説明

リソグラフツールの原位置(insitu)清浄化用配合物

表面から高分子材料を除去する、好ましくは、リソグラフ装置を完全には分解しないでリソグラフ装置から汚染物質の蓄積を清浄化する組成物および前記組成物の使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、表面から高分子材料を除去するために、例えば、装置を完全には分解せずに、リソグラフ装置から汚染物質の蓄積を清浄化するために有用な組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路(IC)技術は、継続的な形状の最小化および記録密度の最大化を含む急速な進歩を経験してきた。形状の最小化は、写真印刷の改善およびより小さい機構を印刷する写真印刷の能力の改善に頼っている。光学リソグラフシステムにおける最小形状は、光の波長に関連付けられる回折および光が媒体を通して光る当該媒体によってある程度決定され得る。形状を縮小するとともに解像度を改善する1つの方法は、より短い波長で光を用いることである。別の方法は、レンズと基材との間で空気以外の媒体を用いることである。媒体の屈折率(「n」)は1より大きいので、媒体中の波長はn分の1に減少し、それは解像度を改善し得る。非空気媒体を用いて解像度を向上させるこのような1つの方法は液浸リソグラフィーと呼ばれる。一般に用いられた液浸リソグラフィーは、媒体として水(好ましくは高純度水)を採用している。
【0003】
リソグラフシステムはクリーンルーム内で運転され、清浄な空気で洗い流されるが、装置の汚染は確かに発生し、汚染物質の位置およびタイプに応じて種々の問題を引き起こす。主たる汚染の原因は、高分子材料(例えばレジスト)粒子が浸漬媒体(例えば水)に誘発されてウェハの表面からはがれ落ちることを含む。さらに、クリーンルーム中の空気またはマスクの製造、輸送および貯蔵から由来するマスク上の無機汚染物質は、投射光線の局所的吸収を引き起こす場合があり、よってマスク機構の線量エラーおよび不適切な画像形成につながるか、または空白であるべき部分のシミの印刷にさえつながる。基材平面上の微粒子は基材を歪める場合があり、よって局所的な焦点エラー(ホットスポットとしても知られている)につながる。汚染源は、周囲空気およびマスクと基材の製造に加えて、露光中の投射光線によって基材から飛散したレジスト屑、および接触表面から微粒子を追い出させ得る装置の可動部品の間の機械的接触を含む。汚染は、金属粒子および/または酸化物粒子も含み得る。さらに、液体は、リソグラフ装置および/または基材の部分から屑または粒子を持ち上げて(例えば、製造プロセスから上に持ち上げて)、もしくは部品を侵蝕して粒子を導入し得る。その後、この屑は、画像形成後に基材またはレンズ上に置き去りにされ得るか、または投射システムと基材との間の液体中の懸濁液中にありつつ画像形成を妨げ得る。従って、汚染の問題は液浸リソグラフ装置において対処されるべきである。
【0004】
現在、リソグラフ装置の清浄化は、装置を停止させて、ツール全体を分解することにより主として達成される。従って、装置およびその部品の清浄化は、実労働の点でも、休止時間の損失の点でも、その両方で時間と費用がかかる。
【0005】
最近、リソグラフ装置の部品の表面を清浄化するために設計された清浄化ツールが開示されたが、しかし、今日まで清浄化ツールで用いられた組成物は、リソグラフ装置の部品から汚染を効果的にも効率的にも除去してこなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一般に、表面から高分子材料を効果的に除去する、例えば、リソグラフ装置を完全には分解せずに原位置で(in situ)液浸リソグラフシステムを清浄化する組成物および方法に関する。
【0007】
一態様において、少なくとも1種の有機溶媒および少なくとも1種の非イオン界面活性剤を含む組成物が記載されている。本組成物は汚染物質をさらに含んでもよい。
【0008】
別の態様において、少なくとも1種の有機溶媒および1種の非イオン界面活性剤からなる組成物が記載されている。
【0009】
さらに別の態様において、少なくとも1種の有機溶媒、少なくとも1種の非イオン界面活性剤および少なくとも1種のグリコールエーテルを含む組成物が記載されている。本組成物は汚染物質をさらに含んでもよい。
【0010】
さらなる別の態様において、少なくとも1種の有機溶媒、少なくとも1種の非イオン界面活性剤および少なくとも1種のグリコールエーテルからなる組成物が記載されている。
【0011】
別の態様は、少なくとも1種の有機溶媒、少なくとも1種の非イオン界面活性剤および水を含む組成物に関する。本組成物は汚染物質をさらに含んでもよい。
【0012】
なお別の態様は、少なくとも1種の有機溶媒、少なくとも1種の非イオン界面活性剤および水からなる組成物に関する。
【0013】
さらなる別の態様は、少なくとも1種の有機溶媒、少なくとも1種の非イオン界面活性剤、少なくとも1種のグリコールエーテルおよび水を含む組成物に関する。本組成物は汚染物質をさらに含んでもよい。
【0014】
別の態様は、少なくとも1種の有機溶媒、少なくとも1種の非イオン界面活性剤、少なくとも1種のグリコールエーテルおよび水からなる組成物に関する。
【0015】
別の態様において、汚染物質を上に有するリソグラフ装置の部品から汚染物質を除去する方法であって、少なくとも1種の有機溶媒と少なくとも1種の非イオン界面活性剤とを含む組成の組成物を部品に接触させて、部品から汚染物質を除去することを含む方法が記載されている。
【0016】
なお別の態様において、少なくとも1種の有機溶媒と少なくとも1種の非イオン界面活性剤とを含む組成物を形成するための1種以上の試薬を1個以上の容器中に含むキットであって、リソグラフ装置の部品から汚染物質を除去するのに適した組成物を形成するために適合されているキットが記載されている。
【0017】
本発明の他の態様、特徴および実施形態は、後の頁に続く開示および添付した請求項からより完全に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】液浸リソグラフ装置の概略図(Mulkens, Janら「Defect, Overlay and Focus Performance Improvement with Five Generations of Immersion Exposure Systems」、写真計測技術者協会(Society of Photographic Instrumentation Engineers(SPIE)2007年))である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、一般に、表面から高分子材料およびその関連副生物を除去する、例えば、液浸リソグラフシステムの部品の原位置での(in situ)清浄化のための組成物および方法に関する。
【0020】
本明細書において定義される「フォトレジスト前駆体」は、当業者に知られているフィルム形成用フォトレジスト樹脂、光活性化合物、光開始剤、架橋用化合物、関連する副生物および上記のいずれかの組合せを含む。フィルム形成用樹脂は、ポジティブフォトレジスト、ネガティブフォトレジストおよび厚いフォトレジストを形成するために有用な樹脂を含んでもよいが、樹脂に限定されない。
【0021】
本明細書において定義される「非水性」は、添加水が実質的にない組成物に対応する。例えば、幾つかの化学成分が、それらの最低エネルギー状態、すなわち安定状態にある時、無視し得るごく僅かの量の水を自然に含むことは言うまでもない。自然に存在する水は添加水とみなされない。
【0022】
本明細書において用いられる「半水性(semi-aqueous)」という用語は、水と有機成分との混合物を指し、混合物中に存在する追加の成分を含むことが可能である。
【0023】
「実質的にない」は、組成物の全重量を基準にして、5重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満として本明細書において定義される。
【0024】
本明細書において用いられる「約」は、指定値の±5%に対応することが意図されている。
【0025】
本明細書において用いられる、リソグラフ装置の部品から汚染物質を除去するための「適性」は、部品からの汚染物質の少なくとも部分的な除去に対応する。本明細書において記載された組成物を用いて、好ましくは少なくとも90%の汚染物質が除去され、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%の汚染物質が除去される。
【0026】
本明細書において定義される「汚染物質」は、限定するものではないが、フォトレジスト、仕上塗料、反射防止塗料、リソグラフ装置によって発生された粒子(例えば、光に露光される高分子粒子、金属粒子および/または酸化物粒子)およびそれらの組合せを含む高分子材料に対応する。
【0027】
本文脈における「レンズ」という用語は、屈折光学部品、反射光学部品、磁気光学部品、電磁気光学部品、および静電光学部品を含む、種々のタイプの光学部品のいずれか1つまたはいずれかの組合せを意味し得る。
【0028】
清浄化の箇所の「上流」という用語は、ツール自体または当該ツールおよび清浄化箇所に流体(すなわち、液体、気体)で連絡している容器の一部である領域に対応する。
【0029】
本明細書において定義される「二塩基性エステル」は、当業者によって理解されるように、単一の二塩基性エステル種(例えば、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、フタル酸ジエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、アジピン酸ジエチル、グルタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酒石酸ジエチル、フタル酸ジオクチル)またはそれらの種の組合せであることが可能である。例えば、二塩基性エステルの一般的な混合物は、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、およびコハク酸ジメチルとを含む。
【0030】
本明細書において定義される「カーボネート」は、当業者によって理解されるように、単一カーボネート種(例えば、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、グリセリンカーボネート)またはそれらの種の組合せであることが可能である。
【0031】
リソグラフ装置は反射型(例えば、反射マスクを用いる)の装置であってもよい。もしくは、装置は透過型(例えば、透過マスクを用いる)の装置であってもよい。リソグラフ装置は、2つ(二段)以上の基材平面(および/または2つ以上のマスク平面)を有するタイプの装置であってもよい。このような「多段」機械において、追加の平面は並列で用いてもよいし、または準備工程は1つ以上の平面上で実施してもよいが、1つ以上の他の平面は露光のために用いられている。リソグラフ装置は、基材の少なくとも1部を比較的高い屈折率を有する液体、例えば、水によって覆って、投射システム(projection system)と基材との間の空間を満たすことができるタイプの装置であってもよい(例えば、図1参照)。浸漬液は、リソグラフ装置中の他の空間、例えば、マスクと投射システムとの間の空間に適用してもよい。浸漬技術は、投射システムの開口数を増やすために当該技術分野において公知である。本明細書において用いられる「浸漬」という用語は、基材などの構造体を液体に浸さなければならないことを意味せず、露光中に投射システムと基材との間に液体を置くことを意味する。
【0032】
組成物は、以後より完全に記載されるように、多様な特定の配合物において実現してもよい。
【0033】
組成物の特定の成分を零の下限を含む重量%範囲に関連して論じるこのようなすべての組成物において、このような成分が組成物の特定の種々の実施形態において存在してもよいし、存在しなくてもよいこと、および、このような成分が存在する場合、このような成分は、当該成分を用いる組成物の全重量を基準にして0.001重量%ほどに低い濃度で存在してもよいことが理解されるであろう。
【0034】
リソグラフ装置の部品を清浄化するために設計された清浄化ツールが開示されてきたが、しかし、今日まで、清浄化ツールで用いられる組成物は、リソグラフ装置の部品から汚染を効果的にも効率的にも除去してこなかった。清浄化ツールの例は、Jongらの名義での米国特許出願第11/809,959号:発明の名称(Cleaning Device and a Lithographic Apparatus Cleaning Method)の開示を含む。この特許出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0035】
一般に、本明細書において記載された組成物は、少なくとも1種の有機溶媒、好ましくは少なくとも1種の有機溶媒および少なくとも1種の界面活性剤を含み、該組成物は、表面から高分子材料を除去するために有用である。
【0036】
一態様において、少なくとも1種の有機溶媒および少なくとも1種の界面活性剤を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる濃縮組成物が記載され、該濃縮組成物は、リソグラフ装置の部品からの汚染物質の除去のために有用である。濃縮組成物は、当業者によって容易に決定されるように半水性または非水性であってもよい。従って、濃縮組成物は、少なくとも1種の有機溶媒、少なくとも1種の界面活性剤および水を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になることが可能である。一般に、互いに対する成分の特定の比率および量は、過度の努力なしで当該技術分野の技量内で容易に決定できるように、汚染物質および/または処理装置のために原液または希釈のいずれかで濃縮組成物の所望の除去作用を提供するために適切に変えてもよい。特定の好ましい実施形態において、界面活性剤は、非イオン界面活性剤を含むか、非イオン界面活性剤からなるか、または非イオン界面活性剤から本質的になる。
【0037】
一実施形態において、少なくとも1種の有機溶媒および少なくとも1種の非イオン界面活性剤を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる非水性濃縮組成物が記載されている。別の実施形態において、少なくとも1種の有機溶媒、少なくとも1種の非イオン界面活性剤および添加水を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる半水性濃縮組成物が記載されている。さらなる別の実施形態において、第1の有機溶媒、少なくとも1種の非イオン界面活性剤および第2の有機溶媒を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる濃縮組成物が記載され、ここで、濃縮組成物の引火点を上げるように第2の有機溶媒の沸点は第1の有機溶媒の沸点より高い。さらなる別の実施形態は、第1の有機溶媒、少なくとも1種の非イオン界面活性剤、第2の有機溶媒および添加水を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる水性組成物に関する。なお別の実施形態において、少なくとも1種の有機溶媒、第1の非イオン界面活性剤および第2の非イオン界面活性剤を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる非水性濃縮組成物が記載されている。別の実施形態は、少なくとも1種の有機溶媒、第1の非イオン界面活性剤、第2の非イオン界面活性剤および添加水を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる半水性組成物に関する。さらなる別の実施形態において、少なくとも2種の有機溶媒、第1の非イオン界面活性剤および第2の非イオン界面活性剤を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる非水性濃縮組成物が記載されている。別の実施形態は、少なくとも2種の有機溶媒、第1の非イオン界面活性剤、第2の非イオン界面活性剤および添加水を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる半水性組成物に関する。これらの実施形態の各々において、濃縮組成物は、少なくとも1種の脱泡剤をさらに含んでもよい。もしくは、前述した実施形態の各々において、限定するものではないが、少なくとも1種の緩衝剤、少なくとも1種の酸化剤(例えば、過酸化物、オゾン、CO、XeF)、少なくとも1種のキレート化剤(例えば、ジアミン、トリアミン、他の多座配位子)、少なくとも1種の殺藻剤/微生物抑制剤、少なくとも1種の静電荷除去剤、少なくとも1種の酸/塩基、少なくとも1種の脱泡剤、少なくとも1種の可塑剤およびそれらのいずれかの組合せを含む、少なくとも1種の追加の成分を添加してもよい。例えば、別の実施形態において、少なくとも1種の有機溶媒、少なくとも1種の非イオン界面活性剤および少なくとも1種の可塑剤を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる非水性濃縮組成物が記載されている。別の実施形態において、少なくとも1種の有機溶媒、少なくとも1種の非イオン界面活性剤、少なくとも1種の可塑剤および添加水を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる半水性濃縮組成物が記載されている。一般に、互いに対する成分の特定の比率および量は、過度の努力なしで当該技術分野の技量内で容易に決定できるように、汚染物質および/または処理装置のために原液または希釈のいずれかで濃縮組成物の所望の除去作用を提供するために適切に変えてもよい。
【0038】
本明細書において記載された組成物のために好ましい有機溶媒は、限定するものではないが、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、3−ペンタノン、アセトン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、2,5−ヘキサンジオン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ブタノン、2−メチル−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、シクロペンタノン、2−ペンタノン、1−フェニルエタノン、ベンゾフェノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、エチルn−ブチルケトン、エチルn−アミルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、ジシクロヘキシルケトン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2−アセチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオンおよびそれらの組合せなどのケトンを含む。あるいは、または、さらに、有機溶媒は、アルコール(例えば、テトラヒドロフルフリルアルコール)、炭化水素、グリコール、グリコールエーテル、スルホンおよび他の硫黄含有化合物(例えば、テトラメチレンスルホン、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド)、エステル(例えば、二塩基性エステル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル)、アルデヒド、ラクトン(例えば、γ−ブチロラクトン)、ピロリドン(例えば、1−シクロヘキシル−2−ピロリドン)、カルボン酸、カーボネート(例えば、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセリンカーボネート;ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセリンカーボネートなどの任意の組合せ)、二塩基性エステル(例えばグルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル;グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチルおよびコハク酸ジメチルの任意の組合せ;フタル酸ジエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、アジピン酸ジエチル、グルタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酒石酸ジエチル、フタル酸ジオクチル)およびそれらの組合せを含んでもよい。好ましくは、有機溶媒は非常に求核性であり、少なくとも1種のカルボニル基を含み、それによってカルボニル基の酸素原子上に高い電子密度が存在する一方で、同時にカルボニル基の周りに最小の立体的嵩高さを有する。好ましい有機溶媒は、二塩基性エステル、アルキレンカーボネート、グリセリンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートおよびそれらの組合せを含む。好ましい他の有機溶媒は、(1)シクロヘキサノン、(2)3−ペンタノン、(3)二塩基性エステル、(4)アジピン酸ジメチル、(5)ブチレンカーボネート、(6)プロピレンカーボネート、(7)グリセリンカーボネートまたは(8)グリセリンカーボネートおよび二塩基性エステルのいずれか1つを含む。
【0039】
別の実施形態において、濃縮組成物の引火点を上げるために第1の有機溶媒の沸点より高い、第2の有機溶媒が存在する。例えば、第1の有機溶媒は、本明細書において記載された通り、ケトン、エステル、ラクトン、アルデヒド、ピロリドン、カルボン酸またはカーボネートもしくはそれらの組合せを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になることができ、引火点を上げるための第2の有機溶媒は、少なくとも1種のグリコールエーテルを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。好ましいグリコールエーテルは、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(すなわち、ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテルおよびそれらの組合せを含むが、それらに限定されない。
【0040】
企図される界面活性剤は、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤(第四アンモニウムカチオンに基づく)および/または両性イオン界面活性剤を含む。本明細書において記載された組成物中に含まれる第1の界面活性剤のための好ましい基準は、水との混和性、25℃で30ダイン/cmより大きい表面張力、10より大きいHLB、および組成物の全重量を基準にして約0.5重量%の濃度で室温で5cm未満の泡高さを含む。例えば、かつ、好ましくは、適する非イオン界面活性剤は、フッ素系界面活性剤、エトキシル化フッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルキルフェノールエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、脂肪酸エトキシレート、アルキルエトキシレート、アルキルフェニルエトキシレート、ポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル、フッ素化ポリエーテル、および前述の少なくとも1種を含む組合せを含んでもよい。例えば、非イオン界面活性剤は、ZONYL(登録商標)FSO−100またはFSN−100フッ素系界面活性剤(DuPont Canada Inc., Mississauga, Ontario, Canada)などのエトキシル化フッ素系界面活性剤、PLURONIC(登録商標)17R4または25R4(BASF)などのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、BRIJ(登録商標)35Pなどのポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル、TRITON(登録商標)X−100などのアルキルフェノールエトキシレート、SURFONIC(登録商標)CO(Huntsmen Chemical, Texas, USA)などのヒマシ油エトキシレート、SURFONIC(登録商標)E−400 MO(Huntsmen Chemical, Texas, USA)、DYNOL(登録商標)604(Air Products)などの脂肪酸エトキシレート、POLYFOX(登録商標)PF−159(Omnova Solutions, Inc.)などのフッ素化ポリエーテルおよびそれらの組合せであってもよい。好ましくは、非イオン界面活性剤は、ZONYL(登録商標)FSO−100、FSN−100、PLURONIC(登録商標)17R4、PLURONIC(登録商標)25R4、BRIJ(登録商標)35P、SURFONIC(登録商標)CO−42、SURFONIC(登録商標)E−400MO、POLYFOX(登録商標)PF−159およびそれらの組合せであってもよい。あるいは、または、さらに、界面活性剤は、スクロースエステル(例えば、スクロースステアレート、スクロースパルミテート、スクロースココエート、スクロースラウレート、スクロースジステアレート、スクロースジパルミテート、スクロースジココエート、スクロースジラウレート、混合ジエステルおよびそれらの混合物)、エトキシル化脂肪アルコール、ポリエトキシル化脂肪アルコール、グリセロールモノ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、アルキルポリオシド、中鎖分枝状アルコール、ポリビニルアルコール、エーテル、ピロリドン、モノグリセリド、ソルビタンエステル(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート)、ポリソルベート界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート)、非ヒドロキシ末端の非イオン界面活性剤およびそれらの組合せを含んでもよい。好ましくは、界面活性剤は、フッ素化ポリエーテル、ポリソルベート界面活性剤、ソルビタンエステル、ポリソルベート界面活性剤とソルビタンエステルとの混合物、またはポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートとソルビタンモノオレエートとの混合物を含む。
【0041】
特に好ましい実施形態において、本明細書において記載された濃縮組成物は、ケトン、二塩基性エステル、ピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種の溶媒および少なくとも1種の非イオン界面活性剤(例えば、フッ素化ポリエーテル)を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。特に好ましい別の実施形態において、本明細書において記載された濃縮組成物は、シクロヘキサノンおよび少なくとも1種の非イオン界面活性剤(例えば、フッ素化ポリエーテル)を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。別の特に好ましい実施形態において、本明細書において記載された濃縮組成物は、3−ペンタノンおよび少なくとも1種の非イオン界面活性剤(例えば、フッ素化ポリエーテル)を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。特に好ましい各実施形態において、濃縮組成物は、組成物の引火点を上げるために、グリコールエーテル、好ましくは、ジプロピレングリコールプロピレンエーテル(DPGPE)などのプロピレングリコールエーテルをさらに含んでもよい。また、濃縮組成物は、少なくとも1種のケトン、少なくとも1種のグリコールエーテル、および少なくとも1種の非イオン界面活性剤(例えば、フッ素化ポリエーテル)を含んでもよく、それらからなってもよく、またはそれらから本質的になってもよい。ここで、少なくとも1種のケトンは、好ましくはシクロヘキサノンおよび/または3−ペンタノンである。特に好ましい実施形態において、組成物の濃縮物は、約98.5〜約99.9重量%の少なくとも1種のケトンおよび約0.1〜約1.5重量%の少なくとも1種の非イオン界面活性剤(例えば、フッ素化ポリエーテル)を含み、濃縮物は、引火点を上げるために第2の有機溶媒で希釈される。ここで、濃縮物対第2の有機溶媒の重量比は、約1:4〜約1:1の範囲内、好ましくは約1:2である。
【0042】
別の特に好ましい実施形態において、本明細書において記載された濃縮組成物は、少なくとも1種のエーテルおよび少なくとも1種の非イオン界面活性剤(例えば、フッ素化ポリエーテル)、好ましくは、フッ素化ポリエーテルと組み合わせて二塩基性エステルおよび/またはアジピン酸ジメチルを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。なお別の好ましい実施形態において、本明細書において記載された濃縮物は、ブチレンカーボネートおよび/またはプロピレンカーボネートなどの少なくとも1種のカーボネートおよび少なくとも1種の非イオン界面活性剤(例えば、フッ素化ポリエーテル)、好ましくは、フッ素化ポリエーテルと組み合わせてブチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。さらなる別の好ましい実施形態において、本明細書において記載された濃縮組成物は、1−シクロヘキシル−2−ピロリジノンなどの少なくとも1種のピロリジノンおよび少なくとも1種の非イオン界面活性剤(例えば、フッ素化ポリエーテル)、好ましくは、フッ素化ポリエーテルと組み合わせて1−シクロヘキシル−2−ピロリジノンを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。別の特に好ましい実施形態において、組成物の濃縮物は、約95〜約99.9重量%の少なくとも1種のエステルおよび/またはカーボネートおよび約0.1〜約5重量%の少なくとも1種の非イオン界面活性剤を含む。
【0043】
なお別の好ましい実施形態において、濃縮組成物は、少なくとも1種の有機溶媒、第1の非イオン界面活性剤および第2の非イオン界面活性剤を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。ここで、第1の非イオン界面活性剤は、約10より大きいHLBを有し、第2の非イオン界面活性剤は、約10未満のHLBを有する。本願の目的のために、約10より大きいHLBを有する第1の非イオン界面活性剤および約10未満のHLBを有する第2の非イオン界面活性剤の組合せを以後「共界面活性剤系(co-surfactant system)」と呼ぶ。第1の非イオン界面活性と対第2の非イオン界面活性剤との重量比は、約10:1〜約1:10、好ましくは約2:1〜約0.5:1、最も好ましくは約1.5:1〜約0.75:1の範囲内である。例示的な共界面活性剤系は、約1:1の重量比を有するポリソルベート界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(HLB=15))とソルビタンエステル界面活性剤(例えば、ソルビタンモノオレエート(HLB=4.3))との組合せを含む。例示的な有機溶媒は、二塩基性エステル、グリセリンカーボネートおよびブチレンカーボネートを含む。例えば、濃縮物は、カーボネート、ポリソルベート界面活性剤およびソルビタンエステル界面活性剤、例えば、ブチレンカーボネート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートおよびソルビタンモノオレエートを含んでもよく、それらからなってもよく、またはそれらから本質的になってもよい。もしくは、濃縮物は、二塩基性エステル、ポリソルベート界面活性剤およびソルビタンエステル界面活性剤、例えば、DBE6、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートおよびソルビタンモノオレエートを含んでもよく、それらからなってもよく、またはそれらから本質的になってもよい。このような濃縮物は、リソグラフ装置の部品からの汚染物質の清浄化のために水または超純水(UPW)で希釈してもよい。
【0044】
さらなる別の好ましい実施形態において、濃縮物は、少なくとも2種の有機溶媒および共界面活性剤系を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。例示的な有機溶媒は、二塩基性エステル、グリセリンカーボネート、ブチレンカーボネートおよびそれらの組合せ、好ましくは、二塩基性エステルおよびグリセリンカーボネートを含む。例えば、濃縮物は、二塩基性エステル、カーボネート、ポリソルベート界面活性剤およびソルビタンエステル界面活性剤、例えば、DBE6、グリセリンカーボネート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートおよびソルビタンモノオレエートを含んでもよく、それらからなってもよく、またはそれらから本質的になってもよい。このような濃縮物は、リソグラフ装置の部品から汚染物質を清浄化するために水またはUPWで希釈してもよい。
【0045】
本明細書において記載された組成物のpHは、建設材料に適合できるように、好ましくは、ほぼ中性であり、好ましくは、約5〜約9、より好ましくは約6〜約8である。材料が非常に酸性の組成物または非常に塩基性の組成物によって実質的に影響されない場合、pHが5未満または9超であってもよいことは認識されるべきである。
【0046】
本明細書において記載された濃縮組成物中の各成分の量は次の通りである。
【0047】
【表1】

【0048】
本明細書において記載された濃縮組成物は、研磨材料;超臨界流体;フォトレジスト前駆体;無機アルカリ、第一アミン、第二アミンおよび第三アミン、アルコールアミン、アミドおよび第四アンモニウム塩などのアルカリ物質;セルロース誘導体、クレーおよび油などの増粘剤;脂質;水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、ギ酸、酢酸およびシュウ酸などの活性化剤;酸化防止剤;ホスフェートおよびホスフェート含有化合物;その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第20030196685号において開示された一般式R−[O−(AO)−Z(式中、n=1〜200、m=1〜3、Rはヒドロフォブであり、AOはヒドロフィルであり、Zは非イオンまたはアニオンの封止基である)の界面活性剤化合物;その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第20040204328号の式I−Xによって表された界面活性剤およびそれらの組合せのいずれか1つまたはいずれかの種々の組合せが実質的にない。
【0049】
別の実施形態において、前述した濃縮組成物は少なくとも1種の可塑剤をさらに含む。理論によって縛られることを望まないが、組成物中の可塑剤の存在は、エラストマーをベースとした構成材料のための清浄化用組成物の材料適合性を向上させることが考えられる。例示的な可塑剤は、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチルテレフタレートおよびビス(1−ブチルフェニル)アジペート、好ましくは、ジオクチルテレフタレートを含むが、それらに限定されない。存在する場合、希釈組成物中の可塑剤の濃度は、好ましくは約0.001重量%〜約1重量%の範囲内である。
【0050】
なお別の実施形態において、前述した濃縮組成物は、清浄化されるリソグラフ装置の部品からの汚染物質をさらに含む。例えば、濃縮組成物は、少なくとも1種の有機溶媒および少なくとも1種の非イオン界面活性剤ならびに汚染物質を含んでもよい。別の実施形態において、濃縮組成物は、ケトン、エステル、カーボネートおよびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種、少なくとも1種の非イオン界面活性剤および汚染物質を含んでもよい。さらなる別の実施形態において、濃縮組成物は、少なくとも1種のアルキレンカーボネート、少なくとも1種の非イオン界面活性剤、少なくとも1種のグリコールエーテルおよび汚染物質を含んでもよい。汚染物質は、濃縮組成物中に溶解および/または懸濁されていてもよい。
【0051】
濃縮組成物は、単一のパッケージ配合物として、または使用の時点でもしくは使用の時点の前に混合される多部分配合物として容易に配合することができ、例えば、多部分配合物の個々の部分は、ツールで、ツールの上流の貯蔵タンク中で、または混合された配合物をツールに直接送る出荷用包装中で混合してもよい。例えば、単一出荷用パッケージは、工場でユーザーによって一緒に混合されてもよい少なくとも2つの別々の容器または袋を含んでもよく、混合された配合物はツールに直接送ってもよい。出荷用パッケージおよびパッケージの内部容器または内部袋は、前記組成物成分を貯蔵および出荷するのに好適である必要がある。例えば、パッケージングは、Advanced Technology Materials, Inc.(Danbury, Conn., USA)によって供給される。
【0052】
別の態様は、濃縮組成物の希釈に関する。希釈組成物が必ずしも乳化されるとはかぎらないことは認識されるべきであるが、好ましくは、希釈すると、乳濁液が形成される。濃縮組成物は少なくとも1種の希釈剤と組み合わせて、リソグラフ装置の部品からの汚染物質の清浄化を達成してもよい。濃縮組成物は、清浄化の上流または清浄化箇所で少なくとも1種の希釈剤と組み合わせてもよい。もしくは、濃縮組成物の個々の成分と少なくとも1種の希釈剤は、清浄化の箇所で組合わされる。希釈が溶解度依存であることは認識されるべきであるが、希釈は、約1:1〜約100:1の希釈剤:濃縮物、好ましくは、約5:1〜約45:1、より好ましくは約10:1〜約40:1の範囲内であることが可能である。最も好ましくは、形成のエネルギーに基づいて機械的混合または乱流混合を伴ってまたは伴わずに少なくとも1種の希釈剤と濃縮組成物とを組み合わせると、乳濁液が形成される。形成されると、乳濁液は、好ましくは、希釈剤中で純濃縮組成物の微小滴を含有する。ここで、濃縮物は希釈剤に不混和性であり、乳濁液は不透明である(すなわち、濁っている)。少なくとも1種の希釈剤は、任意の適用可能な浸漬液(高屈折率媒体)、例えば、水、高純度水、ヨウ化有機化合物(iodated organics)、およびナノ結晶を含む複合流体(composite fluids)からなる群から選択される種、好ましくは高純度水を含む。
【0053】
共界面活性剤の組合せ、特に、10より大きいHLBを有する非イオン界面活性剤および10未満のHLBを有する非イオン界面活性剤の組合せは、長い時間、例えば、30分より長い、好ましくは60分超、より好ましくは120分超、最も好ましくは約180分超にわたり、乳濁液の安定化を助ける。あるいは、または、共界面活性剤系に加えて、乳濁液は、長時間にわたり、例えば、約5分〜約480分の範囲内で乳濁液を安定化するために少なくとも1種の安定剤を含む。少なくとも1種の安定剤は、非ヒドロキシ末端非イオン界面活性剤などの共界面活性剤、ポリビニルアルコール、エーテル、ピロリドン、モノグリセリドおよびそれらの組合せを含むことが可能である。好ましくは、乳濁液は、約1.0Å秒−1より速い、より好ましくは約1.5Å秒−1より速いフォトレジスト除去速度および約0.5Å秒−1より速い仕上塗料除去速度を可能にする。
【0054】
別の態様は、本明細書において記載された濃縮組成物を形成するために適合された1種以上の成分を1個以上の容器内に含むキットに関する。キットの容器、例えば、NOWPak(登録商標)容器(Advanced Technology Materials, Inc, Danbury, Conn., USA)は、組成物を貯蔵し出荷するのに好適である必要がある。本明細書において記載された濃縮組成物の成分を含有する1個以上の容器は、好ましくは、混合および分配のために流体連通している1個以上の容器中に成分を取り入れるための手段を含む。例えば、NOWPak(登録商標)容器を参照すると、1個以上の容器中のライナーの外側に気体圧力を加えて、ライナーの内容物の少なくとも一部を排出することができ、従って、混合および分配のための流体連通を可能にする。もしくは、従来の加圧可能な容器のヘッドスペースに気体圧力を加えて、またはポンプを用いて、流体連通を可能にしてもよい。さらに、システムは、好ましくは、混合された濃縮組成物をプロセスツールに分配するための分配口を含む。
【0055】
1個以上の容器のためのライナーを作るために、好ましくは、PTFEまたはPFAなどの実質的に化学的に不活性であり、不純物がなく、可撓性かつ弾性の高分子フィルム材料が用いられる。望ましいライナー材料は、共押出もバリア層も必要とせずに、また、ライナー中に配置される成分の純度の要求に悪影響を及ぼし得る任意の顔料、UV抑制剤、加工剤なく、加工される。望ましいライナー材料のリストには、純ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PTFA、Halar(登録商標)などを含むフィルムが含まれる。このようなライナー材料の好ましい厚さは、約5ミル(0.005インチ)〜約30ミル(0.030インチ)の範囲内、例えば、20ミル(0.020インチ)の厚さである。
【0056】
キットのための容器に関して、以下の特許および特許出願の開示は、それぞれの全体が参照により本明細書に援用される。米国特許第7,188,644号:発明の名称「APPARATUS AND METHOD FOR MINIMIZING THE GENERATION OF PARTICLES IN ULTRAPURE LIQUID」、米国特許第6,698,619号:発明の名称「RETURNABLE AND REUSABLE, BAG-IN-DRUM FLUID STORAGE AND DISPENSING CONTAINER SYSTEM」、John E. Q. Hughesの名義で2008年5月9日出願の国際公開第PCT/US08/63276号:発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR MATERIAL BLENDING AND DISTRIBUTION」、John E. Q. Hughesらの名義で2008年12月8日出願の国際公開第PCT/US08/85826号:発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR DELIVERY OF FRUID-CONTAINING PROCESS MATERIAL COMBINATION」
【0057】
別の態様において、本明細書において記載された濃縮組成物は、リソグラフ装置の部品から汚染物質を清浄化するのに有用である。ここで、濃縮組成物または乳濁液は、約10秒〜約480分の時間にわたり、約10℃〜約100℃の範囲内の温度で部品に接触する。このような接触時間および接触温度は例示的であり、リソグラフ装置の部品から汚染物質を少なくとも部分的に清浄化するために効果的である適する他のいかなる時間条件および温度条件も用いてもよい。「少なくとも部分的に清浄化する」および「実質的な除去」の両方は、除去前に部品上に存在する汚染物質の少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、なおより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%の除去に相当する。濃縮組成物または乳濁液とリソグラフ装置の部品との接触は、限定するものではないが、内蔵流体供給排出システムおよび超音波変換器などの機械的手段を用いて達成してもよく、あるいは性能向上のためのオゾン発生器およびCO圧縮機などの追加の機器と対で用いてもよい。
【0058】
リソグラフ装置の部品からの汚染物質の清浄化に適用されるように、本明細書において記載された組成物(すなわち濃縮物または乳濁液)は、部品から汚染物質を清浄化するのに有用に用いられる。好ましくは、組成物は、清浄化する前に部品上に存在する汚染物質の少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、なおより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%を除去する。
【0059】
清浄化への適用において、原位置で(in situ)または原位置外で(ex situ)形成された濃縮組成物または乳濁液は、汚染物質を部品上に有するリソグラフ装置部品に任意の好適な様式で適用され、例えば、装置を実質的に分解していない原位置(in situ)での適用、またはリソグラフ装置の分解後における部品への濃縮組成物または乳濁液の適用である。原位置で(in situ)清浄化を行う場合、「ダミーウェハ」を浸漬フード中に置くことが可能である。ここで、ダミーウェハは、ブランクウェハであるか、あるいは実質的に疎水性の表面、例えば、ポリプロピレンおよびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む。高い水接触角(例えば、90°より高い)を有するダミーウェハは、液浸装置の清浄化中にメニスカス封じ込めの効率を向上させる。
【0060】
所望の除去作用を達成後、組成物は、好ましくは水、より好ましくは超純水を含むリンス溶液を用いて、組成物を前に適用した部品から組成物を容易に除去することが可能である。
【0061】
リソグラフ装置部品からの汚染物質の除去に言及しているが、上に高分子材料を有するウェハ(例えば、フォトレジスト)のみでなく、他の半導体製造装置からの高分子材料の除去のために本明細書において記載された濃縮物および乳濁液を用いてもよいことは当業者によって認識されるべきである。
【0062】
別の態様において、既知の溶解度パラメータまたは既知の化学記述子を用いて溶媒またはその組合せを選択する方法が記載されている。この方法において、既知の溶解度パラメータまたは既知の化学記述子を有する種々の溶媒中の高分子材料の溶解速度は決定され、溶解度パラメータおよび化学記述子に加えて、この溶解速度をコンピュータにプログラミングして、溶解度値および化学記述子を溶解速度で補正してもよい。ここで、表面から高分子材料を清浄化するために有用な溶媒は、溶解度値および化学記述子の関数として容易に選択することが可能である。化学記述子は、組成記述子、位相記述子、形状記述子、電荷分布関連記述子、分子軌道関連記述子、温度依存記述子および溶媒和記述子を含むが、それらに限定されない。
【0063】
当業者によって認識されるように、この態様の方法は、方法、システム、コンピュータプログラム製品または前述の組合せとして実現してもよい。従って、この態様の実施形態は、完全にハードウェア実施形態、完全にソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)または本明細書において一般に「システム」と呼んでもよいソフトウェア態様とハードウェア態様を組み合わせる実施形態の形態を取ってもよい。さらに、この態様の実施形態は、媒体中で実現されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有するコンピュータ可読媒体上のコンピュータプログラム製品の形態を取ってもよい。
【0064】
好適な任意のコンピュータ読み取り可能媒体を用いることができる。コンピュータ読み取り可能媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外または半導体のシステム、装置または機器を含んでもよいが、それらに限定されない。コンピュータ読み取り可能媒体のより特定の例は、1つ以上のワイヤを有する電気結線、携帯用コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)などの有形の記憶媒体、もしくは他の光学記憶装置または磁気記憶装置を含むが、それらに限定されない。本文書の文脈において、コンピュータ可読媒体は、命令実行システム、命令実行装置または命令実行機器により、または命令実行システム、命令実行装置または命令実行機器に関連して用いられるためのプログラムを含むか、記憶するか、伝達するか、または伝送するいかなる媒体であってもよい。
【0065】
この態様の実施形態の運用を実施するためのコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Perl、SmalltalkまたはC++などの目的向き言語、スクリプトプログラミング言語、非スクリプトプログラミング言語で書いてもよい。しかし、コンピュータプログラムコードを、「C」プログラミング言語または類似のプログラミング言語などの従来の手順向きプログラミング言語で書いてもよい。
【0066】
例示的実施形態および特徴に関連して本明細書において本発明を様々に開示してきたが、上述した実施形態および特徴が本発明を限定することを意図しておらず、他の変形、修正および他の実施形態が本明細書における開示に基づいて当業者にそれらを示唆することが認識されるであろう。従って、本発明は、このようなすべての変形、修正および代替実施形態を以後に規定された請求項の精神および範囲内に包含するように広く解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の有機溶媒と少なくとも1種の非イオン界面活性剤とを含む組成物。
【請求項2】
前記組成物のpHが約5〜約9である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の有機溶媒が、ケトン、アルコール、炭化水素、グリコール、グリコールエーテル、スルホン、硫黄含有化合物、エステル、アルデヒド、ラクトン、ピロリドン、カルボン酸、カーボネートおよびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の有機溶媒が、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、3−ペンタノン、アセトン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、2,5−ヘキサンジオン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ブタノン、2−メチル−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、シクロペンタノン、2−ペンタノン、1−フェニルエタノン、ベンゾフェノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、エチルn−ブチルケトン、エチルn−アミルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、ジシクロヘキシルケトン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2−アセチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオンおよびそれらの組合せからなる群から選択されるケトンを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の有機溶媒が、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、フタル酸ジエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、アジピン酸ジエチル、グルタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酒石酸ジエチル、フタル酸ジオクチルおよびそれらの組合せからなる群から選択されるエステルを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の有機溶媒が、アルキレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、グリセリンカーボネートおよびそれらの組合せからなる群から選択されるカーボネートを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の非イオン界面活性剤が、フッ素系界面活性剤、エトキシル化フッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルキルフェノールエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、脂肪酸、エトキシレート、アルキルエトキシレート、アルキルフェニルエトキシレート、ポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル、フッ素化ポリエーテル、スクロースエステル、エトキシル化脂肪アルコール、ポリエトキシル化脂肪アルコール、グリセロールモノ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、アルキルポリオシド、中鎖分枝状アルコール、ポリビニルアルコール、エーテル、ピロリドン、モノグリセリド、ソルビタンエステル、ポリソルベート界面活性剤、非ヒドロキシル末端化された非イオン界面活性剤および前述した少なくとも1種を含む組合せからなる群から選択される界面活性剤を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の非イオン界面活性剤が、フッ素化ポリエーテルを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の非イオン界面活性剤が、10より大きいHLBを有する第1の非イオン界面活性剤と、10未満のHLBを有する第2の非イオン界面活性剤とを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の非イオン界面活性剤が、ZONYL(登録商標)FSO−100、ZONYL(登録商標)FSN−100、PLURONIC(登録商標)17R4、PLURONIC(登録商標)25R4、BRIJ(登録商標)35P、SURFONIC(登録商標)CO、SURFONIC(登録商標)E−400MO、PolyFox(登録商標)159、Tween80、Span80およびそれらの組合せからなる群から選択される界面活性剤を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種のグリコールエーテルをさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
水をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、希釈された組成物を形成するための少なくとも1種の希釈剤をさらに含み、前記少なくとも1種の希釈剤が、水、高度精製水、ヨウ化有機化合物、およびナノ結晶を含む複合流体を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、汚染物質をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、少なくとも1種の可塑剤をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
汚染物質を上に有するリソグラフ装置の部品から前記汚染物質を除去する方法であって、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物を前記部品に接触させて、前記部品から前記汚染物質を除去することを含む方法。
【請求項17】
少なくとも1種の有機溶媒と少なくとも1種の非イオン界面活性剤とを含む組成物を形成するための1種以上の試薬を1個以上の容器中に含むキットであって、リソグラフ装置の部品から汚染物質を除去するのに適した組成物を形成するために適合されているキット。
【請求項18】
前記希釈された組成物が、任意の適用可能な浸漬液と混合することにより原位置で(in situ)または原位置外で(ex situ)形成され得る乳濁液である、請求項13に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2012−516380(P2012−516380A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548204(P2011−548204)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/022050
【国際公開番号】WO2010/088194
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(599006351)アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】