説明

ルーバー面格子

【課題】通常の使用時は施錠機構を内外何れからも解錠操作できないと共に、羽根板を閉じたときのみ、室内側から施錠機構を開錠する操作を行うことができ、外部からの解錠をできなくすることで、防犯機能を十分に確保するルーバー面格子を提供する提供する。
【解決手段】建物に固定する外枠2と、前記外枠2内にこの外枠2の内周開口を開閉するよう組み込まれ、少なくとも一方が開閉移動可能となる二枚のルーバー障子体3、3とからなり、前記外枠2又はルーバー障子体3に、閉位置あるルーバー障子体3を前記外枠又は他方障子体に対して固定と開放ができる施錠機構4を設け、前記開閉移動するルーバー障子体3に、前記外枠2に対して閉位置にあり、かつ、ルーバー障子体3のルーバー羽根板6が開位相にある状態で、施錠機構4を操作できないように覆い、ルーバー羽根板6が閉位相にある状態で前記施錠機構4を操作できるように開放する覆い部材8を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の窓等に対して室外側に取り付け、室内の通風や採光の調節だけでなく、外部からの不審者の侵入を防止すると共に、火災等の発生時には開放することで室内側からの脱出も可能となるルーバー面格子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に建物の窓等に取付けられている従来の脱出用の面格子は、建物の窓に対して室外側に固定する外枠内に、この外枠内を開閉する二組の障子体を引き違いできる移動可能に組み込み、二組の障子体は障子枠内に桟材を一定間隔の配置で固定して形成され、両障子体を閉位置にしてこれを施錠した状態で、室内側の通風や採光が得られると共に、外出時や就眠時の安全性を確保し、また、脱出時には、施錠機構を開錠し、一方障子体を開位置に移動させ、外枠の内周開口を半分開いた部分から室外に脱出することができるような構造になっている。
【0003】
また、上記のような桟材を一定間隔の配置で固定した障子枠による脱出用の面格子とは別に、障子枠内に多数枚のルーバー羽根板を一定間隔の平行配置で回転可能に取付けたルーバー面格子を窓の室外側に固定配置し、障子枠に設けた操作部によって各ルーバー羽根板を同調して開閉動させることにより、通風や採光の調整ができるものも提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような脱出用の面格子は、通常閉位置にした二枚の障子体を施錠機構によって固定化し、外部からの侵入を防止する防犯の役目を担っているが、桟材間の隙間やルーバー羽根板間の隙間から、手や工具を室外側から差込んで施錠手段を開錠する操作が行われるという危険性があり、このため、脱出用の面格子は防犯機能が十分に得られないという問題がある。
【0005】
また、前者の桟材を一定間隔の配置で固定した障子枠による脱出用の面格子は、通風や採光の調整ができないという不便があるのに対して、後者のルーバー面格子は、ルーバー羽根板の角度を調整することにより、完全密閉から通風や採光の調整が自由に行えるという利点がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、ルーバー面格子の利点を生かし、外部からの解錠をできなくすることで、防犯機能を十分に確保することができる脱出用のルーバー面格子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、建物に固定する外枠と、前記外枠内にこの外枠の内周開口を開閉するよう組み込まれ、少なくとも一方が開閉移動可能となる二枚のルーバー障子体とからなり、前記外枠又はルーバー障子体に、閉位置あるルーバー障子体を前記外枠又は他方ルーバー障子体に対して固定と開放ができる施錠機構を設け、前記開閉移動するルーバー障子体に、前記外枠に対して閉位置にあり、かつ、ルーバー障子体のルーバー羽根板が開位相にある状態で、施錠機構を操作できないように覆い、ルーバー羽根板が閉位相にある状態で前記施錠機構を操作できるように開放する覆い部材を設けた構成を採用したものである。
【0008】
ここで、上記施錠機構としては、クレセント錠、プッシュ錠、レバー式錠、棒式錠等を用い、これらの施錠機構を外枠の縦棧内に収納して配置するか、開閉移動可能となるルーバー障子枠に取付け、開閉移動可能となるルーバー障子体を閉位置にして施錠することにより、ルーバー障子体の開放を不能にし、ルーバー羽根板が開位相にある状態で、上記覆い部材は施錠機構に対して縦棧や室内側に向く開口面や施錠機構の室内側に向く面を隠蔽し、室内、室外の何れからも施錠機構を開錠操作できないようにしている。
【0009】
また、閉位置にある開閉移動可能となるルーバー障子枠のルーバー羽根板を閉位相にすると、覆い部材もルーバー羽根板と連動して同時に移動し、縦棧や施錠機構の室内側に向く面を開放し、室内側から施錠機構の開錠操作が行えるようにし、これによって、開閉移動可能となるルーバー障子枠を開位置に移動させれば、窓からの脱出が可能になる。
【0010】
請求項2の発明は、上記建物に固定する外枠が、建物の開口に取付けたサッシに対して室外側に後付で固定されるようになっている構成を採用したものである。
【0011】
請求項3の発明は、上記建物に固定する外枠が、建物の開口に取付けたサッシに対して室外側の位置で建物躯体に固定されるようになっている構成を採用したものである。
【0012】
請求項4の発明は、ルーバー障子体を、建物の開口に取付けたサッシに対して室外側の位置に、取付け金具で、サッシに対して平行する状態から室外側に押出し又は跳ね上げ開放できるように取付け、前記ルーバー障子体と取付け金具の間に、閉位置あるルーバー障子体を前記取付け金具に対して固定と開放ができる施錠機構を設け、前記ルーバー障子体に、前記サッシに対して閉位置にあり、かつ、ルーバー障子体のルーバー羽根板が開位相にある状態で、施錠機構を操作できないように覆い、ルーバー羽根板が閉位相にある状態で前記施錠機構を操作できるように開放する覆い部材を設けた構成を採用したものである。
【0013】
請求項5の発明は、上記ルーバー障子体が、障子枠内に、多数枚のルーバー羽根板を一定間隔の平行配置で回転可能に取付け、このルーバー羽根板を、閉位相で隣接するルーバー羽根板の端部が互いにラップし、開位相で隣接するルーバー羽根板間に隙間を形成するよう、障子枠に設けた操作部によって各ルーバー羽根板を同調して開閉動させるように形成されている構成を採用したものである。
【0014】
ここで、上記外枠に対するルーバー障子体の開閉移動は、外枠に設けた二本レール方式による引き違い構造や、一本レールに二枚のルーバー障子体が並び、開放時に一方ルーバー障子体を他方ルーバー障子体の室内側に重なるように移動させる引き違い構造を採用し、閉位置にあるルーバー障子体を開錠して他方に移動させることにより、外枠内の半分を開放して室内からの脱出を可能にする。
【0015】
また、上記ルーバー羽根板を開位相にした状態で、施錠機構は覆い部材で隠蔽されているので、室外側からルーバー羽根板間に手や工具を差し入れても施錠機構を操作できず、ルーバー障子体を開くことができないので、一定間隔で並ぶルーバー羽根板が外部からの侵入を防ぐことになる。
【0016】
また、施錠機構を操作しようとする場合は、ルーバー羽根板を閉位相にする必要があるので、ルーバー羽根板を閉位相にすると、ルーバー羽根板間に外部から手を入れることのできる隙間がなくなり、従って、室外側から施錠機構を開錠操作することかできないことになると共に、ルーバー羽根板を閉位相にすると、覆い部材による施錠機構の隠蔽がなくなり、室内側から施錠機構を開錠し、ルーバー障子体を開けば室内からの脱出が可能になる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によると、二枚のルーバー障子体を開閉自在として面格子としたので、窓の室外側に固定配置することにより、ルーバー面格子の利点を生かし、ルーバー羽根板の角度調整によって、窓の全閉状態と通風及び採光の調節が自由に行え、しかも、二枚のルーバー障子体を固定化する施錠機構は、ルーバー羽根板の通風や採光状態で覆い部材により操作面側が隠蔽され、内外何れからも解錠操作できないので、二枚のルーバー障子体を開くことができず、これによって外部からの侵入を防げると共に、ルーバー羽根板を閉位相にしたときのみ、室内側から施錠機構を開錠してルーバー障子体を開く操作を行うことができ、二枚のルーバー障子体による脱出機能を維持しながら常に外部からの解錠をできなくすることで、防犯機能を十分に確保することができる。
【0018】
また、ルーバー面格子を建物に取付けられたサッシに対して室外側に後付固定したり、建物躯体に固定すれば、窓はサッシとルーバー面格子の内外二重構造となり、サッシ窓に対して通風や採光の機能を維持しながら防犯機能を付加することができ、しかも、非常時は二枚のルーバー障子体を開いて室内側からの脱出も可能になり、常に外部からの解錠をできなくすることで、既設の窓に対して脱出機能を維持しながら防犯性の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)はこの発明に係る第1の実施の形態のルーバー面格子を示すルーバー羽根板全開状態の横断平面図、(b)は同じくルーバー羽根板全閉状態の横断平面図、(b)は同じく一方障子体を開いた状態の横断平面図 縦断側面図
【図2】(a)はこの発明に係る第2の実施の形態のルーバー面格子を示すルーバー羽根板全開状態の横断平面図、(b)は同じくルーバー羽根板全閉状態の横断平面図、(b)は同じく一方障子体を開いた状態の横断平面図
【図3】(a)はこの発明に係る第3の実施の形態のルーバー面格子を示すルーバー羽根板全閉状態の縦断側面図、(b)は同じくルーバー羽根板開状態の縦断側面図
【図4】(a)はこの発明に係る第4の実施の形態のルーバー面格子を示すルーバー羽根板開状態の縦断側面図、(b)は同じくルーバー羽根板全閉状態の縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1(a)乃至(c)に示す第1の実施の形態のルーバー面格子1は、建物躯体aの窓となる開口に取付けたサッシbに対して室外側に後付で固定した例を示し、サッシbの室外側における両側にL形取付金具を、このL形取付金具の先端屈曲部をサッシbの外羽根に嵌め込んで固定し、前記L形取付金具間にルーバー面格子1の外枠2を固定し、この外枠2内に二枚のルーバー障子体3、3が引き違いの移動可能に組み込まれ、前記外枠2の縦桟2a内に、室内側からの操作によって、閉位置あるルーバー障子体3、3を前記外枠2に対して固定と開放ができる施錠機構4が設けられている。
【0022】
上記ルーバー障子体3、3は、二枚で外枠2内を全閉できる大きさを有し、このルーバー障子体3、3は、前記外枠2に対して、上下のレールや吊下げ構造によって外枠2内を横方向に開閉移動可能となる矩形状の障子枠5と、この障子枠5内に取付けた多数枚のルーバー羽根板6によって形成されている。
【0023】
第1の実施の形態では、ルーバー羽根板6を垂直に配置した例を示し、各ルーバー羽根板6は、所定の横幅と障子枠5内の上下縦幅に収まる長さの帯板に形成され、軸方向の両端で幅方向の中心から突出する中心軸7を障子枠5の上桟と下桟で支持することにより、軸7を中心に回転自在となり、また、各ルーバー羽根板6は板面が障子枠5の開閉方向に沿う閉位相にあるとき、左右に隣接するルーバー羽根板6の端部が互いにラップし、かつ、この障子枠5の開閉方向沿う閉位相以外の開位相において、隣接するルーバー羽根板6間に隙間を形成するように、左右に一定間隔の配置で取付けられ、各ルーバー羽根板6は、周知のように、障子枠5の上桟や下桟内に収納されるラックとピニオン機構又はリンク機構を用いて同調回転するように連動され、障子枠5の縦桟における室内側に向く面に設けた操作部を回動させたり上下にスライドさせることによって、各ルーバー羽根板6を同時に開閉動させるように形成されている。
【0024】
従って、各ルーバー羽根板6を障子枠5の開閉方向に沿う閉位相にすると、両側の端部が互いにラップして全閉のシャッター状態となり、通風や採光が遮断されると同時に、室外側から手を差し入れることができなくなると共に、各ルーバー羽根板6を障子枠5の開閉方向と直角に向くようにすると、両側ルーバー羽根板6間に隙間が形成された開位相となり、各ルーバー羽根板6の開角度を変化させることにより、通風や採光の調整が行えることになる。
【0025】
なお、ルーバー羽根板6は、アルミ等の各種金属や硬質樹脂を用いて形成され、各ルーバー羽根板6の幅方向の端部には、閉位相にしたとき隣接するルーバー羽根板6との重なり面に、両者の重なり面を密閉するシール手段を設けることができる。
【0026】
上記外枠2の縦桟2a内に、室内側からの操作によって、閉位置あるルーバー障子体3、3を前記外枠2に対して固定と開放ができる施錠機構4を設け、前記ルーバー羽根体6に、前記外枠2に対してルーバー障子体3、3が閉位置にあり、かつ、ルーバー羽根体6が開位相にある状態で、図2(a)の如く、施錠機構4を操作できないように縦桟2aの室内側に臨む開口部分を覆い、ルーバー羽根板6を開位相にすることによって前記施錠機構4を操作できるように、縦桟2aの開口部分を開閉する覆い部材8が設けられている。
【0027】
この覆い部材8は、施錠機構4のある部分だけを覆う短いものでも、縦桟2aの開口部分の上下全長を覆う長いものでもよい。
【0028】
上記外枠2に対する二枚のルーバー障子体3、3の開閉移動は、外枠2内の上下に設けた二本レール方式による引き違い構造や、一本レールに二枚のルーバー障子体3、3が同一面状に並び、開放時に一方ルーバー障子体3を他方ルーバー障子体3の室内側に重なるように移動させる引き違い構造を採用することができ、一方のルーバー障子体3を開位置に移動させると、外枠2の内周開口の略半分を開くことができる。
【0029】
上記外枠2は、両側の縦棧2aと上下の横桟を矩形枠状に組み立て、建物躯体の窓孔に固定したサッシbの室外側に取付け金具を用いて取付けられている。
【0030】
上記施錠機構4は、クレセント錠やプッシュ錠、レバー式錠、棒式錠、歯車による回転方式等の機構を用いることができ、外枠2の縦桟2a内に施錠機構本体を収納し、例えば、閉位置にしたルーバー障子体3、3の一部に設けられている係止部材に施錠機構本体を施錠位置にして係合させることにより、外枠2に対してルーバー障子体3、3を固定化できるようになっている。
【0031】
上記障子体3、3において、外枠2の縦桟2aに最も近い位置にあるルーバー羽根板6に覆い部材8が設けられ、この覆い部材8は、外枠2に対して障子体3、3が閉位置にあり、かつ、ルーバー羽根板6が開位相にある状態で、施錠機構4を操作できないように、外枠2の縦桟2aにおける室内側に臨む開口部を覆って施錠機構4を隠蔽し、室外、室内の何れからも開錠操作できないようにし、また、このような状態からルーバー羽根体6を閉位相にすると、覆い部財8は前記外枠2の縦桟2aから離反し、縦桟2aの開口部を開放することになり、この覆い部材8は、ルーバー障子体3、3の開閉動を操作するための引き手を兼ねている。
【0032】
第1の実施の形態のルーバー面格子1は、上記のような構成であり、図1のように、外枠2を建物躯体の窓に設けたサッシbの室外側に取付け金具で固定した状態で、図1(a)のごとく、ルーバー障子体3、3を閉位置にして施錠機構4を施錠し、両障子体3、3におけるルーバー羽根板6を開位相にすれば、ルーバー羽根板6間に隙間が形成され、窓は通風や採光が可能で外部からの侵入を防ぐ面格子となる。
【0033】
このとき、ルーバー羽根板6に固定した覆い部材8は、施錠機構4を操作できないように縦桟2aの室内側に臨む開口部を覆い、ルーバー羽根板6の隙間に手や工具を入れて施錠機構4を開錠操作しようとしても不可能となり、ルーバー障子体3、3を開いて外枠24内から室内へ侵入しようとするのを防ぐことになる。
【0034】
また、夜間や外出時及び室内を暗くしたい時、室内側からの脱出が必要な時は、図1(b)のように、閉位置にある何れかの障子枠3、3において、操作部材を介しルーバー羽根板6を閉位相にすると、ルーバー羽根板6の閉位相への回動で、ルーバー羽根板6に固定してある覆い部材8が一体に回動し、縦桟2aの室内側に臨む開口を開放することになり、従って、縦桟2a内に収納された施錠機構4の開錠操作が室内側から可能な状態となる。
【0035】
このとき、各ルーバー羽根板6は、幅方向の端部が互いに重なり状となり、ルーバー羽根板6間に手を入れることのできる隙間がないシャッター状態となり、従って、室外側からは施錠機構4を開錠操作することかできないことになり、面格子としての防犯性の機能を維持することができる。
【0036】
夜間や外出時及び室内を暗くしたい時は、上記のままの状態を保持すればよく、また、室内側からの緊急脱出時は、図1(c)のように、窓を開くと共に、施錠機構4を開錠操作し、覆い部材8を介して一方のルーバー障子体3を開位置に移動させ、外枠2内の約半分弱程度を開くことで室内側からの脱出を可能にする。
【0037】
なお、ルーバー面格子1は、外枠2の両側を、サッシに対する室外側において、建物躯体に取付金具を用いて直接固定するようにしてもよい。
【0038】
次に、図2(a)乃至(c)に示す第2の実施の形態のルーバー面格子1は、両ルーバー障子体3、3の閉位置での施錠を、両ルーバー障子体3、3の障子枠5、5において、外枠2の中央で重なり合う端部の部分に設けた施錠機構4で行なうようにしたものである。なお、第1の実施の形態のルーバー面格子1と同一部分については、同一符号を付すことによって説明に代える。それ以降の実施の形態においても同様である。
【0039】
この第2の実施の形態のルーバー面格子1は、室内側に位置する一方ルーバー障子体3の障子枠5において、室外側の他方ルーバー障子体3と外枠2の中央で重なり合う端部の部分に施錠機構4の本体を取付け、他方ルーバー障子体3の一部に設けられている係止部材に施錠機構4の本体を施錠位置にして係合させることにより、両ルーバー障子体3、3を固定化して開くことができないようになっている。
【0040】
上記一方ルーバー障子体3において、他方ルーバー障子体3と重なり合う端部に近いルーバー羽根板6に、両ルーバー障子体3、3が閉位置にあり、かつ、ルーバー羽根板6が開位相にある状態で、施錠機構4を操作できないように、施錠機構4の室内側に臨む位置を覆って施錠機構4を操作でできないように隠蔽し、施錠機構4は室外、室内の何れからも開錠操作できないようにする覆い部材8が設けられ、この覆い部材8は、ルーバー羽根板6を閉位相に回動させると、前記施錠機構4に対して室内側の位置から離反し、施錠機構4の開錠操作を可能にするようになっている。
【0041】
この第2の実施の形態の窓装置1も、閉状態にした両ルーバー障子体3、3のルーバー羽根板6を回動させることにより、上記第1の実施の形態と同様、通風や採光の採り入れとシャッター状にして窓を閉じることができ、何れにおいても室外側からは施錠機構4を開錠操作することかできないので、面格子としての防犯性の機能を維持することができると共に、室内側からの緊急脱出時は、ルーバー羽根体6を閉位相に回動させ、このルーバー羽根体6に取付けた覆い部材8を施錠機構4の室内側面を開放する位置に移動させ、これによって施錠機構4を開錠操作し、覆い部材8を介して室内側のルーバー障子体3を開位置に移動させることで、外枠2内の略半分弱を開くことで室内側からの脱出を可能にする。
【0042】
図3(a)と(b)に示す第3の実施の形態のルーバー面格子1は、ルーバー障子体3が障子枠5に対してルーバー羽根体6を水平に取付けて上下多段とした例であり、ルーバー障子体3を固定化する施錠機構4は、第1の実施の形態と同様、外枠2の縦桟2aに収納するようにしても、第2の実施の形態のように、室内側に位置する一方ルーバー障子体3の障子枠5において、室外側の他方ルーバー障子体3と外枠2の中央で重なり合う端部の部分に取付けてもよい。
【0043】
上記ルーバー障子体3において、施錠機構4に近い位置にあるルーバー羽根板6に、両障子体3、3が閉位置にあり、かつ、ルーバー羽根板6が開位相にある状態で、施錠機構4を操作できないように、施錠機構4の室内側に臨む位置を覆って施錠機構4を操作でできないように隠蔽し、施錠機構4を室外、室内の何れからも開錠操作できないようにする覆い部材8が設けられ、この覆い部材8は、ルーバー羽根板6を閉位相に回動させると、上下の何れかに回動し、前記施錠機構4に対して室内側の位置から離反し、施錠機構4の開錠操作を可能にするようになっている。
【0044】
図4(a)と(b)に示す第4の実施の形態のルーバー面格子1は、建物躯体の窓に固定したサッシbに対して室外側の位置に、室外側へ跳ね上げることができるように取付けたものであり、サッシbの室外側における両側にL形取付金具を、その先端屈曲部をサッシbの外羽根に嵌め込んで固定し、両L形取付金具間にルーバー面格子1を配置し、このルーバー面格子1の外枠2を上部の枢軸9で揺動可能に枢止し、この枢軸9を支点にルーバー面格子1を室外側へ跳ね上げ開放可能としたものであり、この跳ね上げ式ルーバー面格子1は、跳ね上げ状態を二つ折り式のストッパー等の金具で保持できるようにし、ルーバー面格子1を跳ね上げることで、サッシbの室外側に網戸を取付けた場合にその取外しが支障なく行えることになる。
【0045】
この第4の実施の形態のルーバー面格子1は、外枠内に多数枚の回動自在となるルーバー羽根板6を水平又は垂直に取付け、各ルーバー羽根板6を、障子枠5の上桟や下桟内に収納されるラックとピニオン機構又はリンク機構を用いて同調回転するように連動され、外枠2の縦桟又は上桟や下桟における室内側に向く面に設けた操作部を回動させたり上下にスライドさせることによって、各ルーバー羽根板を同時に開閉動させるように形成されている。
【0046】
上記ルーバー面格子1の外枠2と取付け金具の間に、取付け金具に対してルーバー面格子1を閉位置に固定するための施錠機構4が設けられ、この施錠機構4の室内側に向く面をルーバー羽根板6に設けた覆い部材8で隠蔽し、ルーバー羽根板6閉位相に回動させたとき、施錠機構4を開錠操作できるようにしている。
【0047】
この第4の実施の形態のルーバー面格子1の他の例としては、建物躯体の窓に取付けたサッシに対してルーバー面格子1が水平に前後移動するようにしたり、ルーバー面格子1の左右の側縁の一方を支点に横開きできるようにすることができ、何れの場合も、ルーバー面格子1の閉位置を施錠機構4で固定化できるようにし、ルーバー羽根板6を閉位相とすることにより、施錠機構4を開錠操作できるようにする。
【0048】
上記のようにルーバー面格子1を、サッシに対して平行する状態から室外側に押出しや跳ね上げ又は横旋回開きの開放ができるようにすれば、サッシに対して取付けた網戸の取外しが支障なく行えると共に、大型の窓だけでなく風呂やトイレ等の小窓の通風や採光及び防犯用としても使用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 ルーバー面格子
2 外枠
3 ルーバー障子体
4 施錠機構
5 障子枠
6 ルーバー羽根板
7 中心軸
8 覆い部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に固定する外枠と、前記外枠内にこの外枠の内周開口を開閉するよう組み込まれ、少なくとも一方が開閉移動可能となる二枚のルーバー障子体とからなり、前記外枠又はルーバー障子体に、閉位置あるルーバー障子体を前記外枠又は他方障子体に対して固定と開放ができる施錠機構を設け、前記開閉移動するルーバー障子体に、前記外枠に対して閉位置にあり、かつ、ルーバー障子体のルーバー羽根板が開位相にある状態で、施錠機構を操作できないように覆い、ルーバー羽根板が閉位相にある状態で前記施錠機構を操作できるように開放する覆い部材を設けたルーバー面格子。
【請求項2】
上記建物に固定する外枠が、建物の開口に取付けたサッシに対して室外側に後付で固定されるようになっている請求項1に記載のルーバー面格子。
【請求項3】
上記建物に固定する外枠が、建物の開口に取付けたサッシに対して室外側の位置で建物躯体に固定されるようになっている請求項1に記載のルーバー面格子。
【請求項4】
ルーバー障子体を、建物の開口に取付けたサッシに対して室外側の位置に、取付け金具で、サッシに対して平行する状態から室外側に押出し又は跳ね上げ開放できるように取付け、前記ルーバー障子体と取付け金具の間に、閉位置あるルーバー障子体を前記取付け金具に対して固定と開放ができる施錠機構を設け、前記ルーバー障子体に、前記サッシに対して閉位置にあり、かつ、ルーバー障子体のルーバー羽根板が開位相にある状態で、施錠機構を操作できないように覆い、ルーバー羽根板が閉位相にある状態で前記施錠機構を操作できるように開放する覆い部材を設けたルーバー面格子。
【請求項5】
上記ルーバー障子体が、障子枠内に、多数枚のルーバー羽根板を一定間隔の平行配置で回転可能に取付け、このルーバー羽根板を、閉位相で隣接するルーバー羽根板の端部が互いにラップし、開位相で隣接するルーバー羽根板間に隙間を形成するよう、障子枠に設けた操作部によって各ルーバー羽根板を同調して開閉動させるように形成されている請求項1乃至4の何れかに記載のルーバー面格子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−209662(P2010−209662A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87300(P2009−87300)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(504043484)イワト販売株式会社 (4)
【Fターム(参考)】