説明

リポソームの製造方法およびフロー製造装置

【課題】良質なリポソームの生産性を向上しうる製造方法を提供する。
【解決手段】W1/Oエマルションを調製する一次乳化工程と、W1/O/W2エマルションを調製する二次乳化工程と、W1/O/W2エマルションから油相(O)の有機溶媒を除去してリポソームを形成させる溶媒除去工程とを含むリポソームの製造方法であって、溶媒除去工程は、二次乳化工程で調製されたW1/O/W2エマルションの連続的な供給を受けて、たとえば、W1/O/W2エマルションを溶媒除去用の流路に導入し、そこを流下させながら有機溶媒を蒸発させ、流路下流末端に到達するまでにリポソームが製造されるような方法により、リポソームを連続的に製造するものであることを特徴とする、リポソームの連続的な製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、化粧品、食品などの用途を有するリポソームの製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リポソームは、リン脂質を主成分とする脂質二重膜からなる閉鎖小胞体である。細胞膜と類似の構造および機能を有するため、免疫系を刺激しにくく(低抗原)、素材としての安全性が高い。また、水溶性の薬剤を脂質二重膜で囲まれた内水相に、脂溶性の薬剤類を脂質二重膜中に取り込むことができ、本来不安定で失活しやすい薬効成分等を安定的に保持することが可能である。このようなことから、医薬品、化粧品、食品などの分野に用いられるリポソーム、たとえば薬物送達システム(Drug Delivery System: DDS)における
利用に好適なリポソーム製剤の、効率的な製造方法・製造装置の研究開発が進められている。
【0003】
従来、内水相(W1)および油相(O)をリポソーム用混合脂質成分(F1)を用いて乳化しW1/Oエマルションを調製する一次乳化工程と、膜乳化法により、一次乳化工程で調製されたW1/Oエマルションおよび外水相(W2)をリポソーム用混合脂質成分(F2)を用いて乳化しW1/O/W2エマルションを調製する二次乳化工程と、二次乳化工程で調製されたW1/O/W2エマルションから油相(O)の有機溶媒を除去してリポソームを形成させる溶媒除去工程とを含むリポソームの製造方法が知られている。また、上記溶媒除去工程では、W1/O/W2エマルションを開放容器内に移し、減圧下および/または撹拌下に溶媒を除去する方法(液中乾燥法)が知られている。
【0004】
しかしながら、液中乾燥法のような従来の溶媒除去方法では、W1/O/W2エマルション中の液敵同士の接触および凝集が起こりやすく、リポソームの品質の低下を招いていた。そのような接触および凝集を防止するため、W1/O/W2エマルションは所定の分散安定剤を添加することもできるが、最終的な製品、特に医薬用リポソーム製剤に分散安定剤が混入することは好ましくなく、分散安定剤を除去するためにはさらなる工程(限外濾過等)が必要になる。このようなことから、従来のリポソームの製造方法は良質のリポソームの生産性が必ずしも高くなく、改善の余地があった。
【0005】
ところで、特許文献1には、エマルションを構成する分散相自体が別のエマルションとなっている単分散複合型エマルション(W/O/Wエマルション)を製造する装置であって、この装置は分散相が供給される第1スペースと、この第1スペースに隣接するとともに連続相が供給される第2スペースと、この第2スペースに隣接するとともに前記連続相と同一または別の連続相が供給される第3スペースと備え、前記第1スペースと第2スペースは第1マイクロチャネルでつながり、前記第2スペースと第3スペースは第2マイクロチャネルでつながっていることを特徴とする単分散複合型エマルションの製造装置が記載されている(請求項1)。
【0006】
また、特許文献2には、(a)混合チャンバーおよび溶媒除去部を提供する工程;(b)(i)
高分子材料含む有機溶液、および(ii)核酸を含有する第一の水溶液と混合された有機溶媒を含む、第一のエマルションを混合チャンバーに連続的に供給する工程;(c)界面活性剤
を含有する、第二の水溶液を混合チャンバーへ連続的に供給する工程;(d)混合チャンバ
ー内の第一のエマルションおよび第二の水溶液を連続的に乳化し、第二のエマルションを生成し、この第二のエマルションが、核酸、高分子材料、水、および有機溶媒を含んでいる工程;(e)第二のエマルションを混合チャンバーから溶媒除去部へと連続的に移す工程
;および(f)溶媒除去部内の第二のエマルションから有機溶媒を除去し、核酸包含微粒子
の水性分散液を生成する工程を含み、第一のエマルションおよび第二の水溶液の少なくとも一方が、分散安定剤を更に含む、核酸包含微粒子調製のための拡張性のある連続法が記載されている(請求項1)。また、上記混合チャンバーとしてホモジナイザーを備えるものを用いることが、上記有機溶媒を除去するために蒸発、加熱、部分真空等を用いることが記載されている(請求項17,20,21,24)。
しかしながら、脂質二重膜で形成された、平均粒径が数百nm程度と微少なリポソームの製造に上記のような装置または方法を適用することは、特許文献1および2のいずれにも記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−71261号公報
【特許文献2】特表2003−514832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、良質なリポソームの生産性を向上しうる製造方法および製造装置を提供することを目的とする。特に、W1/O/W2エマルションの油相から溶媒を除去してリポソームを形成する工程において、煩雑な手法を用いることなく、液滴同士の接触、凝集を抑制することができるリポソームの製造方法および製造装置とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、特に二次乳化工程から溶媒除去工程にかけての手順を効率的に行うことにが上記のような課題を解決する上で極めて重要であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係るリポソームの連続的な製造方法は、内水相(W1)および油相(O)をリポソーム用混合脂質成分(F1)を用いて乳化しW1/Oエマルションを調製する一次乳化工程と、一次乳化工程で調製されたW1/Oエマルションおよび外水相(W2)をリポソーム用混合脂質成分(F2)を用いて乳化しW1/O/W2エマルションを調製する二次乳化工程と、二次乳化工程で調製されたW1/O/W2エマルションから油相(O)の有機溶媒を除去してリポソームを形成させる溶媒除去工程とを含むリポソームの製造方法であって、溶媒除去工程は、二次乳化工程で調製されたW1/O/W2エマルションの連続的な供給を受けて、リポソームを連続的に製造するものであることを特徴とする。
【0011】
このような製造方法において、前記溶媒除去工程におけるリポソームの連続的な製造は、W1/O/W2エマルションを溶媒除去流路に導入し、そこを流下させながら有機溶媒を蒸発させ、溶媒除去流路末端に到達するまでにリポソームを形成させることによりなされるものであることが好ましい。
【0012】
前記二次乳化工程で調製されたW1/O/W2エマルションの溶媒除去工程への連続的な供給は、溶媒除去工程を減圧下で行うことによりなされるものであること、さらに、溶媒除去工程における減圧度およびW1/O/W2エマルションの送液圧力を検知した結果に基づいて、一定の速度でなされるように制御されるものであることが好ましい。溶媒除去工程は750〜180mmHgの減圧下に置かれることが好ましい。
【0013】
前記二次乳化工程における乳化法としては、たとえば膜乳化法が好ましく、特にマイクロチャネル乳化法またはSPG膜を用いた乳化法が好ましい。一方、前記一次乳化工程に
おける乳化法としては、たとえば撹拌乳化法が好ましい。
【0014】
前記一次乳化工程は、さらにリポソームに内包させるべき物質を添加した上で行われるものであってもよい。また、前記二次乳化工程における外水相(W2)は、分散安定剤、たとえば、自己による分子集合体を形成しない分散安定剤または自己による分子集合体を形成するがその分子集合体の体積平均粒径が10nm以下である分散安定剤を含有してもよい。
【0015】
また、本発明は一つの側面において、上述したような本発明の製造方法を実施する手段を備えたリポソームの製造装置を提供する。
【0016】
すなわち、本発明に係るリポソームの連続的な製造装置は、内水相(W1)および油相(O)をリポソーム用混合脂質成分(F1)を用いて乳化しW1/Oエマルションを調製する一次乳化部と、前記一次乳化部で調製されたW1/Oエマルションおよび外水相(W2)をリポソーム用混合脂質成分(F2)を用いて乳化しW1/O/W2エマルションを調製する二次乳化部と、前記二次乳化部で調製されたW1/O/W2エマルションから油相(O)の有機溶媒を除去してリポソームを形成させる溶媒除去部を含むリポソームの製造装置であって、前記溶媒除去部は、前記二次乳化部で調製されたW1/O/W2エマルションの連続的な供給を受けて、リポソームを連続的に製造するものであることを特徴とする。
【0017】
このような製造装置は、溶媒除去部におけるリポソームの連続的な製造のために、W1/O/W2エマルションを導入して流下させながら有機溶媒を蒸発させる溶媒除去流路を備えることが好ましい。
【0018】
また、前記溶媒除去部は減圧装置を備え、この減圧装置を用いて、前記二次乳化部で調製されたW1/O/W2エマルションを前記溶媒除去部への連続的な供給を行うことが好ましい。
【0019】
さらに、上記製造装置は、二次乳化工程で調製されたW1/O/W2エマルションの溶媒除去工程への連続的な供給のために、溶媒除去工程における減圧度およびW1/O/W2エマルションの送液圧力を検知する部材およびその検知結果に基づいて供給速度を一定に制御する部材を含む供給制御手段を備えることが好ましい。
【0020】
前記二次乳化部における乳化法としては、たとえば膜乳化法が好ましく、特にマイクロチャネル乳化法またはSPG膜を用いた乳化法が好ましい。一方、前記一次乳化部における乳化法としては、たとえば撹拌乳化法が好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のリポソームの製造方法および製造装置によれば、W1/O/W2エマルション中の液滴の接触、凝集を抑制しながら、リポソームを連続的に製造することができるため、内包率が高く、粒度分布の揃った(CV値が小さい)良質なリポソームの生産性が著しく向上し、工業化の実現も可能となる。特に、本発明の好ましい態様において、溶媒除去工程および溶媒除去装置の減圧を利用した場合には、上記のような生産性の向上等の効果をより一層享受することができる。また、分散安定剤を用いなくても一定程度凝集を抑制することができ、分散安定剤を用いればさらに確実に凝集を防止することができる。さらに、一次乳化工程、二次乳化工程および溶媒除去工程はすべて閉鎖系で行うことができるため、異物の混入を防止し、安全性の高いリポソーム(特に医薬品用途のリポソーム製剤)を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明のリポソームの製造装置の一態様の概略図である。
【図2】図2は、実施例1で調製したリポソーム懸濁液の顕微鏡観察写真である。
【図3】図3は、実施例2で調製したリポソーム懸濁液の顕微鏡観察写真である。
【図4】図4は、比較例1で調製したリポソーム懸濁液の顕微鏡観察写真である。
【図5】図5は、比較例2で調製したリポソーム懸濁液の顕微鏡観察写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
− リポソームの製造方法 −
本発明のリポソームの製造方法は、下記のような一次乳化工程、二次乳化工程および溶媒除去工程を有し、必要に応じてその他の工程を適宜組み合わせることができるものである。
【0024】
(一次乳化工程)
一次乳化工程は、内水相(W1)および油相(O)をリポソーム用混合脂質成分(F1)を用いて乳化しW1/Oエマルションを調製する工程である。
【0025】
W1/Oエマルションの調製方法としては、超音波乳化法、撹拌乳化法、膜乳化法、高圧ホモジナイザーを用いた方法など、公知の方法を適用することができるが、W1/Oエマルションを連続的に二次乳化工程に供給する観点からは膜乳化法が好ましく、微小粒径の観点からは高圧ホモジナイザーが好ましく、スケールアップの観点からは撹拌乳化法が好ましい。膜乳化法としては、あらかじめ大きな粒径のW1/Oエマルションを調製した後に、孔径の小さな膜を通過させることでより小さな粒径のW1/Oエマルションを調製するようなプレミックス膜乳化法を用いてもよい。
【0026】
一次乳化工程における、W1/Oエマルションの平均粒子径、油相(O)に添加する混合脂質成分(F1)の割合、油相(O)と内水相(W1)の体積比、その他の条件は、続く二次乳化工程の条件や最終的に調製するリポソームの態様などを考慮しながら、採用する乳化方法に応じて適宜調整することができる。通常、混合脂質成分(F1)の割合は油相(O)に対して1〜50質量%であり、油相(O)と内水相(W1)の体積比は100:1〜1:2である。また、必要に応じて、リポソームに内包させるべき物質(水溶性または脂溶性の薬剤類)を一次乳化工程において添加し、内水相(W1)または油相(O)に溶解または懸濁させるようにしておいてもよい。
【0027】
一次乳化工程の後、調製されたW1/Oエマルションは、二次乳化工程におけるW1/O/W2エマルションの連続的な調製に同調させながら、二次乳化工程に供給される。
【0028】
(二次乳化工程)
二次乳化工程は、一次乳化工程で調製されたW1/Oエマルションおよび外水相(W2)をリポソーム用混合脂質成分(F2)を用いて乳化し、W1/O/W2エマルションを調製する工程である。この二次乳化工程では、W1/O/W2エマルションの溶媒除去工程への連続的な供給に同調させて、一次乳化工程で調製されたW1/Oエマルションの連続的な供給を受けながら、W1/O/W2エマルションが連続的に調製される。
【0029】
二次乳化工程でW1/O/W2エマルションを調製するための方法としては、膜乳化法、撹拌乳化法、液滴法、接触法などが公知であるが、W1/O/W2エマルションを連続的に調製し、溶媒除去工程に供給する観点から、本発明では膜乳化法を用いることが好ましい。膜乳化法のなかでも、マイクロチャネル乳化法およびSPG膜を用いた乳化法は、乳化処理に大きな機械的剪断力を必要としないため乳化操作時の液滴の崩壊および液滴からの内包物質の漏出を抑えることができ、また流下する連続相に液滴が放出されて滞留す
ることなく順次溶媒除去工程に運ばれるため液滴同士の接触、凝集を低減し、多胞リポソームの形成を抑制することができることから好適である。なお、膜乳化法としては、あらかじめ大きな粒径のW1/O/W2エマルションを調製した後に、孔径の小さな膜を通過させることでより小さな粒径のW1/O/W2エマルションを調製するようなプレミックス膜乳化法を用いてもよい。プレミックス膜乳化法は、必要とされるエネルギーが小さく、また処理量が多く、リポソームの調製を迅速化することができるため好適である。
【0030】
二次乳化工程における、W1/O/W2エマルション中の液滴の形成速度ないし密度、連続相の流速などの条件は、液滴同士が接触し凝集する確率を低下させ、かつ溶媒除去工程におけるリポソームの製造に同調した所定の速度でW1/O/W2エマルションが製造されるものとなるよう、適宜調節することができる。必要に応じて、二次乳化工程の外水相(W2)に分散安定剤を配合してもよい。また、混合脂質成分(F2)の添加量などその他の条件についても、最終的に調製するリポソームの用途などを考慮しながら適宜調節すればよい。
【0031】
なお、二次乳化工程における乳化のための混合脂質成分(F2)が、主として水溶性脂質からなる場合は、外水相(W2)に添加して用いるが、主として脂溶性脂質からなる場合は、調製されたW1/Oエマルションに添加して用いるので、そのための添加工程を必要に応じて追加してもよい。また、混合脂質成分(F1)および(F2)が同一の組成であってもよい場合は、一次乳化工程の際に添加した混合脂質成分のうちF1としてW/O界面に配向しきれなかった余剰分を、二次乳化工程のO/W界面に配向させるべきF2とすることができる。
【0032】
二次乳化工程の後、調製されたW1/O/W2エマルションは、溶媒除去工程におけるリポソームの連続的な調製に同調させながら、二次乳化工程から連続的に排出され、溶媒除去工程に連続的に供給される。この際、W1/O/W2エマルションの溶媒除去工程への連続的な供給は、たとえば、溶媒除去工程における減圧度およびW1/O/W2エマルションの送液圧力を検知した結果に基づいて、一定の速度でなされるように制御されることが望ましい。たとえば、溶媒除去工程における減圧度が変動して当初の設定よりも高くなった場合、引圧が減少してW1/O/W2エマルションの供給速度が遅くなる方向への影響を受けるため、弁を緩めて供給量を増加させ、供給速度を維持するようにする。
【0033】
(溶媒除去工程)
溶媒除去工程は、二次乳化工程により調製されたW1/O/W2エマルションから油相(O)の有機溶媒を除去し、混合脂質成分(F1)および(F2)からなる脂質二重膜を有するリポソームを形成させる工程である。有機溶媒の除去の進行につれて、リポソームを構成する脂質の水和が進み、多胞リポソームが解けて単胞のリポソーム状態にばらける、あるいはW1/O/W2エマルションの界面に近い位置から単胞のリポソームがちぎれて形成されるものと考えられる。この溶媒除去工程では、二次乳化工程で調製されたW1/O/W2エマルションの連続的な供給を受けながら、リポソームが連続的に形成される。
【0034】
本発明の溶媒除去工程においてリポソームを連続的に製造するため方法の一つとして、W1/O/W2エマルションを溶媒除去流路に導入し、そこを流下させながら有機溶媒を蒸発させ、溶媒除去流路下流末端に到達するまでにリポソームが製造されるような態様が好ましい。W1/O/W2エマルションを静置状態でなくフロー状態に置くことにより、液滴同士の接触、凝集を低減し、多胞リポソームなどの凝集塊の形成を抑制することができ、しかもリポソーム分散液を連続的に回収することができる。
【0035】
以下のような効率性の観点から、本発明では、溶媒除去工程を減圧下で行うことにより
、二次乳化工程で調製されたW1/O/W2エマルションの溶媒除去工程への連続的な供給が行われることが望ましい。溶媒除去工程は、有機溶媒の蒸発を促進するために減圧下で行うことが好ましいが、この減圧は、W1/O/W2エマルションを引き込む引圧としても作用するため、ポンプのように能動的に送液する手段を用いなくとも、W1/O/W2エマルションの供給を受けることが可能となる。さらに、このような減圧の作用は、二次乳化部におけるW1/Oエマルションの分散相から連続相への流れを生み出すこともでき、従来の膜乳化法で行われていた分散相から連続相に向けての加圧を不要化または低減することもできる。
【0036】
溶媒除去工程における減圧条件は、用いる有機溶媒の種類に応じて、溶媒除去速度(溶媒除去工程の所要時間)やW1/O/W2エマルションの供給速度などの諸事情を考慮しながら、溶媒の飽和蒸気圧〜大気圧の範囲内で適宜調節することができるが、溶媒の飽和蒸気圧の+1%〜10%の範囲内に設定されることが好ましく、異なる溶媒を混合して用いる場合はより飽和蒸気圧の高い溶媒種に合わせることが好ましい。減圧が過度であると、有機溶媒がはじけて液滴が破壊され、リポソームの品質が落ちるおそれがある。たとえば、有機溶媒が主としてヘキサンからなるものである場合、チャンバー内の圧力が750〜180mmHgとなるよう減圧することが好ましい。
【0037】
また、有機溶媒の除去をさらに促進するために、加熱を併用してもよい。温度条件は、減圧条件も考慮しながら溶媒が突沸することのない範囲で、また内水相(W1)が凍結することのない範囲で設定すればよいが、たとえば0〜60℃の範囲が好ましく、0〜25℃がより好ましい。熱に弱い薬剤を使用する際は、より低温側でかつ減圧条件で溶媒を留去することが好ましい。加熱を併用する場合は、溶媒除去用の流路をヒーターで加熱するようにしてもよい。
【0038】
(その他の工程)
必要に応じて用いられるその他の工程としては、リポソームの粒径を所望の範囲(たとえば50〜500nm程度)に調整し、W1/O/W2エマルションから副次的に形成された多胞リポソームをばらして単核リポソームにすることができる整粒工程や、リポソームを保管に適した形態にする(使用時に水性溶媒中に再分散させる)ための乾燥粉末化工程など、従来のリポソームの製造にも用いられていた各種の工程が挙げられる。これらの工程は、溶媒除去工程の後に設けられ、溶媒除去工程から引き続き連続的に行われるようにしてもよい。
【0039】
また、二次乳化工程において後述する特定分散安定剤を用いる場合は、特定分散安定剤とリポソームとを分離し、リポソーム分散液中から特定安定分散剤を除去するための分離工程を設けてもよい。たとえば、精密濾過膜(MF膜,孔径50nm〜10μm程度)または限外濾過膜(UF膜,孔径2〜200nm程度)を用いれば、リポソームと自己による分子集合体(たとえば体積平均粒径10nm以下)を形成した特定安定分散剤とを効率よく分離することができる。製品の用途に鑑みて、特定安定分散剤とリポソームとを分離しなくとも問題がない場合には、この分離工程は設けなくともよい。
【0040】
− リポソームの製造装置 −
本発明のリポソームの製造装置は、上述したような本発明の製造方法を実施する手段を備えたものである。以下、図1を参照しながらリポソーム製造装置1について説明する。
【0041】
(一次乳化部)
内水相(W1)および油相(O)をリポソーム用混合脂質成分(F1)を用いて乳化しW1/Oエマルションを調製するための一次乳化部10は、公知の乳化用の装置・機器類その他適切な手段を用いて構成することができる。たとえば、一次乳化工程における好ま
しい方法として挙げた撹拌乳化法により乳化する場合、内水相をなす水性溶媒ないし水性溶液、油相をなす有機溶媒ないし有機溶液、および混合脂質成分などを投入する容器(図示せず)と、これらの原料を乳化するホモジナイザーのような攪拌機(図示せず)とにより一次乳化部を構成することができる。上記攪拌機としては、たとえば高速攪拌機(Excel-Auto HOMOGENIZER 日本精機、ディスクタービン翼)、高圧ホモジナイザー(ナノマイザ
ー NM2-L200AR-D 吉田機械工業)、プレミックス膜乳化(SPGインラインミキサー IM-125 SPGテクノ社)のような製品を用いることができる。
【0042】
また、一次乳化部の上流側には、W1/Oエマルションの上記各原料を一次乳化部に供給するための貯蔵容器(図示せず)および供給路(図示せず)が連結されていてもよく、当該供給路は必要に応じてポンプ、弁などの供給制御手段(図示せず)を備えていてもよい。
【0043】
(二次乳化部)
一次乳化部で調製されたW1/Oエマルションおよび外水相(W2)をリポソーム用混合脂質成分(F2)を用いて乳化し、W1/O/W2エマルションを調製するための二次乳化部20は、公知の膜乳化法用の装置・機器類その他適切な手段を用いて構成することができる。たとえば、二次乳化工程で用いられる好ましい方法として挙げた膜乳化法(マイクロチャネル乳化法またはSPG膜を用いた乳化法)により乳化する場合、図1に示したように、開口(図示せず)からW/Oエマルションが供給される分散相20aと、分散相20aと連続相20cの境界に位置し、W/Oエマルションが通過する際に液滴を形成するための細孔を有する乳化膜20b(マイクロチャネルまたはSPG膜)と、一方端部の開口(図示せず)から外水相(W2)が供給され、他方端部の開口(図示せず)から膜乳化で形成された液滴を含んだ外水相(つまりW1/O/W2エマルション)が排出される、外水相の流れが生じる連続相20cとにより、二次乳化部20を構成することができる。このような二次乳化部としては、たとえばマイクロチャネル乳化(EP3-0610 イーピ
ーテック社)、SPG膜乳化(高速ミニキット KH-125 SPGテクノ社)のような製品を
用いることができる。
【0044】
二次乳化部20の構成部材の形態(マイクロチャネル基板のテラス長、チャネル深さおよびチャネル幅、あるいはSPG膜の細孔径など)は、W1/O/W2エマルションの調製速度や液滴のサイズが適切なものとなるよう適宜調整することができる。SPG膜を用いる場合、その細孔径は通常0.1〜100μm、好ましくは0.1〜5.0μmである。
【0045】
二次乳化部20の連続相20cの上流側には、外水相(W2)を連続的に供給するための貯蔵容器25および供給路が連結される。当該供給路は、たとえば、所定の部材(図示せず)により溶媒除去部30の減圧度、W1/O/W2エマルションの送液圧力等を検知し、外水相(W2)の連続相20cへの供給速度が一定になるよう制御する流量調整弁のような、供給制御手段40を備えることが望ましい。
【0046】
一方、二次乳化部20の連続相20cの下流側には、調製されたW1/O/W2エマルションを二次乳化部20から排出して溶媒除去部30に供給するため、二次乳化部20と溶媒除去部30とを連結する導管(W1/O/W2エマルション導管)が設けられる。この導管は、たとえば、溶媒除去部30の減圧度およびW1/O/W2エマルションの送液圧力を検知する部材(図示せず)、およびその検知結果に基づいてW1/O/W2エマルションの溶媒除去部30への供給速度を一定に制御する処理機能を有する部材(図示せず)を含む、流量調整弁のような供給制御手段40を備えることが望ましい。なお、後述するような溶媒除去部の減圧を利用してW1/O/W2エマルションを溶媒除去部に供給する場合は、ポンプのような能動的に送液する手段をW1/O/W2エマルション導管の途
中に設ける必要はない。
【0047】
(二段階乳化ユニット)
一次乳化部および二次乳化部は、それぞれ別個のユニットにより形成されていても、両者が一体的となったユニット(二段階乳化ユニット)で形成されていてもよい。
【0048】
たとえば、一次乳化工程を撹拌乳化法により行い、二次乳化工程は膜乳化法により行うなど、二つの乳化方法が異なる場合は、通常、図1に示したように、(撹拌乳化法用の)一次乳化部10のユニットと、(膜乳化法用の)二次乳化部20のユニットは互いに独立しており、一次乳化部10で調製されたW1/Oエマルションを二次乳化部20に供給するための導管が両者を連結する態様をとる。この場合、導管の途中には、必要に応じてW1/Oエマルションの供給制御手段40(ポンプ、弁、W1/Oエマルションの貯留容器など)が備えられていてもよい。
【0049】
一方、一次乳化工程および二次乳化工程どちらも膜乳化法により行うなど、二つの乳化方法が同じまたは一体化可能なものである場合は、前掲の特許文献1に記載されたマイクロチャネル基盤のように、一次乳化工程で調製されたW1/Oエマルションが即二次乳化工程に供給されるようなユニット内に、一次乳化部および二次乳化部が存在する態様をとることもできる。
【0050】
(溶媒除去部)
二次乳化部で調製されたW1/O/W2エマルションの連続的な供給を受けながら、W1/O/W2エマルションから油相の有機溶媒を除去してリポソームを連続的に形成させるための溶媒除去部30は、公知の各種の溶媒除去(回収)用の装置・機器類その他適切な手段を用いて構成することができる。たとえば、図1に示したように、内部を減圧することのできるチャンバー30a、チャンバー内部でW1/O/W2エマルションから蒸発した有機溶媒を回収するための有機溶媒凝縮装置、冷媒循環装置などからなる溶媒回収装置30b、チャンバー内部を減圧し、有機溶媒を溶媒回収装置に吸引させるためのポンプ等の減圧装置30c、チャンバー30a内に設置され、W1/O/W2エマルションから有機溶媒を蒸発させて連続的にリポソームを製造するための溶媒除去流路30d、および溶媒除去流路30dの末端に設置され、当該流路を流下し終えたリポソーム分散液を回収するためのリポソーム分散液受容器30eを用いて、溶媒除去部30を構成することができる。なお、上記のようなチャンバー30aと溶媒回収装置30bとが一体的に形成されている溶媒除去装置を用いてもよい。
【0051】
溶媒除去流路30dとしては、たとえば、ガラス、プラスチック等の素材で形成された、上面開放型(溝型)の流路が好ましい。流路の形態(断面形状およびサイズ、流路形状、流路長、傾斜等)は、後述する減圧、加熱の条件等も考慮しながら、導入されたW1/O/W2エマルションが溶媒除去流路30dを流下し終えるまでに溶媒が除去されリポソームが形成されるよう、適宜調整することができる。一般的に、溶媒除去流路30dの断面のサイズが小さい方が、熱交換効率がよく、有機溶媒を効率的に蒸発させることができる傾向にある。たとえば、断面形状が半円形または矩形であり、0.5〜3.0時間をかけてW1/O/W2エマルションが流下し終えるような流路が、本発明の溶媒除去流路30dとして好ましい。
【0052】
本発明の製造方法の説明において前述したように、本発明では溶媒除去部の減圧を利用して(能動的な供給手段を用いることなく)、二次乳化工程で調製されたW1/O/W2エマルションを溶液除去部に連続的に供給することができる。したがって、本発明の溶媒除去部は、溶媒除去の促進のために利用されるとともに、そのような連続的な供給のために利用することのできる減圧装置(ポンプ等)を備えることが望ましい。さらに必要に応
じて、溶媒除去部はチャンバー内部または溶媒除去流路を直接的に加熱するための加熱手段を備えていてもよい。
【0053】
(その他の構成部材)
本発明の製造方法において、必要に応じて用いられるその他の工程として挙げられた整粒工程を行うための手段としては、たとえば、ポリカーボネート膜またはセルロース膜(孔径0.1〜0.4μm)をフィルターとして装着した静圧式押出し装置(日油リポソーム社製「エクストルーダー」、野村マイクロサイエンス社製「リポナイザー」など)を用いることができる。また、乾燥粉末化工程を行うための手段としては、公知の各種の乾燥装置、好ましくは凍結乾燥装置を用いることができる。
【0054】
− 製造原料、リポソームの形態および用途 −
・混合脂質成分(F1)・(F2)
一次乳化工程で用いる混合脂質成分(F1)は主としてリポソームの脂質二重膜の内膜を構成し、二次乳化工程で用いる混合脂質成分(F2)は主として外膜を構成する。混合脂質成分(F1)および(F2)は、同一の組成であっても、異なる組成であってもよい。
【0055】
これらの混合脂質成分の配合組成は特に限定されるものではなく、リポソームの製造用に用いられる各種の混合脂質成分を用いることができるが、一般的には、リン脂質(動植物由来のレシチン;ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン(DPPS)、ホスファチジルグリセロール(DPPG)、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸またはそれらの脂肪酸エステルであるグリセロリン脂質;スフィンゴリン脂質;これらの誘導体等)と、脂質膜の安定化に寄与するステロール類(コレステロール、フィトステロール、エルゴステロール、これらの誘導体等)とを中心に構成され、さらに糖脂質、グリコール、脂肪族アミン、長鎖脂肪酸(オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等)、その他各種の機能性を賦与する化合物が配合されていてもよい。本発明では、上記リン脂質としてジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)等の中性リン脂質が慣用される。また、F2にはPEG化リン脂質などDDSとしての機能性の付与に必要な脂質成分を含むことで、リポソーム表面に効率的な修飾が可能となる。混合脂質成分の配合比は、脂質膜の安定性やリポソームの生体内での挙動などの性状を考慮しながら、用途に応じて適切に調整すればよい。
【0056】
・内水相(W1)、外水相(W2)、油相(O)
内水相(W1)および外水相(W2)としては、水および必要に応じて水と混合する他の溶媒からなる水性溶媒に、必要に応じて浸透圧調整のための塩類・糖類、pH調整のための緩衝液、その他の機能性成分(たとえば分散安定剤)などが添加された水溶液が用いられる。一方、油相(O)としては、水性溶媒と混合しない有機溶媒(ヘキサン、クロロホルム等)に、必要に応じて各種の機能性成分が添加された有機溶液が用いられる。たとえば、ヘキサンを主成分(50体積%以上)とする有機溶媒は、得られるナノサイズのW1/Oエマルションの単分散性が良好であるため好ましい。
【0057】
内水相(W1)のpHは通常3〜10の範囲であり、混合脂質成分に応じて好ましい範囲に調整することができる。たとえば、混合脂質成分にオレイン酸あるいはDPPGsを用いる場合、pHは6〜8.5とすることが好ましい。pHの調整には適切な緩衝液を用いればよい。
【0058】
・内包させるべき物質
本発明において、リポソームに内包させるべき物質(薬剤類と総称する)は特に限定されるものではなく、リポソームの用途に応じて医薬品、化粧品、食品などの分野で知られ
ている各種の物質を用いることができる。
【0059】
薬剤類のうち医療用の水溶性のものとしては、たとえば、造影剤(X線造影用の非イオン性ヨード化合物、MRI造影用のガドリニウムとキレート化剤とからなる錯体等)、抗がん剤(アドリアマイシン、ビラルビシン、ビンクリスチン、タキソール、シスプラチン、マイトマイシン、5−フルオロウラシル、イリノテカン、エストラサイト、エピルビシン、カルボプラチン、イントロン、ジェムザール、メソトレキセート、シタラビン、アイソボリン、テガフール、シスプラチン、エトポシド、トポテシン、ビラルビシン、ネダプラチン、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド、テスパミン、ニムスチン、ラニムスチン、ダカルバチン、エノシタビン、フルダラビン、ペントスタチン、クラドリビン、ダウノマイシン、アクラルビシン、イビルビシン、アムルビシン、アクチノマイシン、タキソテール、トラスツブマブ、リツキシマブ、ゲムツズマブ、レンチナン、シゾフィラン、インターフェロン、インターロイキン、アスパラギナーゼ、ホスフェストロール、ブスルファン、ボルテゾミブ、アリムタ、ベバシズマブ、ネララビン、セツキシマブ等)、抗菌剤(マクロライド系抗生物質、ケトライド系抗生物質、セファロスポリン系抗生物質、オキサセフェム系抗生物質、ペニシリン系抗生物質、ベータラクタマーゼ配合剤、アミノグリコシド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ホスホマイシン系抗生物質、カルバペネム系抗生物質、ペネム系抗生物質)、MRSA・VRE・PRSP感染症治療剤、ポ
リエン系抗真菌剤、ピリミジン系抗真菌剤、アゾール系抗真菌剤、キャンディン系抗真菌剤、ニューキノロン系合成抗菌剤、抗酸化性剤、抗炎症剤、血行促進剤、美白剤、肌荒れ防止剤、老化防止剤、発毛促進性剤、保湿剤、ホルモン剤、ビタミン類、核酸(DNAもしくはRNAのセンス鎖もしくはアンチセンス鎖、プラスミド、ベクター、mRNA、siRNA等)、タンパク質(酵素、抗体、ペプチド等)、ワクチン製剤(破傷風などのトキソイドを抗原とするもの;ジフテリア、日本脳炎、ポリオ、風疹、おたふくかぜ、肝炎などのウイルスを抗原とするもの;DNAまたはRNAワクチン等)などの薬理的作用を有する物質や、色素・蛍光色素、キレート化剤、安定化剤、保存剤などの製薬助剤が挙げられる。
【0060】
なお、水溶性の薬剤類をリポソームに内包させる方法としては、(i)一次乳化工程の内水相(W1)に水溶性薬剤類をあらかじめ溶解または懸濁させておき、溶媒除去工程終了時点で当該水溶性薬剤類を内包するリポソームが得られるようにする方法、および(ii)水溶性薬剤類を内包しない空のリポソームを製造した後に、その空のリポソームの水性分散液に水溶性薬剤類を添加するか、あるいは空のリポソームを一旦乾燥粉末化し、それを水性溶媒に再分散させる際に水溶性薬剤類を添加、撹拌することにより、リポソームに水溶性薬剤類を取り込ませる方法があり、いずれを用いることもできる。また、脂溶性の薬剤類も、上記(i)に準じて一次乳化工程の油相(O)にあらかじめ溶解または懸濁させておく方法、上記(ii)のように空のリポソームの水性分散液に添加、撹拌する方法により、リポソーム(脂質二重膜中)に内包させることができる。
【0061】
・分散安定剤
本発明では、必要に応じて二次乳化工程の外水相に分散安定剤を配合してもよい。分散安定剤としては、従来用いられているカゼインナトリウムなどの物質を用いてもよいが、自己による分子集合体を形成しない分散安定剤または自己による分子集合体を形成するがその体積平均粒径が10nm以下である分散安定剤(以下「特定分散安定剤」という。)用いることが好ましい。このような特定分散安定剤は、薬剤類の内包率の向上および単核リポソームの効率的な形成に寄与するとともに、得られたリポソーム分散液から容易に分離除去することができる。
【0062】
なお、「自己による分子集合体を形成しない分散剤」を含有する外水相とは、濃度をいくら高めても分子集合体(典型的にはミセル)を形成することのない物質が分散剤として
外水相に配合されている場合、および一定の濃度以上で分子集合体を形成する物質(典型的には臨界ミセル濃度を有する界面活性剤)がそれに達しない濃度で分散剤として外水相に配合されている場合、これら両方の場合を指す。また、「自己による分子集合体を形成するがその体積平均粒径が10nm以下である分散剤」を含有する外水相とは、分子集合体を形成しうるもののその体積平均粒径が10nm以下である物質が分散剤として外水相に配合された場合を指す。
【0063】
特定分散安定剤は作用の面から大きく2つのタイプに分類することもできると考えられる。一つは、多糖類のように、一次乳化物(W1/O)と外水相(W2)の界面への配向性が比較的小さいため外水相(W2)全体に分布し、W1/O/W2同士がくっつかないようにすることでリポソームを安定化する作用を有するものである。もう一つは、タンパク質や非イオン性界面活性剤のように、W1/O/W2エマルションの界面への配向性が比較的高く、保護コロイドのようにエマルションを取り囲むことで安定化する作用を有するものである。
【0064】
W1/O/W2同士が合一して粒径が大きくなると、液中乾燥法等による溶媒除去が不均一になり内包薬剤が漏れ出しやすくなるなど、リポソームが不安定化してしまうが、特定分散安定剤はそのような不安定化を抑制することができ、単核リポソームの形成効率および薬剤の内包率の向上に寄与する。また、W1/O/W2エマルションの界面に特定分散安定剤が配向すれば、溶媒の除去にともないリポソームが形成されてゆく際に個々のリポソームが解けやすくなり、やはり単核リポソームの形成効率および薬剤の内包率の向上に寄与する。
【0065】
特定分散安定剤は上記のようにリポソーム形成の際に所定の機能を果たすが、水和能を持つリン脂質を中心として構成される混合脂質成分は自己組織能力を有するため、リポソーム形成後は分散剤がなくても分散状態を維持することができる。
【0066】
特定分散安定剤としては、代表的には、タンパク質、多糖類および非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、特定分散安定剤としての所定の機能を有するその他の物質を用いてもよい。なお、特定分散安定剤がこれまでに医薬品等における添加物として認可されている(体内に投与しても人体に重大な影響を及ぼさないことが保証されている)物質であれば、濾過工程によっても一部がリポソーム分散液中に残存したとしても臨床上実質的な問題はない。
【0067】
上記タンパク質としては、たとえばゼラチン(コラーゲンを加熱により変性させた可溶性のタンパク質)やアルブミンが挙げられる。ゼラチンは通常、数千〜数百万の分子量分布を有するが、たとえば重量平均分子量が5千〜10万であるものが好ましい。医療用ないし食品用として市販されているゼラチンを用いることができる。アルブミンには、卵アルブミン(分子量約45000)、血清アルブミン(分子量約66000…ウシ血清アルブミン)、乳アルブミン(分子量約14000…α−ラクトアルブミン)などが含まれ、たとえば卵アルブミンである乾燥脱糖卵白が好ましい。
【0068】
上記多糖類としては、デキストラン、デンプン、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、キトサン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガムなどが挙げられ、たとえば重量平均分子量が1万〜10万のデキストランが好ましい。
【0069】
上記非イオン性界面活性剤としてはポリアルキレングリコール系の化合物、たとえば「Tween 80」(東京化成工業株式会社,ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート,分子量1309.68)や「Pluronic F-68」(BASF、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピ
レン(30)グリコール、数平均分子量9600)などの製品や、重量平均分子量が1000〜8000のポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0070】
特定分散安定剤が外水相中で己による分子集合体を形成しているか否か、または形成されている分子集合体の体積平均粒径が10nm以下であるかどうか(つまり、外水相に添加した物質が特定分散安定剤としての要件を満たしているか否か)は、たとえば動的光散乱式の粒度分布計や、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた凍結割断法などにより確認することが可能である。
【0071】
特定分散安定剤の外水相への添加量(特定分散安定剤の濃度)は、種類に応じて適切な範囲で調整すればよい。ある濃度で自己による分子集合体(体積平均粒径が10nmを超えるもの)を形成する物質を特定分散安定剤として添加する場合、添加量はその濃度に達しない範囲で調節される。また、特定分散安定剤の種類によっては、濃度が高すぎると粒度分布系による測定に支障をきたすこともあるので、そのような支障をきたさない低めの範囲で濃度を調整することが好ましい。
【0072】
リポソームと特定分散安定剤を濾過工程により分離することを考慮すれば、特定分散安定剤の自己による分子集合体ないしそれらの集合物の体積平均粒径はリポソームの体積平均粒径の1/10以下が好ましく、1/100以下がより好ましい。
【0073】
特定分散安定剤の分子量は、小さすぎると脂質膜中に混入しやすくなってリポソームの形成を阻害するおそれがあり、逆に大きすぎるとW1/O/W2エマルションの外水相中への分散や界面への配向の速度が遅れてリポソームの合一や多胞リポソームの形成につながるおそれがある。そのため、特定分散安定剤の重量平均分子量は1,000〜100,000の範囲内にあることが好ましい。
【0074】
・リポソームの形態および用途
本発明の製造方法または製造装置(必要により整粒工程または整粒装置を用いてもよい)により最終的に製造されるリポソームの形態や用途は特に限定されるものではないが、たとえば医療用のリポソーム製剤として用いる場合は、体積平均粒径は好ましくは50〜1,000nmであり、より好ましくは50〜300nmである。このようなサイズのリポソームは、毛細血管を閉塞するおそれがほとんどなく、またがん組織近辺の血管にできる間隙を通過することもできるため、医薬品等として人体に投与されて使用する上で好都合である。
【実施例】
【0075】
(粒度分布の測定方法)
以下に述べる実施例および比較例の一次乳化工程で得られたW1/Oエマルションの平均粒径およびCV値は、下記の方法に従って測定した。
【0076】
W1/Oエマルションをジクロロメタン/ヘキサン混合溶媒(体積比:4/6、内水相と比重を同じくした)で10倍に希釈し、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計(UPA−EX150、日機装株式会社)を用いて粒度分布を測定し、これに基づき平均粒径およびCV値(=(標準偏差/平均粒径)×100[%])を算出した。
【0077】
実施例1
(一次乳化工程によるW1/Oエマルションの製造)
ホスファチジルコリン含量が95%である卵黄レシチン「COATSOME NC-50」(日油株式会社)0.3g、コレステロール(Chol)0.152gおよびオレイン酸(OA)0.108gを含むヘキサン15mLを有機溶媒相(O)とし、カルセイン(0.4mM)を含む
トリス−塩酸緩衝液(pH8、50mmol/L)5mLを内水相用の水分散相(W1)とした。50mLのコック付きビーカーにこれらの混合液を入れ、直径20mmのプローブをセットした超音波分散装置(UH−600S、株式会社エスエムテー)により、25℃にて15分間超音波を照射し(出力5.5)、乳化処理を行った。上記方法に従って測定したところ、この一次乳化工程で得られたW1/Oエマルションは平均粒径約220nmの単分散W/Oエマルションであることが確認され、CV値は33%であった。
【0078】
(二次乳化工程によるW1/O/W2エマルションの製造および溶媒留去)
続いて、上記一次乳化工程により得られたW1/Oエマルションの入った50mLのコック付きビーカーのコックを開き、医療用エクステンションチューブX2-25で接続された
実験用クロスフロー型マイクロチャネル乳化装置モジュールへ、得られた分散相を移送できるようセットした。モジュール出口に接続されたラインを移動相(外水相)で満たし、ラインの入り口から移動相が供給され、ラインの出口を桐山ロート用吸引鐘様の容器にチューブで接続し、チューブの先を吸引鐘様の容器の中まで導入してらせん形の傾斜スライダー状流路に接続した。吸引鐘様の容器の上部に取り付けられたコックに接続された減圧装置(ダイアフラムポンプ:DIVAC 0.6L、東京理化機械)で容器内を減圧にし、分散相がマイクロチャネルを通過し、移動相が吸引鐘様の容器へと吸引されるよう、バルブを調整した。移動相のライン中に生成したW1/O/W2エマルションが、吸引鐘様の容器中に導入され、スライダー状流路を通過して、回収ビンに落下するのに要する時間が15分になる様にスライダー状流路の長さと傾斜を設定し、回収ビンにリポソーム懸濁液を回収した。このときの減圧度は750 mmHgに設定し、3時間減圧した後に減圧を解除して、回収ビ
ンを取り出した。この結果、微細なリポソーム粒子の懸濁液が得られ、この粒子内にはカルセインが含まれていることが確認された。
【0079】
上記モジュールのマイクロチャネル基板はシリコン製であり、マイクロチャネル基板のテラス長、チャネル深さおよびチャネル幅はそれぞれ約60μm、約11μmおよび約16μmであった。上記マイクロチャネル基板にガラス板を圧着させてチャネルを形成し、このチャネルの出口側に外水相溶液(W2)であるトリス−塩酸緩衝液(pH8、50mmol/L)を満たして製造した。
【0080】
実施例2
外水相溶液(W2)であるトリス−塩酸緩衝液(pH8、50mmol/L)を、3%のアルカリ処理ゼラチン(等電点約5)を含むトリス−塩酸緩衝液(pH8、50mmol/L)に変更した以外は、実施例1と同様にしてリポソーム懸濁液を回収した。
【0081】
比較例1
(一次乳化工程によるW1/Oエマルションの製造)
実施例1と同様に、W1/Oエマルションを製造した。
【0082】
(二次乳化工程によるW1/O/W2エマルションの製造)
続いて、上記一次乳化工程により得られたW1/Oエマルションを分散相とし、実験用クロスフロー型マイクロチャネル乳化装置モジュールを使用して、マイクロチャネル乳化法によるW1/O/W2エマルションの製造を行った。
【0083】
上記モジュールのマイクロチャネル基板はシリコン製であり、マイクロチャネル基板のテラス長、チャネル深さおよびチャネル幅はそれぞれ約60μm、約11μmおよび約16μmであった。上記マイクロチャネル基板にガラス板を圧着させてチャネルを形成し、このチャネルの出口側に外水相溶液(W2)であるトリス−塩酸緩衝液(pH8、50mmol/L)を満たしておき、チャネルの入口側から前記W1/Oエマルションを供給して、W1/O/W2エマルションを製造した。
【0084】
(有機溶媒相の除去によるリポソームの製造)
次に、上記W1/O/W2エマルションを蓋のない開放ガラス製容器に移し替え、常圧(760mmHg)で室温下で約20時間、撹拌子により撹拌し、ヘキサンを揮発させた。微細
なリポソーム粒子の懸濁液は得られず、凝集状態が光学顕微鏡で観察された。
【0085】
比較例2
外水相溶液(W2)であるトリス−塩酸緩衝液(pH8、50mmol/L)を、3%のアルカリ処理ゼラチン(等電点約5)を含むトリス−塩酸緩衝液(pH8、50mmol/L)に変更した以外は、比較例1と同様にしてリポソーム懸濁液を回収した。微細な
リポソーム粒子の懸濁液が得られ、この粒子内にはカルセインが含まれていることが確認された。
【0086】
(内包率の評価)
上記実施例および比較例で得られたリポソームの内包率を、下記の方法に従って測定した(結果は表1)。
【0087】
リポソーム水溶液(3mL)全体の蛍光強度(Ftotal)を分光光度計(U−3310
、日本分光株式会社)により測定した。次に0.01M,CoCl2トリス塩酸緩衝液3
0μLを加えて外水相に漏出したカルセインの蛍光をCo2+により消光することで、ベシクル内の蛍光強度(Fin)を測定した。さらに、カルセインを加えないでサンプルと同じ条件でベシクルを作製し、脂質自身が発する蛍光(Fl)を測定した。内包率は下記式よ
り算出した;
内包率E(%) = (Fin−Fl)/(Ftotal−Fl)×100
(ミクロンサイズの凝集状粒子の数の観察方法)
上記実施例および比較例で得られたリポソーム分散液に残るミクロンサイズの粒子の数を、光学顕微鏡で観察することにより評価した(結果は表1)。
【0088】
(考察)
比較例1では分散安定剤を使用せずにリポソーム製造をこころみたが、(W1/O/W2エマルションの製造)および(有機溶媒相の除去によるリポソームの製造)の工程の乳化状態が悪く、光学顕微鏡による観察で大きな凝集塊および10μm程度の凝集塊(多包リポソーム)が多数見られた。一方、比較例2では分散安定剤にアルカリ処理ゼラチンを使用することで乳化状態が改善し、光学顕微鏡による観察で大きな凝集塊は見つからず、目視では確認できないナノ粒子が得られていたが、実施例2と比較すると、CV値がやや高く、内包率がやや低かった。
【0089】
実施例1では分散安定剤を使用せずにリポソーム製造をこころみたが、比較例1で見られた10μm程度の凝集塊(多包リポソーム)が少し光学顕微鏡によって観察されるのみで、加えて(W1/O/W2エマルションの製造)および(有機溶媒相の除去によるリポソームの製造)の工程の乳化状態は良好であった。実施例2ではフロー製造工程で分散安定剤も添加したところ、実施例1と同等の結果であった。これらの結果から、フロー製造工程は分散安定剤を使用せずとも、凝集塊をほとんど含まず、CV値が低く内包率が高い良質のリポソームを製造できる実用的な製造方法となりうる、と考察できる。
【0090】
【表1】

【符号の説明】
【0091】
1 リポソーム製造装置
10 一次乳化部
20 二次乳化部
20a 分散相
20b 乳化膜
20c 連続相
25 外水相貯蔵容器
30 溶媒除去部
30a チャンバー
30b 溶媒回収装置
30c 減圧装置(ポンプ)
30d 溶媒除去流路
30e リポソーム分散液受容器
40 供給制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内水相(W1)および油相(O)をリポソーム用混合脂質成分(F1)を用いて乳化しW1/Oエマルションを調製する一次乳化工程と、
前記一次乳化工程で調製されたW1/Oエマルションおよび外水相(W2)をリポソーム用混合脂質成分(F2)を用いて乳化しW1/O/W2エマルションを調製する二次乳化工程と、
前記二次乳化工程で調製されたW1/O/W2エマルションから油相(O)の有機溶媒を除去してリポソームを形成させる溶媒除去工程とを含むリポソームの製造方法であって、
前記溶媒除去工程は、前記二次乳化工程で調製されたW1/O/W2エマルションの連続的な供給を受けて、リポソームを連続的に製造するものであることを特徴とする、リポソームの連続的な製造方法。
【請求項2】
前記溶媒除去工程におけるリポソームの連続的な製造が、W1/O/W2エマルションを溶媒除去流路に導入し、そこを流下させながら有機溶媒を蒸発させ、溶媒除去流路末端に到達するまでにリポソームを形成させることによりなされるものである、請求項1に記載のリポソームの製造方法。
【請求項3】
前記二次乳化工程で調製されたW1/O/W2エマルションの溶媒除去工程への連続的な供給が、溶媒除去工程を減圧下で行うことによりなされるものである、請求項1または2に記載のリポソームの製造方法。
【請求項4】
前記二次乳化工程で調製されたW1/O/W2エマルションの溶媒除去工程への連続的な供給が、溶媒除去工程における減圧度およびW1/O/W2エマルションの送液圧力を検知した結果に基づいて、一定の速度でなされるように制御されるものである、請求項1〜3のいずれかに記載のリポソームの製造方法。
【請求項5】
前記二次乳化工程における乳化法が膜乳化法である、請求項1〜4のいずれかに記載のリポソームの製造方法。
【請求項6】
前記膜乳化法がマイクロチャネル乳化法またはSPG膜を用いた乳化法である、請求項5に記載のリポソームの製造方法。
【請求項7】
前記一次乳化工程における乳化法が撹拌乳化法である、請求項1〜6のいずれかに記載のリポソームの製造方法。
【請求項8】
前記溶媒除去工程が750〜180mmHgの減圧下で行われる、請求項1〜7のいずれかに記載のリポソームの製造方法。
【請求項9】
前記一次乳化工程がさらにリポソームに内包させるべき物質を添加した上で行われる、請求項1〜8のいずれかに記載のリポソームの製造方法。
【請求項10】
前記二次乳化工程における外水相(W2)が分散安定剤を含有する、請求項1〜9のいずれかに記載のリポソームの製造方法。
【請求項11】
前記分散安定剤が、自己による分子集合体を形成しない分散安定剤または自己による分子集合体を形成するがその分子集合体の体積平均粒径が10nm以下である分散安定剤である、請求項10に記載のリポソームの製造方法。
【請求項12】
内水相(W1)および油相(O)をリポソーム用混合脂質成分(F1)を用いて乳化しW1/Oエマルションを調製する一次乳化部と、
前記一次乳化部で調製されたW1/Oエマルションおよび外水相(W2)をリポソーム用混合脂質成分(F2)を用いて乳化しW1/O/W2エマルションを調製する二次乳化部と、
前記二次乳化部で調製されたW1/O/W2エマルションから油相(O)の有機溶媒を除去してリポソームを形成させる溶媒除去部を含むリポソームの製造装置であって、
前記溶媒除去部は、前記二次乳化部で調製されたW1/O/W2エマルションの連続的な供給を受けて、リポソームを連続的に製造するものであることを特徴とする、リポソームの製造装置。
【請求項13】
前記溶媒除去部におけるリポソームの連続的な製造のために、W1/O/W2エマルションを導入して流下させながら有機溶媒を蒸発させる溶媒除去流路を備える、請求項12に記載のリポソームの製造装置。
【請求項14】
前記溶媒除去部は減圧装置を備え、前記減圧装置を用いて前記二次乳化部で調製されたW1/O/W2エマルションの前記溶媒除去部への連続的な供給を行う、請求項12または13に記載のリポソームの製造装置。
【請求項15】
前記二次乳化部で調製されたW1/O/W2エマルションの前記溶媒除去部への連続的な供給のために、前記溶媒除去部における減圧度およびW1/O/W2エマルションの送液圧力を検知する部材およびその検知結果に基づいて供給速度を一定に制御する部材を含む供給制御手段を備える、請求項12〜14のいずれかに記載のリポソームの製造装置。
【請求項16】
前記二次乳化部における乳化法が膜乳化法である、請求項12〜15のいずれかに記載のリポソームの製造方法。
【請求項17】
前記膜乳化法がマイクロチャネル乳化法またはSPG膜を用いた乳化法である、請求項16に記載のリポソームの製造装置。
【請求項18】
前記一次乳化部における乳化法が撹拌乳化法である、請求項12〜17のいずれかに記載のリポソームの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−104572(P2011−104572A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265652(P2009−265652)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】