説明

リレーソケット

【課題】固定用フックを大型化させることなく容易にソケット本体に設けることができ、固定用フックを回動させるとソケット本体から取り外すことができないリレーソケットを提供する。
【解決手段】固定用フック20を回動自在に支持する枢支軸34がソケット本体30の一側部内側面に突設されている。枢支軸34の軸直角断面は、円の一部分が切り取られた形状を有する。固定用フック20の基端部には枢支軸34が嵌り込む軸受部22を備え、軸受部22の両側面には、開口部23を備えた軸受凹部27が形成されている。固定用フック20の回動に伴って変化する枢支軸34に対する開口部23の相対回動位置として、枢支軸34が開口部23を通過することが許容され枢支軸を軸受凹部27に挿入することが可能な取付回動位置を備え、取付回動位置は、固定用フック20が基板12よりも下方に位置する回動範囲内に存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品などを実装する基板に搭載され、リレーが着脱自在に装着されるリレーソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のリレーソケットとしては、リレーを装着部から抜脱するときに、フックをリレーから外してフック基端部に備えられている押圧片によってリレー底面を上側に押し上げることによってリレーを抜脱するタイプのリレーソケット(例えば、特許文献1参照)と、このような押圧片が備えられておらずフックをリレーから外した後に手動でリレーを抜脱するタイプのリレーソケットとがある。
【0003】
後者のタイプのリレーソケットは、典型的には、図17に示すように、ソケット本体1の側部2に固定用フック3が回動自在に設けられた構造を有する。この固定用フック3をソケット本体1に取り付ける場合、固定用フック3を弾性変形させて取り付けている。具体的説明すると、固定用フック3はソケット本体1から取り外された状態では、図18(a)に示すように、フック下部3aが横方向に幅wを有して広がっている形状である。次いで、図18(b)に示すように、フック下部3aが側部2に嵌め入れられるとき、即ち、枢支軸3bが側部2に設けられた軸受部6に嵌め入れられるとき、フック下部3aは樹脂の弾性力によって変形して小さくなる。続いて、図18(c)に示すように、嵌め入れが完了したときには、フック下部3aが嵌め入れ前の状態より狭い幅w´を有して側部2内に存在している。このとき、フック下部3aが元の大きさに戻ろうとする回復力によって、軸受部6に保持されるようになっている。
【0004】
また、リレー4が装着されたとき、固定用フック3は、実線で示す位置において、その上方に位置する係止部3cによってリレーを係止する。一方、リレーを抜脱するときには、係止部3cをリレー4から外して手動でリレー4を上方に抜脱する。このとき、固定用フック3は、破線で示すように、近隣の電子部品5の間に倒れてしまうことがある。
【0005】
【特許文献1】特開2006−32285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなリレーソケットでは、フック下部3aをソケット本体1の側部2に嵌め入れるとき、フック下部3aを弾性変形させて小さくする必要があるため、固定用フック3を予め大きく形成する、即ち大型化させるという課題を有していた。加えて、フック下部3aを弾性変形させて小さくするための力が必要であり、固定用フック3をソケット本体1に容易に取り付けることができないという課題を有していた。また、リレーソケットを基板に搭載し、リレーを装着させて使用しているときにも、樹脂を変形させて固定用フック3をソケット本体1から取り外すことができるという課題を有していた。
【0007】
さらに、上記のリレーソケットに装着されたリレー4を抜脱する必要がある場合、固定用フック3の係止部3cをリレー4から外すときに、固定用フック3が係止位置から離れて近隣の電子部品の間の基板上に倒れてしまい、再び固定用フック3を電子部品の間から拾い上げることが困難であるという課題を有していた。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、固定用フックを大型化させることなく容易にソケット本体に設けることができ、固定用フックを回動させるとソケット本体から固定用フックを取り外すことができず、更に、リレーを抜脱するとき固定用フックを適切に回動位置で仮止めすることができるリレーソケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、リレーが装着されるソケット本体の一側部に、リレーを固定するための長手状の固定用フックが回動自在に設けられ、基板に搭載されるリレーソケットにおいて、前記固定用フックを回動自在に支持する枢支軸がソケット本体の一側部内側面にそれぞれ突設されており、この枢支軸の軸直角断面は、円の一部分が切り取られた形状を有し、前記固定用フックの基端部には前記枢支軸が嵌り込む軸受部を備え、この軸受部の両側面には、前記枢支軸を収納すると共に外部に開口した開口部を備えた軸受凹部がそれぞれ形成されており、前記固定用フックの回動に伴って変化する前記枢支軸に対する開口部の相対回動位置として、前記枢支軸が開口部を通過することが許容され枢支軸を軸受凹部に挿入することが可能な取付回動位置を備え、開口部の回動位置が取付回動位置以外の回動位置に存在している場合は、枢支軸が開口部を通過することができない阻止状態となっており、前記取付回動位置は、前記固定用フックが前記基板よりも下方に位置する回動範囲内に存在することを特徴とする。
【0010】
上記構造であれば、固定用フックは、基板よりも下方に位置する取付回動位置でのみソケット本体に取り付けられ、また、取り外される。そして、固定用フックの回動に伴い開口部も回動するため、軸受凹部に収納された枢支軸は開口部を通過することができなくなる。従って、固定用フックをソケット本体に取付けて基板に搭載した後は、ソケット本体から取り外すことができないという効果を奏する。
また、固定用フックをソケット本体に取付ける場合、枢支軸を開口部から挿入すればよいので、従来のように大きな力で弾性変形を生じさせる必要がなく、容易に固定用フックをソケット本体に取付けることができる。
加えて、枢支軸が開口部を樹脂の弾性力によって変形することなく容易に通過して軸受凹部に嵌め込まれるため、従来のように固定用フックに撓み代を設ける必要がなく、即ち、大型化させることなく、容易にソケット本体に設けることができるという効果をも奏する。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のリレーソケットであって、前記固定用フックの軸受部外周面と前記ソケット本体の何れか一方には、係合突起が設けられ、何れか他方には、係合突起と係合する被係合部が設けられ、前記固定用フックがリレーを係止する係止位置から基板上に位置する基板搭載位置に至るまでの所定の回動位置に位置した場合において、前記係合突起が前記被係合部に係合して固定用フックが仮止めされることを特徴とする。
【0012】
上記構成により、リレーの交換作業等において、固定用フックをリレーから外した場合において、リレーを係止する係止位置から基板上に位置する基板搭載位置に至るまでの所定の回動位置で仮止めされることになる。この結果、従来例のように、固定用フックが近隣の電子部品の間の基板上に倒れてしまい、再び固定用フックを電子部品の間から拾い上げることが困難であるという事態を防止することができる。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載のリレーソケットであって、前記固定用フックの軸受部外周面には周方向に間隔をあけて複数の係合突起が設けられ、前記ソケット本体には前記複数の係合突起の何れにも係合可能な被係合部が設けられていることを特徴する。
【0014】
上記構成により、仮止め位置を多段にすることができ、リレーソケットの近隣の電子部品の高さ位置に応じて仮止め位置を選択することが可能となる。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載のリレーソケットであって、前記固定用フックの軸受部外周面に設けられる係合突起は、固定用フックが前記基板搭載位置から前記係止位置への回動時に前記被係合部に接触する第1の傾斜面と、固定用フックが前記係止位置から前記基板搭載位置への回動時に前記被係合部に接触する第2の傾斜面を有し、第1の傾斜面よりも第2の傾斜面の方が傾斜角度が大きいことを特徴とする。
【0016】
上記構成により、強固に仮止め状態を強固に保持することができると共に、固定用フックを基板搭載位置から前記係止位置へ回動させる場合には、抵抗感なく回動操作を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
(1)固定用フックを、従来のように大きな力で弾性変形を生じさせる必要がなく、容易にソケット本体に取付けることができる。
(2)固定用フックをソケット本体に取付けて基板に搭載した後は、ソケット本体から取り外すことができず、安全性が担保されている。
(3)枢支軸が開口部を樹脂の弾性力によって変形することなく容易に通過して軸受凹部に嵌め込まれるため、従来のように固定用フックに撓み代を設ける必要がなく、即ち、大型化させることなく、容易にソケット本体に設けることができるという効果をも奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を図1〜図15を参照して更に詳細に説明するが、本発明は以下の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
【0019】
図1は本発明のリレーソケットが基板に搭載された状態を示す正面図である。リレーソケット10は、電子部品11を実装する基板12に搭載されて用いられる。このリレーソケット10は、リレー40が装着される樹脂製ソケット本体30と、ソケット本体30の一側部に回動自在に設けられる長手状の樹脂製固定用フック20とから構成されている。
【0020】
図2はリレーソケットの分解斜視図、図3はソケット本体の平面図、図4は図3のA1−A1線矢視断面図である。固定用フック20の先端部にはソケット本体30に装着されたリレー40を係止する係止部21が設けられており、固定用フック20の基端部には略C字形状の外形を有する軸受部22が設けられている。ソケット本体30は、略直方体状であって、リレー40の装着時にリレー40を案内するガイド部31及び、リレー40を装着させる装着部32を備えている。ソケット本体30の一側面には、固定用フック20が嵌り込む溝33が凹設されている。この溝33の対向する内側面には、固定用フック20を回動自在に支持する一対の枢支軸34,34が突設されている。一対の枢支軸34,34は、同一高さ位置に設けられている。
【0021】
図5は軸受部22と枢支軸34とが分離された状態を示す斜視図、図6は軸受部22の側面図、図7は枢支軸34の側面図、図8は図6のB1−B1線矢視断面図、図9は図7のB2−B2線矢視断面図である。軸受部22の両側面には、それぞれ枢支軸34を収納する円形状の軸受凹部27が形成されている。この軸受凹部27には外部に開口した開口部23が形成されており、この開口部23を介して枢支軸34を軸受凹部27に導くようになっている。開口部23の底面26は、軸受凹部27の底面24から図5の側方側(図8においては上方側、又は下方側、)に僅かに突き出た平坦面26bと、平坦面26bに連なり外方側(図8の右側)に向かうに連れて先細状の傾斜面26aとで構成されている。このように開口部23の底面26として傾斜面26aを有することにより、枢支軸34を軸受凹部27に導く際に、ガイドの役割を果たすことになる。また、平坦面26bが底面24から僅かに突き出た構成とすることにより、枢支軸34を軸受凹部27に収納した際にクリック感が得られ、確実に枢支軸34を軸受凹部27に収納することができる。なお、これらの点に関しては、後に詳細に述べる。
【0022】
一方、軸受凹部27に収納される枢支軸34は、その軸直角断面が、円の上側一部分が切断されて下側半円よりも大きな円周体形状を有している。そして、枢支軸34の軸直角断面における縦方向の最大長さL1は、開口部23の間隔L2と略同一に設定されており(図11(1)参照)、枢支軸34の軸直角断面の径R1は、軸受凹部27の内周囲の径R2と略同一に設定されている(図11(1)参照)。このように構成することにより、枢支軸34を、開口部23を介して軸受凹部27に挿入して、従来例のような弾性変形を用いることなく、固定用フック20をソケット本体30に回動自在に取付けることができる。
【0023】
ここで、枢支軸34の軸直角断面形状として上記円周体形状とし、下側半円としないのは、以下の理由による。即ち、枢支軸34の軸直角断面形状としては、円の一部分を切断して軸直角断面における縦方向の最大長さが、円の直径よりも小さい形状である第1条件、及び、枢支軸34が軸受凹部27に収納された状態で枢支軸34により固定用フック20を回動自在に支持することが可能な円弧面を有している第2条件を備えることが必要となる。上記円周体形状であれば、上記第1条件を満たすと共に、下側半円から上側に延在する円弧面34A,34B(図5、図7参照)によって固定用フック20を回動自在に支持可能であるので、上記第2条件をも備えていることになる。
【0024】
また、対向する枢支軸34,34の間の距離L3は、開口部23の底面26の両側平坦面26b間の幅L4と同一とされている(図12(1)参照)。これにより、枢支軸34の挿入時に、枢支軸34の先端面が平坦面26bに軽く接触し得ることになり、軽い抵抗感を感じる。そして、枢支軸34の先端面が平坦面26bを超えて軸受凹部27に収納されると抵抗感がなくなり、これにより枢支軸34が確実に軸受凹部27に収納されたことを知ることが可能となる。
【0025】
また、前記軸受部22の外周面には係合突起28が設けられており、固定用フック20がリレーを係止する係止位置から基板上に位置する基板搭載位置に至るまでの所定の回動位置に位置した場合において、前記係合突起28がソケット本体30の溝33の底面35(被係合部に相当)に係合して固定用フック20が仮止めされるようになっている。この係合突起28は、側面視が略三角形状であり、開口部23側の第1の傾斜面28aと、第1の傾斜面28aとは反対側の第2の傾斜面28bとを有する。そして、第1の傾斜面28aよりも第2の傾斜面28bの方が傾斜角度が大きく形成されている。
【0026】
図10(1)〜(4)は固定用フック20をソケット本体30に取付けてリレー40を係止させるまでの各回動状態を示す図、図11(1)〜(4)は図10(1)〜(4)における軸受部22および枢支軸34の拡大側面図、図12(1)〜(4)は図11(1)〜(4)の断面図である。なお、図12(1)は図11(1)のC1−C1線矢視断面図、図12(2)は図11(2)のC2−C2線矢視断面図、図12(3)は図11(3)のC3−C3線矢視断面図、図12(4)は図11(4)のC4−C4線矢視断面図である。これらの図面を参照して、固定用フック20をソケット本体30に取付け、リレー40を係止させる動作を説明する。
【0027】
先ず、図10(1)に示すように、軸受部22の開口部23が枢支軸34を向くように固定用フック20を配置する。このときの枢支軸34に対する開口部23の位置が、枢支軸34が開口部23を通過することが許容された位置(取付回動位置)に相当する。次いで、図10(2)に示すように、軸受部22を枢支軸34に嵌め入れる。具体的に説明すると、枢支軸34を開口部23を介して挿入する。このとき、枢支軸34は、底面26の傾斜面26aに誘導されながら通過して平坦面26bにおいて位置決めされ、続いて軸受部22内の軸受凹部27に嵌め込まれる(図11(2)および図12(2)参照)。この枢支軸34の挿入時に、枢支軸34の先端面が平坦面26bに軽く接触し得ることになり、軽い抵抗感を感じる。そして、枢支軸34の先端面が平坦面26bを超えて軸受凹部27に収納されると抵抗感がなくなり、これにより枢支軸34が確実に軸受凹部27に収納されたことを知ることが可能となる。
【0028】
次いで、固定用フック20をソケット本体30とほぼ水平になる位置まで回動させ(図10(3)参照)更に、固定用フック20をソケット本体30に対してほぼ垂直になる位置、即ち、装着されたリレーを係止する位置(係止位置、図10(4)参照)まで回動させる。このときの枢支軸34と開口部23との相対回転位置は、図11(3)〜(4)に示されている。この図11(3)〜(4)から明らかなように、軸受凹部27に収納された枢支軸34が開口部23を通過することが阻止された状態となっている。このように、固定用フック20の回動に伴う開口部23の回動位置として、枢支軸34が開口部23を通過することが許容され枢支軸34を軸受凹部27に挿入することが可能な取付回動位置を備え、開口部23の回動位置が取付回動位置以外の回動位置に存在している場合は、枢支軸34が開口部23を通過することができない阻止状態となっており、しかも、取付回動位置は固定用フック20が基板よりも下方に位置する回動範囲内に存在している。
【0029】
なお、固定用フック20がリレー40を係止する係止位置まで回動したとき、図11(4)および図12(4)に示すように、枢支軸34は開口部23を通過できる状態となっている。しかし、軸受部22の端部は溝底面35により封止されているので、枢支軸34は開口部23を通過することはできない。即ち、固定用フック20が取付けられたリレーソケットを基板に搭載した後は、固定用フック20をソケット本体30から取り外すことはできないようになっている。
【0030】
次いで、係合突起28の機能を説明する。
図13(1)〜(4)に、本発明のリレーソケットを基板に搭載したときに固定用フック20が回動する様子を示し、図14(1)〜(4)に、図13(1)〜(4)の各工程における軸受部22と枢支軸34の部分の拡大断面図を示す。
リレー40の装着時においては、図13(1)に示すように、固定用フック20は基板12上に倒れて存在している。固定用フック20のこのときの位置を基板搭載位置とし、このとき、固定用フック20の係合突起28は、図14(1)に示すようにソケット本体30(ハッチング部)側下部に接触していない状態である。
【0031】
次いで、図13(2)に示すように、固定用フック20をリレー40に向かって回動させる。このとき、図14(2)に示すように、係合突起28の第1の傾斜面28aがソケット本体30側下部に接触する。
【0032】
次いで、図13(3)に示すように、固定用フック20を更にリレー40に向かって回動させる。このとき、図14(3)に示すように、係合突起28の第1の傾斜面28aは緩やかな傾斜面であるので、係合突起28は樹脂の弾性力によってソケット本体30側下部の角を越える。更に、固定用フック20を更にリレー40に向かって回動させて、図13(4)に示すように、固定用フック20をリレー40に当接させる。この状態において、固定用フック20の係止部21がリレー40に係止してリレー40が固定される。
【0033】
一方、リレー40を抜脱するとき、固定用フック20の係止部21をリレー40から外すと、固定用フック20は基板搭載位置に向かって回動し、図13(3)および図14(3)に示すように、係合突起28の第2の傾斜面28bがソケット本体30底部に接触する。このとき、第2の傾斜面28bは傾斜面が大きいので、係合突起28がソケット本体30底部に強固に係合し、固定用フック20が仮止めされる。こうして、固定用フック20は、基板搭載位置と係止位置との間の所定回動位置で強固に仮止めされることになる。これにより、固定用フック20が、リレーソケットの近隣の電子部品の間に倒れることがなく、リレー40の取替後に固定用フック20を容易に把持して再度係止位置に回動させることが容易となる。
【0034】
なお、係合突起28は上記構成に限定されない。例えば、図15(a)に示すように、軸受部22の外周面に周方向に間隔をあけて複数の係合突起28を設けるようにしてもよい。このようにすると、仮止め位置を多段にすることができ、リレーソケットの近隣の電子部品の高さ位置に応じて仮止め位置を選択することが可能となる。
【0035】
また、係合突起28の形状としては、図15(b)に示すように、略半円柱形であってもよく、またその他の形状であってもよい。要は、固定用フック20が基板搭載位置から係止位置へ回動する場合は、樹脂の弾性力を利用してソケット本体30側下部を容易に越えることができ、逆に、固定用フック20が係止位置から基板搭載位置へ回動する場合は、ソケット本体30側下部に係合して仮止め状態が維持できれば、いずれの形状であってもよい。
さらに、図15(c)に示すように、係合突起28をソケット本体30側に設けた構造にすることもできる。この場合、固定用フック20が係止位置と基板搭載位置との間で仮止めすることができるように、軸受部22の外周面に、係合突起28に係合する被係合部として係合突起28とほぼ同一の形状を有する窪み29が設けられていることが望ましい。
【0036】
(その他の事項)
(1)固定用フック20に設けられている係止部21は突起形状を有するが、本発明の他の態様のリレーソケットにおいて、装着されたリレーを係止することができれば例えば鉤形状等のいずれの形状を有していてもよい。また、溝33は、ソケット本体の一側面に凹設されているが、両側面に凹設されていてもよい。この場合、両側面の溝には、枢支軸34および固定用フック20も同様に設けられている構造を有することができる。
【0037】
(2)枢支軸34の軸直角断面は上記実施の形態に限定されるものではない。上記したように、枢支軸34の軸直角断面形状としては、円の一部分を切断して軸直角断面における縦方向の最大長さが円の直径よりも小さい形状である第1条件、及び、枢支軸34が軸受凹部27に収納された状態で枢支軸34により固定用フック20を回動自在に支持することが可能な円弧面を有している第2条件を備えていことが必要となる。この条件を満たす限りにおいて、形状が限定されない。例えば、図16(1)に示す形状であってもよく、図16(2)に示す形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、電子部品を実装する基板に搭載され、リレーが着脱自在に装着されるリレーソケットに好適に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のリレーソケットが基板に搭載された状態を示す正面図。
【図2】リレーソケットの分解斜視図。
【図3】ソケット本体の平面図。
【図4】図3のA1−A1線矢視断面図。
【図5】軸受部と枢支軸とが分離された状態を示す斜視図。
【図6】軸受部の側面図。
【図7】枢支軸の側面図。
【図8】図6のB1−B1線矢視断面図。
【図9】図7のB2−B2線矢視断面図。
【図10】固定用フックをソケット本体に取付けてリレーを係止させるまでの各回動状態を示す図。
【図11】図11(1)〜(4)は図10(1)〜(4)における軸受部および枢支軸の拡大側面図。
【図12】図12(1)〜(4)は図11(1)〜(4)の断面図であり、図12(1)は図11(1)のC1−C1線矢視断面図、図12(2)は図11(2)のC2−C2線矢視断面図、図12(3)は図11(3)のC3−C3線矢視断面図、図12(4)は図11(4)のC4−C4線矢視断面図。
【図13】リレーソケットを基板に搭載したときに固定用フックが回動する様子を示す図。
【図14】図14(1)〜(4)は図13(1)〜(4)の各工程に対応する軸受部と枢支軸の拡大断面図。
【図15】係合突起の変形例を示す図。
【図16】他の枢支軸の形状を示す図。
【図17】従来のリレーソケットの側面図。
【図18】従来のリレーソケットにおいて、固定用フックをソケット本体に取り付ける工程を示す図。
【符号の説明】
【0040】
10:リレーソケット
11:電子部品
12:基板
20:固定用フック
21:係止部
22:軸受部
23:開口部
27:軸受凹部
28:係合突起
29:窪み
30:ソケット本体
31:ガイド部
32:装着部
33:溝
34:枢支軸
35:溝底面
40:リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレーが装着されるソケット本体の一側部に、リレーを固定するための長手状の固定用フックが回動自在に設けられ、基板に搭載されるリレーソケットにおいて、
前記固定用フックを回動自在に支持する枢支軸がソケット本体の一側部内側面にそれぞれ突設されており、この枢支軸の軸直角断面は、円の一部分が切り取られた形状を有し、
前記固定用フックの基端部には前記枢支軸が嵌り込む軸受部を備え、この軸受部の両側面には、前記枢支軸を収納すると共に外部に開口した開口部を備えた軸受凹部がそれぞれ形成されており、
前記固定用フックの回動に伴って変化する前記枢支軸に対する開口部の相対回動位置として、前記枢支軸が開口部を通過することが許容され枢支軸を軸受凹部に挿入することが可能な取付回動位置を備え、開口部の回動位置が取付回動位置以外の回動位置に存在している場合は、枢支軸が開口部を通過することができない阻止状態となっており、
前記取付回動位置は、前記固定用フックが前記基板よりも下方に位置する回動範囲内に存在することを特徴とするリレーソケット。
【請求項2】
前記固定用フックの軸受部外周面と前記ソケット本体の何れか一方には、係合突起が設けられ、何れか他方には、係合突起と係合する被係合部が設けられ、
前記固定用フックがリレーを係止する係止位置から基板上に位置する基板搭載位置に至るまでの所定の回動位置に位置した場合において、前記係合突起が前記被係合部に係合して固定用フックが仮止めされることを特徴とする請求項1記載のリレーソケット。
【請求項3】
前記固定用フックの軸受部外周面には周方向に間隔をあけて複数の係合突起が設けられ、前記ソケット本体には前記複数の係合突起の何れにも係合可能な被係合部が設けられていることを特徴する請求項2記載のリレーソケット。
【請求項4】
前記固定用フックの軸受部外周面に設けられる係合突起は、固定用フックが前記基板搭載位置から前記係止位置への回動時に前記被係合部に接触する第1の傾斜面と、固定用フックが前記係止位置から前記基板搭載位置への回動時に前記被係合部に接触する第2の傾斜面を有し、第1の傾斜面よりも第2の傾斜面の方が傾斜角度が大きいことを特徴とする請求項3記載のリレーソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−112659(P2008−112659A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295438(P2006−295438)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】