説明

リニア電動機

【課題】重量/推力比を低減し、電力消費量を抑制するとともに運用コストの低減化が図れるリニア電動機を提供する。
【解決手段】円弧状の永久磁石の磁極がその中心軸を含む断面において最大でも90度づつ回転するよう当該永久磁石を隣接させて構成される外側永久磁石列11と、円環状の永久磁石の磁極が前記外側永久磁石列11と同じ向きの磁化ベクトル半径方向成分を有するとともに前記外側永久磁石列11と逆向きの磁化ベクトル軸方向成分を有する内側永久磁石列15を備える界磁と、前記外側永久磁石列11と前記内側永久磁石列15の間にリングの軸方向に移動できるように支持されるリング状の三相コイル31を備える電機子と、電機子に所定の推力を発生させる駆動装置9とを具備してリニア電動機を構成する。
これにより、鉄心を用いなくても電機子コイルに強い磁束を鎖交させることができ、電機子コイル全体に界磁の磁束が鎖交する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速応答に対応でき、より軽量で大きな推力が得られるリニア電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石のハルバッハ配列を用いた電動機は鉄心を用いずにコイルに多くの磁束を鎖交させることが可能なため、実用化に向けた研究が急速に進んでいる。
【0003】
ハルバッハ配列の使い方としては、特許文献1や特許文献2に見られるように、トルクの増大を目的として従来の鉄心と永久磁石で構成されていた界磁をハルバッハ配列に置き換えることが広く行われている。また、特許文献3では、鉄より密度の小さい磁石をアウターロータ側に使用してホイールインモータを構成し、電動車輪の回転部慣性モーメントを低減している。これらはいずれも電機子側で鉄心を用いて磁路が形成されており、界磁が形成する磁気回路の磁気抵抗を低減する構成となっている。
【0004】
さらに、上述のような回転機だけでなく、リニア電動機においてもハルバッハ配列の適用が図られている。特許文献4では、ヨーク上に構成されるハルバッハ配列の界磁を、空隙を介して対向させ、当該空隙中に電機子コイル巻線を平面上に配置するリニアモータが開示されている。
【0005】
このように、電機子コイル巻線を平面上に配置するとコイルエンドにおいてリニアモータの進行方向もしくは進行方向とは逆向きの電機子電流が界磁磁束と鎖交する。このため、電機子コイルの一部に推力が発生しないばかりか、進行方向とは直角な方向に電磁力が作用し、高推力が得られないだけでなく、電機子コイルの寿命が低下するという問題があった。
【0006】
一方、特許文献5では鉄心を使用しないハルバッハ配列のリニアモータが開示されている。しかし、このリニアモータでは、柱状永久磁石列で界磁を構成し、空隙を介して対向する永久磁石列界磁の一方を取り巻くように電機子コイルが配置されている。このため、電機子コイルの一部が界磁の発生する磁束に鎖交せず、発生推力が低下するという問題があった。
【0007】
上述のように、従来の電動機やリニア電動機にあっては、重量/トルク比もしくは重量/推力比が十分小さくなっているとは言えず、こうしたアクチュエータが動作する場合には余分な質量に見合った電力供給が必要であり、運転コストの増大、ひいては二酸化炭素排出量の増加も問題となっていた。また、鉄心を使用する場合ではその制御性に問題があった。
【特許文献1】特開2004−350427号公報
【特許文献2】特開2006−262603号公報
【特許文献3】特開2006−187116号公報
【特許文献4】特開2007−19127号公報
【特許文献5】特開2007−82352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来のリニア電動機にあっては、鉄心を使用するため重量/推力比が大きく、大きな電力消費を伴うという問題があった。こうした問題を解決するため、界磁の周りにコイル電機子を配置することも行われているが、界磁の磁束がすべてコイルに鎖交しておらず、結局、重量/推力比が増大していた。
【0009】
本発明は、かかる事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、重量/推力比を低減し、電力消費量を抑制するとともに運用コストの低減化が図れるリニア電動機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のリニア電動機は、円環状もしくは円弧状の永久磁石の磁極がその中心軸を含む断面において最大でも90度づつ回転するよう当該永久磁石を隣接させて構成される第1の永久磁石列と、円環状もしくは円弧状の永久磁石の磁極が前記第1の永久磁石列と同じ向きの磁化ベクトル半径方向成分を有するとともに前記第1の永久磁石列と逆向きの磁化ベクトル軸方向成分を有する第2の永久磁石列と、前記第1の永久磁石列と前記第2の永久磁石列との間に位置し、前記第2の永久磁石列の外側に配置された導体で構成される複数のコイルと、複数の前記コイルが固定されるとともに前記第2の永久磁石列の中心軸に対して平行に移動するコイル支持手段と、前記第1の永久磁石列と前記第2の永久磁石列をそれぞれの磁極の磁化ベクトル半径方向成分が同じ向きとなるように対向させて固定する磁石固定手段と、前記コイルを励磁し、前記コイル支持手段と前記磁石固定手段との間に所定の推力を発生させるコイル励磁手段とを具備して構成される。
【0011】
このような構成によれば、鉄心を用いなくても電機子コイルに強い磁束を鎖交させることができ、電機子コイル全体が界磁の磁束に鎖交する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のリニア電動機によれば、強い磁場が電機子コイル全体に鎖交するため、重量/推力比を低減でき、稼動時の電力消費が抑制できるともに運転コストが減少する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1乃至図4は本発明の第一の実施形態にかかわるリニア電動機の構成を示す図であり、その全体構成が1で示されている。
【0015】
このリニア電動機1は、地上側に固定される固定部材3に図示しない所定の方法で取付けられた円柱状の固定子5と、前記固定部材3の反対側に位置し前記固定子5の軸方向に可動する切欠き部を有する円筒状の可動子7と、前記可動子7に外部の電源8からの電力を供給する駆動装置9とを備えている。
【0016】
前記固定子5は、円弧状の一対の永久磁石の磁極がその中心軸を含む断面において90度ずつ回転するように当該永久磁石を隣接させて構成される第1の永久磁石列としての外側永久磁石列11と、内側内面に前記第1の永久磁石列が所定の方法で固定される第1の円環状固定部材としての外側パイプ13と、前記外側永久磁石列11と同じ向きの磁化ベクトル半径方向成分を有するとともに前記外側永久磁石列11と逆向きの磁化ベクトル軸方向成分を有する第2の永久磁石列としての内側永久磁石列15と、前記内側永久磁石列15が所定の方法で固定される第2の円環状固定部材としての内側パイプ17と、前記外側パイプ13と前記内側パイプ17を図示しない所定の方法で固定部材3側において固定する固定円板19と、前記可動子7と干渉しないように切欠きが設けられ前記外側パイプ13と前記内側パイプ17および2本のガイド棒21を前記固定円板19とともに図示しない所定の方法で固定する固定板23で構成されている。そして、前記外側パイプ13の内側上部および内側下部には、前記外側永久磁石列11の内側周方向の動きを防止するための位置決め部材としての支持板25が所定の方法で固着されている。当該支持板25は前記外側パイプ13に固着されるとともに前記外側永久磁石列11に固定されていてなんら差し支えない。さらに、前記第1の永久磁石列と前記第2の永久磁石列は略等しい磁化エネルギーを保持しており、これにより、前記外側永久磁石列11と前記内側永久磁石列15との空隙中には半径方向の磁束が極めて多く分布するようになる。
【0017】
前記可動子7は、三相コイル31が巻装された断面がU字形状の巻装環33と、巻装環33の上下四隅に取付けられ当該巻装環33を前記ガイド棒21に沿って案内するリニアブッシュ35と、巻装環33に図示しない方法で固定され切欠き部を有する出力環37と、出力環37の切欠き部を図示しない方法で固定する切欠き固定板39で構成されている。そして、三相コイル31に三相交流電力を導入するための電力伝達手段としての引出し線41を切欠き固定板39から導出するための導出路43が前記出力環37および当該切欠き固定板39に設けられている。ここで、巻装環33とリニアブッシュ35はコイル支持手段として機能することはいうまでもない。また、三相コイル31が半径方向の磁束が極めて多く分布する空隙中に配置されるので磁束の大部分が三相コイル31と直角に鎖交し、より少ない電流で大きな推力が発生する。
【0018】
前記引出し線41はコイル励磁手段としての駆動装置9に接続されている。駆動装置9は、母線51を介して電力の授受を行う電力変換器53および電源電力変換器55を具備している。
【0019】
前記母線51には、図5に示すように、電力貯蔵手段としての平滑コンデンサ57や同蓄電装置59が接続されており、前記三相コイル31での電力の消費および前記三相コイル31からの電力の回生時でも前記母線51の電圧変動は小さく抑えられている。蓄電装置59はバッテリー61,抵抗器63,ダイオード65を備えており、バッテリー61からの電力供給時には抵抗器63での電力消費がなく、バッテリー61への充電時には抵抗器63で充電電力の一部が消費されるように構成されている。これにより、バッテリー61の過充電が抑制される。平滑コンデンサ57や蓄電装置59は各ひとつしか示されていないが、母線51の適当な箇所に複数個配置されていても差し支えない。
【0020】
前記電力変換器53はPWMインバータ67および推力制御器69を備えている。前記推力制御器69は前記駆動装置9の外部から当該推力制御器69に入力される推力指令値に等しい推力が前記三相コイル31に発生するよう前記PWMインバータ67の図示していない電力変換素子群の点弧角を制御する。
【0021】
前記電源電力変換器55はインバータ71と回生受電制御器73を備えている。回生受電制御器73は、外部からの回生受電指令信号に基づいて、平滑コンデンサ57およびバッテリー61に蓄えられた電力を前記電源8へ回生するとともに、前記電源8からの電力を貯蔵するためにインバータ71の点弧角を制御する。
【0022】
推力制御器69は三相コイル31のU,V,W相のうち少なくともU相とW相の励磁電流を検出する電流センサ75と三相コイル31の前記外側永久磁石列11に対する相対位置を検出するための位置センサ77を備えている。これらセンサからの信号に基づいてトルク制御が行われる。ここで、位置センサ77は前記固定子5の外側パイプ13の内面上部に取り付けられたスケール79と当該スケール79の目盛を検出する光学式ピックアップ81で構成されており、検出された位置情報は引き出し線41として束ねられた図示していない位置センサ出力線を介して駆動装置9内に導入されていることは言うまでもない。また、当該位置センサ77の位置情報は推力制御器69によって可動子5の移動距離情報に変換されて駆動装置9の外部へ出力されている。これにより、外部の制御装置で可動子5の速度制御や位置決め制御が可能となっている。
【0023】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係るリニア電動機の動作について説明する。
【0024】
装置が停止状態にあるときは、可動子7は何らの推力も出力せずに停止している。ここで、外部の制御装置から、例えば所定の位置に可動子7を移動させるべく推力指令値が駆動装置9に導入されると、U相およびW相電流センサ75で三相コイル31の励磁電流が検出され、さらには位置センサ77で三相コイル31の外側および内側永久磁石列11,15に対する位置が検出されて推力制御器69は推力指令値に一致する推力を発生すべき励磁電流で三相コイル31を励磁する。すると、可動子7は三相コイル31に発生する推力により所定の位置に向かって移動を開始する。可動子7は外部の制御装置の出力する推力指令値により、速度制御や位置決め制御等の所定の制御にしたがって移動を継続し、可動子7が所定の位置に到達してリニア電動機1の運転が終了する。運転終了時には、外部の制御装置からの推力指令値がゼロとなり、このゼロ推力指令値が推力制御器69に導入されて三相コイル31への励磁電流がゼロとなり、装置は再び停止状態となる。
【0025】
装置が運転状態にあるとき、リニア電動機1においては鉄心やヨークが外側および内側永久磁石列11,15の作る主磁束内や三相コイル31近傍に存在しないため、三相コイルの自己インダクタンスが小さく、可動子7が高速で運動しても所定の励磁電流を三相コイル31に通電するのに必要な電圧が低減され、電源8への電圧要求が軽減される。また、可動子7に鉄心やヨークが不要なため、軽量化が実現できるとともに三相コイル31の大部分が外側および内側永久磁石列11,15の作る主磁束に鎖交するため、推力/重量比が向上する。このため、可動子7の高速な応答における制御性が向上するとともに省エネに寄与することができる。
【0026】
なお、上述した本発明の第一の実施の形態では、永久磁石列を固定子として構成していたが、これは永久磁石列を固定子として用いることを何ら限定するものでなく、コイル支持手段を地上側に固定し、永久磁石列を可動子として構成しても何ら差し支えない。コイル支持手段を固定子として用いる場合には引き出し線41に力が加わらず、断線や損傷の危険が回避できるので信頼性が向上するという利点がある。
【0027】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を図6乃至図8に基いて説明する。なお、簡単のため、同一部分には同一記号を付して説明は省略する。
【0028】
図6乃至図8には本実施の形態におけるリニア電動機が全体として1’で示されている。リニア電動機1’は、外側永久磁石列11’および内側永久磁石列15を固定子界磁とする図示しない手段で地上側に固定された固定子5と三相コイル31を電機子とする可動子7と駆動装置9で構成されている。
【0029】
固定子5は、リング永久磁石の磁極がその中心軸を含む断面において90度ずつ回転するように当該永久磁石を隣接させて構成される第1の永久磁石列としての外側永久磁石列11’と外側パイプ13と内側永久磁石列15と内側パイプ17と、前記可動子7と干渉しないように切欠きが設けられ前記外側パイプ13と前記内側パイプ17を図示しない所定の方法で固定する固定板23で構成されている。そして、前記第1の永久磁石列と前記第2の永久磁石列は略等しい磁化エネルギーを保持しており、これにより、前記外側永久磁石列11と前記内側永久磁石列15との空隙中には半径方向の磁束が極めて多く分布するようになる。
【0030】
さらに、本実施の形態にかかわる固定子5には前記外側パイプ13の外側上部および外側下部にはガイド棒21’がガイド棒支持部材111,113を介して取り付けられている。前記ガイド棒21’の表面にはガイド棒支持部材111側の端部から当該ガイド棒支持部材111までの範囲で上下に2分割された電極103,105,107,109が固着されており、各電極からの引出し線41は所定の方法で束ねられてガイド棒支持部材111に設けられた導出路43を経由して前記駆動装置9に導入されている。また、一方の固定板23には,前記可動子7が備えるスケール79の目盛を検出するための光学式ピックアップ81が所定の位置に取り付けられている。
【0031】
可動子7は前記巻装環33と、当該巻装環33の両端に図示しない方法で固定され切欠き部を有する出力環37と、出力環37の切欠き部を図示しない方法で固定する切欠き固定板39’と、前記出力環37の端部に取付けられ当該巻装環33を前記ガイド棒21’に沿って案内するリニアブッシュ35’,35”で構成されている。リニアブッシュ35’はガイド棒21’の表面に設けられた前記電極103,105,107,109のそれぞれに接触する摺動電極101を具備しており、片端が三相コイル31に接続された引出し線41が前記出力環37および前記リニアブッシュ35’に設けられた導出路43を介して当該摺動電極101に接続されている。これにより、三相コイル31は固定子5側の前記各電極103,105,107,109を介して前記駆動装置9と電気的に接続されることになる。ここで、前記各電極103,105,107,109のそれぞれには、駆動装置9の発生する三相交流電圧に応じた三相交流電流のU相,V相,W相および中性点電流が流れ、三相コイル31が励磁されて所定の推力で可動子7が動くことは言うまでもない。
【0032】
本実施の形態においては、巻装環33とリニアブッシュ35’,35”がコイル支持手段として機能している。また、引出し線41,摺動電極101および電極103,105,107,109が電力伝達手段としている。
【0033】
このように構成されたリニア電動機1’では、外側永久磁石列11’と内側永久磁石列15の作る磁界が三相コイル31の全周にわたってと鎖交するので駆動装置9から供給される電力を効率よく推力に変換できる。また、可動子7が移動しても摺動電極101が固定子側電極103,105,107,109に接触しながら移動するので、可動子7を急加速もしくは急減速させても引出し線41が損傷することがなく、装置の信頼性および耐久性が向上するという利点がある。
【0034】
上述の実施の形態では可動子の固定子に対する位置情報を得るための位置センサとしてスケールと光学式ピックアップを用いているが、これは位置情報の取得手段を何ら限定するものでなく、たとえば、磁気式位置センサや三相コイル31の逆起電力から位置を推定するセンサレス方式を用いてもよい。
【0035】
また、上述の実施の形態では永久磁石列とコイル支持手段のどちらかを固定子として構成していたが、これは永久磁石列やコイル支持手段のどちらかを固定子として用いることを何ら限定するものでなく、コイル支持手段および永久磁石列の両方を可動とし、これらが相対的に移動するように構成しても何ら差し支えない。
【0036】
このほか、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。要するに、本発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態の全体的な構造を示す概略図。
【図2】上記の実施の形態におけるA−A’断面図。
【図3】上記の実施の形態におけるC−C’断面図。
【図4】上記の実施の形態におけるB−B’断面図。
【図5】上記の実施の形態における駆動装置の構成を示すブロック図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の全体的な構造を示す概略図。
【図7】上記の実施の形態におけるA−A’断面図。
【図8】上記の実施の形態におけるC−C’断面図。
【図9】上記の実施の形態におけるB−B’断面図。
【符号の説明】
【0038】
1,1’…リニア電動機、3…固定部材、5…固定子、7…可動子、8…電源、9…駆動装置、11,11’…外側永久磁石列、13…外側パイプ、15…内側永久磁石列、17…内側パイプ、19…固定円板、21,21’…ガイド棒、23…固定板、25…支持板、31…三相コイル、33…巻装環、35,35’,35”…リニアブッシュ、37…出力環、39,39’…切欠き固定板、41…引出し線、43…導出路、51…母線、53…電力変換器、55…電源電力変換器、57…平滑コンデンサ、59…蓄電装置、61…バッテリー、63…抵抗器、65…ダイオード、67…PWMインバータ、69…推力制御器、71…インバータ、73…回生受電制御器、75…電流センサ、77…位置センサ、79…スケール、81…光学式ピックアップ、101…摺動電極、103,105,107,109…電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状もしくは円弧状の永久磁石の磁極がその中心軸を含む断面において最大でも90度づつ回転するよう当該永久磁石を隣接させて構成される第1の永久磁石列と、
円環状もしくは円弧状の永久磁石の磁極が前記第1の永久磁石列と同じ向きの磁化ベクトル半径方向成分を有するとともに前記第1の永久磁石列と逆向きの磁化ベクトル軸方向成分を有する第2の永久磁石列と、
前記第1の永久磁石列と前記第2の永久磁石列との間に位置し、前記第2の永久磁石列の外側に配置された導体で構成される複数のコイルと、
複数の前記コイルが固定されるとともに前記第2の永久磁石列の中心軸に対して当該コイルを平行に移動するコイル支持手段と、
前記第2の永久磁石列と前記第2の永久磁石列をそれぞれの磁極の磁化ベクトル半径方向成分が同じ向きとなるように対向させて固定する磁石固定手段と、
前記コイルを励磁し、前記コイル支持手段と前記磁石固定手段との間に所定の推力を発生させるコイル励磁手段と、
前記コイル励磁手段の出力する電力を前記コイルに伝達するための電力伝達手段と、
を備えていることを特徴とするリニア電動機。
【請求項2】
前記磁石固定手段が当該手段を地上側に固定する固定部材を備えていることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のリニア電動機。
【請求項3】
前記コイル支持手段が当該手段を地上側に固定する固定部材を備えていることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のリニア電動機。
【請求項4】
前記コイル励磁手段がPWMインバータを備えていることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のリニア電動機。
【請求項5】
前記コイル励磁手段が前記コイル支持手段もしくは前記磁石固定手段の運動エネルギーを電力として回生する回生手段を備えていることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のリニア電動機。
【請求項6】
前記コイル励磁手段が前記コイル支持手段の運動エネルギーを電力として電源に回生する回生手段を備えていることを特徴とする特許請求の範囲第2項記載のリニア電動機。
【請求項7】
前記コイル励磁手段が前記磁石固定手段の運動エネルギーを電力として電源に回生する回生手段を備えていることを特徴とする特許請求の範囲第3項記載のリニア電動機。
【請求項8】
前記回生手段に回生されるべき電力を蓄える電力貯蔵手段を備えていることを特徴とする特許請求の範囲第5項記載のリニア電動機。
【請求項9】
前記第1の永久磁石列と前記第2の永久磁石列が略等しい磁化エネルギーを保持していることを特徴とする特許請求の範囲1項記載のリニア電動機。
【請求項10】
前記電力伝達手段が摺動部を備えていることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のリニア電動機。
【請求項11】
前記第1の永久磁石列が当該磁石列を外側から固定する第1の円環状固定部材を具備していることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のリニア電動機。
【請求項12】
前記第2の永久磁石列が当該磁石列を内側から固定する第2の円環状固定部材を具備していることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のリニア電動機。
【請求項13】
前記第1の円環状固定部材が当該円環状固定部材の内側に前記第1の永久磁石列を位置決めする位置決め部材を備えていることを特徴とする特許請求の範囲第11項記載のリニア電動機。
【請求項14】
前記コイル支持手段が、前記第1の円環状固定部材の外側に具備されていることを特徴とする特許請求の範囲第11項記載のリニア電動機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−154688(P2010−154688A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331349(P2008−331349)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】