説明

レバー嵌合式コネクタ

【課題】本発明は、コネクタハウジングに外力が加わることによりレバーのコネクタハウジングへの係合が解除されることを防止できるとともに、大型化することなくレバーの回動操作に耐え得る剛性を確保したレバー嵌合式コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタハウジング2の両側壁7に回動自在に支持される一対の側板部30と、一対の側板部を連結した操作部32と、を有するレバー3と、操作部に設けた係止部38と、コネクタハウジングの上壁8における後端部側10に立ち上げられ、自由端が後方に延びたアーム部13と、アーム部の自由端側に設けられ、係止部に係合する係止受け部18と、を備えた。レバーを起立状態から後方に回動させて係止部が係止受け部に係合した際に、上壁の後端部側と対向する延長板部33が操作部に設けられ、延長板部がアーム部の上面を覆うレバー嵌合式コネクタ1を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーの回動操作でコネクタハウジングを相手コネクタに近付けて嵌合させるレバー嵌合式コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図21は、従来のロック構造を備えたコネクタを示す分解斜視図である。上記コネクタは、雄コネクタ101と該雄コネクタ101に嵌合される雌コネクタ102とで構成されている。このコネクタのロック構造には、多極化された端子106を有する雄・雌両コネクタ101、102における一方のコネクタハウジング103の外側面に係止突起107が設けられ、他方のコネクタハウジング104の外側面に、係止突起107に係合する係止爪116を有するロックアーム115が弾性変形自在のヒンジ状脚部117を介して設けられているとともに、該ヒンジ状脚部117より後方へ延びるロックアーム115の後端部に押圧操作レバー118が設けられている。この押圧操作レバー118には、該押圧操作レバー118の両側部から外側方向に伸び、下方へ湾曲してコネクタハウジング104の天壁の外面に連なる一対の端絡片119が設けられている。ロック構造を備えたコネクタは、一対の端絡片119を有していることにより、大型化することなく押圧操作レバー118の剛性を高めていた(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に示されたコネクタにおいては、雄・雌両コネクタ101、102の多極化された端子106の数が増加するに従って、コネクタ嵌合操作力が高くなる傾向にあった。
【0004】
そこで、レバーを用いて嵌合操作力を低減させる構成を有するレバー嵌合式コネクタが採用されている(特許文献2参照)。図22(A)は、従来のレバー嵌合式コネクタの一部断面を示す図であり、(B)は、(A)に示された要部の拡大図である。この特許文献2に示されたレバー嵌合式コネクタ201は、図22に示すように、コネクタハウジング202と、該コネクタハウジング202に装着され、電線を外部に導き出すワイヤーカバー240と、該コネクタハウジング202に回動自在に取り付けられ、回動されることでコネクタハウジング202に相手方のコネクタを近付け嵌合させるレバー230と、備えている。ワイヤーカバー240には、ロックアーム242の先端部にロック部245が設けられている。レバー230は、ロック部245に係合するレバー爪部236と、レバー爪部236の係合方向側に設けられ、ロック部245を覆うロック保護部237と、を有している。レバー嵌合式コネクタ201は、レバー爪部236のロック保護部237がロック部245を覆うことにより、該ロック部245が破損及び変形することを防止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−257032号公報
【特許文献2】特開2011−146249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来のレバー嵌合式コネクタ201は、該レバー嵌合式コネクタ201が取り付けられる部分の上下空間に余裕がないので該レバー嵌合式コネクタ201の低背化(小型化)が求められていた。そこで、レバー230の操作部234の厚みを薄くすることでレバー嵌合式コネクタ201の低背化を試みていたが、操作部234の厚みを薄くすると、該操作部234におけるレバー230の回動操作に耐え得る剛性を確保することができないという問題があった。
【0007】
逆に剛性を確保するために、操作部234の厚みを厚くするとレバー嵌合式コネクタ201が大型化してしまう傾向にあった。即ち、レバー嵌合式コネクタ201では、操作部234の剛性を確保すること、及び低背化を両立することができなかった。また、このレバー嵌合式コネクタ201には、特許文献1に示されたコネクタのロック構造を適用することができなかった。
【0008】
また、従来のレバー嵌合式コネクタ201は、ロック保護部237がロックアーム242の先端部に設けられたロック部245のみを覆っているので、例えば外部からの外力がロックアーム242の基端側にかかった際に、ロックアーム242が下方に撓んで、レバー爪部236とロック部245との係合が解除されてしまう虞れがあるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、コネクタハウジングに外力が加わることによりレバーのコネクタハウジングへの係合が解除されることを防止できるとともに、大型化することなくレバーの回動操作に耐え得る剛性を確保したレバー嵌合式コネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の本発明は、端子を収容し、相手コネクタを前方から嵌合させるコネクタハウジングと、該コネクタハウジングの両側壁に回動自在に支持される一対の側板部と、該一対の側板部を連結した操作部と、を有するレバーと、前記操作部に設けられた係止部と、前記コネクタハウジングの上壁におけるコネクタ嵌合方向の後端部側に立ち上げられ、自由端が後方に延びた可撓性のアーム部と、該アーム部の自由端側に設けられ、前記係止部に係合する係止受け部と、を備えたレバー嵌合式コネクタにおいて、前記レバーを起立状態から後方に回動させて前記係止部が前記係止受け部に係合した際に、前記上壁の後端部側と対向する延長板部が前記操作部に設けられ、該延長板部が前記アーム部の上面を覆うことを特徴とするレバー嵌合式コネクタである。
【0011】
上記構成によれば、コネクタハウジングにレバーを回転自在に設け、該コネクタハウジングに相手コネクタを前方から近付け、レバーを後方に回動させると、該レバーの回動に伴って両コネクタの完全嵌合と同時に係止部が係止受け部に係合し、レバーがコネクタハウジングに固定される。このように、レバーの回動操作のみで、両コネクタの完全嵌合及び、レバーとコネクタハウジングとの固定が行われる。
【0012】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において、前記アーム部が、前記上壁の後端部側に左右並列に間隔をあけて一対設けられたことを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、アーム部が一対設けられているので、1つのアーム部にかかる力が分散されて低減される。
【0014】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は請求項2記載の本発明において、前記延長板部と前記操作部が、前記アーム部の付け根から前記係止受け部までを覆うことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、アーム部全体が延長板部と操作部で覆われて、外部との干渉から保護される。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の本発明によれば、端子を収容し、相手コネクタを前方から嵌合させるコネクタハウジングと、該コネクタハウジングの両側壁に回動自在に支持される一対の側板部と、該一対の側板部を連結した操作部と、を有するレバーと、前記操作部に設けられた係止部と、前記コネクタハウジングの上壁におけるコネクタ嵌合方向の後端部側に立ち上げられ、自由端が後方に延びた可撓性のアーム部と、該アーム部の自由端側に設けられ、前記係止部に係合する係止受け部と、を備えたレバー嵌合式コネクタにおいて、前記レバーを起立状態から後方に回動させて前記係止部が前記係止受け部に係合した際に、前記上壁の後端部側と対向する延長板部が前記操作部に設けられ、該延長板部が前記アーム部の上面を覆うので、コネクタハウジングが相手コネクタに嵌合された状態で、コネクタハウジングに外力が加わることによりレバーのコネクタハウジングへの係合が解除されることを防止し、アーム部を保護できるとともに、延長板部が設けられているので、レバー回動操作する際に作業者に押される部分の面積が大きくされ、これにより、レバーの作業者に押される部分にかかる力を分散し、大型化することなくレバー回動操作に耐え得る剛性を確保したレバー嵌合式コネクタを提供することができる。
【0017】
請求項2に記載の本発明によれば、前記アーム部が、前記上壁の後端部側に左右並列に間隔をあけて一対設けられたので、1つのアーム部にかかる力を分散し、係止部の係止受け部への係合を安定的にすることができる。
【0018】
請求項3に記載の本発明によれば、前記延長板部と前記操作部が、前記アーム部の付け根から前記係止受け部までを覆うので、コネクタハウジングに外力が加わることによりレバーのコネクタハウジングへの係合が解除されることを確実に防止し、アーム部全体を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかるレバー嵌合式コネクタの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたレバー嵌合式コネクタを示す正面図である。
【図3】図1に示されたレバー嵌合式コネクタを示す側面図である。
【図4】図1に示されたレバー嵌合式コネクタを示す上面図である。
【図5】図1に示されたレバー嵌合式コネクタのレバーがコネクタロック部に係合した状態を示す正面図である。
【図6】図5中のI−I線に沿う断面図である。
【図7】図1に示されたレバー嵌合式コネクタを構成するコネクタハウジングを示す斜視図である。
【図8】図7に示されたコネクタハウジングのコネクタロック部の拡大図である。
【図9】図1に示されたレバー嵌合式コネクタを構成するレバーを示す斜視図である。
【図10】図9に示されたレバーを示す正面図である。
【図11】図1に示されたレバー嵌合式コネクタに嵌合される相手コネクタを示す斜視図である。
【図12】図1に示されたレバー嵌合式コネクタが相手コネクタに嵌合される様子を示す斜視図である。
【図13】図1に示されたレバー嵌合式コネクタが相手コネクタに嵌合された状態を示す斜視図である。
【図14】図13中のII−II線に沿う断面図である。
【図15】図14の要部を示す拡大図である。
【図16】図13に示されたレバー嵌合式コネクタ及び相手コネクタの上面図である。
【図17】図1に示されたレバー嵌合式コネクタの作用を説明するための図である。
【図18】図1に示されたレバー嵌合式コネクタの作用を説明するための図である。
【図19】(A)及び(B)は、図9に示されたレバーの変形例を示す側面図である。
【図20】図9に示されたレバーの他の変形例を示す側面図である。
【図21】従来のロック構造を備えたコネクタを示す分解斜視図である。
【図22】(A)は、従来のレバー嵌合式コネクタの一部断面を示す図であり、(B)は、(A)に示された要部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態にかかるレバー嵌合式コネクタを、図1乃至図16に基いて説明する。
【0021】
上記レバー嵌合式コネクタ1は、図1に示すように、端子(図示しない)と、該端子を収容した絶縁樹脂製のコネクタハウジング2と、該コネクタハウジング2に回動自在に設けられたレバー3と、を有している。
【0022】
上記コネクタハウジング2は、図1〜図3に示すように、複数の端子収容部40(図2に示す)を有するハウジング主体部4と、該ハウジング主体部4の外側に設けられ、前方から相手コネクタ5を嵌合させるフード部6と、該フード部6の後方から組み付けられるリアホルダ21と、を備えている。
【0023】
上記ハウジング主体部4は、図1、図2に示すように、フード部6に一体成形されたインナハウジング41と、フロントホルダ42(図2に示す)と、を備えている。図1においてフロントホルダ42は省略されている。
【0024】
上記フロントホルダ42は、図2、図5、図6に示すように、前方からインナハウジング41に組み付けられ、該フロントホルダ42がインナハウジング41に組み付けられることにより複数の端子収容部40が形成される。複数の端子収容部40は、図示例では上下方向Zに2段設けられ、互いに間隔をあけて左右方向Xに並列に並んでいる。
【0025】
また、本明細書では、図6に示すように、コネクタ嵌合方向、及び各端子収容部40の長手方向を前後方向Yで示し、前後方向Yにおけるフード部6の後述する開口部6a側を「前」と表現し、この前に対して開口部6a反対側を「後」と表現する。
【0026】
上記各端子収容部40は、図6に示すように、前後に開口を有する角筒状に形成されている。各端子収容部40は内側に、電線(図示しない)に接続された端子が後方の開口から挿入される。また、各端子収容部40の内面には、前述した電線に接続された端子に係止するランス(図示しない)が設けられている。
【0027】
上記フード部6は、図7に示すように、左右方向Xに対向する一対の側壁部7と、該一対の側壁部7を連結した上壁8及び下壁9と、該上壁8の後方に延長された後方延長壁10と、コネクタロック部11と、を備えている。このフード部6の前方側には相手コネクタ5が嵌合する開口部6aが形成されている。図7においてフロントホルダ42は省略されている。
【0028】
上記一対の側壁部7には、一対のスリット部71と、該一対のスリット部71を補強した一対の開き防止部72と、レバー支承用の一対の軸部75と、が設けられている。一対の側壁部7は、特許請求の範囲に記載された「両側壁」に相当する。
【0029】
上記一対のスリット部71は、相手コネクタ5の後述する従動ピン55を誘導するために設けられている。この一対のスリット部71は、レバー3の後述するカム孔34に連通する位置に設けられ、その内側に相手コネクタ5の従動ピン55が進入される。各スリット部71は、各側壁部7における前方(開口側)の縁を切り欠いて、前後方向Yに沿って直線状に延びている。
【0030】
上記一対の開き防止部72の各々には、各スリット部71の両側に設けられた一対の第1鍔部73a、73bと、該一対の第1鍔部73a、73bの開口部6aから離れた縁同士を連結したブリッジ部74と、が設けられている。上記一対の第1鍔部73a、73bは、一対の側壁部7の開口部6a側の縁から外方向に延在している。
【0031】
上記一対の軸部75は円柱状に形成され、各側壁部7の外面から水平に突設されている。各軸部75は、各スリット部71の後端側に設けられている。
【0032】
上記上壁8には、図7に示すように、その内側にレバー3の後述する延長板部33を位置付けるための切欠部81と、該切欠部81の両側に設けられた一対の第2鍔部83と、相手コネクタ5を案内するための一対の凹溝82と、が設けられている。
【0033】
上記切欠部81は上壁8の中央部に設けられ、開口部6a側の縁を切り欠いている。この切欠部81は、その左右方向Xの寸法がレバー3の後述する延長板部33の寸法と同じに形成されている。
【0034】
上記一対の第2鍔部83の各々は各第1鍔部73aに連なっている。この一対の第2鍔部83は、上壁8の開口部6a側の縁から外方向に延在している。
【0035】
上記一対の凹溝82はその内側に相手コネクタ5の後述する一対のリブ58が挿入される。各凹溝82は上壁8の下面に設けられ、各凹溝82は第2鍔部83の開口部6a側の縁を切り欠いて、上壁8における前後方向Yの全長に延在している。各凹溝82はその上下方向Zの寸法が上壁8の厚みよりも大きいので、各凹溝82が設けられた部分の上面に凸部84が設けられている。この凸部84は第2鍔部83に連なっている。
【0036】
上記後方延長壁10は、その左右方向Xの寸法が上壁8よりも小さく、上壁8から後方に突出している。この後方延長壁10はその外面が平坦であり上壁8と面一である。後方延長壁10は、特許請求の範囲に記載された「上壁の後端部側」に相当する。
【0037】
上記コネクタロック部11は、図8に示すように、一対の保護壁12と、該一対の保護壁12間に設けられた一対のアーム部13と、該一対のアーム部13の自由端側を連結した連結部14と、該連結部14の後端部に設けられた係合解除部15と、を備えている。一対のアーム部13の付け根よりも自由端側及び連結部14は、後方延長壁10と一定間隔をあけて対向している。
【0038】
上記一対の保護壁12は、後方延長壁10の左右方向Xの両縁から立設されている。各保護壁12は、後方延長壁10の後端部から上壁8の後端部まで延在している。
【0039】
上記一対のアーム部13は後方延長壁10に設けられている。この一対のアーム部13は、互いに間隔をあけて左右方向Xに並列に並んでいる。各アーム部13はその付け根が、一対の太い足部19と、該一対の太い足部19間に設けられた細い足部20と、の3本足で構成されている。一対の太い足部19と細い足部20とは左右方向Xに並んでいる。また、各アーム部13は、後方延長壁10に立ち上げられ、自由端が後方に延びた可撓性のアーム本体16と、該アーム本体16の自由端側に設けられた上向きの突起17と、該突起17の後方側に設けられた係止受け部18と、を備えている。
【0040】
上記一対の太い足部19の各々は、後方に向かうに従って上下方向Zの寸法が大きくなっている。この太い足部19の前後方向Yの寸法が細い足部20よりも大きい。また、太い足部19はその左右方向Xの寸法が細い足部20よりも小さい。
【0041】
上記突起17は、アーム本体16の左右方向Xの両端部に一対設けられている。各突起17には、後方に向かうに従って上方に傾斜した傾斜面17bが設けられている。
【0042】
また、図3に示すように、各突起17の上面17aと、該上面17aに連なる係止受け部18の上面18aは平坦に設けられており、これら上面17a、18aはアーム部13における最も上方に位置している。また、これら上面17a、18aは、各保護壁12も高い位置に位置している。
【0043】
上記係止受け部18は、図8に示すように、一対の突起17の後端側に連なっている。また、係止受け部18はアーム本体16の左右方向Xの全長に設けられている。この係止受け部18には、図15に示すように、上面18aに垂直な垂直面18bと、該垂直面18bに連なる傾斜面18cと、が設けられている。この傾斜面18cは後方に向かうに従って上方に傾斜している。この傾斜面18cと連結部14との間にレバーの係止爪38が進入することにより、レバー3の係止爪38が係止受け部18に引っ掛けられ、係止爪38が係止受け部18に係合する。
【0044】
上記係合解除部15は、図8に示すように、連結部14の後端側における左右方向Xの中央部に設けられている。この係合解除部15は後方に向かうに従って上方に傾斜している。また係合解除部15はその表面に滑り止め部を有している。
【0045】
上記レバー3は、図9、図10に示すように、互いに間隔をあけた一対の側板部30と、該一対の側板部30の内側に連なる一対の間部31と、該一対の間部31間に連なる操作部32と、該操作部32の下方に連なる延長板部33と、を備えてコ字状に形成されている。レバー起立状態において操作部32及び延長板部33は、上壁8の上面に垂直な方向に連なっている。即ち、本明細書では、操作部32と延長板部33とが連なる方向が、上壁8の上面に垂直な方向Zに沿っている状態を「レバー起立状態」という。また、レバー起立状態において操作部32及び延長板部33の後方側には、レバー3が起立状態から後方に回動された際に、その内側に該コネクタロック部11を収容するための凹溝3aが設けられている。この凹溝3aは上下方向Zに延在している。
【0046】
また、図6に示すように、操作部32と延長板部33とが連なる方向の操作部32及び延長板部33の寸法Lは、前述したアーム部13の係止受け部18からアーム部13の付け根である細い足部20まで、と同じに形成されている。即ち、レバー3の係止爪38がコネクタロック部11の係止受け部18に係合すると、延長板部33及び操作部32がアーム部13の上面におけるアーム部13の付け根から係止受け部18まで覆っている。
【0047】
上記各側板部30には、相手コネクタ5の後述する従動ピン55が進入するカム孔34と、該カム孔34の入口における両端部を連結した板状の補強片35と、前述したコネクタハウジング2の軸部75が嵌る円孔36と、が設けられている。上記カム孔34は、レバー3が傾倒する後方に湾曲している。このカム孔34には、レバー起立状態における先端側に、相手コネクタ5の従動ピン55が挿入される該カム孔34の入口が設けられている。上記円孔36は、カム孔34の終端近傍に設けられている。カム孔34は、側板部30の内面に設けられたカム溝であっても良い。
【0048】
上記操作部32は、図10、図12に示すように、一対の側板部30間の中央部に設けられている。この操作部32には、レバー起立状態における前方側の面に形成され、下方に向かうに従って後方に傾斜した滑り止め部37と、後方側の面に設けられ、前述したアーム部13の一対の係止受け部18に係合する一対の係止爪38と、該一対の係止爪38各々の下方に設けられた一対の凹部39と、一対の係止爪38間に設けられ、操作部32の上方の縁を切り欠いた切欠部3bと、が設けられている。この切欠部3bは、レバー3が傾倒された際にコネクタロック部11の係合解除部15を外部に露出させる。
【0049】
上記一対の係止爪38は、図12に示すように、左右方向Xに間隔をあけて設けられている。各係止爪38は、レバー起立状態において操作部32の上方の端部に設けられ、操作部32の後方側の面から突出している。また、各係止爪38はその先端が下方に向かって延びている。この係止爪38には、図15に示すように、レバー3が傾倒された状態で、係止受け部18の垂直面18bに当接する第2垂直面38bと、該第2垂直面38bに連なり傾斜面18cに当接する第2傾斜面38cと、該第2傾斜面38cに連なり連結部14の上面に重ねられる水平面38dと、が設けられている。一対の係止爪38は、特許請求の範囲に示された「一対の係止部」に相当する。
【0050】
上記一対の凹部39は、延長板部33まで延在している。
【0051】
上記延長板部33は、図10に示すように、操作部32の中央部に設けられている。この延長板部33は操作部32よりも左右方向Xに沿う寸法が短い。レバー起立状態における延長板部33の上下方向Zの寸法は、上壁8の第2鍔部83と同じに形成されている。
【0052】
また、レバー3の係止爪38がコネクタハウジング2の係止受け部18に係合する際は、図15に示すように、レバー3を起立状態から後方に回動させるに伴って、係止爪38の先端が係止受け部18の上面18aに当接し、突起17及び係止受け部18を下側に押し付けてアーム本体16が下方向に撓み、係止爪38が係止受け部18を乗り上げて、係止爪38が係止受け部18を乗り越えて、係止爪38の先端が係止受け部18と連結部14との間に進入し、係止爪38の第2垂直面38bが係止受け部18の垂直面18bに当接し、第2傾斜面38cが傾斜面18cに当接すると同時に、アーム本体16が撓む前の状態に復元し、係止爪38が係止受け部18に係合する。
【0053】
また、レバー3の係止爪38のコネクタハウジング2の係止受け部18への係合を解除する際には、係止爪38が係止受け部18に係合した状態で、係合解除部15を押し下げることにより、連結部14が押し下げられ、アーム本体16が下方に撓み、係止受け部18が押し下げられて、係止爪38が係止受け部18と連結部14との間から抜け出されて、係止爪38の係止受け部18への係合が解除される。
【0054】
上述した構成のレバー嵌合式コネクタ1は、レバー3の一対の側板部30を外側方向に撓ませて、コネクタハウジング2の一対の軸部75がレバー3の円孔36に嵌められ、レバー3がコネクタハウジング2に回動自在に支持されて組み立てられる。この際、レバー嵌合式コネクタ1はレバー起立状態である。
【0055】
上記相手コネクタ5は、図11に示すように、左右方向Xに対向する一対の側壁部51と、該一対の側壁部51を連結した上壁部52及び下壁部53と、上下左右の壁部51、52、53で囲まれたコネクタ嵌合室50を有するコネクタハウジング54と、該コネクタハウジング54の外面から水平に突設された一対の従動ピン55と、前側の垂直な基壁56と、該基壁56を貫通してコネクタ嵌合室50内に突出した雄型のピン状の端子57(以下、雄端子57と記す)と、上記一対の凹溝82の内側に挿入される一対のリブ58と、を備えている。
【0056】
次に、上述した構成のレバー嵌合式コネクタ1を相手コネクタ5に嵌合させる手順について説明する。レバー起立状態のレバー嵌合式コネクタ1の前方から相手コネクタ5を近付け、互いに連通したスリット部71及びカム孔34内に従動ピン55を進入させ、レバー3を後方に回動し、従動ピン55をスリット部71及びカム孔34内に動かしコネクタハウジング2内に相手コネクタ5のコネクタハウジング54を引き込み、そして、係止爪39を係止受け部18に係合させて、コネクタハウジング2に収容された(雌型の)端子と相手コネクタ5の雄端子57とを嵌合させて、レバー嵌合式コネクタ1を相手コネクタ5に嵌合させる。
【0057】
上述した実施形態によれば、レバー3を起立状態から後方に回動させて係止部としての係止爪38が係止受け部18に係合した際に、上壁8の後端部側としての後方延長壁10と対向する延長板部33が操作部32に設けられ、該延長板部33がアーム部13の上面を覆うので、レバー3の回動操作のみで、両コネクタ1、5の完全嵌合及び、レバー3とコネクタハウジング2との固定が行われ、コネクタハウジング2が相手コネクタ5に嵌合された状態で、図17に示すように、コネクタハウジング2に外力が加わることによりレバー3のコネクタハウジング2への係合が解除されることを防止し、アーム部13を保護できるとともに、延長板部33が設けられているので、図18に示すように、レバー回動操作する際に作業者に押される部分の面積が大きくされ、これにより、レバー3の作業者に押される部分にかかる力を分散し、大型化することなくレバー回動操作に耐え得る剛性を確保したレバー嵌合式コネクタ1を提供することができる。
【0058】
また、アーム部13が、上壁8の後端部側に左右並列に間隔をあけて一対設けられたので、1つのアーム部13にかかる力を分散し、係止爪17の係止受け部18への係合を安定的にすることができる。
【0059】
また、延長板部33と操作部32が、アーム部13の付け根から係止受け部18までを覆うので、コネクタハウジング2に外力が加わることによりレバー3のコネクタハウジング2への係合が解除されることを確実に防止し、アーム部13全体を保護することができる。
【0060】
また、上述した延長板部33は、図19に示すように、許容されるスペースに応じてレバー起立状態におけるその上下方向Zの寸法、左右方向Xの寸法、又は前後方向Yの寸法を変更しても良い。即ち、図19(A)に示すように、レバー起立状態においてレバー3Aの延長板部33Aの上下方向Zの寸法を、前述した実施形態の延長板部33よりも小さくしても良く、図19(B)に示すように、レバー起立状態においてレバー3Bの延長板部33Bの前後方向Yの寸法を、前述した実施形態の延長板部33、33Aよりも大きくしても良い。また、上述した実施形態の延長板部33は、操作部32よりも左右方向Xに沿う寸法が小さいが、本発明はこれに限ったものではなく、図20に示すように、レバー3Cの延長板部33Cは、操作部32よりも左右方向Xに沿う寸法が大きくてもよい。図19、20において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
このように、延長板部33A、33B、33Cの上下方向Zの寸法、左右方向Xの寸法、又は前後方向Yの寸法を種々変形することにより、大型化することなくレバー回動操作に耐え得る剛性を確保したレバー嵌合式コネクタを提供することができる。
【0062】
また、上述した実施形態のレバー3では、コネクタハウジング2の軸部75が嵌る円孔36と、が設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、レバー3に軸部が設けられ、コネクタハウジング2にレバー3の軸部に嵌る円孔が設けられていても良い。また、円孔36は側板部30の内面から凹であっても良い。
【0063】
前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 レバー嵌合式コネクタ
2 コネクタハウジング
3、3A、3B、3C レバー
5 相手コネクタ
7 一対の側壁部(両側壁)
8 上壁
10 後方延長壁
11 コネククタロック部
13 一対のアーム部
16 アーム本体
17 突起
18 係止受け部
19 太い足部(アーム部の付け根)
20 細い足部(アーム部の付け根)
30 一対の側板部
32 操作部
33、33A、33B、33C 延長板部
38 係止爪(係止部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を収容し、相手コネクタを前方から嵌合させるコネクタハウジングと、
該コネクタハウジングの両側壁に回動自在に支持される一対の側板部と、該一対の側板部を連結した操作部と、を有するレバーと、
前記操作部に設けられた係止部と、
前記コネクタハウジングの上壁におけるコネクタ嵌合方向の後端部側に立ち上げられ、自由端が後方に延びた可撓性のアーム部と、
該アーム部の自由端側に設けられ、前記係止部に係合する係止受け部と、を備えたレバー嵌合式コネクタにおいて、
前記レバーを起立状態から後方に回動させて前記係止部が前記係止受け部に係合した際に、前記上壁の後端部側と対向する延長板部が前記操作部に設けられ、
該延長板部が前記アーム部の上面を覆うことを特徴とするレバー嵌合式コネクタ。
【請求項2】
前記アーム部が、前記上壁の後端部側に左右並列に間隔をあけて一対設けられたことを特徴とする請求項1記載のレバー嵌合式コネクタ。
【請求項3】
前記延長板部と前記操作部が、前記アーム部の付け根から前記係止受け部までを覆うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のレバー嵌合式コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−110054(P2013−110054A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255829(P2011−255829)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】