説明

リモートコントローラ及びそれを備えた空気調和機

【課題】安全でかつ電池の長寿命化が可能なリモートコントローラを提供する。
【解決手段】太陽電池と、太陽電池が発電した電力を蓄電し、負荷に電力を供給する二次電池と、負荷に電力を供給する一次電池と、一次電池に接続され、一次電池と二次電池との電位差で開閉する開閉器と、を備え、開閉器を電界効果トランジスタで構成し、電界効果トランジスタのゲートと二次電池の正極側とを逆流防止ダイオードを一個または複数個介して接続し、安全でかつ電池の長寿命化が可能なリモートコントローラを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレスのリモートコントローラ及びそれを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池を搭載し、太陽光エネルギを電気エネルギに変換して内蔵の二次電池に充電し電源として利用する技術は、多くの分野の装置について開示されている。特にバックアップ電源を用いて、この二次電池の充電電力が減少した際の機器の使用を可能としたこの種の技術として以下のものが開示されている。
【0003】
特許文献1には、バックアップ用一次電池にショットキーバリアダイオードを接続し、一次電池と並列に抵抗を接続したことにより、一次電池への流入電流を少なくしたバックアップ電源装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、リセットICおよびスイッチング回路を用いて、バックアップ電池の出力を制御する方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、二次電池と一次電池を併用してバックアップ回路を構成し、一次電池の出力が低下した際に一次電池をショートさせてヒューズ4を溶断することで、一次電池をオープンして充電を防ぐ方式が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、商用電源を整流して負荷に供給する電源において、一次電池または二次電池を内蔵する電池パックを搭載することで、停電時であっても電力を供給し続けることのできる電源が開示されている。
【0007】
また、特許文献5には、本体に使用者が交換して使用する電池と、この電池により充電される内蔵充電電池を設けることで電源のバックアップを行い、本体に設けられたスイッチによって電源の切り替えを行う構成としたリモートコントローラが開示されている。
【0008】
また、特許文献6には、太陽電池などの電池と外部電池を併用し、太陽電池等の内蔵電池は第1のダイオードを介し制御回路に接続され、外部電池は第1のダイオードを介し制御回路に接続され、制御回路へ電力を供給するリモートコントローラが開示されている。
【0009】
また、特許文献7には、バックアップの一次電池と、電源からの電圧が所定値以下となったことに応じてバックアップの一次電池を接続し、それ以外は切り離す開閉手段を設けることで、メイン電源からの電力供給ができなくなった場合であっても一次電池から電力を供給する方法が示されている。
【0010】
また、特許文献8には、主電源の他にバックアップ電池を有し、逆流防止ダイオードを介して負荷に電力を供給し、バックアップ電池に並列に逆流防止ダイオードと同一のダイオードを接続することによって、漏れ電流によるバックアップ電池への充電を防止することのできる電源が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−242396号公報
【特許文献2】特開平4−133630号公報
【特許文献3】特開平7−154922号公報
【特許文献4】特開平8−182325号公報
【特許文献5】特開平7−143573号公報
【特許文献6】特開平4−325840号公報
【特許文献7】特開平3−173326号公報
【特許文献8】特開平8−280141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
現在環境意識の高まりから、リモートコントローラにおいても太陽電池による発電電力を二次電池に充電して、電池寿命を延ばす機能が求められている。
【0013】
特に空気調和機のように操作対象の機器に操作ボタンがなく、リモートコントローラによってのみ操作対象の機器の操作が可能である場合において、リモートコントローラの電源を内蔵の二次電池としたとき、二次電池が放電してしまうと、二次電池の充電が終了するまでリモートコントローラを使用することができないだけではなく、空気調和機など操作対象の機器も使用することができないといった問題が発生する。一般に、二次電池の容量が大きくなると充電電流も大きくなるため、リモートコントローラなどに搭載される発電電流の小さい太陽電池によって二次電池を充電する場合、二次電池から十分な出力電圧を得るには長い時間を要することとなる。ここで、二次電池の充電時間を短縮するために小容量の二次電池を使用した場合、十分な出力電圧を得るのに時間を要さないものの、小容量であるためにリモートコントローラの連続使用は難しい。一般に信号の送信時の消費電力が小さい特定小電力電波などを用いたリモートコントローラであっても、リモートコントローラの連続使用によって二次電池の充電がなくなってしまうという点においては同じである。そのため、太陽電池の充電電力を二次電池に充電して主電源として使用するだけでなく、その充電が十分でない場合であっても使用できるリモートコントローラが求められている。
【0014】
特許文献1で開示されているバックアップ電源装置においては、一次電池の両端に抵抗を取り付けたことにより、バックアップ用の一次電池の電力を常にこの抵抗によって消費してしまうことになり、機器が長期間使用されなかった場合、二次電池は自然放電し、一次電池は抵抗により放電してしまうため、機器が使用できないといった問題が発生する。
【0015】
また、特許文献2には、リセットICおよびスイッチング回路を用いたバックアップ電池の出力を制御する回路が開示されているが、インバータ34の駆動電力はバックアップ電池31でまかなっており、通常電源を使用している際でも常にバックアップ電池の電力を消費してしまうため、機器の長期間の使用には不向きであるだけでなく、電源のバックアップ動作時、インバータ34に加えてリセットIC20での電力消費もバックアップ電池でまかなうこととなるため、バックアップ電池31での電力消費は更に大きくなってしまい、電池の寿命が短くなる。また、バックアップ電池31の放電時の、容易な電池交換方法が考慮されていない。
【0016】
また、二次電池と一次電池を併用してバックアップ回路を構成し、一次電池の出力が低下した際にヒューズ4を溶断して一次電池への充電を防ぐ特許文献3で開示されている方法は、一次電池が放電した場合、再び機器の電源のバックアップを行うためには、一次電池の交換だけでなくヒューズを交換する手間がかかってしまうといった問題がある。また出力電圧を検出するために一次電池からR2を介してマイクロコンピュータに接続されているが、実際にはマイクロコンピュータへの入力では常に漏れ電流が発生するため、一次電池の放電が起こってしまうといった問題がある。
【0017】
また、特許文献4で開示されている一次電池または二次電池を内蔵する電池パックを搭載することで電源のバックアップを行う電源装置においても、図3の基準電圧源37で放電電流が発生する。
【0018】
また、特許文献5で開示されているリモートコントローラにおいては、電源の切り替えスイッチがリモートコントローラ本体に設けられており、手動で切替える必要がある。
【0019】
また、特許文献6で開示されているリモートコントローラでは、電池選択部6で使用されている逆流防止ダイオード10,12のみではダイオードの特性上漏れが生じ、充電電流となってしまうため、液漏れ等の可能性がある汎用の乾電池を外部電池4として使用することはできない。そのため外部電池4として使用できる電池は充電可能な二次電池、もしくはある程度充電電流が許容される特殊な電池となり、使用者が容易に入手するにも困難なため、民生用としては不向きである。また、この構成によると、二次電池と外部電池4は直接ダイオード又は負荷と接続されているため、自動的に電位が高い方から電力が供給されるように切り替わることになる。本来であれば、極力二次電池から電力を供給したいため、負荷の最低動作電圧付近で切り替わるように任意の閾値を設けたいが、この構成では外部電池4の電位以下になった時点で自動的に切り替わるため、外部電池4の使用頻度が高くなる。そのため、予備として備えた外部電池4を頻繁に交換しなければならないといった問題が生じる。
【0020】
また、特許文献7で開示されている電源のバックアップ回路においては、リレーr1に加えて、別途リレー4b及び開閉手段4aが必要であるため、部品数が多く、費用及びスペースの増大となる。また、バックアップ用一次電池の開閉器を動作させるために電源の電圧検出回路を使用しているため、電圧検出回路および開閉器において電力を消費する。また、開閉器にはリレーを用いており、一次電池の使用時、開閉器は常に一次電池の電力を消費する。さらに、開閉器の発振を防ぐために電源電圧と一次電池の出力に電圧差をとり、その間に開閉器の閾値を設定する必要があることから、電源のバックアップを行った際、または復帰した際に、電源電圧の変化によって負荷の動作が不安定になる可能性がある。
【0021】
そこで本発明の目的は、安全でかつ電池の長寿命化が可能なリモートコントローラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の目的を達成するために本発明に係るリモートコントローラは、太陽電池と、太陽電池が発電した電力を蓄電し、負荷に電力を供給する二次電池と、負荷に電力を供給する一次電池と、一次電池に接続され、一次電池と二次電池との電位差で開閉する開閉器と、を備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、安全でかつ電池の長寿命化が可能なリモートコントローラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係るリモートコントローラを含む空気調和機の構成図。
【図2】本実施形態に係るリモートコントローラの外観正面図。
【図3】本実施形態に係るリモートコントローラの上部図。
【図4】本実施形態に係るリモートコントローラの外観背面図。
【図5】本実施形態に係るリモートコントローラについて、電池ソケットカバーを外した状態の外観背面図。
【図6】本実施形態に係るリモートコントローラの外観右側面図。
【図7】本実施形態に係るリモートコントローラの側面断面模式図。
【図8】比較例に係るバックアップ電池を備えない、太陽電池を利用したリモートコントローラの回路模式図。
【図9】本実施形態に係るリモートコントローラの回路模式図。
【図10】本実施形態の変形例に係るリモートコントローラについて、外部充電器を接続するための外部充電用端子を設け、内蔵の二次電池を外部から充電可能とし、また負荷遮断スイッチを設けて使用者が任意に負荷を遮断できるようにした構成の回路模式図。
【図11】本実施形態の変形例に係るリモートコントローラについて、内蔵の二次電池のみで駆動し、外部充電器を接続するための外部充電用端子を設け、内蔵の二次電池を充電器で充電可能とし、更に過電圧,過電流を検出した場合、負荷を遮断できる出力開閉器を備えた構成の回路模式図。
【図12】本実施形態の変形例に係るリモートコントローラについて、内蔵の二次電池のみで駆動し、外部充電器を接続するための外部充電用端子を設け、内蔵の二次電池を充電可能とし、更に過電圧,過電流を検出した場合、負荷を遮断できる出力開閉器を備え、また、負荷遮断スイッチを設け、使用者が任意に負荷を遮断できるようにした構成の回路模式図。
【図13】本実施形態の変形例に係るリモートコントローラについて、商用電源からリモートコントローラ内蔵の二次電池を充電可能な内蔵充電器469を備え、また負荷遮断スイッチを設けて使用者が任意に負荷を遮断できるようにした構成の回路模式図。
【図14】本実施形態の変形例に係るリモートコントローラについて、内蔵の二次電池のみで駆動し、内蔵の充電器によって内蔵の二次電池を充電可能とし、更に過電圧,過電流を検出した場合、負荷を遮断できる出力開閉器を備え、また、負荷遮断スイッチを設け、使用者が任意に負荷を遮断できるようにした構成の回路模式図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を
参照しながら詳細に説明する。
【0026】
最初に、本実施形態に係るリモートコントローラ4により操作される空気調和機1の全体構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るリモートコントローラを含む空気調和機の構成図である。室内を空気調和する空気調和機1は、室内に設置される室内機2と、室外に設置される室外機3と、空気調和機1を遠隔操作するリモートコントローラ4と、室内機2と室外機3とを繋ぐ接続配管8とを備える。
【0027】
室内機2は、筐体ベース21の中央部に室内熱交換器(図示せず)と、室内熱交換器の下流側に室内熱交換器の幅と略等しい長さの横流ファン方式の室内送風機(図示せず)と、室内熱交換器で結露した結露水を受ける露受皿(図示せず)とを備える。これらを化粧枠23で覆い、化粧枠23の前面に前面パネル25を取り付けている。化粧枠23には、室内空気を吸い込む空気吸込み口27と、温湿度が調整された空気を吹出す空気吹出し口29とが上下に設けられている。
【0028】
このように室内機2は、空気吸込み口27から吸い込まれた室内空気を室内熱交換器により温湿度を調整し、室内送風機からの吹出し気流を室内送風機の長さに略等しい幅を持つ吹出し風路(図示せず)に流し、吹出し風路途中に配した左右風向板(図示せず)で気流の左右方向を偏向し、更に、空気吹出し口29に配した上下風向板(図示せず)で気流の上下方向を偏向して室内に吹出すことができるようになっている。
【0029】
接続配管8は、室内機2の露受皿の結露水を室内から室外へ排水するドレンホース(図示せず)と、室内機2の室内熱交換器と後述する室外機3の室外熱交換器との間で冷媒を循環させるための2本の冷媒配管(図示せず)と、室内機2から室外機3へ電源を供給する3芯ケーブル(図示せず)とを備え、これらを断熱材で覆い構成される。
【0030】
室外機3は、内部に室外熱交換器(図示せず)を備える。室外機3の室外熱交換器と室内機2の室内熱交換器は、接続配管8の2本の冷媒配管により接続され、冷媒を循環させることにより熱ポンプとして機能する。これにより、空気調和機1は室内の空気を冷房または暖房することが可能となる。
【0031】
加えて、室内機2の化粧枠23には、室内機送受信部231と、室内機表示装置232とを備える。室内機送受信部231はリモートコントローラ4から送信された電波信号または赤外線信号を受信可能であり、空気調和機1の操作をリモートコントローラ4から送信された電波信号または赤外線信号によって行うことができる構成となっている。また、室内機送受信部231はリモートコントローラ4へ電波信号または赤外線信号を送信可能である。室内機表示装置232は、空気調和機1の動作状態を表示する。
【0032】
次に、本実施形態に係るリモートコントローラ4の構成について、赤外線通信方式のリモートコントローラを例に、図2から図7を用いて説明する。図2は、本実施形態に係るリモートコントローラの外観正面図である。リモートコントローラ4は、空気調和機1(図1参照)に操作指示を行うための操作ボタン404と、操作内容を表示する液晶表示画面(以下、LCD(Liquid Crystal Display)と称す)403と、リモートコントローラ4に電源を供給する太陽電池402と、赤外線信号により室内機2(図1参照)と通信するリモートコントローラ送受信部401とを備える。
【0033】
また、リモートコントローラ送受信部401には、室内の空気がリモートコントローラ送受信部401の内部へ通風可能なサーミスタ通風路410が形成される。
【0034】
図3は、本実施形態に係るリモートコントローラの上部図である。なお、リモートコントローラ送受信部401のサーミスタ通風路410が形成された赤外線を透過するカバーを取り外した状態である。
【0035】
リモートコントローラ送受信部401は、室内機2の室内機送受信部231(図1参照)へ向けて赤外線信号を送信する送光ダイオードで構成される信号送信器424と、室内機2の室内機送受信部231からの赤外線信号を受信する信号レシーバ425と、サーミスタ通風路410を介してリモートコントローラ4の周辺の空気温度を検出するリモートコントローラ用室温サーミスタ426とを備える。
【0036】
図4は、本実施形態に係るリモートコントローラの外観背面図であり、図5は本実施形態に係るリモートコントローラについて、電池ソケットカバーを外した状態の外観背面図である。図4に示すように、リモートコントローラ4の背面には、着脱可能な一次電池ソケットカバー411が装着されている。
【0037】
また、図5に示すように、一次電池ソケットカバー411を取り外すと、リモートコントローラ4のバックアップ用一次電池(図示せず)を挿入するための一次電池用ソケット422と、電池と電気的に接続する電池接続端子423とが備えられている。またリモートコントローラ4の負荷を完全に遮断するためのスイッチ421を設けても良い。
【0038】
図6は、本実施形態に係るリモートコントローラの外観右側面図であり、図7は、本実施形態に係るリモートコントローラの側面断面模式図である。図6に示すように、リモートコントローラ4は、背面中央部に指掛け部427が形成される。
【0039】
図7に示すように、リモートコントローラ4に電源を供給するリチウム二次電池431は、リモートコントローラ4の内部に装備され外部から容易に取り出すことができない構造となっている。
【0040】
なお、ここに示すリモートコントローラは一例であり、通信方式として上記に示した赤外線通信方式ではなく、特定小電力電波などの電波通信を利用して信号の通信を行う方式のリモートコントローラにおいても本発明は有効である。電波通信を利用するリモートコントローラにおいては、信号送信器424を信号送信用アンテナ(図示せず)、信号レシーバ425を受信用アンテナ(図示せず)とする。
【0041】
次に、本実施形態に係るリモートコントローラ4の回路構成について、赤外線通信を用いるものを一例に、図8および図9を用いて説明する。図8は、比較例に係るバックアップ電源を備えない太陽電池を電源として用いたリモートコントローラの回路模式図である。
【0042】
図8に示すリモートコントローラの回路は、太陽電池とその発電電力を充電して電源として使用するためのリチウム二次電池431と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと称する)440と、通信回路441と、LCD403からなるリモートコントローラ負荷400と、操作ボタン404とを備える。
【0043】
太陽電池402での発電電力はリチウム二次電池431に充電される。リチウム二次電池431からマイコン440に電力を供給すると共に、マイコン440を介してLCD403および通信回路441へ電力を供給する。
【0044】
マイコン440は、操作ボタン404で操作された空気調和機1の動作指示を電気信号として受け取り、空気調和機1の室内機2へ送信する信号を作成し、通信回路441の信号送信器424(図3参照)から赤外線信号、または電波信号を送信する。また、マイコン440はLCD403に操作された指示が表示される。
【0045】
また、マイコン440は、リモートコントローラ用室温サーミスタ426(図3参照)にて検出したリモートコントローラ4の周辺の空気温度を空気調和機1の室内機2へ送信する信号を作成し、通信回路441の信号送信器424から信号を送信する構成としてもよい。
【0046】
なお、本実施例ではリチウム二次電池を例として取り上げているが、その他充電可能な二次電池をコストや目標設計寿命に合わせて選定可能なことは言うまでも無い。
【0047】
ここで、比較例に係るリモートコントローラ回路にバックアップ電池を実装する際の問題点について、再度明記する。
【0048】
バックアップ用一次電池から逆流防止ダイオードを介して負荷へ接続することで、太陽電池および二次電池の出力電圧が低下した場合にバックアップ電池から負荷へ電力を供給できるようにする方式の場合、バックアップ用一次電池の出力電圧が低下した場合、二次電池とバックアップ用一次電池に電位差が生じることは容易に想像できる。この電位差によって二次電池からバックアップ用一次電池への充電電流が流れることにより、バックアップ用一次電池の安全性の低下や液漏れを誘発する。
【0049】
他に、太陽電池および二次電池の出力電圧が低下した場合に、その電圧を検出してバックアップ電源に接続された開閉器をオンして負荷へ電力を供給する方式も考えられるが、この場合、二次電池の出力電圧検出回路が必要となる。更にその出力をマイコンで処理して開閉器を制御する場合、電圧検出回路およびその出力のマイコン処理,開閉器の制御によって電力を消費してしまうため、リモートコントローラでの消費電力が大きくなってしまう。
【0050】
図9は、本実施形態に係るリモートコントローラの回路模式図である。本実施形態に係るリモートコントローラ4の回路は、比較例に係るリモートコントローラ4の回路(図8参照)に加えて、バックアップ用一次電池432と、その開閉器453を備えたものである。
【0051】
まず、太陽電池402を用いて充電を行うリチウム二次電池431を電源とする、電源供給回路について説明する。太陽電池402の出力電圧は、照度によって変化する。リモートコントローラ4は、通常、室内で使用されることを前提として太陽電池402を設計するため、太陽光のような強い光に当てると太陽電池402の出力電圧が上昇し、マイコン440や回路素子を高電圧により壊すおそれがある。そのため、太陽電池402を供給源とする電源供給回路は、太陽電池402の出力端子にレギュレータ456を配置し、リチウム二次電池431およびマイコン440をはじめとするリモートコントローラ負荷400に供給される電圧の上限値を制限し安全性を確保する回路構成となっている。なお、レギュレータ456の制限電圧は、マイコン440等を壊さない電圧値に設計される。
【0052】
バックアップ用一次電池の開閉器の動作について図9を用いて説明する。開閉器453は、バックアップ用一次電池432の出力をリチウム二次電池431の出力電圧に応じて開閉するように構成される。すなわち、開閉器453は例えばMOS−FETを用いた回路によって構成され、バックアップ用一次電池432とリモートコントローラ負荷400をそれぞれドレイン,ソースに接続し、ゲートは逆流防止ダイオード451を介してリチウム二次電池431に接続される構成である。
【0053】
リチウム二次電池431の出力電圧が高い場合には開閉器453によってバックアップ用一次電池432の出力を遮断しておき、リチウム二次電池431の出力電圧が低下し、その出力電圧と開閉器453のゲート間の電圧が閾値を越えた場合に開閉器453が接続することで、バックアップ用一次電池432の出力を負荷へ供給する。開閉器453の閾値は、リチウム二次電池431の出力と開閉器453のゲート間に接続された、逆流防止ダイオード451のVfによって定まる。そのため、この逆流防止ダイオード451の個数を変更することによって任意の閾値に設定することが可能である。このように、開閉器453の開閉動作にはリチウム二次電池431とバックアップ用一次電池432の電位差を利用することから、各電池の出力検出回路やその比較回路などを必要としないため、部品点数も少なくなる。
【0054】
ここでMOS−FETはゲート電圧によって開閉可能であることから、開閉器453は電圧に閾値を持つため、MOS−FETによって構成することが有効である。これは、MOS−FETがゲート電圧によって動作するためゲート電流を小さくすることが可能で、一次電池の無駄な放電を抑えることができるからである。例えばPチャネルのバイポーラトランジスタによって開閉器453を構成することも可能であるものの、バイポーラトランジスタのhFE特性により、バックアップ用一次電池432からリモートコントローラ負荷400へ十分な出力電流を供給するためには、それに応じたベース電流を流す必要がある。電源のバックアップ動作時、バックアップ用一次電池432はこのベース電流によって常時放電することとなるため、一次電池の寿命は短くなってしまう。つまり、開閉器453をMOS−FETによって構成することで、不要なバックアップ用一次電池432の放電を抑え、電池の長寿命化を実現することができる。
【0055】
開閉器453をMOS−FETで構成する場合、実際にはMOS−FETのゲートとソース間に抵抗器を接続する必要があるため、これについて明記する。ゲートとソース間に抵抗器が接続されることで、ここに電流が流れることとなる。しかしこの電流はバイポーラトランジスタを使用したものなど、他の開閉器に比べて小さい。さらに逆流防止ダイオード451が接続されることにより、逆流防止ダイオード451の両端電圧がそのVfを上回るまでこの電流は一切流れないだけでなく、同時にMOS−FETのゲートとソース間の抵抗器を介してリチウム二次電池431からバックアップ用一次電池へ流れる充電電流は、逆流防止ダイオード451とMOS−FETのゲートとソース間の抵抗器によって抑えられる。逆流防止ダイオードを複数個直列に接続すれば、さらにこの効果は高まる。このように逆流防止ダイオード451の二つの効果により、バックアップ用一次電池432の電力の不要な放電を防ぐことと、充電電流からの保護を両立することができる。
【0056】
一般に、電池の容量の大きい二次電池から十分な出力電圧を得るためには、その容量に応じた充電電流が必要である。本リモートコントローラ4においては、リモートコントローラ本体に室内発電用の太陽電池402を搭載しているため、その発電電流は小さい。また、リチウム二次電池431は大電流での充放電をくり返した場合、電池の寿命が著しく低下することが知られている。そのため電池の長寿命化を実現するためには、極力小電流によって充放電を行い、かつ充放電の回数を少なくする構成とする必要がある。そのため、リチウム二次電池431からリモートコントローラ負荷400の間に、バイパス用ダイオード454と共に電流調整用抵抗器455を接続する。ここで、バイパス用ダイオード454および電流調整用抵抗器455は、バックアップ用一次電池432の出力時にバックアップ用一次電池の電力がMOS−FETのゲートに回りこむことを防止する役割も担う。
【0057】
リモートコントローラ負荷400には、太陽電池402の電力および、リチウム二次電池431の出力電圧、またはバックアップ用一次電池432の出力を蓄電することが可能な電気二重層コンデンサからなる電流吐き出し能力調整用コンデンサ457が接続される。
【0058】
電源から供給される電力を、電流吐き出し能力調整用コンデンサ457へ一時充電してからリモートコントローラ負荷400へ電力を供給するという構成とすることにより、電源出力の急激な変動にも対応することができる。また、リモートコントローラ負荷での電力消費が小さい場合、リチウム二次電池431からの出力電流を調整し、小電流によって電流吐き出し能力調整用コンデンサ457を充電することによって、リモートコントローラ4の使用時の負荷電流増大に備えるという構成である。これにより、リチウム二次電池431は小電流による放電を行うことから、リチウム二次電池431の長寿命化を実現することが可能である。
【0059】
太陽電池402での発電電力は、カーテンの開閉や室内灯の点灯・消灯により室内の照度が変化した場合や、リモートコントローラ4を傾けた場合などに生じる照度の変化により変動する。太陽電池402での発電電力はリチウム二次電池431に充電され、さらにリチウム二次電池431の充電が十分である場合は、その発電電力をリモートコントローラ負荷400へ供給する構成となっている。そのため太陽電池402での発電電力を、電流吐き出し能力調整用コンデンサ457に一時充電してからリモートコントローラ負荷400へ電力を供給する構成とすることで、太陽電池402の出力電圧の変動に対しても電源供給の安定性が向上する。そのため、リモートコントローラ負荷400へ供給する電流が少ない状態においては、太陽電池402の出力電圧が小さい場合であっても、ある一定時間、電流吐き出し能力調整用コンデンサ457に蓄えられた電力でリモートコントローラ負荷400へ電源供給することができる。
【0060】
通信回路441は、信号送信時において瞬間的に大電流を必要とする負荷である。
【0061】
ところで、太陽電池402はリモートコントローラ4の表面に設置されるが(図2参照)、リモートコントローラ4はユーザの利便性を考慮すれば小型であることが望ましく、また、リモートコントローラ4の正面には、操作ボタン404,LCD403が配置される。このため、太陽電池402を配置可能な面積は有限であり、太陽電池402からの充電電流量には限界がある。
【0062】
なおリモートコントローラ4は、操作ボタン404が操作され赤外線信号または電波信号を送信するために大電流を必要とする送信状態と、大電流を必要としないマイコン440やLCD403のみを駆動させている待機状態とに分別される。ここで、リモートコントローラ4は、頻繁に操作されるものではなく、送信状態の期間と比して待機状態の期間の方が長い。
【0063】
そこで、太陽電池402による発電電力でリチウム二次電池431を充電しつつ、待機状態の電力をまかなえるようリモートコントローラ4を設計するとよい。これにより室内の照度が発電に十分である場合には、リモートコントローラ待機状態において、太陽電池402の発電によってリチウム二次電池431の充電を行うと同時に、待機負荷へ電力を供給することでリチウム二次電池431の消費電力を抑え、リモートコントローラ4の長寿命化を達成することができる。
【0064】
更に、LCD403を操作ボタン404の操作から所定時間後消灯する構成とすれば、更なる省電力化と長寿命化を達成することができる。
【0065】
リモートコントローラ4の各状態の電源供給についてそれぞれ説明する。まず、リモートコントローラ4が待機状態であり、かつリチウム二次電池431の出力電圧が十分である場合について説明する。この場合、太陽電池402での発電電力はリチウム二次電池431に充電されると共に、バイパス用ダイオード454および電流調整用抵抗器455を通して、電流吐き出し能力調整用コンデンサ457に一時充電され、そこからリモートコントローラの待機負荷へ電力を供給する。このとき、リチウム二次電池431の両端電圧が高くなっているため開閉器453はオフし、バックアップ用一次電池432の出力は完全に遮断される。これにより太陽電池402での発電が十分である場合、太陽電池402の発電電力でリモートコントローラ4の待機負荷をまかない、リチウム二次電池431およびバックアップ用一次電池432による放電を抑えることが可能で、電池の長寿命化が可能である。
【0066】
次に、リモートコントローラ4が待機状態のまま、リモートコントローラ4の太陽電池402への光の照射が小さく、待機負荷によってリチウム二次電池431の出力電圧が低下していく場合について説明する。
【0067】
MOS−FETを用いた開閉器453のゲート端子は逆流防止ダイオード451を介して二次電池の出力に接続されているため、開閉器453はリチウム二次電池431の出力電圧が低下した際にオンする。開閉器453がオンするときのリチウム二次電池431の出力電圧は、開閉器453のゲートに設けられた逆流防止ダイオード451のVfによって閾値が定められる。このため、開閉器453の開閉動作を行うため電圧検出回路や、それに伴うマイコン440での処理が必要ないことが言える。開閉器453がオンすることによりバックアップ用一次電池432の出力は逆流防止ダイオード467および電流調整用抵抗器468を介して、電流吐き出し能力調整用コンデンサ457に一時充電され、リモートコントローラ負荷400へ電力を供給する。
【0068】
次に、リチウム二次電池431の出力電圧が上昇していく場合について説明する。使用者がリモートコントローラ4を操作する環境下、つまりは一般的な生活環境下においては、少なからず太陽光や照明光といった光源が存在するため、照度が無い、つまり太陽電池での発電が皆無であるということは極めて稀な状況である。そのため一般的な生活環境化においては太陽電池402では少なからず発電が行われることとなる。そしてこの発電電力は、リチウム二次電池431へ充電されることとなる。つまり待機負荷によるリモートコントローラ4の負荷電力をバックアップ用一次電池432でまかない、同時に太陽電池402の発電電力によってリチウム二次電池431を充電する。
【0069】
その後太陽電池402からの充電によってリチウム二次電池431の出力電圧が上昇していくと、開閉器453のゲートに接続された逆流防止ダイオード451のVfによって定められた閾値を超えたとき、開閉器はオフしてバックアップ用一次電池432の出力を遮断する。同時にリモートコントローラ負荷400へリチウム二次電池431および太陽電池402から電力が供給される。
【0070】
次に、リモートコントローラ4が送信状態であり、信号送信中にリチウム二次電池431の出力電圧が低下してしまった場合について説明する。この場合前項で示した通り、リチウム二次電池431の出力電圧低下に伴って開閉器453がオンする。この際、電源が切り替わることから、開閉器453のスイッチングノイズの発生や、リモートコントローラ負荷400へ供給される電圧値が変わってしまう可能性があるものの、電流調整用抵抗器455および、リモートコントローラ負荷400の両端にも容量の大きい電流吐き出し能力調整用コンデンサ457を接続することで、ノイズや突入電流などによる影響を抑えることができるため、マイコン440およびLCD403の挙動が不安定になることもない。これにより、リモートコントローラ4は安定した使用が可能となる。
【0071】
このように、太陽電池402およびリチウム二次電池431を供給源とするとき、リチウム二次電池431の出力電圧が低下し特定の閾値を越えた際に開閉器453が作動してバックアップ用一次電池432からリモートコントローラ負荷400へ電力を供給し、リチウム二次電池431は太陽電池402の発電電力によって充電される。このときそれぞれの電圧を監視するための電圧検出回路を備える必要がないため、回路を簡素化できる。また電圧検出回路は、その電源が負荷に電力を供給しているかどうかに関わらず電力を消費する。そのためリチウム二次電池431およびバックアップ用一次電池432の電圧検出経路を備えない本実施形態に係るリモートコントローラ4は、電圧検出回路を用いる回路と比較してリチウム二次電池431およびバックアップ用一次電池432の長寿命化を実現できる。
【0072】
さらに、リチウム二次電池431の出力電圧が十分である場合は、バックアップ用一次電池432の出力を開閉器453によって完全に遮断することから、バックアップ用一次電池432へ充電してしまう懸念がないため、安全性も確保されている。
【0073】
次に省エネ性能の優れた自動開閉器を実現する機能について図10を用いて更に詳しく説明する。
【0074】
開閉器453をPch MOS−FETを使用したと仮定する。MOS−FETのON閾値Vthを1Vと仮定する。
・リチウム二次電池431の端子電圧をV431
・バックアップ用一次電池432の端子電圧をV432
・開閉器453のゲート抵抗をR1、ゲートソース間抵抗をR2
・逆流防止ダイオード451の順方向電圧をVf
・逆流防止ダイオード451の直列接続個数をn
・バックアップ用一次電池432に流入する充電電流をI1
とすると、開閉器453のONする条件は
((V432−V431)−(Vf×n))×R2/(R1+R2)≧1
となる。ここで、開閉器453のONの条件、すなわちリチウム二次電池431の端子電圧をV431が、何Vまで低下した時に、バックアップ用一次電池432の電力の供給を開始するかを決める閾値は、逆流防止ダイオード451の直列接続個数をnの選定により容易に変更することができる。逆流防止ダイオード451の直列接続個数をnの適切な選定で、V431とV432の関係において、V431小なりV432においても、V431がマイコン440の動作可能電圧以内であれば開閉器453をオフ継続し、バックアップ用一次電池432からの供給は行わないように設定できるので、バックアップ用一次電池432の不要な電力の消費を防止することができる。また、太陽電池402の発電量が十分な場合でV432と逆流防止ダイオード451のVfの和が、V431を上回っていれば開閉器453のゲート電流は流れないので、V431の電圧値検出のための消費電力が発生することがない。
【0075】
更に逆流防止ダイオード451は、V431大なりV432となった場合、開閉器453を構成するMOS−FETのゲートを介して、バックアップ用一次電池432に流入する充電電流I1を有効に防御することができる。ここで逆流防止ダイオード451は低漏れシリコンダイオードを用いるのが良いが、シリコンダイオードも半導体である以上逆方向漏れ電流をゼロにすることは不可能である。太陽電池402の出力電圧は、照射される光の照度に比例して増大するので、照度が高く太陽電池402の端子電圧が極めて高い場合、リチウム二次電池431の端子電圧V431がバックアップ用一次電池432の端子電圧V432を大幅に上回り、逆流防止ダイオード451の漏れ電流が増大し、バックアップ用一次電池432への充電電流が規定値を超える可能性がある。そこでレギュレータ456の出力電圧値を適切に選定し、リチウム二次電池431の最大到達電圧に制限をかけ、バックアップ用一次電池432に流入する充電電流に制限をかける。
【0076】
例えばR1を1MΩ、R2を5MΩとする。また、逆流防止ダイオードの逆方向漏れ電流に対する等価抵抗は50MΩ以上は十分に期待できるので、50MΩとした場合、レギュレータ456の出力電圧をV432+3(V)とすれば、
1=3(V)/(1(MΩ)+5(MΩ)+50(MΩ))≒50nA
と極小とすることができる。
【0077】
漏れ電流を更に小さくするにはV431とV432との差の絶対値を小さくすればよく、バックアップ用一次電池432の許容電流仕様において選定すればよい。このように開閉器453のゲートに逆流防止ダイオード451を接続し、レギュレータ456でリチウム二次電池431の最大到達電圧に制限を与えることによって、リチウム二次電池431の電圧検出のための電力を消費せずに、バックアップ用一次電池432への充電電流の流入も効果的に防止でき、安全で電圧検出のための消費電力の発生しない省エネ性能の優れた自動開閉器を実現することができる。
【0078】
このような構成により、リチウム二次電池431および太陽電池402,バックアップ用一次電池432の電圧検出回路およびそれに伴うマイコン処理を行うことなく電源のバックアップを行うことができることから、無駄な待機電力を省き電池の長寿命化を図ることができる。またバックアップ用一次電池432を脱着可能、すなわち交換可能としたことで、リモートコントローラ4の長期使用が可能となる。
【0079】
なお、開閉器453の開閉動作を行う際スイッチングノイズが発生することが考えられるが、電流吐き出し能力調整用コンデンサ457によりリモートコントローラ負荷400へ電源供給されるため、リモートコントローラ4の安定した動作が可能となる。
【0080】
次に、本実施形態の変形例について説明する。図10は、本実施形態の変形例に係るリモートコントローラ4について、リモートコントローラ負荷400への負荷遮断スイッチ421が接続され、加えてリチウム二次電池431を外部電源から充電するための外部充電用端子452が接続された状態を示す回路模式図である。
【0081】
負荷遮断スイッチ421は、電流吐き出し能力調整用コンデンサ457とリモートコントローラ負荷400の間に設けられたスイッチであり、リモートコントローラを長時間使用しない場合、使用者が任意に負荷を遮断することができ、二次電池の無駄な電力消費を無くし、更なる二次電池の長寿命化を図ることができるものである。また、外部充電用端子452は、リチウム二次電池431の両端に接続されており、そこに外部電源を接続することによってリチウム二次電池431の充電が可能である。
【0082】
例えば、工場からの出荷時においては、リチウム二次電池431は満充電にしておく必要があるため、外部電源から外部充電用端子452を通してリチウム二次電池431を充電し負荷遮断用スイッチを遮断してリチウム二次電池431の放電を防止することができる。
【0083】
また、図11,図12の本実施形態の変形例では、リモートコントローラ4について、通信回路として電波通信回路を使用し、リモートコントローラ4に付属するAC/DC充電器を用いて外部充電用コネクタを介してリチウム二次電池を充電できるようにすることでバックアップ用一次電池432を実装せず、更に二次電池の出力開閉器453の開閉ゲートにマイコン440の出力を接続することで負荷の開閉を行い、外部からの過電圧対策としてツェナーダイオード460を接続し、外部充電器458からの入力に過電流保護用の電流ヒューズ461を接続し、リチウム二次電池431が発熱した場合の保護用の温度ヒューズ462をリチウム二次電池431の入出力端子に接続し、更にリチウム二次電池431の負極側に、負荷電流を検出するための電流検出抵抗器464を接続し、過電流検出回路459で閾値との比較を行い、負荷電流検出値が閾値を上回るとマイコンに過電流信号を入力する構成とした。また、本実施形態の変形例では電流吐き出し能力調整用コンデンサ457の両端電圧を検出する電圧検出IC463を備え、リモートコントローラ負荷400への印加電圧を監視する構成とした。過電圧と過電流の片方、または両方を検出した場合、マイコンは出力開閉器465を構成するMOS−FETのゲート信号を即座にオフ側に推移させ、出力開閉器465を遮断し、リモートコントローラ負荷400の過電圧及び過電流によるリチウム二次電池431の発熱を防止し安全性を確保することができる。
【0084】
図11は負荷遮断スイッチ421を持たない本実施形態の変形例であり。図12は負荷遮断スイッチ421を備えた場合の本実施形態の変形例である。図12に示す本実施形態の変形例では、使用者が任意に負荷電流を遮断する負荷遮断スイッチ421を備える。長時間に渡ってリモートコントローラ4を使用しない場合、使用者が負荷を強制的に遮断できるので、不要な二次電池の電力消費を無くすことができる。また、工場からの出荷時にこの負荷遮断スイッチ421によって負荷を遮断しておくことで、輸送中や倉庫などで保管されている際にリチウム二次電池431の放電を防ぐことも可能である。
【0085】
また、図11,図12に示す本実施形態の変形例では、通信回路441として電力消費が非常に小さい特定省電力電波などを用いた電波通信回路を使用することにより、負荷による電力消費をリチウム二次電池431の充電電力だけで十分行えるようにしている。更にリチウム二次電池431の充電を太陽電池402だけでなく、リモートコントローラ4にAC/DC充電器等の外部充電器458を接続可能なように外部充電用端子452を備えてリチウム二次電池431を充電できるようにしているので、これによりバックアップ用一次電池432は不要となるため、実装されていない。
【0086】
また、外部充電用端子452からの過電圧や過電流によるリチウム二次電池431、およびマイコン440,通信回路441などのリモートコントローラ負荷400の誤作動を防ぐため、外部充電用端子452とリチウム二次電池431に電流ヒューズ461および、リチウム二次電池431の両端にツェナーダイオード460を挿入し、安全性を確保している。
【0087】
更にリチウム二次電池431に並べて温度ヒューズ462を挿入することで、リモートコントローラ負荷400の異常や外部充電器458から過電流による充電が行われた場合の、リチウム二次電池431の発熱によって温度ヒューズ462が動作し、リチウム二次電池431の入出力端子をオープンする構成とすることで、充電電流によるリチウム二次電池431の発熱を防ぐ構成としている。
【0088】
なお言うまでも無く、ここでは外部充電器458として商用電源を利用したAC/DC充電器を例に示したものの、実際にはPCなどから電源をとるUSB充電器を始め、太陽電池を用いた充電器、手回し式発電機を用いた充電器など、各種充電器を使用した場合でも同様の効果を得ることができる。また、その形態は取り外し式のものだけに留まらず、リモートコントローラ4に内蔵する形式のものであっても良い。
【0089】
なお、外部充電器458は、あくまでリチウム二次電池431が放電してしまった際の充電補助を行うことを想定しているものであり、二次電池の性能次第では必ずしもリモートコントローラ4に付帯させる必要はない。
【0090】
以上説明したように、本発明のリモートコントローラは、太陽電池と、太陽電池が発電した電力を蓄電し、負荷に電力を供給する二次電池と、負荷に電力を供給する一次電池と、一次電池に接続され、一次電池と二次電池との電位差で開閉する開閉器と、を備える。
【0091】
さらに、開閉器を電界効果トランジスタで構成し、電界効果トランジスタのゲートと二次電池の正極側とを逆流防止ダイオードを一個または複数個介して接続する。二次電池の正極側の電位が任意の閾値を下回る場合にソースとドレイン間が導通し、一次電池から電力が供給される。
【0092】
さらに、二次電池および一次電池と物理的並列に接続したコンデンサを設けたことを特徴とする。
【0093】
さらに、二次電池とコンデンサとの間で、二次電池の正極側に抵抗器を備えることを特徴とする。
【0094】
さらに、太陽電池と二次電池との間で、太陽電池の正極側にレギュレータを備えることを特徴とする。
【0095】
さらに、二次電池に外部の充電装置を接続する充電端子を備えることを特徴とする。
【0096】
さらに、商用電源からの電力を直流に変換し、二次電池に電力を供給する充電装置を内部に備えることを特徴とする。
【0097】
さらに、赤外線発光素子と赤外線受光素子を有す送受信部を備えることを特徴とする。
【0098】
さらに、送受信部は電波通信回路であることを特徴とする。
【0099】
さらに、二次電池と負荷との間に出力開閉器を備えることを特徴とする。
【0100】
さらに、出力開閉器は任意の値以上の電圧又は電流を検出した場合に二次電池と負荷とを遮断することを特徴とする。
【0101】
さらに、任意に負荷を遮断できる負荷遮断スイッチを備えることを特徴とする。
【0102】
さらに、一次電池はリチウム一次電池であり、二次電池はリチウム二次電池であることを特徴とする。
【0103】
また、本発明のリモートコントローラは、太陽電池と、太陽電池が発電した電力を蓄電し、負荷に電力を供給する二次電池と、負荷に電力を供給する一次電池を装着する電池ソケットと、電池ソケットを介して一次電池に接続され、一次電池と二次電池との電位差で開閉する開閉器と、を備えることを特徴とするリモートコントローラ。
【0104】
また、本発明のリモートコントローラは、負荷に電力を供給する第1の電池と、第1の電池と物理的並列に接続し、負荷に電力を供給する第2の電池と、第1の電池と第2の電池との電位差で開閉する開閉器と、を備えることを特徴とする。
【0105】
また、本発明のリモートコントローラは、負荷に電力を供給する第1の電池と、第1の電池と物理的並列に接続し、負荷に電力を供給する第2の電池と、第1の電池の正極側に接続した第1の電圧調節器と、ソースとドレインを第2の電池の正極側に接続し、ゲートを第1の電池と第1の電圧調節器との間に接続した電界効果トランジスタと、を備えることを特徴とする。
【0106】
さらに、電界効果トランジスタのゲートを第2の電圧調節器を介して第1の電池と第1の電圧調整器との間に接続することを特徴とする。
【0107】
また、本発明の空気調和機は、リモートコントローラからの信号を受信する室内機受信部と、室内機受信部が受信した信号に基づいて回転数を制御する室内送風機と、室内空気を吸い込む空気吸込み口と、空気吸込み口から吸い込まれた空気と熱交換する室内熱交換器と、室内熱交換器で熱交換した空気を室内に吹出す空気吹出し口と、を備えることを特徴とする。
【0108】
ここで、第1の電池について、実施例ではリチウム二次電池431を挙げているが、他の電池を排除するものではない。また、第2の電池について、実施例ではバックアップ用一次電池432を挙げているが、他の電池を排除するものではない。また、物理的並列とは、リチウム二次電池431とバックアップ用一次電池432とが電気的に並列に接続されている回路に加え、構成上並列に接続されているが、開閉器453等によりバックアップ用一次電池432からの電力が負荷に流れず、リチウム二次電池431とバックアップ用一次電池432とが電気的には並列に接続されていない回路を含めた意味である。
【0109】
また、電界効果トランジスタについて、実施例ではMOS−FETを挙げているが、他の電界効果トランジスタを排除するものではない。また、第1の電圧調節器について、実施例ではバイパス用ダイオード454又は電流調整用抵抗器455を挙げているが、他の調節器を排除するものではない。
【0110】
また、第2の電圧調節器について、実施例では逆流防止ダイオード451を挙げているが、他の調節器を排除するものではない。
【0111】
また、本実施形態のリモートコントローラ4について、空気調和機1に導入したものを示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えばAV(Audio Visual)機器等のリモートコントローラに用いてもよい。また、リモートコントローラの通信に、赤外線通信ではなく特定小電力電波などを用いた電波通信を使用するリモートコントローラに用いてもよい。更にバックアップ用一次電池432としては、リチウム一次電池だけでなく、汎用品の乾電池を用いても同様の効果を得ることができることは言うまでもなく、適宜選択が可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 空気調和機
2 室内機
3 室外機
4 リモートコントローラ
8 接続配管
20 筐体
21 筐体ベース
23 化粧枠
25 前面パネル
27 空気吸込み口
29 空気吹出し口
231 室内機送受信部
232 室内機表示装置
400 リモートコントローラ負荷
401 リモートコントローラ送受信部
402 太陽電池
403 LCD
404 操作ボタン
410 サーミスタ通風路
411 一次電池ソケットカバー
421 負荷遮断スイッチ
422 一次電池用ソケット
423 電池接続端子
424 信号送信器
425 信号レシーバ
426 リモートコントローラ用室温サーミスタ
427 指掛け部
431 リチウム二次電池
432 バックアップ用一次電池
440 マイコン
441 通信回路
451 逆流防止ダイオード
452 外部充電用端子
453 開閉器
454 バイパス用ダイオード
455 電流調整用抵抗器
456 レギュレータ
457 電流吐き出し能力調整用コンデンサ
458 外部充電器
459 過電流検出回路
460 ツェナーダイオード
461 電流ヒューズ
462 温度ヒューズ
463 電圧検出IC
464 電流検出抵抗器
465 出力開閉器
467 逆流防止ダイオード
468 電流調整用抵抗器
469 内蔵充電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、
前記太陽電池が発電した電力を蓄電し、負荷に電力を供給する二次電池と、
前記負荷に電力を供給する一次電池と、
前記一次電池に接続され、前記一次電池と前記二次電池との電位差で開閉する開閉器と、
を備えることを特徴とするリモートコントローラ。
【請求項2】
前記開閉器を電界効果トランジスタで構成し、
前記電界効果トランジスタのゲートと前記二次電池の正極側とを前記逆流防止ダイオードを一個または複数個介して接続することを特徴とする請求項1に記載のリモートコントローラ。
【請求項3】
前記二次電池および前記一次電池と物理的並列に接続したコンデンサを設けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリモートコントローラ。
【請求項4】
前記二次電池と前記コンデンサとの間で、前記二次電池の正極側に抵抗器を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のリモートコントローラ。
【請求項5】
前記太陽電池と前記二次電池との間で、前記太陽電池の正極側にレギュレータを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のリモートコントローラ。
【請求項6】
前記二次電池に外部の充電装置を接続する充電端子を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のリモートコントローラ。
【請求項7】
商用電源からの電力を直流に変換し、前記二次電池に電力を供給する充電装置を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のリモートコントローラ。
【請求項8】
赤外線発光素子と赤外線受光素子を有す送受信部を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のリモートコントローラ。
【請求項9】
前記送受信部は電波通信回路であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のリモートコントローラ。
【請求項10】
前記二次電池と前記負荷との間に出力開閉器を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のリモートコントローラ。
【請求項11】
前記出力開閉器は任意の値以上の電圧又は電流を検出した場合に前記二次電池と前記負荷とを遮断することを特徴とする請求項10に記載のリモートコントローラ。
【請求項12】
前記一次電池はリチウム一次電池であり、前記二次電池はリチウム二次電池であることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のリモートコントローラ。
【請求項13】
太陽電池と、
前記太陽電池が発電した電力を蓄電し、負荷に電力を供給する二次電池と、
前記負荷に電力を供給する一次電池を装着する電池ソケットと、
前記電池ソケットを介して前記一次電池に接続され、前記一次電池と前記二次電池との電位差で開閉する開閉器と、
を備えることを特徴とするリモートコントローラ。
【請求項14】
負荷に電力を供給する第1の電池と、
前記第1の電池と物理的並列に接続し、前記負荷に電力を供給する第2の電池と、
前記第1の電池と前記第2の電池との電位差で開閉する開閉器と、
を備えることを特徴とするリモートコントローラ。
【請求項15】
負荷に電力を供給する第1の電池と、
前記第1の電池と物理的並列に接続し、前記負荷に電力を供給する第2の電池と、
前記第1の電池の正極側に接続した第1の電圧調節器と、
ソースとドレインを前記第2の電池の正極側に接続し、ゲートを前記第1の電池と前記第1の電圧調節器との間に接続した電界効果トランジスタと、
を備えることを特徴とするリモートコントローラ。
【請求項16】
前記電界効果トランジスタのゲートを第2の電圧調節器を介して前記第1の電池と前記第1の電圧調整器との間に接続することを特徴とする請求項15に記載のリモートコントローラ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載のリモートコントローラと、
前記リモートコントローラからの信号を受信する室内機受信部と、
室内空気を吸い込む空気吸込み口と、
前記空気吸込み口から吸い込まれた空気と熱交換する室内熱交換器と、
前記室内機受信部が受信した前記信号に基づいて回転数を制御する室内送風機と、
前記室内熱交換器で熱交換した空気を室内に吹出す空気吹出し口と、
を備えることを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−39199(P2012−39199A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174990(P2010−174990)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】