説明

レジスト塗布方法とスタンパー形成方法

【課題】スタンパー用ロールの表面にレジストを均一な厚みに形成できるレジスト塗布方法と、スタンパー形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】被加工物としてのスタンパー用ロール(1)の軸心(16)を鉛直軸に対して傾斜させた状態で軸心(16)の周りに回転させ、そのレジストを滴下位置をスタンパー用ロールの軸心(16)に沿って移動させてスタンパー用ロール(1)の表面にレジストを滴下することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンパーに使用するスタンパー用ロールの表面にレジストを均一に形成するレジスト塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、微小の機能的なパターンを作成する技術は、半導体のRAM製造技術、光ディスクおよびMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)に影響を与え、その微細化の方向のみならず、ナノインプリントなどのような、次世代のナノテクノロジーにつながる用途拡大の方向の道を辿っている。
【0003】
この背景にあるのは、近年の微細化技術が進展してきて、従来までのミクロンオーダからサブミクロンへと、さらにサブミクロンからクォータミクロンへの加工が可能となってきたことに加え、量産技術が確立され設備の安定的な稼動が保証されることになったためと考えられる。最新の技術では0.1μmレベル以下のラインアンドスペースもしくはピット、グルーブなどが一部の分野では実現可能となってきて、しかも安定した高歩留まりがすでに実現されている。
【0004】
例えば、半導体DRAMのラインアンドスペースでは、既に、露光方式で最小線幅90nmを切るレベルのものが普及期を迎えており、光ディスクにおいてもブルーレイディスクが開発され、0.16μmのグルーブ、0.32μmのピッチですでに量産が確立されている。
【0005】
ナノインプリントでも連続的な転写を実現させるべく、ローラを用いて熱ナノプリントもしくはローラ転写プリントが可能で、例えば、特許文献1に見られる、成形ロールおよびその製造方法、光記録媒体用基板シートの製造装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−16230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここでは、無限長のシートに対して、微細パターンを書き込んだローラを転写型として用いている点、この発明における量産性の進展は非常に大きいものがある。しかしながらこの方式の基になっている考えは、ローラの1周毎の同じパターンの繰り返し転写を基本とするものである。
【0008】
もしもローラの外側円筒面に、連続的にかつ一定のピッチで巻線を施すように、例えば幅0.1μm程度のピットもしくはグルーブをピッチ0.2μmで形成し、連続的に流れてくる一定の幅をもった樹脂や有機材料シートをこのローラを型として熱ナノインプリントし続ければ、表面上に描かれるピットもしくはグルーブは、流れてくる方向にほぼ平行で無限遠のものが継ぎ目なく連続的に形成されることになる。このような連続転写を樹脂や有機材料のシート上で製作することを考えれば、前述した従来例としての資料に記載された手法は、シームレスで転写はできるものの、転写されたものが無限遠に連続的になるものを考えておらず、実現させるには、端のつなぎに対して著しい精度が要求される。
【0009】
本発明は、スタンパー用ロールの表面にレジストを均一な厚みに形成できるレジスト塗布方法と、このレジスト塗布方法によって表面に均一な厚みのレジストが形成されたスタンパー用ロールの表面の前記レジストに、スタンパー形状を連続に記録できるスタンパー形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1記載のレジスト塗布方法は、スタンパー用ロールの表面にレジストを塗布するに際し、前記スタンパー用ロールの軸心を鉛直軸に対して傾斜させた状態で前記軸心の周りに回転させ、そのレジストを滴下位置を前記スタンパー用ロールの軸心に沿って移動させて前記スタンパー用ロールの表面にレジストを滴下することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2記載のレジスト塗布方法は、請求項1において、前記スタンパー用ロールの表面のレジストに対して気体を吹き付けレジスト均一性を調整することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3記載のレジスト塗布方法は、請求項1において、前記スタンパー用ロールの表面のレジストに対して静電力を作用させてレジスト均一性を調整することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4記載のスタンパー形成方法は、被加工物としてのスタンパー用ロールの軸心を鉛直軸に対して傾斜させた状態で前記軸心の周りに回転させ、レジストの滴下位置を前記スタンパー用ロールの軸心に沿って移動させて前記スタンパー用ロールの表面にレジストを滴下して前記スタンパー用ロールの表面にレジストを塗布し、前記スタンパー用ロールを前記軸心の周りに回転させ、前記スタンパー用ロールの表面に形成されたレジストに対して記録用レーザを照射し、前記記録用レーザを前記軸心方向に移動させて前記レジストにスタンパー形状を記録することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5記載のスタンパー形成方法は、被加工物としてのスタンパー用ロールの軸心を鉛直軸に対して傾斜させた状態で前記軸心の周りに回転させ、レジストの滴下位置を前記スタンパー用ロールの軸心に沿って移動させて前記スタンパー用ロールの表面にレジストを滴下して前記スタンパー用ロールの表面にレジストを塗布し、前記スタンパー用ロールを前記軸心の周りに回転させ、前記スタンパー用ロールの表面に形成されたレジストに対して記録用レーザを照射し、前記スタンパー用ロールの軸心の軸方向に同一ピッチまたはほぼ同一ピッチでピットもしくはグルーブを前記レジストに連続的に露光することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項6記載のスタンパー形成方法は、スタンパー用ロールの表面にレジストを塗布するに際し、前記スタンパー用ロールの軸心を鉛直軸に対して傾斜させた状態で前記軸心の周りに回転させ、前記スタンパー用ロールの表面にレジストを滴下し、前記スタンパー用ロールの表面のレジストに対して気体を吹き付けレジスト均一性を調整することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項7記載のスタンパー形成方法は、スタンパー用ロールの表面にレジストを塗布するに際し、前記スタンパー用ロールの軸心を鉛直軸に対して傾斜させた状態で前記軸心の周りに回転させ、前記スタンパー用ロールの表面にレジストを滴下し、前記スタンパー用ロールの表面のレジストに対して静電力を作用させてレジスト均一性を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このレジスト塗布方法によると、滴下されたレジストが前記スタンパー用ロールの傾きに沿って流れ落ちることを利用して前記スタンパー用ロールの表面にレジストを均一に塗布することができる。
【0018】
また、このスタンパー形成方法によると、前記スタンパー用ロールの表面にスタンパー形状を連続的に記録することができ、ローラ転写によるナノインプリントが実現でき、一定幅の樹脂のシートに、連続的にかつ切れ目なく、同じパターンを転写していくことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のレジスト塗布方法を実施する実施の形態1のレジスト塗布装置の斜視図
【図2】同実施の形態の動作説明図
【図3】本発明のレジスト塗布方法を実施する実施の形態2のレジスト塗布装置の斜視図
【図4】同実施の形態の動作を説明する斜視図とA方向から見た矢視図およびBの拡大図
【図5】本発明のレジスト塗布方法を実施する実施の形態3のレジスト塗布装置の斜視図
【図6】同実施の形態の絶縁体の形状の補足説明図
【図7】本発明のレジスト塗布方法によって塗布されたスタンパー用ロールにスタンパー形状を記録するスタンパー形成方法を実施するスタンパー記録装置の斜視図
【図8】別のスタンパー記録装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の各実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明のレジスト塗布方法を実施するレジスト塗布装置を示している。
【0021】
被加工物であるスタンパー用ロール1の表面にレジストを塗布するこのレジスト塗布装置2は、プレート3に装着されスタンパー用ロール1の回転シャフト4を回転自在に支持するスピンドル部5と、減速機6を介してスピンドル部5を低速回転と高速回転させることができるモータ7とを有している。8はこれらを支持する固定部である。
【0022】
なお、前記低速回転とはスタンパー用ロール1へレジストを滴下する際に使用する回転で、10〜60〔回転/分〕程度である。前記高速回転とは、余分なレジストを振り切って厚さを均一化するときに使用する回転数で、600〜900〔回転/分〕程度である。
【0023】
これらの機構は、通常の塗布装置に見られるように、カップ9の中に配置されており、必要に応じて、上カバー10がシリンダ11によって上下し、レジスト滴下時や、レジストの振り切り時にレジストが周囲に飛び散ることを防いでいる。
【0024】
12は先端にレジストを吐出するレジストノズル13を備えたアームであって、上カバー10が上昇しているときのみ、回転アクチュエータ14によって、ノズル退避位置15から図1に示すスタンパー用ロール1の上方へ入り込みレジストを塗布する。
【0025】
スタンパー用ロール1は、図2(a)に示すように前記スタンパー用ロール1の軸心16を鉛直軸17に対して角度θだけ傾斜させた状態でプレート3に取り付けられている。
レジストは図2(a)に示すように、スタンパー用ロール1の周面のうちで最も位置が高い位置に、上方からアーム12の先端のレジストノズル13から吐出される。レジストが滴下されてしばらくの間は、スタンパー用ロール1はモータ7によって軸心16の回り(スタンパー用ロール1の周面の方向)には回転駆動されていない停止状態にする。
【0026】
このときレジストノズル13の先端から塗布されるレジストは、円周方向と軸心16の方向の両方の方向へ広がろうとする。しかし、軸心16の方向についてはスタンパー用ロール1の周面上の嶺である直線18を通らず、図2(b)のように、よりポテンシャルの低い円周面を通って、ほぼ下の方向に流れ落ちる。さらに流れ落ちたレジストはスタンパー用ロール1の周面上の下の嶺である直線19を通ってスタンパー用ロール1の一番下のエッジに集中し、重力にしたがって下に落ちる。この動きは、レジストの粘度によりスタンパー用ロール1の周面での広がり幅は変わるもののほぼ同じ傾向となる。
【0027】
ここで減速機6を介してモータ7によってスタンパー用ロール1を軸心16の回りに前記低速回転で回転駆動させれば、既にレジストが塗布される領域は一様に増えていき、ノズルの先端からまっすぐ下に伸ばした線が、スタンパー用ロール1の周面から突き出る点20を境として、軸心方向(+)側に関しては、レジストは塗布できる。しかし、逆方向の面に関しては、直接にノズルから塗布される部分がないために、レジストの粘度や、スタンパー用ロール1の表面の状態によって、流れる道が図2(c)に示すように数本に別れてしまうような場合が出てくる。この場合は一様にレジストが塗布されるとは限らない。
【0028】
そこでこの実施の形態のレジスト塗布方法では、図2(d)に示すように滴下したレジストが周面に沿って流下し始めてからスタンパー用ロール1を減速機6を介してモータ7によって前記高速回転で回転駆動させるとともに、回転アクチュエータ14によってアーム12を移動させて、ノズルから滴下されたレジストがスタンパー用ロール1の周面に着弾する位置を、図2(e)に示すスタンパー用ロール1の周面上の嶺である直線18の両端間21を水平方向に移動可能なようにしておけば、レジストノズルから直接塗布される領域が水平方向への移動にともない増加してスタンパー用ロール1の周面のすべての領域にレジスト塗布できる。
【0029】
このようにして、多少のむらはあるものの、スタンパー用ロール1の周面にレジストが塗布されたら、次に図1の状態から回転アクチュエータ14によってアーム12を移動させてレジストノズル13を退避させ、カバー10をしてスピンドル5の回転数を増やし、数分間にわたって前記高速回転で駆動させる。
【0030】
このとき、レジストにかかる力は、重力とスタンパー用ロール1の周面の回転による遠心力であり、最終的にはレジストの遠心力と表面張力とが釣り合うまで、レジストは周囲に飛ばされるか、重力で下に流れるかし、スタンパー用ロール1の周面に塗布されたレジストの膜厚がほぼ均一となる。
【0031】
(実施の形態2)
実施の形態1ではスタンパー用ロール1の周面へのレジストの滴下が完了すると、スタンパー用ロール1をスピンドル部5によって高速回転することでレジストを振り切りレジストの膜厚を均一にしたが、図3と図4に示すこの実施の形態2では、スタンパー用ロール1を高速回転させずにエアーノズルを使用してレジストの膜厚を均一にしている点だけが異なっている。
【0032】
回転シャフト4に保持されたスタンパー用ロール101の周面のよりわずかに離れた位置に設置されたエアーノズル22a,22b,22cは、図4(b)に示すようにノズルの先端がスタンパー用ロール1の軸心方向に向いており、軸方向に圧縮空気が吹き付けられる。図示されていないが、エアーノズル22a〜22cには圧縮空気が送られてきており、その途中のバルブにてON/OFFされる構造となっている。
【0033】
図4(a)に示すように、スタンパー用ロール1の周面にレジストが既に塗布されていて、スタンパー用ロール1が回転をしていなければ、エアーノズル22a〜22cから噴射された圧縮空気は、図4(c)に示すようにスタンパー用ロール1の周面にあたり、中央部が高い圧力を持つ部分23が発生し、この部分だけ局所的にレジストの膜圧を薄くし、周囲にレジストを押し退ける。中央部が高い圧力を持つ部分23の周辺には圧縮空気の中心部に押し退けられたレジストが厚みをわずかに増す領域24ができ、さらにその外側に、圧縮空気の影響は殆ど受けずレジストの厚さも圧縮空気を吹き付ける前と殆ど変化のない領域25が存在する。
【0034】
次にスタンパー用ロール1が回転する場合を考える。
図4(a)のエアーノズル22a〜22cは、高さ方向にも、水平方向にも故意にずらして設定してある。レジストノズル13からレジストが滴下されると、重力にしたがって、レジストがスタンパー用ロール1の周面に落ち、この周面を広がりながら重力にしたがって流れる。このとき周面が図で示す方向に回転するとすれば、レジストは十分に広がる前に、エアーノズル22aによる圧縮空気に吹き付けられるところを通過しようとする。しかしながら、圧縮空気の中心からの圧力に勝つことができず、レジストは中心部をさけるように流れる軌跡が変わる。この場合、圧縮空気の中心をうまく設定すれば、殆どの流れ落ちてくるレジストがこの圧縮空気によって流れる経路をかえることが可能である。流れが変わったレジストは今度はエアーノズル22bによる圧縮空気に吹き付けられ、さらに方向を変更し、エアーノズル22cによる圧縮空気でなおいっそう流れの経路を変更させることが可能である。
【0035】
図4(a)においては、これらが連続的に行われてスタンパー用ロール1の周面上のレジストが、エアーノズル22a〜22cからの圧縮空気によって強制的にスタンパー用ロール1の下端へ押される場合を示している。この場合は26a,26b,26cが、それぞれエアーノズル22a,22b,22cのエアーの吹き付けられる中心点である。このようにレジストの流れる方向をエアーノズルで強制的に変更させれば、結果的に薄いレジストの領域27と厚いレジストの領域28とができる。
【0036】
なお、圧縮空気をスタンパー用ロール1の軸芯に向かって周面に噴射したが、必ずしも軸中心に向かって噴出させる必要はなく、レジストの流れる経路を変えるという目的に合致すれば、圧縮空気の向きにはこだわる必要がない。
【0037】
また、実施の形態1のようにレジストノズル13を水平方向に動かしても、レジストノズル13を固定としても良い。
また、エアーノズル22a〜22cも固定の場合を説明したが、このノズルについても必要に応じて動かしてもよい。
【0038】
また、図4では3つの圧縮空気用のノズルで説明したが、数は増やすことも可能である。噴射される気体が圧縮空気であったが、窒素などの不活性ガスであっても同様である。
(実施の形態3)
実施の形態1ではスタンパー用ロール1の周面へのレジストの滴下が完了すると、スタンパー用ロール1をスピンドル部5によって高速回転することでレジストの膜厚を均一にしたが、図5と図6に示すこの実施の形態3では、スタンパー用ロール1を高速回転させずに静電気を利用してレジストの膜厚を均一にしている点だけが異なっている。
【0039】
回転シャフト4に保持されたスタンパー用ロール1の周面のよりわずかに離れた位置にスタンパー用ロール1の軸心方向に沿って延びる棒状の絶縁体29が設置されている。絶縁体29は静電気発生装置30に絶縁体31で結合されている。静電気発生装置30は具体的にはヴァンデグラフ起電機である。
【0040】
絶縁体29について、代表的な例を図6(a)と図6(b)に挙げる。
図6(a)に示す例の絶縁体29は、スタンパー用ロール1に沿った長さJ−Kに等しいかそれ以上の長さを持っており、絶縁体29のひとつの曲面が、一定の幅で常にスタンパー用ロール1の周面に対して、一定の間隔を常に保つような並行曲面となるような構成となっている。つまり、スタンパー用ロール1の周面Sに対して、E−F−G−Hで構成される面が並行となっている。これは、絶縁体29の周面Sに与える電界の強さが、どの部分をとってもほぼ同じに保つためである。
【0041】
図6(b)に示す例の絶縁体29は、長さはスタンパー用ロール1の長さより短くても、スタンパー用ロール1の回転軸に平行な方向に直動可動なようにしておき、レジストの塗布量や濃度に応じて動かす。この場合の絶縁体29の形状は、ひとつの曲面が一定の幅で常に周面Sに対して、一定の間隔を常に保つような並行曲面となるような構成である必要がある。つまり、周面SとQ−R−T−Uで構成される面は並行でなければならない。
【0042】
これらの作用について説明する。
静電気発生装置30から発生された静電気は、まず、静電気発生装置30上に溜まる。絶縁体30は絶縁体29につながっているため、絶縁体29には、静電気発生装置30で発生したと逆極性の静電気が貯められる。
【0043】
一方、通常のレジストの溶媒はアルコールであり、アルコールは分極特性をもつために、静電気の影響を受けやすく、スタンパー用ロール1の軸回転により、荷電を帯びた絶縁体29が近づけば、これに反応して、斥力か引力かが発生し、アルコールの軌道を変更させることが出来る。つまり、このアルコールに溶けているレジストの流れを変えることができる。ここでは絶縁体29は、図6(a)で説明した形状で、静止している場合でも、図6(b)のように示す形状であって、被加工物の回転軸に平行な方向に直動させてもどちらでも同様であって、静電気力によってレジストの膜厚を均一にできる。
【0044】
なお、この実施の形態3の場合も実施の形態2のようにレジストノズル13を水平方向に動かしても、レジストノズル13を固定としても良い。
(実施の形態4)
実施の形態1〜実施の形態3の何れかのレジスト塗布方法によってレジストが均一に塗布したスタンパー用ロール1に、スタンパー形状を記録するスタンパー形成方法を、図7に基づいて説明する。
【0045】
図7はスタンパー記録装置32を示す。
定盤33には、レジストを均一に塗布したスタンパー用ロール1を保持しスタンパー用ロール1の軸心が鉛直軸に一致するように回転駆動するモータ34と、鉛直方向にスライド部35を上下動させるスライド機構36と、スライド機構36に取り付けられてスタンパー用ロール1の周面に塗布されたレジストを目的のピットもしくはグルーブを露光する記録用光学系37とが設けられている。
【0046】
スライド機構36は、スライダガイド38と、スライダガイド38に沿って鉛直方向に動くスライド部35と、モータ39を装着するブラケット40とで構成されている。
記録用光学系37は、スタンパー用ロール1にレーザ光44を集光する対物レンズ41と、最終ミラー42および下から来るレーザを水平方向に変更する移動ミラー43がスライド機構36のスライド部35に装着されており、モータ39によって昇降駆動されるスライド部35がどの位置にあっても、レーザ光はスタンパー用ロール1の周面に焦点が合うように構成されている。
【0047】
運転の制御部は次のように構成されている。
図7に示す装置の動作としては、スタンパー用ロール1の周面Sにピットもしくはグルーブを等間隔で作成するためには、モータ34を一定速度で回転しながら、スライド部35を等速で下降(または上昇)させるとともに、記録用光学系37の光を目的のピットもしくはグルーブに応じて変調して照射して記録し、この後、現像をした後で、レジストを硬化させるか、レジストをマスキングとしてエッチングを行うなどの処理をすれば、所望の信号が記録されたスタンパー用ロール1が製作可能となる。
【0048】
この目的のピットもしくはグルーブが周面に記録されたスタンパー用ロール1を使用することによって、連続的に流れてくる一定の幅をもった樹脂や有機材料シートに、前記ピットやグルーブのナノインプリントの転写を継ぎ目なく、連続的におこなうことが可能となる。
【0049】
(実施の形態5)
実施の形態4のスタンパー記録装置では、レジストを均一に塗布したスタンパー用ロール1の軸心が鉛直方向に一致するように回転駆動したが、図8に示すようにレジストを均一に塗布したスタンパー用ロール1の軸心が水平方向に一致するように保持して回転駆動し、スライド部35をスタンパー用ロール1の軸心と平行に移動させることによっても、前記スタンパー用ロール1の軸心の軸方向に同一ピッチまたはほぼ同一ピッチでピットもしくはグルーブをレジストに連続的に露光することができる。
【0050】
なお、実施の形態2では、スタンパー用ロール1を高速回転させずにエアーノズルを使用してレジストの膜厚を均一にしたが、実施の形態1において、スタンパー用ロール1の周面へのレジストの滴下が完了すると、スタンパー用ロール1をスピンドル部5によって高速回転することでレジストを振り切りレジストの膜厚を均一にし、さらにエアーノズルを使用してレジストの膜厚をさらに均一にすることもできる。
【0051】
また、実施の形態3では、スタンパー用ロール1を高速回転させずに静電気を利用してレジストの膜厚を均一にしたが、実施の形態1において、スタンパー用ロール1の周面へのレジストの滴下が完了すると、スタンパー用ロール1をスピンドル部5によって高速回転することでレジストを振り切りレジストの膜厚を均一にし、さらに静電気を利用してレジストの膜厚を均一にすることもできる。
【0052】
また、実施の形態1において、スタンパー用ロール1の周面へのレジストの滴下が完了すると、スタンパー用ロール1をスピンドル部5によって高速回転することでレジストを振り切りレジストの膜厚を均一にし、エアーノズルを使用してレジストの膜厚をさらに均一にし、さらに静電気を利用してレジストの膜厚を均一にすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、連続的に流れてくる一定の幅をもった樹脂や有機材料シートに、ピットやグルーブのナノインプリントの転写を継ぎ目なく、連続的におこなうことができ、各種の量産工程の改善に寄与できる。
【符号の説明】
【0054】
1 スタンパー用ロール
2 レジスト塗布装置
3 プレート
4 回転シャフト
5 スピンドル部
6 減速機
7 モータ
8 固定部
9 カップ
10 上カバー
11 シリンダ
12 アーム
13 レジストノズル
14 回転アクチュエータ
15 ノズル退避位置
16 スタンパー用ロールの軸心
17 鉛直軸
θ 角度
18 スタンパー用ロールの周面上の嶺である直線
19 スタンパー用ロールの周面上の下の嶺である直線
20 スタンパー用ロールの周面から突き出る点
21 スタンパー用ロールの周面上の嶺である直線18の両端間
22a,22b,22c エアーノズル
23 中央部が高い圧力を持つ部分
24 レジストが厚みをわずかに増す領域
25 圧縮空気を吹き付ける前と殆ど変化のない領域
26a,26b,26c エアーの吹き付けられる中心点
27 薄いレジストの領域
28 厚いレジストの領域
29 絶縁体
30 静電気発生装置
31 絶縁体
32 スタンパー記録装置
33 定盤
34 モータ
35 スライド部
36 スライド機構
37 記録用光学系
38 スライダガイド
39 モータ
40 ブラケット
44 レーザ光
41 対物レンズ
42 最終ミラー
43 移動ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物としてのスタンパー用ロールの表面にレジストを塗布するに際し、
前記スタンパー用ロールの軸心を鉛直軸に対して傾斜させた状態で前記軸心の周りに回転させ、そのレジストを滴下位置を前記スタンパー用ロールの軸心に沿って移動させて前記スタンパー用ロールの表面にレジストを滴下する
レジスト塗布方法。
【請求項2】
前記スタンパー用ロールの表面のレジストに対して気体を吹き付けレジスト均一性を調整する
請求項1記載のレジスト塗布方法。
【請求項3】
前記スタンパー用ロールの表面のレジストに対して静電力を作用させてレジスト均一性を調整する
請求項1記載のレジスト塗布方法。
【請求項4】
被加工物としてのスタンパー用ロールの軸心を鉛直軸に対して傾斜させた状態で前記軸心の周りに回転させ、レジストの滴下位置を前記スタンパー用ロールの軸心に沿って移動させて前記スタンパー用ロールの表面にレジストを滴下して前記スタンパー用ロールの表面にレジストを塗布し、
前記スタンパー用ロールを前記軸心の周りに回転させ、前記スタンパー用ロールの表面に形成されたレジストに対して記録用レーザを照射し、
前記記録用レーザを前記軸心方向に移動させて前記レジストにスタンパー形状を記録する
スタンパー形成方法。
【請求項5】
被加工物としてのスタンパー用ロールの軸心を鉛直軸に対して傾斜させた状態で前記軸心の周りに回転させ、レジストの滴下位置を前記スタンパー用ロールの軸心に沿って移動させて前記スタンパー用ロールの表面にレジストを滴下して前記スタンパー用ロールの表面にレジストを塗布し、
前記スタンパー用ロールを前記軸心の周りに回転させ、前記スタンパー用ロールの表面に形成されたレジストに対して記録用レーザを照射し、
前記スタンパー用ロールの軸心の軸方向に同一ピッチまたはほぼ同一ピッチでピットもしくはグルーブを前記レジストに連続的に露光する
スタンパー形成方法。
【請求項6】
スタンパー用ロールの表面にレジストを塗布するに際し、
前記スタンパー用ロールの軸心を鉛直軸に対して傾斜させた状態で前記軸心の周りに回転させ、前記スタンパー用ロールの表面にレジストを滴下し、
前記スタンパー用ロールの表面のレジストに対して気体を吹き付けレジスト均一性を調整する
レジスト塗布方法。
【請求項7】
スタンパー用ロールの表面にレジストを塗布するに際し、
前記スタンパー用ロールの軸心を鉛直軸に対して傾斜させた状態で前記軸心の周りに回転させ、前記スタンパー用ロールの表面にレジストを滴下し、
前記スタンパー用ロールの表面のレジストに対して静電力を作用させてレジスト均一性を調整する
レジスト塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−269528(P2010−269528A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123644(P2009−123644)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】