説明

リング状の非担持触媒の製造方法

リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理によるリング状の非担持触媒の製造方法、その際、前記リング状の非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度は≧12N及び≦23Nである。更に、この場合に生じた特別な細孔構造を有するリング状の非担持触媒、並びに気相接触部分酸化による(メタ)アクロレインを製造するための前記リング状の非担持触媒の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性材料が一般式I
Mo12BiFe (I)
[式中、
=ニッケル及び/又はコバルト、
=タリウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、
=亜鉛、リン、ヒ素、ホウ素、アンチモン、スズ、セリウム、鉛及び又はタングステン、
=ケイ素、アルミニウム、チタン及び/又はジルコニウム、
a=0.2〜5、
b=0.01〜5、
c=0〜10、
d=0〜2、
e=0〜8、
f=0〜10及び
n=式I中の酸素とは異なる元素の原子価及び頻度により決定される数]の化学量論
又は、一般式II
[Ya′b′x′[Yc′d′e′f′g′h′y′ (II)
[式中、
=ビスマスだけか又はビスマスとテルル、アンチモン、スズ及び銅の元素の少なくとも1種、
=モリブデン又はモリブデンとタングステン、
=アルカリ金属、タリウム及び/又はサマリウム、
=アルカリ土類金属、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、亜鉛、スズ、カドミウム及び/又は水銀、
=鉄又は鉄とバナジウム、クロム及びセリウムの元素の少なくとも1種、
=リン、ヒ素、ホウ素及び/又はアンチモン、
=希土類金属、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、レニウム、ルテニウム、ロジウム、銀、金、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、鉛、トリウム及び/又はウラン、
a′=0.01〜8、
b′=0.1〜30、
c′=0〜4、
d′=0〜20、
e′>0〜20、
f′=0〜6、
g′=0〜15、
h′=8〜16、
x′、y′=式II中の酸素とは異なる元素の原子価及び頻度により決定される数、及び
p、q=比p/qが0.1〜10である数、]の化学量論を有し、かつそのリング状の形状は、場合により生じた端面の湾曲を考慮せずに、長さL2〜11mm、外径A2〜11mm、壁厚W0.75mm〜1.75mmである、リングの湾曲した端面及び/又は湾曲していない端面を有するリング状の非担持触媒を製造するにあたり、前記活性材料の元素の構成物の供給源から、微細粒の成形可能な混合物を製造し、前記混合物から、場合により付形助剤及び/又は補強助剤の添加後に、端面が湾曲された及び/又は湾曲されていないリング状の非担持触媒前駆成形体を成形し、かつ前記成形体を高めた温度で熱処理してリング状の非担持触媒に変換させる、リングの湾曲した端面及び/又は湾曲していない端面を有するリング状の非担持触媒の製造方法に関する。
【0002】
更に、本発明は、プロペンからアクロレインへ並びにイソ−ブテンもしくはtert−ブタノールもしくはこのメチルエーテルからメタクロレインへの気相接触部分酸化のための高い活性及び選択性を有する触媒としての、本発明による方法により得られたリング状の非担持触媒の使用に関する。
【0003】
冒頭に記載されたリング状の非担持触媒の製造方法は公知である(例えばEP-A 575897, DE-A 3300044, DE-A 19855913, DE-A 10046957, EP-A 1340538, DE-A 19948523, DE-A 44070202並びにDE-A 10101695参照)。同様に、前記の文献からは、このようなリング状の非担持触媒の、プロペンからアクロレインへ並びにイソ−ブテンもしくはtert−ブタノールもしくはtert−ブタノールのメチルエーテルからメタクロレインへの気相接触部分酸化のための触媒としての使用は公知である。
【0004】
リング状の非担持触媒前駆成形体の成形のために適用される力に関しては、先行技術の文献は一般に何も言及していない。
【0005】
DE-A 10101695及びDE-A 10121592は単に、これに関して、リング状の非担持触媒前駆成形体へのコンパクト化(緻密化)を、生じたリング状の非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度が10Nであるように行うということが教示されているにすぎない。
【0006】
しかしながら、例えば、DE-A 10101695の前記教示の欠点は、DE-A 10101695の前記教示により得られたリング状の非担持触媒が、プロペンからアクロレインもしくはイソ−ブテン又はtert−ブタノール(もしくはそのメチルエーテル)からメタクロレインへの気相接触部分酸化のための触媒として使用する場合に、その活性に関して並びに目的生成物生成の選択性に関して完全には満足できないことにある。
【0007】
従って、本発明の課題は、リング状の非担持触媒の改善された製造方法を提供することであった。
【0008】
従って、冒頭に記載されたような製造方法において、リング状の非担持触媒前駆成形体の成形(緻密化)を、生じるリング状の非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度が≧12N及び≦23Nであるように行うことを特徴とする製造方法が見出された。生じたリング状の非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度が≧13N及び≦22Nもしくは≧14N及び≦21Nであるのが有利である。生じたリング状の非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度が≧15N及び≦20Nであるのが更に特に有利である。
【0009】
更に、リング状の非担持触媒前駆成形体に成形すべき微細粒の成形可能な混合物の粒度は、本発明の場合に有利に200μm〜1.5mm、特に有利に400μm〜1mmである。有利には、全質量の少なくとも80質量%、有利に少なくとも90質量%、特に有利に少なくとも95又は98質量%又はそれ以上が前記粒度範囲内にある。
【0010】
側面圧縮強度とは、この場合、本願明細書において、リング状の非担持触媒前駆成形体の、円柱状の円周部に対して垂直方向の(つまりリング開口部の面に対して平行方向の)圧縮における圧縮強度であると解釈される。
【0011】
この場合、この明細書の全ての側面圧縮強度は、Zwick GmbH & Co. (D-89079 Ulm)社のタイプZ2.5/TS1Sの材料試験機を用いた測定に関する。この材料試験機は、迅速で、静止する、増加する又は交替する変化による、準静的負荷用に設計されている。この材料試験機は、引張試験、圧縮試験及び曲げ試験のために適している。A.S.T. (D-01307 Dresden)社のタイプKAF−TCの、製造番号03−2038の取り付けられたロードセルは、この場合、DIN EN ISO 7500-1に応じて校正され、測定範囲1〜500Nについて使用可能であった(測定信頼性:±0.2%)。
【0012】
前記測定は次のパラメータで実施した:
初期力:0.5N。
【0013】
初期力−速度:10mm/min
試験速度:1.6mm/minn
この場合、上側のプランジャをまずゆっくりとリング状の非担持触媒前駆成形体の円筒状の円周部の面の直前まで降下させた。次いで、前記の上側のプランジャを停止させ、引き続き前記プランジャを明らかにゆっくりとした試験速度で、更なる降下のために必要な最小の初期力で降下させた。
【0014】
非担持触媒前駆成形体に亀裂を形成させる初期力が、側面圧縮強度(SDF)である。
【0015】
本発明の場合に、特に有利な非担持触媒リング形状は、更に、条件L/A=0.3〜0.7を満たす。特に有利にはL/Aは0.4〜0.6である。
【0016】
更に、本発明の場合に、比I/A(その際、Iは非担持触媒形状の内径である)が0.5〜0.8、有利に0.6〜0.7である場合が有利である。
【0017】
有利なL/A比の一つと有利なI/A比の一つとを同時に有する非担持触媒形状が特に有利である。このような可能な組合せは、例えばL/A=0.3〜0.7及びI/A=0.5〜0.8又は0.6〜0.7である。他には、L/A=0.4〜0.6及びI/Aは同時に0.5〜0.8又は0.6〜0.7である。
【0018】
更に、本発明の場合には、Lが2〜6mm、特に有利にLが2〜4mmである場合が有利である。
【0019】
更に、Aが4〜8mm、有利に5〜7mmである場合が有利である。
【0020】
本発明により得られる非担持触媒形状の壁厚は有利に1〜1.5mmである。
【0021】
つまり、本発明の場合に有利な非担持触媒リング形状は、例えばL=2〜6mm、A=4〜8mm又は5〜7mmを有する形状である。他には、Lは2〜4mm、Aは同時に4〜8mm又は5〜7mmであることができる。前記の全ての場合には、壁厚Wは0.75〜1.75mm又は1〜1.5mmであることができる。
【0022】
前記の有利な非担持触媒形状において、同時に前記したL/A並びにI/Aの組合せを満たす形状が特に有利である。
【0023】
本発明の場合に得られる可能な非担持触媒リング形状は、従って(A×L×I)5mm×3mm×2mm、又は5mm×3mm×3mm、又は5.5mm×3mm×3.5mm、又は6mm×3mm×4mm、又は6.5mm×3mm×4.5mm、又は7mm×3mm×5mmである。
【0024】
本発明の場合に得られるリングの端面は、両面とも又は片面が、EP-A 184790に記載されているように湾曲にされていてもよく、例えば曲率半径は有利に外径Aの0.4〜5倍であるように湾曲にされていてもよい。本発明の場合に、両側の端面は湾曲されていないのが有利である。
【0025】
この全ての非担持触媒リング形状は、例えばプロペンからアクロレインへの気相接触部分酸化のためにも、イソ−ブテン又はtert−ブタノール又はtert−ブタノールのメチルエーテルからメタクロレインへの気相接触部分酸化のためにも適している。
【0026】
前記の一般式Iの化学量論の活性材料に関して、化学量論的係数bは有利に2〜4であり、化学量論的係数cは有利に3〜10であり、化学量論的係数dは有利に0.02〜2であり、化学量論的係数eは有利に0〜5であり、化学量論的係数aは有利に0.4〜2である。化学量論的係数fは有利に0.5又は1〜10である。前記の複数の化学量論的係数は、同時に前記の有利な範囲にあるのが特に有利である。
【0027】
更に、Xは有利にコバルトであり、Xは有利にK、Cs及び/又はSr、特に有利にKであり、Xは有利に亜鉛及び/又はリンであり、Xは有利にSiである。置換部分のX〜Xは同時に前記の意味を有するのが特に有利である。
【0028】
全ての化学量論的係数a〜f及び置換部分X〜Xが同時にその前記された有利な意味を有するのが特に有利である。
【0029】
一般式IIの化学量論の範囲内で、一般式III
[Bia″b″x″p″[Z12e″d″Fee″f″g″h″y″]q″ (III)
[式中、
=モリブデン又はモリブデンとタングステン、
=ニッケル及び/又はコバルト、有利にNi、
=タリウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、有利にK、Cs及び/又はSr、
=リン、ヒ素、ホウ素、アンチモン、スズ、セリウム及び/又はBi、
=ケイ素、アルミニウム、チタン及び/又はジルコニウム、有利にSi、
=銅、銀及び/又は金、
a″=0.1〜1、
b″=0.2〜2、
c″=3〜10、
d″=0.02〜2、
e″=0.01〜5、有利に0.1〜3、
f″=0〜5、
g″=0〜10、有利に>0〜10、特に有利に0.2〜10、更に特に有利に0.4〜3、
h″=0〜1、
x″、y″=式III中の酸素とは異なる元素の原子価及び頻度により決定される数、及び
p″、q″=比p″/q″は0.1〜5、有利に0.5〜2である数]である化学量論が有利である。
【0030】
更に、三次元的に拡張された、その局所的周辺とは異なるその組成に基づきその局所的周辺と区別される、化学組成Ya′b′x′の領域を有し、前記領域の最大直径(前記領域の重心を通過して前記領域の表面(界面)に存在する二点を結ぶ最も長い距離)が1nm〜100μm、頻繁に10nm〜500nm又は1μm〜50もしくは25μmである化学量論IIの本発明による活性材料が有利である。
【0031】
化学量論IIの本発明により得られる特に有利な活性材料は、Yがビスマスだけの活性材料である。
【0032】
化学量論IIIの活性材料において、本発明の場合にZb″=(タングステン)b″及びZ12=(モリブデン)12である活性材料が有利である。
【0033】
更に、三次元的に拡張された、その局所的周辺とは異なるその組成に基づきその局所的周辺と区別される、化学組成Bia″2b″x″の領域を有し、前記領域の最大直径(前記領域の重心を通過して前記領域の表面(界面)に存在する二点を結ぶ最も長い距離)が1nm〜100μm、頻繁に10nm〜500nm又は1μm〜50もしくは25μmである化学量論IIIの本発明による活性材料が有利である。
【0034】
更に、化学量論IIの本発明により得られた活性材料(化学量論IIIの活性材料)中で化学量論IIの本発明により得られた活性材料(化学量論IIIの活性材料)の全体の割合[Ya′b′x′([Bia″b″x″p″)の少なくとも25mol%(有利に少なくとも50mol%、特に有利に少なくとも100mol%)が、三次元的に拡張された、その局所的周辺とは異なる化学組成に基づきその局所的周辺と区別される化学組成Ya′b′x′([Bia″b″x″])の領域の形で存在し、前記領域の最大直径は1nm〜100μmの範囲内にある場合が有利である。
【0035】
付形助剤(離型剤)として、本発明による方法にとって、例えばカーボンブラック、ステアリン酸、デンプン、ポリアクリル酸、鉱油又は植物油、水、三フッ化ホウ素又は黒鉛が挙げられる。グリセリン及びセルロースエーテルも離型剤として使用することができる。非担持触媒前駆成形体を成形すべき材料に対して、一般に付形助剤≦5質量%、大抵は≦3質量%、多くは≦2質量%が添加される。通常では、前記の添加量は≧0.5質量%である。本発明による有利な離型助剤は黒鉛である。
【0036】
リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理の範囲内で、この付形助剤は大抵は十分にガス状の成分に分解され及び/又は燃焼されるため、本発明により得られたリング状の非担持触媒は通常では一緒に使用された付形助剤は部分的に存在するか又は完全に存在しない。本発明により得られたリング状の非担持触媒中になお付形助剤が含まれている限り、その付形助剤は前記非担持触媒による接触部分酸化に関してほぼ不活性である。
【0037】
後者の付形助剤は、場合により付形の前に添加された微細粒の補強剤、例えばガラス、アスベスト、炭化ケイ素又はチタン酸カリウムからなるマイクロファイバにつても該当する。リング状の非担持触媒前駆成形体への成形は、例えばタブレット成形機、押出成形機などを用いて実施することができる。
【0038】
リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理は、一般に350℃を上回る温度で行われる。通常では、前記熱処理の範囲内でこの温度は650℃を上回らない。本発明の場合に、前記熱処理の範囲内で、600℃の温度、有利に550℃の温度、特に有利に500℃の温度を上回らないのが有利である。更に、本発明による方法の場合に、リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理の範囲内で、有利に380℃の温度、有利に400℃の温度、特に有利に420℃の温度、更に特に有利に440℃の温度を上回らない。この場合、前記熱処理は時間的な経過において複数の区間に区分されていてもよい。例えば、最初に150〜350℃、有利に220〜280℃の温度での熱処理を実施し、引き続き400〜600℃、有利に430〜550℃の温度での熱処理を実施することができる。
【0039】
通常では、リング状の非担持触媒前駆成形体の前記熱処理は数時間(大抵は5hよりも長く)行う必要がある。頻繁に、前記熱処理の全体の時間は10時間よりも長い。大抵は、リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理の範囲内で、処理時間は45〜25hを上回らない。しばしば、前記の全体の処理時間は20hを下回る。本発明の場合には、リング状の非担持触媒前駆成形体の本発明による熱処理の範囲内で、500℃(460℃)を上回らず、かつ前記処理時間は≧400℃(≧440℃)の温度範囲内で5〜20時間にわたるのが有利である。
【0040】
リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理(これは以後分解期間とも言われる)は、不活性ガス中でも、酸化雰囲気、例えば空気(不活性ガスと酸素とからなる混合物)中でも、還元雰囲気(例えば不活性ガス、NH、CO及び/又はH又はメタン、アクロレイン、メタクロレインからなる混合物)中でも行うことができる。もちろん、前記熱処理は真空中で実施することもできる。
【0041】
原則として、リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理は、多様なタイプの炉中で、例えば加熱可能な循環空気炉、トレー式炉、ロータリーキルン、ベルト式焼成装置又は縦型炉中で実施することができる。本発明の場合に、リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理は、DE-A 10046957及びWO 02/24620に推奨されているようにベルト式焼成装置中で行うのが有利である。
【0042】
350℃を下回るリング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理は、一般に前記非担持触媒前駆成形体中に含まれる、目的のリング上の非担持触媒の元素の構成物の供給源の熱分解を目的とする。頻繁に、本発明による方法の場合に、前記の分解期間は≧350℃の温度に加熱する範囲内で行われる。
【0043】
本発明により得られたリング状の非担持触媒のリング状の非担持触媒前駆成形体(前記非担持触媒の活性材料は、一般式I、又は一般式II、又は一般式IIIの化学量論を有する)は、本発明による方法において、所望のリング状の非担持触媒の活性材料の元素の構成物の供給源から、(できる限り均質な)微細粒の、所望の活性材料の化学量論に相当する組成の成形可能な混合物を製造し、かつ前記混合物から場合により付形助剤及び/又は補強助剤の添加後に、側面圧縮強度が≧12N及び≦23Nであるリング状の非担持触媒前駆成形体(湾曲した端面有する及び/又は湾曲した端面を有しない)を成形することによって製造することができる。リング状の非担持触媒前駆成形体の形状は、この場合、所望のリング状の非担持触媒の形状とほぼ一致する。
【0044】
所望の活性材料の元素の構成物の供給源として、既に酸化物である化合物及び/又は加熱により少なくとも酸素の不在で酸化物に変換可能な化合物が挙げられる。
【0045】
酸化物の他に、このような化合物として特にハロゲン化物、硝酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、アミン錯体、アンモニウム塩及び/又は水酸化物が挙げられる(例えばNHOH、(NHCO、NHNO、NHCHO、CHCOOH、NHCHCO及び/又はシュウ酸アンモニウムのような、後の焼成の際に最後に完全にガス状で抜ける化合物に崩壊及び/又は分解できる化合物を、微細粒の成形可能な混合物(有利に乾燥混合物)中に付加的に混入できる。)。
【0046】
微細粒の成形可能な混合物の製造のための出発化合物(供給源)の有利な均質な混合は、本発明による方法の場合に乾燥した形又は湿った形で行うことができる。乾燥した形で行う場合には、前記出発化合物は有利に微細粒の粉末(この粒子は有利に≦100μm、有利に≦50μmであり;一般に数平均粒子径は≧10μmである)として使用される。付形助剤及び/又は補強助剤の場合による添加の後に、引き続きリング状の非担持触媒前駆成形体への付形が行われる。
【0047】
本発明の場合に、湿った形でも均質な混合が行われるのが有利である。通常では、この場合に前記出発化合物を水溶液及び/又は水性懸濁液の形で互いに混合する。特に均質な成形可能な混合物は、この場合、もっぱら溶解した形で存在する、元素の構成物の供給源から出発する場合に得られる。溶剤として特に水が使用される。引き続き、得られた溶液又は懸濁液を乾燥させ、その際、乾燥プロセスは有利に100〜150℃の吹き出し温度の噴霧乾燥により行う。生じる噴霧粒子の粒度は、一般的に20〜50μmである。
【0048】
前記噴霧粒子は、それ自体又は付形助剤及び/又は補強助剤の添加後に、リング状の非担持触媒前駆成形体に緻密化(成形)することができる。前記の微細粒の補強助剤は、既に噴霧乾燥の前に(一部又は全部)添加されていてもよい。乾燥の際に、溶剤もしくは沈殿防止剤は、その併用が付形助剤として意図されている場合には、部分的にだけ除去することもできる。
【0049】
噴霧粒子を、場合により付形助剤及び/又は補強助剤の添加後にリング状の非担持触媒前駆成形体(前記リングの端面は湾曲されている及び/又は湾曲されていない)に直接成形する代わりに、まず中間緻密化を実施して、前記粉末を(一般に400μm〜1mmの粒子に)粗粒化することも有利であることが多い。引き続き、この粗粒化された粉末を用いて本来のリング状に成形し、その際、必要な場合に微細粒の離型剤をもう1回添加することもできる。
【0050】
このような中間緻密化(同様に最終成形)のための有利な離型剤として、Timcal AG (San Antonio, US)社のタイプTIMREX P44の微細粒の黒鉛もしくはLonza (CH-5643 Sins)社の黒鉛粉末Graphitpulver T44(篩い分け分析又はレーザー回折:少なくとも50質量%が<24μm、最大で10質量%が>24μm及び≦48μm、最大5質量%が>48μm、表面積:6〜13m/g)が有利である。これは実施された中間緻密化の後に同時に本来のリングを成形する際に離型剤として作用し(かつ必要な場合に前記のように予め付加的に補充することもできる)。使用された黒鉛の灰分残留物(空気中で815℃で強熱)が≦0.1質量%である場合が有利である。
【0051】
このような粗粒化の目的の中間緻密化は、例えばHosokawa Bepex GmbH (D-74211 Leingarten)社のタイプのKompaktor K 200/100緻密化装置を用いて行うことができる。前記中間緻密化物の硬度は既に10Nの範囲内にあることが多い。非担持触媒前駆成形体のリング状の成形のために、例えばKilian Rundlaeufer(Kilian (D50735 Koeln)社)タイプRX 73又はS 100が挙げられる。他には、Korsch (D-13509 Berlin)社のタイプPH 800-65のタブレット成形機が使用される。
【0052】
特に、一般式II又はIIIの化学量論の活性材料を製造するために、混合酸化物Ya′b′x′もしくはBia″b″x″を、元素Y、YもしくはBi、Zの供給源として、一般式IIもしくはIIIの化学量論の活性材料の残りの構成物の不在で予備成形し、それと共にその予備成形の後に、既に記載されたように一般式IIもしくはIIIの化学量論の活性材料の残りの構成物の供給源と一緒に微細粒の成形可能な混合物を製造し、前記混合物から場合により付形助剤及び/又は補強助剤の添加後に成形してリング状の非担持触媒前駆成形体にするのが有利である。
【0053】
このような方法の場合に、単に、微細粒の成形可能な混合物の製造が湿式で行われ(懸濁液として)、予備成形された混合酸化物Ya′b′x′もしくはBia″b″x″はこの場合に取り立てて述べる程度で溶解しないことに留意しなければならないだけである。
【0054】
前記のような製造方法は、刊行物DE-A 4407020, EP-A 835, EP-A 575897及びDE-C 3338380に詳細に記載されている。
【0055】
例えば、Yの水溶性の塩、例えば硝酸塩、炭酸塩、水酸化物又は酢酸塩をY酸又はそのアンモニウム塩と水中で混合し、前記混合物を乾燥させ(有利に噴霧乾燥させ)、かつ乾燥された材料を引き続き熱処理することができる。前記の熱処理された材料を、引き続き有利に(例えばボールミル又はジェットミルにより)粉砕し、かつその際得られた一般にほぼ球状の粒子からなる粉末から、一般式IIもしくはIIIの化学量論の活性材料に対して所望の最大粒子径範囲にある最大粒径を有する粒子等級を、自体公知の方法で実施される分級(例えば湿式篩い分け又は乾式篩い分け)により分離し、かつ有利に分離されたこの粒子等級の材料に関して0.1〜3質量%の微細粒のSiO(通常ほぼ球状のSiO粒子の数平均最大粒子径は有利に10〜50nmである)と混合し、こうして出発材料1を製造する。前記熱処理は、有利に400〜900℃で、特に600〜900℃で行われる。後者の熱処理は、予備成形された混合酸化物が化学量論BiZ、Bi及び/又はBi12の混合酸化物である場合に特に通用し、その中でBiが特に有利であり、Z=タングステンである場合に特に通用する。
【0056】
通常では、前記熱処理はエアフロー中で(例えば、DE-A 10325487に記載されているようなロータリーキルン中で)行われる。前記熱処理の時間は一般に数時間にわたる。
【0057】
一般式II並びにIIIの所望の活性材料の残りの成分から、通常では、自体公知のように適した供給源(EP-A 835及びDE-C 3338380並びにDE-A 4407020参照)から出発して、本発明の場合に有利なように、例えばできる限り均質な、有利に微細粒の乾燥混合物を製造し(例えば水溶性の塩、例えばハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩又は水酸化物を水溶液の形で合わせ、引き続き前記水溶液を、例えば噴霧乾燥するか、又は非水溶性の塩、例えば酸化物を水性媒体中に懸濁させ、引き続き前記懸濁液を、例えば噴霧乾燥し)、この混合物をここでは出発材料2とする。重要であるのは、出発材料2の成分が既に酸化物であるか、又は加熱により、場合により酸素の存在で酸化物に変換可能な化合物であることだけである。引き続き、出発材料1と出発材料2とを所望の量比で本発明によるように、場合により付形助剤及び/又は補強助剤の添加後に混合して、リング状の非担持触媒前駆成形体に成形可能な混合物にする。この成形は、既に記載したように、応用技術的に有利に、中間緻密化の段階を経て行うことができる。
【0058】
あまり有利でない実施態様の場合には、予備成形された混合酸化物のYa′b′x′もしくはBia″b″x″を、所望の活性材料の残りの成分の供給源と、液状媒体、有利に水性媒体中で均質に混合することもできる。この混合物を引き続き、例えば均質な乾燥混合物に乾燥し、次いで既に記載されたように、成形し、かつ熱処理する。この場合、残りの構成物の供給物をこの液状媒体中に溶解及び/又は懸濁させて存在させることができ、それに対して、予備成形された混合酸化物は、液状媒体中にほとんど不溶性であるのが好ましく、つまり懸濁させて存在しなければならない。
【0059】
予備成形された混合酸化物粒子は、完成されたリング状の非担持触媒において、前記分級により調節された最大の大きさにおいてほぼ変化しないで維持される。
【0060】
本発明の場合には有利に、前記のように予備成形された混合酸化物Ya′b′x′もしくはBia″b″x″の比表面積は0.2〜2、有利に0.5〜1.2m/gである。更に、前記のように予備成形された混合酸化物の全細孔体積は有利にほぼミクロ孔からなる。
【0061】
本願明細書中で比表面積もしくはミクロ孔体積の測定についての全ての記載は、DIN 66131による測定に関する(Brunauer-Emmet-Teller (BET)によるガス吸収(N)による固体の比表面積の測定)。
【0062】
本願明細書中で全細孔体積並びに前記全細孔体積に対する直径分布の測定についての全ての記載は、他に記載がない限り、Micromeritics GmbH(4040 Neuss, DE)社の装置Auto Pore 9220(帯域幅30Å〜0.3mm)の適用での水銀細孔分析法を用いた測定に関する。
【0063】
本発明による有利に得られたリング状の非担持触媒は、比表面積Oが5〜20もしくは15m/g、頻繁に5〜10m/gである。本発明により得られたリング状の非担持触媒の全細孔体積は、この場合本発明の場合に有利に0.1〜1もしくは0.8cm/gの範囲内にあり、頻繁に0.2〜0.4cm/gの範囲内にある。
【0064】
WO 03/039744の教示並びにEP-A 279374の教示と異なるのは、多様な細孔直径が本発明により得られたリング状の非担持触媒の場合に、有利に次のように全細孔体積に寄与することである:
<0.03μmの範囲内の直径を有する細孔:≦5体積%;
≧0.03〜≦0.1μmの範囲内の直径を有する細孔:≦25体積%;
>0.1〜<1μmの範囲内の直径を有する細孔:≧70体積%;及び
≧1〜≦10μmの範囲内の直径を有する細孔:≦10体積%。
【0065】
つまり、EP-A 279374の教示とは異なるのは、本発明により得られたリング状の非担持触媒において、直径≧1μmを有する細孔の割合が、一般に副次的な役割しか担っていないことである。
【0066】
更に、本発明により得られたリング状の非担持触媒において、≧0.03〜≦0.1μmの範囲内の直径を有する細孔の割合は一般にわずかな役割しか担っていない。
【0067】
本発明により得られたリング状の非担持触媒において、全細孔体積に関する多様な細孔直径の割合は次のように分布しているのが特に有利である:
<0.03μmの範囲内の直径を有する細孔:≧0及び≦5体積%、有利に≦3体積%;
≧0.03〜≦0.1μmの範囲内の直径を有する細孔:≧3もしくは≧5及び≦20もしくは≦15体積%;
>0.1〜<1μmの範囲内の直径を有する細孔:≧75もしくは≧80及び≦95もしくは≦90体積%及び
≧1μm〜≦10μmの範囲内の直径を有する細孔:≧0及び≦5体積%、有利に≦3体積%。
【0068】
つまり、本発明により有利に得られたリング状の非担持触媒のために、プロペンからアクロレインへもしくはイソ−ブテン又はtert−ブタノール又はtert−ブタノールのメチルエーテルからメタクロレインへの部分酸化のための触媒として使用する場合のその性能に関して、>0.1〜<1μmの細孔直径範囲が決定的な役割を有する。
【0069】
これとは異なり、0.01〜0.1μmの細孔直径範囲内の細孔は、プロペンからアクリル酸への部分酸化を促進する。前記活性材料をプロペンからアクリル酸への2段階の部分酸化の第1段階で使用する場合が特に有利である、それというのもこの第1段階で形成されたアクリル酸が第2段階で十分に維持されるためである。
【0070】
前記のことは、更に、本発明により得られた特に有利なリング状の非担持触媒に対して、比表面積O、全細孔体積V及び細孔直径分布に関する前記の条件が満たされるだけでなく、更に全細孔体積Vにパーセンテージで最も大きく寄与している細孔直径dmaxが直径範囲0.3〜0.8μm、特に有利に直径範囲0.4〜0.7μm、更に特に有利に直径範囲0.5〜0.6μmにあることによっても確認される。
【0071】
本発明の場合に、リング状の非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度が増大すると共に、生じる非担持触媒リング中の細孔直径は原則としてより大きな値にシフトすることは意外である。
【0072】
このことは、生じるリング状の非担持触媒の側面圧縮強度がこの場合に同時により高い値にシフトする点で意外である。意外にも、本発明により生じるリング状の非担持触媒の側面圧縮強度は概して、所属するリング状の非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度よりも小さい。
【0073】
一般に、本発明により得られるリング状の非担持触媒の側面圧縮強度は5〜13N、頻繁に8〜11Nである。本発明により得られるリング状の非担持触媒のこの側面圧縮強度は、通常では、本発明により得られるリング状の非担持触媒の残りの有利なものとして記載された物理的特性(例えばO、V及び細孔直径分布)が存在する場合に存在する。
【0074】
既に述べたように、本発明により得られたリング状の非担持触媒は、特にプロペンからアクロレインへのもしくはイソ−ブテン及び/又はtert−ブタノールからメタクロレインへの部分酸化のための触媒として適している。部分酸化は、この場合、例えば刊行物WO 00/53557, WO 00/53558, DE-A 199 10 506, EP-A 1 106 598, WO 01/36364, DE-A 199 27 624, DE-A 199 48 248, DE-A 199 48 523, DE-A 199 48 241, EP-A 700 714, DE-A 10313213, DE-A 10313209, DE-A 10232748, DE-A 10313208, WO 03/039744. EP-A 279 374, DE-A 33 38 380, DE-A 33 00 044, EP-A 575 897並びにDE-A 44 07 020記載されたように実施することができ、その際、前記触媒充填物は、例えば本発明により得られたリング状の非担持触媒だけを有するか又は例えば不活性な成形体で希釈されたリング状の非担持触媒を有することができる。後者の場合には、前記触媒充填物は、本発明の場合に一般に、その体積比活性が反応ガス混合物の流動方向に向かって連続的に、急激に及び/又は段階的に増加するように構成するのが有利である。
【0075】
この場合、特に本願明細書中で、本発明により得られた非担持触媒の個別に強調されたリング形状は、反応ガス混合物中に含まれるプロペン、イソ−ブテン及び/又はtert−ブタノール(もしくはそのメチルエーテル)での触媒充填物の負荷が≧130Nl/l 触媒充填物・h(純粋に不活性材料からなる前方及び/又は後方の充填床は、負荷観察の際に触媒充填物に属するとは見なされない)である場合に有利であることが判明した。これは、特に、本発明により得られたリング状の非担持触媒の本願明細書中で有利であると記載された他の物理的特性も付与されている場合が特に有利である。
【0076】
本発明により得られた、特に前記されたリング状の非担持触媒の有利な特性は、触媒充填物の前記の負荷が≧140Nl/l・h、又は≧150Nl/l・h、又は≧160Nl/l・hである場合に存在する。通常の場合には、触媒充填物の前記負荷は≦600Nl/l・h、頻繁に≦500Nl/l・h、しばしば≦400Nl/l・h又は≦350Nl/l・hである。160Nl/l・h〜300もしくは250又は200Nl/l・hの範囲内の負荷は特に典型的である。
【0077】
もちろん、本発明により得られたリング状の非担持触媒は、プロペンからアクロレインへのもしくはイソ−ブテン及び/又はtert−ブタノール(もしくはそのメチルエーテル)からメタクロレインへの部分酸化のための触媒として、部分酸化されるべき出発化合物での<130Nl/l・h、又は≦120Nl/l・h、又は≦110Nl/l・hの触媒充填物の負荷でも運転することができる。一般に、この負荷は≧60Nl/l・h、又は≧70Nl/l・h、又は≧80Nl/l・hの値である。
【0078】
原則的に、部分酸化されるべき出発化合物(プロペン、イソ−ブテン及び/又はtert−ブタノール(もしくはそのメチルエーテル))での触媒充填物の負荷は、2つの調節ねじによって調節することができる:
a) 反応ガス出発混合物での触媒充填物の負荷;及び/又は
b) 反応ガス出発混合物の部分酸化されるべき出発化合物の含有量。
【0079】
本発明により得られたリング状の非担持触媒は、部分酸化されるべき有機化合物での130Nl/l・hを上回る触媒充填物の負荷の際に、前記の負荷調節を特に前記の調節ねじa)によって行う場合が特に適している。
【0080】
反応ガス出発混合物中のプロペン割合(イソ−ブテン割合もしくはtert−ブタノール割合(もしくはそのメチルエーテル割合)は、一般に(つまり負荷にほとんど依存せずに)、4〜20体積%、頻繁に5〜15体積%、又は5〜12体積%、又は5〜8体積%である(それぞれ全体積に対して)。
【0081】
頻繁に、本発明により得られたリング状の非担持触媒を用いる接触部分酸化(負荷にほとんど依存しない)方法は、反応ガス出発混合物中での部分酸化されるべき(有機)化合物(例えばプロペン):酸素:無関係なガス(水蒸気を含む)の体積比1:(1.0〜3.0):(5〜25)、有利に1:(1.5〜2.3):(10〜15)で実施される。
【0082】
無関係なガス(又は不活性ガス)とは、部分酸化の進行において少なくとも95mol%、有利に少なくとも98mol%までが化学的に変化しないで維持されるガスであると解釈される。
【0083】
前記の反応ガス出発混合物において、無関係なガスは≧20体積%、又は≧30体積%、又は≧40体積%、又は≧50体積%、又は≧60体積%、又は≧70体積%、又は≧80体積%、又は≧90体積%、又は≧95体積%まで分子窒素からなることができる。
【0084】
部分酸化されるべき有機化合物≧250Nl/l・hでの触媒充填物の負荷の際に、しかしながら反応ガス出発混合物に対して不活性の希釈ガス、例えばプロパン、エタン、メタン、ペンタン、ブタン、CO、CO、水蒸気及び/又は希ガスを併用することも推奨される。一般に、この不活性ガス及びこれらの混合物は、既に、部分酸化されるべき有機化合物での触媒充填物のよりわずかな本発明による負荷の際でも既に使用することができる。循環ガスを希釈ガスとして併用することもできる。循環ガスとは、部分酸化の生成物ガス混合物から目的化合物をほとんど選択的に分離した際に残留する残留ガスであると解釈される。この場合、本発明により得られたリング状の非担持触媒を用いたアクロレイン又はメタクロレインへの部分酸化は、本来の目的化合物としてのアクリル酸又はメタクリル酸への二段階の部分酸化の第1段階だけであり、前記循環ガス形成は、大抵は第2段階の後で初めて行われることを考慮しなければならない。このような二段階の部分酸化の範囲内で、一般に、第1段階の生成物ガス混合物は、それ自体で、場合により冷却及び/又は二次酸素添加の後に第2の部分酸化段階が実施される。
【0085】
本発明により得られたリング状の非担持触媒を使用するプロペンからアクロレインへの部分酸化の際に、反応ガス出発混合物(選択された負荷に依存しない)の典型的組成は、例えば次の成分を含有することができる:
プロペン 6〜6.5体積%、
O 3〜3.5体積%、
CO 0.3〜0.5体積%、
CO 0.8〜1.2体積%、
アクロレイン 0.025〜0.04体積%、
10.4〜10.7体積%及び
残りの量として100%まで分子窒素、
又は:プロペン 5.4体積%、
酸素 10.5体積%、
CO 1.2体積%、
81.3体積%及び
O 1.6体積%。
【0086】
この反応ガス出発混合物は次のような組成を有することもできる:
プロペン 6〜15体積%、
水 4〜30体積%(頻繁に6〜15体積%)、
プロペン、水、酸素及び窒素とは異なる成分 ≧0〜10体積%(有利に≧0〜5体積%)、含まれる分子酸素対含まれる分子プロペンのモル比が1.5〜2.5となるような量の分子酸素、かつ残りの量として全体量100体積%まで分子窒素。
【0087】
他の可能な反応ガス出発混合物の組成は次のものを有する:
プロペン 6.0体積%、
空気 60体積%及び
O 34体積%。
【0088】
他には、EP-A 990 636の実施例1によるか又はEP-A 990 636の実施例2によるか又はEP-A 1 106 598の実施例3によるか又はEP-A 1 106 598の実施例26によるか又はEP-A 1 106 598の実施例53による組成の反応ガス出発混合物も使用できる。
【0089】
本発明により得られるリング状の触媒は、DE-A 10246119もしくはDE-A 10245585の方法のためにも適している。
【0090】
更に本発明による適した反応ガス出発混合物は、次の組成パターンであることができる:
プロペン 7〜11体積%、
水 6〜12体積%、
プロペン、水、酸素及び窒素とは異なる成分 ≧0〜5体積%、
含まれる酸素対含まれる分子プロペンとのモル比が1.6〜2.2となるような量の分子酸素、及び
残りの量として全体量100体積%までの分子窒素。
【0091】
目的化合物としてメタクロレインの場合には、反応ガス出発混合物が特にDE-A 44 07 020に記載されたような組成であることができる。
【0092】
プロペン部分酸化のための反応温度は、本発明により得られたリング状の非担持触媒の使用の場合に頻繁に300〜380℃である。同様のことが目的化合物としてメタクロレインの場合にも通用する。
【0093】
反応圧力は、前記の部分酸化のために、一般に0.5もしくは1.5〜3もしくは4barである。
【0094】
反応ガス出発混合物での触媒充填物の全負荷は、前記の部分酸化の場合に一般に1000〜10000Nl/l・h、大抵は1500〜5000Nl/l・h、しばしば2000〜4000Nl/l・hである。
【0095】
反応ガス出発混合物中で使用されるべきプロペンとして、例えばDE-A 10232748に記載されたように、特にポリマーグレードのプロペン及び化学グレードのプロペンが挙げられる。
【0096】
酸素源として、通常では空気が使用される。
【0097】
本発明により得られたリング状の非担持触媒の使用における部分酸化は、最も簡単な場合に、DE-A 44 31 957, EP-A 700 714及びEP-A 700 893に記載されたような、例えば一帯域−多接触管−固定床反応器中で実施させることができる。
【0098】
通常は前記管束型反応器中で、前記接触管はフェライト系の鋼から製造され、かつ一般的には1〜3mmの壁厚を有する。その内径は一般的に20〜30mm、頻繁に22〜26mmである。一般的な接触管の長さは、例えば3.20mである。応用化技術的に有利に、管束型容器中に収容された接触管の数は、少なくとも5000、有利に少なくとも1000である。頻繁に、反応容器中に収容された接触管の数は15000〜30000である。40000本を上回る接触管を備えた管束型容器はむしろ例外である。前記容器内に、前記接触管は通常では均一に分布して配置されていて、その際、前記の分布は有利に、互いに隣り合う接触管の中心軸の距離(いわゆる接触管分布)が35〜45mmである(EP-B 468 290参照)ように選択される。
【0099】
しかしながら、この部分酸化は、DE-A 199 10 506, DE-A 10313213, DE-A 10313208及びEP-A 1 106 598に記載されているような、特に部分酸化されるべき有機化合物での触媒充填物の高めた負荷の際に推奨される多帯域(例えば二帯域)−多接触管−固定床反応器中でも実施することができる。この二帯域−多接触管−固定床反応器の場合の典型的な接触管の長さは3.50mである。他の全てのことは、ほとんど一帯域−多接触間−固定床反応器に記載されたことが通用する。触媒充填物が内部に存在する接触管の周囲には、各温度区域において熱交換媒体が案内される。それ自体、例えば塩、例えば硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウム及び/又は硝酸ナトリウム、又は低融点の金属、例えばナトリウム、水銀もしくは多様な金属の合金の融液が適している。それぞれの温度区域内での熱交換媒体の流動速度は、一般に、前記温度区域中への入口箇所の熱交換媒体の温度が、前記温度区域からの出口箇所までに0〜15℃、頻繁に1〜10℃、又は2〜8℃、又は3〜6℃上昇するように選択される。
【0100】
それぞれの熱処理区域に関して考慮して、反応ガス混合物に対して並流又は向流で案内することができる前記熱交換媒体の入口温度は、有利に、刊行物EP-A 1 106 598, DE-A 19948523, DE-A 19948248, DE-A 10313209, EP-A 700 714, DE-A 10313208, DE-A 10313213, WO 00/53557, WO 00/53558, WO 01/36364, WO 00/53557並びに前記刊行物に先行技術として引用された他の刊行物に推奨されているような温度が選択される。
【0101】
前記熱処理区域内で、前記熱交換媒体は有利に蛇行するように案内される。一般に、多接触管−固定床反応器は更に触媒層中のガス温度を測定するための温度管を備えている。有利に、前記温度管の内径及び熱電素子用の内側の収納管の直径は、反応熱を生じる体積と熱を搬出する表面との比が温度管と作業管とにおいて同じになるように選択される。
【0102】
圧力損失は、作業管と温度管とにおいて、同じGHSVに対して、同じであるのが有利である。温度管の場合の圧力損失の適合は、破砕した触媒を触媒成形体に添加することにより行うことができる。この調整は有利に全体の温度管の長さにわたって均質に行う。
【0103】
接触管中の触媒充填物の準備のために、本発明による方法の場合に、既に記載されたように、本発明により得られたリング状の非担持触媒だけか又は例えば本発明により得られたリング状の非担持触媒と活性材料を有していない不均一系触媒を用いた部分気相酸化に関して主に不活性に挙動する成形体との十分に均質な混合物を使用することができる。このような不活性な成形体の材料として、例えば多孔性又は無孔性の酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化トリウム、二酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、ケイ酸塩、例えばケイ酸マグネシウム又はケイ酸アルミニウム又はステアタイト(例えばCeramTec (DE)社のタイプC220)が挙げられる。
【0104】
このような不活性な希釈成形体の形状は、原則として任意であることができる。つまり、この形状は、例えば球、多辺形、円柱又はこの触媒成形体と同様にリングであることができる。頻繁に、不活性な希釈成形体として、希釈すべき触媒成形体の形状に相応する形状が選択される。触媒充填物に沿って、触媒成形体の形状を変化させるか又は十分に同等の寸法で異なる形状の触媒成形体を使用することもできる。あまり有利でない方法の場合には、前記触媒成形体の活性材料を触媒充填物に沿って変化させることもできる。
【0105】
全く一般的に、既に述べたように、触媒充填物は有利に体積比活性(つまり体積の単位に関して標準化された活性)を反応ガス混合物の流動方向に向かって一定に保持するか又は(連続的に、急激に又は段階的に)増大するように構成する。
【0106】
体積比活性の低下は、簡単な方法で、つまり、本発明により均一に製造されたリング状の非担持触媒の基本量を不活性の希釈成形体で均一に希釈することにより達成することができる。希釈成形体の割合をより高く選択すればそれだけ、充填物の所定の体積中に含まれる活性材料もしくは触媒活性はより低くなる。本発明により得られたリング状の非担持触媒の形状を、リング全体積(リング開口部を含める)の単位中に含まれる活性材料の量が低下されるように変更することにより、前記の低下を達成することもできる。
【0107】
本発明により得られたリング状の非担持触媒を用いた不均一系触媒による気相部分酸化のために、触媒充填物は有利に全体の長さに関して均一に1種だけの非担持触媒リングで構成されているか又は次のように構成されている。まず、触媒充填物の全長のそれぞれ10〜60%、有利に10〜50%、特に有利に20〜40%、更に特に有利に25〜35%の長さ(つまり、例えば0.70〜1.50m、有利に0.90〜1.20mの長さ)で、本発明により得られたリング状の非担持触媒と不活性の希釈成形体とからなるほぼ均一な混合物(その際この両方は有利にほぼ同じ形状を有する)であり、その際、希釈成形体の質量割合(触媒成形体と希釈成形体との質量密度は一般にわずかに異なるだけである)は、通常では5〜40質量%、又は10〜40質量%、又は20〜40質量%、又は25〜35質量%である。この第1の充填物区間に引き続き、有利に触媒充填物の長さの終わりまで(つまり、例えば2.00〜3.00m、有利に2.50〜3.00mの長さまで)、(第1の区間よりも)わずかな程度でだけ希釈された本発明により得られたリング状の非担持触媒の充填物又は特に有利に第1の区間において使用されたものと同じリング状の非担持触媒だけの(希釈されていない)充填物を存在させる。もちろん、全体の充填物にわたり一定の希釈を選択することもできる。第1の区分において、その所要空間に対してわずかな活性材料密度の本発明により得られたリング状の非担持触媒だけで充填し、かつ第2の区分において、その所要空間に対してより高い活性材料密度を有する本発明により得られたリング状の非担持触媒で充填することもできる(例えば、第1の区分中では6.5mm×3mm×4.5mm[A×L×I]、及び第2の区分中では5×2×2mm)。
【0108】
全体で、触媒として本発明により得られたリング状の非担持触媒を用いて実施されるアクロレイン又はメタクロレインの製造のための部分酸化において、触媒充填物、反応ガス出発混合物、負荷及び反応温度を、一般に、反応ガス出発混合物が前記触媒充填物を1回通過する際に、部分酸化されるべき有機化合物(プロペン、イソ−ブテン、tert−ブタノールもしくはそのメチルエーテル)の転化率は少なくとも90mol%、又は92mol%、有利に少なくとも95mol%であるように選択する。アクロレインもしくはメタクロレイン生成の選択率は、この場合、規則的に≧94mol%、もしくは≧95mol%、又は≧96mol%、又は≧97mol%である。もちろん、この場合ホットスポット温度ができる限り低くなるように努められる。
【0109】
全体で、この場合、本発明により得られたリング状の非担持触媒は高められた活性並びに目的生成物生成の高められた選択性が前提となる。
【0110】
最終的に、本発明により得られたリング状の非担持触媒は、反応器充填物において有利な破壊特性を有していることも確認される。その圧力損失特性も有利である。その他の点では、本発明により得られたリング状の非担持触媒は、全く一般的に、有機化合物、例えば低級(例えば3〜6(つまり3、4、5又は6)個のC原子を有する)アルカン、アルカノール、アルカナール、アルケン及びアルケナールを、オレフィン性不飽和アルデヒド及び/又はカルボン酸、並びに相応するニトリルへ気相接触部分酸化(特にプロペンからアクリルニトリルへ及び2−メチルプロパンもしくはtert−ブタノール(もしくはそのメチルエーテル)からメタクリルニトリルへのアンモ酸化)するための並びに有機化合物(例えば3、4、5又は6個のC原子を有する)の気相接触酸化脱水素のための高められた活性及び選択性を有する触媒として適している。
【0111】
本発明による方法のために、特に有利な化学量論は次のものである:
a) [Bi×2WO0.5[Mo12Co5.5Fe2.94Si1.590.08
b) Mo12Ni6.5ZnFeBi0.00650.06・10SiO
c) Mo12CoFe2.94Bi0.6Si1.590.08
d) DE-A 197 46 210の実施例1による複合金属酸化物II−非担持触媒と同様;及び
e) EP-A 015 565からの実施例1cと同様。
【0112】
本発明により得られた活性材料のビスマス含有量は、DE-A 100 63 162に記載されたと同様に調節することができる。この場合、目的の活性材料の元素の構成物の出発化合物から溶液又は懸濁液を製造し、前記の溶液又は懸濁液を活性材料の製造のために必要な、Biとは異なる元素の構成物の全体量を含有し、しかしながら活性材料の製造のために必要なBiの部分量だけを含有し、前記溶液又は懸濁液を乾燥させて乾燥材料を得て、活性材料の製造のために付加的に必要な残りの量のBiをBiの出発化合物の形で、例えばDE-A 100 63 162に記載されたように前記乾燥材料に混入(例えばDE-A 100 63 162の実施例と同様に)して成形可能な混合物にし、前記成形可能な混合物を本発明により(場合により付形助剤及び/又は補強助剤の添加後に)成形してリング状の非担持触媒前駆成形体にし、かつ前記成形体を熱処理によって(例えばDE-A 100 63 162の実施例と同様に)所望のリング状の非担持触媒に変換させる。この刊行物(前記の刊行物)の化学量論(特に実施例の化学量論)及び熱処理条件は、本発明の場合に同様に特に適している。これは、特に化学量論Mo12Bi1.0FeCoSi1.60.08に該当する。
【0113】
本発明により得られたリング状の非担持触媒を有する新しい触媒充填物の始動は、DE-A 10337788に記載されたのと同様に行うことができる。一般に、目的生成物生成の活性及び選択性は、初めは前記触媒充填物の運転時間と共に上昇する。この調整は、ほとんど変化しない転化率で反応ガス出発混合物での触媒充填物の高めた負荷で実施しかつ十分に完全に調整が行われた後に前記負荷をその目標値に戻すことにより促進させることができる。
【0114】
見掛けの質量密度対真の質量密度ρの比Rが(EP-A 1340538に定義されているように)、本発明により得られたリング状の非担持触媒において一般に>0.55であることは意外であった。大抵は、R≦0.9もしくは≦0.8及び≧0.6もしくは≧0.65である。
【0115】
この場合、R=1/(1+V・ρ)である。
【0116】
Vは全細孔体積である。
【0117】
実施例及び比較例
A) 次の活性材料の化学量論S1:Mo12CoFe2.94Bi0.6Si1.590.08を有するリング状の非担持触媒の製造。
【0118】
60℃で、七モリブデン酸アンモニウム四水和物(MoO 81.5質量%)213kgを水600lに溶かした。この溶液中に、60℃を維持しながら、20℃の46.8質量%の水酸化カリウム水溶液0.97kgを撹拌混入した(この場合、溶液Aが得られる)。
【0119】
30℃で硝酸コバルト(II)水溶液(Co 12.4質量%)333.7kgに撹拌しながら20℃の硝酸鉄(III)水溶液(Fe 14.2質量%)116.25kgを添加することにより第2の溶液Bを製造した。添加の完了後に、なお30分間30℃で撹拌した。その後で、60℃で、20℃の硝酸ビスマス水溶液(Bi 11.2質量%)112.3kgを撹拌混入して溶液Bを得た。30分間で、60℃で前記溶液Bを溶液Aに撹拌混入した。撹拌混入が完了して15分後に、60℃でシリカゾル(Dupont社のタイプLudox(R)、SiO 46.80質量%、密度1.36〜1.42g/cm、pH=8.5〜9.5、アルカリ金属含有量 最大で0.5質量%)19.16kgを、得られた原料中に添加した。60℃を維持しながら、なお15分間後撹拌した。次いで、得られた原料を向流法で噴霧乾燥(ガス入口温度:400±10℃、ガス出口温度:140±5℃)し、その際、噴霧粉末が得られ、前記噴霧粉末の強熱減量(空気中で600℃で3h)はその質量の30%であった。噴霧粉末の粒子は、ほぼ均一で30μmである。
【0120】
得られた噴霧粉末の部分量中に、それぞれ付加的に(噴霧粉末量に対して)1.5質量%の微細粒の黒鉛(篩い分け分析:少なくとも50質量%が<24μm、最大で10質量%が≧24μm及び≦48μm、最大で5質量%が>48μm、BET表面積:6〜13m/g、Timcal AG (San Antonio, US)社のタイプTIMREX P44)を混入した。その際にそれぞれ得られた乾燥混合物を、Hosokawa Bepex GmbH (D-74211 Leingarten)社のタイプKompaktor K 200/100の圧縮装置を用いて、間隙幅2.8mm、スクリーン幅1.0mm、スクリーン幅400μmアンダーサイズ、設定圧縮力60kN、予備圧縮によるスクリュー回転数65〜70rpmの条件下で、ほぼ均一な粒度400μm〜1mmに粗粒化した。この圧縮物は10Nの硬度を有していた。
【0121】
前記圧縮物を引き続き、その質量に関して、更に2質量%の同じ黒鉛と混合し、引き続きKilian Rundlaeufer(タブレット成形機)Kilian (D-50735 Koeln)社のタイプRx73中で、窒素雰囲気下で圧縮して、多様な側面圧縮強度を有する、5mm×3mm×2mm(A×L×I)の形状の湾曲にされていない端面を有するリング状の非担持触媒前駆成形体にした。
【0122】
得られた非担持触媒前駆成形体及びその側面圧縮強度は次のようであった:
BVV1:15N;
BVV2:20N;
VVV1:25N。
【0123】
最終的な熱処理のために、それぞれ非担持触媒前駆成形体1900gを加熱可能な空気循環炉(内部容量0.12m)中で振盪させた(2Nm空気/min)。引き続きこの温度を前記床中で次のように変化させた。
【0124】
1℃/minで、25℃から160℃に高め;
次いで、100分間160℃に保持し;
次いで3℃/minで、160℃から200℃に高め;
次いで、100分間200℃に保持し;
次いで2℃/minで、200℃から230℃に高め;
次いで、100分間230℃に保持し;
次いで3℃/minで、230℃から270℃に高め;
次いで、100分間270℃に保持し;
次いで1℃/minで、380℃に高め;
次いで4.5時間380℃に保持し;
次いで1℃/minで、430℃に高め;
次いで4.5時間430℃に保持し;
次いで1℃/minで、500℃に高め;
次いで9時間500℃に保持し;
次いで4時間で、25に冷却した。
【0125】
この場合、リング状の非担持触媒前駆成形体から次のリング状の非担持触媒が得られた(最初の一文字Bはそれぞれ実施例を表し、最初の一文字Vは比較例を表す):
BVV1 → BVK1;
BVV2 → BVK2;及び
VVV1 → VVK1。
【0126】
パラメータO、V、主に全細孔体積に著しく寄与する細孔直径dmax並びに全細孔体積に関する>0.1〜<1μmの直径の細孔直径の百分率は、これらのリング状の非担持触媒について次に示す:
BVK1:O=6.4cm/g;V=0.32cm/g;dmax=0.32μm;V0.1−%=91%。
BVK2:O=6.8cm/g;V=0.34cm/g;dmax=0.36μm;V0.1−%=87%。
【0127】
図1(3)及び2(4)は、更にリング状の非担持触媒BVK1(BVK2)の細孔分布を示す。図1(3)中で、横座標は、μmで示す細孔直径を表し、縦座標は、全細孔体積に対するそれぞれの細孔直径のml/gで示す微分された寄与度を表す。図2(4)中で、横座標は、同様にμmで示す細孔直径を表し、縦座標は、ml/gで示す全細孔体積に対する個々の細孔直径の個々の寄与度に関する積分を表す。
【0128】
(熱処理を前記のように実施する代わりに、DE-A 10046957の実施例3に記載されたようにベルト式焼成装置を用いて実施することができる;複数の室は、(均一な室の長さ1.40mで)底面積1.29m(分解、室1〜4)及び1.40m(焼成、室5〜8)を有し、下側から粗い目のベルトを通過させて空気75Nm/hを通し、前記空気は回転するベンチレータを用いて吸い込まれる;室の内部では、設定値からの温度の時間的及び位置的な変動は常に≦2℃であった;室を通過して、リング状の非担持触媒前駆成形体は50mm〜70mmの層の高さで運行し、その他の点ではDE-A 10046957の実施例3に記載されたと同様に行われる;生じたリング状の非担持触媒は、後記のC)で記載されたプロペンからアクロレインへの気相接触部分酸化のためのリング状の非担持触媒BVK1、BVK2及びVVK1と同様に使用することができる。)
B) 活性材料の次の化学量論S2を有するリング状の非担持触媒の製造:
[Bi・2WO0.5[Mo12Co5.5Fe2.94Si1.590.08
【0129】
1. 出発材料1の製造
硝酸ビスマス水溶液(Bi 11.2質量%;遊離硝酸3〜5質量%;材料密度1.22〜127g/ml)775kg中に25℃で少しずつタングステン酸(W 72.94質量%)209.3kgを撹拌混入した。生じた水性混合物を、引き続き更に25℃で2h撹拌し、引き続き噴霧乾燥させた。
【0130】
前記噴霧乾燥は、回転円盤式噴霧塔中で向流でガス入口温度300±10℃でガス出口温度100±10℃で行った。得られた噴霧粉末(粒度はほぼ均一に30μm、強熱減量(空気中で600℃で3h強熱する)12質量%)を、引き続き水16.8質量%(前記粉末に対して)とニーダー中で混練し、押出機(トルク:≦50Nm)を用いて直径6mmのストランドに押出成形した。このストランドを6cmの断片に切断し、3帯域ベルト式乾燥機で120minの滞留時間で90〜95℃(帯域1)、115℃(帯域2)及び125℃(帯域3)の温度で空気乾燥させ、次いで780〜810℃の範囲内の温度で熱処理した(焼成;通気した回転管炉(低圧0.3mbar、内部容積1.54m、200Nm空気/h))。焼成温度の正確な調節の際に、前記調節を焼成生成物の目標とされる相の組成に基づいて方向付けして行うことが重要である。相WO(単斜晶)及びBiは望ましく、γ−BiWO(ルッセライト)の存在は望ましくない。従って、焼成の後に化合物γ−BiWOが、反射角2θ=28.4°(CuKα−放射線)で粉末X線回折における反射を用いてなお検出可能である場合には、この調整を繰り返しかつ前記反射の消失が達成されるまで、記載された温度範囲内で前記焼成温度を高めるか又は同じ焼成温度で滞留時間を延長する。こうして得られた予備成形され焼成された混合酸化物を粉砕し、生じた粒子のX50値(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry,第6版 (1998) Electronic Release, 3.1.4章又はDIN 66141参照)は5mmであった。前記粉砕物を、次いでDegussa社のタイプSipernat(R)の微細粒SiO(嵩密度150g/l;SiO粒子のX50値は10μm、BET表面積は100m/g)1質量%(前記粉砕物に対して)と混合した。
【0131】
2. 出発材料2の製造
水600l中に60℃で撹拌しながら七モリブデン酸アンモニウム四水和物(MoO 81.5質量%)213kgを溶かし、生じた溶液を60℃に維持しかつ撹拌しながら20℃の水酸化カリウム水溶液(KOH 46.8質量%)0.97kgを添加することにより、溶液Aを製造した。
【0132】
硝酸コバルト(II)水溶液(Co 12.4質量%)262.9kg中に60℃で硝酸鉄(III)水溶液(Fe 14.2質量%)116.25kgを導入することにより、溶液Bを製造した。引き続き、60℃に維持しながら、溶液Bを30分間にわたり連続して装入された溶液A中に圧送した。引き続き、60℃で15分間撹拌した。次いで、生じた水性混合物に、Dupont社のタイプLudoxのシリカゲル(SiO 46.80質量%、密度:1.36〜1.42g/ml、pH 8.5〜9.5、アルカリ金属含有量 最大で0.5質量%)19.16kgを添加し、その後で更になお15分間60℃で撹拌した。
【0133】
引き続き、回転円盤式噴霧塔中で向流で噴霧乾燥した(ガス入口温度:400±10℃、ガス出口温度:140±5℃)。生じる噴霧粉末は、強熱減量(空気中で600℃で3h強熱する)約30質量%を有し、かつ30μmのほぼ均一な粒子を有していた。
【0134】
3. 複合金属酸化物活性材料の製造
出発材料1を、出発材料2と化学量論
[Bi・2WO0.5[MO12CoFe2.95Si1.590.08
の複合金属酸化物活性材料のために必要な量で、カッターヘッドを備えたミキサー中で均質に混合した。前記の全材料に対して、更にTimcal AG (San Antonio, US)社のタイプTIMREX P44の微細粒の黒鉛(篩い分け分析:少なくとも50質量%が<24μm、最大で10質量%が≧24μm及び≦48μm、最大で5質量%が>48μm、BET表面積:6〜13m/g)1質量%を均質に混入した。生じた混合物を、次いで凹状の溝付き仕上ロールを備えたHosokawa Bepex GmbH社(D-74211 Leingarten)のタイプKompaktor K200/100の圧縮機中に通した(間隙幅:2.8mm、スクリーン幅:1.0mm、スクリーン幅アンダーサイズ:400μm、設定圧縮力:60kN、予スクリュー回転数:65〜70rpm)。生じた圧縮物は、10Nの硬度を有し、400μm〜1mmのほぼ均一な粒子を有する。
【0135】
前記圧縮物を引き続き、その質量に関して、更に2質量%の同じ黒鉛と混合し、引き続きKilian Rundlaeufer(タブレット成形機)Kilian (D-50735 Koeln)社のタイプRx73中で、窒素雰囲気下で圧縮して、多様な側面圧縮強度を有する、多様な形状(A×L×I)のリング状の非担持触媒前駆成形体にした。
【0136】
得られた非担持触媒前駆成形体、その形状及びその側面圧縮強度は次のようであった:
BVV3:5mm×3mm×2mm;19N(質量:129mg)
BVV4:5mm×3mm×3mm;16N
BVV5:5mm×3mm×3mm;17N
BVV6:5.5mm×3mm×3.5mm;14N
BVV7:5.5mm×3mm×3.5mm;15.5N
BVV8:6mm×3mm×4mm;13N
BVV9:6mm×3mm×4mm;16.3N
VVV2:6.5mm×3mm×4.5mm;11N
BVV10:6.5mm×3mm×4.5mm;15.6N
VVV3:7mm×3mm×5mm;11.7N
BVV11:7mm×3mm×5mm;16.3N
VVV4:5mm×3mm×2mm;10.5N。
【0137】
図5(6)は、リング状の非担持触媒前駆成形体BVV3における細孔分布を示す。図5の軸の表記はそれぞれ図7に一致し、図6の軸の表記はそれぞれ図2に一致する。
【0138】
最終的な熱処理のために、非担持触媒前駆成形体それぞれ1000gを、空気を流通させたマッフル炉(内容量60l、非担持触媒前駆成形体1g当たり空気1l/h)中でまず180℃/hの加熱速度で室温(25℃)から190℃に加熱した。この温度を1時間維持し、次いで加熱速度60℃/hで210℃に加熱した。この210℃を再び1時間維持し、その後に前記温度を加熱速度60℃/hで230℃に加熱した。この温度を同様に1時間保持し、その後に前記温度を再び加熱速度60℃/hで265℃に高めた。この265℃を引き続き同様に1時間維持した。その後にまず室温に冷却し、それにより分解期間はほぼ完了した。次いで加熱速度180℃/hで465℃に加熱し、この焼成温度を4時間維持した。
【0139】
この場合、リング状の非担持触媒前駆成形体から次のリング状の非担持触媒が得られた(最初の一文字Bはそれぞれ実施例を表し、最初の一文字Vはそれぞれ比較例を表す):
【0140】
【表1】

【0141】
まず、前記の表は、比表面積O、全細孔体積V、全細孔体積に最も多く寄与する細孔直径dmax、並びに直径>0.1及び<1μmの全細孔体積に関するそれぞれの細孔直径の百分率、及びR値についての値を有する。
【0142】
図7及び8は、更に2つの相互に独立した再現のためのリング状の非担持触媒BVK3の細孔分布を表す。横座標上に細孔直径をμmでプロットした。左側の縦座標には、全細孔体積に対するそれぞれの細孔直径のml/gで示す微分された寄与度がプロットされている(曲線+)。この最大値は、全細孔体積に対する最大の寄与度を有する細孔直径を表す。右側の縦座標には、ml/gで示す、全細孔体積に対する個々の細孔直径の個々の寄与度に関する積分がプロットされている(曲線○)。この終点は全細孔体積である。図9及び10はBVK3の他の再現の細孔分布を図7、8と同じ軸の表記で示した。
【0143】
相応する図面は、図11、12(BVK4)、図13、14(BVK6)、図15(BVK7)、図16、17(BVK8)及び図18(BVK9)を示す。
【0144】
記載されたような熱処理を実施する代わりに、熱処理はDE-A 10046957の実施例1に記載されたと同様にベルト式焼成装置を用いて実施され(充填高さは分解(室1〜4)においてこの場合しかしながら有利に室当たりの滞留時間1.46hで44mmに達し、かつ焼成(室5〜8)において有利に滞留時間4.67hで130mmに達する);前記室は(均一な室の長さ1.40mで)底面積1.29m(分解)及び1.40m(焼成)を有し、かつ粗い目のベルトを通して下から空気75Nm/hが流通され、前記空気は回転するベンチレータを用いて吸引される。これらの室内で、設定値からの時間的かつ位置的な温度変動は常に≦2℃である。その他の点では、DE-A 10046957の実施例1に記載されたと同様に行われる。生じるリング状の非担持触媒は、リング状の非担持触媒BVK3〜BVK4と同様に次に記載する、プロペンからアクロレインへの気相接触部分酸化のために使用することができた。
【0145】
他の方法として、前記熱処理を空気循環炉(例えばElino社のタイプLaborkammerofen KA-040/006-08 EW.OHのような炉もしくはHeraeus社のタイプK 750のような炉)中で実施することができ、6時間に270℃に加熱され、引き続き270℃で循環空気が硝酸ガスを有しなくなるまで維持する。引き続き、1.5時間430℃〜460℃(有利に438℃)の温度に加熱し、この温度を10時間維持する。この空気パージ流は800Nl/hであった。リング状の非担持触媒前駆成形体1000gを立方体のワイヤかご(高さ10cm、底面積14cm×14cm)中で、約4cmの充填高さで充填した。前記の運搬かごの残りの底面積を、相応する充填高さで同じ形状のステアタイトリング(実施例及び比較例中で常にCeram Tee (DE)社のタイプC220)で覆った。
【0146】
この熱処理条件は、リング状の非担持触媒前駆成形体BVV1、BVV2及びVVV1について適用することもできる。全ての生じるリング状の非担持触媒は、C)において例示的に記載された気相接触部分酸化において使用することができる。
【0147】
C) A)及びB)中で製造されたリング状の非担持触媒の、プロペンからアクロレインへの不均一系触媒による部分酸化のための試験
1. 試験装置
反応管(V2A鋼;外径21mm、壁厚3mm、内径15mm、長さ100cm)を上から下への流動方向で次のように充填した:
区分1: 長さ30cm
前充填物として形状5mm×3mm×2mm(外径×長さ×内径)ステアタイトリング。
【0148】
区分2: 長さ70cm
A)及びB)で製造されたリング状の非担持触媒の触媒充填物
前記反応管の熱処理を、窒素を通気した塩浴を用いて行った。
【0149】
2. 試験実施
記載されたそれぞれ新たに製造した試験装置に、それぞれ連続的に次の組成:
プロペン 5体積%
酸素 10体積%及び
100体積%までの残りの量
の供給ガス混合物(空気、ポリマーグレードのプロピレン及び窒素からなる混合物)を送り、その際、反応管の負荷及びサーモスタット制御を、プロペン転化率U(mol%)が、反応管を供給ガス混合物が1回通過する際に連続的に約95mol%となるように行った。
【0150】
次の表は、選択された触媒充填物及びそのプロペン負荷(PL Nl/l・h)に依存する転化率要求のために必要な塩浴温度T(℃)並びにその際に達成されたアクロレイン選択率S(mol%)を示す。記載された結果は、常に120hの運転時間の終わりに関している。アクリル酸副生成物形成の選択率SAAは4〜17mol%であった。
【0151】
【表2】

【0152】
前記の試験は、しかしながら相応するように(同じ設定転化率で)、次の種類の反応管中で実施することができる:V2A鋼;外径30mm、壁厚2mm、内径26mm、長さ350cm、前記反応管中央に位置する、熱電対を収容するための温度管(外径4mm)は、その全長にわたる反応管中の温度を測定することができる。
【0153】
この場合、流動方向で次のように充填した:
区分1: 長さ80cm
前充填物として形状7mm×7mm×4mm(外径×長さ×内径)ステアタイトリング
区分2: 長さ270cm
A)及びB)で製造されたリング状の非担持触媒の触媒充填物。
【0154】
前記反応管の熱処理を、向流で圧送された塩浴を用いて行った。
【0155】
PLは全体を通して100に選択した。反応ガス出発混合物の組成は、プロペン5.4体積%、酸素10.5体積%、CO1.2体積%、N 81.3体積%及びHO 1.6体積%である。
【0156】
この試験実施は、相応するように、区分2が(それぞれ流動方向に向かって)次のように構成されている触媒充填物を用いて実施することができる:
I. まず長さ100cmにBVK3 65質量%とステアタイトリング(5mm×3mm×2mm)35質量%からなる均質な混合物;
引き続き長さ170cmにBVK3 90質量%とステアタイトリング(5mm×3mm×2mm)10質量%からなる均質な混合物;
又は
II. まず長さ100cmにBVK10、引き続き長さ170cmにBVK3;
又は
III. まず長さ100cmにBVK3 70質量%とステアタイトリング(5mm×3mm×2mm)30質量%からなる均質な混合物、引き続き長さ170mにBVK3。
【0157】
は全ての場合に、U−プロペン=95mol%となるように選択された。
【0158】
米国暫定特許出願番号60/504207、2003年9月22日出願は、本発明中に文献の言及により組み込まれる。上記の教示に関して、本発明の多様な変更及び変化が可能である。従って、本発明は、特許請求の範囲内で、そこでの特別な記載とは異なるような構成から出発することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】リング状の非担持触媒BVK1の細孔分布を示す。
【図2】リング状の非担持触媒BVK1の細孔分布を示す。
【図3】リング状の非担持触媒BVK2の細孔分布を示す。
【図4】リング状の非担持触媒BVK2の細孔分布を示す。
【図5】リング状の非担持触媒前駆成形体BVV3の細孔分布を示す。
【図6】リング状の非担持触媒前駆成形体BVV3の細孔分布を示す。
【図7】リング状の非担持触媒BVK3の細孔分布を表す。
【図8】リング状の非担持触媒BVK3の細孔分布を表す。
【図9】リング状の非担持触媒BVK3の細孔分布を表す。
【図10】リング状の非担持触媒BVK3の細孔分布を表す。
【図11】リング状の非担持触媒BVK4の細孔分布を表す。
【図12】リング状の非担持触媒BVK4の細孔分布を表す。
【図13】リング状の非担持触媒BVK6の細孔分布を表す。
【図14】リング状の非担持触媒BVK6の細孔分布を表す。
【図15】リング状の非担持触媒BVK7の細孔分布を表す。
【図16】リング状の非担持触媒BVK8の細孔分布を表す。
【図17】リング状の非担持触媒BVK8の細孔分布を表す。
【図18】リング状の非担持触媒BVK9の細孔分布を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性材料が一般式I
Mo12BiFe (I)
[式中、
=ニッケル及び/又はコバルト、
=タリウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、
=亜鉛、リン、ヒ素、ホウ素、アンチモン、スズ、セリウム、鉛及び又はタングステン、
=ケイ素、アルミニウム、チタン及び/又はジルコニウム、
a=0.2〜5、
b=0.01〜5、
c=0〜10、
d=0〜2、
e=0〜8、
f=0〜10及び
n=式I中の酸素とは異なる元素の原子価及び頻度により決定される数]の化学量論
又は、一般式II
[Ya′b′x′[Yc′d′e′f′g′h′y′ (II)
[式中、
=ビスマスだけか又はビスマスとテルル、アンチモン、スズ及び銅の元素の少なくとも1種、
=モリブデン又はモリブデンとタングステン、
=アルカリ金属、タリウム及び/又はサマリウム、
=アルカリ土類金属、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、亜鉛、スズ、カドミウム及び/又は水銀、
=鉄又は鉄とバナジウム、クロム及びセリウムの元素の少なくとも1種、
=リン、ヒ素、ホウ素及び/又はアンチモン、
=希土類金属、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、レニウム、ルテニウム、ロジウム、銀、金、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、鉛、トリウム及び/又はウラン、
a′=0.01〜8、
b′=0.1〜30、
c′=0〜4、
d′=0〜20、
e′>0〜20、
f′=0〜6、
g′=0〜15、
h′=8〜16、
x′、y′=式II中の酸素とは異なる元素の原子価及び頻度により決定される数、及び
p、q=比p/qが0.1〜10である数]の化学量論を有し、かつリング状の形状は、場合により生じた端面の湾曲を考慮せずに、長さL2〜11mm、外径A2〜11mm、壁厚W0.75mm〜1.75mmである、リングの湾曲した端面及び/又は湾曲していない端面を有するリング状の非担持触媒を製造するにあたり、前記活性材料の元素の構成物の供給源から、微細粒な成形可能な混合物を製造し、前記混合物から、場合により付形助剤及び/又は補強助剤の添加後に、端面が湾曲されているか及び/又は湾曲されていないリング状の非担持触媒前駆成形体を成形し、かつ前記成形体を高めた温度で熱処理してリング状の非担持触媒に変換させるリング状の非担持触媒の製造方法において、リング状の非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度が≧12N及び≦23Nであることを特徴とする、リングの湾曲した端面及び/又は湾曲していない端面を有するリング状の非担持触媒の製造方法。
【請求項2】
リング状の非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度が≧13N〜≦22Nであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
リング状の非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度が≧15N〜≦20Nであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記リング状の形状は付加的にL/A=0.3〜0.7の条件を満たすことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記リング状の形状は付加的にL/A=0.4〜0.6の条件を満たすことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
リング状の形状は付加的に内径I/外径A=0.5〜0.8の比を満たすことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
リング状の形状は付加的に内径I/外径A=0.6〜0.7の比を満たすことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
L=2〜6mmであることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
L=2〜4mmであることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
A=4〜8mmであることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
A=5〜7mmであることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
リング状の形状の壁厚が1〜1.5mmであることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
リング状の形状は、A×L×Iとして表して、次のグループ
a) 5mm×3mm×2mm、
b) 5mm×3mm×3mm、
c) 5.5mm×3mm×3.5mm、
d) 6mm×3mm×4mm、
e) 6.5mm×3mm×4.5mm及び
f) 7mm×3mm×5mm
を有するリング状の形状を有することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記活性材料が一般式Iの化学量論を有し、その際、
a=0.4〜2;
b=2〜4;
c=3〜10;
d=0.02〜2;
e=0〜5及び
f=0.5〜10
であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記活性材料が一般式Iの化学量論を有し、その際、
=Co;
=K、Cs及び/又はSr;
=Zn及び/又はP及び
=Si
であることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
活性材料が一般式IIの化学量論を有し、かつ三次元的に拡張された、その局所的周辺とは異なるその組成に基づきその局所的周辺と区別される、化学組成Ya′b′x′の領域を有し、前記領域の最大直径は1nm〜100μmであることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
=Biであることを特徴とする、請求項1から13又は16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理を、温度が350℃を上回りかつ前記温度が650℃を上回らない温度で実施することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
熱処理をベルト式焼成装置で実施することを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
活性材料が一般式I
Mo12BiFe (I)
[式中、
=ニッケル及び/又はコバルト、
=タリウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、
=亜鉛、リン、ヒ素、ホウ素、アンチモン、スズ、セリウム、鉛及び/又はタングステン、
=ケイ素、アルミニウム、チタン及び/又はジルコニウム、
a=0.2〜5、
b=0.001〜5、
c=0〜10、
d=0〜2、
e=0〜8、
f=0〜10及び
n=式I中の酸素とは異なる元素の原子価及び頻度により決定される数]の化学量論
又は、一般式II
[Ya′b′x′[Yc′d′e′f′g′h′y′ (II)
[式中、
=ビスマスだけか又はビスマスとテルル、アンチモン、スズ及び銅の元素の少なくとも1種、
=モリブデン又はモリブデンとタングステン、
=アルカリ金属、タリウム及び/又はサマリウム、
=アルカリ土類金属、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、亜鉛、スズ、カドミウム及び/又は水銀、
=鉄又は鉄とバナジウム、クロム及びセリウムの元素の少なくとも1種、
=リン、ヒ素、ホウ素及び/又はアンチモン、
=希土類金属、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、レニウム、ルテニウム、ロジウム、銀、金、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、鉛、トリウム及び/又はウラン、
a′=0.01〜8、
b′=0.1〜30、
c′=0〜4、
d′=0〜20、
e′>0〜20、
f′=0〜6、
g′=0〜15、
h′=8〜16、
x′、y′=式II中の酸素とは異なる元素の原子価及び頻度により決定される数、及び
p、q=比p/qが0.1〜10である数]の化学量論を有し、かつリング状の形状は、場合により生じた端面の湾曲を考慮せずに、長さL2〜11mm、外径A2〜11mm、壁厚W0.75mm〜1.75mmであり、
かつ比表面積Oは5〜20m/gであり、全細孔体積Vは0.1〜1cm/gであり、その際、多様な細孔直径は次のようにVに寄与する:
<0.03μmの範囲内の直径を有する細孔:≦5体積%;
≧0.03〜≦0.1μmの範囲内の直径を有する細孔:≦25体積%;
>0.1〜<1μmの範囲内の直径を有する細孔:≧70体積%及び
≧1〜≦10μmの範囲内の直径を有する細孔:≦10体積%
ことを特徴とする、リングの湾曲した端面及び/又は湾曲していない端面を有するリング状の非担持触媒。
【請求項21】
O=5〜10m/gである、請求項20記載のリング状の非担持触媒。
【請求項22】
V=0.2〜0.4cm/gである、請求項20又は21記載のリング状の非担持触媒。
【請求項23】
多様な細孔直径は次のようにVに寄与する:
<0.03μmの範囲内の直径を有する細孔:≧0体積%及び≦5体積%;
≧0.03〜≦0.1μmの範囲内の直径を有する細孔:≧3及び≦20体積%;
>0.1〜<1μmの範囲内の直径を有する細孔:≧75及び≦95体積%及び
≧1〜≦10μmの範囲内の直径を有する細孔:≧0及び≦5体積%
ことを特徴とする、請求項20から22までのいずれか1項記載のリング状の非担持触媒。
【請求項24】
全細孔体積Vに最も大きく寄与する細孔直径dmaxは0.3〜0.8μmである、請求項20から23までのいずれか1項記載のリング状の非担持触媒。
【請求項25】
側面圧縮強度が5〜13Nである、請求項20から24までのいずれか1項記載のリング状の非担持触媒。
【請求項26】
見掛け質量密度対真の質量密度の比が>0.55である、請求項1から25までのいずれか1項記載のリング状の非担持触媒。
【請求項27】
高めた温度での熱処理によって、活性材料が一般式I
Mo12BiFe (I)
[式中、
=ニッケル及び/又はコバルト、
=タリウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、
=亜鉛、リン、ヒ素、ホウ素、アンチモン、スズ、セリウム、鉛及び又はタングステン、
=ケイ素、アルミニウム、チタン及び/又はジルコニウム、
a=0.2〜5、
b=0.01〜5、
c=0〜10、
d=0〜2、
e=0〜8、
f=0〜10及び
n=式I中の酸素とは異なる元素の原子価及び頻度により決定される数]の化学量論
又は、一般式II
[Ya′b′x′[Yc′d′e′f′g′h′y′ (II)
[式中、
=ビスマスだけか又はビスマスとテルル、アンチモン、スズ及び銅の元素の少なくとも1種、
=モリブデン又はモリブデンとタングステン、
=アルカリ金属、タリウム及び/又はサマリウム、
=アルカリ土類金属、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、亜鉛、スズ、カドミウム及び/又は水銀、
=鉄又は鉄とバナジウム、クロム及びセリウムの元素の少なくとも1種、
=リン、ヒ素、ホウ素及び/又はアンチモン、
=希土類金属、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、レニウム、ルテニウム、ロジウム、銀、金、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、鉛、トリウム及び/又はウラン、
a′=0.01〜8、
b′=0.1〜30、
c′=0〜4、
d′=0〜20、
e′>0〜20、
f′=0〜6、
g′=0〜15、
h′=8〜16、
x′、y′=式II中の酸素とは異なる元素の原子価及び頻度により決定される数、及び
p、q=比p/qが0.1〜10である数、]の化学量論を有し、かつリング状の形状は、場合により生じた端面の湾曲を考慮せずに、長さL2〜11mm、外径A2〜11mm、壁厚W0.75mm〜1.75mmである、リングの湾曲した端面及び/又は湾曲していない端面を有するリング状の非担持触媒に変換可能であり、かつ、活性材料の元素の構成物の供給源から微細粒の成形可能な混合物を製造し、かつ前記混合物から、場合により付形助剤及び/又は補強助剤の添加後に、端面が湾曲された及び/又は湾曲されていないリング状の非担持触媒前駆成形体を、前記成形体の側面圧縮強度が≧12N及び≦23Nであるように成形することにより得られる、リング状の非担持触媒前駆成形体。
【請求項28】
気相酸化のための触媒が、請求項20から26までのいずれか1項記載のリング状の非担持触媒又は請求項1から19までのいずれか1項記載の方法により得られたリング状の非担持触媒であることを特徴とする、プロペン、イソ−ブテン及び/又はtert−ブタノールの不均一系触媒による部分気相酸化によるアクロレイン及び/又はメタクロレインの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2007−505740(P2007−505740A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527324(P2006−527324)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010436
【国際公開番号】WO2005/030393
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】