説明

リポクロマン−6とロンゴザの抽出物との組合せを含む化粧品組成物及びその使用

【課題】しわの出現若しくは皮膚のはり及び弾力の減少などの皮膚の老化の徴候の出現を予防する若しくは遅らせるため又はその影響を弱めるため及び/或いは皮膚、特に顔の皮膚の艶の輝きを増強する、又はその自然な輝きを回復させるための活性剤としての局所塗布に適合する化粧品組成物の提供。さらに、しわの出現若しくは皮膚のはり及び弾力の減少などの皮膚の老化の徴候の出現を予防若しくは遅らせるため、又はその影響を弱めるための、皮膚の美容ケアの方法であって、前記組合せを含む化粧品組成物を身体又は顔の皮膚の少なくとも一部分に塗布することを含む美容ケアの方法にも関する。
【解決手段】リポクロマン−6とロンゴザ(アフラモマム・アングスティフォリウム(Aframomum angustifolium))の抽出物との組合せを含むことを特徴とする化粧用薬剤。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、リポクロマン−6とロンゴザ抽出物との組合せを含む化粧品組成物に関する。
【0002】
それは、抗老化効果を得るため及び皮膚の艶の輝きを増強するためのリポクロマン−6とロンゴザ抽出物との組合せの化粧品組成物における使用にも関する。
【0003】
活性酸素種(ROS)は、全ての細胞成分、炭水化物、DNA、脂質及びタンパク質を酸化する能力を有し(Daviesら、J Biol Chem,1987,262(20):9895〜901;Halliwellら、Am J Clin Nutr,1993,57(5 Suppl):715S〜24S;discussion 24S〜25S;Stadtman,Methods Enzymol,1995,258:379〜93)、その変質を招く。
【0004】
このため細胞は、さまざまな酸化種に対して、それらの種の生成部位に対して、及びそれらの生物学的標的に対して特異的な防御機構を発達させてきた。
【0005】
これらの機構は、第一にメラトニン、リポ酸、コエンザイムQ、メラニン、ビタミンC及びE、並びにグルタチオン(GSH)などの低分子量化合物を用いる非酵素的抗酸化防御を含み、第二にスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ペルオキシレドキシン、スルフィレドキシン、及びチオレドキシン/チオレドキシン還元酵素系などの酵素的抗酸化防御を含む。
【0006】
タンパク質は、ROSによってもたらされる酸化変化の好適な標的である。酸化されたタンパク質は、分解されるか又は修復されるかのいずれかであり得る。酸化されたタンパク質の分解に関与する主な系は、プロテアソームである(Davies、Biochimie;2001,83(3〜4):301〜10)。酸化されたタンパク質を修復するための唯一の系は、メチオニンスルホキシド還元酵素(Msr)系であり、メチオニンスルホキシドをメチオニンに還元することによって酸化過程を逆行させる。
【0007】
老化の過程において、放射線又は熱ショックなどの外部ストレスに応答する細胞の能力の減少の始まりで、障害の蓄積で明らかになるこれらの抗酸化系の有効性の減少が、観察される(Rattanら、Bioessays,1991,13(11):601〜6)。
【0008】
より具体的には、酸化されたタンパク質の量に増大が年齢の関数として観察される(Levineら、Exp Gerontol,2001,36(9):1495〜502)。
【0009】
本特許出願の発明者らは、リポクロマン−6と植物アフラモマム・アングスティフォリウム(Aframomum angustifolium)の抽出物との組合せ(本明細書以下において「本発明の組合せ」の表現で記される)が、顕著な相乗効果によって、この組合せで処置した皮膚細胞での酸化されたタンパク質の割合の減少を得ることを可能にすることを示している。
【0010】
リポクロマン−6は、式(I)の化合物である:
【0011】
【化1】

【0012】
それは、先行技術において抗酸化剤として、遊離ラジカルスカベンジャーとして、脂質過酸化阻害剤として及びペルオキシナイトライトによって誘導される障害に対しての細胞用の保護剤として記載されている。それは、化粧品組成物において抗老化剤として使用される。
【0013】
さらに、FR2891458(LVMH−RECHERCHE)は、活性成分として植物アフラモマム・アングスティフォリウムの種子の抽出物を含む化粧品組成物、及び抗老化活性を有する化粧用薬剤としての前記抽出物の使用を開示している。
【0014】
本明細書以下において、簡略化のために、植物アフラモマム・アングスティフォリウムに対する別名である、用語ロンゴザを使用することが優先される。
【0015】
酸化されたタンパク質の割合のこの低減を生じる機構を予め判断すること無く、この減少の規模は、本発明の組合せが、非酵素的予防系及び酵素系の両方を、より具体的には酸化されたタンパク質を、それらを還元することによって修復する系を刺激し、したがってそれらの機能性を回復させることを示唆する。
【0016】
皮膚への塗布のための化粧品組成物におけるこの種の組合せの使用は、したがってこれらの酸化種の蓄積、細胞の適切な機能に影響を与え且つ皮膚の老化の多数の仕組みの1つを構成する蓄積によって生じる障害を限定できるようにし得る。
【0017】
本発明は、本発明の組合せを活性剤として含む化粧品組成物を第1に提供する。
【0018】
本発明は、リポクロマン−6とロンゴザ抽出物との組合せの化粧品組成物中の活性剤としての、より具体的には、しわの出現又は皮膚のはり及び弾力の減少などの皮膚の老化の徴候の出現を予防する又は遅らせるため、或いはその影響を弱めるための使用をさらに提供する。
【0019】
本発明は、追加的に、艶の輝きを増強及び/又は取り戻すための化粧用活性剤としての前記組合せの使用を提供する。
【0020】
上記で説明した通り、その理由は、酸化されたタンパク質などの損傷した生体高分子が、細胞分解系の効率の低下の結果として細胞老化の過程で蓄積することである。
【0021】
酸化されたタンパク質は、正常なタンパク質とは異なる光学的性質を有する。それらは、より疎水性であり、したがってより容易に凝集し、且つ異常に相互に架橋する場合もある。
【0022】
円二色性の技術は、酸化されたタンパク質によって反射される光が、正常なタンパク質によって反射されるものとは異なることを示している(Friguetら、FEBS Lett,1997,405(1):21〜5)。
【0023】
酸化されたタンパク質に加えて、この蓄積は、リポフスチンなどの蛍光化合物にも関連する(Brunkら、Free Radic Biol Med,2002,33(5):611〜9)。
【0024】
タンパク質及び脂質残基の酸化及び凝集に基づいて形成される蛍光色素、リポフスチンは、今日、細胞老化のマーカーと見なされている(Termanら、Int J Biochem Cell Biol,2004,36(8):1400〜4)。
【0025】
結果として、酸化されたタンパク質及び/又はリポフスチンの蓄積は、皮膚レベルでの細胞周期の調節異常を引き起こし、最終的にはその生得の、遺伝的に決定された色に有害な変化を生じさせることによって、皮膚及び特に皮膚の艶に、並びに観察者によるその視覚的認知に影響を有する場合がある。その時、艶は「くすんだ」と称される。
【0026】
同時に、本発明の組合せの使用から生じた表皮細胞の細胞機能の改善は、細胞再生の均一化、及び基底層から角質層に移動する角化細胞の分化の均一化も導く。角質層の細胞再生のこの均一化現象は、この角質層の表面をより均一且つ滑らかにする。したがって入射光は、皮膚の(角質層によって形成された)表面によって、より良く反射され、より高い輝度及びより明るい皮膚の艶が観察者によって視覚的に認知される。
【0027】
したがって、本発明は、顔の皮膚の艶、より具体的には、この艶の有害な変化が皮膚の老化に関連している部位の輝きを増強するための化粧品組成物における活性剤としての前記組合せの使用をさらに提供する。
【0028】
この新規使用は、具体的には、本発明による化粧品組成物が塗布される顔の皮膚の艶の自然な輝きを取り戻すことを目的とする。
【0029】
したがって、第1の本質的特徴により、本発明は、皮膚への局所塗布のために処方され、且つリポクロマン−6とロンゴザ(アフラモマム・アングスティフォリウム)の抽出物との組合せを活性物として含む化粧品組成物に関する。
【0030】
第2の本質的特徴により、本発明は、局所塗布に適合する化粧品組成物における又はその様な組成物を調製するための、皮膚の老化の徴候の出現を予防する若しくは遅らせるため又はその影響を弱めるため及び/或いは皮膚、特に顔の皮膚の艶の輝きを増強する、又はその自然な輝きを回復させるための活性剤としての本発明の組合せの使用に関する。
【0031】
第3の本質的特徴により、本発明は、しわの出現又は皮膚のはり及び弾力の減少などの皮膚の老化の徴候の出現を予防又は遅らせるため、或いはその影響を弱めるためである美容ケアの方法に関する。この方法は、本発明の組成物を身体又は顔の皮膚の少なくとも一部分に塗布することを含む。
【0032】
本発明のそのさまざまな態様における他の特徴及び有利点は、以下の詳細な記載及び実施例から明らかになる。
【0033】
図1、2(2a及び2b)、3並びに4は、実施例2に関連して示され、それぞれ以下を表す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】分析された画像の領域内の細胞の酸化されたタンパク質の蛍光発色。
【図2a】測定域の画定。
【図2b】画定された測定域での酸化されたタンパク質の蛍光。
【図3】画定された測定域での細胞核を表す。
【図4】さまざまな処置後の細胞当たりの酸化されたタンパク質の割合。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ロンゴザ抽出物は、好ましくはこの植物の種子から得られた抽出物である。
【0036】
本発明の内容において、極性溶媒又は極性溶媒の混合物、特にアルコール性溶媒又は水−アルコール混合物を用いることによって得られたロンゴザ抽出物を使用することは有利である。
【0037】
本発明の具体的な一実施形態により、植物の種子の抽出物は、アルコール性溶媒又は水−アルコール混合物での粉砕したロンゴザ種子の少なくとも1ステップの抽出を含む抽出工程によって得られる。
【0038】
製粉は、好ましくは微粉が得られるまで実施される。この粉末の粒子は、有利には約0.01から1mmの間の直径を有する。
【0039】
ロンゴザ抽出物を調製するために使用される抽出工程の有利な一実施形態により、アルコールがモノアルコール又は1から4個の炭素原子を含有するポリオールであるアルコール性又は水性−アルコール性溶媒が使用される。
【0040】
このアルコールは、有利には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコールから選択され、好ましくはエタノールである。
【0041】
抽出工程は、外気温度又は、大気圧若しくは高圧下(しかし沸騰温度が約120℃を超えない様な)での溶媒の沸騰温度にまでなり得る温度のいずれかで実施され得る。アルコールと水との相対的割合は、好ましくは容積で30/70から100/0の範囲で選択される。
【0042】
当該の溶媒によって抽出物質が枯渇するまで複数回の連続した抽出が実施され得る。
【0043】
抽出時間は、使用される当該の溶媒、温度及び必要な場合は圧力に応じて、物質の抽出の完全な枯渇を生じるように変化する。実際には、この時間は、有益な産業用開発のために1時間未満に制限される。それは、一般的には、ほぼ30分間程度である。
【0044】
この抽出工程の具体的な変形例の一実施形態により、得られたアルコール性又は水性−アルコール性抽出物は、有利には脱脂される。脂質は非極性有機溶媒、例えばヘキサン又はn−ヘプタンでの少なくとも1ステップの抽出によって、最終的に脱脂されたアルコール性又は水性−アルコール性抽出物を生成するために除去される。
【0045】
この抽出工程の具体的な一実施形態により、脱脂されたアルコール性又は水性−アルコール性抽出物は、それ自体が本発明の組成物において使用されるロンゴザ抽出物を構成できる。
【0046】
抽出工程の他の具体的な変形例の実施形態により、脱脂されたアルコール性又は水性−アルコール性抽出物は、木炭などの適切な脱色剤でのろ過による脱色のステップ、次いで、木炭の除去後、最初の抽出のために使用されたものと同じ又は異なっても良いアルコール性又は水性−アルコール性溶媒の溶液での洗浄のステップに供され得る。
【0047】
他の具体的な変形例により、抽出溶媒は、本発明の組成物中にそのまま使用され得る、又は他に、化粧品に許容される溶媒中、特に他の変形例のために上記で定義したアルコール若しくは水−アルコール混合物中に再溶解され得る乾燥抽出物を生じさせるために実質的に完全に蒸発されることができる。
【0048】
本発明の他の有利な変形例により、抽出のために使用されるアルコールは、エタノールである。
【0049】
本発明の内容において、得られた抽出物は、化粧用薬剤として容易に使用され、且つ調製される化粧品組成物の他の成分と、より具体的にはリポクロマン−6と、水相又は脂肪相への取り込みのために容易に混合される。
【0050】
リポクロマン−6は、組成物の0.001重量%から5重量%の間、好ましくは0.01重量%から1重量%の間の濃度で化粧品組成物中に存在する。
【0051】
ロンゴザ抽出物は、乾燥抽出物で、組成物の0.0001重量%から0.05重量%の間、好ましくは乾燥抽出物で0.001重量%から0.03重量%の間の濃度で化粧品組成物中に存在する。
【0052】
化粧品組成物中の組合せを形成する2つの各化合物の濃度の「ロンゴザ/リポクロマン−6」比は、有利には、1/1000から1/1の間、好ましくは1/100から1/2の間、より好ましくは1/10から3/10の間である。
【0053】
組合せの2つの活性剤に加えて、化粧品組成物は、抽出物、好ましくは植物由来の抽出物又は合成由来若しくは前記抽出物から単離された分子であり得る、1つ又は複数の他の化粧用活性剤を含み得る。
【0054】
化粧品組成物は、好ましくはセンテラ・アジアティカ(Centella asiatica)の抽出物を含む。
【0055】
組成物は、皮膚への塗布のための組成物の調製のために有用である少なくとも1つの化粧品に許容される賦形剤も含み、前記組成物は、追加的及び有利には、塗布時及びその後に快適で心地良い感覚を与える。
【0056】
本発明の美容ケアの方法は、皮膚の老化の徴候の出現を予防する又は遅らせるため、或いはその影響を弱めるためにリポクロマン−6とロンゴザ抽出物との組合せを含む化粧品組成物を、身体又は顔の少なくとも一部分に塗布することを含む。
【0057】
この美容ケアの方法は、より具体的には、艶が内因的な若しくは外因的な皮膚の老化によって、又は疾患、タバコ若しくはストレスなどの皮膚への影響が皮膚の老化の影響と類似している外部要因によって有害な変化を受けた場合に、顔の皮膚の艶の輝きを取り戻すことを目的とする。
【0058】
この方法は、リポクロマン−6とロンゴザ抽出物との組合せを活性物として少なくとも含む化粧品組成物の皮膚、特に顔の一部分若しくは全体への塗布を含む。
【実施例】
【0059】
実施例1−ロンゴザ種子の脱脂した水性−アルコール性抽出物の調製
以下の抽出手順を実施する:
a)ロンゴザ種子100kg(企業SOTRAMEX、フランスから市販)を平均粒径0.01mmから1mmに粉砕する。
b)粉砕した種子の3回連続の抽出を、各回、70/30 v/v エタノール/水混合物500リットル(l)、50℃、撹拌、およそ30分間で実施する。
c)抽出塊を各抽出後に孔径0.70μmのフィルター上でろ過し、洗浄を30l 70/30 v/v 水−アルコール混合物で実施する。ろ液を合わせ合計容積およそ1500lとする。
d)次いで、n−ヘプタンでの液体/液体抽出によって脂質を除去するステップを実施する。3回の抽出を連続的に、各回n−ヘプタン約500lで、強く撹拌して実施する。相分離後、ヘプタン相を廃棄する。変形例の一実施形態により、減圧下、最高50℃の温度で水性−アルコール性相を加熱することによって、蒸留によって微量のn−ヘプタンを除去するステップを実施できる。
e)脱脂された溶液は、1時間外気温度で、撹拌しながら、木炭上で処理することにより脱色され、次いで孔径0.45μmのフィルター上で木炭をろ過して除き、次にろ過された木炭を水性−アルコール性溶液3lで洗浄する。
f)前記脱脂された溶液を、最高50℃の適切な温度で、任意選択で減圧下にて加熱することにより主にアルコールの蒸発によって濃縮し、次いで本質的に水性の溶液を実施例5の組成物中で使用する乾燥抽出物を得るために凍結乾燥する。
g)前述のステップで得られた乾燥抽出物から、エタノール/水(70/30)混合液中に、ロンゴザ抽出物の1%重量/容積(w/v)溶液を調製する。このロンゴザ抽出物の1%w/v水性−アルコール性溶液を、実施例3及び4に記載の組成物の調製に使用する。
【0060】
実施例2−リポクロマン−6とロンゴザ抽出物との組合せの、表皮細胞の酸化されたタンパク質のレベルでの効果
装置及び方法
1.細胞培養
細胞操作は、層流フード下で無菌条件で実施する。
2名の異なる提供者由来のヒト皮膚の2つの試料から単離された正常ヒト角化細胞(NHK)(本明細書以下でKHN002及びKHN9726と称する)をT75フラスコで完全KSFM培地(Invitrogen GIBCO)中で、37℃、5%COで培養し、8−ウェル、ラブ−テックII(Lab−Tek II)培養系(Nalge Nunc International)に1ウェル当たり細胞20000個で播種する。
【0061】
2.処置
48時間培養後、細胞を処置溶液で処置する(下記を参照されたい)。
【0062】
保存溶液の調製
リポクロマン−6の溶液を容積当たりの重量、0.004%(w/v)で調製する(溶液A)。
【0063】
これは、リポクロマン−6粉末(供給元:Lipotec)20mgをエタノール2mlに溶解する(10mg/ml溶液)ことによって実施する。この溶液を(保存溶液40μlをKSFm培地10mlに)希釈し、溶液Aを得る。
【0064】
さらに、KSFMc培地中の0.2%w/vのロンゴザ溶液を、実施例1のステップg)に従って調製した1%w/v溶液から調製する(溶液B)。1%w/vロンゴザ抽出物溶液を(1%w/v溶液12μlをKSFm培地6mlに)希釈し、前記溶液Bを得る。
【0065】
処置溶液の調製
処置溶液は、組合せの各活性物の正確な百分率(容積当たりの重量で示す%)を得るために上記で調製した溶液A及びBをKSFMc培地中に希釈することによって調製する。
各処置は、細胞型当たり3ウェルで実施する。
対照:KSFMc
溶媒対照:KSFMc培地中0.1%エタノール
0.001%リポクロマン
0.002%リポクロマン
0.001%リポクロマン+0.05%ロンゴザ
0.001%リポクロマン+0.1%ロンゴザ
0.002%リポクロマン+0.05%ロンゴザ
0.002%リポクロマン+0.1%ロンゴザ
【0066】
3.酸化されたタンパク質の免疫染色
48時間の処置後、KSFM培地を除去する。
【0067】
細胞をPBS(PBS錠、Invitrogen GIBCO)でリンスし、次いでホルマリン(中性緩衝10%ホルマリン溶液、Sigma)を用いて10分間、外気温度でスライド上に固定する。PBSでのリンス後、培養容器を0.1%トライトン(Triton)溶液(トライトンX−100、Sigma)で10分間満たし、次いでPBSでリンスする。
【0068】
次に培養容器を分解し、スライドを2,4−ジニトロフェニルヒドラジンの溶液(エタノール/硫酸混合物(98.5ml/1.5ml)中にDNPH(Fulka)300mg)中に30分間浸漬する。
【0069】
DNPHは、以下の反応に従って酸化されたタンパク質のカルボニル基と反応する:
【0070】
【化2】

【0071】
スライドをPBSで10回リンスする。次いで細胞をPBS/BSAの1重量%溶液(10g/l)で、外気温度で30分間覆う。
【0072】
酸化されたタンパク質に結合したジニトロフェニル(DNP)基は、抗DNP一次抗体によって認識される。
【0073】
この目的のために、第1ステップにおいて、スライドを、PBS/BSA 1%溶液で1/500に希釈した一次抗体(マウスモノクローナル抗DNP抗体、Sigma)の溶液で覆い、オーブン中、60分間、外気温度でインキュベートし、次いでPBS−ツイーン(Tween)0.1%(ツイーン20、Merck)溶液でリンスする。
【0074】
第2ステップにおいて、細胞をPBS/BSA 1重量%溶液中の二次抗体(アレクサフルオロ(Alexafluor)546ヤギ抗マウス、Invitrogen)の溶液で覆い、遮光下で60分間インキュベートする。次にスライドをPBS−ツイーン及び次いでPBSでリンスする。
【0075】
第3ステップにおいて、水性封入剤(フルオレッセントマウンティングメディウム(Fluorescent Mounting Medium)、DAKO、S3023)数滴をスライドに添加し、次に暗所で、4℃で保存する。
【0076】
4.共焦点顕微鏡での画像取得
レーザーシャープ2000ソフトウェア(LaserSharp 2000 software)(BioRad)を用いて共焦点顕微鏡(アキシオプランマイクロスコープ(Axioplan microscope)、Zeiss及びクリプトン−アルゴンレーザー、BioRad)で写真を撮る。各条件について、写真3枚を×40レンズ、同一の取得パラメーター(ゲイン、絞り)で撮る。
【0077】
蛍光色素の励起波長は、546nmであり、発光波長は573nmである。
【0078】
実際に、564nmの励起蛍光を共焦点レーザーによって細胞に当てる。酸化されたタンパク質を示す蛍光色素アレクサフルオロ546は、特定のフィルターによって回収され、且つ観察できる573nmの蛍光を発光する。したがって測定される蛍光は、酸化されたタンパク質の量に直接比例する。
【0079】
5.画像分析
写真は、ライカQWin(Leica QWin)画像分析ソフトウェアを使用して分析する。プログラムは、酸化されたタンパク質の割合及び細胞数の評価のための、DNPHでの染色の定量を可能にする。
【0080】
プログラムは、酸化されたタンパク質の蛍光染色を検出する(図1)。可能な限り代表的な(細胞の数、大きさ、密度、標識の強度)検出域を画定する(図2a)。画定した領域中の酸化されたタンパク質の蛍光を測定し(図2b)、同領域の細胞を細胞核を数えることによって計数する(図3)。
工程は、順に以下のステップを含む:
分析する画像を開く
酸化されたタンパク質の染色の検出(図1)
検出域の輪郭を描くこと(図2a)及び染色域の減算(図2b)。
細胞の照合(図3)。
【0081】
結果
活性物、リポクロマン−6及びロンゴザ、の組合せのタンパク質の酸化での効果を前述の2つの型の正常ヒト角化細胞(NHK)について測定する。酸化されたタンパク質の標識の表面積、測定域の表面積、及び測定表面積中の細胞(細胞核)数を推定する。
【0082】
1.統計的方法
欠測データ、外れ値
欠測値又は応答の欠如がある場合(この場合基数は、「/n=5」と示す。)以外は、反応物(n=6)に基づいて百分率を算出する。対応のある検定については、1つの対象に欠測値がある場合は、その対象を分析から外す。ディクソン検定を外れ値を決定するために使用する。
【0083】
統計的検定の有意性の程度
統計的分析を誤差リスクα=5%で実行する。
p(「p−値」)は、検定の有意性を示す:
*p≦0.05の場合→S(有意)、pの値を角括弧内に記す。
*0.05≦p≦0.10の場合→Slim(境界有意)、pの値を角括弧内に記す。
*p>0.10の場合→NS(有意でない)、pの値は、記さない。
【0084】
定性データの分析
定性的課題の分散ソーティングは、総計を項目別にするステップ及び、次いで他の可能な反応の頻度(百分率として表す)を算出するステップを含む。χ検定を百分率を比較するために使用する。
【0085】
定量データの分析
記述的分析を実施する。分散分析(ANOVA)を要素のモダリティーの手法(means)を比較するために使用する。スチューデント検定を使用する場合、「T」によって示す。
【0086】
ソフトウェア
ウィンドウズNT(Windows NT)でのスタットグラフィックスプラスセンチュリオンパッケージ(Statgraphics Plus Centurion package)及びユニウィン6.0(Uniwin 6.0)。
【0087】
2.本発明の組合せでの処置の皮膚細胞中の酸化されたタンパク質の量における効果
両側検査(対照/溶媒対照)を使用する溶媒対照を除いて、片側検査を有意性を算出するために使用する。
【0088】
結果を以下の表1に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
異なる溶液で処置した細胞における酸化されたタンパク質の割合を、図4に示す。
【0091】
結論
タンパク質の酸化(DNP標識の還元)について検査したリポクロマン−6とロンゴザとの組合せの顕著な効果が、それら各々の用量及び比率と無関係に観察される。リポクロマン−6又はロンゴザの濃度が増大すると、酸化されたタンパク質の標識の表面積が低下する。リポクロマン−6単独での処置後に既に有意に減少している酸化されたタンパク質の割合(0.001%又は0.002%溶液についてそれぞれ−19.43%及び−48.97%)は、リポクロマン−6/ロンゴザの組合せを含む処置溶液での場合に、より大きな程度減少する(対照と比較して−86.46%まで低下)。
【0092】
以下の表は、さまざまな処置の有効性の有意性を互いに及び対照と比較して区別する。
【0093】
【表2】

【0094】
実施例3−リポクロマン−6とロンゴザ抽出物との組合せを含む、艶の輝きを増す顔用しわ取りデイクリーム
組成物は、本発明の組合せを含む水中油型乳剤である(組成物の重量と比較した重量で示す%):
リポクロマン−6 0.05
ロンゴザ抽出物の1%溶液(実施例1−g) 1.0
センテラ・アジアティカ抽出物 0.5
ステアレス−21 2.5
ステアリン酸グリセロール 1.1
ステアリルアルコール 5
トリカプリン酸グリセロール/カプリル酸 11.5
ブチレングリコール 3
グリセロール 2
保存剤 0.5
香料濃縮物 0.5
UVフィルター 7.5
水 qs100
クリームは、顔に、好ましくは朝に塗布する。
【0095】
実施例4−リポクロマン−6とロンゴザ抽出物との組合せを含むローション
化粧品組成物は、ローションである(組成物の重量と比較した重量で示す%):
リポクロマン−6 0.05
ロンゴザ抽出物の1%溶液(実施例1−g) 1.5
ブチレングリコール 3
EDTA 0.1
可溶化剤 1
香料濃縮物 0.3
エタノール 5
UVフィルター 0.1
水 qs100
例えば一日の終わりの夜に、顔に塗布する場合にローションは、艶の輝きを取り戻し、皮膚を引き締めることによって抗老化効果を与える。
【0096】
実施例5−リポクロマン−6とロンゴザ抽出物との組合せを含む化粧用パウダー
化粧品組成物は、固めたパウダーである(組成物の重量と比較した重量で示す%):
リポクロマン−6 0.05
ロンゴザ抽出物の1%溶液(実施例1−g) 1.5
保湿活性物(グリセロール) 2.4
粘着剤 3.5
UVフィルター 18
質感剤 49
結合剤 16
香料濃縮物 0.1
保存剤 0.6
色素 6
賦形剤(タルク、マイカ) qs100
パウダーは、顔に塗布され、着色効果を与え、且つ顔の輝きを取り戻す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リポクロマン−6とロンゴザ(アフラモマム・アングスティフォリウム(Aframomum angustifolium))の抽出物との組合せを含むことを特徴とする化粧用薬剤。
【請求項2】
前記抽出物が、極性溶媒又は極性溶媒の混合物、特にアルコール性又は水性−アルコール性溶媒で、植物ロンゴザの種子から生成される抽出物であることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
前記抽出物が、アルコール性又は水性−アルコール性溶媒での粉砕したロンゴザ種子の少なくとも1つの抽出ステップを含む抽出工程によって得られることを特徴とする、請求項1又は2に記載の薬剤。
【請求項4】
前記抽出物が、例えばヘキサン又はn−ヘプタンである非極性有機溶媒での少なくとも1つの抽出ステップによって前記アルコール性又は水性−アルコール性抽出物から、脂質を除去することによって得られる脱脂されたアルコール性又は水性−アルコール性抽出物であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の薬剤。
【請求項5】
前記脱脂されたアルコール性又は水性−アルコール性抽出物が、木炭などの適切な脱色剤でのろ過による脱色のステップ、次いで木炭の除去後、最初の抽出のために使用されたものと同じ又は異なっても良いアルコール性又は水性−アルコール性溶媒の溶液での洗浄のステップに供されることを特徴とする、請求項4に記載の薬剤。
【請求項6】
前記抽出溶媒が、そのまま使用され得るか又は化粧品若しくは皮膚科学的に許容される溶媒、特にアルコール又は水−アルコール混合物中に再溶解され得る乾燥抽出物を生じさせるために、実質的に完全に蒸発されることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項7】
前記アルコール又は前記水−アルコール混合物に使用されるアルコールがモノアルコール又は1から4個の炭素原子を含有するポリオールであって、前記アルコールが、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びブチレングリコールから選択され、より好ましくはエタノールであることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項8】
しわの出現若しくは皮膚のはり及び弾力の減少などの皮膚の老化の徴候の出現を予防する又は遅らせるための、或いは皮膚の老化の影響を弱めるための薬剤、並びに皮膚、特に顔の皮膚の艶の輝きを増強するため又は皮膚の自然な輝きを回復させるための薬剤から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項9】
前記組成物が皮膚に塗布される場合に表皮細胞中の酸化されたタンパク質の量の低減を得るのに十分な量で使用されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項10】
艶が内因的な若しくは外因的な皮膚の老化によって、又は疾患、タバコ若しくはストレスなどの皮膚への影響が皮膚の老化の影響と類似している外部要因によって有害な変化を受けた場合に、顔の皮膚の艶の輝きを取り戻すことを意図することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項において定義した化粧用薬剤を美容用に活性な薬剤の1つとして含むことを特徴とする、化粧品組成物。
【請求項12】
リポクロマン−6の濃度が、組成物の0.001重量%から5重量%の間であり、乾燥ロンゴザ抽出物の濃度が、組成物の0.0001重量%から0.05重量%の間であることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
リポクロマン−6の濃度が、組成物の0.01重量%から1重量%の間であり、乾燥ロンゴザ抽出物の濃度が、組成物の0.001重量%から0.03重量%の間であることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
化粧品組成物中のロンゴザ/リポクロマン−6の重量比が、1/1000から1/1の間、好ましくは1/100から1/2の間、より好ましくは1/10から3/10の間であることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
センテラ・アジアティカ(Centella asiatica)の抽出物をさらに含むことを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の組成物。

【図4】
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【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−43076(P2010−43076A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−177958(P2009−177958)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(502189579)エルブイエムエイチ レシェルシェ (68)
【Fターム(参考)】