説明

レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法

【課題】レジストパターン製造時のフォーカスマージン(DOF)が良好で、レジストパターンを形成した場合に欠陥の発生数を低減することができるレジスト組成物を提供する。
【解決手段】(A1)式(I)で表される構造単位を有する樹脂、(A2)アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂及び(B)式(II)で表される酸発生剤を含有するレジスト組成物。


[式中、R1は、水素原子又はメチル基;A1は、−(CHm1−、−(CHm2−O−(CHm3−等m1〜m3はそれぞれ1〜6の整数を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物及び該レジスト組成物を用いるレジストパターンの製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、式(u−A)で表される構造単位及び式(u−B)で表される構造単位からなる樹脂と、式(u−C)で表される構造単位、式(u−D)で表される構造単位及び式(u−B)で表される構造単位からなる樹脂と、酸発生剤と、溶剤とを含有するレジスト組成物が記載されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−197413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来レジスト組成物は、レジストパターン製造時のフォーカスマージン(DOF)が必ずしも満足できない場合や、欠陥が発生する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
[1](A1)式(I)で表される構造単位を有する樹脂、
(A2)アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂及び
(B)式(II)で表される酸発生剤を含有するレジスト組成物。


[式(I)中、
1は、水素原子又はメチル基を表す。
1は、−(CHm1−、−(CHm2−O−(CHm3−又は−(CHm4−CO−O−(CHm5−を表す。
m1〜m5は、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。
2は、フッ素原子を有する炭素数1〜10の炭化水素基を表す。]

[式(II)中、
及びQは、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、*−CO−O−L−又は*−CH−O−L−を表す。*は−C(Q)(Q)−との結合手を表す。L及びLは、それぞれ独立に、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
環Wは、炭素数2〜36の複素環を表す。
は、有機カチオンを表す。]
[2]R2が、炭素数1〜6のフッ化アルキル基である[1]記載のレジスト組成物。
[3]A1が、メチレン基である[1]又は[2]記載のレジスト組成物。
[4]Lが*−CO−O−L−(Lは、2価の炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表し、*は−C(Q1)(Q)−との結合手を表す。)である[1]〜[3]のいずれか記載のレジスト組成物。
[5]さらに溶剤を含有する[1]〜[4]のいずれか記載のレジスト組成物。
[6](1)上記[1]〜[5]のいずれか記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明のレジスト組成物によれば、優れたフォーカスマージン(DOF)で、かつ欠陥が少ないレジストパターンを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書では、「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH2=CH−CO−」又は「CH2=C(CH3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」及び「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0008】
〈レジスト組成物〉
本発明のレジスト組成物は、
(A)樹脂(以下「樹脂(A)」という場合がある)及び
(B)式(II)で表される酸発生剤を含有する。
ここで、樹脂(A)は以下の樹脂を含む。
(A1)式(I)で表される構造単位を有する樹脂(以下「樹脂(A1)」という場合がある)及び
(A2)アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる樹脂(以下「樹脂(A2)」という場合がある)。
本発明のレジスト組成物は、さらに、溶剤(E)(以下「溶剤(E)」という場合がある)を含有していることが好ましい。
本発明のレジスト組成物は、さらに、塩基性化合物(以下「塩基性化合物(C)」という場合がある)を含有していることが好ましい。
【0009】
〈樹脂(A)〉
本発明のレジスト組成物に含有されている樹脂(A)は、上述した樹脂(A1)及び(A2)を含む。また、後述するような、樹脂(A1)及び(A2)以外の樹脂が含まれていてもよい。
【0010】
〈樹脂(A1)〉
樹脂(A1)は、上述した式(I)で表される構造単位(以下「構造単位(I)」という場合がある)を有する。

[式(I)中、
1は、水素原子又はメチル基を表す。
1は、−(CHm1−、−(CHm2−O−(CHm3−又は−(CHm4−CO−O−(CHm5−を表す。
m1〜m5は、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。
2は、フッ素原子を有する炭素数1〜10の炭化水素基を表す。]
【0011】
式(I)のA1は、−(CHm1−が好ましく、エチレン基又はメチレン基がより好ましく、メチレン基がさらに好ましい。
【0012】
の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含し、脂肪族炭化水素基は、鎖式、環式及びこれらの組み合わせを含む。脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、脂環式炭化水素基が好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基及びイソボルニル基が挙げられる。
【0013】
フッ素原子を有する炭化水素基としては、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有する脂環式炭化水素基等が挙げられる。
フッ素原子を有するアルキル基としては、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,1,2,2,3,3−ペプタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロヘプチル基及びペルフルオロオクチル基等のフッ化アルキル基が挙げられる。
フッ素原子を有する脂環式炭化水素基としては、ペルフルオロシクロヘキシル基、ペルフルオロアダマンチル基等のフッ化シクロアルキル基が挙げられる。
2は、フッ化アルキル基が好ましく、炭素数1〜6のフッ化アルキル基がより好ましい。
【0014】
構造単位(I)としては、以下のものが挙げられる。

【0015】

【0016】
上記の構造単位において、Rに相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位も、構造単位(I)の具体例として挙げることができる。
【0017】
構造単位(I)は、式(I’)で表される化合物(以下「化合物(I’)」という場合がある)から誘導される。

[式(I’)中、R1、A1及びR2は、上記と同じ意味を表す。]
【0018】
化合物(I’)は、例えば以下の反応により製造することができる。

[式中、R1、A1及びR2は、上記と同じ意味を表す。]
式(I’−1)で表される化合物と式(I’−2)で表される化合物とを、溶媒中、触媒の存在下で反応させることが好ましい。溶媒としては、ジメチルホルムアミドなどが用いられる。触媒としては、炭酸カリウム及びヨウ化カリウムなどを用いられる。
【0019】
式(I’−1)で表される化合物は、市場から容易に入手できるもの(市販品)が好ましい。このような市販品は、メタクリル酸などがある。
式(I’−2)で表される化合物は、例えば、式(I’−3)で表される化合物と式(I’−4)で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。この反応は、溶媒中、塩基触媒の存在下で行なわれる。この反応で用いる溶媒としては、テトラヒドロフランなどである。塩基触媒としては、ピリジンなどが用いられる。

式(I’−3)で表される化合物は、A1の種類に応じて適当なものを用いることができる。
1がメチレン基である場合の式(I’−2)で表される化合物は、式(I’−3)で表される化合物として、例えば、クロロアセチルクロリドなどを用いることにより製造することができる。このクロロアセチルクロリドは市場から容易に入手できる。
式(I’−4)で表される化合物は、R2の種類に応じて適当なアルコールを用いることができる。
2がフッ素原子で置換された脂肪族炭化水素基である式(I’−2)で表される化合物は、式(I’−4)で表される化合物として、例えば、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノールなどを用いることにより製造することができる。この2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノールは市場から容易に入手できる。
【0020】
樹脂(A1)は、構造単位(I)とは異なる構造単位を有していてもよい。
構造単位(I)とは異なる構造単位としては、後述する酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位、酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位、式(IIIA)で表される構造単位、当該分野で用いられる公知のモノマーに由来する構造単位などが挙げられる。好ましくは式(IIIA)で表される構造単位である。

[式(IIIA)中、
11は、水素原子又はメチル基を表す。
環Wは、炭素数6〜10の炭化水素環を表す。
12は、−O−、−CO−O−又は−O−CO−(は環Wとの結合手を表す。)を表す。
12は、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【0021】
環Wの炭化水素環としては、例えば、脂環式炭化水素環が挙げられ、好ましくは、飽和の脂環式炭化水素環である。
飽和の脂環式炭化水素環としては、例えば、以下の環が挙げられる。

【0022】
環Wとしては、好ましくはアダマンタン環又はシクロヘキサン環であり、より好ましくはアダマンタン環である。
12のフッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、下記の基が挙げられる。

【0023】
式(IIIA)で表される構造単位としては、以下で表される構造単位が好ましい。

上記の構造単位において、R11に相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位も、構造単位(IIIA)の具体例として挙げることができる。
中でも、式(IIIA−1)で表される構造単位又はR11に相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位が特に好ましい。
【0024】
樹脂(A1)中の構造単位(I)の含有割合は、樹脂(A1)の全構造単位に対して、5〜100モル%の範囲がより好ましく、10〜100モル%の範囲がさらに好ましく、50〜100モル%の範囲がさらに好ましく、80〜100モル%の範囲がとりわけ好ましい。
樹脂(A1)が構造単位(IIIA)を有する場合、樹脂(A1)中の構造単位(III)の含有割合は、樹脂(A1)の全構造単位に対して、1〜95モル%の範囲が好ましく、2〜80モル%の範囲がより好ましく、5〜70モル%の範囲がさらに好ましく、5〜50モル%の範囲がとりわけ好ましく、5〜30モル%の範囲が特に好ましい。構造単位(IIIA)を有し、その含有割合が前記の範囲内であると、優れたフォーカスマージンを有し、欠陥の発生が少ないレジストパターンを製造できる。
このような含有割合で構造単位(I)及び/又は(IIIA)を有する樹脂(A1)は、樹脂(A1)製造時に用いる全モノマーの総モル量に対する化合物(I’)、構造単位(IIIA)を誘導するモノマーの使用モル量を調節することにより製造することができる。
樹脂(A1)を構成する各構造単位(I)及び/又は(IIIA)は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて、さらに、任意に、後述する酸安定モノマー(a1)、酸安定モノマー、当該分野で公知のモノマーの1種以上を組み合わせて、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造することができる。
樹脂(A1)の重量平均分子量は、好ましくは、5,000以上(より好ましくは7,000以上、さらに好ましくは10,000以上)、80,000以下(より好ましくは50,000以下、さらに好ましくは30,000以下)である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものであり、該分析の詳細な分析条件は、本願の実施例で詳述する。
【0025】
〈樹脂(A2)〉
樹脂(A2)は、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る。ここで、「酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る」とは、酸に不安定な基(以下「酸不安定基」という場合がある。)を有し、酸との接触前ではアルカリ水溶液に不溶又は難溶であるが、酸との接触後にアルカリ水溶液に可溶となることを意味する。
従って、樹脂(A2)は、後述する酸不安定基を有するモノマー(a1)(以下「酸不安定モノマー(a1)」という場合がある)の1種又は2種以上を重合することによって得ることができる。
また、樹脂(A2)は、上述した性質を備える限り、後述する酸に不安定な基を有さないモノマー(以下「酸安定モノマー」という)に由来する構造単位、当該分野で公知のモノマーに由来する構造単位、上述した構造単位(I)及び式(IIIA)で表される構造単位を含んでいてもよい。
なお、樹脂(A2)は、樹脂(A1)と互いに異なる別個の樹脂であってもよいし、式(I)で表される構造単位及び式(IIIA)で表される構造単位を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂であってもよい。
【0026】
〈酸不安定モノマー(a1)〉
「酸に不安定な基」とは、脱離基を有し、酸と接触すると脱離基が脱離して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基を意味する。酸に不安定な基としては、例えば、式(1)で表される基、式(2)で表される基などが挙げられる。
【0027】

[式(1)中、Ra1〜Ra3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すか、Ra1及びRa2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。*は結合手を表す。]

[式(2)中、Ra1'及びRa2'は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Ra3'は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、Ra2'及びRa3'互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成し、前記炭化水素基及び前記2価の炭化水素基に含まれる−CH−は、−O―又は―S−で置き換わってもよい。]
【0028】
a1〜Ra3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基、下記のような基等が挙げられる。

式(1)においては、Ra1〜Ra3の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜16である。
【0029】
a1及びRa2が互いに結合して2価の炭化水素基を形成する場合の−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)としては、下記の基が挙げられる。2価の炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜12である。


【0030】
式(1)で表される酸不安定基としては、例えば、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1〜Ra3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1、Ra2及び炭素原子がアダマンチル基を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0031】
a1'〜Ra3'の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
アルキル基及び脂環式炭化水素基は、上記と同様のものが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
a2'及びRa3'が互いに結合して形成する2価の炭化水素基としては、例えば、式(I)におけるRの炭化水素基から水素原子を1個取り去った基が挙げられる。
式(2)においては、Ra1'及びRa2'のうち、少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
式(2)で表される基の具体例としては、例えば、以下の基が挙げられる。

【0032】
酸不安定モノマー(a1)は、好ましくは、酸に不安定な基と炭素−炭素二重結合とを有するモノマー、より好ましくは酸に不安定な基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
【0033】
酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーのうち、好ましくは、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有するものが挙げられる。脂環式炭化水素基のような嵩高い構造を有する酸不安定モノマー(a1)を重合して得られる樹脂を使用すれば、レジストパターンの解像度を向上させることができる。
【0034】
酸に不安定な基と脂環式炭化水素基とを有する(メタ)アクリル系モノマーとして、好ましくは式(a1−1)で表される構造単位又は式(a1−2)で表される構造単位が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】

[式(a1−1)及び式(a1−2)中、
a1及びLa2は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k1−CO−O−を表し、k1は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
a4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a6及びRa7は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
【0036】
a1及びLa2は、好ましくは、−O−又は−O−(CH2k1−CO−O−であり、より好ましくは−O−である。k1は、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1である。
a4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
a6及びRa7のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。Ra6及びRa7のアルキル基は、好ましくは炭素数6以下である。
a6及びRa7の脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基、下記のような基等が挙げられる。

脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数8以下、より好ましくは6以下である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は好ましくは0又は1である。
【0037】
式(a1−1)で表される構造単位を導くモノマーとしては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。下式(a1−1−1)〜(a1−1−8)で表されるモノマーが好ましく、下式(a1−1−1)〜(a1−1−4)で表されるモノマーがより好ましい。

【0038】
式(a1−2)で表される構造単位を導くモノマーとしては、例えば、1−エチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘプタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート等が挙げられる。下式(a1−2−1)〜(a1−2−12)で表されるモノマーが好ましく、下式(a1−2−3)〜(a1−2−4)及び下式(a1−2−9)〜(a1−2−10)で表されるモノマーがより好ましく、下式(a1−2−3)及び下式(a1−2−9)で表されるモノマーがさらに好ましい。



【0039】
樹脂(A2)が式(a1−1)で表される構造単位及び/又は式(a1−2)で表される構造単位を含む場合、これらの合計含有率は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0040】
〈酸安定モノマー〉
酸安定モノマーとしては、好ましくは、ヒドロキシ基又はラクトン環を有するモノマーが挙げられる。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(以下「ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)」という場合がある)又はラクトン環を含有する酸安定モノマー(以下「ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)」という場合がある)に由来する構造単位を有する樹脂を使用すれば、レジストの解像度及び基板への密着性を向上させることができる。
【0041】
〈ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)〉
レジスト組成物をKrFエキシマレーザ露光(248nm)、電子線又はEUV光などの高エネルギー線露光に用いる場合、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、好ましくは、ヒドロキシスチレン類であるフェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定モノマーを使用する。短波長のArFエキシマレーザ露光(193nm)などを用いる場合は、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、好ましくは、式(a2−1)で表されるヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーを使用する。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーとして、式(a2−1)で表されるモノマーが挙げられる。

式(a2−1)中、
a3は、−O−又は−O−(CH2k2−CO−O−を表し、
k2は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
【0043】
式(a2−1)では、La3は、好ましくは、−O−、−O−(CH2f1−CO−O−であり(前記f1は、1〜4の整数である)、より好ましくは−O−である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0044】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(a2−1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。下式(a2−1−1)〜(a2−1−6)で表されるモノマーが好ましく、下式(a2−1−1)〜(a2−1−4)で表されるモノマーがより好ましく、下式(a2−1−1)又は(a2−1−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。

【0045】
樹脂(A2)が式(a2−1)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有率は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、通常3〜45モル%であり、好ましくは3〜40モル%であり、より好ましくは3〜35モル%である。
【0046】
〈ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)〉
酸安定モノマー(a3)が有するラクトン環は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環のような単環でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、好ましくは、γ−ブチロラクトン環、又は、γ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が挙げられる。
【0047】
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)は、好ましくは、式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表される。これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】

式(a3−1)〜式(a3−3)中、
a4〜La6は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k3−CO−O−を表す。
k3は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a18〜Ra20は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a21は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
q1及びr1は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。p1、q1又はr1が2以上のとき、それぞれ、複数のRa21、Ra22又はRa23は、同一又は相異なる。
【0049】
a21〜Ra23のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基等が挙げられる。
【0050】
式(a3−1)〜式(a3−3)では、La4〜La6は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k3−CO−O−であることが好ましく、より好ましくは−O−である。k3は、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1である。
a18〜Ra21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1〜r1は、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
【0051】
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)としては、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。下式(a3−1−1)〜(a3−1−4)、(a3−2−1)〜(a3−2−4)、(a3−3−1)〜(a3−3−4)で表されるモノマーが好ましく、下式(a3−1−1)〜(a3−1−2)、(a3−2−3)〜(a3−2−4)で表されるモノマーがより好ましく、下式(a3−1−1)又は(a3−2−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0052】

【0053】

【0054】
樹脂(A2)がラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)に由来する構造単位を含む場合、その合計含有率は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、通常5〜70モル%であり、好ましくは10〜65モル%であり、より好ましくは10〜60モル%である。
【0055】
樹脂(A2)が、酸不安定モノマー(a1)と酸安定モノマーとの共重合体である場合、酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位は、全構造単位100モル%に対して、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜60モル%である。
アダマンチル基を有するモノマーに由来する構造単位(特に、式(a1−1)で表される構造単位)の含有率は、好ましくは酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位の合計に対して15モル%以上である。アダマンチル基を有するモノマーに由来する構造単位の比率が増えると、レジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。
【0056】
樹脂(A2)は、好ましくは、酸不安定モノマー(a1)と、酸安定モノマーとの共重合体である。この共重合体において、酸不安定モノマー(a1)は、より好ましくはアダマンチル基を有する式(a1−1)で表される構造単位を導くモノマー及び式(a1−2)で表される構造単位を導くモノマー(好ましくはシクロヘキシル基又はシクロペンチル基を有する該モノマー)の少なくとも1種、さらに好ましくは式(a1−1)で表される構造単位を導くモノマーである。また、酸安定モノマーは、好ましくは、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)及び/又はラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)である。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)は、好ましくはヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(a2−1)であり、ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)は、より好ましくはγ−ブチロラクトン環を有する酸安定モノマー(a3−1)及びγ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有する酸安定モノマー(a3−2)の少なくとも1種である。
【0057】
樹脂(A2)を構成する各構造単位は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、これら構造単位を誘導するモノマーを用いて、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造することができる。
樹脂(A2)の重量平均分子量は、好ましくは、2,500以上(より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは4,000以上)、50,000以下(より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは15,000以下)である。
樹脂(A1)及び樹脂(A2)は、樹脂(A)において、例えば、0.01:10〜5:10、好ましくは0.05:10〜3:10、より好ましくは0.1:10〜2:10、特に好ましくは0.2:10〜1:10(質量比)で含有されていることが好ましい。
【0058】
〈樹脂(A1)及び(A2)以外の樹脂〉
本発明のレジスト組成物の樹脂(A)は、上述した樹脂(A1)及び(A2)以外の樹脂、例えば、上述した酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位、酸安定モノマーに由来する構造単位の他、当該分野で用いられる公知のモノマーに由来する構造単位からなる樹脂等が含有されていてもよい。
本発明のレジスト組成物が、樹脂(A1)及び(A2)以外の樹脂を含む場合、これらの含有率は、本発明のレジスト組成物に含まれる樹脂(A)の合計量に対して、通常0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。
【0059】
本発明のレジスト組成物においては、樹脂(A)の含有率は、好ましくは、レジスト組成物の固形分中80質量%以上99質量%以下である。本明細書において「組成物中の固形分」とは、後述する溶剤(E)を除いたレジスト組成物成分の合計を意味する。組成物中の固形分及びこれに対する樹脂(A)の含有率は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0060】
〈式(II)で表される酸発生剤〉
本発明のレジスト組成物は、酸発生剤として、式(II)で表される酸発生剤(以下「酸発生剤(II)」という場合がある)を含む。

[式(II)中、Q及びQは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、*−CO−O−L−又は*−CH−O−L−を表す。*は−C(Q)(Q)−との結合手を表す。L及びLは、互いに独立に、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
環Wは、炭素数2〜36の複素環を表す。
は、有機カチオンを表す。]
【0061】
式(II)において、Q及びQのペルフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
1及びQ2は、それぞれ独立に、好ましくはトリフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0062】
を構成するL及びLの2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状アルカンジイル基、分岐状アルカンジイル基、単環式又は多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基が挙げられ、これらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基及びプロパン−2,2−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;
直鎖状アルカンジイルに、アルキル基(特に、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)の側鎖を有したもの、例えば、1−メチルブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基;
シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基等の多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基等が挙げられる。
【0063】
の2価の飽和炭化水素基における−CH−が−O−又は−CO−で置き換わった場合の*−CO−O−L−としては、例えば、式(L1−2)が好ましい。*は、C(Q1)(Q2)−との結合手を表す。
【0064】

ここで、L及びLは、それぞれ独立に、炭素数1〜12の2価の飽和炭化水素基を表す。
【0065】
の2価の飽和炭化水素基における−CH−が−O−又は−CO−で置き換わった場合の*−CO−O−L−としては、例えば、式(L1−4)が好ましい。
【0066】

ここで、Lは、炭素数1〜14の2価の飽和炭化水素基を表す。
【0067】
*−CO−O−L−で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
なお、下記式は、その左右を式(II)に合わせて記載しており、左側でC(Q1)(Q2)−と結合し、右側で窒素原子と結合する(以下同様)。

【0068】

【0069】
式(L1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0070】
*−CH−O−L−で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0071】

【0072】
式(L1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0073】

【0074】
なかでも、Lは、*−CO−O−L−(Lは、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表し、*は−C(Q)(Q)−との結合手を表す)が好ましい。
【0075】
環Wの複素環は、窒素原子を1つ含有しているものであればよく、さらに1以上の酸素原子を含有していてもよい。また、芳香族複素環であってもよいし、芳香性を有さないものであってもよく、単環式及び多環式のいずれであってもよい。
複素環を含む下記の基

としては、例えば、以下の基が挙げられる。なかでも、式(W1)、式(W2)または式(W3)で表される基が好ましい。

【0076】
式(II)で表される酸発生剤としては、例えば以下の塩が挙げられる。下記式において、Zは上記と同義である。

【0077】

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】

【0082】
式(II)で表される酸発生剤に含まれる有機カチオン(Z)としては、有機オニウムカチオン、例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン、有機ホスホニウムカチオンなどが挙げられ、好ましくは、有機スルホニウムカチオン又は有機ヨードニウムカチオンであり、より好ましくは、以下の式(b2−1)、式(b2−2)、式(b2−3)及び式(b2−4)のいずれかで表される有機カチオンである。

【0083】
式(b2−1)〜式(b2−4)において、
b4〜Rb6は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基を表し、この炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が好ましい。前記アルキル基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を有していてもよく、前記脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよく、前記芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を有していてもよい。また、Rb4とRb5が一緒になってヘテロ原子を有してもよい環を形成してもよい。
b7及びRb8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表し、m2が2以上であるとき、複数のRb7は同一でも異なってもよ、n2が2以上であるとき、複数のRb8は同一でも異なってもよい。
b9及びRb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表すか、Rb9とRb10とは、それらが結合する硫黄原子とともに互いに結合して3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成する。該環に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
b11は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。該環に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
b11とRb12は、それらが結合する−CH−CO−とともに3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよい。
b12は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。
【0084】
b13〜Rb18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
o2、p2、s2及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上のとき、複数のRb13は同一でも異なってもよく、p2が2以上のとき、複数のRb14は同一でも異なってもよく、q2が2以上のとき、複数のRb15は同一でも異なってもよく、r2が2以上のとき、複数のRb16は同一でも異なってもよく、s2が2以上のとき、複数のRb17は同一でも異なってもよく、t2が2以上のとき、複数のRb18は、同一でも異なってもよい。
【0085】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基、下記のような基等が挙げられる。*は、アダマンタン環又はシクロヘキサン環との結合手を表す。

芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
【0086】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基などが挙げら
れる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0087】
b9〜Rb12のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜12であり、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基などが好ましい。
b9〜Rb11の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜18、より好ましくは炭素数4〜12であり、特に、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基及びイソボルニル基などが好ましい。
b12の芳香族炭化水素基は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基及びナフチル基などが好ましい。
b12の芳香族炭化水素基とアルキル基が結合したものは、典型的にはアラルキル基である。
【0088】
b4とRb5が一緒になって形成してもよいイオウ原子を含む環としては、単環式、多環式、芳香族性、非芳香族性、飽和及び不飽和のいずれの環であってもよく、イオウ原子を1以上含むものであれば、さらに、1以上のイオウ原子及び/又は1以上の酸素原子を含んでいてもよい。該環としては、炭素数3〜18の環が好ましく、炭素数4〜13の環がより好ましい。
【0089】
b9とRb10とが結合する硫黄原子とともに形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環及び1,4−オキサチアン−4−イウム環などが挙げられる。
b11とRb12とが結合する−CH−CO−とともに形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環及びオキソアダマンタン環などが挙げられる。
【0090】
式(b2−1)〜式(b2−4)で表される有機カチオンの具体例は、特開2010−204646号公報に記載されたものを挙げることができる。
【0091】
例示した有機カチオンの中でも、カチオン(b2−1)が好ましく、以下の式(b2−1−1)で表される有機カチオン〔以下、「カチオン(b2−1−1)」という場合がある〕がより好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0である。)、ジフェニルトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=0、x2=1であり、Rb21がメチル基である。)又はトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=1であり、Rb19、Rb20及びRb21がいずれもメチル基である。)がさらに好ましい。

式(b2−1−1)中、
b19〜Rb21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表す。また、Rb19〜Rb21から選ばれる2つが一緒になってヘテロ原子を有してもよい環を形成してもよい。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に、0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のRb19は同一又は相異なり、w2が2以上のとき、複数のRb20は同一又は相異なり、x2が2以上のとき、複数のRb21は同一又は相異なる。
なかでも、Rb19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0092】
カチオン(b2−1−1)としては、以下のカチオンが挙げられる。

【0093】

【0094】

【0095】

【0096】

【0097】
カチオン(b2−2)としては、以下のものが挙げられる。

【0098】
カチオン(b2−3)としては、以下のものが挙げられる。

【0099】
式(II)で表される酸発生剤は、スルホン酸アニオン及び有機カチオンを組合せた塩である。スルホン酸アニオンと有機カチオンとは任意に組み合わせることができる。このようなスルホン酸アニオン及び有機カチオンの組み合わせを以下の表に示す。なお、以下の表において、式(b1−s−1)で表される塩などを、その式番号に応じて、「(b1−s−1)」などと表し、式(b2−c−1)で表される有機カチオンなどを、その式番号に応じて、「(b2−c−1)」などと表す。
【0100】
【表1−1】

【0101】
【表1−2】

【0102】
【表1−3】

【0103】
【表1−4】

【0104】
【表1−5】

【0105】
さらに好ましい式(II)で表される酸発生剤としては、以下のものが挙げられる。

【0106】

【0107】

【0108】

【0109】

【0110】

【0111】

【0112】

【0113】
式(II)で表される酸発生剤は、当該分野で公知の方法又はそれに準じた方法によって製造することができる。
(a)例えば、式(II)で表される酸発生剤のうち、Lが*−CO−O−L−(*は−C(Q)(Q)−との結合手を表し、Lは2価の炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す)である式(IIa)で表される塩は、式(IIb)で表される化合物と式(IIc)で表される塩とを触媒下で反応させることにより得ることができる。なお、以下の式における置換基の定義は、特に断りのない限り上記と同じ意味である。
用いる溶媒は、クロロホルム等が挙げられる。触媒としては、リチウムアミド等が挙げられる。
式(IIb)で表される化合物としては、4−(8−ヒドロキシオクチル)モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン等が挙げられる。
式(IIc)で表される塩は、例えば、特開2008−13551号公報に記載された方法で合成することができる。

【0114】
(b)特に、例えば、式(II)で表される酸発生剤のうち、Lが*−CO−O−L−であり、かつLが2価の脂環式炭化水素基である式(IIa’)で表される塩は、式(IIb’)で表される化合物と式(IIc’)で表される塩とを触媒下で反応させることにより得ることができる。用いる溶媒は、クロロホルム等が挙げられる。

式中、環Wは、Lの2価の脂環式炭化水素基の脂環式炭化水素環を表す。
【0115】
式(IIb’)で表される化合物は、式(IId’)で表される化合物と式(IIe’)で表される化合物とを反応させることにより、得ることができる。
式(IId’)で表される化合物としては、モルホリン等が挙げられる。
式(IIe’)で表される化合物としては、1,2−エポキシシクロヘキサン等が挙げられる。

【0116】
式(IIc’)で表される化合物は、式(IIf’)で表される塩と式(IIg’)で表される化合物とを反応させることにより、得ることができる。
式(IIf’)で表される塩は、例えば、特開2008−13551号公報に記載された方法で合成することができる。

【0117】
(c)式(II)で表される酸発生剤のうち、Zが、式(b2―c−14)で表される有機カチオンであり、Lが*−CO−O−L−である式(II−b1)で表される塩は、以下の方法により製造できる。

【0118】
式(b2―c−14)で表される有機カチオンを誘導する式(b2―c−14’)で表される塩は、式(b1−a)で表される化合物と、式(b1−b)で表される化合物とを、トリメチルシリルクロリド存在下、溶媒中で反応させた後、塩酸と接触させることにより得ることができる。該溶媒としては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。

【0119】
スルホン酸アニオンを誘導する式(A−b1)で表される化合物は、式(b1−c)で表される化合物と、式(b1−d)で表される化合物とを、酸触媒の存在下、溶媒中で反応させることにより得ることができる。

式(b1−c)で表される化合物は、例えば、特開2006−257078号公報に記載された方法により得ることができる。
式(b1−d)で表される化合物を、市場から容易に入手できるもので例示すると、4−(8−ヒドロキシオクチル)モルホリン及び4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンなどが挙げられる。
【0120】
式(b1−c)で表される化合物と、式(b1−d)で表される化合物との反応に用いる溶媒は、n−ヘプタンなどである。酸触媒としては、トリフルオロ酢酸などが用いられる。
【0121】
上述のようにして得られた式(b2―c−14’)で表される塩と、式(A−b1)で表される化合物とを反応させることにより、式(II−b1)で表される塩を製造できる。

この反応は、酸触媒の存在下、溶媒中で実施される。該溶媒は、クロロホルムなどであり、酸触媒としては、塩酸などが用いられる。
【0122】
式(II)で表される酸発生剤は、単独でも複数種を同時に用いてもよい。
また、本発明のレジスト組成物の酸発生剤は、上述した式(II)で表される酸発生剤以外の酸発生剤(以下「酸発生剤(B)」という場合がある)を含有していてもよい。つまり、本発明のレジスト組成物は、式(II)で表される酸発生剤と、式(II)で表される酸発生剤とは異なる酸発生剤を併せて含有していてもよい。
【0123】
<酸発生剤(B)>
酸発生剤(B)は、非イオン系とイオン系とに分類されるが、本発明のレジスト組成物においてはいずれを用いてもよい。非イオン系酸発生剤としては、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン 4−スルホネート)、スルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が挙げられる。イオン系酸発生剤は、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩)等が挙げられる。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン等が挙げられる。
【0124】
酸発生剤(B)としては、例えば特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用することができる。
【0125】
酸発生剤(B)は、好ましくはフッ素含有酸発生剤であり、より好ましくは式(B1)で表されるスルホン酸塩である。
【0126】

[式(B1)中、
b1及びQb2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、単結合又は炭素数1〜17の2価の飽和炭化水素基を表し、前記2価の飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表し、前記アルキル基及び前記脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−SO−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
Z1+は、有機カチオンを表す。]
【0127】
式(B1)におけるQb1及びQb2としては、式(II)におけるQ1及びQ2と同様のものが挙げられる。
b1及びQb2は、それぞれ独立に、好ましくはトリフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0128】
b1の2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状アルカンジイル基、分岐状アルカンジイル基、単環式又は多環式の脂環式飽和炭化水素基が挙げられ、これらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基及びプロパン−2,2−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;
直鎖状アルカンジイル基に、アルキル基(特に、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)の側鎖を有したもの、例えば、1−メチルブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基;
シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基等の多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基等が挙げられる。
【0129】
b1の2価の飽和炭化水素基に含まれる−CH−が−O−又は−CO−で置き換わった基としては、例えば、式(b1−1)〜式(b1−6)が挙げられる。Lb1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれか、さらに好ましくは式(b1−1)又は式(b1−2)が挙げられる。なお、式(b1−1)〜式(b1−6)は、その左右を式(B1)に合わせて記載しており、それぞれ*で表される2つの結合手のうち、左側でC(Qb1)(Qb2)−と結合し、右側で−Yと結合する。以下の式(b1−1)〜式(b1−6)の具体例も同様である。
【0130】

式(b1−1)〜式(b1−6)中、
b2は、単結合又は炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
b3は、単結合又は炭素数1〜12の2価の飽和炭化水素基を表す。
b4は、炭素数1〜13の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb3及びLb4の炭素数上限は13である。
b5は、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
b6及びLb7は、それぞれ独立に、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb6及びLb7の炭素数上限は16である。
b8は、炭素数1〜14の2価の飽和炭化水素基を表す。
b9及びLb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜11の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb9及びLb10の炭素数上限は12である。
中でも、好ましくは式(b1−1)で表される2価の基であり、より好ましくは、Lb2が単結合又は−CH−である式(b1−1)で表される2価の基である。
【0131】
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0132】
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0133】
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0134】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0135】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0136】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0137】
Yのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などのアルキル基が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、例えば、以下の式(Y1)〜(Y11)に示す基が挙げられる。
Yの脂環式炭化水素基に含まれる−CH−が−O−、−SO−又は−CO−で置き換わった基としては、例えば、式(Y12)〜式(Y26)で表される基が挙げられる。

【0138】
なかでも、好ましくは式(Y1)〜式(Y19)のいずれかで表される基であり、より好ましくは式(Y11)、式(Y14)、式(Y15)又は式(Y19)で表される基であり、さらに好ましくは式(Y11)又は式(Y14)で表される基である。
【0139】
Yにおけるアルキル基及び脂環式炭化水素基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基、炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシ基含有炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH2j2−O−CO−Rb1基(式中、Rb1は、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す)などが挙げられる。Yの置換基であるアルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びアラルキル基等は、さらに置換基を有していてもよい。ここでの置換基は、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基等が挙げられる。
【0140】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
ヒドロキシ基含有アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基;トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基及びナフチルエチル基などが挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル等が挙げられる。
【0141】
Yとしては、例えば以下のものが挙げられる。

【0142】
なお、Yがアルキル基であり、かつLb1が炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基である場合、Yと結合する該2価の脂肪族炭化水素基のメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていることが好ましい。この場合、Yのアルキル基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わらない。
【0143】
Yは、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは置換基(例えば、オキソ基等)を有していてもよいアダマンチル基であり、さらに好ましくはアダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基又はオキソアダマンチル基である。
【0144】
式(B1)で表されるスルホン酸塩におけるスルホン酸アニオンとしては、好ましくは、式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)で表されるアニオンが挙げられる。以下の式においては、符号の定義は上記と同じ意味であり、Rb2及びRb3は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは、メチル基)を表す。
式(B1)で表される塩におけるスルホン酸アニオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたアニオンが挙げられる。
【0145】

【0146】
酸発生剤(B1)に含まれる有機カチオン(Z1+)は、有機オニウムカチオン、例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン、有機ホスホニウムカチオンなどが挙げられ、好ましくは、有機スルホニウムカチオン又は有機ヨードニウムカチオンであり、より好ましくは、アリールスルホニウムカチオンである。
式(B1)中のZ1+は、好ましくは、上述した式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表されるカチオンと同様のものが挙げられる。
【0147】
酸発生剤(B)としては、例えば、式(B1−1)〜式(B1−20)で表されるものが挙げられる。中でもトリフェニルスルホニウムカチオン又はトリトリルスルホニウムカチオンを含むものが好ましく、式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)及び式(B1−14)でそれぞれ表される塩がさらに好ましい。
【0148】

【0149】

【0150】

【0151】

【0152】
本発明のレジスト組成物においては、酸発生剤として酸発生剤(II)のみを含有する場合、酸発生剤(II)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは30質量部以下(より好ましくは25質量部以下)である。
レジスト組成物が酸発生剤(II)と酸発生剤(B)とを含有する場合には、酸発生剤(II)と酸発生剤(B)との合計量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは40質量部以下(より好ましくは35質量部以下)である。
また、酸発生剤(II)とその他の酸発生剤との含有量の比(質量)は、例えば、5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは15:85〜85:15である。
【0153】
〈溶剤(E)〉
本発明のレジスト組成物に含有される溶剤(E)の含有率は、例えばレジスト組成物中90質量%以上、好ましくは92質量%以上、より好ましくは94質量%以上であり、例えば99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。溶剤(E)の含有率は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定できる。
【0154】
溶剤(E)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類;γ−ブチロラクトンのような環状エステル類;等を挙げることができる。溶剤(E)は、1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0155】
〈塩基性化合物(以下「塩基性化合物(C)」という場合がある)〉
塩基性化合物(C)はクエンチャーとして作用する化合物である。
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)として、好ましくは、式(C1)で表される化合物〜式(C8)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。
【0156】

[式(C1)中、Rc1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0157】

[式(C1−1)中、Rc2及びRc3は、上記と同じ意味を表す。
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のRc4は同一又は相異なる。]
【0158】

[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、Rc5、Rc6、Rc7及びRc8は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のRc9は同一又は相異なる。]
【0159】

[式(C5)及び式(C6)中、Rc10、Rc11、Rc12、Rc13及びRc16は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c14、Rc15及びRc17は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に、0〜3の整数を表し、o3が2以上であるとき、複数のRc14は同一又は相異なり、p3が2以上であるとき、複数のRc15は、同一又は相異なる。
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0160】

[式(C7)及び式(C8)中、Rc18、Rc19及びRc20は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に、0〜3の整数を表し、q3が2以上であるとき、複数のRc18は同一又は相異なり、r3が2以上であるとき、複数のRc19は同一又は相異なり、及びs3が2以上であるとき、複数のRc20は同一又は相異なる。
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0161】
式(C1)〜式(C8)においては、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アルコキシ基、アルカンジイル基は、上述したものと同様のものが挙げられる。
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0162】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン等が挙げられ、好ましくはジイソプロピルアニリンが挙げられ、特に好ましくは2,6−ジイソプロピルアニリンが挙げられる。
【0163】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジン等が挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリン等が挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリン等が挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン、4−メチルピリジン等が挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン、ビピリジン等が挙げられる。
【0164】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等が挙げられる。
【0165】
塩基性化合物(C)の含有率は、レジスト組成物の固形分量を基準に、好ましくは、0.01〜5質量%程度であり、より好ましく0.01〜3質量%程度であり、特に好ましく0.01〜1質量%程度である。
【0166】
〈その他の成分(以下「その他の成分(F)」という場合がある)〉
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、その他の成分(F)を含有していてもよい。その他の成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、染料等を利用できる。
【0167】
<レジスト組成物の調製>
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A1)及び樹脂(A2)を含む樹脂(A)、酸発生剤、並びに必要に応じて用いられる溶剤(E)、塩基性化合物(C)及びその他の成分(F)を混合することにより調製することができる。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、樹脂などの種類や樹脂等の溶剤(E)に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合などを用いることができる。
各成分を混合した後は、孔径0.003〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0168】
〈レジストパターンの製造方法〉
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含む。
【0169】
レジスト組成物の基体上への塗布は、スピンコーター等、通常、用いられる装置によって行うことができる。
【0170】
塗布後の組成物を乾燥することにより、溶剤を除去し、組成物層を形成する。乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いて溶剤を蒸発させること(いわゆるプリベーク)により行うか、あるいは減圧装置を用いて行い、溶剤が除去された組成物層を形成する。この場合の温度は、例えば、50〜200℃程度が好ましい。また、圧力は、1〜1.0×10Pa程度が好ましい。
【0171】
得られた組成物層は、通常、露光機を用いて露光する。露光機は、液浸露光機であってもよい。この際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの、電子線や、超紫外光(EUV)を照射するもの等、種々のものを用いることができる。
【0172】
露光後の組成物層を、脱保護基反応を促進するために加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)する。加熱温度としては、通常50〜200℃程度、好ましくは70〜150℃程度である。
加熱後の組成物層を、現像装置を用いて、通常、アルカリ現像液を利用して現像する。
ここで用いられるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
現像後、超純水でリンスし、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
【0173】
〈用途〉
本発明のレジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線(EB)露光用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物、特に液浸露光用のレジスト組成物として好適であり、半導体の微細加工に有用である。
【実施例】
【0174】
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部」は、特記しないかぎり質量基準である。樹脂(A)の組成比(樹脂(A)製造に用いた各モノマーに由来する構造単位の、樹脂(A)に対する共重合比)は、重合終了後の反応液における未反応モノマー量を液体クロマトグラフィーを用いて測定し、得られた結果から重合に用いられたモノマー量を求めることにより算出した。また重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた値である。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの分析条件は下記のとおりである。
装置:HLC−8120GPC型(東ソー社製)
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3+guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0175】
合成例1:式(H)で表される化合物の合成

式(H−1)で表される化合物25部、テトラヒドロフラン175部及びピリジン11.86部を仕込み、23℃で30分間攪拌した後、5℃に冷却し、式(H−2)で表される化合物14.82部を30分かけて添加した。5℃で1時間攪拌し、酢酸エチル340部、5%塩酸66部及びイオン交換水85部を添加し、攪拌し、分液を行った。回収された有機層に、10%炭酸カリウム水溶液55部を添加し、攪拌し、分液を行った。回収された有機層に、イオン交換水85部を添加し、攪拌し、分液を行った。この水洗の操作を5回行った。回収された有機層を濃縮することにより、式(H−3)で表される化合物28.62部を得た。

式(H−4)で表される化合物10.69部、ジメチルホルムアミド53.47部、炭酸カリウム8.58部及びヨウ化カリウム1.03部を仕込み、40℃で1時間攪拌した後、式(H−3)で表される化合物28.62部及びジメチルホルムアミド57.24部の混合溶液を30分かけて添加した。40℃で6時間攪拌した後、23℃まで冷却した。得られた反応マスに、クロロホルム670部及び5%シュウ酸水溶液166部を添加し、攪拌し、分液を行った。回収された有機層に、イオン交換水265部を添加し、攪拌し、分液を行った。この水洗の操作を6回行った。回収された有機層を濃縮した。得られた濃縮マスに、アセトニトリル7.58部及び酢酸エチル26.53部を添加、3時間攪拌し、ろ過することにより、式(H)で表される化合物32.13部を得た。
【0176】
合成例2:式(II−5)で表される塩の合成

式(II−5−b)で表される塩を、特開2008−13551号公報に記載された方法で合成した。
式(II−5−b)で表される化合物10.00部、クロロホルム60.00部、式(II−5−a)で表される化合物5.71部、モレキュラーシーブ(商品名:モレキュラーシーブ 5A 和光純薬製)14.00部及びリチウムアミド0.33部を仕込み、80℃で24時間加熱還流し、ろ過した。得られたろ液に、3.6%シュウ酸水溶液15部を仕込み、攪拌、分液を行った。得られた有機層に、イオン交換水15部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を6回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル100部を添加して溶解し、濃縮した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル200部を加えて攪拌し、30分間攪拌し、ろ過することにより、式(II−5)で表される塩6.64部を得た。
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 372.1
【0177】
合成例3:式(II−6)で表される塩の合成

式(II−5−b)で表される塩を、特開2008−13551号公報に記載された方法で合成した。
式(II−5−b)で表される化合物10.00部、クロロホルム60.00部、式(II−6−a)で表される化合物7.20部、モレキュラーシーブ(商品名:モレキュラーシーブ 5A 和光純薬製)14.00部及びリチウムアミド0.33部を仕込み、80℃で24時間加熱還流し、ろ過した。得られたろ液に、3.6%シュウ酸水溶液15部を仕込み、攪拌、分液を行った。得られた有機層に、イオン交換水15部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を6回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル100部を添加して溶解し、濃縮した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル200部を加えて攪拌し、30分間攪拌し、ろ過することにより、式(II−6)で表される塩6.81部を得た。
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 428.2
【0178】
合成例4:式(II−11)で表される塩の合成

式(II−11−a)で表される化合物46.60部、イオン交換水27.54部及び式(II−11−b)で表される化合物50.00部を仕込み、105℃で2時間加熱還流した後、23℃まで冷却した。得られた反応液に、飽和水酸化ナトリウム水溶液450部及びtert−ブチルメチルエーテル400部を仕込み、攪拌、分液を行った。得られた有機層に硫酸マグネシウム5.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を減圧蒸留し、沸点が、104〜107℃/2〜3mmHg範囲の液体を分留することにより、式(II−11−c)で表される化合物62.69部を得た。
【0179】

式(II−11−d)で表される塩を、特開2008−127367号公報に記載された方法で合成した。
式(II−11−d)で表される塩10.00部及びアセトニトリル60.00部を仕込み、40℃で30分間攪拌した後、式(II−11−e)で表される化合物4.34部を仕込み、50℃で2時間攪拌した。得られた反応物を23℃まで冷却した後、ろ過することにより、式(II−11−f)で表される化合物を含む溶液を得た。式(II−11−c)で表される化合物3.78部及びクロロホルム7.57部を仕込み、23℃で1時間攪拌した後、先に得られた式(II−11−f)で表される化合物を含む溶液を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応物を濃縮後、濃縮物にクロロホルム60部及びイオン交換水30部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を6回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル100部を添加して溶解し、濃縮した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル200部を加えて攪拌し、30分間攪拌し、ろ過することにより、式(II−11)で表される塩6.03部を得た。
【0180】
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 342.1
【0181】
合成例5:式(II−161)で表される塩の合成

式(II−161−a)で表される化合物50.00部及びテトラヒドロフラン250部を、反応器中に仕込み、30℃で30分間攪拌した後、トリメチルシリルクロリド50.23部を滴下した。得られた混合液を0℃まで冷却した後、式(II−161−b)で表される化合物(純度32% 東京化成製)157.20部を30分かけて滴下し、さらに、23℃まで昇温した後、同温度で1時間攪拌した。得られた反応混合物に、1N塩酸125部を仕込み、攪拌・静置し、分液することで水層を回収した。回収された水層に、tert−ブチルメチルエーテル125部を加えて攪拌・静置し、分液することで水層を回収した。。回収された水層に、クロロホルム125部を加えて攪拌・静置し、分液することで有機層を回収した。。回収された有機層をろ過した後、得られたろ液を濃縮した。濃縮残渣に、アセトニトリル28.33部及びtert−ブチルメチルエーテル354.15部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、析出した結晶をろ過することにより、式(II−161−c)で表される化合物53.00部を得た。
【0182】

まず、式(II−161−d)で表される化合物を、特開2006−257078号公報に記載された方法で合成した。
式(II−161−d)で表される化合物16.80部、式(II−161−e)で表される化合物18.30部及びn−ヘプタン250部を、反応器中に仕込み、30℃で30分間攪拌した後、トリフルオロ酢酸12.80部を加えた後、昇温し、100℃で20時間還流脱水した。得られた反応混合物を80℃程度まで冷却し、同温度で、アセトニトリル250部を添加した。さらに、濃縮を行い、得られた濃縮残渣に、酢酸エチル290部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、析出した結晶をろ過することにより、式(II−161−f)で表される化合物21.11部を得た。
【0183】

式(II−161−f)で表される化合物26.18部及びクロロホルム147.39部を、反応器中に仕込み、30℃で30分間攪拌した後、式(II−161−c)で表される塩20.71部及びイオン交換水62.27部を添加した。次いで、35%塩酸6.90部を滴下した後、23℃で12時間攪拌した。得られた反応混合物に、28%アンモニア水12.00部を滴下した後、分液することで有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水49.13部を仕込み、攪拌、静置及び分液の水洗操作を計5回行った。得られた有機層に活性炭2.05部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル10.97部及びtert−ブチルメチルエーテル137.06部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(II−161)で表される塩25.50部を得た。
MASS(ESI(+)Spectrum):M 277.1
MASS(ESI(−)Spectrum):M 372.1
【0184】
樹脂の合成
樹脂の合成において使用した化合物(モノマー)を下記に示す。

【0185】
〔樹脂A1−1の合成〕
モノマーとして、モノマー(H)及びモノマー(I)を用い、そのモル比(モノマー(H):モノマー(I))が90:10となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを72℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.4×10の樹脂A1−1を収率75%で得た。この樹脂A1−1は、以下の構造単位を有するものである。

【0186】
〔樹脂A1−2の合成〕
モノマーとして、モノマー(H)を用い、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.7mol%及び2.1mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.8×10の樹脂A1−2を収率75%で得た。この樹脂A1−2は、以下の構造単位を有するものである。

【0187】
〔樹脂A2−1の合成〕
モノマー(D)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(C)及びモノマー(F)を、そのモル比〔モノマー(D):モノマー(E):モノマー(B):モノマー(C):モノマー(F)〕が、30:14:6:20:30の割合となるように混合し、さらに、このモノマー混合物に、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1.00mol%と3.00mol%となるように添加し、これを73℃で約5時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収し、再度、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を2回行うことにより再沈殿精製し、重量平均分子量が約8.1×10である共重合体を収率65%で得た。この共重合体は、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A2−1とする。

【0188】
〔樹脂A2−2の合成〕
モノマー(A)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(C)及びモノマー(F)を、そのモル比〔モノマー(A):モノマー(E):モノマー(B):モノマー(C):モノマー(F)〕が、30:14:6:20:30の割合となるように混合し、さらに、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1.00mol%と3.00mol%との割合で添加し、これを73℃で約5時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収し、再度、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を3回行うことにより再沈殿精製し、重量平均分子量が約7.8×10である共重合体を収率68%で得た。この共重合体は、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A2−2とする。

【0189】
〔樹脂A2−3の合成〕
モノマー(A)、モノマー(B)及びモノマー(C)を、そのモル比〔モノマー(A):モノマー(B):モノマー(C)〕が、50:25:25となるように混合し、さらに、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1mol%と3mol%との割合で添加し、これを80℃で約8時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収し、再度、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を3回行うことにより再沈殿精製し、重量平均分子量が約9.2×10である共重合体を収率60%で得た。この共重合体は、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A2−3とする。

【0190】
〔樹脂A2−4の合成〕
モノマー(A)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(F)及びモノマー(C)が、モル比30:14:6:20:30となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.2×10の共重合体を収率78%で得た。この共重合体は、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A2−4とする。

〔樹脂A2−5の合成〕
モノマー(A)、モノマー(L)、モノマー(B)、モノマー(F)及びモノマー(C)が、モル比30:14:6:20:30となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.4×10の共重合体を収率85%で得た。この共重合体は、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A2−5とする。

【0191】
〔樹脂A2−6の合成〕
モノマー(A)、モノマー(L)、モノマー(K)、モノマー(F)及びモノマー(C)が、モル比35:15:3:27:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.8×10の共重合体を収率81%で得た。この共重合体は、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A2−6とする。

【0192】
〔樹脂X1の合成〕
モノマーとして、モノマー(G)、モノマー(C)及びモノマー(B)を用い、そのモル比(モノマー(G):モノマー(C):モノマー(B))が35:45:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1.0mol%及び3.0mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.0×10の樹脂X1(共重合体)を収率75%で得た。この樹脂X1は、以下の構造単位を有するものである。各構造単位のモル比は、構造単位(G):構造単位(C):構造単位(B)=34.7:45.4:19.9。

【0193】
〔樹脂X2の合成〕
モノマーとして、モノマー(J)及びモノマー(G)を用い、そのモル比(モノマー(J):モノマー(G))が80:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.5mol%及び1.5mol%添加し、これらを70℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量2.8×10の樹脂X2(共重合体)を収率70%で得た。この樹脂X2は、以下の構造単位を有するものである。各構造単位のモル比は、構造単位(J):構造単位(G)=80.2:19.8であった。

【0194】
<レジスト組成物の調製>
表2に示す各成分を混合して溶解することにより得られた混合物を孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、レジスト組成物を調製した。
【0195】
【表2】

【0196】
<樹脂>
樹脂の合成で合成したA1−1、A1−2、A2−1〜A2−5、X1、X2
<酸発生剤>
II−5:

II−6:

II−11:

II−161:

B1:特開2010−152341号公報の実施例に従って合成

B2:WO2008/99869号の実施例及び、特開2010−26478の実施例に従って合成

B3:特開2005−221721の実施例に従って合成

【0197】
<塩基性化合物:クエンチャー>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン(東京化成工業(株)製)
【0198】
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
2−ヘプタノン 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0199】
<レジストパターンの製造及びその評価>
12インチのシリコン製ウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。この有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の膜厚が85nmとなるようにスピンコートした。
レジスト組成物を塗布して得られたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表2の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベーク(PB)して組成物層を形成した。
組成物層が形成されたウェハに、液浸露光用ArFエキシマステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光]を用いて、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを液浸露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、ホットプレート上にて、表2の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベーク(PEB)を行った。
さらに、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
【0200】
得られたレジストパターンにおいて、50nmのラインアンドスペースパターンのライン幅とスペース幅とが1:1となる露光量を実効感度とした。
【0201】
<フォーカスマージン評価(DOF)>
実効感度において、フォーカスを段階的に変化させてレジストパターンを形成し、得られたレジストパターンの線幅が50nm±5%(47.5〜52.5nm)にあるフォーカス範囲を指標(DOF)とし、DOFが
0.17μm以上であるものを◎、
0.15μm以上であるものを○、
0.15μm未満であるものを×とした。
その結果を表3に示す。カッコ内の数値は、線幅指標(μm)を示す。
【0202】
<欠陥評価>
12インチのシリコン製ウェハ(基板)に、レジスト組成物を、乾燥後の膜厚が0.15μmとなるように塗布(スピンコート)した。塗布後、ダイレクトホットプレート上にて、表2のPB欄に示す温度で60秒間プリベーク(PB)し、ウェハ上に組成物層を形成した。
このようにして組成物層を形成したウェハに、現像機[ACT−12;東京エレクトロン(株)製]を用いて、60秒間、水リンスを行った。
その後、欠陥検査装置[KLA−2360;KLAテンコール製]を用いて、ウェハ上の欠陥数を測定した。結果を表3に示す。
【0203】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0204】
本発明のレジスト組成物によれば、レジストパターン製造時のフォーカスマージン(DOF)が良好であり、レジストパターンを形成した場合に欠陥の発生数を低減することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1)式(I)で表される構造単位を有する樹脂、
(A2)アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂及び
(B)式(II)で表される酸発生剤を含有するレジスト組成物。

[式(I)中、
1は、水素原子又はメチル基を表す。
1は、−(CHm1−、−(CHm2−O−(CHm3−又は−(CHm4−CO−O−(CHm5−を表す。
m1〜m5は、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。
2は、フッ素原子を有する炭素数1〜10の炭化水素基を表す。]

[式(II)中、
及びQは、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、*−CO−O−L−又は*−CH−O−L−を表す。*は−C(Q)(Q)−との結合手を表す。L及びLは、それぞれ独立に、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
環Wは、炭素数2〜36の複素環を表す。
は、有機カチオンを表す。]
【請求項2】
2が、炭素数1〜6のフッ化アルキル基である請求項1記載のレジスト組成物。
【請求項3】
1が、メチレン基である請求項1又は2記載のレジスト組成物。
【請求項4】
が*−CO−O−L−(Lは、2価の炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表し、*は−C(Q1)(Q)−との結合手を表す。)である請求項1〜3のいずれか記載のレジスト組成物。
【請求項5】
さらに溶剤を含有する請求項1〜4のいずれか記載のレジスト組成物。
【請求項6】
(1)請求項1〜5のいずれか記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。

【公開番号】特開2012−226332(P2012−226332A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−83469(P2012−83469)
【出願日】平成24年4月2日(2012.4.2)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】