説明

ルーフボックスとトリム部品との合わせ目の拘束構造

【課題】ルーフボックスと室内トリム(例えば、ヘッドライニング)との合わせ目の処理において、ルーフボックスとトリムの接合部に隙間を生じさせることなく見栄えの良い室内空間となるようなルーフボックスとトリム部材との合わせ目の拘束構造。
【解決手段】ルーフボックスAの前方のケース部材1には前後方向と直交する方向に延在するフランジ14が形成され、後方のケース部材2には内側にリブ25が形成され前方のケース1の後方部を包含するように前後方向に略平行な外周壁部24が設けられ、その外周壁部24及びその内側のリブ25はフランジ14より前方まで突出しており、トリム部材4の端部に形成した段差部4Lの先端側の前方側の面43fが前記前方ケース部材1のフランジの後面14rと当接し、段差部4Lの根元側の後面41rが後方ケース部材2のリブの前方側先端部25fに当接することによってトリム部材4がルーフボックスAに拘束される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフボックスの構造、及びルーフボックスと室内トリム(例えば、ヘッドライニング)との合わせ目の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
大型車両等では、室内前方のルーフ中央に携帯品等の収納物を収容するためのルーフボックス(収納庫)を設けることが、一般的に行われている。
【0003】
大型車両のルーフボックスは容積が大きいものが多く、構成の側面部材も広いものが多い。そのように広い面積を有するボックス側面の剛性を上げるためには、例えば部品自身の肉厚を増やすことによって、或いは要所にリブを設ける、又は爪などを設けて相手部材と結合させることで剛性確保を行っている。
【0004】
然るに、板厚増加は重量増及びコストアップを伴う。また、リブ追加の場合は追加出来る位置に制約があり、完全には必要剛性を確保し難い場合がある。爪を設ける場合でも、部品のばらつきによって期待するほどの効果が得られず、剛性の高い金属性ブラケット等に結合せざるを得ない場合があった。
【0005】
ここで、ルーフボックスをキャブルーフに取り付ける際に、内装(トリム)であるヘッドライニングと当該ボックス(収納庫)との合わせ部に取付け箇所を設けなければ、そこには隙間が生じ、品質が低下してしまうという問題があるが、前述のように、ルーフボックスに十分な剛性がなければ、そのような取付け箇所も設けられない。
【0006】
ボックス自体に剛性が不足する場合は、ボックス内部に金属性ブラケットを設け、そのブラケットにヘッドライニングの端部を結合させ、ヘッドライニングと当該ボックスとの合わせ部の隙間の発生を防止している。
【0007】
しかし、ボックス内部に金属製ブラケットを設ける場合は、ボックスへの金属ブラケットの接合方法を考えなくてはならず。有効な手立てとは言い難い。
【0008】
ここで、ルーフボックスに関する従来技術としてガレージオープナーのリモコン入れとしても利用出来るものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
然るに、その技術は、製作コストの削減を主目的としており、上述した問題点を解消するものではない。
【特許文献1】特開平11−165591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の目的は、ルーフボックスと室内トリム(例えば、ヘッドライニング)との合わせ目の処理において、金属性支持部材(ブラケット)を設けることなく、即ち、部品点数の増加を防ぎ、ルーフボックス側に十分な剛性を持たせると共に、ルーフボックスとトリムの接合部に隙間を生じさせることなく見栄えの良い室内空間となるようなルーフボックスとトリム部材との合わせ目の拘束構造の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のルーフボックスとトリム部品との合わせ目の拘束構造は、前方、後方の2つのケース部材(1,2)を接続して成るルーフボックス(A)の前方のケース部材(1)には前後方向と直交する方向に延在するフランジ(14)が形成され、後方のケース部材(2)には内側にリブ(25)が形成され前方のケース(1)の後方部を包含するように前後方向に略平行な外周カバー部材(24)が設けられ、その外周カバー部材(24)及びその内側のリブ(25)は前記前方ケース部材(1)のフランジ(14)より前方まで突出しており、トリム部材(ヘッドライニング4)の端部に形成した段差部(4L)の先端側で前方側の面(43f)が前記前方ケース部材(1)のフランジの後面(14r)と当接し、段差部(4L)の根元側の後面(41r)が前記後方ケース部材(2)のリブの前方側先端部(25f)に当接することによってトリム部材(ヘッドライニング4)がルーフボックス(A)に拘束される様に構成されている(請求項1;図1,図2)。
【0011】
また、本発明のルーフボックスとトリム部品との合わせ目の拘束構造は、前方、後方の2つのケース部材(1,2)を接続して成るルーフボックス(A)の前方のケース部材(1)に形成され、前後方向と直交する方向に延在するフランジ(14)にトリム部材(ヘッドライニング4)の端部を締結手段(F)によって締結する様に構成されている(請求項2;図4)。
【0012】
また、本発明のルーフボックスとトリム部品との合わせ目の拘束構造は、前方、後方の2つのケース部材(1,2)を接続して成るルーフボックス(A)の前方のケース部材(1)には前後方向と直交する方向に延在するフランジ(14)が形成され、後方のケース部材(2)には内側にリブ(25)が形成され前方のケース(1)の後方部を包含するように前後方向に略平行な外周カバー部材(24)が設けられ、その外周カバー部材(24)及びその内側のリブ(25)は前記前方ケース部材(1)のフランジ(14)より前方まで突出しており、トリム部材(ヘッドライニング4)の端部に形成した段差部(4L)の先端側で前方側の面(43f)が前記前方ケース部材(1)のフランジの後面(14r)と当接し、段差部(4L)の根元側の後面(41r)が前記後方ケース部材(2)のリブの前方側先端部(25f)に当接し、前記前方ケース部材(1)に形成されたフランジ(14)にトリム部材(ヘッドライニング4)の端部(43)を締結手段(F)によって締結する様に構成されている(請求項3;図4)。
【0013】
前記トリム部材(ヘッドライニング4)に形成された段差(H)はトリム部材(ヘッドライニング4)の厚みの1.5〜6倍であるのが好ましい(請求項4)。
【0014】
前記ルーフボックス(A)の前後2つのケース部材(1,2)は、前後何れかのケース部材の矩形断面の接合開口部が他方のケース部材の接合開口部に嵌合される様に構成されているのが好ましい(請求項5)。
【0015】
尚、後方ケース部材(2)の後部開口部(27)には、上方にヒンジを有するリッド(3)を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上述の本発明のルーフボックスとトリム部材との合わせ目の拘束構造によれば、以下の効果を奏する。
(1).前方のケース部材(1)には前後方向と直交する方向に延在するフランジ(14)が形成され、後方のケース部材(2)には内側にリブ(25)が形成され、その内側のリブ(25)は前記前方ケース部材(1)のフランジ(14)より前方まで突出しており、トリム部材(ヘッドライニング4)の端部に形成した段差部(4L)の先端側の前方側の面(43f)が前記前方ケース部材(1)のフランジの後面(14r)と当接し、段差部(4L)の根元側の後面(41r)が前記後方ケース部材(2)のリブの前方側先端部(25f)に当接することによってトリム部材(ヘッドライニング4)がルーフボックス(A)に拘束される。従って、トリム部材(ヘッドライニング4)はフランジ(14)およびリブ(25)に挟み込まれるように挟持されているので前後方向にも、左右方向にも抜け出すことがない。
(2).フランジ(14)にトリム部材(ヘッドライニング4)の端部(43)を締結手段(F)によって締結されているためトリム部材(ヘッドライニング4)の拘束が解かれることはない。
(3).(1)と(2)とが組み合わされて構成されているので、さらに拘束及び周囲の剛性が高まる。
(4).前記トリム部材(ヘッドライニング4)に形成された段差(H)はトリム部材(ヘッドライニング4)の厚みの1.5〜6倍であるので、拘束はさらに確実なものとなる。
(5).ルーフボックス(A)の前後2つのケース部材(1,2)は、前後何れかのケース部材の矩形断面の接合開口部が他方のケース部材の接合開口部に嵌合されるように構成されているので、ルーフボックス(A)としての組立が容易である。
(6).後方ケース(2)の後部開口部(27)のリッド(3)を上方ヒンジとすることで、収納物の収納が容易におこなわれる。
但し、下方ヒンジであっても、左右何れかにヒンジがあっても構わない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
先ず、図1〜図3を参照して第1実施形態を説明する。
図1は当該ルーフボックスの側面図であり、図2は図1のX−X断面を、図3は後方斜め下方から当該ルーフボックスを見上げた斜視図である。
【0019】
図3では、図1を参照して後述するルーフボックス1の後方ケース2の、外周カバー部材24の外縁24e及びその延長で描かれたトリム部材であるヘッドライニング(以降トリム部材をヘッドライニングと言う)4の表面よりも左方及び上方側がヘッドライニング4に覆われて見えない。
尚、図3中、符号3はルーフボックス1のリッド(蓋)を、符号5はウィンドシールドの上方を、符号Lcはヘッドライニング4の中心線を示す。
【0020】
図1及び図2を参照して、全体を符合Aで表すルーフボックスは、前方ケース部材1と後方ケース部材2と、明確には示していないが、後方ケース部材2の後方開口部を開閉するリッド3とによって構成されている。
【0021】
前記後方ケース部材2の前端部2fは、前記前方ケース部材1の後端に形成された拡径された挿入口15に挿入することによってボックス体に形成される。
一方、後方ケース部材2の後部開口部27は拡径しており、その開口部27には、明確に図示していないが、上方にヒンジを有するリッド3が設けられている。
【0022】
前記前方ケース部材1は、基本断面が天井部材11と底部材12と左右側壁部13とによって矩形に構成された箱体である。そして、前方ケース部材1には前後方向(図1及び図2の左右方向)と直交する方向に延在するフランジ14が形成されている。
尚、前方ケース部材1の前端面16には、図示しないルーフレールへの取付け用のボス部17が前方に向って突出するように複数箇所に形成されている。
【0023】
一方、後方ケース部材2は、基本断面が天井部材21と底部材22と左右側壁部23(図2参照)とによって矩形に構成された箱体であって、その左右側壁23のさらに外側に前後方向に略平行で前方ケース部材1の後方部を包含するように、外周カバー部材24が形成されている。
【0024】
そのカバー部材24には内側にリブ25が図示の例では、片側だけで3箇所に形成され、カバー部材24及びその内側のリブ24は前記前方ケース部材1のフランジ14より前方まで突出している。
【0025】
ここで、図2を参照して、ヘッドライニング4の端部には形成した段差部4Lが形成されている。即ち、段差部4Lは、段差以外の平坦部41と立上がり部42と先端平行部43とで構成されている。
なお、前記トリム部材に形成された段差Hはトリム部材の端部厚みの1.5〜6倍とすることが好ましい。
【0026】
そして、キャブ内装の完了時には、段差部4Lの先端平行部43の前方側の面43fが前記前方ケース部材1のフランジ14の後面14rと当接し、段差部4Lの根元側である平坦部41の後面41rが前記後方ケース部材2のリブ25の前方側先端部25fに当接している。
【0027】
図示はしていないが、ヘッドライニング4をルーフボックスAによって拘束(固定)するに際しては、最初に、図示しないルーフレールに前方ケース部材1の取付け用ボス17を当接させ、図示しない締結部材によって固定する。
次に、ヘッドライニング4に形成された図示では明確でないルーフボックス逃げ孔によってルーフボックスAを潜らせ、逃げ孔の縁部、即ち、段差部4Lの先端平行部43をフランジ14の後面14rに当接させる。
次に、後方ケース部材2の先端2fを前方ケース部材1の挿入孔15に挿入する。
すると、後方ケース部材2の前記リブの先端25fが、段差部4Lの立上り部42に当接する。
【0028】
リブ25が前記前方ケース部材1のフランジ14より前方まで突出しており、ヘッドライニング4の段差部4Lの先端側の前方側の面が前記前方ケース部材1のフランジ14の後面14rと当接し、段差部4Lの平坦部41の後面41rが前記後方ケース部材2のリブ25の前方側先端部25fに当接することによってトリム部材が脱出不可能にルーフボックスAに拘束される。
【0029】
上述したルーフボックスAとヘッドライニング4との合わせ目の拘束構造によれば、トリム部材ヘッドライニング4は前方ケース部材1のフランジ14および後方ケース部材2のリブ25に挟み込まれるように挟持されているので前後方向にも、左右方向にも抜け出すことがない。
【0030】
ヘッドライニング4に形成された段差Hはヘッドライニング4の厚みの1.5〜6倍であるので、拘束はさらに確実なものとなる。
【0031】
ルーフボックスAの前後のケース部材1,2は、前後何れかのケース部材の矩形断面の接合開口部が他方のケース部材の接合開口部に嵌合されるように構成されているので、ルーフボックスAとしての組立が容易である。
【0032】
明確には描いていないが、後方ケース部材2の後部開口部のリッド3を上方ヒンジとすることで、収納物の収納が容易におこなわれる。
但し、下方ヒンジであっても、左右何れかにヒンジがあっても構わない。
【0033】
次に図4を参照して、第2実施形態を説明する。
図4の第2実施形態は、図1〜図3の第1実施形態に対して、前方ケース部材1のフランジ14とヘッドライニング4の段差部4Lの先端平行部43を公知の締結手段Fで締結したことのみが異なる。
【0034】
そのように構成された第2実施形態のルーフボックスとトリム部材との合わせ目の拘束構造によれば、さらにフランジ14にヘッドライニング4の端部43を締結手段Fによって締結しているため、ヘッドライニング4の拘束が解かれることはない。
また、周囲の剛性も高まる。
【0035】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではなないことを付記する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態に係るルーフボックスとトリム部材との合わせ目の拘束構造を説明する側面図。
【図2】図1のX1−X1断面図。
【図3】本発明の実施形態に係るルーフボックスの斜視図。
【図4】本発明の第2実施形態に係るルーフボックスとトリム部材との合わせ目の拘束構造を説明する要部断面図。
【符号の説明】
【0037】
1・・・前方ケース部材
2・・・後方ケース部材
3・・・リッド
4・・・ヘッドライニング
11・・・天井部材
12・・・底部材
13・・・側面部材
14・・・フランジ
15・・・中央収納室
21・・・天井部材
22・・・底部材
23・・・
24・・・外部カバー部材
25・・・リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方、後方の2つのケース部材を接続して成るルーフボックスの前方のケース部材には前後方向と直交する方向に延在するフランジが形成され、後方のケース部材には内側にリブが形成され前方のケースの後方部を包含するように前後方向に略平行な外周壁部が設けられ、その外周壁部及びその内側のリブは前記前方ケース部材のフランジより前方まで突出しており、トリム部材の端部に形成した段差部の先端側で前方側の面が前記前方ケース部材のフランジの後面と当接し、段差部の根元側の後面が前記後方ケース部材のリブの前方側先端部に当接することによってトリム部材がルーフボックスに拘束される様に構成されたことを特徴とするルーフボックスとトリム部材との合わせ目の拘束構造。
【請求項2】
前方、後方の2つのケース部材を接続して成るルーフボックスの前方のケース部材に形成され、前後方向と直交する方向に延在するフランジにトリム部材の端部を締結手段によって締結する様に構成したことを特徴とするルーフボックスとトリム部材との合わせ目の拘束構造。
【請求項3】
前方、後方の2つのケース部材を接続して成るルーフボックスの前方のケース部材には前後方向と直交する方向に延在するフランジが形成され、後方のケース部材には内側にリブが形成され前方のケースの後方部を包含するように前後方向に略平行な外周壁部が設けられ、その外周壁部及びその内側のリブは前記前方ケース部材のフランジより前方まで突出しており、トリム部材の端部に形成した段差部の先端側で前方側の面が前記前方ケース部材のフランジの後面と当接し、段差部の根元側の後面が前記後方ケース部材のリブの前方側先端部に当接し、前記前方ケース部材に形成されたフランジにトリム部材の端部を締結手段によって締結する様に構成したことを特徴とするルーフボックスとトリム部材との合わせ目の拘束構造。
【請求項4】
前記トリム部材に形成された段差はトリム部材の端部簿厚みの1.5〜6倍である請求項1〜3の何れか1項のルーフボックスとトリム部材との合わせ目の拘束構造。
【請求項5】
前記ルーフボックスの前後2つのケース部材は、前後何れかのケース部材の矩形断面の接合開口部が他方のケース部材の接合開口部に嵌合される様に構成されている請求項1〜4何れかの何れか1項のルーフボックスとトリム部材との合わせ目の拘束構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−123843(P2006−123843A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317649(P2004−317649)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】