説明

レザー調ドア

【課題】 本発明は、レザー調ドアを構成するにあたり生じる不都合、すなわち接着剤の乾燥に長時間を要したり、端部や角部、凹部などから剥がれが生じたり、施したレザー調合成樹脂シートがカーリングを起こしたりするなどといった不都合を解消し、質感や表面装飾性に優れ、高級な風合いを有するレザー調ドアを提供することを課題とする。
【解決手段】 ドア基板10と、該ドア基板の少なくとも一方の面に貼着された化粧材とを備えたドアにおいて、前記化粧材がレザー調合成樹脂シート4からなる。レザー調合成樹脂シート4は、基布に、オレフィン系合成樹脂、ウレタン系合成樹脂、塩化ビニル系合成樹脂、アクリル系合成樹脂からなる群のうちの少なくとも1種からなる表皮層とが、この順で積層されてなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質感や表面装飾性に優れ、高級な風合いを有するとともに、従来のいわゆる劇場等の防音などを目的とした吸音材を内装した皮革貼りドアとは異なり、薄く軽く従って一般住宅や一般オフィスなどの室内ドアやクローゼットなどのドア、あるいは各種家具などのドア(扉)として実用性が高く好適なレザー調ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドアとしては、アルミドア、鋼板ドア、木質ドアなどが用いられているが、上記のような一般住宅や一般オフィスなどの室内ドアやクローゼットなどのドア、各種家具などのドア(扉)としては、木質材料からなるドアなどが多用されている。
木質材料からなるドアとしては、木質材料からなる枠部を組み立てて固定し、該枠部に囲まれる空隙に紙製ハニカムコア、ロールコア、合成樹脂発泡体などの軽量材料を芯材として装填し、この軽量芯材の表裏に化粧材を貼着したいわゆるフラッシュドアや、合板、パーチクルボード、中質繊維版(MDF)、天然木材などの木質板材をそのまま芯材として使用し、必要に応じて表裏に紙製や樹脂フィルムからなる化粧材を貼着したドアなどが知られている。
【0003】
一方において、いわゆる防音などを目的とし、コンサートホール、劇場、あるいは映画館などの会場入り口ドアとして、ドア基板とレザー調合成樹脂シートからなる表皮材の間に各種の防音、または吸音材として合成樹脂発泡体や繊維材などを介在させて天然皮革や合成皮革で被覆した構成のものも知られている。
このようなドア等は、ドア基材に天然皮革や合成皮革を被覆するのに、ソファー等の家具を作成するような対応がとられ、釘やタッカー等を使用しており、生産効率が低く、廃棄時のリサイクル性にも劣るものであった。
【0004】
ところで、一般住宅や一般オフィスなどに使用される上記のようなドアにおいて、表裏面に貼着する化粧材として、天然皮革あるいは合成皮革を用いてドアを構成すれば、従来のドアとは異なった表面装飾性を有し、より質感や高級感のある風合いを演出することができる。
そのため、天然皮革を貼着したものは一部の高級ドアや家具に使用されている。
しかし、天然皮革をドア等に使用する場合は、牛馬等の一頭毎に品質が異なり、しかも一頭分から得られる限られた面積の天然皮革を、ドア等に効率よく、かつ全体を同一外観になるように貼着することは、作業的にも費用的にも非常に難しいものであった。
【0005】
そこで、天然皮革と同様な外観を有し、外観に均一性を有し、長さや幅が自由に設定できる合成皮革等のレザー調合成樹脂シートを使用することが考えられる。
しかし、レザー調合成樹脂シートは、天然皮革に比べ、通気性がなく、しかも裏面部に織布や編布からなる基布を有するため、一般住宅や一般オフィスなど用のフラッシュドアや無垢ドアの基材上に貼着するに際しては、貼着用の接着剤の乾燥に長時間を要したり、端部や角部、凹部などから剥がれが生じたり、あるいは貼着したレザー調合成樹脂シートがカーリングするなどの不都合が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、レザー調合成樹脂シートを用いてレザー調ドアを構成するにあたり、上記のような不都合を解消し、質感や表面装飾性に優れ、高級な風合いを有するとともに、しかも低コストであるために、一般住宅や一般オフィスなどの室内ドアやクローゼットなどのドア、あるいは各種家具などのドア(扉)として実用性が高いレザー調ドアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を行った結果、レザー調ドアを得るためにドア基材にレザー調合成樹脂シートからなる化粧材を貼着するにあたり、このレザー調合成樹脂シートすなわち合成皮革自体の構成、あるいはその貼着態様に特定の工夫を施すことにより、一般住宅や一般オフィスなどの室内ドアやクローゼットなどのドア、あるいは各種家具などのドア(扉)として、実用性の高いレザー調ドアを、構成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のレザー調ドアは、ドア基板と、該ドア基板の少なくとも一方の面に貼着された化粧材とを備えたドアにおいて、前記化粧材がレザー調合成樹脂シートからなることを特徴とする。
上記のレザー調合成樹脂シートは、10〜200g/m2の基布に、オレフィン系合成樹脂、ウレタン系合成樹脂、塩化ビニル系合成樹脂、アクリル系合成樹脂からなる群のうちの少なくとも1種からなる、厚さ0.3〜1mmの表皮層が積層されてなるものであることが好ましく、ドア基板とレザー調合成樹脂シートとは、不織布を介して貼着されてなることが好ましく、この不織布は、目付け量が20〜150であることが好ましい。
そして、上記のドア基板は、1枚板からなるものであってもよいし、複数部材を組み合わせて1枚のドア基板としたものであってもよく、さらにこの1枚板または複数部材の組合せからなるドア基板は、該基板を囲繞する枠体を有してなるものであってもよい。
【0009】
上記のレザー調合成樹脂シートは、上記の1枚板または複数部材の組合せからなるドア基板の、該シートを貼着すべき面の少なくとも1側辺を包み込むようにして該面に貼着されていることが好ましい。
すなわち、レザー調合成樹脂シートからなる化粧材を、ドア基板が1枚板からなる場合には、該板のレザー調合成樹脂シートを貼着すべき面(該板の一方の面あるいは双方の面)の上・下・左・右のうちの少なくとも1側辺、理想的には全側辺を包み込むようにして貼着することが好ましい。
また、ドア基板が複数部材の組合せからなる場合には、各部材の上・下・左・右のうちの少なくとも1側辺を包み込むようにして貼着しておき、この状態の各部材を当接させることが好ましい。
なお、各部材の当接部においては、レザー調合成樹脂シートが2枚重なると、当接作業が困難となる場合があり、このような場合には、一方の部材の側辺をレザー調合成樹脂シートで包み込み、他方の部材の側辺はレザー調合成樹脂シートで包み込まないようにして、1枚のレザー調合成樹脂シートのみが存在するようにすることもできる。
このような貼着態様とすることによって、レザー調合成樹脂シートが、シワが入ったり、弛みが生じたり、あるいは部分的に過剰な引張り応力が掛かったりすることなく、美麗に貼着されたレザー調ドアとすることがきる。
【0010】
そして、上記の1枚板または複数部材の組合せからなるドア基板を囲繞する枠体を有するドアの場合には、該枠体と当接する板あるいは部材の側辺にはレザー調合成樹脂シートが存在していなくてもよい。
すなわち、枠体が、上記の側辺を包み込んでいるレザー調合成樹脂シートの作用をも兼備し、シワや、弛みが生じることなく、また過剰な引張り応力が掛かることなく、レザー調合成樹脂シートが美麗に貼着されたレザー調ドアとすることがきる。
もちろん、この枠体も、レザー調合成樹脂シートが貼着されたものであってもよく、この場合においても、枠体とドア基板との当接部にはレザー調合成樹脂シートが存在していなくてもよく、もし存在させるとしても、2枚のレザー調合成樹脂シートが存在すると当接作業が困難となる場合には、枠体かドア基板の何れか一方とすることもできる。
なお、この枠体は、ドア基板10の4周縁を若干(数mm程度の幅で)覆うようにして取り付けられる寸法のものを用いる場合、シワや、弛みが生じることなく、また過剰な引張り応力が掛かることなく、レザー調合成樹脂シートをより美麗に貼着したレザー調ドアとすることがきる。
【0011】
本発明が対象とするドアは、通常のドア全般を言うが、特に室内用のドアに適用されることが望ましい。また、本発明においては、通常のドアのみではなく、たとえばクローゼット、天窓、天袋、家具、キッチン収納などにおける開閉扉、それらの枠材や腰壁などをも含むものとし、引き戸や吊り戸など、その形態は問わないものとする。
【0012】
ドア基板は、前記したように、1枚板で構成されるものであってもよいし、複数部材を組み合わせて構成されるものであってもよく、複数部材の組合せドア基板の場合には、縦框材、横框材、端材などをも含み、板状や棒状であったり、ドアを構成する際の強度や開け閉めなどの操作性をも考慮したうえでこれらの各材に設けられた凹凸などを有したりする場合もある。
【0013】
また、本発明におけるドア基板は、前記したフラッシュドアのように、紙製ハニカムコア、ロールコア、合成樹脂発泡体などの軽量材料を芯材とし、この軽量芯材の表裏に適宜の面材を接着して一体化(1枚板化)したものであってもよいし、合板、パーチクルボード、中質繊維版(MDF)、天然木材などの無垢板からなるものであってもよい。
【0014】
ドア基板に貼着するレザー調合成樹脂シートは、10〜200g/m2の基布に、オレフィン系合成樹脂、ウレタン系合成樹脂、塩化ビニル系合成樹脂、アクリル系合成樹脂からなる群のうちの少なくとも1種からなる厚さ0.3〜1mmの表皮層が積層されてなるものである。
基布は、綿、スフ等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維などの繊維素材からなる織布(起毛布を含む)、編布(起毛布を含む)、不織布などが使用でき、なかでも10〜200g/m2のもの(織布では厚さ0.05〜1.5mm程度、編布では厚さ0.1〜1.3mm程度のもの)を使用することが適している。
基布の目付けが大きすぎると、ドア等への貼着に際して塗布される接着剤の乾燥が充分に行えず、ドア基材等への貼着が極めて困難になったり、接着不十分となりやすく、接着剤の乾燥のための加熱により合成樹脂シートの変形やシボが消えたりして作業性の低下や合成樹脂シートの外観不良となる。一方小さすぎると、該基布上に表皮層を積層した際に、シートとしての形状を保持するための基布自体の機械的強度が不足して貼着作業ができなかったり、貼着後にも合成樹脂シートに破れ等の破損が発生しやすくなり好ましくない。
【0015】
レザー調合成樹脂シートは、上記の基布に、上記から選ばれる少なくとも1種の合成樹脂からなる表皮層が積層されたものであり、リサイクル性などを考慮すると、オレフィン系の合成樹脂からなる表皮層を積層したものが好ましい。
表皮層の厚さは、厚すぎると、基材への貼着作業性が劣ると共に、基材からの剥がれやすくなり、薄すぎると、ドア等の化粧材としての物性面で問題があると共に、凹凸のシボ模様が入り難く外観面でも好ましくなくなるため、0.3〜1mmとすることが好ましい。
【0016】
また、表皮層と基布との間には、発泡層を有していてもよい。
発泡層と表皮層は、同種の合成樹脂の組合せであってもよいし、異種の合成樹脂の組合せであってもよいが、異種の合成樹脂の組合せの場合には、両層の相性が良好で、強固な積層強度を実現するものであることが好ましい。
発泡層は、発泡倍率が大きすぎたり厚さが大きすぎると、レザー調合成樹脂シートの厚さが過大となり、貼着作業性はもとより、合成樹シートが使用時に破損しやすくなる。一方、発泡倍率が小さすぎたり厚さが小さすぎると、発泡層を設ける効果が得られないものとなる。ドアの設置環境や、ドアの用途などに応じて、先ず最適の発泡倍率を選定し、この最適の発泡倍率に応じた最適の厚さを選定すればよく、例えば、発泡倍率が1〜3倍、好ましくは1.2〜2倍で、厚さが0.1〜1.5mm、好ましくは0.3〜0.7mmの範囲とすることができる。
なお、上記範囲の発泡倍率と厚さを有する発泡層であれば、ドア開閉時に生じる開閉音の吸音性を高めたり、室内で生じる音の遮音性を高めたり、あるいは合成樹脂シートへの皮シボ等のエンボス加工を鮮明に入れやすくなり、外観上の高級感を与える効果を得ることもできる。
【0017】
上記の表皮層は、外表面に天然皮革様のシボ(微細凹凸)加工が施されたものであって、このシボ加工は、エンボスロール等による加工や離形紙等のよる物等、通常の合成皮革を得る際に行うシボ加工と同じ手法によって得ることができる。
なお、表皮層には、酸化チタンやトルマリンなどを塗布することもでき、これにより、それぞれの有するVOC対策効果やマイナスイオンによるリフレッシュ効果、美肌効果などの付加的な効果を付与することもできる。
【0018】
以上のように、本発明におけるレザー調合成樹脂シートは、従来の天然皮革代替用合成皮革とは異なる構成を有するものであって、このような構成とすることによって初めて一般住宅や一般オフィスの屋内ドア用の化粧材として実用できる。
【0019】
上記のレザー調合成樹脂シートをドア基板に貼着する際の接着剤としては、ゴム系、酢酸ビニル系、ウレタン系、オレフィン系接着剤などが挙げられる。
両者を貼着する際に必要な接着剤の塗布量は、20〜40g/m2好ましくは20〜30g/m2程度であり、これより多量であっても、貼着効果が飽和するばかりでなく、乾燥に長時間を要し、作業効率的にも不利となることがあり、これより少量であると、レザー調合成樹脂シートとドア基板との貼着が十分に行われず、剥がれなどの不都合を引き起こすことがある。
【0020】
前記程度の目付け量の基布を用いたレザー調合成樹脂シートを、上記程度の塗布量の接着剤で、ドア基板に貼着することにより、実用に際して好適なレザー調ドアを構成することができるが、ドア基板とレザー調合成樹脂シートとの間に不織布を介在させて両者を貼着することにより、両者をより強固に貼着することができる。
この不織布は、天然繊維、合成繊維、これらの屑繊維などから得られるものなど、本発明におけるドア基板とレザー調合成樹脂シートの基布とを強固に貼着できるものであれば、どのようなものであってもよく、その目付け量は、20〜150g/m2、好ましくは70〜100g/m2程度のものを使用する。目付け量が大きすぎる不織布を介在させると、施した接着剤の乾燥に長時間を要するなど、むしろ貼着作業に支障を来たす場合があり、目付け量が小さすぎる不織布を介在させると、不織布を介在させる技術的意義すなわち不織布が接着剤と一体化して貼着強度を上げるという効果が発現しないばかりか、不織布自体の機械的強度が低すぎるため不織布自体の取り付け作業性に支障を来たす場合がある。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、質感や表面装飾性に優れ、高級な風合いを有するレザー調ドアが提供される。
また、本発明によれば、ドア基板とレザー調合成樹脂シートとの貼着に用いるゴム糊などの接着剤の乾燥に長時間を要したり、端部や角部、凹部などからレザー調合成樹脂シートが剥がれたり、あるいは接着剤の乾燥加熱により、レザー調合成樹脂シートがカーリングを起こしたり、シボが不鮮明になったりするなどといった不都合を生ぜず、実用性の高い高級感のあるレザー調ドアが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係るレザー調ドアを一般住宅用の居室ドアとして適用した場合の一実施形態を説明するための図であり、図1(A)がドア全体正面図、図1(B)が図1(A)のI−I線断面図、図1(C)が図1(A)II−II線断面図である。図2(A),(B)は、このドアの表面材として使用される本発明に係るレザー調合成樹脂シートの一実施形態を説明するための概略断面図である。
【0023】
図1(A)〜(C)において、居室ドア1は、複数部材、ここでは4枚の横框材20と2枚の端材30の組合せからなるドア基板10と、ドアノブ5から構成され、図示しないドア取り付け体に設置されて用いられるものである。居室ドア1には、上記のほかに必要に応じて左右幅方向の一端部に取り付けられた図示しない施錠装置などを備えていてもよい。
【0024】
横框材20は、例えば無垢材を用い、後述する端材30を取り付けする際の作業性や取付強度を高めるために、図1(B)に示すように、横框材20の横方向の両側面の略中心線に沿って凹部21が設けられている。
この横框材20に、図2(A)に示す基布41の一方の面にレザー調のシボ加工が施された表皮層42を積層してなるレザー調合成樹脂シート4を貼着する。
すなわち、図1(B)に示すように、このように構成されるレザー調合成樹脂シート4を、各横框材20の双方の面に、該面の上・下側辺を包み込むようにして貼着する。
なお、各横框材20の双方の面の左・右側辺は、図1(C)に示すように、該横框材20の厚みよりも若干幅の広い端材30により覆われることとなるため、レザー調合成樹脂シート4による包み込みは行っていないが、角部に切り込みを入れたレザー調合成樹脂シートを用いることにより、必要に応じては、この包み込みを行ってもよい。
【0025】
上記の端材30は、ここでは棒材からなり、上記の横框材20に取り付けるために、その縦方向の略中心線に沿って、凸部31を設けてある。
この端材30に、接着剤を塗布し、端材30の寸法よりやや大き目に裁断したレザー調合成樹脂シート4を貼着する
すなわち、図1(C)に示すように、レザー調合成樹脂シート4は、端材30の凸部31を有さない面に、該端材30の左・右側辺を包み込むが、裏面の凸部31にはかからないようにして、貼着する。
【0026】
なお、図2(B)に示す基布41の他方の面に目付け量20〜150g/m2の不織布6を積層してなるレザー調合成樹脂シート4を使用し、図3に示すように、横框材20や端材30とレザー調合成樹脂シート4とを、この不織布6を介在させて貼着するようにすることもでき、これにより、横框材20や端材30とレザー調合成樹脂シート4との貼着強度をさらに上げることもできる。
【0027】
上記のような構成の4枚の横框材20同士を、上・下側辺において当接させたものがドア基板10である。
なお、この当接は、横框材20同士の当接面、すなわち上・下側辺に、接着剤を塗布し、該塗布面において横框材20同士を当接させ、この状態で例えば真空プレス機により上・下方向から圧着するなどして行われる。
【0028】
上記のようにして4枚の横框材20を上・下側辺において当接し、圧着すると、図4に示すように、横框材20のそれぞれに設けられていた凹部21が上下方向に連なり、ドア基板10の左・右両側面の略中心線上に凹部が位置することとなる。
この上下方向に連なった凹部21が存在する左・右両側面に、図4に示すように、該凹部に端材30の凸部31が挿入するように当接させ、この状態で例えば真空プレス機により左・右両方向から圧着するなどして、ドア基板10を構成する。
なお、ドアノブ5は、端材30の当接・圧着が完了した後、取り付ければよい。
【0029】
上記の実施形態は、本発明に係るレザー調ドアのうち、ドア表面の全面にレザー調合成樹脂シートを貼着した居室ドアの例であるが、図5に示すように、横框材20を8枚用い、ドア基板10の中央部に上下に連なるシースルー材23(アクリル板や硝子板など)を組み込み、スルーガラスタイプのドアとすることもできる。
この例の場合は、8枚の横框材20のそれぞれに図1,図3,図4に示す実施形態のようにして、レザー調合成樹脂シート4を貼着し、4枚の横框材20を図1,図3,図4に示すように上下方向に当接し圧着させたものを2組用意し、これらの間にシースルー材23を介在させて左右方向に当接させ圧着させた後、図4に示すようにして左・右両側面に端材30を当接させ、圧着すればよい。
このとき、シースルー材23の左右両側面には、横框材20との取り付けを容易かつ強固にするために、図1,図3,図4に示すような凸部(図5では省略)を設け、横框材20のシースルー材23との取り付け側面には、該凸部と合致する図1,図3,図4に示すような凹部を(図5では省略)を設けることが好ましい。
【0030】
図6は、ドア基板10を囲繞する枠体7が有るドアの実施形態を示す説明図であり、この例では、1枚板からなるドア基板10の両面に、該基板10の上・下・左・右側辺を包み込むことなく、レザー調合成樹脂シート4を貼着し、該ドア基板10の4周縁を若干(数mm程度の幅で)覆うようにして枠体7を取り付けたものである。
この枠体7が、図1,図3,図4,図5における、レザー調合成樹脂シート4の各側辺の包み込み部と同様の作用をなし、レザー調合成樹脂シート4を、シワや弛みを発生することなく、また過剰な張力が掛かることなく、美麗に貼着させることができる。
【実施例】
【0031】
レザー調合成樹脂シート4および不織布6として、表1に示す構成のものを使用し、図1に示す態様でドア基板10にレザー調合成樹脂シート4を下記のようにして貼着し、圧着して本発明および比較のレザー調ドアを作製した。
【0032】
表1中、レザー調合成樹脂シート4は、ナイロン−トリコットメリヤスからなる基布41の一方の面に、下記の配合からなる塩化ビニル樹脂組成物による表皮層42をカレンダー成形して作成した。
なお、図示はしないが、該シート4が、基布41と表皮層42との間に発泡層を有するものの場合は、同じ配合からなる塩化ビニル樹脂組成物に熱分解型発泡剤を加えたものを最初に基布41にコートし、ゲル化させた後、該ゲル化層上に表皮層42をコートし、その後加熱発泡させて作成した。
また、表皮層42の表面には、牛革様のシボ加工が施されており、基布41の他方の面には、ポリエステル不織布からなる不織布6が積層されている。
【0033】
(塩化ビニル樹脂組成物)
塩ビストレートレジン(P=1300) 100重量部
DOP 75重量部
エポキシ化大豆油 2重量部
炭酸カルシウム粉 20重量部
Ba−Zn系安定剤 2重量部
顔料 5重量部
【0034】
図1における横框材20は、800×420×4mmの無垢材、端材30は2200×38×7mmの棒材を使用し、横框材20には、ポリウレタン系接着剤(UV−80(積水化学社製))25g/m2程度を塗布して900×450mmに裁断したレザー調合成樹脂シート4を貼着し、端材30には同様のポリウレタン系接着剤25g/m2程度を塗布して2500×50mmに裁断したレザー調合成樹脂シート4を貼着した。
上記の横框材20同士の当接面にも同様のポリウレタン系接着剤を25g/m2程度塗布し、該塗布面において横框材20同士を当接させ、真空プレス機により上・下方向から圧着した。
次いで、上記の横框材20のそれぞれに設けられて上下方向に連なっている凹部21が存在する左・右両側面にも、上記と同様のポリウレタン系接着剤を25g/m2程度塗布し、該凹部21に上記の端材30の凸部31を挿入させて当接させ、真空プレス機により左・右両方向から圧着し、本発明および比較のレザー調ドアを作製した。
【0035】
これらのレザー調ドアにつき、製造直後の目視観察と、3ヶ月間工場内事務所の入り口ドアとして連続使用した後の目視観察とを行い、角部におけるレザー調合成樹脂シート4のシワ、弛み、亀裂、剥離の有無を調べた。この結果を表2に示す。
【0036】
表2中、
◎は、角部におけるレザー調合成樹脂シート4のシワ、弛み、亀裂、剥離が全く確認できないもの、
○は、これらの一部が貼着作業者または製造者において多少確認できるが、一般人には確認が困難であり、実用に供して支障ないもの、
△は、これらの一部が一般人にも確認できるもの、
×は、貼着作業自体が困難で、観察に耐え得るレザー調ドアを得ることができないもの
を意味する。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るレザー調ドアを居室ドアに適用した場合の一実施形態を示す説明図で、(A)が全体正面図、(B)が(A)のI−I線断面図、(C)が(A)のII−II線断面図である。
【図2】本発明に係るレザー調合成樹脂シートの一実施態様を説明するための図で、(A)が不織布を積層していないもの、(B)が不織布を積層したものである。
【図3】本発明に係るレザー調ドアを居室ドアに適用した場合の他の実施形態を示し、図1(C)と同様の箇所を示す図である。
【図4】図1に示すレザー調ドアの、ドア基板に端材を取り付ける態様を示す説明図である。
【図5】本発明に係るレザー調ドアを居室ドアに適用した場合のさらに他の実施形態を示す全体正面図である。
【図6】本発明に係るレザー調ドアを居室ドアに適用した場合のさらに他の実施形態を示す全体正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 居室ドア
10 ドア基板
20 横框材
21 凹部
23 シースルー材
30 端材
31 凸部
4 レザー調合成樹脂シート
41 基布
42 合成樹脂からなる表皮層
5 ドアノブ
6 不織布
7 枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア基板と、該ドア基板の少なくとも一方の面に、接着剤を介して貼着されたレザー調合成樹脂シートからなることを特徴とするレザー調ドア。
【請求項2】
レザー調合成樹脂シートが、10〜200g/m2の基布に、オレフィン系合成樹脂、ウレタン系合成樹脂、塩化ビニル系合成樹脂、アクリル系合成樹脂からなる群のうちの少なくとも1種からなる厚さ0.3〜1mmの表皮層が積層されてなることを特徴とする請求項1記載のレザー調ドア。
【請求項3】
ドア基板とレザー調合成樹脂シートとが、不織布を介して貼着されてなることを特徴とする請求項1または2記載のレザー調ドア。
【請求項4】
不織布の目付け量が、20〜150g/m2であることを特徴とする請求項3記載のレザー調ドア。
【請求項5】
ドア基板が、複数部材の組合せからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレザー調ドア。
【請求項6】
ドア基板が、該基板を囲繞する枠体を有してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレザー調ドア。
【請求項7】
レザー調合成樹脂シートが、複数部材の組合せからなるドア基板の該シートを貼着すべき各面の少なくとも一側辺を包み込むようにして該面に貼着されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のレザー調ドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−120069(P2007−120069A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311175(P2005−311175)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(500497722)株式会社豊中産業 (3)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】