レバー嵌合式コネクタ
【課題】レバーロック部の係合を解除するのに大きな押圧力を必要としない、かつコネクタを複数個近接配置した場合でも解除ができるレバー嵌合式コネクタを提供する。
【解決手段】第1コネクタ2と、第1コネクタの側面のボス部に回動自在に取り付けられたレバー1と、第1コネクタが挿入される嵌合空間を有する第2コネクタ3とを備えたレバー嵌合式コネクタにレバーの回動完了時に回動規制状態に保持する次のような(a)および(b)から成る次のようなレバーロック部120を設けた。
(a)レバー側に、レバーの固定端から下方に延びて外側へUターンして上方に戻るU字状長尺弾性片121Fと、その先端近傍に解除用突起121Tと、解除用突起121Tと下端との間に係止部121Kとを備え、(b)第2コネクタ側に係止部121Kと係合するロック受け突起を備えたこと。
【解決手段】第1コネクタ2と、第1コネクタの側面のボス部に回動自在に取り付けられたレバー1と、第1コネクタが挿入される嵌合空間を有する第2コネクタ3とを備えたレバー嵌合式コネクタにレバーの回動完了時に回動規制状態に保持する次のような(a)および(b)から成る次のようなレバーロック部120を設けた。
(a)レバー側に、レバーの固定端から下方に延びて外側へUターンして上方に戻るU字状長尺弾性片121Fと、その先端近傍に解除用突起121Tと、解除用突起121Tと下端との間に係止部121Kとを備え、(b)第2コネクタ側に係止部121Kと係合するロック受け突起を備えたこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1コネクタに取り付けられたレバーを回動させることにより、第1コネクタを第2コネクタに嵌合させるレバー嵌合式コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多極の端子を有する雄・雌コネクタを嵌合させる際に、レバーを用いて嵌合操作力を低減させるレバー嵌合式コネクタが採用されている。
そして嵌合した雄・雌コネクタを離脱させる際に、レバー側に設けられたロックレバーを押して係合を解除することが行われている(特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−26580号公報
【0004】
〈特許文献1記載のレバー嵌合式コネクタ〉
図22は特許文献1記載のレバー嵌合式コネクタを説明する正面図で、図22(A)はレバー回動前、図22(B)はレバー回動完了後の雄・雌コネクタ嵌合状態を示している。
図22(A)において、レバー嵌合式コネクタ100は、相手側コネクタ103と嵌合可能なコネクタ102と、コネクタ102に回動可能に支持されたレバー101とを備え、レバー101には、相手側コネクタ103に設けられたカムピン103Cと係合可能なカム溝101Cを有し、レバー101の回動操作によってカム溝101Cとカムピン103Cとの係合によるカム作用を発揮して、相手側コネクタ103をコネクタ102側へ引き寄せるものである。そして、レバー101には、回動完了時にレバー101を回動規制状態に保持するレバーロック部111(図22(B))が次のように設けられている。
【0005】
〈特許文献1記載のレバーロック部111〉
図22(B)において、回動完了時にレバー101を回動規制状態に保持するレバーロック部111は、レバー101側とコネクタ102側(あるいは相手側コネクタ103側にあっても可)のそれぞれに次のような構成を備えて成るものである。
レバー101側では、レバー101の端部に形成された固定端111Sを支点として撓み変形可能とされる長尺状弾性片111Fと、この長尺状弾性片111Fのうちの固定端111Sから離れた部位に設けられた係止部111Kと、固定端111Sと係止部111Kとの間に形成された解除用突起111Tとから成っている。
一方、レバーロック部111は、コネクタ102側では、コネクタ102の下端部から上方に延設されたロック受け片102Bと、ロック受け片102Bの先端のコネクタ102側に突設されたロック受け突起102Kとから成っている。
そして、レバー101の回動完了時に係止部111Kとロック受け突起102Kとが係合するようになる。
【0006】
〈レバーロック部111の解除動作〉
次に、このレバーロック部111の解除動作について、図23を用いて説明する。
図23(A)はレバー101が回動完了した状態のレバーロック部111を示す断面図である。レバー101が回動完了した図23(A)の状態では、レバー101に形成された長尺状弾性片111Fの先端近傍の係止部111Kは、長尺状弾性片111Fの撓み動作によってコネクタ102の側のレバーロック受け部102Kを乗り越えて係合しているので、レバー101に上方へ持ち上げる何らかの力が働いても逆方向に回動することはなく、この係合状態が維持される。
レバー101の係合を解除したいときは、長尺状弾性片111Fに形成された解除用突起111Tを人差指で図23(B)の矢印P1方向に押すと、長尺状弾性片111Fの撓み動作によって係止部111Kはレバーロック受け部102Kとの係合が外れる。
解除用突起111Tを人差指で押さえたまま、図23(C)の矢印P2方向に押し上げると、係止部111Kはコネクタ102の側のレバーロック受け部102Kを越えて上方へ移動し、これによって係合が解除される。
【0007】
〈レバーロック部111の問題点〉
このレバーロック部111はレバーの大型化を伴うことなく弾性片の必要な撓み量を確保でき、ロックフィーリングが良好となる効果を備えているが、次のような2つの問題点があることが判った。
【0008】
《第1の問題点》
解除用突起111T(力点)が長尺状弾性片111Fの固定端111S(支点)と係止部111K(作用点)との間に形成されているので、固定端111S(支点)から解除用突起111T(力点)までの長さが短くなっているため、係止部111K(作用点)の係合を解除するのに大きな押圧力で解除用突起111Tを押す必要がある。
【0009】
《第2の問題点》
近年、レバー嵌合式コネクタ100を複数個、互いに近接配置することが行われうるが、そのとき、レバーに隣接するエリアに他のコネクタが配置されると、解除用突起111Tを押圧するだけの横方向のスペースがなくなるため解除できないことが起きうる。
また、これを防ぐには押圧するのに必要なスペースを設けておくことが必要となり、設計の自由が損なわれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記2つの問題点を解決するためになされたもので、(1)係止部の係合を解除するのに大きな押圧力を必要とせず、(2)レバー嵌合式コネクタ100を複数個、近接配置することが可能で、したがって設計の自由が損なわれないレバーロック部を備えたレバー嵌合式コネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本願第1発明は次のことを特徴としている。
第1コネクタと、中央部が前記第1コネクタの側面のボス部に回動自在に取り付けられたレバーと、前記第1コネクタが挿入される嵌合空間を有する第2コネクタと、を有し、前記レバーの一端側に設けられた支点突起を、前記嵌合空間を構成する内壁に設けられた支点突起収容溝内に位置付けた状態で、当該レバーの他端側を前記雌コネクタ側に押圧して該レバーを回動させることにより、前記支点突起を支点として作用させるとともに前記中央部を作用点として作用させて、前記雄コネクタを嵌合方向に沿って前記嵌合空間の奥側に押し込んで前記雌コネクタに嵌合させるレバー嵌合式コネクタであって、レバーの回動完了時に回動規制状態に保持するレバーロック部を前記レバーおよび前記第1コネクタに形成して成るレバー嵌合式コネクタにおいて、前記レバーロック部が、次の(a)および(b)から成ること。
(a)前記レバー側に、前記レバーの固定端から下方に延びて外側へUターンして上方に戻るU字状長尺弾性片と、前記U字状長尺弾性片の先端近傍に外側に向けて凸状に形成された解除用突起と、前記U字状長尺弾性片の前記解除用突起と前記下端のU字状部との間に形成された係止部とを備え、
かつ、前記U字状長尺弾性片の固定端側と前記U字状長尺弾性片の先端側との間にできる水平方向の隙間は人の指が入る大きさであること。
(b)前記第2コネクタ側に、第2コネクタの下端部から上方に延設されたロック受け片と、前記レバーの回動完了時に前記U字状長尺弾性片の前記係止部位置する前記ロック受け片の部位に前記係止部と係合するロック受け突起を備えたこと。
【0012】
また、本願第2発明は次のことを特徴としている。
前記(b)において、前記ロック受け片および前記ロック受け突起を前記第2コネクタ側に代えて前記第1コネクタ側に備えたこと。
【発明の効果】
【0013】
上記第1発明および第2発明によれば、レバーロック部がレバーの端部の固定端から下方に延びてさらにUターンして戻るU字状の長い弾性片であり、その先端近傍に解除用突起が設けられているので、係止部の係合を解除するのに大きな押圧力を必要としなくなる。
さらに、レバー嵌合式コネクタ100を複数個近接配置した場合は、U字状長尺弾性片の固定端側とU字状長尺弾性片の先端側との間にできる水平方向の隙間に上から人差指を入れて、U字状長尺弾性片の先端を押し下げながら固定端側に移動させることで係止部とロック受け突起との係合を解除し、そのまま親指と人差指でレバーの操作部の両側面を挟んで上方に持ち上げることでレバーロックが解除できる。
したがって、解除用突起を水平方向に押すスペースがあれば解除用突起を水平方向に押して解除し、また水平方向に押すスペースがない場合は代わりに上方から指を入れることで、レバーロックが解除できる。このように2方向からのロックの解除が可能となる。特許文献1記載のレバー嵌合式コネクタではこれができない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明に係るレバーロック部が形成されたレバーの斜視図である。
【図2】図2(A)は図1のレバー嵌合式コネクタを長さ方向に切った縦断面図、図2(B)は図2(A)のレバーロックの解除方向を示す部分拡大図である。
【図3】図3(A)は図1のレバー付き第1コネクタが第2コネクタに嵌合している状態を示す斜視図である。図3(B)は図3(A)のレバーの操作部の拡大斜視図である。
【図4】図4は図3(B)のレバー嵌合式コネクタを解除する解除方法1(F1方向アクセス法)を説明する各正面図で、図4(A)はロック解除時の押圧方向を示す図、図4(B)はレバー押し上げ時を示す図、図4(C)は図4(A)の解除方法1の手順を示し、(1)は解除開始直前、(2)は解除開始直後、(3)はレバー押し上げ時をそれぞれ示している。
【図5】図5は図3(B)のレバー嵌合式コネクタを解除する解除方法2(F2方向アクセス法)を説明する各正面図で、図5(A)はロック解除時の押圧方向を示す図、図5(B)はレバー引き上げ時を示す図、図5(C)は図5(A)の解除方法2の手順を示し、(1)は解除開始直前、(2)は解除開始直後、(3)はレバー引き上げ時をそれぞれ示している。
【図6】図6(A)はレバー解除時の正面図、図6(B)はその平面図、図6(C)はレバー付き第1コネクタと第2コネクタの嵌合解除後の正面図で、第2コネクタの一部を破断して示している。
【図7】図7は本発明に係るレバー嵌合式コネクタを第1コネクタと第2コネクタが嵌合する前の状態で示す正面図である。
【図8】図8は図7に示されたレバー嵌合式コネクタのレバー付き第1コネクタを示す斜視図である。
【図9】図9は図1および図7に示されたレバー嵌合式コネクタのレバーを支点突起側から示す斜視図である。
【図10】図10は図7に示されたレバー嵌合式コネクタの第2コネクタを示す斜視図である。
【図11】図11は図10に示された第2コネクタのハウジング内部を示す斜視図である。
【図12】図12(a)は図7に示されたレバー嵌合式コネクタの嵌合初期状態を示す平面図、図12(b)は図12(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの仮止め係当片の拡大図、図12(c)は図12(b)中のA−A線に沿った断面図である。
【図13】図13(a)は図12に示されたレバー嵌合式コネクタの第1コネクタが第2コネクタのさらに奥側に挿入された状態を示す平面図、図13(b)は図13(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの仮止め係当片の拡大図、図13(c)は図13(b)中のB−B線に沿った断面図である。
【図14】図14(a)は図13に示されたレバー嵌合式コネクタの第1コネクタが第2コネクタ側に押圧された状態を示す平面図、図14(b)は図14(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの仮止め係当片の拡大図、図14(c)は図14(b)中のC−C線に沿った断面図である。
【図15】図15(a)は図14に示されたレバー嵌合式コネクタのレバーの回動不能状態が解除された状態を示す平面図、。図15(b)は15(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの仮止め係当片の拡大図、図15(c)は図15(b)中のD−D線に沿った断面図である。
【図16】図16(a)は図15に示されたレバー嵌合式コネクタのコネクタ同士が仮セットされた状態を示す平面図、図16(b)は図16(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの仮止め係当片の拡大図、図16(c)は図16(b)中のE−E線に沿った断面図である。
【図17】図17(a)は図16に示されたレバー嵌合式コネクタのレバーが回動始めた状態を示す平面図、図17(b)は図17(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの仮止め係当片の拡大図、図17(c)は図17(b)中のF−F線に沿った断面図である。
【図18】図18(a)は図13に示されたレバー嵌合式コネクタの支点突起の拡大図、図18(b)は図18(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの端子の位置関係を示す断面図、図18(c)は図18(a)に示されたレバー嵌合式コネクタのレバーの回動不能状態が解除された際の支点突起の位置を説明する説明図である。
【図19】図19(a)は図14に示されたレバー嵌合式コネクタの支点突起の拡大図、図19(b)は図19(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの端子の位置関係を示す断面図、図19(c)は図19(a)に示されたレバー嵌合式コネクタのレバーの回動不能状態が解除された際の支点突起の位置を説明する説明図である。
【図20】図20(a)は、図16に示されたレバー嵌合式コネクタの支点突起の拡大図、図20(b)は図20(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの端子の位置関係を示す断面図、図20(c)は図20(a)に示されたレバー嵌合式コネクタのレバーが回動された際の支点突起の位置を説明する説明図である。
【図21】図21(a)は図17に示されたレバー嵌合式コネクタの支点突起の拡大図、図21(b)は図21(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの端子の位置関係を示す断面図である。
【図22】図22は特許文献1記載のレバー嵌合式コネクタを説明する正面図で、図22(A)は嵌合前、図22(B)は嵌合完了時を示している。
【図23】図23(A)はレバー101が回動完了した状態のレバーロック部を示す断面図、図23(B)は係合解除開始直後を示す断面図、図23(C)は押し上げ中を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る好適なレバーロック部について説明する前に、本発明に係るレバーロック部が適用されるレバー嵌合式コネクタの構成について簡単に説明しておくこととする。
【0016】
〈本発明が対象としているレバー嵌合式コネクタの構成〉
本発明が扱うレバー嵌合式コネクタについて、図7〜図21を用いて説明する。
図7に示すレバー嵌合式コネクタ10は、雄型コネクタ(以下、第1コネクタと呼ぶ。)2と、この第1コネクタ2のコネクタハウジング20に回動自在に設けられたレバー1と、第1コネクタ2が挿入される嵌合空間39を有するコネクタハウジング30を有する雌型コネクタ(以下、第2コネクタと呼ぶ。)3とを有し、レバー1を回動させることにより、第1コネクタ2を嵌合方向Kに沿って嵌合空間39の奥側に押し込んで第2コネクタ3に嵌合させるレバー嵌合式コネクタ10である。
【0017】
〈第1コネクタ2〉
第1コネクタ2は、図7及び図8に示すように、絶縁性の合成樹脂により矩形に設けられたコネクタハウジング20と、このコネクタハウジング20に収容された端子(雌端子)29(図18(b))とを有している。
【0018】
〈コネクタハウジング20〉
コネクタハウジング20は、互いに相対する側面20a、20bと、これら側面20a、20bの両端部同士を連結した連結面20c、20dと、を有している。また、側面20a、20bの長手方向の中央部には、円柱状のボス部21a、21bが、互いに間隔をあけて設けられている。また、前記長手方向は、図7に示す嵌合方向Kと直交する方向である。また、側面20a、20bの長手方向の両端には、側面20a、20bの表面から突出した台形の仮止め凸部22a、22bが設けられている。
【0019】
〈レバー1〉
レバー1は絶縁性の合成樹脂で構成され、図5〜図9に示すように、互いに平行に配されかつ一端部同士が間隔をあけて互いに分離された一対の側板16a、16bと、この一対の側板16a、16bの他端部同士を連結した操作部14と、を有している。
【0020】
〈操作部14〉
操作部14は、レバー1を回動させる際に荷重が加えられる箇所、即ちレバー1の力点、である。また、操作部14には、第1コネクタ2を第2コネクタ3に嵌合させた状態において、第2コネクタ3側のコネクタハウジング30に係止するロックアーム15が設けられている。このロックアーム15がコネクタハウジング30に係止することにより、レバー1に意図しない外力がかかった時に第1コネクタ2が第2コネクタ3から離れる方向に移動することが防止される。これについては後で詳述する。
【0021】
〈側板16a、16b〉
一対の側板16a、16bには、その一端部に支点突起12が設けられている。この支点突起12は、第2コネクタ3側のコネクタハウジング30に設けられた支点突起収容溝37内に位置付けられることにより、コネクタハウジング30に引っ掛かってレバー1の支点をなす。また、支点突起12よりも他端側に、前述したボス部21a、21bをそれぞれ位置付ける一対のボス部収容穴11a、11bが設けられている。これらボス部収容穴11a、11bは、レバー1のコネクタハウジング20に対する作用点をなす。
また、一対の側板16a、16bは、他端側の下端に仮止め係当片13が設けられている。
【0022】
〈仮止め係当片13〉
仮止め係当片13は、コネクタ2、3同士の嵌合初期段階において、前述した仮止め凸部22a、22bのいずれか一方よりも第2コネクタ3から離れた側に位置付けられることにより、レバー1の第2コネクタ3側への回動を不能にするためのものである。この仮止め係当片13は、仮止め凸部22a、22bに当接する端面を有する当接凸部13aと、この当接凸部13aに連なり、側板16a、16bの他端側に延びた可撓片13bと、で構成されている。この可撓片13bは、当接凸部13aよりも厚みが小さく形成されており、撓みやすく形成されている。また、可撓片13bは、一対の側板16a、16bの相対する方向に沿った外側に向かって延びている。
【0023】
〈第2コネクタ3〉
第2コネクタ3は、図7及び図10に示すように、絶縁性の合成樹脂で構成され、嵌合空間39を有する雌型のコネクタハウジング30と、このコネクタハウジング30に収容された端子(雄端子)31とを有している。この雄端子31は、第1コネクタ2の端子(雌端子)29と嵌合される。
【0024】
〈コネクタハウジング30〉
コネクタハウジング30は、互いに相対する側面30a、30bと、これら側面30a、30bの両端部同士を連結した連結面30c、30dと、嵌合空間39の開口と反対側に設けられた前記端子31を支持する底面32と、を有している。また、これら側面30a、30bと、連結面30c、30dと、底面32と、で嵌合空間39を構成している。この側面30a、30bの内面(内壁)には、内面の上端(底面32から離れた側の端を意味する。)から嵌合方向に沿って嵌合空間39の奥側に延びた支点突起案内溝36と、この支点突起案内溝36の前記上端から離れた端部に連なり該支点突起案内溝36と交差する方向に延びた支点突起収容溝37と、板状の解除板部35とが設けられている。
【0025】
〈支点突起収容溝37〉
支点突起収容溝37は、レバー1の回動時において支点突起12を位置付け、この支点突起12をレバー1の支点として作用させるための溝である。この支点突起収容溝37は、図18〜図21に示すように、支点突起12の外縁部と当接する縁壁38を有して構成されている。
【0026】
〈縁壁38〉
縁壁38には、第1テーパ壁38bと、該第1テーパ壁38bに支点突起12を案内する第2テーパ壁38aとが設けられている。第1テーパ壁38bは、支点突起案内溝36から離れるに従って支点突起収容溝37の幅を小さくするように傾斜している。また、第2テーパ壁38aは、第1テーパ壁38bから支点突起案内溝36に向かうに従って支点突起収容溝37の幅を大きくするように傾斜している。また、支点突起案内溝36は、支点突起12を支点突起収容溝37に位置付けするまでに通されるガイド溝である。
このような第2テーパ壁38aが設けられていることから、ここでは、レバー1の回動不能状態が早期に解除されてしまった場合でも、第2テーパ壁38aが支点突起12を拾って第1テーパ壁38bに案内することができるので、レバー1の回動不能状態が解除された時点で、支点突起12が必ず支点突起収容溝37内に位置付けられているようにすることができる。
【0027】
〈板状の解除板部35〉
解除板部35は、第1コネクタ2が第2コネクタ3に近付けられるに従って仮止め係当片13の可撓片13bの内側に進入して該可撓片13bを一対の側板16a、16bの相対する方向に沿った外側に撓ませることにより、当接凸部13aを仮止め凸部22a、22bの第2コネクタ3側に乗り越えさせるためのものである。この解除板部35は、図10に示すように、側面30a、30bの内面と相対して設けられた相対壁34に一体に設けられている。
また、解除板部35の上端には、図11に示すように、嵌合方向に沿って嵌合空間39(図7)の奥側に向かうに従って徐々に厚みが大きくなるように設けられたテーパ部35aが設けられている。
なお、レバー1を回動不能状態に保つための当接凸部13aの仮止め凸部22a、22bへの係止力(仮係止保持力)、即ち当接凸部13aの仮止め凸部22a、22bからの外れにくさは、可撓片13bのテーパ部35aへの掛かり代の量で決まり、可撓片13bがテーパ部35aを完全に乗り越えた時点で前記係止力がゼロになる。即ちレバー1の回動不能状態が解除される。
【0028】
〈レバー嵌合式コネクタにおける各端子29、31の嵌合までの動作〉
以上のレバー嵌合式コネクタの各端子29、31が嵌合するまでの動作について説明する。
【0029】
《ステップ1》
レバー嵌合式コネクタ10は、第1コネクタ2にレバー1が取り付けられ、このレバー1が回動不能状態に保たれた状態(図12(a)〜図12(c)を参照。)で、第1コネクタ2が第2コネクタ3のコネクタハウジング30の嵌合空間39に挿入される(図12(a))。
【0030】
《ステップ2》
そして、図13(a)に示すように、第1コネクタ2の自重により挿入可能なところまでコネクタハウジング30に挿入されると、図13(b)及び図13(c)に示すように、解除板部35のテーパ部35aの上端が可撓片13bの内側に進入する。この状態の支点突起12は、図18(a)に示すように、最もレバー1の一端側に位置する外縁部12aが第2テーパ壁38aよりも嵌合方向Kに沿った上方に位置付けられている。即ち、支点突起12は支点突起案内溝36内に位置付けられている。また、図18(b)に示すように、各端子29、31同士は導通していない状態である。この状態でレバー1の回動不能状態が解除されてレバー1が回動された場合、図18(c)に示すように、支点突起12は支点突起収容溝37に引き込まれず、レバー1は空転してしまう。
【0031】
《ステップ3》
続いて、このレバー嵌合式コネクタ10のレバーの操作部14を図14(a)に示すように第2コネクタ3側に押圧すると、図14(b)及び図14(c)に示すように、テーパ部35aがさらに可撓片13bの内側に進入して可撓片13bが外側に撓む。
【0032】
《ステップ4》
さらに操作部14の押圧を続けると、図15(a)及び図15(b)に示すように、当接凸部13aが仮止め凸部22b上に乗り上げ、図15(c)に示すように、可撓片13bが完全にテーパ部35aを乗り越える。
このことにより、レバー1の回動不能状態が解除される。この状態の支点突起12は、図19(a)に示すように、最もレバー1の一端側に位置する外縁部12aが第2テーパ壁38aの嵌合方向Kに沿った下側に位置付けられている。即ち、支点突起12は支点突起収容溝37内に位置付けられている。
また、図19(b)に示すように、各端子29、31同士は導通していない状態である。この状態でレバー1が回動操作された場合、図19(c)に示すように、支点突起12は第2テーパ壁38aに拾われて支点突起収容溝37に引き込まれる。そして、外縁部12aが第2テーパ壁38aに当接してこの支点突起12が支点として作用される。
【0033】
《ステップ5》
そして、図16(a)及び図20(a)に示すように、支点突起12は、最もレバー1の一端側に位置する外縁部12aが第1テーパ壁38bの嵌合方向Kに沿った下側に位置付けられる。即ち、支点突起12は支点突起収容溝37内に位置付けられている。また、この位置を、コネクタ2、3同士が仮セットされた状態と表現する。また、図20(b)に示すように、各端子29、31同士は導通していない状態である。この状態でレバー1が回動操作された場合、図20(c)に示すように、支点突起12は外縁部12aが第1テーパ壁38bに当接してこの支点突起12が支点として作用される。
【0034】
《ステップ6》
このようにしてレバー1が回動され始めることにより、図21(a)に示すように、ボス部収容穴11a、11bは、レバー1の作用点をなして、ボス部21a、21bを嵌合方向に沿って嵌合空間39の奥側に押し込む。このことにより、図21(b)に示すように端子31が端子29内に嵌合されて端子29、31同士が導通する。
上述のレバー嵌合式コネクタでは、前述の回動不能状態の解除後の、レバー1の回動操作時には、支点突起12が支点突起収納溝36内に位置付けされた状態で、レバー1が嵌合方向に沿って回動される過程において、第2コネクタ3に対し第1コネクタ2を略平行に連結することができる。
このようにこのレバー嵌合式コネクタによれば、各端子29、31の嵌合は相互に無理なストレスを受けずにスムースに実施され、その嵌合状態はガタなく密な接触状態を維持することとなる。従って、各端子29、31の電気的接続状態も安定する。
【0035】
〈本発明に係るレバーロック部120の構成〉
次に、以上のレバー嵌合式コネクタに設けられた本発明に係るレバーロック部120について、説明する。
図1は本発明に係るレバーロック部120が形成されたレバーの斜視図である。
図1において、レバー1の操作部14側に、レバーの回動完了時に回動規制状態に保持するレバーロック部120が形成されている。レバーロック部120は、レバー1側には、U字状長尺弾性片121Fと、U字状長尺弾性片121Fの先端近傍に外側に向けて凸状に形成された解除用突起121Tと、U字状長尺弾性片121Fの解除用突起121TとU字状長尺弾性片121Fの下端のU字部との中間に形成された係止部121Kとを備えて成る。
一方、後述する第2コネクタ3の側にもレバーロック部120の構成が次のように形成されている。すなわち、第2コネクタ3(図6(C))の下端部123Uから上方に延設されたロック受け片123Bと、レバー1の回動完了時にU字状長尺弾性片121Fの係止部121Kが位置するロック受け片123Bの部位に係止部121Kと係合するロック受け突起123Kが形成されている。
レバーロック部120が係合解除された後、レバー1の操作部14を図の白抜き矢印方向へ持ち上げることでコネクタ間の嵌合が離脱する(後述)。
【0036】
〈レバーロック部120の断面図〉
図2(A)は図1のレバー嵌合式コネクタを長さ方向に沿って垂直に切った縦断面図である。
図2(A)において、レバー1の操作部14側の固定端121SからU字状長尺弾性片121Fが下方に延びて再び外側へUターンして上方に戻る形状をしており、U字状長尺弾性片121Fの先端121Pの近傍に、解除用突起121Tが外側に向けた凸状に形成されている。そして、U字状長尺弾性片121Fの解除用突起121Tと下端のU字状部121Uとの間に、係止部121Kが形成されている。U字状長尺弾性片121Fの先端121Pは上方端縁部14Pによって前方への移動が規制されている。
U字状長尺弾性片121Fの固定端121SとU字状長尺弾性片の先端121Pとの間にできる水平方向の隙間T1は少なくとも人間の人差指が入る大きさとしてある。
【0037】
〈本発明に係るレバーロック部120の2つの解除方法〉
本発明に係るレバーロック部120によれば、2つの解除方法が実現できるのが特徴である。図2(B)は図2(A)のレバーロックの解除の2方法を説明する部分拡大図であり、また、図3(A)はレバー嵌合式コネクタ10のレバー1の付いた第1コネクタ2が第2コネクタ3に嵌合している状態の斜視図、図3(B)は図3(A)のレバーの操作部の拡大斜視図である。
【0038】
《第1の解除方法》
第1の解除方法は、図2(B)および図3(B)におけるF1方向アクセス法である。
図4はこの解除方法1を説明する各正面図で、図4(A)はロック解除時の押圧方向を示す正面図、図4(B)はレバー押し上げ時を示す正面図、図4(C)は図4(A)の解除方法1の手順を示すレバーロック部の拡大断面図で、(1)は解除開始直前、(2)は解除開始直後、(3)はレバー押し上げ時をそれぞれ示している。
図2(B)、図3(B)、および図4(A)において、解除用突起121Tを人差指で外側から白抜き矢印F1方向に押圧すると、U字状長尺状弾性片121Fの撓み動作によって係止部121KはR1方向に変位し、第2コネクタ3側のロック受け突起123K(図4(C))との係合が外れ、図4(C)(2)のようになる。
さらに、解除用突起121Tを人差指で押さえたまま図4(A)および図4(C)(3)のように上方に押し上げると、レバー1は図1に示した白抜き矢印方向に回動し、これによって第1コネクタ2も回動し、第1コネクタ2および第2コネクタ3間の嵌合が操作性良く解除される。なお、図4(B)および(C)で図示した人差指は向きが180度逆でももちろん構わない。
【0039】
〈第1の解除方法の2つの長所〉
《その1》
このように、解除方法1によれば、U字状長尺状弾性片121Fがレバーの端部の固定端から下方に延びてさらにUターンして戻るU字状の長い弾性片であり、その先端近傍に解除用突起(力点)が設けられ、レバーの端部の固定端(支点)と解除用突起(力点)との途中に係止部(作用点)があるため、係合を解除するのに大きな押圧力を必要としなくなる。
《その2》
さらに、解除方法1によれば、人差指1本で、解除用突起121Tの押圧(図4(C)(1))からレバーロックの係合解除(図4(C)(2))、さらにレバー1の持ち上げ(図4(C)(3))まで行うことができるので、レバーの操作性が向上する。
【0040】
《第2の解除方法》
第2の解除方法は、図2(B)および図3(B)におけるF2方向アクセス法である。
図5はこの解除方法2を説明する各正面図で、図5(A)はロック解除時の押圧方向を示す正面図、図5(B)はレバー引き上げ時を示す正面図、図5(C)は図5(A)の解除方法2の手順を示すレバーロック部の拡大断面図で、(1)は解除開始直前、(2)は解除開始直後、(3)はレバー引き上げ時をそれぞれ示している。
図2(B)、図3(B)、および図5(A)において、第2の解除方法は解除用突起121TをF1方向に押圧するのではなくて、上方外側から人差指を白抜き矢印F2(図5(A))方向にU字状長尺状弾性片121Fの先端121Pに図5(C)(1)のように近づけ、これを押圧するのである。そうすれば、先端121PはU字状長尺状弾性片121Fの撓み動作によって下方に下がり係止部121Kと第2コネクタ3側のロック受け突起123Kとの係合が外れ、さらに先端121Pを人差指で押さえたままR1(図2(B))方向に、すなわちレバー1の操作部14側の固定端121S側に移動すると、図5(C)(2)のようになる。
この状態で、今度は、親指と中指でレバー1の操作部14の両側板14a、14b(図1)を挟んだまま図5(C)(3)のように上方に持ち上げると、レバー1は図1に示した白抜き矢印方向に回動でき、これによって第1コネクタ2も回動し、第1コネクタ2および第2コネクタ3間の嵌合が解除される。
【0041】
〈第2の解除方法の2つの長所〉
《その1》
このように、解除方法2によれば、U字状長尺状弾性片121Fがレバーの端部の固定端から下方に延びてさらにUターンして戻るU字状の長い弾性片であり、その先端近傍に解除用突起(力点)が設けられ、レバーの端部の固定端(支点)と解除用突起(力点)との途中に係止部(作用点)があるため、係合を解除するのに大きな押圧力を必要としなくなる。
《その2》
さらに、第2の解除方法によれば、レバー1の引き上げにさらに親指と中指を使うので操作性は第1の解除方法と比べて若干落ちるものの、解除用突起を水平方向に押すスペースがなくても、上方から指を入れることで解除できるので便利である。特許文献1記載のレバー嵌合式コネクタでは上方から指を入れて解除することができない。
【0042】
〈第1コネクタと第2コネクタの嵌合離脱〉
図6(A)はレバー解除時の正面図、図6(B)はその平面図、図6(C)は第1コネクタと第2コネクタの嵌合解除後の正面図を示している。図6(C)に示す第2コネクタ3には、ロック受け片123Bが下端部123Uから上方に延設されており、かつ、その頂部にロック受け突起123Kが形成されている。ロック受け突起123Kは、レバー1の回動時にはU字状長尺弾性片121Fの係止部121Kと対向するようになり、U字状長尺弾性片121Fの撓み動作により係止部121Kはロック受け突起123Kを乗り越えて互いに係合するようになる。
係合解除は、上記2つの解除方法のいずれかを用いて行われる。
レバーロック部120の係合解除がなされた後は、レバー1の更なる引き上げは通常行われているように、図6(A)において親指と中指でレバー1の両方の側板16a、16b(図9)を挟んで引き上げることにより行われる。
レバー1を用いているので、第1コネクタ2と第2コネクタ3の嵌合離脱が軽い引き上げ力で図6(C)のように実行できる。
【0043】
〈実施例2〉
以上の実施例1では、ロック受け片およびロック受け突起を第2コネクタ側に設けていたが、第1コネクタ側に設けるようにしても、同じようにレバーロック部を実現することができる。
【0044】
〈まとめ〉
以上のことから、レバーロック部がレバーの端部の固定端から下方に延びてさらにUターンして戻るU字状の長い弾性片であり、その先端近傍に解除用突起が設けられているので、係止部の係合を解除するのに大きな押圧力を必要としない。
さらに、レバー嵌合式コネクタを複数個近接配置した場合は、U字状長尺弾性片の固定端側とU字状長尺弾性片の先端側との間にできる水平方向の隙間に上から人差指を入れて、U字状長尺弾性片の先端を押し下げながら固定端側に移動させることで係止部とロック受け突起との係合を解除し、そのまま親指と人差指でレバーの操作部の両側面を挟んで上方に持ち上げることでレバーロックが解除できる。
したがって、解除用突起を水平方向に押さなくても、代わりに上方から指を入れることで、操作は若干面倒になるもののレバーロックが解除できる。
【符号の説明】
【0045】
1 レバー
2 第1コネクタ
3 第2コネクタ
10 レバー嵌合式コネクタ
12 支点突起
13 仮止め係当片
14 操作部
14P 上方端縁部
20a、20b 側面
21a、21b ボス部
22a、22b 仮止め凸部
35 解除板部
35a テーパ部
36 支点突起案内溝
37 支点突起収容溝
39 嵌合空間
K 嵌合方向
120 レバーロック部
121F U字状長尺弾性片
121K 係止部
121P 先端
121S 固定端
121T 解除用突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1コネクタに取り付けられたレバーを回動させることにより、第1コネクタを第2コネクタに嵌合させるレバー嵌合式コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多極の端子を有する雄・雌コネクタを嵌合させる際に、レバーを用いて嵌合操作力を低減させるレバー嵌合式コネクタが採用されている。
そして嵌合した雄・雌コネクタを離脱させる際に、レバー側に設けられたロックレバーを押して係合を解除することが行われている(特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−26580号公報
【0004】
〈特許文献1記載のレバー嵌合式コネクタ〉
図22は特許文献1記載のレバー嵌合式コネクタを説明する正面図で、図22(A)はレバー回動前、図22(B)はレバー回動完了後の雄・雌コネクタ嵌合状態を示している。
図22(A)において、レバー嵌合式コネクタ100は、相手側コネクタ103と嵌合可能なコネクタ102と、コネクタ102に回動可能に支持されたレバー101とを備え、レバー101には、相手側コネクタ103に設けられたカムピン103Cと係合可能なカム溝101Cを有し、レバー101の回動操作によってカム溝101Cとカムピン103Cとの係合によるカム作用を発揮して、相手側コネクタ103をコネクタ102側へ引き寄せるものである。そして、レバー101には、回動完了時にレバー101を回動規制状態に保持するレバーロック部111(図22(B))が次のように設けられている。
【0005】
〈特許文献1記載のレバーロック部111〉
図22(B)において、回動完了時にレバー101を回動規制状態に保持するレバーロック部111は、レバー101側とコネクタ102側(あるいは相手側コネクタ103側にあっても可)のそれぞれに次のような構成を備えて成るものである。
レバー101側では、レバー101の端部に形成された固定端111Sを支点として撓み変形可能とされる長尺状弾性片111Fと、この長尺状弾性片111Fのうちの固定端111Sから離れた部位に設けられた係止部111Kと、固定端111Sと係止部111Kとの間に形成された解除用突起111Tとから成っている。
一方、レバーロック部111は、コネクタ102側では、コネクタ102の下端部から上方に延設されたロック受け片102Bと、ロック受け片102Bの先端のコネクタ102側に突設されたロック受け突起102Kとから成っている。
そして、レバー101の回動完了時に係止部111Kとロック受け突起102Kとが係合するようになる。
【0006】
〈レバーロック部111の解除動作〉
次に、このレバーロック部111の解除動作について、図23を用いて説明する。
図23(A)はレバー101が回動完了した状態のレバーロック部111を示す断面図である。レバー101が回動完了した図23(A)の状態では、レバー101に形成された長尺状弾性片111Fの先端近傍の係止部111Kは、長尺状弾性片111Fの撓み動作によってコネクタ102の側のレバーロック受け部102Kを乗り越えて係合しているので、レバー101に上方へ持ち上げる何らかの力が働いても逆方向に回動することはなく、この係合状態が維持される。
レバー101の係合を解除したいときは、長尺状弾性片111Fに形成された解除用突起111Tを人差指で図23(B)の矢印P1方向に押すと、長尺状弾性片111Fの撓み動作によって係止部111Kはレバーロック受け部102Kとの係合が外れる。
解除用突起111Tを人差指で押さえたまま、図23(C)の矢印P2方向に押し上げると、係止部111Kはコネクタ102の側のレバーロック受け部102Kを越えて上方へ移動し、これによって係合が解除される。
【0007】
〈レバーロック部111の問題点〉
このレバーロック部111はレバーの大型化を伴うことなく弾性片の必要な撓み量を確保でき、ロックフィーリングが良好となる効果を備えているが、次のような2つの問題点があることが判った。
【0008】
《第1の問題点》
解除用突起111T(力点)が長尺状弾性片111Fの固定端111S(支点)と係止部111K(作用点)との間に形成されているので、固定端111S(支点)から解除用突起111T(力点)までの長さが短くなっているため、係止部111K(作用点)の係合を解除するのに大きな押圧力で解除用突起111Tを押す必要がある。
【0009】
《第2の問題点》
近年、レバー嵌合式コネクタ100を複数個、互いに近接配置することが行われうるが、そのとき、レバーに隣接するエリアに他のコネクタが配置されると、解除用突起111Tを押圧するだけの横方向のスペースがなくなるため解除できないことが起きうる。
また、これを防ぐには押圧するのに必要なスペースを設けておくことが必要となり、設計の自由が損なわれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記2つの問題点を解決するためになされたもので、(1)係止部の係合を解除するのに大きな押圧力を必要とせず、(2)レバー嵌合式コネクタ100を複数個、近接配置することが可能で、したがって設計の自由が損なわれないレバーロック部を備えたレバー嵌合式コネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本願第1発明は次のことを特徴としている。
第1コネクタと、中央部が前記第1コネクタの側面のボス部に回動自在に取り付けられたレバーと、前記第1コネクタが挿入される嵌合空間を有する第2コネクタと、を有し、前記レバーの一端側に設けられた支点突起を、前記嵌合空間を構成する内壁に設けられた支点突起収容溝内に位置付けた状態で、当該レバーの他端側を前記雌コネクタ側に押圧して該レバーを回動させることにより、前記支点突起を支点として作用させるとともに前記中央部を作用点として作用させて、前記雄コネクタを嵌合方向に沿って前記嵌合空間の奥側に押し込んで前記雌コネクタに嵌合させるレバー嵌合式コネクタであって、レバーの回動完了時に回動規制状態に保持するレバーロック部を前記レバーおよび前記第1コネクタに形成して成るレバー嵌合式コネクタにおいて、前記レバーロック部が、次の(a)および(b)から成ること。
(a)前記レバー側に、前記レバーの固定端から下方に延びて外側へUターンして上方に戻るU字状長尺弾性片と、前記U字状長尺弾性片の先端近傍に外側に向けて凸状に形成された解除用突起と、前記U字状長尺弾性片の前記解除用突起と前記下端のU字状部との間に形成された係止部とを備え、
かつ、前記U字状長尺弾性片の固定端側と前記U字状長尺弾性片の先端側との間にできる水平方向の隙間は人の指が入る大きさであること。
(b)前記第2コネクタ側に、第2コネクタの下端部から上方に延設されたロック受け片と、前記レバーの回動完了時に前記U字状長尺弾性片の前記係止部位置する前記ロック受け片の部位に前記係止部と係合するロック受け突起を備えたこと。
【0012】
また、本願第2発明は次のことを特徴としている。
前記(b)において、前記ロック受け片および前記ロック受け突起を前記第2コネクタ側に代えて前記第1コネクタ側に備えたこと。
【発明の効果】
【0013】
上記第1発明および第2発明によれば、レバーロック部がレバーの端部の固定端から下方に延びてさらにUターンして戻るU字状の長い弾性片であり、その先端近傍に解除用突起が設けられているので、係止部の係合を解除するのに大きな押圧力を必要としなくなる。
さらに、レバー嵌合式コネクタ100を複数個近接配置した場合は、U字状長尺弾性片の固定端側とU字状長尺弾性片の先端側との間にできる水平方向の隙間に上から人差指を入れて、U字状長尺弾性片の先端を押し下げながら固定端側に移動させることで係止部とロック受け突起との係合を解除し、そのまま親指と人差指でレバーの操作部の両側面を挟んで上方に持ち上げることでレバーロックが解除できる。
したがって、解除用突起を水平方向に押すスペースがあれば解除用突起を水平方向に押して解除し、また水平方向に押すスペースがない場合は代わりに上方から指を入れることで、レバーロックが解除できる。このように2方向からのロックの解除が可能となる。特許文献1記載のレバー嵌合式コネクタではこれができない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明に係るレバーロック部が形成されたレバーの斜視図である。
【図2】図2(A)は図1のレバー嵌合式コネクタを長さ方向に切った縦断面図、図2(B)は図2(A)のレバーロックの解除方向を示す部分拡大図である。
【図3】図3(A)は図1のレバー付き第1コネクタが第2コネクタに嵌合している状態を示す斜視図である。図3(B)は図3(A)のレバーの操作部の拡大斜視図である。
【図4】図4は図3(B)のレバー嵌合式コネクタを解除する解除方法1(F1方向アクセス法)を説明する各正面図で、図4(A)はロック解除時の押圧方向を示す図、図4(B)はレバー押し上げ時を示す図、図4(C)は図4(A)の解除方法1の手順を示し、(1)は解除開始直前、(2)は解除開始直後、(3)はレバー押し上げ時をそれぞれ示している。
【図5】図5は図3(B)のレバー嵌合式コネクタを解除する解除方法2(F2方向アクセス法)を説明する各正面図で、図5(A)はロック解除時の押圧方向を示す図、図5(B)はレバー引き上げ時を示す図、図5(C)は図5(A)の解除方法2の手順を示し、(1)は解除開始直前、(2)は解除開始直後、(3)はレバー引き上げ時をそれぞれ示している。
【図6】図6(A)はレバー解除時の正面図、図6(B)はその平面図、図6(C)はレバー付き第1コネクタと第2コネクタの嵌合解除後の正面図で、第2コネクタの一部を破断して示している。
【図7】図7は本発明に係るレバー嵌合式コネクタを第1コネクタと第2コネクタが嵌合する前の状態で示す正面図である。
【図8】図8は図7に示されたレバー嵌合式コネクタのレバー付き第1コネクタを示す斜視図である。
【図9】図9は図1および図7に示されたレバー嵌合式コネクタのレバーを支点突起側から示す斜視図である。
【図10】図10は図7に示されたレバー嵌合式コネクタの第2コネクタを示す斜視図である。
【図11】図11は図10に示された第2コネクタのハウジング内部を示す斜視図である。
【図12】図12(a)は図7に示されたレバー嵌合式コネクタの嵌合初期状態を示す平面図、図12(b)は図12(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの仮止め係当片の拡大図、図12(c)は図12(b)中のA−A線に沿った断面図である。
【図13】図13(a)は図12に示されたレバー嵌合式コネクタの第1コネクタが第2コネクタのさらに奥側に挿入された状態を示す平面図、図13(b)は図13(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの仮止め係当片の拡大図、図13(c)は図13(b)中のB−B線に沿った断面図である。
【図14】図14(a)は図13に示されたレバー嵌合式コネクタの第1コネクタが第2コネクタ側に押圧された状態を示す平面図、図14(b)は図14(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの仮止め係当片の拡大図、図14(c)は図14(b)中のC−C線に沿った断面図である。
【図15】図15(a)は図14に示されたレバー嵌合式コネクタのレバーの回動不能状態が解除された状態を示す平面図、。図15(b)は15(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの仮止め係当片の拡大図、図15(c)は図15(b)中のD−D線に沿った断面図である。
【図16】図16(a)は図15に示されたレバー嵌合式コネクタのコネクタ同士が仮セットされた状態を示す平面図、図16(b)は図16(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの仮止め係当片の拡大図、図16(c)は図16(b)中のE−E線に沿った断面図である。
【図17】図17(a)は図16に示されたレバー嵌合式コネクタのレバーが回動始めた状態を示す平面図、図17(b)は図17(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの仮止め係当片の拡大図、図17(c)は図17(b)中のF−F線に沿った断面図である。
【図18】図18(a)は図13に示されたレバー嵌合式コネクタの支点突起の拡大図、図18(b)は図18(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの端子の位置関係を示す断面図、図18(c)は図18(a)に示されたレバー嵌合式コネクタのレバーの回動不能状態が解除された際の支点突起の位置を説明する説明図である。
【図19】図19(a)は図14に示されたレバー嵌合式コネクタの支点突起の拡大図、図19(b)は図19(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの端子の位置関係を示す断面図、図19(c)は図19(a)に示されたレバー嵌合式コネクタのレバーの回動不能状態が解除された際の支点突起の位置を説明する説明図である。
【図20】図20(a)は、図16に示されたレバー嵌合式コネクタの支点突起の拡大図、図20(b)は図20(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの端子の位置関係を示す断面図、図20(c)は図20(a)に示されたレバー嵌合式コネクタのレバーが回動された際の支点突起の位置を説明する説明図である。
【図21】図21(a)は図17に示されたレバー嵌合式コネクタの支点突起の拡大図、図21(b)は図21(a)に示されたレバー嵌合式コネクタの端子の位置関係を示す断面図である。
【図22】図22は特許文献1記載のレバー嵌合式コネクタを説明する正面図で、図22(A)は嵌合前、図22(B)は嵌合完了時を示している。
【図23】図23(A)はレバー101が回動完了した状態のレバーロック部を示す断面図、図23(B)は係合解除開始直後を示す断面図、図23(C)は押し上げ中を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る好適なレバーロック部について説明する前に、本発明に係るレバーロック部が適用されるレバー嵌合式コネクタの構成について簡単に説明しておくこととする。
【0016】
〈本発明が対象としているレバー嵌合式コネクタの構成〉
本発明が扱うレバー嵌合式コネクタについて、図7〜図21を用いて説明する。
図7に示すレバー嵌合式コネクタ10は、雄型コネクタ(以下、第1コネクタと呼ぶ。)2と、この第1コネクタ2のコネクタハウジング20に回動自在に設けられたレバー1と、第1コネクタ2が挿入される嵌合空間39を有するコネクタハウジング30を有する雌型コネクタ(以下、第2コネクタと呼ぶ。)3とを有し、レバー1を回動させることにより、第1コネクタ2を嵌合方向Kに沿って嵌合空間39の奥側に押し込んで第2コネクタ3に嵌合させるレバー嵌合式コネクタ10である。
【0017】
〈第1コネクタ2〉
第1コネクタ2は、図7及び図8に示すように、絶縁性の合成樹脂により矩形に設けられたコネクタハウジング20と、このコネクタハウジング20に収容された端子(雌端子)29(図18(b))とを有している。
【0018】
〈コネクタハウジング20〉
コネクタハウジング20は、互いに相対する側面20a、20bと、これら側面20a、20bの両端部同士を連結した連結面20c、20dと、を有している。また、側面20a、20bの長手方向の中央部には、円柱状のボス部21a、21bが、互いに間隔をあけて設けられている。また、前記長手方向は、図7に示す嵌合方向Kと直交する方向である。また、側面20a、20bの長手方向の両端には、側面20a、20bの表面から突出した台形の仮止め凸部22a、22bが設けられている。
【0019】
〈レバー1〉
レバー1は絶縁性の合成樹脂で構成され、図5〜図9に示すように、互いに平行に配されかつ一端部同士が間隔をあけて互いに分離された一対の側板16a、16bと、この一対の側板16a、16bの他端部同士を連結した操作部14と、を有している。
【0020】
〈操作部14〉
操作部14は、レバー1を回動させる際に荷重が加えられる箇所、即ちレバー1の力点、である。また、操作部14には、第1コネクタ2を第2コネクタ3に嵌合させた状態において、第2コネクタ3側のコネクタハウジング30に係止するロックアーム15が設けられている。このロックアーム15がコネクタハウジング30に係止することにより、レバー1に意図しない外力がかかった時に第1コネクタ2が第2コネクタ3から離れる方向に移動することが防止される。これについては後で詳述する。
【0021】
〈側板16a、16b〉
一対の側板16a、16bには、その一端部に支点突起12が設けられている。この支点突起12は、第2コネクタ3側のコネクタハウジング30に設けられた支点突起収容溝37内に位置付けられることにより、コネクタハウジング30に引っ掛かってレバー1の支点をなす。また、支点突起12よりも他端側に、前述したボス部21a、21bをそれぞれ位置付ける一対のボス部収容穴11a、11bが設けられている。これらボス部収容穴11a、11bは、レバー1のコネクタハウジング20に対する作用点をなす。
また、一対の側板16a、16bは、他端側の下端に仮止め係当片13が設けられている。
【0022】
〈仮止め係当片13〉
仮止め係当片13は、コネクタ2、3同士の嵌合初期段階において、前述した仮止め凸部22a、22bのいずれか一方よりも第2コネクタ3から離れた側に位置付けられることにより、レバー1の第2コネクタ3側への回動を不能にするためのものである。この仮止め係当片13は、仮止め凸部22a、22bに当接する端面を有する当接凸部13aと、この当接凸部13aに連なり、側板16a、16bの他端側に延びた可撓片13bと、で構成されている。この可撓片13bは、当接凸部13aよりも厚みが小さく形成されており、撓みやすく形成されている。また、可撓片13bは、一対の側板16a、16bの相対する方向に沿った外側に向かって延びている。
【0023】
〈第2コネクタ3〉
第2コネクタ3は、図7及び図10に示すように、絶縁性の合成樹脂で構成され、嵌合空間39を有する雌型のコネクタハウジング30と、このコネクタハウジング30に収容された端子(雄端子)31とを有している。この雄端子31は、第1コネクタ2の端子(雌端子)29と嵌合される。
【0024】
〈コネクタハウジング30〉
コネクタハウジング30は、互いに相対する側面30a、30bと、これら側面30a、30bの両端部同士を連結した連結面30c、30dと、嵌合空間39の開口と反対側に設けられた前記端子31を支持する底面32と、を有している。また、これら側面30a、30bと、連結面30c、30dと、底面32と、で嵌合空間39を構成している。この側面30a、30bの内面(内壁)には、内面の上端(底面32から離れた側の端を意味する。)から嵌合方向に沿って嵌合空間39の奥側に延びた支点突起案内溝36と、この支点突起案内溝36の前記上端から離れた端部に連なり該支点突起案内溝36と交差する方向に延びた支点突起収容溝37と、板状の解除板部35とが設けられている。
【0025】
〈支点突起収容溝37〉
支点突起収容溝37は、レバー1の回動時において支点突起12を位置付け、この支点突起12をレバー1の支点として作用させるための溝である。この支点突起収容溝37は、図18〜図21に示すように、支点突起12の外縁部と当接する縁壁38を有して構成されている。
【0026】
〈縁壁38〉
縁壁38には、第1テーパ壁38bと、該第1テーパ壁38bに支点突起12を案内する第2テーパ壁38aとが設けられている。第1テーパ壁38bは、支点突起案内溝36から離れるに従って支点突起収容溝37の幅を小さくするように傾斜している。また、第2テーパ壁38aは、第1テーパ壁38bから支点突起案内溝36に向かうに従って支点突起収容溝37の幅を大きくするように傾斜している。また、支点突起案内溝36は、支点突起12を支点突起収容溝37に位置付けするまでに通されるガイド溝である。
このような第2テーパ壁38aが設けられていることから、ここでは、レバー1の回動不能状態が早期に解除されてしまった場合でも、第2テーパ壁38aが支点突起12を拾って第1テーパ壁38bに案内することができるので、レバー1の回動不能状態が解除された時点で、支点突起12が必ず支点突起収容溝37内に位置付けられているようにすることができる。
【0027】
〈板状の解除板部35〉
解除板部35は、第1コネクタ2が第2コネクタ3に近付けられるに従って仮止め係当片13の可撓片13bの内側に進入して該可撓片13bを一対の側板16a、16bの相対する方向に沿った外側に撓ませることにより、当接凸部13aを仮止め凸部22a、22bの第2コネクタ3側に乗り越えさせるためのものである。この解除板部35は、図10に示すように、側面30a、30bの内面と相対して設けられた相対壁34に一体に設けられている。
また、解除板部35の上端には、図11に示すように、嵌合方向に沿って嵌合空間39(図7)の奥側に向かうに従って徐々に厚みが大きくなるように設けられたテーパ部35aが設けられている。
なお、レバー1を回動不能状態に保つための当接凸部13aの仮止め凸部22a、22bへの係止力(仮係止保持力)、即ち当接凸部13aの仮止め凸部22a、22bからの外れにくさは、可撓片13bのテーパ部35aへの掛かり代の量で決まり、可撓片13bがテーパ部35aを完全に乗り越えた時点で前記係止力がゼロになる。即ちレバー1の回動不能状態が解除される。
【0028】
〈レバー嵌合式コネクタにおける各端子29、31の嵌合までの動作〉
以上のレバー嵌合式コネクタの各端子29、31が嵌合するまでの動作について説明する。
【0029】
《ステップ1》
レバー嵌合式コネクタ10は、第1コネクタ2にレバー1が取り付けられ、このレバー1が回動不能状態に保たれた状態(図12(a)〜図12(c)を参照。)で、第1コネクタ2が第2コネクタ3のコネクタハウジング30の嵌合空間39に挿入される(図12(a))。
【0030】
《ステップ2》
そして、図13(a)に示すように、第1コネクタ2の自重により挿入可能なところまでコネクタハウジング30に挿入されると、図13(b)及び図13(c)に示すように、解除板部35のテーパ部35aの上端が可撓片13bの内側に進入する。この状態の支点突起12は、図18(a)に示すように、最もレバー1の一端側に位置する外縁部12aが第2テーパ壁38aよりも嵌合方向Kに沿った上方に位置付けられている。即ち、支点突起12は支点突起案内溝36内に位置付けられている。また、図18(b)に示すように、各端子29、31同士は導通していない状態である。この状態でレバー1の回動不能状態が解除されてレバー1が回動された場合、図18(c)に示すように、支点突起12は支点突起収容溝37に引き込まれず、レバー1は空転してしまう。
【0031】
《ステップ3》
続いて、このレバー嵌合式コネクタ10のレバーの操作部14を図14(a)に示すように第2コネクタ3側に押圧すると、図14(b)及び図14(c)に示すように、テーパ部35aがさらに可撓片13bの内側に進入して可撓片13bが外側に撓む。
【0032】
《ステップ4》
さらに操作部14の押圧を続けると、図15(a)及び図15(b)に示すように、当接凸部13aが仮止め凸部22b上に乗り上げ、図15(c)に示すように、可撓片13bが完全にテーパ部35aを乗り越える。
このことにより、レバー1の回動不能状態が解除される。この状態の支点突起12は、図19(a)に示すように、最もレバー1の一端側に位置する外縁部12aが第2テーパ壁38aの嵌合方向Kに沿った下側に位置付けられている。即ち、支点突起12は支点突起収容溝37内に位置付けられている。
また、図19(b)に示すように、各端子29、31同士は導通していない状態である。この状態でレバー1が回動操作された場合、図19(c)に示すように、支点突起12は第2テーパ壁38aに拾われて支点突起収容溝37に引き込まれる。そして、外縁部12aが第2テーパ壁38aに当接してこの支点突起12が支点として作用される。
【0033】
《ステップ5》
そして、図16(a)及び図20(a)に示すように、支点突起12は、最もレバー1の一端側に位置する外縁部12aが第1テーパ壁38bの嵌合方向Kに沿った下側に位置付けられる。即ち、支点突起12は支点突起収容溝37内に位置付けられている。また、この位置を、コネクタ2、3同士が仮セットされた状態と表現する。また、図20(b)に示すように、各端子29、31同士は導通していない状態である。この状態でレバー1が回動操作された場合、図20(c)に示すように、支点突起12は外縁部12aが第1テーパ壁38bに当接してこの支点突起12が支点として作用される。
【0034】
《ステップ6》
このようにしてレバー1が回動され始めることにより、図21(a)に示すように、ボス部収容穴11a、11bは、レバー1の作用点をなして、ボス部21a、21bを嵌合方向に沿って嵌合空間39の奥側に押し込む。このことにより、図21(b)に示すように端子31が端子29内に嵌合されて端子29、31同士が導通する。
上述のレバー嵌合式コネクタでは、前述の回動不能状態の解除後の、レバー1の回動操作時には、支点突起12が支点突起収納溝36内に位置付けされた状態で、レバー1が嵌合方向に沿って回動される過程において、第2コネクタ3に対し第1コネクタ2を略平行に連結することができる。
このようにこのレバー嵌合式コネクタによれば、各端子29、31の嵌合は相互に無理なストレスを受けずにスムースに実施され、その嵌合状態はガタなく密な接触状態を維持することとなる。従って、各端子29、31の電気的接続状態も安定する。
【0035】
〈本発明に係るレバーロック部120の構成〉
次に、以上のレバー嵌合式コネクタに設けられた本発明に係るレバーロック部120について、説明する。
図1は本発明に係るレバーロック部120が形成されたレバーの斜視図である。
図1において、レバー1の操作部14側に、レバーの回動完了時に回動規制状態に保持するレバーロック部120が形成されている。レバーロック部120は、レバー1側には、U字状長尺弾性片121Fと、U字状長尺弾性片121Fの先端近傍に外側に向けて凸状に形成された解除用突起121Tと、U字状長尺弾性片121Fの解除用突起121TとU字状長尺弾性片121Fの下端のU字部との中間に形成された係止部121Kとを備えて成る。
一方、後述する第2コネクタ3の側にもレバーロック部120の構成が次のように形成されている。すなわち、第2コネクタ3(図6(C))の下端部123Uから上方に延設されたロック受け片123Bと、レバー1の回動完了時にU字状長尺弾性片121Fの係止部121Kが位置するロック受け片123Bの部位に係止部121Kと係合するロック受け突起123Kが形成されている。
レバーロック部120が係合解除された後、レバー1の操作部14を図の白抜き矢印方向へ持ち上げることでコネクタ間の嵌合が離脱する(後述)。
【0036】
〈レバーロック部120の断面図〉
図2(A)は図1のレバー嵌合式コネクタを長さ方向に沿って垂直に切った縦断面図である。
図2(A)において、レバー1の操作部14側の固定端121SからU字状長尺弾性片121Fが下方に延びて再び外側へUターンして上方に戻る形状をしており、U字状長尺弾性片121Fの先端121Pの近傍に、解除用突起121Tが外側に向けた凸状に形成されている。そして、U字状長尺弾性片121Fの解除用突起121Tと下端のU字状部121Uとの間に、係止部121Kが形成されている。U字状長尺弾性片121Fの先端121Pは上方端縁部14Pによって前方への移動が規制されている。
U字状長尺弾性片121Fの固定端121SとU字状長尺弾性片の先端121Pとの間にできる水平方向の隙間T1は少なくとも人間の人差指が入る大きさとしてある。
【0037】
〈本発明に係るレバーロック部120の2つの解除方法〉
本発明に係るレバーロック部120によれば、2つの解除方法が実現できるのが特徴である。図2(B)は図2(A)のレバーロックの解除の2方法を説明する部分拡大図であり、また、図3(A)はレバー嵌合式コネクタ10のレバー1の付いた第1コネクタ2が第2コネクタ3に嵌合している状態の斜視図、図3(B)は図3(A)のレバーの操作部の拡大斜視図である。
【0038】
《第1の解除方法》
第1の解除方法は、図2(B)および図3(B)におけるF1方向アクセス法である。
図4はこの解除方法1を説明する各正面図で、図4(A)はロック解除時の押圧方向を示す正面図、図4(B)はレバー押し上げ時を示す正面図、図4(C)は図4(A)の解除方法1の手順を示すレバーロック部の拡大断面図で、(1)は解除開始直前、(2)は解除開始直後、(3)はレバー押し上げ時をそれぞれ示している。
図2(B)、図3(B)、および図4(A)において、解除用突起121Tを人差指で外側から白抜き矢印F1方向に押圧すると、U字状長尺状弾性片121Fの撓み動作によって係止部121KはR1方向に変位し、第2コネクタ3側のロック受け突起123K(図4(C))との係合が外れ、図4(C)(2)のようになる。
さらに、解除用突起121Tを人差指で押さえたまま図4(A)および図4(C)(3)のように上方に押し上げると、レバー1は図1に示した白抜き矢印方向に回動し、これによって第1コネクタ2も回動し、第1コネクタ2および第2コネクタ3間の嵌合が操作性良く解除される。なお、図4(B)および(C)で図示した人差指は向きが180度逆でももちろん構わない。
【0039】
〈第1の解除方法の2つの長所〉
《その1》
このように、解除方法1によれば、U字状長尺状弾性片121Fがレバーの端部の固定端から下方に延びてさらにUターンして戻るU字状の長い弾性片であり、その先端近傍に解除用突起(力点)が設けられ、レバーの端部の固定端(支点)と解除用突起(力点)との途中に係止部(作用点)があるため、係合を解除するのに大きな押圧力を必要としなくなる。
《その2》
さらに、解除方法1によれば、人差指1本で、解除用突起121Tの押圧(図4(C)(1))からレバーロックの係合解除(図4(C)(2))、さらにレバー1の持ち上げ(図4(C)(3))まで行うことができるので、レバーの操作性が向上する。
【0040】
《第2の解除方法》
第2の解除方法は、図2(B)および図3(B)におけるF2方向アクセス法である。
図5はこの解除方法2を説明する各正面図で、図5(A)はロック解除時の押圧方向を示す正面図、図5(B)はレバー引き上げ時を示す正面図、図5(C)は図5(A)の解除方法2の手順を示すレバーロック部の拡大断面図で、(1)は解除開始直前、(2)は解除開始直後、(3)はレバー引き上げ時をそれぞれ示している。
図2(B)、図3(B)、および図5(A)において、第2の解除方法は解除用突起121TをF1方向に押圧するのではなくて、上方外側から人差指を白抜き矢印F2(図5(A))方向にU字状長尺状弾性片121Fの先端121Pに図5(C)(1)のように近づけ、これを押圧するのである。そうすれば、先端121PはU字状長尺状弾性片121Fの撓み動作によって下方に下がり係止部121Kと第2コネクタ3側のロック受け突起123Kとの係合が外れ、さらに先端121Pを人差指で押さえたままR1(図2(B))方向に、すなわちレバー1の操作部14側の固定端121S側に移動すると、図5(C)(2)のようになる。
この状態で、今度は、親指と中指でレバー1の操作部14の両側板14a、14b(図1)を挟んだまま図5(C)(3)のように上方に持ち上げると、レバー1は図1に示した白抜き矢印方向に回動でき、これによって第1コネクタ2も回動し、第1コネクタ2および第2コネクタ3間の嵌合が解除される。
【0041】
〈第2の解除方法の2つの長所〉
《その1》
このように、解除方法2によれば、U字状長尺状弾性片121Fがレバーの端部の固定端から下方に延びてさらにUターンして戻るU字状の長い弾性片であり、その先端近傍に解除用突起(力点)が設けられ、レバーの端部の固定端(支点)と解除用突起(力点)との途中に係止部(作用点)があるため、係合を解除するのに大きな押圧力を必要としなくなる。
《その2》
さらに、第2の解除方法によれば、レバー1の引き上げにさらに親指と中指を使うので操作性は第1の解除方法と比べて若干落ちるものの、解除用突起を水平方向に押すスペースがなくても、上方から指を入れることで解除できるので便利である。特許文献1記載のレバー嵌合式コネクタでは上方から指を入れて解除することができない。
【0042】
〈第1コネクタと第2コネクタの嵌合離脱〉
図6(A)はレバー解除時の正面図、図6(B)はその平面図、図6(C)は第1コネクタと第2コネクタの嵌合解除後の正面図を示している。図6(C)に示す第2コネクタ3には、ロック受け片123Bが下端部123Uから上方に延設されており、かつ、その頂部にロック受け突起123Kが形成されている。ロック受け突起123Kは、レバー1の回動時にはU字状長尺弾性片121Fの係止部121Kと対向するようになり、U字状長尺弾性片121Fの撓み動作により係止部121Kはロック受け突起123Kを乗り越えて互いに係合するようになる。
係合解除は、上記2つの解除方法のいずれかを用いて行われる。
レバーロック部120の係合解除がなされた後は、レバー1の更なる引き上げは通常行われているように、図6(A)において親指と中指でレバー1の両方の側板16a、16b(図9)を挟んで引き上げることにより行われる。
レバー1を用いているので、第1コネクタ2と第2コネクタ3の嵌合離脱が軽い引き上げ力で図6(C)のように実行できる。
【0043】
〈実施例2〉
以上の実施例1では、ロック受け片およびロック受け突起を第2コネクタ側に設けていたが、第1コネクタ側に設けるようにしても、同じようにレバーロック部を実現することができる。
【0044】
〈まとめ〉
以上のことから、レバーロック部がレバーの端部の固定端から下方に延びてさらにUターンして戻るU字状の長い弾性片であり、その先端近傍に解除用突起が設けられているので、係止部の係合を解除するのに大きな押圧力を必要としない。
さらに、レバー嵌合式コネクタを複数個近接配置した場合は、U字状長尺弾性片の固定端側とU字状長尺弾性片の先端側との間にできる水平方向の隙間に上から人差指を入れて、U字状長尺弾性片の先端を押し下げながら固定端側に移動させることで係止部とロック受け突起との係合を解除し、そのまま親指と人差指でレバーの操作部の両側面を挟んで上方に持ち上げることでレバーロックが解除できる。
したがって、解除用突起を水平方向に押さなくても、代わりに上方から指を入れることで、操作は若干面倒になるもののレバーロックが解除できる。
【符号の説明】
【0045】
1 レバー
2 第1コネクタ
3 第2コネクタ
10 レバー嵌合式コネクタ
12 支点突起
13 仮止め係当片
14 操作部
14P 上方端縁部
20a、20b 側面
21a、21b ボス部
22a、22b 仮止め凸部
35 解除板部
35a テーパ部
36 支点突起案内溝
37 支点突起収容溝
39 嵌合空間
K 嵌合方向
120 レバーロック部
121F U字状長尺弾性片
121K 係止部
121P 先端
121S 固定端
121T 解除用突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、中央部が前記第1コネクタの側面のボス部に回動自在に取り付けられたレバーと、前記第1コネクタが挿入される嵌合空間を有する第2コネクタと、を有し、前記レバーの一端側に設けられた支点突起を、前記嵌合空間を構成する内壁に設けられた支点突起収容溝内に位置付けた状態で、当該レバーの他端側を前記雌コネクタ側に押圧して該レバーを回動させることにより、前記支点突起を支点として作用させるとともに前記中央部を作用点として作用させて、前記雄コネクタを嵌合方向に沿って前記嵌合空間の奥側に押し込んで前記雌コネクタに嵌合させるレバー嵌合式コネクタであって、
レバーの回動完了時に回動規制状態に保持するレバーロック部を前記レバーおよび前記第2コネクタに形成して成るレバー嵌合式コネクタにおいて、
前記レバーロック部が、次の(a)および(b)から成ることを特徴とするレバー嵌合式コネクタ。
(a)前記レバー側に、前記レバーの固定端から下方に延びて外側へUターンして上方に戻るU字状長尺弾性片と、前記U字状長尺弾性片の先端近傍に外側に向けて凸状に形成された解除用突起と、前記U字状長尺弾性片の前記解除用突起と前記下端のU字状部との間に形成された係止部とを備え、
かつ、前記U字状長尺弾性片の固定端側と前記U字状長尺弾性片の先端側との間にできる水平方向の隙間は人の指が入る大きさであること。
(b)前記第2コネクタ側に、第2コネクタの下端部から上方に延設されたロック受け片と、前記レバーの回動完了時に前記U字状長尺弾性片の前記係止部が位置する前記ロック受け片の部位に前記係止部と係合するロック受け突起を備えたこと。
【請求項2】
前記(b)において、前記ロック受け片および前記ロック受け突起を前記第2コネクタ側に代えて前記第1コネクタ側に備えたことを特徴とする請求項1記載のレバー嵌合式コネクタ。
【請求項1】
第1コネクタと、中央部が前記第1コネクタの側面のボス部に回動自在に取り付けられたレバーと、前記第1コネクタが挿入される嵌合空間を有する第2コネクタと、を有し、前記レバーの一端側に設けられた支点突起を、前記嵌合空間を構成する内壁に設けられた支点突起収容溝内に位置付けた状態で、当該レバーの他端側を前記雌コネクタ側に押圧して該レバーを回動させることにより、前記支点突起を支点として作用させるとともに前記中央部を作用点として作用させて、前記雄コネクタを嵌合方向に沿って前記嵌合空間の奥側に押し込んで前記雌コネクタに嵌合させるレバー嵌合式コネクタであって、
レバーの回動完了時に回動規制状態に保持するレバーロック部を前記レバーおよび前記第2コネクタに形成して成るレバー嵌合式コネクタにおいて、
前記レバーロック部が、次の(a)および(b)から成ることを特徴とするレバー嵌合式コネクタ。
(a)前記レバー側に、前記レバーの固定端から下方に延びて外側へUターンして上方に戻るU字状長尺弾性片と、前記U字状長尺弾性片の先端近傍に外側に向けて凸状に形成された解除用突起と、前記U字状長尺弾性片の前記解除用突起と前記下端のU字状部との間に形成された係止部とを備え、
かつ、前記U字状長尺弾性片の固定端側と前記U字状長尺弾性片の先端側との間にできる水平方向の隙間は人の指が入る大きさであること。
(b)前記第2コネクタ側に、第2コネクタの下端部から上方に延設されたロック受け片と、前記レバーの回動完了時に前記U字状長尺弾性片の前記係止部が位置する前記ロック受け片の部位に前記係止部と係合するロック受け突起を備えたこと。
【請求項2】
前記(b)において、前記ロック受け片および前記ロック受け突起を前記第2コネクタ側に代えて前記第1コネクタ側に備えたことを特徴とする請求項1記載のレバー嵌合式コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−97994(P2013−97994A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239432(P2011−239432)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]