リレー局およびリレー局を制御するセンタ装置ならびに移動体無線通信システム
【課題】回線設計不要で干渉の問題を発生させることがなく、多数のリレー局を配置でき、その中から、適切なリレー局を自動的に選択して動作させる。
【解決手段】
リレー機能と、移動体端末機能の2つのモードで動作可能なリレー局と、複数のリレー局が接続されるセンタ局を有し、センタ局が、リレー局および移動体端末から送られてきた位置情報とCINRを含むリポートに基づき不感地点を特定し、複数のリレー局の中から、不感地点からの距離が閾値以下で、受信品質が最も良いリレー局を選択し、選択したリレー局がリレー局として動作していない場合には、リレー局として動作するよう指示する。
【解決手段】
リレー機能と、移動体端末機能の2つのモードで動作可能なリレー局と、複数のリレー局が接続されるセンタ局を有し、センタ局が、リレー局および移動体端末から送られてきた位置情報とCINRを含むリポートに基づき不感地点を特定し、複数のリレー局の中から、不感地点からの距離が閾値以下で、受信品質が最も良いリレー局を選択し、選択したリレー局がリレー局として動作していない場合には、リレー局として動作するよう指示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体無線通信技術に関し、特に、移動体端末と基地局との間に位置し、移動体端末と基地局間の信号を中継するリレー局およびリレー局の自動選択技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ型の移動体無線通信システムでは、複数の基地局、あるいはアンテナが様々な場所に分散して配置される。それら複数の基地局、あるいはアンテナのうち、隣接して配置される基地局、あるいはアンテナがカバーする範囲は重なりあって広い地域全体を網羅しており、移動体端末は、信号品質が最も高い基地局に接続するように制御される。移動体無線通信システムは、移動体端末の移動に伴って移動体端末が接続する基地局を次々に切替えるハンドオーバという仕組みを持つことで、移動体端末が移動しながらも無線通信を維持することができる。
【0003】
このような移動体無線通信システムにおいては、ある基地局、あるいはアンテナから送信される信号は、その基地局、あるいはアンテナに接続している複数の移動体端末に向けた情報であり、その基地局、あるいはアンテナに接続していない他の移動体端末の通信にとっては、干渉としての影響を与えてしまう場合がある。干渉は妨害であるため、移動体端末の通信品質やスループットの劣化を招いてしまう。そのため、適切に干渉を制御し、基地局あるいはアンテナ間の干渉が発生しないようにする工夫が必要である。
【0004】
こうした基地局あるいはアンテナ間で干渉が発生するのは、主に隣接するアンテナ、隣接基地局のカバー範囲が重なっている境界領域である。境界領域は、アンテナ、基地局からの信号の電力が弱く、十分な信号品質が確保できない場合がある。そのような信号品質が十分確保できない場所にも十分な信号電力を供給する構成として、標準化団体のIEEE802.16では、リレー局の議論が盛んに成されている。
【0005】
リレー局は移動体端末と基地局との間に位置し、移動体端末から基地局への信号を中継する構成である。あるいは基地局から移動体端末への信号を中継する構成である。前述のような信号の電力の不十分な場所に信号電力を供給する他、遮蔽物があることにより基地局からの信号が遮断され移動体端末に信号が届かないエリアをリレー局を設置することで改善することが可能となる。リレー局が移動体端末と基地局と送受信する信号は、同一周波数を時間的に区分して使用する事や周波数的に区分して使用する事ができる。さらに周波数的に区分した中で時間的に区分して使用する事もできる。
【0006】
また、リレー局には、移動体端末と基地局との間で直接に無線リンクを確立して信号の伝送を行なうシングルホップ接続方式と、複数のリレー局を経由して基地局と移動体端末さ接続されるマルチホップ接続方式がある。特許文献1は、マルチホップ接続方式リレーにおいて、高速通信を実現できる通信経路を決定することが可能な移動通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2003/101132号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】IEEE802.16m System Description Document(4. Overall Network Architecture)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
信号電力の不十分な場所や、信号電力が届かない場所をなくすためには、数多くのリレー局を配置する必要がある。また、リレー局同士の干渉にも注意が必要であり、無線の回線設計が必要となる。しかし、数多くのリレー局を配置した方が良いという事と、各リレー局の無線の回線設計が必要であるという事との2つの事象は相対関係にあり、現実的には必要に応じて数多くのリレー局を、無線の回線設計を行いつつ配置することは難しい。
また、無線の回線設計を行ってリレー局を数多く配置できたとしても、リレー局は常に動作させるのではなく、数多く配置したリレー局の中から必要に応じて適切なリレー局を選択して動作させる必要がある。もともと基地局自体が数多く存在しており、それらの基地局の配下に設置されたさらに数多くのリレー局の中から、適切なリレー局を選択して動作させるには、自動的に選択する仕組みが不可欠となる。本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、回線設計をしなくてもリレー局同士の干渉の問題を発生させることがなく、数多くのリレー局を配置できるようにすることを目的とする。また、数多くのリレー局の中から、適切なリレー局を自動的に選択して動作させる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のリレー局は、基地局から受信した信号を移動体端末に送信するとともに移動体端末から受信した信号を基地局に送信するリレー機能と、移動体端末としての送受信機能の2つのモードで動作可能な通信手段と、位置情報を取得する手段と、基地局から受信した信号の品質を測定する測定手段と、予め定めておいた信号品質の閾値を記憶しておく記憶手段と、制御手段とを有し、センタ局と接続されるリレー局、制御手段が、測定手段で測定した基地局からの受信信号の品質を閾値と比較し、閾値より大きい場合にはセンタ局に位置情報と品質情報を送信してリレー局としての登録処理を行ない、センタ局よりリレー局として動作することを指示する指示信号を受信するまでは通信手段を移動体端末として動作させ、センタ局よりリレー局として動作するよう指示信号を受信すると、通信手段をリレー局として動作させるようにしたものである。
【0011】
また、本発明のセンタ局は、基地局から受信した信号を移動体端末に送信するとともに移動体端末から受信した信号を基地局に送信するリレー機能と、移動体端末としての送受信機能の2つのモードで動作可能なリレー局が複数接続され、複数のリレー局から送信されてきたリポートに含まれるリレー局の位置情報およびリレー局が接続された基地局から受信した信号の品質情報と、基地局またはリレー局と接続された移動体端末から送信されてきたリポートに含まれる位置情報と移動体端末が接続された基地局からの受信信号の品質情報と、不感地点を判定するための品質情報の閾値と、不感地点からの距離の閾値と、を記憶する記憶手段と、制御手段を有し、品質情報が品質情報の閾値より低いリポートの位置情報に基き不感地点を特定し、記憶手段に記憶された複数のリレー局の位置情報および品質情報を参照して、複数のリレー局の中から、不感地点からの距離が予め定めた距離の閾値以下のリレー局を選択し、さらに選択したリレー局の中から受信品質が最も良いリレー局を選択し、リレー局が移動体端末として動作している場合には、リレー局として動作するよう指示する指示信号を送信するようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回線設計をしなくてもリレー局同士の干渉の問題を発生させることがなく、数多くのリレー局を配置することが可能となる。そのため、リレー局の設置のためのコスト、労力、時間を大幅に削減することができる。また、数多くのリレー局の中から、適切なリレー局を自動的に選択して動作させる仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】リレー局を含むセルラ型移動体無線通信システムの構成図である。
【図2】不感地点が発生する様子および不感地点とリレー局の配置との関係について説明する図である。
【図3】リレー局が基地局からの信号品質が悪い移動体端末へリレー動作を行なう場合の通信シーケンス図である。
【図4】リレー局が基地局からの信号電力が届いていない移動体端末へリレー動作を行なう場合の通信シーケンス図である。
【図5】TDD(Time Division Duplex 時分割デュプレックス)方式を用いた移動体無線通信システムにおいて基地局およびリレー局の無線リソースの割当てについて説明する図である。
【図6】FDD(Frequency Division Duplex 周波数分割デュプレックス)方式を用いた移動体無線通信システムにおいて基地局およびリレー局の無線リソースの割当てについて説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態における移動体無線通信システムの構成を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態においてリレー局及び移動体端末から基地局に送信されるリポートを説明する図である。
【図9】本発明の一実施形態におけるリレー局の構成及びリレー局と組合わせる自動販売手段の構成を説明するブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態におけるセンタ局の構成を説明するブロック図である。
【図11】リレー局として起動する候補となるリレー局の登録処理について説明するフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態におけるセンタ局の処理内容を示すフローチャートである。
【図13】センタ局が起動候補のリレー局から起動すべきリレー局を選択する動作を説明するフローチャートである。
【図14】センタ局の移動体端末及びリレー局管理情報テーブルのデータ格納イメージを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
まず、リレー局の基本的な構成および動作について、図1を用いて説明する。
【0015】
図1は、リレー局1を含むセルラ型移動体無線通信システムの構成図である。
基地局3−1あるいは3−2は、基地局を制御する基地局制御装置4と接続する。基地局3−1あるいは3−2は、基地局制御装置4から受信した信号を、無線信号に変換し、移動体端末2に向けて送信する。移動体端末2が建物の影などに入り、受信状態が悪い場合、リレー局1が基地局3−1の送信した信号を一旦受信し、その信号を、適切なタイミング、あるいは周波数において、基地局3−1あるいは3−2が移動体端末2に向けて送信した信号を小電力で中継する。移動体端末2は、中継された信号を受信することで、基地局3−1の送信した信号、すなわち基地局制御装置4から到達した情報を受信することができる。
【0016】
リレー局1は、図1の矢印とは逆方向の上り方向の信号についても信号の中継をサポートする。その場合、移動体端末2が基地局3−1に向けて送信した信号は、基地局3−1にも受信されるが、リレー局1にも受信される。リレー局1は、移動体端末2の近距離に配置されているため、基地局に比べてパスロスが小さい。従って、良好な信号品質にて移動体端末2の送信した信号を受信することができる。また、リレー局1は、屋内ではなく屋外に置かれ、基地局とのパスロスも大きくない状態に配置される。よって、移動体端末2から受信した信号を、適切に増幅して基地局に向けて送信することで、上りの信号の受信が成功となる確率を大幅に上昇させることができる。
【0017】
次に、不感地点とリレー局の配置の関係について説明する。
図2は、不感地点が発生する様子および不感地点とリレー局の配置の関係について説明する図である。
図2には、基地局3がカバーするエリア内に、建物6−1および建物6−2があり、基地局3から送信される信号が建物6−1および6−2に遮蔽され、信号品質が良くないエリア7−1および7−2が発生している様子を表している。記号の「×」は移動体端末が報告してきた不感地点を示す。本発明においては、不感地点とは、基地局からの信号が受信できず移動体端末が通信ができない地点ではなく、基地局からの信号の品質が十分ではなく、通信が確保し難い地点を指す。
【0018】
不感地点とリレー局の配置について考える場合、リレー局を不感地点に近いリレー局1−1あるいはリレー局1−2で示す場所に配置すると効果的である。よって、信号品質が良くないエリア7−1あるいは7−2のエリア改善のために、リレー局1−1および1−2は有効に働く。一方、リレー局1−3は不感地点7−2内に配置されているので不感地点7−2のエリア改善には有効ではない。また、リレー局1−4は不感地点7−1および不感地点7−2からは遠い場所に配置されているので、不感地点7−1あるいは不感地点7−2のエリア改善には役に立たない。
【0019】
このことから、不感地点とリレー局の配置との関係を整理すると、リレー局は、(1)不感地点に近く、かつ (2)リレー局自身は基地局との通信品質が良い という難しい条件を満たす必要がある。今後、通信速度を高速にしたいとのニーズが高くなるほど、このような不感地点の対策が重要になり、数多くのリレー局の配置が望まれるようになるが、その場合は(1)(2)の両方の条件を満足し、かつリレー局同士の干渉も起こさないように配置する必要がある。
【0020】
次に、リレー局の動作について説明する。
図3は、リレー局が基地局からの信号品質が悪い移動体端末へリレー動作を行なう場合のシーケンス図である。
図4は、リレー局が基地局からの信号電力が届いていない移動体端末へリレー動作を行なう場合のシーケンス図である。
【0021】
図3および図4においては、基地局はHARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)をサポートしている場合を例にとって説明している。HARQとは、受信信号を復号し、誤りチェックにより、信号の受信に失敗したと判断した場合の再送方法である。HARQを採用する受信機では、復号後も軟判定状態の信号をメモリに蓄積しておく。復号が失敗した場合に、再送を送信側に要求する。再送されてきた信号は、過去に蓄積された信号と、新たに送られてきた信号とを、軟判定状態の和として求め、加算後の情報を再度、復号化する。過去に受信された信号と、再送された信号は、軟判定状態で加算処理されるために、情報の尤度が改善し、単純な再送に比べて、情報を復号する可能性を高くすることができる。
【0022】
図3について説明する。まず、基地局は、基地局パイロットを送信し(1000)、基地局の存在を配下の移動体端末、およびリレー局に知らせている。図3では、基地局パイロットはリレー局には到達するものの、移動体端末2−1には微弱な信号として受信される様子を点線の矢印で示している。リレー局もリレーパイロットを送信している(1001)。リレーパイロットは、移動体端末2−1には良好に受信されている。移動体端末2−1は、リレーパイロットを良好に受信していることから、リレー局に対してリレー要求メッセージを送信する(1002)。リレー局は、移動体端末2−1から送信されてきたリレー要求メッセージを基地局に転送する(1003)。基地局は、リレー要求メッセージを受信し、移動体端末2−1への信号の送信が、リレー局によって中継された方が有利であることを知り、リレー局に移動体端末2−1への信号の送信をリレーするように指示する。そのため、基地局は、移動体端末2−1からのリレー要求を承知したことを示すリレーACKメッセージをリレー局に対して送信する(1004)。リレー局は、移動体端末2−1に対して、リレーを処置したことを示すリレーACKメッセージを移動体端末2−1に対して送信する(1005)。これにより、リレー動作のネゴシエーションが完了する。
【0023】
基地局は、リレー局を経由して信号を送信することが上記の手順で決まった移動体端末2−1に向けて信号(情報)を送信する場合に、リレー局からの情報の復号成功を示すACKの受領があればHARQを終了するように動作する。すなわち、1回目送信を行う(1006)が、リレー局からのACKを受信したならば(1007)、該当する情報の再送を行わない。1回目の送信は微弱ではあるが、移動体端末2−1にも届いていたとすると、移動体端末2−1はNACKを送信する(1008)。移動端末2−1は、既にリレー局からリレーACKメッセージを受信しているため、NACKの送信相手は基地局ではなく、リレー局となる。移動体端末2−1からNACKを受信したリレー局は、移動体端末2−1に向けて同一情報の2回目送信を行う(1009)。今回は、近くに存在するリレー局からの送信であり、受信できる信号の品質は良好である。さらにはHARQの動作として、基地局から直接受信した、1回目送信(1006)と、リレー局から送信される2回目送信(1009)を軟判定状態で加算することで、情報の尤度をあげ、誤り訂正能力を格段に向上させることができる。基地局はリレー局から既にACKを受信している(1007)ので、2回目送信(1009)と同一のタイミング、同一の周波数を用いて、別の移動体端末2−2に対して別の情報を送信することができる(1010)。この動作によって、周波数の利用効率を向上させることができる。移動体端末2−1からはリレー局に対してACK(1011)が、また、移動体端末2−2からは基地局に対してACKが送信される(1012)。
【0024】
同様に、図4について説明する。図4は基地局から送信される信号が移動体端末2−1に全く届かないケースを示している。まず、基地局は、基地局パイロットを送信し(2000)、基地局の存在を配下の移動体端末、およびリレー局に知らせている。基地局パイロットは、リレー局には到達するものの、移動体端末2−1には到達せず、受信されていない。リレー局もリレーパイロットを送信している(2001)。リレーパイロットは移動体端末2−1には良好に受信されている。このことから、移動体端末2−1にはリレー局に対してリレー要求メッセージを送信する(2002)。リレー局は移動体端末2−1からのリレー要求メッセージを基地局に転送する(2003)。基地局は該当する移動体端末への送信が、リレー局によって中継されることを知る。基地局は、移動体端末2−1からのリレー要求メッセージを受信し、リレー動作を了解したことを示すリレーACKメッセージをリレー局に対して送信する(2004)。リレー局は移動体端末2−1に対して、リレーを処置したことを示すリレーACKメッセージを移動体端末に対して送信する(2005)。これにより、リレー動作のネゴシエーションが完了する。
【0025】
基地局は、リレー局を経由して信号を送信することが上記の手順で決まった移動体端末2−1に向けて信号を送信する場合に、リレー局からのACKがあればHARQを終了するように動作する。すなわち、1回目送信を行う(2006)が、リレー局からのACKがあれば(2007)、該当情報の再送は行わない。1回目送信が移動体端末2−1に届かない場合、リレー局は移動体端末2−1に向けて同一情報の1回目送信を行う(2009)。近くにあるリレー局からの送信であり、1回目送信(2009)で、誤りのない通信を獲得することができる。図示していないが、この通信を失敗した場合は、移動体端末2−1は、リレー局に対してNACKを送信する。NACKを受信したリレー局は、移動体端末2−1に対して2回目送信を行い、移動体端末は、HARQによって受信する。このリレー局が移動体端末2−1に対して1回目送信を行う(2009)タイミング、周波数では、基地局は、別の移動体端末2−2に対して別の情報を送信することができる(2010)。移動体端末2−1からはリレー局に対してACK(2011)が、また、移動体端末2−2からは基地局に対してACKが送信される(2012)。
【0026】
次に移動体無線通信システムにおいてリレー局が存在する場合の無線リソースの割当て方について説明する。
図5は、TDD(Time Division Duplex 時分割デュプレックス)方式を用いた移動体無線通信システムにおいて基地局およびリレー局の無線リソースの割当てについて説明する図である。
図6は、FDD(Frequency Division Duplex 周波数分割デュプレックス)方式を用いた移動体無線通信システムにおいて基地局およびリレー局の無線リソースの割当てについて説明する図である。
【0027】
図5では横軸が時間を、縦軸が周波数を示している。
【0028】
図5(a)は、TDD方式を用いた移動体無線通信システムにおける基地局の無線リソースの割当ての一例である。基地局からリレー局を含む移動体端末への下り通信回線は、101で示す領域を使う。移動体端末から基地局への上り通信回線は、102で示す領域を使う。TDDであるため、上り通信回線と下り通信回線は時間領域で分割されている。
【0029】
図5(b)は、TDD方式を用いた移動体無線通信システムにおけるリレー局の無線リソースの割当ての一例を示している。基地局からリレー局への通信回線は、103で示す領域を使う。リレー局から移動体端末への通信回線は、201で示す領域を使う。リレー局から基地局への通信回線は、104で示す領域を使う。移動体端末からリレー局への通信回線は、202で示す領域を使う。このように無線リソースを割当てることで、基地局と移動体端末は、従来から使用していた無線リソースの一部を使うことで、リレー局との通信が可能となる。また、時分割にすることで、リレー局は基地局に対して情報を送信していると同時に、端末からの信号を受信しなければならないといったことが発生せず、干渉の影響を抑えることができる。そのため、リレー局を小型に構成することができる。
【0030】
図5はTDDのケースであるが、FDDのケースでは、図6に例を示すような無線リソースの割当てとすることができる。図6では横軸が時間を、縦軸が周波数を示している。
図6(a)は、FDD方式を用いた移動体無線通信システムにおける基地局の無線リソースの割当ての一例である。基地局はリレー局を含む移動体端末との通信に周波数が異なる2つの領域を使う。基地局から移動体端末への下り通信回線は、111で示す領域を使う。移動体端末から基地局への上り通信回線は、112で示す領域を使う。
図6(b)は、FDD方式を用いた移動体無線通信システムにおけるリレー局の無線リソースの割当ての一例である。基地局からリレー局への通信回線は、113で示す領域を使う。リレー局から移動体端末への通信回線は、211で示す領域を使う。リレー局から基地局への通信回線は、114で示す領域を使う。移動体端末からリレー局への通信回線は、212で示す領域を使う。このように無線リソースを割当てることで、基地局と移動体端末は、従来から使用していた領域の一部を使って、リレー局との通信が可能となる。また、リレー局は、基地局に対して情報を送信していると同時に、移動体端末からの信号を受信しなければならないといったことが発生せず、干渉の影響を抑えることができる。そのため、リレー局を小型に構成することができる。
【0031】
(実施例)
以下、本発明の具体的な実施例を説明する。
前述の点も含め、リレー局は以下の要件と特徴を持つ。
(1)場所の固定が必要とされる
(2)電源が必要とされる
(3)市街地に数多く設置される
(4)自動販売手段も通信を必要とする
また、後述の理由より、以下のようにすると都合がよい。
(5)屋外で周囲の建物よりも低い場所にある
(1)〜(5)に挙げたリレー局の要件と特徴、そしてリレー局に都合のよい構成を供えたリレー局として、本実施例では、リレー局を、自動販売機を含む自動販売手段と統合して構成する。自動販売機を含む自動販売手段とリレー局を統合することで、本実施例では上記の特徴や要件を満足することを以下で説明する。また、自動販売機を含む自動販売手段とリレー局を統合することでリレー局同士の干渉の問題を発生させることなく、数多くのリレー局を設置することができるようになること、それらの数多くのリレー局を自動で選択して動作させる仕組みについても、以下で説明する。
【0032】
(1)場所の固定が必要とされる
リレー局は自身がリレー局であることを示す信号、あるいはリレーパイロット等の識別信号を送信する。リレー局が移動してしまうと、リレー局の周辺の信号品質が不安定となり、端末は移動するリレー局を探し続けなければならなくなる。そのための移動体端末の電力も消費してしまう。このことから、リレー局は場所が固定される方が都合が良い。本実施例の自動販売手段と統合したリレー局であれば、場所は固定されるので、(1)の要件を満たすことができる。
【0033】
(2)電源が必要とされる
リレー局は、移動体端末への信号の転送が必要であり、常に通信を行わなければならない。そのため、電源を持たないバッテリー式の構成では運用は難しく、常時電源が供給される必要がある。自動販売手段と統合したリレー局であれば、商品の販売を行うための制御装置、ジュース等の商品を冷却、あるいは保温のための電源を備えているため、この電源をリレー局の電源として利用することが可能である。よって、本実施例の自動販売手段と統合したリレー局であれば、(2)の要件を満たすことができる。
【0034】
(3)市街地に数多く配置される
リレー局は、建物の影や屋内などの不感地点対策や、電波の届かない地点の対策として利用される。不感地では、基地局からの信号電力が弱まり、あるいは隣接基地局からの干渉によって、信号の品質が劣化しているために、高効率な信号送信ができない状態になっている。本来であれば、不感地点あるいは電波の届かない地点およびその周辺の信号品質の調査を行い、調査結果に基づいて無線の回線設計を行い、良好な通信を確保するためにリレー局を設置すべき場所を選定し場所を確保して、その場所にリレー局を配置することが望ましい。しかし、市街地に新しい建物が建設されたり、取り壊されたりすることにより頻繁に信号品質が変わること、全国に配置しなければならないこと等を勘案すると、リレー局毎に現地調査や無線の回線設計を行なっていては莫大な作業量やコストが掛かるため、実質そのような調査および無線の回線設計の実施が不可能である。
本実施例の自動販売手段と統合したリレー局は、自動販売手段が特に市街地や人が集まる場所に数多く配置されているものであることから市街地に数多く配置される。また、後で説明する方法によって、その中から適切なものを選択することによって、リレー局間の干渉を防ぎつつ、動作させることが可能である。
【0035】
(4)自動販売手段も通信を必要とする
リレー局を独立に配置する場合、リレー局を設置する事業者は、その全てのコストを請負う必要がある。例えば、電柱に設置する場合においても、電柱に装置を配置するコスト、電柱の賃料等、様々なコストが発生し、そのコストがリレー局の設置を妨げる要因となる。しかし、自動販売手段は、自動販売手段そのものも通信を必要としている。必要な通信とは、例えば、在庫管理を行い、不足する商品があれば、その補充要求を管理元に知らせることである。あるいは、商品の販売促進のための宣伝情報を通信回線より受信して自動販売手段のディスプレイに表示することも考えられる。そのため、自動販売手段が必要とする通信手段に、少しの機能を追加することにより、リレー局として動作させれば、リレー局を設置する事業者は、その設置コストを大幅に抑えることができる。また、自動販売手段の運用業者も、例えばリレー局として場所を提供することによるメリットを、リレー局を運用する事業者に与える対価として、例えば、通信費の大幅な削減を得られれば互いのメリットを共有することができる。
【0036】
(5)屋外で周囲の建物よりも低い場所にある
図5および図6の説明で、リレー局が配下の移動体端末に信号を送信する間に、基地局が同一周波数を使って別の移動体端末に通信を行なうような無線リソースの割当てを取りうることを説明した。リレー局からリレー局配下の移動体端末への信号と、基地局から別の移動体端末への信号の送信が干渉せずにそれらの移動体端末が確実に信号を受信できるようにする必要がある。そのためには、リレー局が送信する電力が微弱であることだけでなく、リレー局が周囲の建物よりも低い位置にあることが重要である。自動販売手段は、人が利用することから、高さが2m程度の位置に自動販売手段の天板がある。この2m程度という高さは、周囲の建物よりは低く、人が移動体端末を持つ位置よりは高い位置である。自動販売手段の天板にアンテナを設置したとしても、2mを少し越える程度であり、周囲の建物より低い位置にアンテナがあることになる。よって、自動販売手段と統合したリレー局のアンテナから送信される信号は、建物をまたがって伝搬する際には大きな減衰を受け、干渉が広がりにくい。一方で、リレー局のアンテナは人の高さより高い位置に設置されていることが多いことから、人が手にもって通信するよりも高い位置にアンテナが設置されることになる。一般にアンテナ高は高い方が、受信感度は良い。よって、2m程度の高さに位置するアンテナは、人が手に持つ移動体端末よりも基地局からの信号をより良好に受信できる環境にある。
【0037】
(本実施例の移動体無線通信システム全体の構成と動作)
図7は本発明の自動販売手段と組合わせて統合したリレー局を含む移動体無線通信システムの構成を説明する図である。
【0038】
本発明のリレー局は、リレー局としての機能である、基地局3−1からの信号を移動体端末2へ送信する機能と移動体端末2からの信号を基地局3−1へ送信する機能を有する。また、基地局3−1および3−2には、基地局制御装置4が接続される。基地局制御装置4にはセンタ局5が接続される。センタ局については、図10で説明する。また、リレー局については図9で説明する。
【0039】
図8は本発明の実施例においてリレー局及び移動体端末から基地局に送信されるリポートを説明する図である。
リレー局および移動体端末は、タイマーあるいはセンタからの指示、あるいは予め設定されていたトリガーによって、センタ局にリポートを送信する。リレー局および移動体端末からのリポートには、リレー局および移動体端末の位置と基地局のパイロット信号を使って測定したCINR(Carrier to Interference-plus-Noise Ratio 搬送波レベル対干渉・雑音比)の情報が含まれる。位置情報は、例えば、GPSから受信した信号を用いて測定される。あるいは、基地局から送信されるパイロット信号を使った位置特定手段を用いても良い。
【0040】
(センタ局の構成と動作)
図10は、本実施例のセンタ局の構成を説明するブロック図である。
センタ局5の役割は、膨大な数のリレー局を管理することである。センタ局5は、基地局3−1、基地局3−2を経由して移動体端末から不感地点の情報(不感地点の位置情報および不感地点のCINRの情報)を入手し、その情報を基に適切なリレー局を選択し、選択したリレー局に対して、リレー動作を指示する。
【0041】
図10に示すセンタ局5は、基地局制御部4と接続するためのネットワークインターフェース部(NW I/F部)51を有し、基地局制御部4、基地局3を介してリレー局および移動体端末との通信を行っている。リレー局および移動体端末からのリポートに含まれるリレー局および移動体端末の位置情報とCINRの情報は、CPU52に読み取られ、データベース部(Data base)53に格納される。CPU52はデータベースに格納された情報を使い、以下に説明するフローに従ってリレー局を選択する。
【0042】
図12は本発明のセンタ局の処理内容を示すフローチャートである。
まず、センタ局5は、移動体端末からのリポートを受け取る(ステップ501)。次に受け取ったリポートに含まれるCINRを閾値と比較し、閾値よりも低く不感地点であるか判断する(ステップ502)。条件が成立し、不感地点であると判断した場合には、不感地点の近くに配置されているリレー局を探索する(ステップ503)。探索した結果、不感地点の近くに配置されている起動中のリレーが無いと判断する(ステップ504)と、データベースに蓄積されたリレー局の情報を参照し、起動候補のリレー局から新規のリレー局を探索する。(ステップ505)。
【0043】
一方、ステップ502において、不感地点の近くに配置されているリレー局を探索し、起動中のリレーが有ると判断する(ステップ504)と、何らかの異常が発生したものと判断し、事業者に対してアラームを発出する(ステップ506)。
【0044】
図13はセンタ局が探索した起動候補のリレー局から起動すべきリレー局を選択する動作を説明するフローチャートである。
センタ局5は、起動候補のリレー局から起動すべきリレー局を選択する場合、まず不感地点からの距離が閾値以内である起動候補のリレー局をデータベースから探索する(ステップ507)。得られた起動候補のリレー局の中からCINRが最も高いリレー局を選択する(ステップ508)。選択したリレー局にリレー局として起動を開始するように指示する。
このように起動候補のリレー局から、不感地点に近く、基地局からの受信信号の品質が良好なリレー局を選択することで、適切なリレー局を選択して起動することができる。
【0045】
図14はセンタ局の移動体端末及びリレー局の管理情報テーブルのデータ格納イメージを説明する図である。
センタ局5は、移動体端末が報告するリポートに含まれる移動体端末の位置情報とCINR情報とを管理している。また、リレー局が報告するリレー局登録情報に含まれるリレー局の位置情報とCINR情報とを管理している。移動体端末が報告してきたリポートからは、CINRが低いエリアを確認することができる。互いに近接した複数の地点からCINRが低いリポートがあがってきた場合に、そのエリアを不感地点と判定する。リレー局が報告するリレー局登録情報は、不感地点が発生した場合、図12および図13で説明したフローにしたがってその不感地点に近い位置にある起動していないリレー局を複数選択し、その候補の中から、CINRが最も良好なリレー局を起動すべきリレー局として選択するために使われる。
【0046】
図示していないが、リレー局が移動体端末として動作しているかリレー局として動作しているかの情報は、リレー局の管理テーブルに、リレー局が移動体端末として動作しているかリレー局として動作しているかを判別するためのフラグを設け、管理することが一例として考えられる。
【0047】
(リレー局の構成と動作)
図9は本実施例のリレー局の構成及びリレー局と組合わせる自動販売手段の構成を説明するブロック図である。
図9に示すリレー局10は、通信手段9と自動販売手段8とに分かれる。
デフォルトの動作では、本実施例の自動販売手段と統合したリレー局はリレー局としては動作しておらず、通信手段9は、単なる端末として動作する。本実施例の自動販売手段と統合したリレー局は、センタ局からリレー局として動作することを指示するメッセージを受けると、リレー局としての動作に移行する。
【0048】
<端末としてのリレー局の動作>
まず、デフォルトの動作である単なる端末として動作する場合について説明する。
通信手段9は、移動体端末および基地局との信号を送受信する無線回路部(RF)91と、ベースバンド信号処理を行うベースバンド部(BB)92と、通信手段9の各種制御を司るCPU93と、自動販売手段8と接続するネットワークインターフェース部(NW I/F)94とを有している。また、GPSユニット部(GPS)95を有し、GPSユニット部(GPS)95は、供給されたGPS信号を分析し、現在の位置および時刻情報を再生して、クロックを再生する。求められたこれらの情報はCPU93などに供給される。
【0049】
端末として動作する場合の下り通信回線の処理を説明する。
無線回路部(RF)91は、アンテナが受信した信号をベースバンド信号に変換する。また、アンテナが受信したGPS信号をGPSユニット部(GPS)95に供給する。
ベースバンド部(BB)92は、無線回路部(RF)91が生成したベースバンド信号を信号処理し、CINRの測定や復号処理を行う。復号された情報はCPU93に供給される。ここで、復号が失敗した場合には、メモリに復号前の尤度情報(あるいは軟判定情報)を蓄積しておく。HARQで再送された信号は、メモリに蓄積されていた情報と、新たに受信した情報を加算して、再度、復号を試みる。こうしたHARQに関する信号処理はベースバンド部(BB)92において行われる。復号が成功した場合、ACK情報が、適切なタイミング、適切な周波数において生成され、無線回路部(RF)91に送られる。無線回路部(RF)91は、ACK情報を無線周波数に変換し、アンテナから信号を送信する。復号が成功した信号は、移動体端末に向けて送信される。CPU93が判断したタイミング、周波数において、移動体端末に向けた情報の送信が指示される。ベースバンド部(BB)92は、指示されたタイミング、周波数において、移動体端末に向けたベースバンド信号を生成する。生成されたベースバンド信号は無線回路部(RF)91に送られ、アンテナから信号を送信する。
【0050】
端末として動作する場合の上り通信回線の処理を説明する。
まず、CPU93の指示によって適切なタイミング、適切な周波数において、ベースバンド信号がベースバンド部(BB)92において生成される。生成された信号は、無線回路部(RF)91に送られ、無線周波数に変換されてアンテナから送信される。
端末動作の場合、基地局から受信した情報は、ネットワークインターフェース部(NW I/F)94を介して自動販売手段8に渡される。自動販売手段8は、自動販売手段8の各種制御を司るCPU81と、自動販売手段8と接続した通信手段9を介して通信する商品の在庫を管理する情報を格納した商品管理ユニット(商品管理)83と、自動販売手段8と接続した通信手段9を介して通信する宣伝広告情報を表示するディスプレー82とを有している。自動販売手段8のCPU81は得られた情報を加工し、例えばディスプレー82に情報を表示する。あるいは、渡された情報に従い、在庫管理のリポートを作成する。そのため、商品管理ユニット(商品管理)83にアクセスし、商品の購買状況などを調査する。調査結果は、ネットワークインターフェース部(NW I/F)94を介して通信手段9に渡され、無線処理を行って基地局に情報を伝達する。
【0051】
<リレー局動作の起動>
図11はリレー局として起動候補となるリレー局の登録処理について説明するフローチャートである。
リレー局は、基地局から受信した信号のCINRを測定し(ステップ401)、リレー局はCINRの測定結果を閾値と比較する(ステップ402)。CINRの測定結果が閾値よりも高く、条件を満足する場合には、前記CINRと位置情報とを含むリレー局登録情報をセンタ局に送信する(ステップ403)。ステップ402において、閾値条件を満足しない場合には前記リレー局登録情報をセンタ局に送信しない(ステップ404)。
【0052】
図9において、リポートはCPU93が作成し、上り通信回線の信号処理を通じて基地局を介してセンタ局に報告される。センタ局では、不感地点情報などを基にリレー局を選定し、リレー局として動作することを指示するメッセージを選定したリレー局に通知する。リレー局は、センタ局からの指示を無線を介して受信する。CPU93は、リレー局動作指示を受けるとリレー局としての動作を起動する。
【0053】
<リレー動作>
無線回路部(RF)91は、アンテナが受信した信号をベースバンド信号に変換する。ベースバンド部(BB)92は、無線回路部(RF)91が生成したベースバンド信号を信号処理し、CINRの測定や復号処理を行う。復号された情報はCPU93に供給される。得られた情報は一旦メモリに蓄積された後、CPUの指示によって端末に向けて送信される。リレーの形態が、図3に示す形態であった場合、端末からのNACK受信によって送信が開始される。リレーの形態が、図4に示す形態であった場合、CPUが他の通信との状況を判断し、スケジューリングを行い、適切なタイミングにおいて適切な周波数を使い信号を移動体端末に向けて送信する。その際には、CPU93の指示によって適切なタイミング、適切な周波数において、ベースバンド信号がベースバンド部(BB)92において生成される。生成された信号は、無線回路部(RF)91に送られ、無線周波数に変換されてアンテナから送信される。
【0054】
また、リレー局10は、移動体端末からの信号も受信する。移動体端末が送信した信号はアンテナで受信される。無線回路部(RF)91は、アンテナが受信した信号の周波数変換を行い、ベースバンド信号に変換する。無線回路部(RF)91がベースバンド信号に変換した信号は、ベースバンド部(BB)92において信号処理が行われ、復号処理までを完了する。復号の成否は、ACKあるいはNACK情報によって移動体端末に通知され、必要に応じて、HARQなどの処理が行われる。ここで生成されたACKあるいはNACK情報は、ベースバンド部(BB)92で生成され、無線回路部(RF)91を通じてアンテナから送信される。
【0055】
復号が完了した情報は、基地局に向けて送信される。CPU93の指示によって適切なタイミング、適切な周波数において、ベースバンド信号がベースバンド部(BB)92において生成される。生成された信号は、無線回路部(RF)91に送られ、無線周波数に変換されてアンテナから送信される。
【符号の説明】
【0056】
1 リレー局
1−1 リレー局
1−2 リレー局
1−3 リレー局
1−4 リレー局
2 移動体端末
3 基地局
3−1 基地局
3−2 基地局
4 基地局制御装置
5 センタ局
6−1 遮蔽物
6−2 遮蔽物
7−1 信号品質が良くないエリア
7−2 信号品質が良くないエリア
8 自動販売手段
9 通信手段
10 自動販売手段と組合わせて統合したリレー局
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体無線通信技術に関し、特に、移動体端末と基地局との間に位置し、移動体端末と基地局間の信号を中継するリレー局およびリレー局の自動選択技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ型の移動体無線通信システムでは、複数の基地局、あるいはアンテナが様々な場所に分散して配置される。それら複数の基地局、あるいはアンテナのうち、隣接して配置される基地局、あるいはアンテナがカバーする範囲は重なりあって広い地域全体を網羅しており、移動体端末は、信号品質が最も高い基地局に接続するように制御される。移動体無線通信システムは、移動体端末の移動に伴って移動体端末が接続する基地局を次々に切替えるハンドオーバという仕組みを持つことで、移動体端末が移動しながらも無線通信を維持することができる。
【0003】
このような移動体無線通信システムにおいては、ある基地局、あるいはアンテナから送信される信号は、その基地局、あるいはアンテナに接続している複数の移動体端末に向けた情報であり、その基地局、あるいはアンテナに接続していない他の移動体端末の通信にとっては、干渉としての影響を与えてしまう場合がある。干渉は妨害であるため、移動体端末の通信品質やスループットの劣化を招いてしまう。そのため、適切に干渉を制御し、基地局あるいはアンテナ間の干渉が発生しないようにする工夫が必要である。
【0004】
こうした基地局あるいはアンテナ間で干渉が発生するのは、主に隣接するアンテナ、隣接基地局のカバー範囲が重なっている境界領域である。境界領域は、アンテナ、基地局からの信号の電力が弱く、十分な信号品質が確保できない場合がある。そのような信号品質が十分確保できない場所にも十分な信号電力を供給する構成として、標準化団体のIEEE802.16では、リレー局の議論が盛んに成されている。
【0005】
リレー局は移動体端末と基地局との間に位置し、移動体端末から基地局への信号を中継する構成である。あるいは基地局から移動体端末への信号を中継する構成である。前述のような信号の電力の不十分な場所に信号電力を供給する他、遮蔽物があることにより基地局からの信号が遮断され移動体端末に信号が届かないエリアをリレー局を設置することで改善することが可能となる。リレー局が移動体端末と基地局と送受信する信号は、同一周波数を時間的に区分して使用する事や周波数的に区分して使用する事ができる。さらに周波数的に区分した中で時間的に区分して使用する事もできる。
【0006】
また、リレー局には、移動体端末と基地局との間で直接に無線リンクを確立して信号の伝送を行なうシングルホップ接続方式と、複数のリレー局を経由して基地局と移動体端末さ接続されるマルチホップ接続方式がある。特許文献1は、マルチホップ接続方式リレーにおいて、高速通信を実現できる通信経路を決定することが可能な移動通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2003/101132号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】IEEE802.16m System Description Document(4. Overall Network Architecture)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
信号電力の不十分な場所や、信号電力が届かない場所をなくすためには、数多くのリレー局を配置する必要がある。また、リレー局同士の干渉にも注意が必要であり、無線の回線設計が必要となる。しかし、数多くのリレー局を配置した方が良いという事と、各リレー局の無線の回線設計が必要であるという事との2つの事象は相対関係にあり、現実的には必要に応じて数多くのリレー局を、無線の回線設計を行いつつ配置することは難しい。
また、無線の回線設計を行ってリレー局を数多く配置できたとしても、リレー局は常に動作させるのではなく、数多く配置したリレー局の中から必要に応じて適切なリレー局を選択して動作させる必要がある。もともと基地局自体が数多く存在しており、それらの基地局の配下に設置されたさらに数多くのリレー局の中から、適切なリレー局を選択して動作させるには、自動的に選択する仕組みが不可欠となる。本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、回線設計をしなくてもリレー局同士の干渉の問題を発生させることがなく、数多くのリレー局を配置できるようにすることを目的とする。また、数多くのリレー局の中から、適切なリレー局を自動的に選択して動作させる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のリレー局は、基地局から受信した信号を移動体端末に送信するとともに移動体端末から受信した信号を基地局に送信するリレー機能と、移動体端末としての送受信機能の2つのモードで動作可能な通信手段と、位置情報を取得する手段と、基地局から受信した信号の品質を測定する測定手段と、予め定めておいた信号品質の閾値を記憶しておく記憶手段と、制御手段とを有し、センタ局と接続されるリレー局、制御手段が、測定手段で測定した基地局からの受信信号の品質を閾値と比較し、閾値より大きい場合にはセンタ局に位置情報と品質情報を送信してリレー局としての登録処理を行ない、センタ局よりリレー局として動作することを指示する指示信号を受信するまでは通信手段を移動体端末として動作させ、センタ局よりリレー局として動作するよう指示信号を受信すると、通信手段をリレー局として動作させるようにしたものである。
【0011】
また、本発明のセンタ局は、基地局から受信した信号を移動体端末に送信するとともに移動体端末から受信した信号を基地局に送信するリレー機能と、移動体端末としての送受信機能の2つのモードで動作可能なリレー局が複数接続され、複数のリレー局から送信されてきたリポートに含まれるリレー局の位置情報およびリレー局が接続された基地局から受信した信号の品質情報と、基地局またはリレー局と接続された移動体端末から送信されてきたリポートに含まれる位置情報と移動体端末が接続された基地局からの受信信号の品質情報と、不感地点を判定するための品質情報の閾値と、不感地点からの距離の閾値と、を記憶する記憶手段と、制御手段を有し、品質情報が品質情報の閾値より低いリポートの位置情報に基き不感地点を特定し、記憶手段に記憶された複数のリレー局の位置情報および品質情報を参照して、複数のリレー局の中から、不感地点からの距離が予め定めた距離の閾値以下のリレー局を選択し、さらに選択したリレー局の中から受信品質が最も良いリレー局を選択し、リレー局が移動体端末として動作している場合には、リレー局として動作するよう指示する指示信号を送信するようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回線設計をしなくてもリレー局同士の干渉の問題を発生させることがなく、数多くのリレー局を配置することが可能となる。そのため、リレー局の設置のためのコスト、労力、時間を大幅に削減することができる。また、数多くのリレー局の中から、適切なリレー局を自動的に選択して動作させる仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】リレー局を含むセルラ型移動体無線通信システムの構成図である。
【図2】不感地点が発生する様子および不感地点とリレー局の配置との関係について説明する図である。
【図3】リレー局が基地局からの信号品質が悪い移動体端末へリレー動作を行なう場合の通信シーケンス図である。
【図4】リレー局が基地局からの信号電力が届いていない移動体端末へリレー動作を行なう場合の通信シーケンス図である。
【図5】TDD(Time Division Duplex 時分割デュプレックス)方式を用いた移動体無線通信システムにおいて基地局およびリレー局の無線リソースの割当てについて説明する図である。
【図6】FDD(Frequency Division Duplex 周波数分割デュプレックス)方式を用いた移動体無線通信システムにおいて基地局およびリレー局の無線リソースの割当てについて説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態における移動体無線通信システムの構成を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態においてリレー局及び移動体端末から基地局に送信されるリポートを説明する図である。
【図9】本発明の一実施形態におけるリレー局の構成及びリレー局と組合わせる自動販売手段の構成を説明するブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態におけるセンタ局の構成を説明するブロック図である。
【図11】リレー局として起動する候補となるリレー局の登録処理について説明するフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態におけるセンタ局の処理内容を示すフローチャートである。
【図13】センタ局が起動候補のリレー局から起動すべきリレー局を選択する動作を説明するフローチャートである。
【図14】センタ局の移動体端末及びリレー局管理情報テーブルのデータ格納イメージを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
まず、リレー局の基本的な構成および動作について、図1を用いて説明する。
【0015】
図1は、リレー局1を含むセルラ型移動体無線通信システムの構成図である。
基地局3−1あるいは3−2は、基地局を制御する基地局制御装置4と接続する。基地局3−1あるいは3−2は、基地局制御装置4から受信した信号を、無線信号に変換し、移動体端末2に向けて送信する。移動体端末2が建物の影などに入り、受信状態が悪い場合、リレー局1が基地局3−1の送信した信号を一旦受信し、その信号を、適切なタイミング、あるいは周波数において、基地局3−1あるいは3−2が移動体端末2に向けて送信した信号を小電力で中継する。移動体端末2は、中継された信号を受信することで、基地局3−1の送信した信号、すなわち基地局制御装置4から到達した情報を受信することができる。
【0016】
リレー局1は、図1の矢印とは逆方向の上り方向の信号についても信号の中継をサポートする。その場合、移動体端末2が基地局3−1に向けて送信した信号は、基地局3−1にも受信されるが、リレー局1にも受信される。リレー局1は、移動体端末2の近距離に配置されているため、基地局に比べてパスロスが小さい。従って、良好な信号品質にて移動体端末2の送信した信号を受信することができる。また、リレー局1は、屋内ではなく屋外に置かれ、基地局とのパスロスも大きくない状態に配置される。よって、移動体端末2から受信した信号を、適切に増幅して基地局に向けて送信することで、上りの信号の受信が成功となる確率を大幅に上昇させることができる。
【0017】
次に、不感地点とリレー局の配置の関係について説明する。
図2は、不感地点が発生する様子および不感地点とリレー局の配置の関係について説明する図である。
図2には、基地局3がカバーするエリア内に、建物6−1および建物6−2があり、基地局3から送信される信号が建物6−1および6−2に遮蔽され、信号品質が良くないエリア7−1および7−2が発生している様子を表している。記号の「×」は移動体端末が報告してきた不感地点を示す。本発明においては、不感地点とは、基地局からの信号が受信できず移動体端末が通信ができない地点ではなく、基地局からの信号の品質が十分ではなく、通信が確保し難い地点を指す。
【0018】
不感地点とリレー局の配置について考える場合、リレー局を不感地点に近いリレー局1−1あるいはリレー局1−2で示す場所に配置すると効果的である。よって、信号品質が良くないエリア7−1あるいは7−2のエリア改善のために、リレー局1−1および1−2は有効に働く。一方、リレー局1−3は不感地点7−2内に配置されているので不感地点7−2のエリア改善には有効ではない。また、リレー局1−4は不感地点7−1および不感地点7−2からは遠い場所に配置されているので、不感地点7−1あるいは不感地点7−2のエリア改善には役に立たない。
【0019】
このことから、不感地点とリレー局の配置との関係を整理すると、リレー局は、(1)不感地点に近く、かつ (2)リレー局自身は基地局との通信品質が良い という難しい条件を満たす必要がある。今後、通信速度を高速にしたいとのニーズが高くなるほど、このような不感地点の対策が重要になり、数多くのリレー局の配置が望まれるようになるが、その場合は(1)(2)の両方の条件を満足し、かつリレー局同士の干渉も起こさないように配置する必要がある。
【0020】
次に、リレー局の動作について説明する。
図3は、リレー局が基地局からの信号品質が悪い移動体端末へリレー動作を行なう場合のシーケンス図である。
図4は、リレー局が基地局からの信号電力が届いていない移動体端末へリレー動作を行なう場合のシーケンス図である。
【0021】
図3および図4においては、基地局はHARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)をサポートしている場合を例にとって説明している。HARQとは、受信信号を復号し、誤りチェックにより、信号の受信に失敗したと判断した場合の再送方法である。HARQを採用する受信機では、復号後も軟判定状態の信号をメモリに蓄積しておく。復号が失敗した場合に、再送を送信側に要求する。再送されてきた信号は、過去に蓄積された信号と、新たに送られてきた信号とを、軟判定状態の和として求め、加算後の情報を再度、復号化する。過去に受信された信号と、再送された信号は、軟判定状態で加算処理されるために、情報の尤度が改善し、単純な再送に比べて、情報を復号する可能性を高くすることができる。
【0022】
図3について説明する。まず、基地局は、基地局パイロットを送信し(1000)、基地局の存在を配下の移動体端末、およびリレー局に知らせている。図3では、基地局パイロットはリレー局には到達するものの、移動体端末2−1には微弱な信号として受信される様子を点線の矢印で示している。リレー局もリレーパイロットを送信している(1001)。リレーパイロットは、移動体端末2−1には良好に受信されている。移動体端末2−1は、リレーパイロットを良好に受信していることから、リレー局に対してリレー要求メッセージを送信する(1002)。リレー局は、移動体端末2−1から送信されてきたリレー要求メッセージを基地局に転送する(1003)。基地局は、リレー要求メッセージを受信し、移動体端末2−1への信号の送信が、リレー局によって中継された方が有利であることを知り、リレー局に移動体端末2−1への信号の送信をリレーするように指示する。そのため、基地局は、移動体端末2−1からのリレー要求を承知したことを示すリレーACKメッセージをリレー局に対して送信する(1004)。リレー局は、移動体端末2−1に対して、リレーを処置したことを示すリレーACKメッセージを移動体端末2−1に対して送信する(1005)。これにより、リレー動作のネゴシエーションが完了する。
【0023】
基地局は、リレー局を経由して信号を送信することが上記の手順で決まった移動体端末2−1に向けて信号(情報)を送信する場合に、リレー局からの情報の復号成功を示すACKの受領があればHARQを終了するように動作する。すなわち、1回目送信を行う(1006)が、リレー局からのACKを受信したならば(1007)、該当する情報の再送を行わない。1回目の送信は微弱ではあるが、移動体端末2−1にも届いていたとすると、移動体端末2−1はNACKを送信する(1008)。移動端末2−1は、既にリレー局からリレーACKメッセージを受信しているため、NACKの送信相手は基地局ではなく、リレー局となる。移動体端末2−1からNACKを受信したリレー局は、移動体端末2−1に向けて同一情報の2回目送信を行う(1009)。今回は、近くに存在するリレー局からの送信であり、受信できる信号の品質は良好である。さらにはHARQの動作として、基地局から直接受信した、1回目送信(1006)と、リレー局から送信される2回目送信(1009)を軟判定状態で加算することで、情報の尤度をあげ、誤り訂正能力を格段に向上させることができる。基地局はリレー局から既にACKを受信している(1007)ので、2回目送信(1009)と同一のタイミング、同一の周波数を用いて、別の移動体端末2−2に対して別の情報を送信することができる(1010)。この動作によって、周波数の利用効率を向上させることができる。移動体端末2−1からはリレー局に対してACK(1011)が、また、移動体端末2−2からは基地局に対してACKが送信される(1012)。
【0024】
同様に、図4について説明する。図4は基地局から送信される信号が移動体端末2−1に全く届かないケースを示している。まず、基地局は、基地局パイロットを送信し(2000)、基地局の存在を配下の移動体端末、およびリレー局に知らせている。基地局パイロットは、リレー局には到達するものの、移動体端末2−1には到達せず、受信されていない。リレー局もリレーパイロットを送信している(2001)。リレーパイロットは移動体端末2−1には良好に受信されている。このことから、移動体端末2−1にはリレー局に対してリレー要求メッセージを送信する(2002)。リレー局は移動体端末2−1からのリレー要求メッセージを基地局に転送する(2003)。基地局は該当する移動体端末への送信が、リレー局によって中継されることを知る。基地局は、移動体端末2−1からのリレー要求メッセージを受信し、リレー動作を了解したことを示すリレーACKメッセージをリレー局に対して送信する(2004)。リレー局は移動体端末2−1に対して、リレーを処置したことを示すリレーACKメッセージを移動体端末に対して送信する(2005)。これにより、リレー動作のネゴシエーションが完了する。
【0025】
基地局は、リレー局を経由して信号を送信することが上記の手順で決まった移動体端末2−1に向けて信号を送信する場合に、リレー局からのACKがあればHARQを終了するように動作する。すなわち、1回目送信を行う(2006)が、リレー局からのACKがあれば(2007)、該当情報の再送は行わない。1回目送信が移動体端末2−1に届かない場合、リレー局は移動体端末2−1に向けて同一情報の1回目送信を行う(2009)。近くにあるリレー局からの送信であり、1回目送信(2009)で、誤りのない通信を獲得することができる。図示していないが、この通信を失敗した場合は、移動体端末2−1は、リレー局に対してNACKを送信する。NACKを受信したリレー局は、移動体端末2−1に対して2回目送信を行い、移動体端末は、HARQによって受信する。このリレー局が移動体端末2−1に対して1回目送信を行う(2009)タイミング、周波数では、基地局は、別の移動体端末2−2に対して別の情報を送信することができる(2010)。移動体端末2−1からはリレー局に対してACK(2011)が、また、移動体端末2−2からは基地局に対してACKが送信される(2012)。
【0026】
次に移動体無線通信システムにおいてリレー局が存在する場合の無線リソースの割当て方について説明する。
図5は、TDD(Time Division Duplex 時分割デュプレックス)方式を用いた移動体無線通信システムにおいて基地局およびリレー局の無線リソースの割当てについて説明する図である。
図6は、FDD(Frequency Division Duplex 周波数分割デュプレックス)方式を用いた移動体無線通信システムにおいて基地局およびリレー局の無線リソースの割当てについて説明する図である。
【0027】
図5では横軸が時間を、縦軸が周波数を示している。
【0028】
図5(a)は、TDD方式を用いた移動体無線通信システムにおける基地局の無線リソースの割当ての一例である。基地局からリレー局を含む移動体端末への下り通信回線は、101で示す領域を使う。移動体端末から基地局への上り通信回線は、102で示す領域を使う。TDDであるため、上り通信回線と下り通信回線は時間領域で分割されている。
【0029】
図5(b)は、TDD方式を用いた移動体無線通信システムにおけるリレー局の無線リソースの割当ての一例を示している。基地局からリレー局への通信回線は、103で示す領域を使う。リレー局から移動体端末への通信回線は、201で示す領域を使う。リレー局から基地局への通信回線は、104で示す領域を使う。移動体端末からリレー局への通信回線は、202で示す領域を使う。このように無線リソースを割当てることで、基地局と移動体端末は、従来から使用していた無線リソースの一部を使うことで、リレー局との通信が可能となる。また、時分割にすることで、リレー局は基地局に対して情報を送信していると同時に、端末からの信号を受信しなければならないといったことが発生せず、干渉の影響を抑えることができる。そのため、リレー局を小型に構成することができる。
【0030】
図5はTDDのケースであるが、FDDのケースでは、図6に例を示すような無線リソースの割当てとすることができる。図6では横軸が時間を、縦軸が周波数を示している。
図6(a)は、FDD方式を用いた移動体無線通信システムにおける基地局の無線リソースの割当ての一例である。基地局はリレー局を含む移動体端末との通信に周波数が異なる2つの領域を使う。基地局から移動体端末への下り通信回線は、111で示す領域を使う。移動体端末から基地局への上り通信回線は、112で示す領域を使う。
図6(b)は、FDD方式を用いた移動体無線通信システムにおけるリレー局の無線リソースの割当ての一例である。基地局からリレー局への通信回線は、113で示す領域を使う。リレー局から移動体端末への通信回線は、211で示す領域を使う。リレー局から基地局への通信回線は、114で示す領域を使う。移動体端末からリレー局への通信回線は、212で示す領域を使う。このように無線リソースを割当てることで、基地局と移動体端末は、従来から使用していた領域の一部を使って、リレー局との通信が可能となる。また、リレー局は、基地局に対して情報を送信していると同時に、移動体端末からの信号を受信しなければならないといったことが発生せず、干渉の影響を抑えることができる。そのため、リレー局を小型に構成することができる。
【0031】
(実施例)
以下、本発明の具体的な実施例を説明する。
前述の点も含め、リレー局は以下の要件と特徴を持つ。
(1)場所の固定が必要とされる
(2)電源が必要とされる
(3)市街地に数多く設置される
(4)自動販売手段も通信を必要とする
また、後述の理由より、以下のようにすると都合がよい。
(5)屋外で周囲の建物よりも低い場所にある
(1)〜(5)に挙げたリレー局の要件と特徴、そしてリレー局に都合のよい構成を供えたリレー局として、本実施例では、リレー局を、自動販売機を含む自動販売手段と統合して構成する。自動販売機を含む自動販売手段とリレー局を統合することで、本実施例では上記の特徴や要件を満足することを以下で説明する。また、自動販売機を含む自動販売手段とリレー局を統合することでリレー局同士の干渉の問題を発生させることなく、数多くのリレー局を設置することができるようになること、それらの数多くのリレー局を自動で選択して動作させる仕組みについても、以下で説明する。
【0032】
(1)場所の固定が必要とされる
リレー局は自身がリレー局であることを示す信号、あるいはリレーパイロット等の識別信号を送信する。リレー局が移動してしまうと、リレー局の周辺の信号品質が不安定となり、端末は移動するリレー局を探し続けなければならなくなる。そのための移動体端末の電力も消費してしまう。このことから、リレー局は場所が固定される方が都合が良い。本実施例の自動販売手段と統合したリレー局であれば、場所は固定されるので、(1)の要件を満たすことができる。
【0033】
(2)電源が必要とされる
リレー局は、移動体端末への信号の転送が必要であり、常に通信を行わなければならない。そのため、電源を持たないバッテリー式の構成では運用は難しく、常時電源が供給される必要がある。自動販売手段と統合したリレー局であれば、商品の販売を行うための制御装置、ジュース等の商品を冷却、あるいは保温のための電源を備えているため、この電源をリレー局の電源として利用することが可能である。よって、本実施例の自動販売手段と統合したリレー局であれば、(2)の要件を満たすことができる。
【0034】
(3)市街地に数多く配置される
リレー局は、建物の影や屋内などの不感地点対策や、電波の届かない地点の対策として利用される。不感地では、基地局からの信号電力が弱まり、あるいは隣接基地局からの干渉によって、信号の品質が劣化しているために、高効率な信号送信ができない状態になっている。本来であれば、不感地点あるいは電波の届かない地点およびその周辺の信号品質の調査を行い、調査結果に基づいて無線の回線設計を行い、良好な通信を確保するためにリレー局を設置すべき場所を選定し場所を確保して、その場所にリレー局を配置することが望ましい。しかし、市街地に新しい建物が建設されたり、取り壊されたりすることにより頻繁に信号品質が変わること、全国に配置しなければならないこと等を勘案すると、リレー局毎に現地調査や無線の回線設計を行なっていては莫大な作業量やコストが掛かるため、実質そのような調査および無線の回線設計の実施が不可能である。
本実施例の自動販売手段と統合したリレー局は、自動販売手段が特に市街地や人が集まる場所に数多く配置されているものであることから市街地に数多く配置される。また、後で説明する方法によって、その中から適切なものを選択することによって、リレー局間の干渉を防ぎつつ、動作させることが可能である。
【0035】
(4)自動販売手段も通信を必要とする
リレー局を独立に配置する場合、リレー局を設置する事業者は、その全てのコストを請負う必要がある。例えば、電柱に設置する場合においても、電柱に装置を配置するコスト、電柱の賃料等、様々なコストが発生し、そのコストがリレー局の設置を妨げる要因となる。しかし、自動販売手段は、自動販売手段そのものも通信を必要としている。必要な通信とは、例えば、在庫管理を行い、不足する商品があれば、その補充要求を管理元に知らせることである。あるいは、商品の販売促進のための宣伝情報を通信回線より受信して自動販売手段のディスプレイに表示することも考えられる。そのため、自動販売手段が必要とする通信手段に、少しの機能を追加することにより、リレー局として動作させれば、リレー局を設置する事業者は、その設置コストを大幅に抑えることができる。また、自動販売手段の運用業者も、例えばリレー局として場所を提供することによるメリットを、リレー局を運用する事業者に与える対価として、例えば、通信費の大幅な削減を得られれば互いのメリットを共有することができる。
【0036】
(5)屋外で周囲の建物よりも低い場所にある
図5および図6の説明で、リレー局が配下の移動体端末に信号を送信する間に、基地局が同一周波数を使って別の移動体端末に通信を行なうような無線リソースの割当てを取りうることを説明した。リレー局からリレー局配下の移動体端末への信号と、基地局から別の移動体端末への信号の送信が干渉せずにそれらの移動体端末が確実に信号を受信できるようにする必要がある。そのためには、リレー局が送信する電力が微弱であることだけでなく、リレー局が周囲の建物よりも低い位置にあることが重要である。自動販売手段は、人が利用することから、高さが2m程度の位置に自動販売手段の天板がある。この2m程度という高さは、周囲の建物よりは低く、人が移動体端末を持つ位置よりは高い位置である。自動販売手段の天板にアンテナを設置したとしても、2mを少し越える程度であり、周囲の建物より低い位置にアンテナがあることになる。よって、自動販売手段と統合したリレー局のアンテナから送信される信号は、建物をまたがって伝搬する際には大きな減衰を受け、干渉が広がりにくい。一方で、リレー局のアンテナは人の高さより高い位置に設置されていることが多いことから、人が手にもって通信するよりも高い位置にアンテナが設置されることになる。一般にアンテナ高は高い方が、受信感度は良い。よって、2m程度の高さに位置するアンテナは、人が手に持つ移動体端末よりも基地局からの信号をより良好に受信できる環境にある。
【0037】
(本実施例の移動体無線通信システム全体の構成と動作)
図7は本発明の自動販売手段と組合わせて統合したリレー局を含む移動体無線通信システムの構成を説明する図である。
【0038】
本発明のリレー局は、リレー局としての機能である、基地局3−1からの信号を移動体端末2へ送信する機能と移動体端末2からの信号を基地局3−1へ送信する機能を有する。また、基地局3−1および3−2には、基地局制御装置4が接続される。基地局制御装置4にはセンタ局5が接続される。センタ局については、図10で説明する。また、リレー局については図9で説明する。
【0039】
図8は本発明の実施例においてリレー局及び移動体端末から基地局に送信されるリポートを説明する図である。
リレー局および移動体端末は、タイマーあるいはセンタからの指示、あるいは予め設定されていたトリガーによって、センタ局にリポートを送信する。リレー局および移動体端末からのリポートには、リレー局および移動体端末の位置と基地局のパイロット信号を使って測定したCINR(Carrier to Interference-plus-Noise Ratio 搬送波レベル対干渉・雑音比)の情報が含まれる。位置情報は、例えば、GPSから受信した信号を用いて測定される。あるいは、基地局から送信されるパイロット信号を使った位置特定手段を用いても良い。
【0040】
(センタ局の構成と動作)
図10は、本実施例のセンタ局の構成を説明するブロック図である。
センタ局5の役割は、膨大な数のリレー局を管理することである。センタ局5は、基地局3−1、基地局3−2を経由して移動体端末から不感地点の情報(不感地点の位置情報および不感地点のCINRの情報)を入手し、その情報を基に適切なリレー局を選択し、選択したリレー局に対して、リレー動作を指示する。
【0041】
図10に示すセンタ局5は、基地局制御部4と接続するためのネットワークインターフェース部(NW I/F部)51を有し、基地局制御部4、基地局3を介してリレー局および移動体端末との通信を行っている。リレー局および移動体端末からのリポートに含まれるリレー局および移動体端末の位置情報とCINRの情報は、CPU52に読み取られ、データベース部(Data base)53に格納される。CPU52はデータベースに格納された情報を使い、以下に説明するフローに従ってリレー局を選択する。
【0042】
図12は本発明のセンタ局の処理内容を示すフローチャートである。
まず、センタ局5は、移動体端末からのリポートを受け取る(ステップ501)。次に受け取ったリポートに含まれるCINRを閾値と比較し、閾値よりも低く不感地点であるか判断する(ステップ502)。条件が成立し、不感地点であると判断した場合には、不感地点の近くに配置されているリレー局を探索する(ステップ503)。探索した結果、不感地点の近くに配置されている起動中のリレーが無いと判断する(ステップ504)と、データベースに蓄積されたリレー局の情報を参照し、起動候補のリレー局から新規のリレー局を探索する。(ステップ505)。
【0043】
一方、ステップ502において、不感地点の近くに配置されているリレー局を探索し、起動中のリレーが有ると判断する(ステップ504)と、何らかの異常が発生したものと判断し、事業者に対してアラームを発出する(ステップ506)。
【0044】
図13はセンタ局が探索した起動候補のリレー局から起動すべきリレー局を選択する動作を説明するフローチャートである。
センタ局5は、起動候補のリレー局から起動すべきリレー局を選択する場合、まず不感地点からの距離が閾値以内である起動候補のリレー局をデータベースから探索する(ステップ507)。得られた起動候補のリレー局の中からCINRが最も高いリレー局を選択する(ステップ508)。選択したリレー局にリレー局として起動を開始するように指示する。
このように起動候補のリレー局から、不感地点に近く、基地局からの受信信号の品質が良好なリレー局を選択することで、適切なリレー局を選択して起動することができる。
【0045】
図14はセンタ局の移動体端末及びリレー局の管理情報テーブルのデータ格納イメージを説明する図である。
センタ局5は、移動体端末が報告するリポートに含まれる移動体端末の位置情報とCINR情報とを管理している。また、リレー局が報告するリレー局登録情報に含まれるリレー局の位置情報とCINR情報とを管理している。移動体端末が報告してきたリポートからは、CINRが低いエリアを確認することができる。互いに近接した複数の地点からCINRが低いリポートがあがってきた場合に、そのエリアを不感地点と判定する。リレー局が報告するリレー局登録情報は、不感地点が発生した場合、図12および図13で説明したフローにしたがってその不感地点に近い位置にある起動していないリレー局を複数選択し、その候補の中から、CINRが最も良好なリレー局を起動すべきリレー局として選択するために使われる。
【0046】
図示していないが、リレー局が移動体端末として動作しているかリレー局として動作しているかの情報は、リレー局の管理テーブルに、リレー局が移動体端末として動作しているかリレー局として動作しているかを判別するためのフラグを設け、管理することが一例として考えられる。
【0047】
(リレー局の構成と動作)
図9は本実施例のリレー局の構成及びリレー局と組合わせる自動販売手段の構成を説明するブロック図である。
図9に示すリレー局10は、通信手段9と自動販売手段8とに分かれる。
デフォルトの動作では、本実施例の自動販売手段と統合したリレー局はリレー局としては動作しておらず、通信手段9は、単なる端末として動作する。本実施例の自動販売手段と統合したリレー局は、センタ局からリレー局として動作することを指示するメッセージを受けると、リレー局としての動作に移行する。
【0048】
<端末としてのリレー局の動作>
まず、デフォルトの動作である単なる端末として動作する場合について説明する。
通信手段9は、移動体端末および基地局との信号を送受信する無線回路部(RF)91と、ベースバンド信号処理を行うベースバンド部(BB)92と、通信手段9の各種制御を司るCPU93と、自動販売手段8と接続するネットワークインターフェース部(NW I/F)94とを有している。また、GPSユニット部(GPS)95を有し、GPSユニット部(GPS)95は、供給されたGPS信号を分析し、現在の位置および時刻情報を再生して、クロックを再生する。求められたこれらの情報はCPU93などに供給される。
【0049】
端末として動作する場合の下り通信回線の処理を説明する。
無線回路部(RF)91は、アンテナが受信した信号をベースバンド信号に変換する。また、アンテナが受信したGPS信号をGPSユニット部(GPS)95に供給する。
ベースバンド部(BB)92は、無線回路部(RF)91が生成したベースバンド信号を信号処理し、CINRの測定や復号処理を行う。復号された情報はCPU93に供給される。ここで、復号が失敗した場合には、メモリに復号前の尤度情報(あるいは軟判定情報)を蓄積しておく。HARQで再送された信号は、メモリに蓄積されていた情報と、新たに受信した情報を加算して、再度、復号を試みる。こうしたHARQに関する信号処理はベースバンド部(BB)92において行われる。復号が成功した場合、ACK情報が、適切なタイミング、適切な周波数において生成され、無線回路部(RF)91に送られる。無線回路部(RF)91は、ACK情報を無線周波数に変換し、アンテナから信号を送信する。復号が成功した信号は、移動体端末に向けて送信される。CPU93が判断したタイミング、周波数において、移動体端末に向けた情報の送信が指示される。ベースバンド部(BB)92は、指示されたタイミング、周波数において、移動体端末に向けたベースバンド信号を生成する。生成されたベースバンド信号は無線回路部(RF)91に送られ、アンテナから信号を送信する。
【0050】
端末として動作する場合の上り通信回線の処理を説明する。
まず、CPU93の指示によって適切なタイミング、適切な周波数において、ベースバンド信号がベースバンド部(BB)92において生成される。生成された信号は、無線回路部(RF)91に送られ、無線周波数に変換されてアンテナから送信される。
端末動作の場合、基地局から受信した情報は、ネットワークインターフェース部(NW I/F)94を介して自動販売手段8に渡される。自動販売手段8は、自動販売手段8の各種制御を司るCPU81と、自動販売手段8と接続した通信手段9を介して通信する商品の在庫を管理する情報を格納した商品管理ユニット(商品管理)83と、自動販売手段8と接続した通信手段9を介して通信する宣伝広告情報を表示するディスプレー82とを有している。自動販売手段8のCPU81は得られた情報を加工し、例えばディスプレー82に情報を表示する。あるいは、渡された情報に従い、在庫管理のリポートを作成する。そのため、商品管理ユニット(商品管理)83にアクセスし、商品の購買状況などを調査する。調査結果は、ネットワークインターフェース部(NW I/F)94を介して通信手段9に渡され、無線処理を行って基地局に情報を伝達する。
【0051】
<リレー局動作の起動>
図11はリレー局として起動候補となるリレー局の登録処理について説明するフローチャートである。
リレー局は、基地局から受信した信号のCINRを測定し(ステップ401)、リレー局はCINRの測定結果を閾値と比較する(ステップ402)。CINRの測定結果が閾値よりも高く、条件を満足する場合には、前記CINRと位置情報とを含むリレー局登録情報をセンタ局に送信する(ステップ403)。ステップ402において、閾値条件を満足しない場合には前記リレー局登録情報をセンタ局に送信しない(ステップ404)。
【0052】
図9において、リポートはCPU93が作成し、上り通信回線の信号処理を通じて基地局を介してセンタ局に報告される。センタ局では、不感地点情報などを基にリレー局を選定し、リレー局として動作することを指示するメッセージを選定したリレー局に通知する。リレー局は、センタ局からの指示を無線を介して受信する。CPU93は、リレー局動作指示を受けるとリレー局としての動作を起動する。
【0053】
<リレー動作>
無線回路部(RF)91は、アンテナが受信した信号をベースバンド信号に変換する。ベースバンド部(BB)92は、無線回路部(RF)91が生成したベースバンド信号を信号処理し、CINRの測定や復号処理を行う。復号された情報はCPU93に供給される。得られた情報は一旦メモリに蓄積された後、CPUの指示によって端末に向けて送信される。リレーの形態が、図3に示す形態であった場合、端末からのNACK受信によって送信が開始される。リレーの形態が、図4に示す形態であった場合、CPUが他の通信との状況を判断し、スケジューリングを行い、適切なタイミングにおいて適切な周波数を使い信号を移動体端末に向けて送信する。その際には、CPU93の指示によって適切なタイミング、適切な周波数において、ベースバンド信号がベースバンド部(BB)92において生成される。生成された信号は、無線回路部(RF)91に送られ、無線周波数に変換されてアンテナから送信される。
【0054】
また、リレー局10は、移動体端末からの信号も受信する。移動体端末が送信した信号はアンテナで受信される。無線回路部(RF)91は、アンテナが受信した信号の周波数変換を行い、ベースバンド信号に変換する。無線回路部(RF)91がベースバンド信号に変換した信号は、ベースバンド部(BB)92において信号処理が行われ、復号処理までを完了する。復号の成否は、ACKあるいはNACK情報によって移動体端末に通知され、必要に応じて、HARQなどの処理が行われる。ここで生成されたACKあるいはNACK情報は、ベースバンド部(BB)92で生成され、無線回路部(RF)91を通じてアンテナから送信される。
【0055】
復号が完了した情報は、基地局に向けて送信される。CPU93の指示によって適切なタイミング、適切な周波数において、ベースバンド信号がベースバンド部(BB)92において生成される。生成された信号は、無線回路部(RF)91に送られ、無線周波数に変換されてアンテナから送信される。
【符号の説明】
【0056】
1 リレー局
1−1 リレー局
1−2 リレー局
1−3 リレー局
1−4 リレー局
2 移動体端末
3 基地局
3−1 基地局
3−2 基地局
4 基地局制御装置
5 センタ局
6−1 遮蔽物
6−2 遮蔽物
7−1 信号品質が良くないエリア
7−2 信号品質が良くないエリア
8 自動販売手段
9 通信手段
10 自動販売手段と組合わせて統合したリレー局
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局から受信した信号を移動体端末に送信するとともに移動体端末から受信した信号を基地局に送信するリレー機能と、移動体端末としての送受信機能の2つのモードで動作可能な通信手段と、
位置情報を取得する手段と、
基地局から受信した信号の品質を測定する測定手段と、
予め定めておいた信号品質の閾値を記憶しておく記憶手段と、
制御手段とを有し、センタ局と接続されるリレー局であって、
前記制御手段は、
前記測定手段で測定した基地局からの受信信号の品質を前記閾値と比較し、前記閾値より大きい場合には前記センタ局に前記位置情報と品質情報を送信してリレー局としての登録処理を行ない、
前記センタ局よりリレー局として動作することを指示する指示信号を受信するまでは、前記通信手段を移動体端末として動作させ、
前記センタ局よりリレー局として動作するよう指示信号を受信すると、前記通信手段をリレー局として動作させることを特徴とするリレー局。
【請求項2】
前記リレー局は、商品を自動で販売する自動販売手段に合わせて設置されたものであることを特徴とする請求項1に記載のリレー局。
【請求項3】
前記リレー局は、基地局から受信した信号を前記記憶部に蓄積し、蓄積した信号を前記記憶部より読みだして移動体端末に送信することを特徴とする請求項1に記載のリレー局。
【請求項4】
前記リレー局は、移動体端末として動作している場合には、前記センタ局からの指示または定期的にまたは予め設定しておいた契機に前記センタ局に位置情報および品質情報の報告を行うことを特徴とする請求項1に記載のリレー局。
【請求項5】
基地局から受信した信号を移動体端末に送信するとともに移動体端末から受信した信号を基地局に送信するリレー機能と、移動体端末としての送受信機能の2つのモードで動作可能なリレー局が複数接続されるセンタ局であって、
該センタ局は、
前記複数のリレー局から送信されてきたリポートに含まれる該リレー局の位置情報および該リレー局が接続された基地局から受信した信号の品質情報と、前記基地局またはリレー局と接続された移動体端末から送信されてきたリポートに含まれる位置情報と該移動体端末が接続された基地局からの受信信号の品質情報と、不感地点を判定するための品質情報の閾値と、不感地点からの距離の閾値と、を記憶する記憶手段と、
制御手段を有し、
該制御手段は、
品質情報が前記品質情報の閾値より低いリポートの位置情報に基き不感地点を特定し、
前記記憶手段に記憶された前記複数のリレー局の位置情報および品質情報を参照して、前記複数のリレー局の中から、前記不感地点からの距離が予め定めた前記距離の閾値以下のリレー局を選択し、さらに該選択したリレー局の中から受信品質が最も良いリレー局を選択し、該リレー局が移動体端末として動作している場合には、リレー局として動作するよう指示する指示信号を送信することを特徴とするセンタ局。
【請求項6】
前記選択したリレー局が、既にリレー局として動作している場合には、該選択したリレー局に異常が発生していると判断し、アラームを発することを特徴とする請求項65に記載のセンタ局。
【請求項7】
基地局から受信した信号を移動体端末に送信するとともに移動体端末から受信した信号を基地局に送信するリレー機能と、移動体端末としての送受信機能の2つのモードで動作可能な複数のリレー局と、
前記複数のリレー局が接続されるセンタ局とを有する移動体無線通信システムであって、
前記センタ局は、
前記複数のリレー局から送信されてきたリポートに含まれる該リレー局の位置情報および該リレー局が接続された基地局から受信した信号の品質情報と、前記基地局またはリレー局と接続された移動体端末から送信されてきたリポートに含まれる位置情報と該移動体端末が接続された基地局からの受信信号の品質情報と、不感地点を判定するための品質情報の閾値と、不感地点からの距離の閾値と、を記憶し、
前記記憶した情報に基いて、品質情報が前記品質情報の閾値より低いリポートの位置情報に基き不感地点を特定し、前記複数のリレー局の位置情報および品質情報を参照して、前記複数のリレー局の中から、前記不感地点からの距離が予め定めた前記距離の閾値以下のリレー局を選択し、さらに該選択したリレー局の中から受信品質が最も良いリレー局を選択し、該リレー局が移動体端末として動作している場合には、リレー局として動作するよう指示する指示信号を送信することを特徴とする移動体無線通信システム。
【請求項1】
基地局から受信した信号を移動体端末に送信するとともに移動体端末から受信した信号を基地局に送信するリレー機能と、移動体端末としての送受信機能の2つのモードで動作可能な通信手段と、
位置情報を取得する手段と、
基地局から受信した信号の品質を測定する測定手段と、
予め定めておいた信号品質の閾値を記憶しておく記憶手段と、
制御手段とを有し、センタ局と接続されるリレー局であって、
前記制御手段は、
前記測定手段で測定した基地局からの受信信号の品質を前記閾値と比較し、前記閾値より大きい場合には前記センタ局に前記位置情報と品質情報を送信してリレー局としての登録処理を行ない、
前記センタ局よりリレー局として動作することを指示する指示信号を受信するまでは、前記通信手段を移動体端末として動作させ、
前記センタ局よりリレー局として動作するよう指示信号を受信すると、前記通信手段をリレー局として動作させることを特徴とするリレー局。
【請求項2】
前記リレー局は、商品を自動で販売する自動販売手段に合わせて設置されたものであることを特徴とする請求項1に記載のリレー局。
【請求項3】
前記リレー局は、基地局から受信した信号を前記記憶部に蓄積し、蓄積した信号を前記記憶部より読みだして移動体端末に送信することを特徴とする請求項1に記載のリレー局。
【請求項4】
前記リレー局は、移動体端末として動作している場合には、前記センタ局からの指示または定期的にまたは予め設定しておいた契機に前記センタ局に位置情報および品質情報の報告を行うことを特徴とする請求項1に記載のリレー局。
【請求項5】
基地局から受信した信号を移動体端末に送信するとともに移動体端末から受信した信号を基地局に送信するリレー機能と、移動体端末としての送受信機能の2つのモードで動作可能なリレー局が複数接続されるセンタ局であって、
該センタ局は、
前記複数のリレー局から送信されてきたリポートに含まれる該リレー局の位置情報および該リレー局が接続された基地局から受信した信号の品質情報と、前記基地局またはリレー局と接続された移動体端末から送信されてきたリポートに含まれる位置情報と該移動体端末が接続された基地局からの受信信号の品質情報と、不感地点を判定するための品質情報の閾値と、不感地点からの距離の閾値と、を記憶する記憶手段と、
制御手段を有し、
該制御手段は、
品質情報が前記品質情報の閾値より低いリポートの位置情報に基き不感地点を特定し、
前記記憶手段に記憶された前記複数のリレー局の位置情報および品質情報を参照して、前記複数のリレー局の中から、前記不感地点からの距離が予め定めた前記距離の閾値以下のリレー局を選択し、さらに該選択したリレー局の中から受信品質が最も良いリレー局を選択し、該リレー局が移動体端末として動作している場合には、リレー局として動作するよう指示する指示信号を送信することを特徴とするセンタ局。
【請求項6】
前記選択したリレー局が、既にリレー局として動作している場合には、該選択したリレー局に異常が発生していると判断し、アラームを発することを特徴とする請求項65に記載のセンタ局。
【請求項7】
基地局から受信した信号を移動体端末に送信するとともに移動体端末から受信した信号を基地局に送信するリレー機能と、移動体端末としての送受信機能の2つのモードで動作可能な複数のリレー局と、
前記複数のリレー局が接続されるセンタ局とを有する移動体無線通信システムであって、
前記センタ局は、
前記複数のリレー局から送信されてきたリポートに含まれる該リレー局の位置情報および該リレー局が接続された基地局から受信した信号の品質情報と、前記基地局またはリレー局と接続された移動体端末から送信されてきたリポートに含まれる位置情報と該移動体端末が接続された基地局からの受信信号の品質情報と、不感地点を判定するための品質情報の閾値と、不感地点からの距離の閾値と、を記憶し、
前記記憶した情報に基いて、品質情報が前記品質情報の閾値より低いリポートの位置情報に基き不感地点を特定し、前記複数のリレー局の位置情報および品質情報を参照して、前記複数のリレー局の中から、前記不感地点からの距離が予め定めた前記距離の閾値以下のリレー局を選択し、さらに該選択したリレー局の中から受信品質が最も良いリレー局を選択し、該リレー局が移動体端末として動作している場合には、リレー局として動作するよう指示する指示信号を送信することを特徴とする移動体無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−54732(P2012−54732A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195277(P2010−195277)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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