列P、ΣおよびMを構築する方法については当業者には理解されよう。また、式1が優決定系と結合した一組の一次方程式を表していることについても理解されよう。
【0096】
[00118] その場合、式1に対する解は、
P=(ΣΣ)−1・Σ・M [式2]
で与えられる。上の式で、行列Σは行列Σの転置行列であり、(ΣΣ)−1は行列(ΣΣ)の逆行列を表している。
【0097】
[00119] 解は剰余が最小化される特性を有している。
【0098】
[00120] 剰余は、
R=M−Σ・P [式3]
によって行列表記で与えられる。
【0099】
[00121] 式2の解は、式4に従って総剰余が最小化される特性を有している。
Σ{ρi、jは最小である [式4]
通常、精度誤差が同じであると仮定すると、露光フィールドF(i、j)の剰余ρi、jは、その原点には無関係に最小化される。したがって式4は、その測定値/データを利用することができる異なるレベルの精度を反映していない。
【0100】
[00122] 行列要素が絶対位置の決定または相対位置の決定のいずれかと関連していることに依存してこれらの式に対する異なるレベルの精度を反映するために、以下の修正剰余を最小化するべく最小二乗最小化が修正される。
【0101】
【数1】

上の式で、
【0102】
【数2】

であり、また、D(s)は測定値の精度誤差を表している。測定値は、絶対位置精度誤差がDaの絶対位置測定値であるか、あるいは相対位置精度誤差がDrの相対位置測定値であってもよい。上で説明したように、相対精度誤差は、通常、絶対精度誤差よりも小さい。
【0103】
[00123] 式1は、
Σ・P=M [式6]
を評価することによってこの新しい制約条件を反映するべく容易に修正することができる。上の式で、測定されたすべての露光フィールドF(i、j)に対して、Mは、精度D(s)で割った測定値Mx、i、jおよび精度D(s)で割った測定値My、i、jの行列表記であり、Σは、D(s)で割ったポインタσi、jの行列表記である。
【0104】
[00124] 式6の解も上記と同様であり、したがって、
P=(ΣD+Σ−1・ΣD+・M [式7]
である。
【0105】
[00125] 式7を使用して計算されるマーク位置Pは、測定が実施された精度のレベルを考慮することによって形成される。
【0106】
[00126] したがって絶対位置のみを評価した場合よりも正確なマーク位置が得られる。
【0107】
[00127] 新しい露光のための入力を形成するフィールドパラメータは、式7の解Pを、個々の露光フィールドの少なくとも並進、倍率、回転および非直交性を定義している式に代入することによって計算することができる。
【0108】
[00128] 並進、倍率、回転および非直交性を定義している式の形成は、場合によっては、個々の露光フィールドの実際のレイアウトおよび複合マークの数に左右されることは当業者には理解されよう。
【0109】
[00129] 他の実施形態では、測定されたフィールド位置からのアライメントデータおよびアプリオリフィールドパラメータ知識を使用するための方法を構成することができる。
【0110】
[00130] アプリオリフィールドパラメータ知識は、一組のフィールドパラメータから、他のフィールドからのパラメータまでの関係を記述したものである。この関係により、1つの露光フィールドの一組のフィールドパラメータと他の露光フィールドの一組のパラメータとの間の関数関係の予測傾向が提供される。
【0111】
[00131] 他の実施形態では、アプリオリフィールドパラメータ傾向は、1つまたは複数のプロセス変数パラメータの関数であってもよい。
【0112】
[00132] このアプリオリフィールドパラメータ傾向により、1つの露光フィールドのマーク位置と他の露光フィールドのマーク位置を既知の精度で結合することができる。プロセス変数は、リソグラフィ処理工程のうちの任意の工程に関連付けることができる。パラメータをベースとする傾向の例は、温度誘導倍率傾向および露光レンズの変化である。このような傾向は、プロセス時間の関数であってもよい。
【0113】
[00133] パラメータの傾向に関する詳細な知識が全くない場合であっても、フィールド間パラメータ精度誤差(D)の知識だけでも、以下で説明する行列表現に使用するための最も重要な値になり得ることに留意されたい。
【0114】
[00134] アプリオリフィールドパラメータ傾向を記述するために、アライメントが生じる層の露光ルーティングに対するパラメータの依存性が反映されるよう、パラメータ可変性レベルで方程式をセットアップすることができる。アプリオリに、フィールドパラメータは、フィールドF(m、n)の露光後、概ね、ある傾向に従ってデルタΔMで変化することになることを容易に確立することができる。この変化は、ウェーハ上の他の露光フィールドF(m2、n2)に影響を及ぼすことになる。したがってフィールドパラメータの変化は、
Parm2、n2−Parm、n=ΔM(s、m2、n2、m、n) [式8]
で与えられる。上の式で、Parm2、n2はフィールドF(m2、n2)に関連するフィールドパラメータであり、Parm、nは、フィールドF(m2、n2)の直前または直後に露光されるフィールドF(m、n)に関連するフィールドパラメータである。また、ΔM(s、m2、n2、m、n)は、これらの2つのフィールドパラメータの間の差であり、この差は、アプリオリフィールドパラメータ傾向によって定義される。
【0115】
[00135] 式8から、式1〜式7によって記述される関係を使用して、測定値Mi、jとして露光フィールドF(i、j)のためのフィールドパラメータPari、jを使用することにより、露光フィールド毎に改良型精度でマーク位置Pを計算することができる。この場合、式5〜7の精度誤差D(s)は、フィールド間パラメータ精度誤差Dに設定される。
【0116】
[00136] 露光フィールドのアライメント位置情報を単一スキャンで露光フィールド毎に測定すると、個々の露光フィールドのアライメント位置情報の精度を改善することができ、また、アプリオリフィールドパラメータ情報を使用してその露光フィールドおよび他の露光フィールド(必ずしも隣接している必要はない)に関連する追加関連位置情報が計算される。2つの露光フィールド間の追加関連位置情報を使用することにより、これらのフィールドのマーク位置を既知の精度で結合することができ、また、アライメント位置情報のみから得られる精度よりも高い精度でフィールドの絶対位置を計算することができる。
【0117】
[00137] 一実施形態では、微動ウェーハアライメント(FIWA)の方法には、
[00138] −ウェーハ上の複数のフィールドのFIWAマークをスキャンし、かつ、測定する工程と、
[00139] −ウェーハ上の複数のフィールドの各々のFIWAマークの絶対位置を決定する工程と、
[00140] −マークの相対位置を決定する工程であって、一組のフィールドパラメータから(引き続いて露光された)他の一組のフィールドパラメータまでの関係を記述したアプリオリフィールド間パラメータ知識から得られる情報を使用して、互いに引き続いて露光されるすべてのフィールドパラメータを決定する工程と、隣接するフィールドからのマークから構成される複合マークを使用して、互いに隣り合って露光されるすべてのフィールドの相対マーク位置を決定する工程とを含むグループのうちの少なくとも1つを実行することによってマークの相対位置を決定する工程と、
[00141] −アライメントデータ情報の精度誤差値を考慮することにより、すべてのフィールドに対して、絶対位置および決定された相対位置の結果を矛盾しない方法で結合して改良型絶対位置にする工程と、
[00142] −改良型絶対位置に基づいてフィールドパラメータを決定する工程と、
[00143] −複数の露光フィールドの各々に対する修正絶対位置を使用してウェーハの次の露光を実行する工程
が含まれている。
【0118】
[00144] 他の実施形態では、本明細書において説明されている技法は、通常は数日を要するリソグラフィシステムのキャリブレーションおよびセットアップに使用することができる。リソグラフィシステムのキャリブレーションおよびセットアップに長い時間を要する理由は、一部にはXおよびYキャリブレーションに個別のスキャンが必要であることによるものである。XおよびYスキャンは、通常、個々のマークに対して実施され、したがってX位置決定とY位置決定との間にずれが生じることになる。相対精度が必要であることがしばしばであり、この相対精度は、絶対決定位置の減算に基づいていることがしばしばである。
【0119】
[00145] キャリブレーションは、しばしば、絶対ステージグリッドキャリブレーション(ASG)とそれに続くステージグリッド検証の2つの全く異なる段階で実施される。最初にASGを考察すると、これには、レチクルの異なるY位置におけるブランクウェーハ上のマークを露光し、次に、ウェーハテーブルの異なる位置でマークの位置を読み取るための専用レチクル設計が使用されている。
【0120】
[00146] 図6は、キャリブレーションレチクルのレイアウトを示したものである。これは、対角線上のn=5個のマークからなっている。
【0121】
[00147] 図7は、グリッドサイズがdyのYセットポイントに対するウェーハ上のマークのパターンを示したものである。個々の記号は、露光側の異なるYステージ位置と一致している。長方形の中のn=5個のマークは、すべて、露光側の異なるステージY位置を使用して露光されることに留意されたい。また、これらのn=5個のマークは、測定側の1つのステージY位置を使用して読み取ることができることに留意されたい。言い換えると、露光側の1つのステージY位置を使用して露光される5個のマークは、測定領域におけるn=5個の異なるステージY位置を使用して読み取ることができる。
【0122】
[00148] しかしながら、このASGキャリブレーションの場合、これらのパラメータの測定値を読み取るのに8時間が必要であり、これは望ましくない量の機械時間である。詳細には、X方向およびそれとは別のY方向のスキャンニング位置はむだである。また、相対位置の差を得るための絶対位置決定および減算は、アライメント雑音が2倍になるため、どちらかと言えば不正確である。
【0123】
[00149] 図8は、本発明の一実施形態によるASGキャリブレーションのための専用レチクル上に使用されるマークを示したものである。この実施形態では、レチクルの上に単一のマークを使用する代わりに、傾斜した縫合マークからなるマークが使用されている。下側のエレメントと上側のエレメントとではピッチが異なっており(それぞれ知られているアライメントマーク設計AA4およびAA5)、互いの中にプリントすることができる。2つのセグメントからなる全体の長さが320μmの傾斜したAA4検出グリッドは、長手方向に沿ってスキャンされると、長さが80μmの単一位置AA5セグメントと同様の精度でX位置およびY位置を提供する。
【0124】
[00150] 図9は、図6と同様、対角線上に5個のこのようなマークを備えた専用レチクルを示したものである。図10は、Y方向の異なるオフセット位置を使用して露光されたウェーハ上のマークを示したもので、図7に示されているウェーハマークと等価である。したがって、いずれの場合においても異なる露光からのサブマークからなる(交番露光によって暗い陰と明るい陰が交番する陰影がマーク上に使用されている)一行の複合マークがウェーハ上で露光される(長方形で示されている)。
【0125】
[00151] これらのマークのアライメントに必要であるのは、単一方向のアライメントを実施することのみである。これは、高速のアライメントに極めて適している。個々の複合マークによって、2つのX位置、2つのY位置およびこれらの両方の位置の間の相対差が次数間精度で得られる。マーク回折格子を使用してアライメントを実行すると、マークのピッチの半分(第1次数)、第3次数(3分の一半マークピッチ)、第5次数(5分の一半ピッチ)、等々における強度信号が得られる。これは、そのフーリエ成分中への方形パルス(マーク形状)の分解である。これらの次数間の再生(つまり(apos(3)〜apos(5))の再生は、通常、次数iの整列位置に等しいapos(i)の再生よりも10倍良好であることが分かる)。
【0126】
[00152] 次数間再生がよりも良好である理由は、次数間再生では控除されない共通雑音係数によるものである。標準精度よりも10倍良好であるこの次数間精度が得られる理由は、AA4トレースに対する雑音と(同時にスキャンされる)AA5トレースの雑音が等しいことによるものである。したがって、Y方向の場合と同様、最初の1つの位置を計測することによって得られる精度よりもはるかに良好な精度で、X方向におけるデルタ位置(つまり異なるマークから引き出される両方の次数の位置の間の距離であり、同じく両方のマークの間の距離を表している)が得られ、次いでもう一方が得られ、その後で差が決定される。この実施形態にはAA4およびAA5以外のタイプのアライメントマークを使用することも可能であることを理解されたい。
【0127】
[00153] 図10の長方形の内側の5つの複合マークに沿ってスキャンすることにより、6つの異なる露光位置の間の差に対応するXdX、YdY、XdYおよびYdXの5倍の長い単一スキャンが提供されることに留意されたい。
【0128】
[00154] 上では、上で説明したマーク以外の異なるタイプのマークを使用することができることが言及されている。図11aは、次の露光で一体に縫合し、図11bに示されている複合マークを得ることができる他のタイプの傾斜サブマークを示したものである。この場合の整列させるべきマーク構造の幅は、依然として38μmである。このマークレイアウトは、アライメントシステムのセンサスポット径に無関係であり、また、検出される信号の中心におけるマーク縁効果に悩まされることがないため、好ましいレイアウトである。
【0129】
[00155] 複合傾斜マークを機械セットアップに使用することにより、現在の(想定されている)実践と比較すると、より正確で、より迅速な、かつ、より信頼性の高い結果を得ることができる。XYキャリブレーションのためのこの新しい方法と古い方法とを比較し、かつ、1×1mmのグリッド密度の場合の測定時間に対する影響を計算すると、実行する必要のあるスキャンが一方向(x方向またはy方向)のみであるため、読取り時間が約1/2に短縮されることを単純に立証することができる。さらに、停止−開始を必要とすることなくスキャンを継続することができるため、精度が改善される。
【0130】
[00156] しかしながら、読取り時間のこの約1/2の短縮は、アンダーサンプリングを実施することができるため、さらに短縮することができる(約1/10)。情報に関係しているのは1mmの範囲にすぎない。現在は300個のサンプルを使用して、40μmスキャン長スクライブラインマーク(サンプル距離150nm)からX位置またはY位置が決定されている。同じ数のサンプルを取得して1mmスキャンのx−y位置を決定する場合、1.5μm毎に1個のサンプルが必要である(2×300サンプル/1mm)。したがって、取得するサンプルの数が過剰に減少する危険を伴うことなく、また、サンプリング周波数をより高くする必要なく、移動速度を10倍速くすることができる(3mm/sから30mm/sにすることができる)。2つのサブセグメント(それぞれ500μm)のうちの一方での総休止時間は、100Hzの低周波雑音成分のため、10msよりも短くしてはならない。これは、より高いサンプリング周波数(十分なデータポイントを得るため)と相俟って、アライメントの速度を500μm/10ms=50mm/sへさらに改善することができることを意味している。図12に示されている縦続サブセグメントマークによってさらに2倍の速度を達成することができる。結果として得られる、サブセグメントのすべてのエレメントの信号を結合することにより、1mm/10ms=100mm/sの速度を達成することができる(個々のサブセグメントの全体の長さは、〜1mmである)。
【0131】
[00157] 提案されている手法の範囲内では、マークサブセグメント上での総休止時間は同じ総休止時間が維持され、したがって1mmグリッド当たりのサンプル数を同じサンプル数に維持することができるため、精度は同じ期待精度が維持されるが、アライメント時間が30倍に改善される(3mm/sから100mm/sに改善される)。100mm/sの速度を使用して特定の例を提供すると、ウェーハの直径が300mmである場合、1×1mmのグリッド分解能での合計XYのグリッド決定は、{300mm300ライン}/{100mm/s}=1000秒になる。
【0132】
[00158] ASGキャリブレーションが完了すると、トレースがウェーハ上で露光され、次に、較正されたグリッドの有効性を確認するためにトレースが測定されるトレース試験によってキャリブレーションの結果が検証される。この方法は、レチクルを移動させる必要なくウェーハを露光し、かつ、測定グリッドを決定するためのエレガントな方法であるが、この検出方法には、nmレベルで位置オフセットに向かう振幅信号の解釈が利用されている。この方法は、場合によっては極めて困難であることが分かっている。さらに、XdYおよびYdXに関連する情報しか得られず、したがってXdXおよびYdYに関連する情報は得られない。
【0133】
[00159] 次に、このトレース試験に対する代替を提案する。この提案には、38μm×30mm(つまりレチクルのY方向の全長)のマークの露光が含まれている。38μmが選択されている理由は、それがアライメントシステムのセンサスポット径であることによるものである。この傾斜XYマークの形状は、+45度および−45度のグリッドのセクションからなっている。十分な空間分解能を可能にするために、0.5mmのスリットを使用してスキャンモードでこの大きいマークが露光される。ウェーハは、フルフィールドの場合と同様の方法で露光される。XおよびYは単一の位置から同時に決定されるため、これは、測定グリッドに対する露光済みパターンのXdXオフセット、YdYオフセット、XdYオフセットおよびYdXオフセットの現実に即した露光状況における決定を可能にしている。レチクルによって誘導されるあらゆる系統的オフセットは、それらの特性が反復性であるため、容易に認識することができる。次にそれらを控除することによって測定グリッドを得ることができる。
【0134】
[00160] 上で説明した全長30mmのマークは、異なるウェーハ位置で露光されるマークから構築される複合マークであり、図12の縦続マークに類似していてもよい。別法としては、それらは、図13に示されている異なる設計からなっていてもよい。図13に示されている2つのマークの利点は、マーク上のすべての位置に対するX位置およびY位置を決定することができることである(この場合も相対位置は決定されない)。これらのマークは、それらの角度が別様に配向されており、また、それらが単一の露光でプリントされる点で、図11および12に示されているマークとは異なっている(また、以下で説明する図14および15に示されているマークとも異なっている)ことに留意されたい。
【0135】
[00161] したがって、測定グリッドが試験されるだけではなく、レチクル(ステージ)によって誘導されるオフセットも試験される。トレース試験とは対照的に、レチクル動的誤差は、場合によっては結果の望ましくない部分である。しかしながら、これらのレチクル動的誤差は、いくぶんかより低速の露光スキャン速度を使用することによって最小化することが可能である。あたかもスクライブラインの上を走っているかのように露光マークの上を走らせることによってアライメントを実施することができるため、この試験の測定速度は速く、上で説明した(同じく高速の)トレース試験と比較してもひけを取らない。トレース試験の場合のように、振幅の変化とnmオフセットを関連付けるための特殊なキャリブレーションは不要である。
【0136】
[00162] 上で説明した実施形態の利点の1つは、2つの露光で露光されるマーク構造の場合、これらの2つの露光と露光の間で正確な値のXdX、YdY、XdYおよびYdXが決定されることである。これらのパラメータは、オーバーレイの観点からすると、実際に最も重要である。リソグラフィ装置を使用したデバイス製造方法の場合、オーバーレイは、歩留まり、つまり適切に製造されるデバイスの割合の点で重要な要因である。オーバーレイは、既に形成済みの層に対する関係で層がプリントされる精度である。オーバーレイエラーバジェットは、場合によっては10nm以下であることがしばしばであり、このような精度を達成するためには、優れた精度で基板を転写されるマスクパターンに整列させなければならない。オーバーレイ決定が10倍改善されることを期待することができる(これは次数間再生に対応している)。
【0137】
[00163] オーバーレイ測定は極めて頻繁に実施される。オーバーレイ測定は、回復シーケンスの一部であることがしばしばであり、したがってこの試験の速度を速くすることは、すべて、回復時間を短くすることになる。また、この方法で得られる精度(約1nm)は限定されており、したがって特定のアプリケーションには場合によっては不十分である。
【0138】
[00164] ウェーハ上のオーバーレイの測定に要する現在の時間は6〜8分である。このオーバーレイは、44個のフィールド上で決定され、この決定から25個の(x、y)オーバーレイデータポイントが得られる。次に、1つのフィールドが3〜4つの位置の7行に分割される(合計25個)。この測定値の精度は、2つの個別の測定データの減算に基づいている。1つのターゲットに対するアライメントによって、たとえば1nmのレプロが得られ、また、他のターゲットに対するアライメントによって同じく1nmのレプロが得られる。独立して測定されたこれらの値を減算することにより、減算されたアライメント信号の精度、sqrt(1^2+1^2)=sqrt(2)が得られ、したがって精度は約sqrt(2)レプロ]に制限されている。
【0139】
[00165] 図14は、第1の層を露光している間にプリントされたマークおよび第2の層を露光している間にプリントされたマークを、層1と2の間で読み取られたオーバーレイと共に示したものである。
【0140】
[00166] 上で説明した実施形態では、オーバーレイマークの長さを1mmにすることができる。100Hzの雑音を回避するためには、縦続マークセグメント上での滞留時間を10msにしなければならない。したがってアライメント速度を100mm/sにすることができる。(必要に応じて)精度を損なうことなくアンダーサンプリングが許容される。100Khzのサンプリングでは、アンダーサンプリングは不要であることに留意されたい。
【0141】
[00167] また、これらのキャリブレーションおよびオーバーレイ実施形態のために選択される手法は、最適の長さ(つまり1mm以上)のマークを選択することができるため、低周波攪乱(100Hz)には無関係であることに留意されたい。上で言及したように、44個のフィールド(たとえば1ウェーハ当たり6行)および1フィールド当たり7行のマークが存在している。したがって総スキャン長は、300mm(1スキャン)7×6=12メートルである。総オーバーレイアライメント時間は、120m/(100mm/s)=2分になる。
【0142】
[00168] また、マーク位置を賢明に選択することにより、1フィールド当たりの行数を少なくすることができることは明らかであろう。また、1mmよりも長いマークを選択することにより、アライメント速度をさらに速くすることができる。
【0143】
[00169] 他の実施形態では、マークのX位置と第1の層が整列し、また、Y位置と(異なる)第2の層が整列するよう(あるいはその逆で整列するよう)、層と層の間でアライメントを分割することができる。これは、いくつかの製品がそうであるが、コンタクト層がすべての層のうちの大きな割合を占めている場合(30〜50%)、とりわけ有用である。
【0144】
[00170] 標準のマークタイプの場合(1アライメント方向当たり1スキャン)、スループットに全く影響を及ぼすことなく、この方法で容易にアライメント分割を実施することができる。傾斜マークの場合、これは、アライニングの利点によって、同じ時間フレーム内の位置の量の2倍が失われることになることを意味している。これは、個々の層に傾斜マークが含まれていても、1つのスキャンによって提供されるのは1つの有用な方向位置情報xまたはyのみであることによるものである。他の有用な方向位置情報は、異なる層からの他の傾斜マークに対するアライニングから得なければならない。したがってこの技法は、標準(一方向)マークを使用して同じように実施することができる。
【0145】
[00171] 個々の層に対して単一タイプのマーク設計を使用することが有利であり、また、1枚のウェーハに対して、所与のタイムスパンで決定すべき有用なマーク位置の数を同じ数に維持しなければならないため、いくつかの新しいマークタイプが設計されている。これらのマークタイプを使用することにより、依然として単一スキャンを使用することができ、また、依然として層1のX位置および層2のY位置(またはその逆)を決定することができる。これは、既に上で説明した実施形態に関連して説明したように、層1のマークの中に層2のマークをプリントすることによって実行される。
【0146】
[00172] 図15a〜15dは、整列を分割するために特別に設計された4つのタイプの新しいマークを示したものである。図15aおよび15bの各々には、それぞれ知られているマークBF2u67およびBF4u0(AA6ピッチおよびAA4ピッチ)を組み合わせた異なるタイプのマークが示されている。また、図15cおよび15dには、それぞれ知られているマークBF3u2およびBF5u33(AA5ピッチおよびAA3ピッチ)を組み合わせた異なるタイプのマークが示されている。個々の設計は2つの露光でプリントされる。
【0147】
[00173] 単一スキャンされると、個々の設計によって、層1のX、Yおよび層2のX、Yである2個のX位置および2個のY位置が与えられる。これらの2つの異なる層のX位置およびY位置は、次数選択検出によって分離されている。分割整列の場合、整列した位置(層3を露光するための)は、層1からのXおよび層2からのY(またはその逆)から構成される。
【0148】
[00174] タイプ2設計(図15bおよび15d)と比較した場合のタイプ1設計(図15aおよび15c)の利点は、タイプ2の記録信号にはマークエッジ信号が存在しないこと(つまりマークエッジとアライメントシステムのセンサスポットがオーバラップしていること)である。
【0149】
[00175] タイプ1設計(図15aおよび15c)と比較した場合のタイプ2設計(図15bおよび15d)の利点は、アライメントシステムのセンサスポット内の次数混合のレベルが低いことである(サブマークが空間的に分離されているために)。
【0150】
[00176] タイプ1設計に、次数AA5およびAA3ではなく、AA4およびAA6を使用する利点は、より同次の信号トレースが得られることである。これは、AA6/AA4が8μm毎に反復され、また、AA5/AA3が16μm毎に反復されることによるものである。
【0151】
[00177] 本明細書においては、とりわけICの製造におけるリソグラフィ装置の使用が参照されているが、本明細書において説明されているリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁気ドメインメモリのための誘導および検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド、等々の製造などの他のアプリケーションを有することができることを理解されたい。このような代替アプリケーションのコンテキストにおいては、本明細書における「ウェーハ」または「ダイ」という用語の使用はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語の同義語と見なすことができることは当業者には理解されよう。本明細書において参照されている基板は、たとえばトラック(通常、基板にレジストの層を加え、かつ、露光済みのレジストを現像するツール)、メトロロジーツールおよび/またはインスペクションツール中で、露光前または露光後に処理することができる。適用可能である場合、本明細書における開示は、このような基板処理ツールおよび他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、たとえば多層ICを生成するために複数回にわたって処理することができるため、本明細書において使用されている基板という用語は、処理済みの複数の層が既に含まれている基板を指している場合もある。
【0152】
[00178] また、本発明による実施形態の使用について、とりわけ光リソグラフィのコンテキストの中で参照されているが、本発明は、他のアプリケーション、たとえばインプリントリソグラフィに使用することができ、コンテキストが許容する場合、光リソグラフィに限定されないことは理解されよう。インプリントリソグラフィの場合、基板に生成されるパターンは、パターニングデバイスのトポグラフィによって画定される。パターニングデバイスのトポグラフィが、基板に供給されているレジストの層にプレスされ、次に、レジストを硬化させるべく、電磁放射、熱、圧力またはそれらの組合せが印加される。レジストが硬化すると、パターニングデバイスがレジストから除去され、後にパターンが残される。
【0153】
[00179] 本明細書において使用されている「放射」および「ビーム」という用語には、紫外(UV)放射(たとえば365nm、355nm、248nm、193nm、157nmまたは126nmの波長を有する放射またはその近辺の波長を有する放射)および極端紫外(EUV)放射(たとえば波長の範囲が5〜20nmの放射)、ならびにイオンビームまたは電子ビームなどの粒子線を含むあらゆるタイプの電磁放射が包含されている。
【0154】
[00180] コンテキストが許容する場合、「レンズ」という用語は、屈折光学コンポーネント、反射光学コンポーネント、磁気光学コンポーネント、電磁光学コンポーネントおよび静電光学コンポーネントを始めとする様々なタイプの光学コンポーネントのうちの任意の1つまたは組合せを意味している。
【0155】
[00181] 以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明は、説明されている方法以外の方法で実践することも可能であることは理解されよう。たとえば、本発明は、上で開示した方法を記述した1つまたは複数の機械読取可能命令シーケンスを含んだコンピュータプログラムの形態を取ることができ、あるいはこのようなコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取可能データ記憶媒体(たとえば半導体記憶装置、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態を取ることができる。このようなコンピュータプログラムは、上で開示した方法に従ってリソグラフィ装置を制御するように構成することができる。
【0156】
[00182] 以上の説明は、実例による説明を意図したものであり、本発明を限定するものではない。したがって、特許請求の範囲に示されている各請求項の範囲を逸脱することなく、上で説明した本発明に修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。
結び
【0157】
[00183] 特許請求の範囲を解釈するために使用されることが意図されているのは「発明を実施するための形態」の節であり、「発明の概要」および要約書の節ではないことを理解されたい。「発明の概要」および要約書の節には、一人または複数の発明者が企図している本発明の例示的実施形態の1つまたは複数を示すことは可能であるが、そのすべてを示すことは不可能であり、したがってこれらの節には本発明および添付の特許請求の範囲を限定することは一切意図されていない。
【0158】
[00184] 以上、特定の機能およびそれらの関係の実施態様を示す機能ビルディングブロックを使用して本発明の実施形態について説明した。本明細書においては、これらの機能ビルディングブロックの境界は、説明の便宜上、任意に画定されている。特定の機能およびそれらの関係が適切に実施される限り、代替境界を画定することも可能である。
【0159】
[00185] 特定の実施形態についての以上の説明は、本発明の一般的な性質を余すところなく開示しており、したがって当業者は、当分野における知識を適用することにより、不適切な過度の実験作業を必要とすることなく、また、本発明の一般概念から逸脱することなく、様々なアプリケーションのためにこのような特定の実施形態に容易に修正を加え、および/または適合させることができる。したがって、このような適合および修正は、開示されている実施形態の、本明細書において示されている教示および手引きに基づく等価物の意味および範囲の範疇であることが意図されている。本明細書における表現または専門用語は、説明を目的としたものであって本発明を限定するためのものではなく、したがって本明細書の専門用語または表現は、当業者によって、教示および手引きに照らして解釈されるべきものであることを理解されたい。
【0160】
[00186] 本発明の広さおよび範囲は、上で説明したいずれの例示的実施形態によっても限定されず、唯一添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ定義されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスを製造するための方法であって、
基板を提供する工程であって、前記基板が複数の露光フィールドを備え、個々の露光フィールドが1つまたは複数のターゲット部分および少なくとも1つのマーク構造を備え、前記少なくとも1つのマーク構造が前記露光フィールドのための位置マークとして配置される工程と、
対応する個々の露光フィールドのためのアライメント情報を得るために個々の露光フィールドの前記少なくとも1つのマークをスキャンし、かつ、測定する工程と、
前記対応する個々の露光フィールドのための前記アライメント情報から個々の露光フィールドの絶対位置を決定する工程と、
前記露光フィールドおよび少なくとも1つの他の露光フィールドの互いに対する相対パラメータに関する追加情報を使用して、少なくとも1つの他の露光フィールドに対する個々の露光フィールドの相対位置を決定する工程と、
前記複数の露光フィールドの各々に対して、前記絶対位置および前記決定された相対位置を結合して改良型絶対位置にする工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記マークが、1つの露光フィールドの第1のマーク部分および他の露光フィールドの第2のマーク部分からなる複合マークであり、前記他の露光フィールドが前記1つの露光フィールドに隣接し、
前記1つの露光フィールドおよび前記他の露光フィールドの互いに対する前記相対位置に関する前記追加情報が、前記第1のマーク部分の位置と前記第2のマーク部分の位置の差から決定される
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
測定中、前記第1のマーク部分が第1のマーク応答信号を生成するようになされ、また、前記第2のマーク部分が第2のマーク応答信号を生成するようになされ、前記第2のマーク応答信号が前記第1のマーク応答信号とは異なる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のマーク部分が第1の周期構造を備えた回折格子であり、また、前記第2のマーク部分が第2の周期構造を備えた回折格子であり、前記第1の周期構造が前記第2の周期構造とは異なる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
光ビームによる前記複合マークの照明をさらに含み、前記第1のマーク部分で回折した光が実質的にある1つ周期の光として変調され、一方、前記第2のマーク部分で回折した光が実質的に前記1つの周期とは異なる他の周期の光として変調される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の露光フィールドの各々に対する改良型絶対位置を使用して前記基板の次の露光を実行する工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つの露光フィールドおよび前記他の露光フィールドの互いに対する前記相対位置に関する前記追加情報が、アプリオリフィールド間パラメータ傾向から決定される
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アプリオリフィールド間パラメータ傾向が、前記1つの露光フィールドの一組の位置と前記他の露光フィールドの一組の位置との間の関数関係である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アプリオリフィールド間パラメータ傾向が傾向パラメータとしての1つまたは複数のプロセス変数の関数であり、前記プロセス変数が前記基板のリソグラフィ処理に関連している、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の露光フィールドの各々に対して、前記絶対位置および前記決定された相対位置を結合して改良型絶対位置にする工程が、
前記アライメント情報から決定される前記絶対位置の値および前記追加情報から決定される前記相対位置の値を前記複数の露光フィールドのための一組の一次方程式の中に配列する工程と、
個々の露光フィールドに対する位置を含む改良型絶対パラメータセットを生成するために、測定された位置データと前記複数の露光フィールドに対して計算された前記改良型位置との間の剰余が最小化されるように前記一組の一次方程式を解く工程と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記測定データと前記改良型絶対位置の間の前記剰余が精度誤差で割った差からなり、前記精度誤差が、絶対位置に対する第1の精度誤差および相対位置に対する第2の精度誤差から選択され、前記第2の精度誤差の方が前記第1の精度誤差よりも小さい、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記デバイスが複数の層の中に製造され、前記アライメント情報が層毎に単一の方向に対して得られ、前記方向が、連続する個々の層の最後の層の方向に対して直角である、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記回折格子が、第1の方向Xおよび第2の方向Yに対して傾斜した少なくとも1つの角度に沿ってそれぞれ展開している複数の回折エレメントを有する回折パターンを備え、前記回折パターンから方向Xおよび方向Yの両方向のアライメント情報が得られるよう前記方向が直交している、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記マーク部分の各々が、互いに90度の角度をなしている2つの傾斜角で展開している回折パターンを有する回折格子を備えた、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記デバイスが複数の層の中に製造され、前記複数の層のうちのいくつか、またはそれらのすべてに対して、前記アライメントデータを使用して他の層に対する改良型位置が決定される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記デバイスの製造に先立って、前記方法工程を初期キャリブレーションに使用して前記基板のための基準グリッドが決定され、前記初期キャリブレーションが、複数の前記複合マークを形成するために前記基板を複数回にわたって露光する初期工程を含み、前記第1および第2のマーク部分の各々が異なる露光から形成される、請求項13から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記基板の前記初期露光工程が、対角線上に複数のマークを有するレチクルを使用して実施され、前記マークの各々が、第1の周期構造を備えた回折格子である第1のサブマーク、および第2の周期構造を備えた回折格子である第2のサブマークを備え、前記第1の周期構造が前記第2の周期構造とは異なる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記レチクルまたは基板のうちのいずれか一方が静止状態に保持された状態で前記初期露光工程が実施され、引き続いて、前記レチクルまたは基板のうちのもう一方が静止状態に保持された状態でスキャンおよび測定工程が実施される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記スキャンが複合マークの単一線上で実施され、複合マークの前記線が個々の露光からの少なくとも1つのマーク部分からなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記基準グリッド情報を検証する他の工程が実施され、前記他の工程が、複数の傾斜セクションからなる他のマークを露光する工程であって、前記他のマークが実質的にX方向またはY方向のいずれかの前記レチクル長である工程と、前記基準グリッドに対する前記他のマークの任意のオフセットのパラメータを決定する工程とを含む、請求項16から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
パターニングデバイスから基板の上にパターンを転写するようになされたリソグラフィ装置であって、さらに、
基板を提供する工程であって、前記基板が複数の露光フィールドを備え、個々の露光フィールドが1つまたは複数のターゲット部分および少なくとも1つのマーク構造を備え、前記少なくとも1つのマーク構造が前記露光フィールドのための位置マークとして配置される工程と、
対応する個々の露光フィールドのためのアライメント情報を得るために個々の露光フィールドの少なくとも1つのマークをスキャンし、かつ、測定する工程と、
前記対応する個々の露光フィールドのための前記アライメント情報から個々の露光フィールドの絶対位置を決定する工程と、
前記露光フィールドおよび少なくとも1つの他の露光フィールドの互いに対する相対パラメータに関する追加情報を使用して、少なくとも1つの他の露光フィールドに対する個々の露光フィールドの相対位置を決定する工程と、
前記複数の露光フィールドの各々に対して、前記絶対位置および前記決定された相対位置を結合して改良型絶対位置にする工程と
を実行するようになされたリソグラフィ装置。
【請求項22】
パターニングデバイスから基板の上にパターンを転写するようになされたリソグラフィ装置であって、さらに、
基板を提供する工程であって、前記基板が複数の露光フィールドを備え、個々の露光フィールドが1つまたは複数のターゲット部分および少なくとも1つのマーク構造を備え、前記少なくとも1つのマーク構造が前記露光フィールドのための位置マークとして配置される工程と、
対応する個々の露光フィールドのためのアライメント情報を得るために個々の露光フィールドの少なくとも1つのマークをスキャンし、かつ、測定する工程と、
前記対応する個々の露光フィールドのための前記アライメント情報から個々の露光フィールドの絶対位置を決定する工程と、
前記露光フィールドおよび少なくとも1つの他の露光フィールドの互いに対する相対パラメータに関する追加情報を使用して、少なくとも1つの他の露光フィールドに対する個々の露光フィールドの相対位置を決定する工程と、
前記複数の露光フィールドの各々に対して、前記絶対位置および前記決定された相対位置を結合して改良型絶対位置にする工程と
を含む方法を実行するようになされたリソグラフィ装置。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図2c】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図4c】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11a】
image rotate

【図11b】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15a】
image rotate

【図15b】
image rotate

【図15c】
image rotate

【図15d】
image rotate


【公開番号】特開2010−123949(P2010−123949A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−257618(P2009−257618)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】