説明

リモートコントロール装置

【課題】リモートコントロール装置に防水構造を備えることにより安全性と信頼性を向上すること。
【解決手段】スイッチホルダ部343を有するケース340と、操作突起352を有する操作ボタン351と、スイッチ355を備え、スイッチホルダ部343には周囲に防水リブ345を有する操作連動部344を設け、操作ボタン351の操作突起352で前記操作連動部344を介してスイッチ355を操作する構成としたことにより、ケース340の上方からスイッチホルダ部343に浸入した水は防止リブ345により操作連動部344からケース340内部に侵入することを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衛生洗浄装置のリモートコントロール装置の防水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の衛生洗浄装置のリモートコントロール装置は、衛生洗浄装置の各種機能を操作するためにトイレの壁面に設置して使用するのが一般的である。その使用方法の特徴としては、一部の操作は便座に着座した状態で行い、一部の操作は便器の前に立った状態で行うという2種類の使用形態が存在している。このような2種類の使用形態に対応するために、主に着座状態で使用するおしり洗浄スイッチと、ビデ洗浄スイッチと、停止スイッチと、乾燥ボタンと、ノズル前後スイッチと、シャワーと乾燥の強弱スイッチの操作ボタンはリモコン装置の前面に配設することにより、着座した状態で表示が見やすく、かつ操作がしやすい構成となっている。また、主に立った状態で使用する便座開閉スイッチと、便蓋開閉スイッチと、便器洗浄スイッチの操作部ボタンはリモコン本体の上面と前面の角部に設置し、起立、着座いずれの状態でも使いやすい構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図13は特許文献1に記載された従来のリモコン装置の外観の斜視図を示すものであり、図14は要部断面図を示すものである。図13に示すように、リモコン本体901の前面には、ノズル前後ボタン902と、シャワーと乾燥の強弱ボタン903と、停止ボタン904と、洗浄ボタン905と、ビデ洗浄ボタン906と、乾燥ボタン907が設置してありこれらのスイッチは便座に着座した状態で使用するものである。また、リモコン本体901の上面と前面の角部には便座開閉ボタン908と、便器洗浄ボタン909と、便蓋開閉ボタン910が設置してある。図14に示すようにリモコン本体901の上面に配置した便座開閉ボタン908と、便器洗浄ボタン909と、便蓋開閉ボタン910は、略L字型をしておりその後端をリモコン本体901に設けた回動軸911に回動自在に枢支されており、各ボタンの下端部が当接する位置にスイッチ912が設置してあり、便座開閉ボタン908、便器洗浄ボタン909、便蓋開閉ボタン910の上面あるいは前面を押すとスイッチが作動する構成となっている。
【特許文献1】特開2002−070115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、リモコン本体の上面に配設した便座開閉ボタンと、便器洗浄ボタンと、便蓋開閉ボタンの周囲には隙間があり、手洗いや清掃等で濡れた手でそれらのボタンを操作した場合、その隙間からリモコン本体内に水が入り、リモートコントロール装置の誤動作や故障が発生するという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、リモコン本体内への水の浸入を防止する防水構造を備え安全で信頼性の高いリモートコントロール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明のリモートコントロール装置は、スイッチホルダ部を有するケースと、操作突起を有する操作ボタンと、スイッチを備え、スイッチホルダ部には周囲に防水リブを有する操作連動部を設け、操作ボタンの操作突起で前記操作連動部を介してスイッチを操作する構成としたものである。
【0007】
これによって、ケースの上方からスイッチホルダ部に浸入した水は防止リブにより操作連動部からケース内部に侵入することを防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のリモートコントロール装置は、防水構造を備えることにより安全性と信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、上面にスイッチホルダ部を有するケースと、前記スイッチホルダ部に設置して下面に操作突起を有する操作ボタンと、前記ケース内に設置したスイッチを備え、前記スイッチホルダ部には周囲に防水リブを有する操作連動部を設け、前記操作ボタンを上方より押圧することにより前記操作ボタンの操作突起で前記操作連動部を介して前記スイッチを作動可能な構成とすることにより、ケースの上方からスイッチホルダ部に浸入した水は防止リブにより操作連動部からケース内部に侵入することを防止することができるので、浸水による電気回路の短絡や部品の劣化を防止し、安全性と信頼性を向上することができる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明において、スイッチホルダ部とケースの外面に連通する排水溝を設けたことにより、スイッチホルダ部に浸入した水は排水溝より外部に流出するので、連続的に水が浸入しても防水機能を維持することができ、安全性と信頼性をより向上することができる。
【0011】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、操作連動部に弾性機能を備えたことにより、操作ボタンは操作連動部の弾性機能とスイッチの復帰機能の両方でより確実に復帰することとなり、誤動作を低減することができる。
【0012】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明において、スイッチホルダ部に操作連動部を複数設け、複数の操作ボタンを設けたことにより、リモートコントロール装置の上面に複数の操作スイッチを設けることが可能となり、リモートコントロール装置操作機能の拡大と操作性の向上を図ることができる。
【0013】
第5の発明は、特に、第4の発明において、大きさと個数の異なる操作ボタンを組み替え可能な構成とすることにより、同一のケースで操作機能の異なる複数のリモートコントロール装置への対応が可能となり、生産工程における標準化とコスト削減が可能となる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の一実施の形態に係るリモートコントロール装置を装備した衛生洗浄装置の外観斜視図であり、図2は衛生洗浄装置全体の構成を示す模式図である。
【0016】
衛生洗浄装置100は便器700の上面に取り付けられる。衛生洗浄装置100は、本体部200、リモートコントロール装置300、便座部400および蓋部500により構成される。
【0017】
本体部200には、便座部400および蓋部500が開閉可能に取り付けられている。また、本体部200には、図示しない洗浄水供給機構が設けられるとともに、図2に示す制御部90が内蔵される。
【0018】
図1では、本体部200の正面上部に設けられる着座センサ610が示されている。この着座センサ610は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、着座センサ610は、人体から反射された赤外線を検出することにより便座部400上に使用者が存在することを検知する。
【0019】
さらに、図1では、本体部200の正面下部に設けられる便器ノズル40が便器700の内側に突出している状態が示されている。この便器ノズル40は、上述の洗浄水供給機構に接続されている。
【0020】
洗浄水供給機構は、図示しない水道配管に接続されている。これにより、洗浄水供給機構は、水道配管から供給される洗浄水を便器ノズル40に供給する。それにより、便器ノズル40から便器700の内面の広い範囲に洗浄水が噴出される(便器プレ洗浄)。または、便器ノズル40から便器700の内面の背面側に洗浄水が噴出される(便器後部洗浄)。
【0021】
また、洗浄水供給機構は、ノズル部20に接続されている。これにより、洗浄水供給機構は、水道配管から供給される洗浄水をノズル部20に供給する。それにより、ノズル部20から使用者の局部に洗浄水が噴出される。
【0022】
リモートコントロール装置300には、複数のスイッチが設けられている。リモートコントロール装置300は、例えば便座部400上に着座する使用者が操作可能なトイレットルームの壁面にねじで固定されたリモコンホルダ310を介して着脱可能に取り付けられる。
【0023】
入室検知センサ600は、トイレットルームの入口近傍等に取り付けられる。入室検知センサ600は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、入室検知センサ600は、人体から反射された赤外線を検出した場合にトイレットルーム内に使用者が入室したことを検知する。
【0024】
本体部200の制御部90は、リモートコントロール装置300、入室検知センサ600および着座センサ610から送信される信号に基づいて、衛生洗浄装置100の各部の動作を制御する。
【0025】
図2は、本体部200の構成を示す模式図である。図2に示すように、本体部200は、分岐水栓2、ストレーナ4、逆止弁5、定流量弁6、止水電磁弁7、流量センサ8、熱交換器9、ポンプ11、バッファタンク12、人体用切替弁13、ノズル部20、バキュームブレーカ31,61、便器ノズル40、便器ノズルモータ40m、ランプ50および制御部90を含む。
【0026】
ノズル部20は、おしりノズル21、ビデノズル22およびノズル洗浄ノズル23を含み、人体用切替弁13は切替弁モータ13mを含む。
【0027】
図2に示すように、水道配管1には分岐水栓2が介挿される。分岐水栓2と熱交換器9との間に接続される配管3には、ストレーナ4、逆止弁5、定流量弁6、止水電磁弁7および流量センサ8が順に介挿される。熱交換器9と人体用切替弁13との間に接続される配管10には、ポンプ11およびバッファタンク12が介挿される。
【0028】
人体用切替弁13の複数のポートにノズル部20のおしりノズル21、ビデノズル22およびノズル洗浄ノズル23がそれぞれ接続される。
【0029】
バキュームブレーカ31は、止水電磁弁7と流量センサ8との間の配管3から延びる分岐配管30に接続され、熱交換器9および便器ノズル40の洗浄水噴出口よりも上方の位置に配置される。バキュームブレーカ31には、分岐配管32の一端が接続される。分岐配管30と分岐配管32とはバキュームブレーカ31を介して連結される。便器ノズル40は、分岐配管32の他端に接続される。便器ノズルモータ40mおよびランプ50は、便器ノズル40の近傍に取り付けられる。バキュームブレーカ61はバッファタンク12に設けられ、熱交換器9よりも上方の位置に配置される。なお、バキュームブレーカ61およびバッファタンク12は一体的に形成されている。したがって、バッファタンク12も熱交換器9よりも上方の位置に配置される。
【0030】
次に、本体部200における洗浄水の流れおよび制御部90による本体部200の各構成部の制御について説明する。
【0031】
水道配管1を流れる浄水が、洗浄水として分岐水栓2によりストレーナ4に供給される。これにより、洗浄水に含まれるゴミおよび不純物等はストレーナ4により除去される。
【0032】
次に、逆止弁5により配管3内における洗浄水の逆流が防止され、定流量弁6により配管3内を流れる洗浄水の流量が一定に維持される。そして、止水電磁弁7により熱交換器9への洗浄水の供給状態が切替えられる。止水電磁弁7の動作は、制御部90により制御される。
【0033】
配管3において、流量センサ8は、配管3内を流れる洗浄水の流量を測定し、制御部90に測定流量値を与える。熱交換器9は、配管3を通して供給される洗浄水を所定の温度に加熱する。熱交換器9の動作は、流量センサ8により測定された測定流量値に基づいて制御部90により制御される。
【0034】
続いて、熱交換器9により加熱された洗浄水が、ポンプ11によりバッファタンク12を通して人体用切替弁13に圧送される。ポンプ11の動作は、制御部90により制御される。
【0035】
バッファタンク12は、加熱された洗浄水の温度緩衝部として作用する。これにより、人体用切替弁13に圧送される洗浄水の温度むらの発生が抑制される。なお、熱交換器9とバッファタンク12との合計の容量は、15cc〜30ccであることが好ましく、20cc〜25ccであることがより好ましい。
【0036】
人体用切替弁13においては、切替弁モータ13mが動作することにより、ポンプ11から圧送された洗浄水が、おしりノズル21、ビデノズル22およびノズル洗浄ノズル23のいずれかに供給される。これにより、おしりノズル21、ビデノズル22およびノズル洗浄ノズル23のいずれかから洗浄水が噴出する。切替弁モータ13mの動作は、制御部90により制御される。
【0037】
おしりノズル21およびビデノズル22は、使用者の局部の洗浄を行うために用いられる。ノズル洗浄ノズル23は、おしりノズル21およびビデノズル22の便器700内に突出する部分を洗浄するために用いられる。
【0038】
止水電磁弁7から熱交換器9に供給される洗浄水のうちノズル部20において使用されない余剰な洗浄水は、分岐配管30、分岐配管32および便器ノズル40を介して捨て水として便器700内に流される。すなわち、分岐配管30および分岐配管32は捨て水回路として機能する。便器ノズル40の詳細は後述する。
【0039】
なお、本例においては、熱交換器9と便器ノズル40との間にバキュームブレーカ31が設けられ、熱交換器9とノズル部20との間にバキュームブレーカ61が設けられている。それにより、熱交換器9内の洗浄水が分岐配管30、分岐配管32および便器ノズル40を介して外部に流出することならびに配管10およびノズル部20を介して外部に流出することが防止される。その結果、熱交換器9の空焚きが防止される。
【0040】
また、バキュームブレーカ31により、便器ノズル40側からの汚水等の逆流が防止されるとともに、バキュームブレーカ61によりノズル部20側からの汚水等の逆流が防止される。
【0041】
また、バッファタンク12とバキュームブレーカ61とが一体的に設けられているので、本体部200を小型化することができる。また、バキュームブレーカ61によりバッファタンク12内の冷水が排出されるので、おしり洗浄時に、おしりノズル21から冷水が噴出されることを防止することができる。
【0042】
図3(a)はリモートコントロール装置300の斜視図を示し、図3(b)はリモートコントロール装置300の前面の操作面を示す正面図である。また、リモートコントロール装置300は、コントローラ本体部301の下部にコントローラ蓋部302が開閉自在に設けられた構造を有し、図4(a)はコントローラ蓋部302を開いた状態の斜視図を示し、図4(b)はコントローラ蓋部302を開いた状態の操作面を示す正面図である。
【0043】
図3(a)に示すように、コントローラ蓋部302が閉じられた状態で、コントローラ本体部301の上部には乾燥スイッチ320、強さ調整スイッチ322、323および位置調整スイッチ325、326が設けられ、コントローラ蓋部302には停止スイッチ311、おしりスイッチ312およびビデスイッチ313が設けられている。
【0044】
使用者により、上記各スイッチが操作される。これにより、リモートコントロール装置300から本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。本体部200の制御部90は、受信した信号に基づいて本体部200および便座部400の各構成部の動作を制御する。
【0045】
例えば、使用者がおしりスイッチ312またはビデスイッチ313を操作することにより、ノズル部20から使用者の局部に洗浄水が噴出される。また、使用者が停止スイッチ311を操作することにより、ノズル部20から使用者の局部への洗浄水の噴出が停止される。
【0046】
使用者が乾燥スイッチ320を操作することにより、使用者の局部に乾燥ユニット(図示せず)から温風が噴出される。また、使用者が強さ調整スイッチ322、323を操作することにより、使用者の局部に噴出される洗浄水の流量および圧力等が調整される。
【0047】
さらに、使用者が位置調整スイッチ325、326を操作することにより、おしりノズル21またはビデノズル22の位置が調整される。それにより、使用者の局部への洗浄水の噴出位置が調整される。
【0048】
図4(b)に、コントローラ蓋部302が開かれた状態のリモートコントロール装置300の正面図が示されている。図4(b)に示すように、コントローラ蓋部302により覆われるコントローラ本体部301の下部には、上述の停止スイッチ311、おしりスイッチ312およびビデスイッチ313に加えて、自動開閉スイッチ331、水温調整スイッチ332、便座温度調整スイッチ333、除菌スイッチ335および便器洗浄スイッチ336が設けられている。
【0049】
これらのスイッチが操作される場合にも、リモートコントロール装置300から本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。これにより、本体部200の制御部90は、受信した信号に基づいて本体部200および便座部400の各構成部の動作を制御する。
【0050】
自動開閉スイッチ331は、使用者が自動開閉スイッチ331のつまみを操作することにより、蓋部500の開閉動作が設定される。すなわち、自動開閉スイッチ331のつまみがオンの位置にある場合、使用者のトイレットルームへの入退室に応じて蓋部500が開閉される。
【0051】
使用者が水温調整スイッチ332を操作することにより、ノズル部20から使用者の局部に噴出される洗浄水の温度が調整される。使用者が便座温度調整スイッチ333を操作することにより、便座部400の温度が調整される。
【0052】
また、使用者が除菌スイッチ335を操作することにより、本体部200の洗浄水供給機構に銀イオンを含む洗浄水が流れ、除菌動作が行われる。
【0053】
自動開閉スイッチ331と同様に、便器洗浄スイッチ336はつまみにより構成されている。使用者が便器洗浄スイッチ336のつまみを操作することにより、便器ノズル40による便器プレ洗浄および便器後部洗浄の動作が設定される。
【0054】
すなわち、便器洗浄スイッチ336のつまみがオンの位置にある場合、使用者のトイレットルームへの入室に応じて便器ノズル40から便器700内部の広い範囲に洗浄水が噴出される。また、使用者の便座部400への着座中に便器ノズル40から便器700の内面の背面側に洗浄水が噴出される。
【0055】
リモートコントロール装置300の上面の両側端部には、本体部200と無線で通信を行うために赤外線通信の送信素子を配設しあり、その内側には便蓋開閉スイッチ350と便座開閉スイッチ360が配設してある。便蓋開閉スイッチ350は便蓋を任意に開閉するするスイッチであり、前記自動開閉スイッチ331による自動開閉より優先して作動する。便座開閉スイッチ360は便座部400の開閉を操作するスイッチであり、男子小用時等に便座部400開放して使用する場合に操作する。
【0056】
便蓋開閉スイッチ350と便座開閉スイッチ360は使用者が便器の前に立った状態で使用するため、使い勝手を考慮してリモートコントロール装置300の上面に設置し、上方からの押圧により操作できる構成となっている。
【0057】
図5は、操作ボタンを取り外した状態のリモートコントロール装置の分解斜視図を示し、図6は操作ボタンの詳細の正面図を示し、図7は操作連動部の詳細を示す要部平面図であり、図8(a)はリモートコントロール装置の排水溝の部分の要部を示す断面図であり、(b)はリモートコントロール装置の操作連動部の部分の要部を示す断面図である。
【0058】
便蓋開閉スイッチ350と便座開閉スイッチ360の基本的な構成は、リモコンケース340の上面に設置した樹脂成型品による操作ボタン351、361でリモコンケース340内に設置したマイクロスイッチ355を押圧して開閉する構成となっている。
【0059】
本実施の形態における操作ボタン351、361は互いに左右対称の形状になっており、略函型状の操作ボタン351、361の下面中央部と左右に間隔を開けてマイクロスイッチ355を押圧するための3個の略円柱状の操作突起352が一体に成型してある。ま
た、操作ボタン351、361の前面と後面の下端の両側部は角部を切り落とし上方に傾斜した傾斜部351a、361aを備えている。また前面と後面の下部には略等間隔で係合突起353が各4個一体に成型してある。
【0060】
一方、リモコンケース340は樹脂材料で形成した前ケース341と後ケース342を複数のねじを介して結合して構成してあり、その上面には溝状のスイッチホルダ部343が形成されている。スイッチホルダ部343の底面には6個の操作連動部344が所定の間隔で設けてあり、操作連動部344の配設位置は操作ボタン351、361の操作突起352対応する位置となっている。操作連動部344の周囲には上方に突出した防水リブ345が設けてある。
【0061】
操作連動部344は図7に示すように、中央に略円形の当接部346を有し、当接部346は周辺部とは略S字形状のばね部346aで連接されており、当接部346とばね部346a以外の部分は上下貫通した貫通部346bとなっており、当接部346は上下方向に移動可能でかつばね部346aの弾性により元の位置に復帰する機能を備えている。
【0062】
本実施の形態においては、6個の操作連動部344のうち左右両側からそれぞれ2個目の操作連動部344の下方にマイクロスイッチ355が設置してあり、当接部346とばね部346aが下方に変形することによりマイクロスイッチ355が押圧され作動する構成となっている。
【0063】
また、スイッチホルダ部343の前面部と後面部には操作ボタン351、361の係合突起353に対応する係合溝347が各8箇所に設けてある。操作ボタン351、361の所定の係合突起353とスイッチホルダ部343の所定の係合溝347を係合させて設置することにより、操作ボタン351、361をスイッチホルダ部343の所定位置に設置することができ、操作ボタン351、361はスイッチホルダ部343内で上下に摺動可能となる。
【0064】
上記構成のスイッチホルダ部343に操作ボタン351、361を所定の位置に設置すると、図8に示すように操作突起352が操作連動部344の当接部346の上面に当接して配置される。また係合突起353は係合溝347の上端部に当接するように配置される。
【0065】
一方、スイッチホルダ部343の底面後端部にはリモコンケース340の背面側の外部まで貫通した排水溝348が2個設置してあり、スイッチホルダ部343に進入した水をリモコンケース340の外部に排出する構成となっている。図8に示すように排水溝348は後ケース342を貫通し、リモコンケース340とリモコンホルダ310間に形成される隙間を排水経路として矢印Aに示すように下方に排水可能となっている。
【0066】
上記構成の便蓋開閉スイッチ350と便座開閉スイッチ360は、使用者がそれぞれの操作ボタン351、361を上方から押すと、操作ボタン351、361は係合溝347に沿って下方に移動し、操作突起352は操作連動部344の当接部346を押圧して下方に移動することによりマイクロスイッチ355を作動することができる。また、使用者が操作ボタン351、361を開放すると、操作ボタン351、361は操作連動部344のばね部346aの弾性により上方に移動し、マイクロスイッチ355は復帰する。
【0067】
特に、本実施の形態の操作ボタン351、361は使い勝手を向上するために横幅が広い形状としており、操作ボタン351、361のどの位置を押しても、マイクロスイッチ355が確実に作動することを配慮した構成となっている。図9(a)に示す操作ボタン351、361を押していない状態から、図9(b)に示す操作ボタンの中央部を矢印B
に示すように押したときは、操作ボタン351、361は略垂直に下方に移動し操作突起352は当接部346を介してマイクロスイッチ355を押圧する。
【0068】
一方、操作ボタン351、361の中央以外の側部を押したときは、図9(c)に示す矢印Cように操作ボタン351、361の押した場合、側方のみが下方に移動して操作ボタン351、361は斜めに傾いた状態になる。このとき押した反対側に設置した係合突起353は係合溝347の上端部に当接し、当接部を支点として操作ボタン351、361が回動する、そのため操作ボタン351、361の中央部に配置した操作突起352は梃子の作用点として作用し、当接部346を介してマイクロスイッチ355を押圧することができる。ただし操作突起352の移動距離は操作ボタン351、361側部の移動距離の略1/2となるので、マイクロスイッチ355を押圧可能とするためには、操作ボタン351、361の上下の摺動ストロークはマイクロスイッチ352の作動に必要なストロークの2倍以上確保することが必須要件である。特に操作ボタン351、361の側部の摺動ストロークを大きく確保することが重要であり、そのために操作ボタン351、361下端部の両側部に設けた傾斜部351a、361aは両側部の摺動ストロークの確保に有効である。
【0069】
以上のように、本実施の形態のリモートコントロール装置300の第1の特徴は防水構造にある。本願発明のリモートコントロール装置はトイレットルーム内に設置して使用するものであるため、手洗いや清掃に使用した水がかかることが考えられる。本実施の形態においては、操作ボタン351、361の外周とスイッチホルダ部343の隙間からスイッチホルダ部343内に水が浸入する場合があるが、貫通部346bを有する操作連動部344の周囲には防水リブ345が設けてあり、リモコンケース340内部への侵入を防止する。またスイッチホルダ部343内に浸入した水は排水溝348から外部に排水されるため連続的に水が浸入した場合でも、リモコンケース340の内部への浸水を防ぐことができ、リモートコントロール装置300の安全性と信頼性を確保することができる。
【0070】
また、第2の特徴はスイッチボタン251、261のどの位置を押しても、マイクロスイッチ355を確実に作動させることができるものであり、誤操作や誤動作を防止し、高い安全性と信頼性を確保することができるものである。
【0071】
なお、天面のスイッチを便フタ開閉スイッチと便座開閉スイッチに限定しているが、他の機能のスイッチでもよい。
【0072】
(実施の形態2)
図10は第2の実施の形態におけるリモートコントロール装置の外観斜視図を示し、図11は操作ボタンを外した状態の分解斜視図を示すものである。
【0073】
本実施の形態が第1の実施の形態と異なっている点は、リモートコントロール装置300の上面に配置する操作ボタンを2個から4個にしたところである。
【0074】
本実施の形態においても実施の形態1と同じリモコンケース340を使用する。スイッチホルダ部343には操作連動部344が6個と係合溝347が前後各8個設けてあり、本実施の形態においては操作連動部344のうち両側部の2個と中央の2個の下方にマイクロスイッチ355を合計4個設置する。
【0075】
操作ボタン370は実施の形態1における操作ボタン351、361の略1/2の幅に形成されており、下面中央部には操作突起352が設けてあり、前面および後面の両側部には係合突起353が設けてある。上記構成の4個の操作ボタン370をスイッチホルダ部343の前後各2個の係合溝347に係合させて配置することにより4個の操作ボタン
370を設置することができる。
【0076】
上記構成のリモートコントロール装置300は実施の形態1と同じリモコンケース340を使用して操作ボタン370を4個に増やすことができるので、更に多くの機能を上面操作することができ、しかもリモコンケースを共用で使用することができる。
【0077】
また、実施の形態1が有する操作ボタンの押す位置の自由度と防水構造の特徴も同様に備えている。
【0078】
なお、本実施の形態においては操作ボタン4個の場合を説明したが、3個の場合や1個の場合も同様に実施することが可能である。
【0079】
(実施の形態3)
図12は第3の実施の形態におけるリモートコントロール装置の操作ボタンを外した状態の分解斜視図を示すものである。
【0080】
本実施の形態が第1の実施の形態と異なっている点は、各操作ボタンの誤挿入の防止手段を設けた点である。実施の形態1において便蓋開閉スイッチ350と便座開閉スイッチ360をリモートコントロール装置300の上面に配置したが、スペースの狭いリモートコントロール装置300の上面ではスイッチの表示を操作ボタン351、361の上面に表示する必要があるためそれぞれ専用の操作ボタンとなるため間違って設置することを防止しなければならない。
【0081】
本実施の形態においては、図11に示すように操作ボタン371、372の前面下端部のそれぞれ違う位置に位置決め溝373を設け、スイッチホルダ部343の前記位置決め溝373に対応する位置に位置決めリブ349を設け、操作ボタン371、372を間違えて挿入した場合、位置決めリブ349が操作ボタン371、372の下端に当たって挿入できない構成となっている。
【0082】
また、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に操作ボタン371、372下端部の両側部に傾斜部351a、361aを設け、両側部の摺動ストロークを拡大している。
【0083】
以上のように構成された本実施の形態のリモートコントロール装置においては、種類の異なる操作ボタンを組立時に設置場所を間違えることがない。
【0084】
なお、本実施の形態においては、操作ボタンに位置決め溝を設け、スイッチホルダ部に位置決めリブを設けたが、これとは反対に操作ボタンに位置決めリブを設け、スイッチホルダ部に位置決め溝を設けても同様な効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明にかかるリモートコントロール装置は、防水機能を備えているので、洗面所やキッチンで使用するリモートコントロール装置やスイッチ装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1におけるリモートコントロール装置を装備した衛生洗浄装置の外観斜視図
【図2】本発明の実施の形態1におけるリモートコントロール装置を装備した衛生洗浄装置全体の構成を示す模式図
【図3】(a)本発明の実施の形態1におけるリモートコントロール装置の外観斜視図(b)リモートコントロール装置の前面の操作面を示す正面図
【図4】(a)本発明の実施の形態1におけるリモートコントロール装置のコントローラ蓋部を開いた状態の外観斜視図(b)リモートコントロール装置のコントローラ蓋部を開いた状態の前面の操作面を示す正面図
【図5】本発明の実施の形態1におけるリモートコントロール装置の操作ボタンを外した状態の分解斜視図
【図6】本発明の実施の形態1におけるリモートコントロール装置の操作ボタンの正面図
【図7】本発明の実施の形態1におけるリモートコントロール装置の操作連動部の詳細を示す平面図
【図8】(a)本発明の実施の形態1におけるリモートコントロール装置の要部断面図(b)同別の位置の要部断面図
【図9】(a)本発明の実施の形態1におけるリモートコントロール装置の操作ボタンの不操作状態を示す模式図(b)同操作ボタンの中央を押圧した状態の模式図(c)同操作ボタンの側端部を押圧した状態の模式図
【図10】本発明の実施の形態2におけるリモートコントロール装置の外観斜視図
【図11】本発明の実施の形態2におけるリモートコントロール装置の操作ボタンを外した状態の分解斜視図
【図12】本発明の実施の形態3におけるリモートコントロール装置の操作ボタンを外した状態の分解斜視図
【図13】従来のリモートコントロール装置の外観斜視図
【図14】従来のリモートコントロール装置の要部断面図
【符号の説明】
【0087】
300 リモートコントロール装置
340 リモコンケース(ケース)
343 スイッチホルダ部
344 操作連動部
345 防水リブ
346a ばね部(弾性機能)
348 排水口溝
351、361、370、371,372 操作ボタン
352 操作突起
355 マイクロスイッチ(スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にスイッチホルダ部を有するケースと、前記スイッチホルダ部に設置して下面に操作突起を有する操作ボタンと、前記ケース内に設置したスイッチを備え、前記スイッチホルダ部には周囲に防水リブを有する操作連動部を設け、前記操作ボタンを上方より押圧することにより前記操作ボタンの操作突起で前記操作連動部を介して前記スイッチを作動可能な構成のリモートコントロール装置。
【請求項2】
スイッチホルダ部とケースの外面に連通する排水溝を設けた請求項1に記載のリモートコントロール装置。
【請求項3】
操作連動部に弾性機能を備えて請求項1または2に記載のリモートコントロール装置。
【請求項4】
スイッチホルダ部に操作連動部を複数設け、複数の操作ボタンを設けた請求項1〜3のいずれか1項に記載のリモートコントロール装置。
【請求項5】
大きさと個数の異なる操作ボタンを組み替え可能な請求項4に記載のリモートコントロール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−258090(P2008−258090A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101518(P2007−101518)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】