説明

レコゾタンを含む薬学的剤形および組成物

本発明は、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、薬学的に受容可能なその塩、構造的に関連する化合物および/または代謝産物の送達のための新規な製剤および方法;ならびに疾患を治療するためのこれらの製剤の使用および方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の剤形、化合物または組成物を哺乳動物、例えばヒトに投与する方法およびプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、剤形、化合物または組成物は、経口的に投与される。一態様では、それらは、12または24時間毎に1回経口的に投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2005年9月9日に出願された米国特許出願第60/715,417号の優先権を主張し、米国特許出願第60/715,417号の全体の開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、薬学的に受容可能なその塩、構造的に関連する化合物および/または代謝産物の送達のための新規な製剤および方法、ならびに疾患を治療するためのこれらの製剤の使用および疾患を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
最近のデータにより、5−HT1A受容体は、認知処理に関与することが示された。例えば、非特許文献1を参照されたい。5−HT1A受容体アンタゴニストである、4−シアノ−N−[(2R)−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル]−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩(レコゾタン)は、多数のin vitroおよびin vivo薬理学アッセイにおいて、認知機能障害を治療する薬剤として特徴づけられてきた。in vitroの結合および固有活性の測定により、レコゾタンは、強力で選択的な5−HT1A受容体アンタゴニストであることが実証された。in vivo微小透析を用いると、レコゾタン(0.3mg/kg 皮下)は、8 OH−DPATの負荷用量(challenge dose)(0.3mg/kg 皮下)によって誘発された海馬細胞外5−HTの減少をアンタゴナイズし、10倍高い用量での単独での効果はなかった。レコゾタンは、海馬の歯状回における、塩化カリウム刺激によるグルタメートおよびアセチルコリンの放出を著しく増強した。レコゾタンの長期投与は、5−HT1A受容体機能を示す挙動モデルにおいて5−HT1A受容体の耐性または脱感作を誘発しなかった。薬物弁別研究において、レコゾタン(0.01〜1mg/kg 筋肉内)は、8−OH−DPATの代わりとならず、5−HT1Aアゴニスト弁別刺激合図(discriminative stimulus cue)の用量関連遮断を生じた。高齢のアカゲザルにおいて、レコゾタンは、最適用量(1mg/kg 経口)で作業遂行効率に著しい改善をもたらした。グルタミン酸作動性アンタゴニストMK−801によって(知覚的に複雑で視覚空間的な識別によって評価される)、および海馬の特定のコリン作動性傷害によって(視覚空間的な識別によって評価される)誘発される学習欠陥は、マーモセットにおいてレコゾタン(2mg/kg 筋肉内)によって回復された。レコゾタンの効果の異シナプス性は、この化合物に、アルツハイマー病における認知低下の根底にある生化学病理学に向けられた新規な作用機序をもたらす。
【非特許文献1】Schechter,L.E.ら、「Lecozotan (SRA−333):A Selective Serotonin 1A Receptor Antagonist That Enhances the Stimulated Release of Glutamate and Acetylcholine in the Hippocampus and Possesses Cognitive−Enhancing Properties」、JPET 314巻:1274〜1289頁、2005年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド(レコゾタン)およびその薬学的に受容可能な塩、構造的に関連する化合物、代謝産物、およびそれらの組合せは、アルツハイマー病の治療において重要であるので、最適なバイオアベイラビリティーおよび効力を提供する、これらの活性成分の製剤を提供することが重要である。本発明は、これらの、ならびに他の重要な必要性に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、とりわけ、レコゾタンとも称される、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、薬学的に受容可能なその塩、構造的に関連する化合物、代謝産物、およびそれらの組合せを提供する。
【0006】
本発明によって提供される化合物には、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態(例えば、4−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩)、ならびにそれだけに限らないが:
{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルアミンまたは薬学的に受容可能なその塩;4−シアノ−N−{(2S)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−(2−ピペラジン−1−イルプロピル)−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;N−(5−クロロピリジン−2−イル)−4−シアノ−N−[2−(4−ヒドロキシピペラジン−1−イル)プロピル]ベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
N−(5−クロロピリジン−2−イル)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}ベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−(2R−2−ピペラジン−1−イルプロピル)−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(8−{1−[8−(4−{(1S)−2−[(4−シアノベンゾイル)(ピリジン−2−イル)アミノ]−1−メチルエチル}ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル]−2−メチルプロピル}−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(8−{1−[8−(4−{(1S)−2−[(4−シアノベンゾイル)(ピリジン−2−イル)アミノ]−1−メチルエチル}ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル]ブチル}−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(8−{1−[8−(4−{(1S)−2−[(4−シアノベンゾイル)(ピリジン−2−イル)アミノ]−1−メチルエチル}ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル]ヘキシル}−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(8−{[8−(4−{(1S)−2−[(4−シアノベンゾイル)(ピリジン−2−イル)アミノ]−1−メチルエチル}ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル]メチル}−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(8−{1−[8−(4−{(1S)−2−[(4−シアノベンゾイル)(ピリジン−2−イル)アミノ]−1−メチルエチル}ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;および
4−シアノ−N−[2(R)−(4−シアノベンズアミド)プロピル]−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩を含めた、その構造的に関連する化合物および代謝産物が含まれる。
【0007】
一実施形態では、化合物は、粒子形態である。一態様では、粒子は、約20ミクロン以下の平均直径を有する。別の態様では、粒子は、約0.75から約10ミクロンの平均直径を有する。別の態様では、粒子は、約2から約8ミクロンの平均直径を有する。
【0008】
本発明の組成物は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩(例えば、4−{(2R)−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩)、本明細書に記載されるその構造的に関連する化合物または代謝産物を含む。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態および1種または複数種の構造的に関連する化合物および/または代謝産物を含む。いくつかの実施形態では、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態、およびその構造的に関連する化合物および/または代謝産物は、粒子形態で組成物中に存在する。一態様では、粒子は、約20ミクロン以下の平均直径を有する。別の態様では、粒子は、約0.75から約10ミクロンの平均直径を有する。別の態様では、粒子は、約2から約8ミクロンの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、構造的に関連する化合物および/または代謝産物は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態(例えば、4−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩)を含む組成物中に提供される場合、それぞれ約0.1重量%未満の量である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、薬学的に受容可能な担体をさらに含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態を含む、本発明の組成物および剤形は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]−プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドの1種または複数種の二量体を実質的に含んでいない。この脈絡において用いられる場合、「実質的に含んでいない」は、二量体が、組成物において、その組成物の総重量に基づいて、それぞれ約0.5重量%未満の量で、好ましくはそれぞれ約0.3重量%未満の量で、より好ましくはそれぞれ約0.2重量%未満の量で、およびさらにより好ましくはそれぞれ約0.1重量%未満の量で存在し、剤形において、その剤形中の活性成分の重量に基づいて、それぞれ約0.5重量%未満の量で、好ましくはそれぞれ約0.3重量%未満の量で、より好ましくはそれぞれ約0.2重量%未満の量で、およびさらにより好ましくはそれぞれ約0.1重量%未満の量で存在することとなることを意味する。したがって、本発明は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドおよび/または4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドの他の構造的に関連する化合物の二量体を実質的に含んでいない、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態を含む製剤を提供する。4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドの代表的な二量体は、式7および8に示す通りである。
【0010】
本発明の剤形は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態(例えば、4−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩)、本明細書に記載される構造的に関連する化合物または代謝産物を含む。いくつかの実施形態では、本発明の剤形は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態および1種もしくは複数種の構造的に関連する化合物および/または代謝産物を含むこととなる。いくつかの実施形態では、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態およびその構造的に関連する化合物および/または代謝産物は、粒子形態での剤形で存在する。一態様では、粒子は、約20ミクロン以下の平均直径を有する。別の態様では、粒子は、0.75から約10ミクロンの平均直径を有する。別の態様では、粒子は、約2から約8ミクロンの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、構造的に関連する化合物および/または代謝産物は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態(例えば、4−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩)を含む剤形で提供される場合、剤形の総重量に基づいて、約0.1重量%未満の量である。
【0011】
活性成分という用語は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態(例えば、4−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩)、構造的に関連する化合物または代謝産物(本明細書で示されるような)、およびそれらの薬学的に受容可能な塩を指す。
【0012】
いくつかの実施形態では、医薬組成物および/または剤形は、活性成分(例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態)に加えて、少なくとも1種の速度制御ポリマーおよび少なくとも1種の有機酸を含む。いくつかの実施形態では、有機酸は、クエン酸無水和物、クエン酸一水和物、アスコルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、フマル酸、リンゴ酸または酒石酸である。いくつかの実施形態では、有機酸は、クエン酸または多官能性有機酸である。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の放出速度制御ポリマーは、メチルセルロースである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートである。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ヒプロメロース2208または2910(例えば、Methocel(商標)K4M、Methocel(商標)K15M、Methocel(商標)KI00M、Methocel(商標)E10M、Methocel(商標)E4M、Methocel(商標)K100LV、Methocel(商標)E50LV、Methocel(商標)E5、Methocel(商標)E6、またはMethocel(商標)E15LVである。いくつかの実施形態では、有機酸は、クエン酸であり、速度制御ポリマーは、ヒプロメロース 2208、(例えば、Methocel(商標)K4M premium CR および/または Methocel(商標)K100M Premium CR)である。
【0013】
いくつかの実施形態では、医薬組成物および/または剤形は、少なくとも1種の増量剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、増量剤は、微結晶セルロース、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、マルトデキストリン、デキストロース、フルクトース、マルトース、マンニトール、デンプン、またはスクロースである。いくつかの実施形態では、微結晶セルロースは、ケイ化微結晶セルロースであり、ラクトースは、ラクトース一水和物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物および/または剤形は、少なくとも1種の潤滑剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸、またはコロイド状二酸化ケイ素である。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物および/または剤形は、1種または複数種の活性成分に加えて、少なくとも1種の速度制御ポリマー、少なくとも1種の有機酸、少なくとも1種の増量剤、および少なくとも1種の潤滑剤を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物および/または剤形は、活性成分1部当たり、約2から約45または46部の放出速度制御ポリマーおよび約1から約5部の有機酸を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物および/または剤形は、約0.4から約10mgの活性成分を含む。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物および/または剤形は、約50から約150mgの速度制御ポリマー(複数も)、約5から約50mgの有機酸(複数も)、約85から約179mgの増量剤(複数も)および約1mgの潤滑剤を含む。いくつかの実施形態では、約2から約50mgの有機酸(複数も)が存在する。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物および/または剤形は、活性成分(例えば、4−シアノ−N−{(2R)−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態)に加えて、少なくとも1種の増量剤および少なくとも1種の潤滑剤を含む。いくつかの実施形態では、増量剤は、微結晶セルロース、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、マルトデキストリン、デキストロース、フルクトース、マルトース、マンニトール、デンプン、スクロースまたはそのブレンドである。いくつかの実施形態では、増量剤は、微結晶セルロース、ラクトース、またはそれらのブレンドである。いくつかの実施形態では、医薬組成物および/または剤形は、少なくとも1種の潤滑剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸、またはコロイド状二酸化ケイ素である。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0016】
いくつかの実施形態では、医薬組成物および/または剤形は、活性成分1部当たり、約15から約300部の増量剤および約0.1から約3部の潤滑剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物および/または剤形は、約0.1から約5mgの4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩形態を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物および/または剤形は、約80から約150mgの1種または複数種の増量剤(複数も)および少なくとも約0.75mgの1種または複数種の潤滑剤(複数も)を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本発明の剤形は、錠剤形態である。一態様では、錠剤はフィルムコーティングされている。
【0018】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物または剤形は、乾燥ブレンド形態である。
【0019】
本発明は、本発明の組成物および剤形を提供するプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、その錠剤を形成するのに有効な時間および条件下で圧縮される。いくつかの実施形態では、錠剤はさらにフィルムコーティングされる。
【0020】
本発明は、活性成分、少なくとも1種の速度制御ポリマーおよび少なくとも1種の有機酸を混合し、それによってそれらのブレンドを形成することを含むプロセスも提供する。いくつかの実施形態では、このプロセスは、その錠剤を形成するのに有効な時間および条件下でブレンドを圧縮することをさらに含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、さらにフィルムコーティングされる。
【0021】
本発明はまた、活性成分、少なくとも1種の増量剤および少なくとも潤滑剤を混合し、それによってそれらのブレンドを形成することを含むプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、このプロセスは、その錠剤を形成するのに有効な時間および条件下でブレンドを圧縮することをさらに含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、さらにフィルムコーティングされる。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明の剤形には、塩基が存在しない。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の剤形、化合物または組成物を哺乳動物、例えばヒトに投与する方法およびプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、剤形、化合物または組成物は、経口的に投与される。一態様では、それらは、12または24時間毎に1回経口的に投与される。別の態様では、それらは、48時間毎に1回経口的に投与される。いくつかの特に好ましい実施形態では、剤形、化合物または組成物はアルツハイマー病を治療するために投与される。
【0024】
ある態様では、本発明は、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含む経口剤形を患者に投与する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者集団におけるCmax/C24の平均比が、約5:1から約1.1:1である、患者における最高血漿濃度(Cmax)および患者における24時間血漿濃度(C24)を達成する経口剤形を患者に投与することを含む。ある実施形態では、Cmax/C24の平均比は、約3:1から約1.1:1、約2.8:1から約1.1:1、または約2.3:1から約1.1:1である。ある態様では、CmaxおよびC24の値は、単回用量の経口剤形を患者に投与した後に測定される。いくつかの実施形態では、経口剤形は、約5mgのレコゾタンを含む。ある態様では、患者集団における平均tmaxは、約3.5時間以上または約5時間以上である。ある態様では、患者集団における平均Cmaxは、約100ng/ml以下である。いくつかの実施形態では、これらの剤形の投与は、患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にする。いくつかの実施形態では、これらの方法は、レコゾタンの投与による有害副作用のリスクのある患者を特定するステップ、および続いてその患者に経口剤形を投与することを含む。ある態様では、有害副作用は、頭痛、眩暈、感覚異常、異常視力、耳鳴、またはそれらの組合せである。
【0025】
いくつかの実施形態では、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を投与する方法は、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者集団におけるCmax/C24の平均比が、約2.4:1から約1.1:1である、患者における最高血漿濃度(Cmax)および患者における24時間血漿濃度(C24)を達成する経口剤形を患者に投与することを含む。ある実施形態では、Cmax/C24の平均比は、約2.3:1から約1.1:1、約2:1から約1.1:1、約1.9:1から約1.1:1または約1.5:1から約1.1:1である。ある態様では、CmaxおよびC24の値は、空腹時集団において定常状態で測定される。いくつかの実施形態では、約10mgのレコゾタンが、患者に毎日提供される。ある態様では、患者集団における平均Cmaxは、約350ng/mlである。いくつかの実施形態では、これらの剤形の投与は、患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にする。いくつかの実施形態では、これらの方法は、レコゾタンの投与による有害副作用のリスクのある患者を特定するステップ、および続いてその患者に経口剤形を投与することを含む。ある態様では、有害副作用は、頭痛、眩暈、感覚異常、異常視力、耳鳴、またはそれらの組合せである。
【0026】
本発明は、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、平均Cmax/平均C24の比が、約5:1から約0.5:1である、患者集団における平均最高血漿濃度(Cmax)および患者集団における平均24時間血漿濃度(C24)を達成する経口剤形を、患者に投与することを含む方法も提供する。ある態様では、平均Cmax/平均C24の比は、約2.8:1から約1.1:1、約2:1から約1.1:1、または約1.5:1から約1.1:1である。ある態様では、CmaxおよびC24の値は、単回用量の経口剤形を患者に投与した後に測定される。他の態様では、CmaxおよびC24の値は、空腹時集団において定常状態で測定される。いくつかの実施形態では、経口剤形は、約5mgのレコゾタンを含む。いくつかの実施形態では、これらの剤形の投与は、患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にする。いくつかの実施形態では、これらの方法は、レコゾタンの投与による有害副作用のリスクのある患者を特定するステップ、および続いてその患者に経口剤形を投与することを含む。ある態様では、有害副作用は、頭痛、眩暈、感覚異常、異常視力、耳鳴、またはそれらの組合せである。
【0027】
本発明はまた、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、平均Cmax/平均C24の比が、約3:1から約0.5:1である、患者集団における平均最高血漿濃度(Cmax)および患者集団における平均12時間血漿濃度(C12)を達成する経口剤形を患者に投与することを含む方法を提供する。ある実施形態では、平均Cmax/平均C12の比は、約2:1から約1.1:1または約1.5:1から約1.1:1である。いくつかの実施形態では、これらの剤形の投与は、患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にする。いくつかの実施形態では、これらの方法は、レコゾタンの投与による有害副作用のリスクのある患者を特定するステップ、および続いてその患者に経口剤形を投与することを含む。ある態様では、有害副作用は、頭痛、眩暈、感覚異常、異常視力、耳鳴、またはそれらの組合せである。
【0028】
いくつかの実施形態では、本発明は、患者にレコゾタンを投与する方法であって、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含む経口剤形を患者に投与することを含み、この剤形は、50rpmでUSPタイプII溶解装置を用いて、900mlの37℃のUSP pH6.8 リン酸緩衝液中で測定され、各剤形に対してシンカー(sinker)が用いられる場合、in vitro溶解プロフィールを示し、前記装置での測定から約2時間で40%以下のレコゾタンが放出され、前記装置での測定から約12時間で約50%から約85%のレコゾタンが放出される方法を提供する。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明は、患者にレコゾタンを投与する方法であって、患者に、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、(i)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られる平均Cmax未満である、患者集団における平均Cmaxを達成し、(ii)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られるtmaxを超える、患者集団における平均tmaxを達成し、かつ(iii)時間をわたってのレコゾタンの濃度曲線であって、等価用量のレコゾタンを即時放出剤形から患者集団に投与することから得られる曲線下面積(AUC)と実質的に同じである、患者集団におけるAUCを有する曲線を達成する、経口剤形を投与することを含む方法を提供する。ある実施形態では、経口剤形は、約100ng/ml以下の平均Cmaxおよび/または約4時間から約8時間の平均tmaxおよび/または約2000から約2500ng h/mLである平均AUCを達成する。一態様では、これらの測定は、単回用量の経口剤形、例えば5mgの単回用量のレコゾタンを投与した後に行われる。ある実施形態では、経口剤形は、約400ng/mL未満の平均Cmax、例えば約350ng/mLの平均Cmaxおよび/または約4時間から約8時間の平均tmaxおよび/または約5500から約6300ng h/mLである平均AUCを達成する。ある態様では、これらの測定は、空腹時集団において定常状態で行われる。ある態様では、10mgのレコゾタンが、患者に毎日投与される。いくつかの実施形態では、これらの剤形の投与は、患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にする。いくつかの実施形態では、これらの方法は、レコゾタンの投与による有害副作用のリスクのある患者を特定するステップ、および続いてその患者に経口剤形を投与することを含む。ある態様では、有害副作用は、頭痛、眩暈、感覚異常、異常視力、耳鳴、またはそれらの組合せである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(発明の詳細な説明)
本発明はとりわけ、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、薬学的に受容可能なその塩、構造的に関連する化合物および/または代謝産物を含む製剤を提供する。本明細書で用いる場合、「製剤」という用語は、化合物、組成物、ならびに例えば、即時放出剤形および徐放剤形などの剤形を指す。
【0031】
本発明は、製剤を作製するプロセスおよび製剤を哺乳動物に投与する方法も提供する。
【0032】
本発明で用いるのに好ましい製剤は、セロトニン作動性薬剤として作用し、5−HT1A結合活性を有するものである。特に、好ましい化合物は、5−HT1Aアンタゴニストとして作用する。例えば、すべての目的に対して、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、US−B−6784294、US−B−6713626、US−B−US−B−6469007、US−B−6586436、US−A−5710149、およびUS−A−6127357、ならびにWO97/03982を参照されたい。本発明の化合物、ならびに1種または複数種の本発明の化合物を含む組成物は、容易に入手可能な試薬および出発物質を利用する既知の方法を用いて、有機合成の当業者によって調製することができ、例えば、すべての目的に対して、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、EP−B−0512755、WO97/03982、US−B−6127357、US−B−6469007、US−B−6713626、およびUS−B−6784294、ならびにUS−A−20030208075A1を参照されたい。
【0033】
そのような方法は、{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}ピリジン−2−イルアミンに加水分解されるスルファミン酸中間体を得るために1−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)ピペラジン塩酸塩をスルファマート 4,5−ジヒドロ−5S−メチル−3−(2−ピリジニル)−3H[1.2.3]オキサチアゾール−2,2−ジオキシドでアルキル化し、次いで4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミド塩基を得るために、{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}ピリジン−2−イルアミンを4−シアノベンゾイルクロリドで処理することを含む。4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩基の塩酸との処理により、その塩酸塩が得られる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態では、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドおよびその薬学的に受容可能な塩を含む調製物は、さらに処理され、精製される。例えば、一実施形態では、本明細書に開示された方法によって調製されたp4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドを含む調製物は、有機溶媒中に溶解され、シリカゲルで処理され、構造的に関連する化合物、例えば式7および8で表される二量体を除去するために濾過される。次いで残存する生成物は、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩を提供するために濃縮し、再結晶化することができる。
【0035】
本発明の好ましい製剤は、5−HT1A受容体活性を調節する、例えばアンタゴナイズする、またはアゴナイズすることができ、それだけに限らないが、統合失調症、(およびパラノイアおよびマノ−うつ病(mano−depressive illness)などの他の精神病性障害)、パーキンソン病および他の運動不全、不安(例えば、全身性不安障害、不安発作、および強迫性障害)、うつ病(セロトニン再取り込み阻害剤およびセロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤の増強などによる)、アルツハイマー病、トゥーレット症状群、片頭痛、自閉症、注意欠陥障害および多動性障害を含めたCNS障害などの疾患の治療に有用である。好ましい製剤は、睡眠障害、社会恐怖症、疼痛、体温調節障害、内分泌障害、尿失禁、血管攣縮、発作、例えば、肥満症、食欲不振症および過食症などの摂食障害、性機能障害の治療、ならびにアルコール、薬剤およびニコチン禁断症状の治療に有用である。
【0036】
本発明の好ましい製剤は、それだけに限らないが、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病ならびにレビ小体、血管認知症、および脳卒中後認知症を含めた他の認知症に関係する認知機能障害を含めた認知機能障害の治療にも有用である。外科手術手順、外傷性脳傷害または脳卒中に関係する認知機能障害も、本発明によって治療することができる。さらに、好ましい製剤は、認知機能障害が、併存疾患、例えば、パーキンソン病、自閉症および注意欠陥障害などである疾患の治療に有用である。
【0037】
水におけるその高い溶解度にもかかわらず(25℃で約51mg/ml)、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドおよびその塩は、微粒子化された形態で提供されることが好ましい。そのようなものとして、本発明は、微粒子化された形態の、および微粒子化されていない形態の4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、薬学的に受容可能なその塩、構造的に関連する化合物または代謝産物を含む製剤を提供する。本発明の目的に関しては、微粒子化された形態の化合物は、約20ミクロン以下の平均直径を有する粒子形態である。本発明の化合物は、約20ミクロンを超える平均直径を有する粒子形態、例えば、約20ミクロンから約300ミクロンまたは約500ミクロンの平均直径を有する粒子形態となることができることが理解される。好ましくは、粒子は約10ミクロンの平均直径、より好ましくは、約0.75から約10ミクロン、さらにより好ましくは、約2から約8ミクロンの平均直径を有する。微粒子化または粒径縮小の方法は既知であり、したがって本明細書で詳細には説明しない。
【0038】
認識されることとなるように、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]−プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミドは、以下の式
【0039】
【化1】

によって表される。
【0040】
本発明の中で、式1の化合物は、薬学的に受容可能な塩の形態で調製することができる。本明細書で用いる場合、「薬学的に受容可能な塩」という用語は、無機塩および有機塩を含めて、薬学的に受容可能な非毒性酸から調製される塩を指す。適当な非有機塩として、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などの無機酸および有機酸が挙げられる。塩酸、臭化水素酸、リン酸、および硫酸が特に好ましく、塩酸塩が最も好ましい。
【0041】
ある実施形態では、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩を含む製剤は、既知の方法を用いて検出し、定量化することのできる1種または複数種の構造的に関連する化合物も含むこととなる。そのような構造的に関連する化合物の例として、それだけに限らないが、例えば:
{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルアミンまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2S)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−(2−ピペラジン−1−イルプロピル)−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−[(2R)−2−ピペラジン−1−イルプロピル]−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
N−(5−クロロピリジン−2−イル)−4−シアノ−N−[2−(4−ヒドロキシピペラジン−1−イル)プロピル]ベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
N−(5−クロロピリジン−2−イル)−4−シアノ−N−[(2R)−2−(4−ヒドロキシピペラジン−1−イル)プロピル]ベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
N−(5−クロロピリジン−2−イル)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}ベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
N−(5−クロロピリジン−2−イル)−4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}ベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(8−{1−[8−(4−{(1S)−2−[(4−シアノベンゾイル)(ピリジン−2−イル)アミノ]−1−メチルエチル}ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル]−2−メチルプロピル}−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(8−{1−[8−(4−{(1S)−2−[(4−シアノベンゾイル)(ピリジン−2−イル)アミノ]−1−メチルエチル}ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル]ブチル}−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(8−{1−[8−(4−{(1S)−2−[(4−シアノベンゾイル)(ピリジン−2−イル)アミノ]−1−メチルエチル}ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル]ヘキシル}−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(8−{[8−(4−{(1S)−2−[(4−シアノベンゾイル)(ピリジン−2−イル)アミノ]−1−メチルエチル}ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル]メチル}−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(8−{1−[8−(4−{(1S)−2−[(4−シアノベンゾイル)(ピリジン−2−イル)アミノ]−1−メチルエチル}ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;および
4−シアノ−N−[2(R)−(4−シアノベンズアミド)プロピル]−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩;
を含めた式2〜9
【0042】
【化2】

【0043】
【化3】

【0044】
【化4】

(式中、Rは、−CH、−CH(CH、−CHCHCH、CHCHCHCHまたは−CHCHCHCHCHである)によって表される化合物および薬学的に受容可能なそれらの塩が挙げられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、本発明は、式2、3、4、5、6、7、8または9で表される1種もしくは複数種の化合物あるいは薬学的に受容可能なそれらの塩を含む製剤を提供する。本発明のいくつかの態様では、製剤は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩、および式2、3、4、5、6、7、8または9で表される1種もしくは複数種の化合物あるいは薬学的に受容可能なそれらの塩を含むこととなる。いくつかの実施形態では、例えば、本発明の製剤は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩、{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルアミンまたは薬学的に受容可能なその塩、および4−シアノ−N−{(2S)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩を含むことができる。したがって、本発明は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩、{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルアミン、および4−シアノ−N−{(2S)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩を含む製剤を提供する。上述した構造的に関連する化合物が、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩と組み合わせて存在する場合、好ましくは前者が優勢であり、後者は、好ましくは約10%未満の量で組成物中に存在し、より好ましくは、約5%未満の量で存在し、さらにより好ましくは、約1%または0.1%未満の量、例えば、約0.08%と約0.27%の間の量で存在する。
【0046】
4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドは、1個の不斉中心を含有し、R異性体として主に用いられる。製剤、例えば、本発明の化合物、組成物または剤形は、RおよびS異性体の両方を含むことができ、単一の鏡像異性体または特定の鏡像異性混合物に限定されない。
【0047】
本発明は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドの代謝産物を含む製剤も提供する。代謝産物として、それだけに限らないが、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩、および4−シアノ−N−(2R−2−ピペラジン−1−イルプロピル)−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩が挙げられる。認識されるように、これらの代謝産物は、式10〜13によって表される。これらの代謝産物は、医薬活性化合物として、およびそれら自体での、単独での、または他の医薬活性化合物と組み合わせた医薬剤形において用いることができることが認識されよう。
【0048】
【化5】

【0049】
【化6】

本発明は、1種または複数種の活性成分、例えば、5−HT1A結合活性を有する、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、薬学的に受容可能なその塩、その構造的に関連する化合物および代謝産物を含む即時放出剤形および徐放剤形を提供する。
【0050】
薬剤「放出速度」は、単位時間当たりに剤形から放出される薬剤の量、例えば、1時間当たりに放出される薬剤のミリグラム(mg/hr)を指す。薬剤放出速度は、例えば、当分野で知られている、in vitroでの剤形溶解試験条件下で計算することができる。本明細書で用いる場合、「投与後の」規定された時間に得られる薬剤放出速度は、適切な溶解試験を実行した後の規定された時間に得られるin vitroでの薬剤放出速度を指す。溶解試験または放出速度アッセイの実施方法は、当分野で知られている。剤形中の規定された割合の薬剤が放出された時間は、「T」値として参照することができ、「x」は、放出された薬剤のパーセントである。経口剤形からの薬剤放出を評価することに関して一般的に用いられている基準測定は、剤形中の70%または90%の薬剤が放出された時間である。この測定は、剤形に対する「T70」または「T90」と称される。
【0051】
本発明の目的に関しては、「即時放出製剤」という用語は、製剤からの活性化合物の比較的急速で漸進的でない放出を提供する製剤、例えば、活性化合物および製剤からの活性化合物の放出を遅延させない、急速に溶解する担体を含む製剤を指す。このような即時放出製剤は、放出速度制御ポリマーまたは製剤からの活性化合物の放出を遅延させる他の化学種のどちらも欠いているか、あるいはそのようなポリマーまたは化学種を、そのようなポリマーまたは化学種がない、他の点では同一の製剤と比べて、製剤からの活性化合物の放出が遅延されないほど十分に少ない量で含有する。このような即時放出製剤の一例は、FMC社からのAvicel(登録商標)ブランドなどの微結晶セルロースにブレンドされた活性成分、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、薬学的に受容可能なその塩、構造的に関連する化合物、または代謝産物であり、これは、0.1N HCl溶液中に0.25時間未満で、75%を超える活性成分の溶解を生じる。
【0052】
本明細書で用いる場合、「徐放」、「徐放製剤」、「徐放投与製剤」などの用語は、上述した「即時放出」製剤と比べて、例えば、放出速度制御ポリマーまたは他の放出遅延物質がない、他の点では同一の製剤と比べて、製剤からの活性化合物の放出を遅延させる物質を含有する製剤を指す。したがって、「徐放」という用語は、任意のいくつかの持続放出(extended release)形態に適用することができ、遅延放出、持続放出(time release)、持続放出(prolonged release)、時間計画放出(time programmed release)、持続放出型(time released)、時間コーテッド放出(time coated release)、徐放、遅効性、長時間作用性、遅延作用性(delayed acting)、間隔放出(spaced release)、時間間隔放出(time spaced release)、持続作用性(extended acting)、持続作用(extended action)などと実質的に同義であるとみなされる。
【0053】
「遅速放出」、「中速放出」、および「高速放出」という用語は、互いに相対的に遅速、中速、高速である速度で活性化合物を放出する、本明細書に記載される徐放製剤を指すことを意図する。
【0054】
徐放製剤は、即時放出製剤と比較して、最高治療濃度に到達するのにかかる時間を増加させる、例えば、限定ではなく、即時放出製剤と比較して、例えば、放出速度制御ポリマーまたは他の放出遅延物質がない、他の点では同一の製剤と比較して、50%以上、100%以上、150%以上または200%以上の期間増加させるのに有効な速度での、剤形からの活性化合物の放出をもたらすことができることが理解される。徐放製剤はまた、即時放出製剤と比較して、前記化合物の最高治療濃度を減少させる、例えば、限定ではなく、即時放出製剤と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少させるのに有効な速度での、剤形からの活性化合物の放出をもたらすことができる。徐放製剤はまた、即時放出製剤と比べて、活性化合物の医薬有効濃度が維持される時間量を増加させる、例えば、限定ではなく、即時放出製剤と比べて、活性化合物の医薬有効濃度が維持される時間量の少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、または少なくとも125%増加させるのに有効な速度での、剤形からの活性化合物の放出をもたらすことができる。前述の任意の基準を満たせば、製剤、「徐放」製剤を作製するのに十分である。
【0055】
本発明は、開示された剤形を対象に投与することを含む、活性成分の徐放のための方法を提供する。一態様では、剤形からの活性化合物の放出速度は0次である。別の態様では、剤形からの活性成分の放出速度は上昇性である。
【0056】
本明細書で用いる場合、「放出速度制御ポリマー」という用語は、医薬剤形からの薬剤物質の放出を遅延させる、医薬剤形に適した任意のポリマー材料を表すことを意図する。放出速度制御ポリマーは、好ましくは、胃における薬剤の放出を抑制することとなる。好ましくは、放出速度制御ポリマーは、液体を吸収(imbibe)および/または吸収(absorb)するヒドロゲルであり、それによって胃における薬剤の放出を防止する。適当な放出速度制御ポリマーの例は、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Gennaro, 編集, MackPublishing Co., Easton, PA, 1990年に見出すことができる。
【0057】
本発明での使用に適したいくつかの好ましい放出速度制御ポリマーとして、限定することなく、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリメタクリル酸、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酸化ポリ(エチレン)、例えば、ヒプロメロース2208および2910などのヒドロキシプロピルメチルセルロース、ならびにそれらの2種以上の組合せが挙げられる。適当な放出速度制御ポリマーは、Colorconから入手可能なMethocel(商標)K4M、Methocel(商標)K15M、Methocel(商標)K100M、Methocel(商標)E4M、Methocel(商標)K100LV、Methocel(商標)E50LV、Methocel(商標)E5、Methocel(商標)E6、Methocel(商標)E15LV、およびSurelease(商標)、ならびにRohm GmbH&Co.から入手可能なEudragit(商標)、RS Eudragit(商標)RLなど、商業的供給源から入手可能である。いくつかの実施形態では、本発明の製剤は、高密度基質形成(matrix−forming)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低密度基質形成ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはそれらの組合せを含むこととなる。
【0058】
本発明の徐放製剤は、少なくとも1種の放出速度制御ポリマーを含む。製剤における放出速度制御ポリマーの範囲は、好ましくは約10重量%から約75重量%、より好ましくは約20重量%から約60重量%である。本発明の一実施形態では、250mg剤形中の放出速度制御ポリマーの量は、約50から約150mgである。いくつかの実施形態では、放出速度制御ポリマーは、例えば、基質形成ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエーテル、例えば、Methocel(商標)K4M Premium CRまたはMethocel(商標)K100M Premium CRである。
【0059】
少なくとも1種の放出速度制御ポリマーを含むことに加えて、本発明の徐放剤形は、腸において放出速度を向上させるための少なくとも1種の剤、例えば有機酸を一般に含む。本明細書で用いる場合、「有機酸」という用語は、哺乳動物が安全に摂取することのできる任意の酸を包含する。任意の特定の理論に制約されることを望まないが、酸は、腸において、薬剤生成物の放出を向上させると考えられる。本発明での使用に適した有機酸の例として、それだけに限らないが、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン塩酸塩、アジピン酸、コハク酸、アスコルビン酸、オレイン酸またはクエン酸が挙げられる。好ましい有機酸は、クエン酸または多官能性有機酸である。製剤中の有機酸の範囲は、好ましくは、約1重量%から約30重量%、より好ましくは約2重量%から約10重量%である。本発明の一実施形態では、250mg剤形中の有機酸の量は、約5から約50mg、好ましくは約5から約25mgである。いくつかの実施形態では、有機酸の量は約2から約50mgである。
【0060】
好ましくは、徐放製剤は、実質的に塩基を含まない。本明細書で用いる場合、実質的に塩基である、製剤、剤形、または組成物は、約10%未満の塩基、好ましくは約5%未満の塩基、およびより好ましくは約1%もしくは0.1%未満の塩基を有する製剤、剤形、または組成物を指す。本明細書で用いる場合、「塩基」という用語は、プロトン受容体として機能する化学化合物を指す。
【0061】
活性化合物および放出速度制御ポリマーに加えて、本発明の製剤は、その製剤に有利な特性を付与する任意の様々な追加の物質を含むことができる。そのような物質として、例えば、界面活性物質(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)などの溶解性調節剤、酸性化合物、抗酸化剤、pH調節剤、キレート剤、増量剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、安定剤、糖などの水溶性賦形剤ならびに例えば、微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ化微結晶セルロースおよびデンプンなどの水分散性賦形剤を含めた賦形剤を挙げることができる。いくつかの実施形態では、製剤は、約6以下のpH、例えば、約1から約6のpHで提供される。
【0062】
水溶性賦形剤または水分散性賦形剤の限定されない例として、ラクトース、マンニトール、スクロースなどが挙げられる。水溶性賦形剤は、必要とされる特定の治療対象に応じた重量パーセントの範囲で存在することができる。本発明で用いる場合、パーセントまたは部は、別段の記載のない限り、重量部または重量パーセントとして表される。一般に、水溶性賦形剤の範囲は、例えば、約0%から約50%もしくは99%、または約2%から約25%とすることができる。水分散性賦形剤として、微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ化微結晶セルロース(Prosolv(商標))、デンプン、クロスカルメロースナトリウムなどが挙げられる。
【0063】
安定剤の限定されない例として、BHA、BHT、アスコルビン酸、トコフェロールなどの抗酸化剤が挙げられる。適当な金属キレート剤の限定されない例として、EDTA、クエン酸などが挙げられる。pH調節剤の限定されない例として、クエン酸、フマル酸などが挙げられる。結合剤の限定されない例として、デンプン、PVP(ポリビニルピロリドン)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)が挙げられる。流動助剤の限定されない例として、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。溶解性調節剤の限定されない例として、ラウリル硫酸ナトリウムまたはポリソルビン酸(例えば、Tween(商標)80)などのような界面活性物質が挙げられる。
【0064】
好ましい実施形態では、本発明の徐放製剤は、活性成分、少なくとも1種の放出速度制御ポリマー、有機酸、少なくとも1種の増量剤および少なくとも1種の潤滑剤を含む。
【0065】
潤滑剤の例として、それだけに限らないが、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル、タルク、鉱油(PEG中)、コロイド状二酸化ケイ素などが挙げられる。しかし、本明細書に記載される製剤中に、当分野で知られている任意の潤滑剤を用いることができることが理解される。潤滑剤の範囲は、例えば、約0.2重量%から約5重量%とすることができる。本発明の一実施形態では、250mg剤形中の潤滑剤の量は、約1mgである。
【0066】
増量剤の例として、それだけに限らないが、ケイ化微結晶セルロース、微結晶セルロース、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、ラクトース一水和物、無水ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(例えば、二塩基無水物)、マルトデキストリン、デキストロース、フルクトース、マルトース、マンニトール、デンプン、デンプン(例えば、α化)、スクロース、およびラクトースが挙げられる。しかし、本明細書に記載される製剤中に、当分野で知られている任意の増量剤を用いることができることが理解される。増量剤の範囲は、例えば、約25%重量から約75重量%または約99重量%とすることができる。本発明の一実施形態(例えば、例示的な徐放製剤)では、250mg剤形中に存在する増量剤の量は、約85から約179mgである。
【0067】
本発明の徐放剤形は、他の成分に関して任意の好都合なパーセントおよび部で活性化合物を含むことができる。典型的には、製剤は、約0.3%から約25%、好ましくは、約0.3%から約15%の割合で活性成分を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約1%から約25%、好ましくは約2%から約15%の割合で活性成分を含むこととなる。
【0068】
好ましい実施形態では、徐放製剤は、活性成分1部当たり、約2から約46部の放出関連制御ポリマー(release relate controlling polymer)および約0.4から約10部の、腸において放出速度を向上させる剤を含むこととなる。より好ましくは、活性成分1部当たり、約10から約46部の放出速度制御ポリマーおよび約1から約5部の、腸において放出速度を向上させる剤。
【0069】
例えば、一実施形態では、高速徐放製剤は、活性成分、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩1部当たり、約10部の放出速度制御ポリマー、および約5部の有機酸を含む。
【0070】
別の実施形態では、中速徐放製剤は、活性成分、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩1部当たり、約25部の放出速度制御ポリマー、および約5部の有機酸を含む。
【0071】
別の実施形態では、遅速徐放製剤は、活性成分、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩1部当たり、約30部の放出速度制御ポリマー、および約1部の有機酸を含む。
【0072】
別の実施形態では、徐放製剤は、活性成分、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩1部当たり、約18部の放出速度制御ポリマー、および約1部の有機酸を含む。
【0073】
別の実施形態では、徐放製剤は、活性成分、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩1部当たり、約46部の放出速度制御ポリマー、および約1部の有機酸を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、徐放製剤は、約5mgの活性成分、約50から150mgの放出速度制御ポリマー、約5から約50mgの有機酸、約85から約179mgの増量剤および約1mgの潤滑剤を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、徐放製剤は、約2mgの活性成分、約50から150mgの放出速度制御ポリマー、約2から約50mgの有機酸、約85から約179mgの増量剤および約1mgの潤滑剤を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、例示的な徐放製剤は、250mgの錠剤中に、約5mgの活性成分および約50mgの放出速度制御ポリマーを含む。このような例示的な製剤は、例えば、約169mgの増量剤、約25mgの有機酸(または腸における放出速度を向上させるための他の剤)および約1mgの潤滑剤をさらに含むことができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、例示的な徐放製剤は、250mgの錠剤中に、約5mgの活性成分および約125mgの放出速度制御ポリマーを含む。このような例示的な製剤は、例えば、約94mgの増量剤、約25mgの有機酸(または腸における放出速度を向上させるための他の剤)および約1mgの潤滑剤をさらに含むことができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、例示的な徐放製剤は、250mgの錠剤中に、約5mgの活性成分および約150mgの放出速度制御ポリマーを含む。このような例示的な製剤は、例えば、約89mgの増量剤、約5mgの有機酸(または腸における放出速度を向上させるための他の剤)および約1mgの潤滑剤をさらに含むことができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、例示的な徐放製剤は、250mgの錠剤中に、約5mgの活性成分および約92mgの放出速度制御ポリマーを含む。このような例示的な製剤は、例えば、約150mgの増量剤、約5mgの有機酸(または腸における放出速度を向上させるための他の剤)および約1mgの潤滑剤をさらに含むことができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、例示的な徐放製剤は、250mgの錠剤中に、約2mgの活性成分および約92mgの放出速度制御ポリマーを含む。このような例示的な製剤は、例えば、約150mgの増量剤、約2mgの有機酸(または腸における放出速度を向上させるための他の剤)および約1mgの潤滑剤をさらに含むことができる。
【0081】
本発明によって企図される徐放製剤は、哺乳動物への投与に適した任意の形態とすることでき、本明細書に示される例に限定されない。
【0082】
いくつかの実施形態では、本発明の製剤は、コーティングされたペレットまたは球の形態である。そのような製剤の限定されない一例は、不活性な基質中に活性成分のコアを含有し、本明細書に開示された放出速度制御ポリマーでコーティングされた球である。適当な放出速度制御ポリマーの限定されない例は、ポリメタクリル酸、Eudragit(商標)IVS、Eudragit(商標)RS/RL、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロースなどの、本明細書に記載されたpH依存性またはpH非依存性ポリマーである。
【0083】
いくつかの実施形態では、本発明の製剤は、ペレットの形態である。そのような製剤の例として、不活性コア、例えば糖球の上の活性化合物層、および1種または複数種の放出速度制御ポリマーを含有する表面コーティングを含むペレットを含むものが挙げられる。他の実施形態では、製剤は、カプセル剤、例えば、硬ゼラチンカプセル剤または軟ゼラチンカプセル剤および/または粉末の形態である。
【0084】
いくつかの実施形態では、本発明の製剤は、錠剤の形態である。この種類の代表的な製剤における活性化合物の重量パーセントは、約0.3%から約25%、好ましくは約0.3%から約15%である。いくつかの実施形態では、この種類の代表的な製剤における活性化合物の重量パーセントは、約1%から約25%、好ましくは約2%から約15%である。このような錠剤の限定されない例は、共圧縮錠剤(co−compressed tablet)、例えば「錠剤中錠剤」および基質錠剤である。
【0085】
共圧縮錠剤は、コアおよび外側圧縮層を含むことができる。コアおよび外側圧縮層のいずれかまたは両方は、活性化合物および/または1種または複数種の放出速度制御ポリマーを含有することができる。いくつかの実施形態では、剤形は、コアおよび外側圧縮層の両方が、活性化合物、および1つが好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである少なくとも1種の放出速度制御ポリマーを含有する共圧縮錠剤である。好ましい基質形成ポリマーとして、Methocel(商標)K4M、Methocel(商標)K15M、Methocel(商標)KI00M、Methocel(商標)E10M、Methocel(商標)E10M、Methocel(商標)E4M、Methocel K4M、Methocel(商標)K100LV、Methocel(商標)E50LV、Methocel(商標)E5、Methocel(商標)E6、Methocel(商標)E15LVまたはそれらの2種以上の組合せから選択される、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
【0086】
いくつかの実施形態では、錠剤は基質錠剤である。基質形成組成物は、ワックス、ガム、酸化ポリエチレン、カルバポール(carbapol)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリメタクリル酸または本明細書に記載された他の放出速度制御ポリマーを含有することができる。いくつかの実施形態では、このような基質錠剤は、活性化合物および基質形成ポリマーを一緒にブレンドし、このブレンドを圧縮することによって調製される。
【0087】
いくつかの実施形態では、錠剤は、ワックス基質を含む基質錠剤である。このような錠剤は、例えば、カルナウバワックス、セトステアリルアルコールまたは脂肪酸、またはそれらの組合せなどのワックスを融解させ、微結晶セルロースなどの増量剤、ならびに他の賦形剤、増量剤、潤滑剤などとともに活性化合物を添加し、この混合物を冷却させることによって調製することができる。調製された製剤は、任意選択により、1種もしくは複数種の水溶性、または放出速度制御性の制御放出ポリマーでコーティングされることができるかまたはこれらを含有することができる。ワックスは、製剤中に、例えば、約10%から約60%、好ましくは約20%から約40%の重量での総量で存在することができる。多種多様の適当なワックスを、本発明に適用できる。そのようなワックスの限定されない例として、カルナウバワックス、セトステアリルアルコール、脂肪酸、またはそれらの2種以上の混合物が挙げられる。基質錠剤は、本明細書に記載された1種または複数種の放出速度制御ポリマーも含有することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、基質錠剤は、酸化ポリエチレン基質、例えば限定でなく、SENTRY POLYOX(商標)(Union Carbide Corporation)または等価物などの酸化ポリエチレン樹脂を含む錠剤である。適当なPOLYOXとして、POLYOX(商標)WSR N−10、N−60 K、WSR−1105N、またはWSR 303が挙げられる。POLYOX(商標)は、例えば、100,000から7,000,000または900,000から5,000,000の範囲の分子量を有することができる。酸化ポリエチレンは、例えば、約5%もしくは約10%から約40%もしくは約75%、好ましくは約5%から約40%、または約10%から約20%の製剤の重量での総量で、製剤中に存在することができる。基質錠剤は、本明細書に記載された1種または複数種の放出速度制御ポリマーも含有することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、基質錠剤は、本明細書に記載された1種または複数種の放出速度制御ポリマーを基質形成ポリマーとして含む錠剤である。いくつかの実施形態では、そのような錠剤は、本明細書に記載された1種または複数種の基質形成ヒドロキシプロピルメチルセルロースを基質形成ポリマーとして含む。いくつかの好ましい実施形態では、Methocel(商標)K4Mなどの高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、例えば、約15%から約70%、好ましくは約18%から約50%の重量での量で用いることが有利である。例えば、Methocel(商標)K15M、Methocel(商標)K100M、または Methocel(商標)E4Mなどの他の高粘度ポリマーも用いることができる。いくつかの実施形態では、Methocel(商標)E5OLV、Methocel(商標)E5、Methocel(商標)E6、もしくはMethocel(商標)E15LVまたはそれらの組合せなどの低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることができる。ある実施形態では、高粘度および低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの両方を基質中に用いることができる。いくつかの実施形態では、低密度ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、約15%から約70%、好ましくは約25%から約50%の範囲で存在する場合、高密度ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、約20%から約50%の重量での量で存在する。
【0090】
一般に、活性化合物または活性成分は、本発明の剤形の任意の層中に含有することができ、活性化合物の徐放は、活性化合物を含有する層内または活性化合物を含有する層を包含する任意の層、例えば腸溶コーティング中のいずれかに含まれている放出速度制御ポリマーの使用によって達成することができる。このような腸溶コーティングは、活性化合物を含有するペレット、ビーズまたは球状体にも塗布することができるか、または活性化合物は、腸溶コーティング自体の中に含有されることができる。
【0091】
本発明の基質錠剤製剤のいくつかの実施形態では、活性化合物は、約0.02%から約16%、好ましくは約0.02%から約4%の重量での量で存在する。
【0092】
本発明の錠剤は、水溶性フィルム層(複数も)、着色剤でコーティングするか、または活性化合物の放出速度をさらに制御するためのpH依存性もしくはpH非依存性ポリマーでコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、錠剤は、下塗り層、腸溶コーティング、または上塗りコーティング、またはそれらの任意の組合せでコーティングされる。いくつかの好ましい実施形態では、本発明の製剤の錠剤は、フィルムでコーティングされる。
【0093】
本発明は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、薬学的に受容可能なその塩、構造的に関連する化合物および/または代謝産物を含む、徐放製剤を調製するための方法および/またはプロセスを提供する。一実施形態では、少なくとも1種の速度制御ポリマーおよび少なくとも1種の有機酸とともに活性成分を含む組成物は、その錠剤を形成するのに有効な時間および条件下で圧縮される。いくつかの実施形態では、錠剤は、例えば、フィルムでさらにコーティングされる。
【0094】
別の実施形態では、活性成分は、少なくとも1種の放出速度制御ポリマーおよび少なくとも1種の有機酸と混合され、それによってブレンドを形成する。このブレンドを、錠剤を形成するための時間および条件下でさらに圧縮することができる。いくつかの実施形態では、錠剤は、例えばフィルムでさらにコーティングされる。好ましい実施形態では、ブレンドは、乾燥ブレンドである。
【0095】
いくつかの実施形態では、製剤は、ローラー圧縮によって調製される。例えば、錠剤は、顆粒化とその後の粉砕によって調製することができる。いくつかの実施形態では、活性成分、増量剤(例えば、微結晶セルロース)およびポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)は、顆粒化され、次いで粉砕される。次いで、粉砕された顆粒は、例えば、クエン酸およびステアリン酸マグネシウムなどの追加の賦形剤と混合される。
【0096】
上述したもの、ならびにマイクロカプセル化およびマクロカプセル化、繊維、ポリマー(高密度および低密度)および非ポリマーの両方の基質、泡、リポソーム、ミセル、ゲル、ポリマー基質、多孔性基質、微多孔性基質または非多孔性基質における物理的に分散した薬剤、イオン交換樹脂上への吸着、化学的もしくは生物学的分解性基質との混合またはこのような基質上への吸着などを含めた、徐放経口製剤を得るために存在する任意の多数の技法も、本発明によって含められる。活性化合物は、薬剤が単一の最高濃度を達成する方法で製剤化することができるか、または薬剤が2つ以上のピークで脈動するように製剤化することができる。経口送達は、液体剤形または固体剤形の方法によるものとすることができる。液体剤形として、シロップ、懸濁液、エマルジョン、エリキシル剤などが挙げられる。液体担体は、有機または水性基剤を含むことができ、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味剤、着香剤、懸濁剤、増粘剤、着色剤、粘性調節剤、安定剤または浸透圧調節剤、またはそれらの組合せなどの適当な医薬添加剤でさらに改変することができる。水性担体は、例えば、ポリマー物質または油も含有することができる。
【0097】
本発明は、即時放出剤形も提供する。本発明の即時放出剤形は、活性成分、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、薬学的に受容可能なその塩、構造的に関連する化合物、または代謝産物を含むことができる。徐放製剤においてと同様に、いくつかの実施形態では、活性成分は微粒子化される。好ましくは、即時放出製剤は、実質的に塩基を含まない。
【0098】
好ましい実施形態では、即時放出製剤は、活性成分、少なくとも1種の増量剤および少なくとも1種の潤滑剤を含む。本発明の製剤は、その製剤に有利な特性を付与する任意の様々な物質をさらに含むことができる。そのような物質として、例えば、界面活性物質(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)などの溶解性調節剤、酸性化合物、増量剤、潤滑剤、抗酸化剤、pH調節剤、キレート剤、崩壊剤、結合剤、安定剤、糖などの水溶性賦形剤ならびに微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ化微結晶セルロースおよびデンプンなどの水分散性賦形剤を含めた賦形剤を挙げることができる。潤滑剤の範囲は、典型的には、約、例えば、0.2重量%から約5重量%である。本発明の一実施形態では、150mg剤形中の潤滑剤の量は、約0.5から約1mgである。増量剤の範囲は、例えば、約70重量%から約99重量%とすることができる。本発明の一実施形態では、150mg剤形中の増量剤の量は、約80から約149mgである。
【0099】
本発明の即時放出剤形は、他の成分に関して任意の好都合なパーセントおよび部で活性化合物を含むことができる。典型的には、製剤は、約0.05%から約10%の割合で活性成分を含む。
【0100】
例えば、一実施形態では、即時放出製剤は、活性成分、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩1部当たり、約297部の増量剤、および約1.5部の潤滑剤を含む。
【0101】
別の実施形態では、即時放出製剤は、活性成分、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩1部当たり、約29部の増量剤、および約0.15部の潤滑剤を含む。
【0102】
別の実施形態では、即時放出製剤は、活性成分、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩1部当たり、約148部の増量剤、および約0.75部の潤滑剤を含む。
【0103】
別の実施形態では、即時放出製剤は、活性成分、例えば、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドまたは薬学的に受容可能なその塩1部当たり、約58部の増量剤、および約0.3部の潤滑剤を含む。
【0104】
本発明によって企図される即時放出製剤は、哺乳動物への投与に適した任意の形態とすることでき、本明細書に示される例に限定されない。
【0105】
本発明は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、薬学的に受容可能なその塩、および/またはその代謝産物を含む即時放出製剤を調製するための方法および/またはプロセスを提供する。一実施形態では、少なくとも1種の増量剤および少なくとも1種の潤滑剤とともに活性成分を含む組成物は、その錠剤を形成するのに有効な時間および条件下で圧縮される。いくつかの実施形態では、錠剤は、例えばフィルムでさらにコーティングされる。
【0106】
いくつかの実施形態では、活性成分は、少なくとも増量剤および少なくとも1種の潤滑剤と混合され、それによってブレンドを形成する。このブレンドを、錠剤を形成するための時間および条件下でさらに圧縮することができる。いくつかの実施形態では、錠剤は、例えばフィルムでさらにコーティングされる。
【0107】
いくつかの実施形態では、製剤はローラー圧縮によって調製される。
【0108】
徐放剤形のように、即時放出剤形は、例えば、コーティングされたペレット、球、カプセル剤、粉末、または錠剤とすることができる。
【0109】
したがって、本発明によれば、経口および非経口徐放投与製剤を含めた、徐放剤形および即時放出剤形が提供される。したがって、本発明は、即時放出非経口投与製剤のために存在するそれぞれの多数の技法を含む。本発明による活性化合物の送達は、粘膜、膣、直腸、眼、経皮、子宮内の経路などによるものとすることができる。
【0110】
したがって本発明は、とりわけ、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、薬学的に受容可能なその塩、構造的に関連する化合物および/または代謝産物のための剤形、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、薬学的に受容可能なその塩、構造的に関連する化合物および/または代謝産物の即時送達のための方法、および4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、薬学的に受容可能なその塩、構造的に関連する化合物および/または代謝産物の長期間にわたる持続送達のための方法を提供する。いくつかの実施形態では、剤形の投与は、24時間毎に1回、12時間毎に1回、または6時間毎に1回である。
【0111】
本明細書に記載された剤形は、哺乳動物において、経口投与を含めた多くの経路を通じて、活性化合物の即時放出または徐放を促進する。いくつかの好ましい実施形態では、剤形は、一般にレコゾタンと称される、化合物4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド、好ましくはその塩酸塩を含む。
【0112】
本発明の好ましい実施形態では、薬剤のレコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含む経口徐放剤形が提供される。一態様では、本明細書に記載されたものなどの、レコゾタンを含む徐放剤形は、即時放出剤形と比較して、改善された薬物動態学的特性を有する。患者集団に投与される場合、レコゾタンを含む経口剤形は、患者集団におけるレコゾタンの平均最高(例えば、ピーク)血漿濃度(Cmax)および患者集団におけるレコゾタンの平均最低血漿濃度(Cmin)を達成する。本発明の好ましい徐放剤形は、患者集団におけるCmax血漿レベルとCmin血漿レベルの間の分散を最小限にするだろう。特に、本発明の好ましい徐放剤形は、患者集団における、最高血漿レベルとトラフ血漿レベルの間の分散を最小限にするだろう。
【0113】
本明細書で用いられるように、血漿における、レコゾタンなどの活性成分のピークまたは最高濃度(Cmax)、血漿における、レコゾタンなどの活性成分の濃度対時間曲線下面積(AUC)、および血漿における、レコゾタンなどの活性成分の最高血漿濃度までの時間(tmax)は、当業者に知られている薬物動態学的パラメーターである(Applied Biopharmaceutics and Pharmacokinetics、7章; Scargle and Yu、第4版、1999年)。別段の指示のない限り、薬物動態学的パラメーターは、空腹時集団において定常状態で測定される。濃度対時間曲線は、剤形の経口投与後の時間に対する、対象の血清における活性成分の濃度を示す。「Cmax」は、剤形を対象に投与した後の、対象の血清における活性成分の最高濃度である。「tmax」は、剤形を対象に投与した後の、対象の血清における活性成分の最高濃度に到達するまでの時間である。薬剤投与後の任意の時間での血漿薬剤濃度は、C9hやC24hのようにCtimeとして参照される。「Ctrough」は、投与間隔の最後での血漿薬剤濃度を指す。「血漿薬剤濃度」または「血漿濃度」は、単位容積当たりの質量、典型的には1ミリリットル当たりのナノグラムとして一般に表される。
【0114】
個々の対象において得られる血漿薬剤濃度は、薬剤の吸収、分布、代謝および排出に影響を及ぼす多くのパラメーターにおける患者間のばらつきのために変動することとなることを、当業者は理解する。この理由のため、別段の指示のない限り、患者の群(「患者集団」)から得られる平均値が本明細書で用いられる。
【0115】
本明細書で用いる場合、血漿における、活性成分、例えばレコゾタンの濃度対時間曲線下面積(AUC)は、線形アップ/対数ダウン(linear up/log down)の台形公式によって計算される。「送達速度」または「吸収速度」は、最高濃度(Cmax)に到達する時間(tmax)の比較によって推定される。Cmaxおよびtmaxの両方は、ノンパラメトリック法を用いて分析される。即時放出製剤および徐放製剤の薬物動態の比較は、分散分析(ANOVA)によって行われる。P<0.05は有意であるとみなされる。結果は、平均値+/−標準誤差として与えられる。薬物動態学的パラメーターの同等性は、約0.8から約1.25内に含まれている、参照製剤に対する試験製剤の薬物動態学的パラメーターの中央値の比の90%信頼区間を一般に指す。
【0116】
本発明の一態様では、徐放製剤は、患者集団におけるCmax/C24の平均比が約5:1から約1.1:1である、患者におけるCmaxおよび患者におけるC24を達成することとなる。いくつかの好ましい実施形態では、患者集団におけるCmax/C24の平均比は、約3:1から約1.1:1、約2.8:1から約1.1:1、約2.5から約1.1:1、約2.3:1から約1.1:1またはさらに約2:1から約1.1:1または約1.5:1から約1.1:1である。したがって、ある実施形態では、患者集団におけるCmax/C24の平均比は、約5である。他の実施形態では、患者集団におけるCmax/C24の平均比は、約3、約2.8、約2.5またはさらに約2.3、約2、または約1.5である。ある実施形態では、これらのCmaxおよびC24の値は、単回用量の薬剤を患者に投与した後に測定される。いくつかの実施形態では、5mgの単回用量の薬剤が投与される。他の実施形態では、これらのCmaxおよびC24の値は、空腹時集団において定常状態で測定される。
【0117】
本発明の一態様では、徐放製剤は、患者集団におけるCmax/C24の平均比が約2.4:1から約1.1:1、約2.3:1から約1.1:1、約2:1から約1.1:1、約1.9から約1.1:1、約1.5:1から約1.1:1または約1.25:1から約1.1:1である、患者におけるCmaxおよび患者におけるC24を達成することとなる。したがって、ある実施形態では、患者集団におけるCmax/C24の平均比は、約2.3である。他の実施形態では、患者集団におけるCmax/C24の平均比は、約2、約1.9、約1.5またはさらに約1.25である。一態様では、これらのCmaxおよびC24の値は、空腹時集団において定常状態で、例えば、患者への28回の日用量後に測定される。いくつかの実施形態では、薬剤は10mgの日用量で投与される。他の実施形態では、これらのCmaxおよびC24の値は、単回用量の薬剤を患者に投与した後に測定される。
【0118】
いくつかの実施形態では、患者集団におけるCmaxおよびC12またはC24の間の差異は、パーセント差異として特徴づけることができる。例えば、ある態様では、レコゾタンを投与された患者集団におけるCmax/C24またはCmax/C12の平均比は、250%以下で変動することとなる。他の実施形態では、患者集団におけるCmax/C24またはCmax/C12の平均比は、約100%以下、約50%、約30%またはさらに約25%変動することとなる。いくつかの実施形態では、CmaxおよびC12またはC24は、定常状態で測定される。他の実施形態では、CmaxおよびCminは、単回用量の薬剤を患者に投与した後に測定される。
【0119】
本発明のある態様では、徐放製剤は、平均Cmax/平均C24の比が約5:1から約1.1:1である、患者における平均Cmaxおよび患者における平均C24を達成することとなる。いくつかの好ましい実施形態では、平均Cmax/平均C24の比は、約2.8:1から約1.1:1、約2:4から約1.1:1、約2.3から約1.1:1、約2:1から約1.1:1、約1.5:1から約1.1:1またはさらに約1.25:1から約1.1:1である。したがって、ある実施形態では、平均Cmax/平均C24の比は、約5、約2.8、約2.4、約2.3、約2、約1.5、またはさらに約1.25である。一態様では、これらのCmaxおよびC24の値は、単回用量の薬剤を患者に投与した後に測定される。いくつかの実施形態では、5mgの単回容量の薬剤が投与される。一態様では、これらのCmaxおよびC24の値は、空腹時集団において定常状態で、例えば、患者への28回の日用量後に測定される。
【0120】
本発明の一態様では、徐放製剤は、平均Cmax/平均C12の比が約3:1から約1.1:1である、患者における平均Cmaxおよび患者における平均C12を達成することとなる。いくつかの好ましい実施形態では、平均Cmax/平均C12の比は、約2.3:1から約1.1:1、約2:1から約1.1:1、約1.9から約1.1:1、約1.5:1から約1.1:1または約1.25:1から約1.1:1である。したがって、ある実施形態では、平均Cmax/平均C12の比は約2.3である。他の実施形態では、平均Cmax/平均C12の比は、約2、約1.9、約1.75またはさらに約1.5、約1.4、約1.3、約1.25、約1.2または約1.1である。いくつかの実施形態では、CmaxおよびC12は、定常状態で測定される。他の実施形態では、CmaxおよびC12は、単回用量の薬剤を患者に投与した後に測定される。いくつかの実施形態では、薬剤は、5mgの投与量で投与される。
【0121】
ある好ましい徐放製剤は、24時間の投与期間にわたって、レコゾタンの治療レベルを維持し、したがって1日1回の投与を提供する。好ましい徐放製剤はまた、レコゾタン療法に関係する副作用の発症数または重症度を低減する。有害副作用には、頭痛、眩暈、感覚異常、視覚異常、耳鳴またはそれらの組合せが含まれる。
【0122】
副作用の発症数の減少は、レコゾタンの即時放出製剤を摂取している比較可能な集団において測定された場合の、患者集団における副作用の発症数の低減を指し、副作用の完全な欠如を指すのではない。
【0123】
好ましくは、向上した薬物動態学的特性を有する徐放製剤は、約2時間の測定で約40%以下のレコゾタンが放出され、約12時間の測定で約50から85%のレコゾタンが放出される溶解プロフィールを有する。
【0124】
徐放錠剤または経口剤形の溶解は、USPにおいて指示されているように、Apparatus II(パドル)を用いて、50rpmで、900ミリリットルの37℃のUSP pH6.8 リン酸緩衝液中で測定される。各錠剤または剤形に対してシンカーが用いられる。溶解溶媒の濾過された試料は、規定された時間(複数も)に採取される。溶解した活性成分の量は、逆相高速液体クロマトグラフィーカラムで、既知の濃度の標準物質とともにクロマトグラフィーにかけることによって測定される。各試料中の活性成分の濃度は、試料のクロマトグラムのピーク応答を、同時に得られた標準物質のクロマトグラムのピーク応答と比較することによって決定される。
【0125】
ある徐放製剤は、好ましくは、レコゾタンのCmin(例えば、トラフ値)レベルまたは患者におけるレコゾタン吸収の程度のいずれに対する実質的な影響を伴わないでレコゾタンのピーク血漿レベルを低減する。好ましくは、徐放製剤は、即時放出剤形と比較した場合、ある特定の薬物動態学的パラメーターを達成する。そのような即時放出製剤の一例は、0.1N HCL溶液中に0.25時間未満で、75%を超える活性成分の溶解を生じる、FMC CorporationからのAvicel(登録商標)ブランドなどの微結晶セルロース、ラクトース一水和物およびステアリン酸マグネシウム中にブレンドされたレコゾタンである。
【0126】
本発明のある徐放製剤は、好ましくは、即時放出剤形を投与された患者集団において達成される平均Cmaxよりも低い、患者集団における平均Cmaxを達成する。好ましくは、平均ピーク血漿レベルは、少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約20%低減される。いくつかの実施形態では、平均ピーク血漿レベルは、少なくとも約30%以上低減される。いくつかの実施形態では、平均ピーク血漿レベルは、50%超低減される。好ましくは、単回用量の5mgの経口投与製剤は、100ng/ml以下である、患者集団における平均Cmaxを達成する。本発明の別の態様では、10mgのレコゾタンの複数回日用量は、約350ng/mlである、患者集団における平均Cmaxを達成する。いくつかの実施形態では、Cmaxは、定常状態で測定される。他の実施形態では、Cmaxは、単回用量の薬剤を患者に投与した後に測定される。
【0127】
本発明のある徐放製剤は、好ましくは、即時放出剤形を投与された患者集団において達成される平均tmaxよりも大きい、患者集団における平均tmaxを達成する。好ましくは、tmaxは、2倍、3倍、またはさらに4倍である。本発明のある実施形態では、レコゾタンの徐放剤形を投与された患者集団において達成される平均tmaxは、約4から約8時間である。
【0128】
本発明の徐放製剤は、好ましくは、即時放出剤形を投与された患者集団において達成されるCtroughと実質的に等価である、患者集団における平均Ctroughを達成する。即時放出剤形で得られるトラフ値レベルに匹敵するトラフ値レベルを維持することにより、活性成分の治療効力が維持される。12時間の間隔にわたる即時放出剤形と比較した場合、少なくとも80%の平均Ctroughが、24時間の間隔にわたって本発明の好ましい徐放製剤で達成されるはずである。いくつかの実施形態では、即時放出剤形と比較した場合、平均Ctroughは、少なくとも約90%または少なくとも約95%である。
【0129】
治療効力を維持するために、徐放剤形から吸収されるレコゾタンの総量(AUC)は、24時間の投与間隔にわたって、即時放出製剤から吸収されるレコゾタンの総量と実質的に同量であることも好ましい。したがって、好ましい実施形態では、徐放剤形は、即時放出剤形を投与された患者集団において達成される平均AUCと実質的に同量である、患者集団における平均AUCを達成する。例えば、24時間の間隔にわたって即時放出剤形と比較した場合、少なくとも約80%の平均AUCが、本発明の好ましい徐放剤形で達成されるはずである。いくつかの実施形態では、24時間の間隔にわたって即時放出剤形と比較した場合、平均AUCは、少なくとも約90%または少なくとも95%である。AUCは、即時放出製剤のAUCの約125%以下であるべきである。
【0130】
本発明は、患者に徐放剤形を投与することを含む方法を提供する。ある実施形態では、徐放製剤は、患者におけるアルツハイマー病を治療するために投与される。いくつかの実施形態では、徐放剤形を投与する方法は、レコゾタンの投与による有害副作用のリスクのある患者を特定することも含む。本発明の例示的な実施形態では、本発明の方法による治療のための対象患者を特定するために、容認されたスクリーニング法を用いることによって、対象におけるアルツハイマー病の状態を判定することができる。ある態様では、レコゾタンの即時放出剤形の投与に関係する1つまたは複数の副作用をすでに患っているか、または患う傾向があるかどうかを判定するために、通常の病歴を利用することができる。1つまたは複数のこれらの副作用をすでに患っているか、または1つまたは複数のこれらの副作用を患う傾向のある患者は、レコゾタンの投与を通じた有害作用のリスクのある患者として分類することができる。他の態様では、患者が任意の心臓異常、例えば、徐脈を有しているかどうかを判定するために、心電図を実施することができ、これは患者が、低減されたCmaxを有する製剤でより良好に治療されることとなることを示す場合がある。これらの、および他の通常の方法は、臨床医が、本発明の方法および製剤を用いる療法を必要とする患者を特定することを可能にする。
【0131】
本発明の好ましい徐放製剤は、患者集団においてある特定の平均薬物動態学的パラメーターを達成する。患者集団は、ランダム化された研究を実施するための標準的な手順によって選択される。患者集団は、この種類の薬剤が代謝されると思われる様式の予備知識なしで選択された少なくとも12人を含む。
【実施例】
【0132】
実施例1:4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドの代謝産物の同定
M8、M11、M12、およびM13と称される4種の代謝産物を溶媒(10%のメタノールを含有する酢酸エチル)抽出とそれに続くセミ分取HPLCによって単離した。セミ分取HPLC分離は、xTerra C18カラム(7.8×300mm、10μm)上で行い、10mMの酢酸アンモニウム(pH=4.5)を含有するアセトニトリル/水の勾配を移動相として用いた。
【0133】
代謝産物の構造は、NMRおよび質量スペクトルのデータに基づいて決定した。NMRについては、すべての試料をCDCN中に溶解させた。試料M11については、溶解度を増加させるために、約10%のDOを加えた。すべての試料に対して、プロトンおよびCOSYのデータを得た。M11およびM12を含有する試料については、構造を決定するためにHSQCおよびHMBCのデータも得た。
【0134】
M11、M12およびM13代謝産物は、ジヒドロベンゾ−[1,4]ジオキシンピペラジン部分のヒドロキシル化を通じて形成した。NMR研究を行うことによってこれらの代謝産物におけるヒドロキシル化の位置を決定し、M8の構造を確認した。
【0135】
M11:M11の1次元プロトンスペクトルは、親化合物での3個の代わりに、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジキソン部分の2個の芳香族プロトンを示し、ベンゼン環でヒドロキシル化が起こったことを示した。2つのプロトンのシグナルは、二重線であり、CまたはC位のいずれかでヒドロキシル化が起こったことを示している。ベンゼンのプロトンHとピペラジンのプロトンとの間の比較的強いNOE相関が、Cヒドロキシル化に期待されるが、Cヒドロキシル化には期待されないので、2つの位置異性体を区別するために、1次元NOE実験を行った。そのようなNOE相関は、1次元NOE実験で実際に観察された。したがって、M11の構造は、以下に示す通りであり、ヒドロキシル基は、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジキソン部分のC上にある。
【0136】
【化7】

M12:M12の1次元プロトンスペクトルは、代謝産物に期待されたものより複雑であった。しかし、スペクトルの慎重な分析により、試料は異性体を含んでいることが示された。M12代謝産物のプロトンスペクトルと、親化合物のプロトンスペクトルとの比較により、芳香族部分およびピペラジン部分は、M12において完全な状態であることが示された。しかし、1,4−ジオキシン環のプロトンは、まったく異なる。3つのメチンのシグナルが、5.5、5.15および5.1ppmに観察される。これらのメチンのプロトンは、試料に対する1個の等価なプロトンに同化した。HSQCデータは、これらのメチン基の炭素のシフトが、80から88ppmの間であることを示し、ジオキシンのメチレンの1つでのヒドロキシル化を示した。COSYスペクトルは、下に提出されたメチンプロトンが、ジオキサン環のメチレンプロトンと相関することを示し、ジオキサン環上のヒドロキシル化を確認した。2組を超えるシグナルが観察されたという事実は、試料中にキラル異性体が存在したことを示す。このキラル異性体が、酵素によって生成したのか、または試料精製ステップにおけるラセミ化を通じて生成したのかは明らかではない。NMR結果に基づくと、M12の構造は、以下に示す通りである。
【0137】
【化8】

M13:M13のプロトンスペクトルとM12のプロトンスペクトルとの比較は、M12とM13が非常に類似していることを示す。親化合物において観察されたすべての芳香族プロトンは、M13において観察され、芳香族部分は代謝産物において完全な状態であることを示した。M13において、ジオキシン環上でヒドロキシル化も起こったようであった。M12と同様に、M13は、5.5、5.19、5.10および4.86ppmで観察された4種のメチンプロトンによって示されるように異性体を含んでいた。時間とともに、これらの4つのメチンシグナルの強度が変化し、異性体の比が変化したことを示していることが注目された。同様の変化が、M12において観察された。M12の分析からの結果と合わせて、M12およびM13の観察されたNMRスペクトルは、本来の成分を表していない場合があるようであった。NMR分析により、M12およびM13は、それぞれ2位および3位に対応する、ジオキサン環上のヒドロキシル化によって生成されたことが示された。M12およびM13は、転位することができ、両方ともラセミ化され得る。
【0138】
【化9】

M8:M8のプロトンスペクトルおよびCOSYスペクトルをこの試料について得た。データは、DSMによって実施されたMS/MS分析に基づくM8について提唱された構造と一致する。ピリジン部分、ピペラジン部分およびシアノプロピルベンズアミド部分は、すべて完全な状態である。親化合物と比較して、欠けている唯一の基は、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン部分である。
【0139】
【化10】

実施例2:4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドに構造的に関連する化合物の同定
式2〜9によって表される構造的に関連する化合物を同定した。構造的に関連する化合物は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドを含む調製物から、分取クロマトグラフィーによって、約90%の純度を有する約1mgの量で単離した。構造は、核磁気共鳴分光法、エレクトロスプレイイオン化質量分析および交換可能なプロトンの数の定量によって証明した。
【0140】
4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩を含む調製物は、以下のようにさらに処理した。出発物質を、水酸化ナトリウム水溶液および酢酸エチルで処理することによって塩基に変換した。得られた酢酸エチル溶液を、共沸的に乾燥させ、ヘプタンで希釈することによって、3:1の酢酸エチルヘプタン混合物を得、シリカゲルで処理した。得られた混合物を繰り返して濾過し、濃縮することによってヘプタンを除去した。この塩基を、酢酸エチル溶液中で、酢酸エチル中の1.0当量の塩化水素で処理した。生成物を、熱い変性エタノール中に溶解させた。この混合物を濾過し、濃縮した。この生成物を、冷却によって結晶化し、濾過によって単離した。最終の湿ったケーキを乾燥させた。このプロセスにより、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミドの二量体不純物のレベルが低減された。
【0141】
実施例3:本発明の代表的な徐放製剤
【0142】
【化11】

:活性成分の量は、その放出効力に準じて調整される必要がある場合がある。
【0143】
実施例4:本発明の代表的な徐放製剤
【0144】
【化12】

:活性成分の量は、その放出効力に準じて調整される必要がある場合がある。
【0145】
実施例5:本発明の代表的な即時放出製剤
【0146】
【化13】

活性成分は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩である。
a:活性部分(active moiety portion)(遊離塩基)は、理論的には、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩薬剤物質の93%である。添加される実際の量は、塩酸塩薬剤物質の効力に基づく。上記の表に記載した投入量は、活性成分の重量に基づく。
b:塩酸塩薬剤物質が、100%の効力でない場合、ラクトース一水和物投入量に対する対応する調整とともに、薬剤物質投入量に対する調整を行わなければならない。
c:過剰量を含む。理論量は0.075kgである。1.0mg錠剤、
【0147】
【化14】

活性成分は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩である。
a:活性部分(遊離塩基)は、理論的には、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩薬剤物質の93%である。添加される実際の量は、塩酸塩薬剤物質の効力に基づく。上記の表に記載した投入量は、活性成分の重量に基づく。
b:塩酸塩薬剤物質が、100%の効力でない場合、ラクトース一水和物投入量に対する対応する調整とともに、薬剤物質投入量に対する調整を行わなければならない。
c:過剰量を含む。理論量は0.075kgである。
【0148】
【化15】

活性成分は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩である。
a:活性部分(遊離塩基)は、理論的には、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩薬剤物質の93%である。添加される実際の量は、塩酸塩薬剤物質の効力に基づく。上記の表に記載した投入量は、活性成分の重量に基づく。
b:塩酸塩薬剤物質が、100%の効力でない場合、ラクトース一水和物投入量に対する対応する調整とともに、薬剤物質投入量に対する調整を行わなければならない。
c:過剰量を含む。理論量は0.075kgである。
【0149】
【化16】

活性成分は、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩である。
a:活性部分(遊離塩基)は、理論的には、4−シアノ−N−{(2R)−2−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩薬剤物質の93%である。添加される実際の量は、塩酸塩薬剤物質の効力に基づく。上記の表に記載した投入量は、活性成分の重量に基づく。
b:塩酸塩薬剤物質が、100%の効力でない場合、ラクトース一水和物投入量に対する対応する調整とともに、薬剤物質投入量に対する調整を行わなければならない。
c:過剰量を含む。理論量は0.075kgである。
【0150】
実施例6:代表的な即時放出製剤のための代表的な製造指示
1.ラクトース一水和物および微結晶セルロースを適当な容器中に分注する。
2.4−シアノ−N−{(2R)−[4−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イルベンズアミド塩酸塩を、適当な大きさのタンブラー混合用深容器中に分注する。少量の分注したラクトース一水和物を加え、タンブラー混合機中に混合する。
3.ステップ2からのプレブレンド、その後に微結晶セルロースを、500μmの篩に通過させて、適当な大きさのタンブラー混合機用深容器に入れる。混合する。
4.ステップ3からのプレブレンドを、適当な大きさのタンブラー混合機用深容器に移す。残っているラクトース一水和物を、500μmの篩に通過させてこの混合用深容器に入れる。混合する。
5.このブレンドを秤量し、バッチに必要なステアリン酸マグネシウムの量を計算する。ステアリン酸マグネシウムを適当な容器に分注し、ステップ4からの一部のブレンドと混合する。
6.このプレ混合物を500μmの篩に通過させて、混合用深容器内の残っているブレンド中に入れる。この最終ブレンドを混合する。
7.適切な工具を備えた適当な圧縮機を用いて、ステップ6からのブレンドを圧縮することによって、所定の重量および硬度を有する錠剤を作製する。
8.完成した錠剤の粉塵を除去し、重量を確認し、これを視覚的に検査する。
【0151】
実施例7:レコゾタンの3種の徐放製剤と1種の即時徐放製剤との間の単回用量の研究
この研究は、健康な対象における、レコゾタンの3種の調整放出製剤と1種の即時放出製剤との間の、単回用量、ランダム化、4期間、クロスオーバー、生物学的同等性研究であった。用量は、少なくとも10時間の一晩絶食後に、経口的に投与した。この研究に用いた製剤は、5mgの即時放出(IR)、5mgの調整高速放出製剤(MR(高速))、5mgの調整中速放出製剤(MR(中速))、および5mgの調整遅速放出製剤(MR(遅速))であった。これらの製剤は、実施例3において提供される。レコゾタン分析用の血液試料は、試験品投与の2時間以内ならびに試験品投与後0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12、16、24、30、36および48時間において得た。
【0152】
レコゾタンの血漿濃度データおよびPKパラメーターを、4期間クロスオーバー研究に対する分散分析を用いて、4つの製剤間で比較した。さらに、レコゾタンの最高観察濃度(Cmax)の幾何平均(対数変換した)相対バイオアベイラビリティー、濃度−時間曲線下面積(AUC)および最後の定量化可能濃度の時間までのAUC(AUC)およびそれらの90%信頼限界を推定することによって、4つの製剤間でのこれらのパラメーターの相違の大きさを求めた。レコゾタン即時放出錠剤は、参照治療として用いた。パラメーターに対する90%信頼限界の推定は、2つの1面試験(1−sided test)手順を用いて対数目盛上で構築した。4種の治療(製剤)は、90%信頼限界が間隔(0.80,1.25)の間にある場合、生物学的同等性であると判断した。
【0153】
計20対象が、この分析についての薬物動態学的データに寄与した。図1は、4つの製剤に対する、レコゾタン対時間の平均濃度を提供する。図1に示すように、IR製剤についての平均Cmaxは、278.5ng/mLである。調整放出製剤についての平均値は、100ng/mL未満である。MR(高速)製剤およびMR(中速)製剤は、それぞれ99.7および95.1ng/mLのCmax値を有する。MR(遅速)製剤は58.4ng/mLのCmax値を有する。IR製剤についてのTmaxは、0.88時間で起こる。MR(高速)、MR(中速)およびMR(遅速)についてのTmax値は、それぞれ5.63、8.83および7.90時間で起こる。
【0154】
IR、MR(高速)およびMR(中速)についてのAUC値は、2058.8から2246.8ng h/mLの範囲である。MR(遅速)についてのAUC値は、1565.0ng h/mLである。MR製剤とIR製剤の平均AUC比は、MR(高速)およびMR(中速)については100%を超える。IRに対するMR(遅速)についてのAUCの平均比は、79.3%である。24時間でのCmaxレコゾタン濃度の平均比(Cmax/C24h比)は、IR製剤についての23からMR(高速)、MR(中速)、MR(遅速)についてのそれぞれ2.8、2.3および3.5の値の範囲である。
【0155】
実施例8:レコゾタンの3種の徐放製剤と1種の即時徐放製剤との間の複数回用量の研究
この研究は、1)軽度から中度のアルツハイマー病を有する患者(AD;年齢範囲=53から80歳)に、1日2回の投与計画(q12h)として経口的に投与される、0.5、1、2.5および5mgのレコゾタンの上昇複数回用量および2)徐放(SR)製剤を用いる、軽度から中度のアルツハイマー病を有する患者に、1日1回の投与計画(QD)として経口的に投与される、10mgの複数回用量の、安全性、許容性、薬物動態学的および薬力学的研究を評価するためのランダム化、二重盲検、プラセボ対照研究であった。
【0156】
第1部:IR製剤
0.5、1および2.5mg用量群(コホート1〜3)において、6対象がレコゾタンを受け、2対象がプラセボを受け、5mg用量群(コホート4)において、12対象がレコゾタンを受け、4対象がプラセボを受けた。レコゾタン分析用の血液試料は、1日目および28日目に、試験品投与から2時間以内および試験品投与から0.5、1、1.5、2、4、8、24時間後(1日目のみ)および28時間後(8日目のみ)に得た。
【0157】
第2部:SR製剤
この部の研究では、12対象がレコゾタン(SR製剤の10mgQD)を受け、4対象がプラセボを受けた。レコゾタン分析用の血液試料は、1日目の投与前(試験品投与の2時間以内)、投与から0.5、1、1.5、2、4、8、24時間後、ならびに28日目の投与前、投与から1、2、4、8、24、48および72時間後に得た。
【0158】
計11人のAD患者(年齢範囲=52から90歳)が、この分析についての薬物動態学的データに寄与した。SR製剤の単回および複数回用量の投与後の両方で、すべての対象について最大24時間の期間、安定状態様の濃度対時間特性が見られ、定常状態でピーク/トラフ変動(すなわち、Cmax/Cmin)=1.9を伴った。レコゾタン濃度は、24時間後に低下し始めることがわかった。第1部において、IR製剤でのレコゾタンの平均tmaxは、単回および複数回用量の投与後の両方で、1〜1.5時間の範囲であることがわかった。比較して、単回および複数回投薬後のSR製剤でのレコゾタン平均tmax値は、それぞれ8時間および4時間であった。5mgおよび10mgの用量でのSR製剤の単回用量投与後の用量依存性薬物動態学的パラメーターCmaxおよびAUC0〜24は、以下のようである:5mgSR単回用量:Cmax=99.7ng/mL、AUC0−24=1845ng hr/mL;10mgSR単回用量:Cmax=210.4ng/mL、AUC0−24=3738.3ng hr/mL)。
【0159】
5mgSR製剤で得られた単回用量血漿濃度データの薬物動態学的モデル化に基づいて、定常状態において、SR製剤のQD投与計画は、IR製剤でのq12h投与計画と比較して、同様の暴露量(AUC0〜24)、低いCmaxおよび同様のCminを達成することが予想されることが予想された。これらの予想と一致して、平均レコゾタン定常状態総1日暴露量(AUC0〜24)は、AD患者において、5mgのq12h IR製剤の投与後5788 ng*hr/mLであり、10mgのQD SR製剤の投与後6111 ng*hr/mLであった。平均レコゾタン定常状態Cmaxは、10mgのQD SR製剤での353ng/mL(モデル予想=319ng/mL)の平均レコゾタン定常状態Cmaxと比較して、5mgのq12h IR投与計画で450ng/mL(モデル予想=425ng/mL)であった。投与間隔の最後でのトラフ濃度は、IR製剤の5mgのq12hおよびSR製剤の10mgのQDについてそれぞれ、180ng/mLおよび184ng/mLである。10mgのQD SR製剤について、定常状態での平均Cmax/Cmin比は1.91であった。IRの5mgのq12hについて、定常状態での平均Cmax/Cmin比は2.4であった。5mgのq12h IR投与計画での平均tmaxは、0.8であり、10mgのQD SR製剤での平均tmaxは、4.2であった。
【0160】
実施例9:有害作用
以下の表は、レコゾタンの即時放出製剤と比較して、レコゾタンの徐放製剤での治療後に、副作用の発症数が低減されたことを示す。
【0161】
【化17】

前述の発明を、明確な理解の目的で実施例によって詳細に説明してきたが、ある一定の変更および改変は、開示によって包含され、限定ではなく例証によって示される、添付の特許請求の範囲内で、過度の実験なしに行うことができることが熟練者にとって明らかとなろう。
【0162】
前掲のすべての出版物および特許文献は、それぞれがそのように個々に示されている場合と同程度に、すべての目的に対して、その全体が参照により本明細書によって組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】図1は、3種の徐放製剤および1種の即時放出製剤についての、5mgのレコゾタンの単回用量後の時間に対する平均レコゾタン濃度を示すグラフである。
【図2】図2は、即時放出(5mgを1日2回)製剤および徐放(10mgを1日1回)製剤の複数回経口用量を受けているアルツハイマー患者における、平均レコゾタン血漿濃度対時間特性を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例8の第2部で説明されるように、単回および複数回用量(毎日)の10mgのレコゾタン徐放製剤を受けているアルツハイマー患者における、レコゾタン血漿濃度対時間特性を示すグラフである。1日目のデータは、0から24時間までを示す。第28日のデータは、0から72時間までを示す。
【図4】図4は、複数回経口用量のIR(5mg)製剤およびSR(10mg毎日)製剤を受けているアルツハイマー患者における、レコゾタン平均血漿濃度対時間特性の比較を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者における最高血漿濃度(Cmax)および患者における24時間血漿濃度(C24)を達成する経口剤形を患者に投与することを含む方法であって、患者集団におけるCmax/C24の平均比が約5:1から約1.1:1である、方法。
【請求項2】
前記CmaxおよびC24の値が、単回用量の前記経口剤形を患者に投与した後に測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記経口剤形が約5mgのレコゾタンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者集団における平均Cmaxが、約100ng/ml以下である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記患者集団におけるCmax/C24の平均比が、約3:1から約1.1:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記CmaxおよびC24の値が、単回用量の前記経口剤形を患者に投与した後に測定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記患者集団におけるCmax/C24の平均比が、約2.8:1から約1.1:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記患者集団におけるCmax/C24の平均比が、約2.3:1から約1.1:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記患者集団における平均tmaxが約3.5時間以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記患者集団における平均tmaxが約5時間以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者における最高血漿濃度(Cmax)および患者における24時間血漿濃度(C24)を達成する経口剤形を患者に投与することを含む方法であって、患者集団におけるCmax/C24の平均比が約2.4:1から約1.1:1である、方法。
【請求項12】
前記CmaxおよびC24の値が、空腹時集団において定常状態で測定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
約10mgのレコゾタンが前記患者に毎日提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記平均Cmaxが約350ng/mlである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記患者集団におけるCmax/C24の平均比が、約2.3:1から約1.1:1である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記患者集団におけるCmax/C24の平均比が、約2:1から約1.1:1である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記患者集団におけるCmax/C24の平均比が、約1.9:1から約1.1:1である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記患者集団におけるCmax/C24の平均比が、約1.5:1から約1.1:1である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者集団における平均最高血漿濃度(Cmax)および患者集団における平均24時間血漿濃度(C24)を達成する経口剤形を患者に投与することを含む方法であって、平均Cmax/平均C24の比が約5:1から約0.5:1である、方法。
【請求項20】
前記CmaxおよびC24の値が、単回用量の前記経口剤形を患者に投与した後に測定される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記経口剤形が約5mgのレコゾタンを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記平均Cmax/平均C24の比が約2.8:1から約1.1:1である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記平均Cmax/平均C24の比が約2:1から約1.1:1である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記平均Cmax/平均C24の比が約1.5:1から約1.1:1である、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者集団における平均最高血漿濃度(Cmax)および患者集団における平均12時間血漿濃度(C12)を達成する経口剤形を患者に投与することを含む方法であって、平均Cmax/平均C12の比が約3:1から約0.5:1である、方法。
【請求項26】
前記平均Cmax/平均C12の比が約2:1から約1.1:1である、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記平均Cmax/平均C12の比が約1.5:1から約1.1:1である、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にするための方法であって、該方法は、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者における最高血漿濃度(Cmax)および患者における24時間血漿濃度(C24)を達成する経口剤形を患者に投与することを包含し、患者集団におけるCmax/C24の平均比が約5:1から約1.1:1である、方法。
【請求項29】
前記CmaxおよびC24の値が、単回用量の前記経口剤形を患者に投与した後に測定される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にするための方法であって、該方法は、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者における最高血漿濃度(Cmax)および患者における24時間血漿濃度(C24)を達成する経口剤形を患者に投与することを包含し、患者集団におけるCmax/C24の平均比が約2.4:1から約1.1:1である、方法。
【請求項31】
前記CmaxおよびC24の値が、空腹時集団において定常状態で測定される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にするための方法であって、
レコゾタンの投与による有害副作用のリスクのある患者を特定すること;ならびに
レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者における最高血漿濃度(Cmax)および患者における24時間血漿濃度(C24)を、患者集団におけるCmax/C24の平均比が約5:1から約1.1:1であるように達成する経口剤形を患者に投与すること、
を含む方法。
【請求項33】
前記CmaxおよびC24の値が、単回用量の前記経口剤形を患者に投与した後に測定される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記有害副作用が、頭痛、眩暈、感覚異常、異常視力、耳鳴、またはそれらの組合せである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記有害副作用の発症数が低減される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にするための方法であって、
レコゾタンの投与による有害副作用のリスクのある患者を特定すること;ならびに
レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者における最高血漿濃度(Cmax)および患者における24時間血漿濃度(C24)を、患者集団におけるCmax/C24の平均比が約2.4:1から約1.1:1であるように達成する経口剤形を患者に投与すること、
を含む方法。
【請求項37】
前記CmaxおよびC24の値が、空腹時集団において定常状態で測定される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記有害副作用が、頭痛、眩暈、感覚異常、異常視力、耳鳴、またはそれらの組合せである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記有害副作用の発症数が低減される、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
患者にレコゾタンを投与するための方法であって、該方法は、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含む経口剤形を該患者に投与することを含み、該剤形は、50rpmでUSPタイプII溶解装置において、900mlの37℃のUSP pH6.8 リン酸緩衝液中で測定され、各剤形に対してシンカーが用いられる場合、in vitro溶解プロフィールを示し、
該装置での測定の約2時間で40%以下のレコゾタンが放出され、
該装置での測定の約12時間で約50%から約85%のレコゾタンが放出される、
方法。
【請求項41】
患者にレコゾタンを投与するための方法であって、患者に、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、
(i)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られる平均Cmax未満である、該患者集団における平均Cmaxを達成し、
(ii)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られるtmaxを超える、該患者集団における平均tmaxを達成し、かつ
(iii)時間をわたってのレコゾタンの濃度曲線であって、等価用量のレコゾタンを即時放出剤形から患者集団に投与することから得られる曲線下面積(AUC)と実質的に同じである、該患者集団におけるAUCを有する曲線を達成する、
経口剤形を投与することを含む方法。
【請求項42】
前記経口剤形が、約100ng/ml以下の平均Cmaxを達成する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記Cmaxが、単回用量の前記経口剤形を投与した後に測定される場合である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記経口剤形が約5mgのレコゾタンを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記経口剤形が、約4時間から約8時間の平均tmaxを達成する、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記経口剤形が、約2000から約2500ng h/mLである平均AUCを達成する、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記平均AUCが、単回用量の前記経口剤形を投与した後に測定される場合である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記経口剤形が、約5mgのレコゾタンを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記経口剤形が、400ng/mL未満の平均Cmaxを達成する、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
前記経口剤形が、約350ng/mlの平均Cmaxを達成する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記Cmaxが、空腹時集団において定常状態で測定される場合である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
10mgのレコゾタンが前記患者に毎日投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記経口剤形が、約4時間から約8時間の平均tmaxを達成する、請求項41に記載の方法。
【請求項54】
前記経口剤形が、約5500から約6300ng h/mLである平均AUCを達成する、請求項41に記載の方法。
【請求項55】
患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にするための方法であって、患者に、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、
(i)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られる平均Cmax未満である、該患者集団における平均Cmaxを達成し、
(ii)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られるtmaxを超える、該患者集団における平均tmaxを達成し、かつ
(iii)時間をわたってのレコゾタンの濃度曲線であって、等価用量のレコゾタンを即時放出剤形から患者集団に投与することから得られる曲線下面積(AUC)と実質的に同じである、該患者集団におけるAUCを有する曲線を達成する、
経口剤形を投与することを含む方法。
【請求項56】
患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にするための方法であって、
レコゾタンの投与による有害副作用のリスクのある患者を特定すること;ならびに
該患者に対する、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、
(i)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られる平均Cmax未満である、該患者集団における平均Cmaxを達成し、
(ii)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られる平均tmaxを超える、該患者集団における平均tmaxを達成し、かつ
(iii)時間をわたってのレコゾタンの濃度曲線であって、等価用量のレコゾタンを即時放出剤形から患者集団に投与することから得られる曲線下面積(AUC)と実質的に同じである、該患者集団におけるAUCを有する曲線を達成する、
経口剤形を該患者に投与すること
を含む方法。
【請求項57】
患者におけるアルツハイマー病を治療する方法であって、レコゾタンの徐放製剤を該患者に投与することを含む方法。
【請求項58】
薬学的に受容可能な担体を含み、患者における最高血漿濃度(Cmax)および患者における24時間血漿濃度(C24)を、患者集団におけるCmax/C24の平均比が約5:1から約1.1:1であるように達成する経口剤形の形態での薬物の調製におけるレコゾタンの使用。
【請求項59】
レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者における最高血漿濃度(Cmax)および患者における24時間血漿濃度(C24)を、患者集団におけるCmax/C24の平均比が約2.4:1から約1.1:1であるように達成する経口剤形の形態での薬物の調製におけるレコゾタンの使用。
【請求項60】
レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者集団における平均最高血漿濃度(Cmax)および患者集団における平均24時間血漿濃度(C24)を、平均Cmax/平均C24の比が約5:1から約0.5:1であるように達成する経口剤形の形態での薬物の調製におけるレコゾタンの使用。
【請求項61】
レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者集団における平均最高血漿濃度(Cmax)および患者集団における平均12時間血漿濃度(C12)を、平均Cmax/平均C12の比が約3:1から約0.5:1であるように達成する経口剤形の形態での薬物の調製におけるレコゾタンの使用。
【請求項62】
患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にするための経口剤形の形態での薬物の調製におけるレコゾタンの使用であって、該経口剤形が、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者における最高血漿濃度(Cmax)および患者における24時間血漿濃度(C24)を、患者集団におけるCmax/C24の平均比が約5:1から約1.1:1であるように達成する、使用。
【請求項63】
患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にするための経口剤形の形態での薬物の調製におけるレコゾタンの使用であって、該経口剤形が、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、患者における最高血漿濃度(Cmax)および患者における24時間血漿濃度(C24)を、患者集団におけるCmax/C24の平均比が約2.4:1から約1.1:1であるように達成する、使用。
【請求項64】
レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含む経口剤形の形態での薬物の調製におけるレコゾタンの使用であって、該剤形は、50rpmでUSPタイプII溶解装置において、900mlの37℃のUSP pH6.8 リン酸緩衝液中で測定され、各剤形に対してシンカーが用いられる場合、in vitro溶解プロフィールを示し、
該装置での測定の約2時間で40%以下のレコゾタンが放出され、
該装置での測定の約12時間で約50%から約85%のレコゾタンが放出される、
使用。
【請求項65】
患者に対する、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、
(i)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られる平均Cmax未満である、該患者集団における平均Cmaxを達成し、
(ii)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られるtmaxを超える、該患者集団における平均tmaxを達成し、かつ
(iii)時間をわたってのレコゾタンの濃度曲線であって、等価用量のレコゾタンを即時放出剤形から患者集団に投与することから得られる曲線下面積(AUC)と実質的に同じである、該患者集団におけるAUCを有する曲線を達成する、
経口剤形の形態での薬物の調製におけるレコゾタンの使用。
【請求項66】
患者に対する、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、
(i)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られる平均Cmax未満である、該患者集団における平均Cmaxを達成し、
(ii)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られるtmaxを超える、該患者集団における平均tmaxを達成し、かつ
(iii)時間をわたってのレコゾタンの濃度曲線であって、等価用量のレコゾタンを即時放出剤形から患者集団に投与することから得られる曲線下面積(AUC)と実質的に同じである、該患者集団におけるAUCを有する曲線を達成する、
経口剤形の形態での薬物の調製におけるレコゾタンの使用。
【請求項67】
患者へのレコゾタンの投与に関係する有害副作用を最小限にするための経口剤形の形態での薬物の調製におけるレコゾタンの使用であって、
レコゾタンの投与による有害副作用のリスクのある患者を特定すること;ならびに
該患者に対する、レコゾタンおよび薬学的に受容可能な担体を含み、
(i)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られる平均Cmax未満である、該患者集団における平均Cmaxを達成し、
(ii)等価用量のレコゾタンを即時放出製剤から患者集団に投与することから得られる平均tmaxを超える、該患者集団における平均tmaxを達成し、かつ
(iii)時間をわたってのレコゾタンの濃度曲線であって、等価用量のレコゾタンを即時放出剤形から患者集団に投与することから得られる曲線下面積(AUC)と実質的に同じである、該患者集団におけるAUCを有する曲線を達成する、
経口剤形を該患者に投与すること
を含む使用。
【請求項68】
前記薬物が、患者におけるアルツハイマー病を治療する処置用である、請求項57から66のいずれか一項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−507850(P2009−507850A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530186(P2008−530186)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/034813
【国際公開番号】WO2007/030589
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】