説明

レンズおよびそのレンズを搭載したレーザ加工装置

【課題】
閉曲線からなる任意形状の部材を容易かつ短時間にレーザ加工することができる。
【解決手段】
本発明のレンズおよびそのレンズを搭載したレーザ加工装置は、被切断材に対して、閉曲線からなる任意形状の部材を切断するためのものであって、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が上記閉曲線からなる任意形状と同一の形となるように、凸型シリンドリカルレンズを閉路形成されるように成形されたものからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工材に対してレーザ加工するためのレンズおよびそのレンズを搭載したレーザ加工装置に関するものであって、特に、被加工材に対して、閉曲線からなる任意形状の部材を加工するためのレンズおよびそのレンズを搭載したレーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス基板等のような被加工材に対して、レーザ光を照射することにより任意形状の部材を加工するためのレーザ加工装置が知られている。
【0003】
例えば、レーザ加工装置として、シリンドリカルレンズを移動させる移動機構や被加工材を載せるステージを移動させる移動機構を用いることにより、所望の形状に加工領域を形成する技術が、特許文献1または2に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−158715号公報
【特許文献2】特開2010−284712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したレーザ加工装置は、例えば、加工形状が円形、丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた三角形のような閉曲線からなる任意形状を切断する場合、レンズそのものを移動させる移動機構や、被加工材を載せたステージ(支持台)そのものを移動する移動機構を制御する必要がある。
【0006】
例えば、円形の部材を切断する場合、以下のような手法を用いていた。図2は、従来技術の実施形態による両凸レンズ7Bを用いてレーザ加工を行う場合を示した図である。図2(a)に示すように、両凸レンズ7Bを透過するレーザ光により、被加工材5に円形の部材を切断することができる。その際、レーザ加工装置は、被加工材5から円形の部材を切断するために、図2(b)に示すように、両凸レンズ7Bを円形に移動させることにより、被加工材5に対して、円形を描くようにレーザ光を照射しなければならない。または、レーザ加工装置は、両凸レンズ7Bを固定し、被加工材5を載せたステージそのものを円形に移動させることにより、円形の部材を切断する。
【0007】
そのため、移動制御やレーザ加工に要する時間がかかり、かつレンズの移動制御装置もしくは被加工材の移動制御装置を搭載する必要が生じてしまい、装置全体が大規模なものになるという問題があった。
【0008】
また、両凸レンズ以外に、図3に示すカマボコ形状をした凸型シリンドリカルレンズを用いた場合も同様である。図4は、従来技術の実施形態による凸型シリンドリカルレンズ7Cによる部材加工を行う場合を示した図である。例えば、矩形の部材を切断する場合、図4(a)に示すように、凸型シリンドリカルレンズ7Cを透過するレーザにより、被加工材5に加工する。その際、被加工材5から矩形の部材を切断するために、図4(b)に示すように、凸型シリンドリカルレンズ7Cを直線に移動させる。そして、レーザ加工装置は、凸型シリンドリカルレンズ7Cを移動させることにより、被加工材5に対して矩形を描くようにレーザを照射する。または、レーザ加工装置は、凸型シリンドリカルレンズ7Cを固定し、被加工材5を載せたステージそのものを矩形に移動させる、若しくはステージを移動および回転させることにより、矩形の部材を切断する。
【0009】
そのため、同様に、移動制御やレーザ加工に要する時間がかかり、かつレンズの移動制御装置もしくは被加工材の移動制御装置を搭載する必要が生じてしまい、装置全体が大規模なものになるという問題があった。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、レーザ加工する時間を削減し、かつレーザ加工装置に不要な移動制御装置を搭載することなく小型化を可能とするレンズおよびそのレンズを搭載したレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のレンズは、被加工材に対して、閉曲線からなる任意形状の部材を加工するレーザ加工装置に搭載されるものであって、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が閉曲線からなる任意形状と同一の形となるように、凸型シリンドリカルレンズを閉路形成されるように成形されたものである。
【0011】
「頂点」とは、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の最高点である。
【0012】
「凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が閉曲線からなる任意形状と同一の形」とは、レーザ加工装置が加工すべき閉曲線からなる任意形状の部材の形状と、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が同一または略同一の形状になることをいう。例えば、レーザ加工装置が円形からなる部材を加工する場合においては、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が円形となる。また、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が全体として円形であればよく、多少の凹凸による部分的な相違があったとしてもよい。また、レーザ加工装置が円形からなる部材を加工する場合において、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が形として円形であればよいのであって、必ずしも大きさが同一でなくてもよい。
【0013】
「成形」とは、レンズを形づくることをいう。具体的には、金型を用いて成型されるものであってもよいし、研磨により成形されるものであってもよいし、エッチングにより成形されるもの等が挙げられる。
【0014】
「加工」とは、被加工材に対して、閉曲線からなる任意形状の部材を切断することをいう。具体的には、閉曲線からなる任意形状の部材を切断する。または、被加工材に対して、閉曲線からなる任意形状の部材の形状に削る等の場合が挙げられる。
【0015】
本発明のレーザ加工装置は、被加工材に対して、閉曲線からなる任意形状の部材を加工するものであって、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が閉曲線からなる任意形状と同一の形となるように、凸型シリンドリカルレンズを閉路形成されるように成形されたレンズを搭載しているものである。
【0016】
本発明のレーザ加工装置のレンズは、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面で形成される光源から照射される光を入射する入射面部と、光源から照射される光を出射する出射面部と、入射面部及び出射面部の外側面に位置する外側面部と、入射面部及び出射面部の内側面に位置する中空面部とを備える中空レンズであってもよい。
【0017】
本発明のレーザ加工装置のレンズは、中空レンズの中空部分に対して、遮光板を設けるものであってもよい。
【0018】
「遮光板」とは、光源の光がレンズを透過しないようにするものである。例えば、フィルム状又は薄板状のものであってもよい。具体的には金属シートであってもよい。また、レンズに金属物質を塗布されるものであってもよい。
【0019】
本発明のレーザ加工装置は、光源の光をレンズに対して照射するに際し、中空レンズの中空部分には光を照射しないように制御するものであってもよい。
【0020】
本発明のレーザ加工装置の閉曲線からなる任意形状の部材は、円形の部材であってもよい。
【0021】
本発明のレーザ加工装置のレンズは、閉曲線からなる任意形状の部材の所定部位の曲率が高い場合に際し、入射面または出射面における外側面部側の略半分のレンズの領域に対して、光源から光が導光しないよう遮光材を付加するものであってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のレンズおよびそのレンズに搭載されたレーザ加工装置によれば、被加工材に対して、閉曲線からなる任意形状の部材を加工するものであって、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が上記閉曲線からなる任意形状と同一の形となるように、凸型シリンドリカルレンズを閉路形成されるように成形されたレンズを用いるため、被加工材に対して、閉曲線からなる任意形状の部材をレーザ加工するに際し、レーザ加工する時間を削減し、かつレーザ加工装置自体の小型化可能とすることができる。
【0023】
本発明のレンズおよびそのレンズを搭載したレーザ加工装置のレンズは、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面で形成されるレーザ加工装置の光源から照射される光を入射する入射面部と、光源から照射される光を出射する出射面部と、入射面部及び出射面部の外側面に位置する外側面部と、入射面部及び出射面部の内側面に位置する中空面部を備える中空レンズである際には、レーザ加工するべき閉曲線からなる任意形状の部材を加工すべき領域に対して、光源の光を集光することができる。
【0024】
本発明のレンズおよびそのレンズを搭載したレーザ加工装置のレンズは、中空レンズの中空部分に対して、遮光材を設ける際には、レーザ加工するべき閉曲線からなる任意形状の部材を加工すべき領域外に対して、光源の光を照射しないようにすることができる。
【0025】
本発明のレンズおよびそのレンズを搭載したレーザ加工装置は、光源の光をレンズに対して照射するに際し、中空レンズの中空部分には光を照射しないように制御する際には、レーザ加工すべき閉曲線からなる任意形状の部材に対して、レーザ加工装置の光源の光エネルギーを効率的に照射することができる。
【0026】
本発明のレンズおよびそのレンズを搭載したレーザ加工装置のレンズは、閉曲線からなる任意形状の部材の所定部位の曲率が高い場合に際し、入射面または出射面における外側面部側の略半分のレンズの領域に対して、光源から光が透過しないよう遮光材を付加する際には、当該曲率が高い所定部位外に対して、光源の光を放射しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態におけるレーザ加工装置を示す図
【図2】従来の実施形態における両凸レンズによるレーザ加工を説明するための図
【図3】凸型シリンドリカルレンズの一例を示した図
【図4】従来の実施形態における凸型シリンドリカルレンズによるレーザ加工を説明するための図
【図5】本発明の実施形態における成形される円形レンズを説明するための図
【図6】本発明の実施形態における円形レンズの平面図
【図7】本発明の実施形態における円形レンズを入出射するレーザとの関係を示した図
【図8】本発明の実施形態における一連の処理工程を示した図
【図9】本発明の実施形態における円形レンズを透過した光の集光結果を示した図
【図10】本発明の実施形態における遮光材を付加した円形レンズを示した図
【図11】本発明の実施形態における円形レンズに入射する光制御を示したシステム図
【図12】本発明の実施形態における成形される三角レンズを説明するための図
【図13】本発明の実施形態における三角レンズを入出射する光との関係を示した図
【図14】本発明の実施形態における遮光材を付加した三角レンズを示した図
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態となるレーザ装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図1は、本発明のレーザ加工装置50の概略を示す図である。このレーザ加工装置50は、ガラスからなる被加工材5にレーザ光を照射することにより、閉曲線からなる任意形状の部材を切断するものである。レーザ加工装置50は、ステージ1と、そのステージ1にセットされた被加工材5と、レーザ光源10と、ビームエキスパンダ15と、反射ミラー19と、均一化装置20と、円形レンズ7A、制御装置30、パーソナルコンピュータ80(以下、PC80という)から構成される。
【0030】
レーザ光源10は、レーザ光を照射するものである。また、ビームエキスパンダ15は、レーザ光源10から照射されたレーザ光の径を拡大して放射するものである。さらに、均一化装置20は、径の拡大されたレーザ光を多重反射して均一化して照射するもので、例えばロッドレンズやライトパイプ等である。円形レンズ7Aは、反射ミラー19により反射されたレーザ光を透過するものである。制御装置50は、光源10の出力、ステージ1の位置等を制御するものである。
【0031】
ここで、本発明の実施形態におけるレンズについて、詳細に説明する。本発明の実施形態における特有のレンズは、被加工材5に対して、閉曲線からなる任意形状の部材を加工するレーザ加工装置50に搭載されるものであって、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が閉曲線からなる任意形状と同一の形となるように、凸型シリンドリカルレンズを閉路形成されるように成形されたものである。
【0032】
本発明の実施形態におけるレンズとして、円形レンズ7Aを例に説明する。図5は、円形レンズ7Aの構造を説明するための図である。図5は、円形レンズ7Aの製造工程を示すものではなく、円形レンズ7Aが最終的にどのような形態になるかをわかりやすく示したものである。
【0033】
円形レンズ7Aは、図5(a)に示す凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が円形になるように成形する。図5(a)の凸型シリンドリカルレンズを変形させ、図5(b)のように半円を描き、最後に図5(c)のようにほぼ円形を描き、最後に凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が円形に配置されるように、凸型シリンドリカルレンズを閉路形成したものである。
【0034】
本発明の実施形態における特有のレンズ(円形レンズ、後述する三角レンズ等)は、例えば、金型を用いて成型されるものである。また、研磨により成形されるものであってもよいし、エッチングにより成形されるものであってもよい。
【0035】
本発明の実施形態における特有のレンズ(円形レンズ、後述する三角レンズ等)は、最終的にそれぞれのレンズの所望とする形状に成形されるのであれば、どのような手法により作製されてもよい。図6は、円形レンズ7Aの平面図である。図6に示すように、凸型シリンドリカルレンズの中心からシリンドリカル面に対して垂直な線GLそれぞれの中心点(シリンドリカル面の頂点)にあたるシリンドリカル面の頂点を結んだ線を円形にすることで、被加工材5に対して、半径rの円形からなる部材を加工することができる。
【0036】
図7は、円形レンズ7Aに入出射するレーザ光Lとの関係を示した図である。円形レンズ7Aは、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面で形成され、レーザ加工装置50の光源10から照射される光を入射する入射面部70と、光源から照射される光を出射する出射面部71と、入射面部70及び出射面部71の外側面に位置する外側面部72と、入射面部70及び出射面71の内側面に位置する中空面部73とを備える中空レンズである。この中空面部73は、図7に示すように円形レンズ内側の側面部分である。
【0037】
レーザ加工装置50は、搭載する円形レンズ7Aに、光源10のレーザ光を入射面部70に入射させ、出射面部71から出射するものである。そのため、レーザ加工装置50は、図6に示す円形レンズ7Aの半径r(例えば、レンズの中心から線GLの中心線を結ぶ長さ)と略同一の円形部材をレーザ加工することができる。例えば、被加工材がガラスである場合、レーザ加工装置50は、円形の部材をレーザ加工により切断することができる。具体的には、レーザ加工装置50は、携帯電話や携帯用電子機器の保護用ガラスに対して、容易に円形形状の切断を可能とする。また、被加工材は、ガラスのみならず、プラスチック、シリコン、その他基板となる材料であってもよい。
【0038】
次に、以上の構成のレーザ加工装置50におけるレーザ加工処理について説明する。図8は、レーザ加工装置の部材の加工における一連の処理を示すフローチャートである。
【0039】
第一に、オペレータが、PC80を介して初期設定を行う(ステップ1)。具体的には、オペレータが、PC80に対して、被加工材5の材質に応じた光源10の光の出力レベルを設定するように指示情報を入力する。また、オペレータが、PC80に対して、被加工材5を設置したステージ1の位置を移動させるように指示情報を入力する。オペレータがPC80に指示情報を入力することで初期設定することができるが、PC80が自動処理により初期設定を行い、PC80の指示情報を自動生成してもよい。
【0040】
次に、制御装置30は、PC80により指令された指示情報に基づき、光源10のレーザ照射のタイミングまたはステージ1の移動を制御する(ステップ2)。
【0041】
光源10は、制御装置30の制御に基づいて、レーザ光を照射する(ステップ3)光源10から照射されたレーザ光は、ビームエキスパンダ15により径が拡大され、均一化装置20により輝度分布が均一化される。そして、レーザ光は、反射ミラー19により反射され、円形レンズ7Aに入射する。
【0042】
図7に示すように、円形レンズ7Aの入射面部70に入射されたレーザ光は、円形の部材を切断するように集光される。レーザ加工装置50は、円形の部材の切断を行う(ステップ4)。レーザ加工装置50は、図6に示すように、円形レンズ70の中心と外周を基準とした半径rの円形にレーザ光を集光するようになり、被加工材5に対して、図9に示すような半径R(r=R、またはr≒R)の円形部材を切断可能とする。
【0043】
また、円形レンズ7Aは、図10に示すように、レンズの中空部分に対して、遮光材を有する遮光板Nを付けてもよい。この遮光材を有する遮光板Nは、光源のレーザ光がレンズを透過しないようにするものである。例えば、フィルム状又は薄板状のものであってもよい。具体的には金属シートであってもよい。また、円形レンズ7Aは、中空面部73にレンズをはめ込んでもよい。その場合、遮光板Nは、そのレンズに金属物質を塗布されるものであってもよい。
【0044】
また、レーザ加工装置50は、光源のレーザ光をレンズに対して照射するに際し、中空レンズの中空部分には光を照射しないように制御することができる。具体的には、レーザ加工装置50は、反射ミラー19から反射されたレーザ光を導光する導光路35と、円形レンズ7Aの入射面部70にのみレーザ光を入射するための光ファイバー40を備え、円形レンズ7Aの入射面部70にのみレーザ光を入射するように制御できる。これにより、レーザ加工装置50は、円形レンズ7Aの中空面部73にはレーザ光を照射しないように制御できる。例えば、レーザ加工装置50は、円形レンズ7Aの入射面部70にのみレーザ光を入射するために反射ミラー、その他のミラーを最適に配置することにより、レーザ光を照射しないように制御できる。
【0045】
ここで、図8に示すフローチャートの説明に戻ると、制御装置30は、円形の部材を切断した被加工材5から新たな円形部材を切断すべきか否かを判断する。新たに円形の部材を切断する場合(ステップ5;YES)、制御装置30は、ステージ1を移動させることにより、新たな円形部材を切断するための所望の位置に被加工材5を移動させる(ステップ7)。レーザ加工装置50に搭載されたPC80内にインストールされた画像処理機能は、被加工材5のマーカされた位置を認識処理することができ、その認識結果に応じて、制御装置30は、ステージの移動を自動に行ってもよい。新たに円形の部材を切断しない場合(ステップ5;NO)、制御装置50は、異なる形状の部材を切断するか否かを判断する。
【0046】
異なる形状の部材を被加工材5より切断する場合(ステップ6;YES)、レンズを変更することができる。そして、円形レンズ7A以外のレンズに変更できる(ステップ8)。一方、異なる形状の部材を被加工材5より切断しない場合(ステップ6;NO)、処理は完了する。
【0047】
レーザ加工装置50は、レンズ変換装置(不図示)を備えており、上述したように円形レンズ7A以外のレンズに変更することができる構成にしてもよい。例えば、レーザ加工装置50は、図12に示すような三角レンズ7Dを備えるものであってもよい。
【0048】
図12は、三角レンズ7Dの構造を説明するための図である。三角レンズ7Dは、図12に示すように、閉曲線からなる三角形の部材である。三角レンズ7Dは、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線CLが三角形に配置するように成形されたものである。図12に示すように、凸型シリンドリカルレンズの中心からシリンドリカル面に対して垂直な線GLそれぞれの中心点(シリンドリカル面の頂点)にあたるシリンドリカル面の頂点を結んだ線CLを三角形になるように、凸型シリンドリカルレンズを閉路形成したものである。図12は、三角レンズ7Dの平面図であるが、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を三角形にするように成形することで、被加工材5に対して、三角形からなる部材を切断することができる。
【0049】
図13は、三角形レンズ7Dに入出射するレーザ光との関係を示した図である。三角形レンズ7Dは、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面で形成されるレーザ加工装置50の光源10から照射されるレーザ光を入射する入射面部70と、光源から照射される光を出射する出射面部71と、入射面部70及び出射面部71の外側面に位置する外側面部72と、入射面部70及び出射面71の内側面に位置する中空面部73とを備える中空レンズである。
【0050】
レーザ加工装置50は、光源10のレーザ光を三角レンズ7Dの入射面部70に透過させ、出射面部71を透過することで光を集光させるものであるため、図12に示す三角形レンズ7DのラインCLと同一の三角形部材をレーザ加工することができる。例えば、被加工材の材質がガラスである場合、レーザ加工装置50は、三角形の部材をレーザ加工により切断することができる。例えば、レーザ加工装置50は、携帯電話や携帯用電子機器の保護用ガラスに対して、容易に三角形状の切断を可能とする。
【0051】
レーザ加工装置50のレンズは、閉曲線からなる任意形状の部材の所定部位の曲率が高い場合に際し、入射面部70または出射面部71における外側面部72側に位置する所定部位の領域に対して、光源から光が導光しないよう遮光材を付加することができる。例えば、図14に示すように、三角レンズ7Dの角のように三点の曲率が高い場合に、入射面部上70または出射面部71上における外側面部72側に位置する曲率の高い部位の所望の領域に対して、光源10から光が導光しないように、遮光材Mを付加する。この遮光材Mにより、光源10の光がレンズから出射しないようにすることができる。なお、上述した三角レンズ以外に、星型レンズ、ハート型レンズ、S型レンズ、その他の形状からなるレンズの曲率が高い部位の領域に遮光材を付加してもよい 。
【0052】
なお、三角レンズ7Dは、円形レンズ7Aと同様に、中空面部73に遮光材Mを備えてもよい。
【0053】
レーザ加工装置50は、レンズ変換装置(不図示)を備え、三角形レンズ7Dに変更することで、被加工材5に対して、三角形状の部材を切断できる。また、レーザ加工装置50は、上述した円形レンズ、三角レンズ以外に、星型レンズ、ハート型レンズ、S型レンズ、その他の形状からなるレンズであってもよい。
【0054】
なお、レーザ加工装置は、レンズ変換装置(不図示)を備えずに、円形レンズ7Aまたは三角形レンズ7Dのいずれかのみを備えるものであってもよい。
【0055】
本発明の実施形態におけるレンズおよびそのレンズに搭載されたレーザ加工装置50によれば、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が閉曲線からなる任意形状と同一の形となるように、凸型シリンドリカルレンズを閉路形成されるように成形されたレンズを用いるため、被加工材に対して、閉曲線からなる任意形状の部材をレーザ加工するに際し、レーザ加工する時間を削減する。また、レーザ加工装置50は、閉曲線からなる任意形状の部材をレーザ加工するに際し、レンズを回転および移動させる機構または、ステージ1を回転および移動させる機構を設ける必要がないため、レーザ加工装置自体の小型化可能とすることができる。
【0056】
本発明の実施形態におけるレンズおよびそのレンズを搭載したレーザ加工装置50のレンズは、凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面で形成されるレーザ加工装置50の光源から照射される光を入射する入射面部70と、光源から照射される光を出射する出射面部71と、入射面部70及び出射面部71の外側面に位置する外側面部72と、入射面部70及び出射面部71の内側面に位置する中空面部73を備える中空レンズである際には、レーザ加工するべき閉曲線からなる任意形状の部材を加工すべき領域に対して、光源の光を集光することができる。
【0057】
本発明の実施形態におけるレンズおよびそのレンズを搭載したレーザ加工装置50のレンズは、中空レンズの中空部分に対して、遮光板を設ける際には、レーザ加工するべき閉曲線からなる任意形状の部材を加工すべき領域外に対して、光源の光を照射しないようにすることができる。
【0058】
本発明の実施形態におけるレンズおよびそのレンズを搭載したレーザ加工装置50は、光源の光をレンズに対して照射するに際し、中空レンズの中空部分には光を照射しないように制御する際には、レーザ加工すべき閉曲線からなる任意形状の部材に対してレーザ加工装置の光源の光エネルギーを効率的に照射することができる。
【0059】
本発明の実施形態におけるレンズおよびそのレンズを搭載したレーザ加工装置50のレンズは、閉曲線からなる任意形状の部材の所定部位の曲率が高い場合に際し、入射面部または出射面部における外側面部側に位置する所定部位の領域に対して、光源から光が導光しないよう遮光材を付加する際には、当該曲率が高い所定部位外に対して、光源の光を集光しないようにすることができる。例えば、図14に示すように、三角レンズ7Dの角のように三点の曲率が高い場合に、入射面部上70または出射面部71上における外側面部72側に位置する曲率の高い部位の所望の領域に対して、光源から光が導光しないように、遮光材Mを付加する。この遮光材Mにより、光源10の光がレンズから出射しないようにすることができる。なお、上述した三角レンズ以外に、星型レンズ、ハート型レンズ、S型レンズ、その他の形状からなるレンズの曲率が高い部位の領域に遮光材を付加してもよい。
【符号の説明】
【0060】
CL 中心線
GL シリンドリカル面の線
L レーザ光
M 遮光材
N 遮光板
r 半径(レンズ)
R 半径(集光した光)
1 ステージ
5 被加工材
7A 円形レンズ
7B 両凸レンズ
7C 凸型シリンドリカルレンズ
7D 三角レンズ
10 光源
15 ビームエキスパンダ
19 反射ミラー
20 均一化装置
30 制御装置
35 導光路
40 光ファイバー
50 レーザ加工装置
70 入射面部
71 出射面部
72 外側面部
73 中空面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工材に対して、閉曲線からなる任意形状の部材を加工するレーザ加工装置に搭載されるレンズにおいて、
凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が前記閉曲線からなる任意形状と同一の形となるように、前記凸型シリンドリカルレンズを閉路形成されるように成形されたことを特徴とするレンズ。
【請求項2】
被加工材に対して、閉曲線からなる任意形状の部材を加工するレーザ加工装置において、
凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面の頂点を結んだ線が前記閉曲線からなる任意形状と同一の形となるように、前記凸型シリンドリカルレンズを閉路形成されるように成形されたレンズを搭載していることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
前記レンズは、
前記凸型シリンドリカルレンズのシリンドリカル面で形成される前記レーザ加工装置の光源から照射される光を入射する入射面部と、
前記光源から照射される光を出射する出射面部と、
前記入射面部及び前記出射面部の外側面に位置する外側面部と、
前記入射面部及び前記出射面部の内側面に位置する中空面部を備える中空レンズであることを特徴とする請求項2記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記レンズは、前記中空レンズの中空部分に、遮光板を設けることを特徴とする請求項3記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記レーザ加工装置は、前記光源の光を前記レンズに対して照射するに際し、前記中空レンズの中空部分には光を照射しないように制御することを特徴とする請求項3記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記閉曲線からなる任意形状の部材は、円形の部材であることを特徴とする請求項2から5いずれか1項記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記レンズは、前記閉曲線からなる任意形状の部材の所定部位の曲率が高い場合に際し、前記入射面部または前記出射面部における前記外側面部側に位置する前記所定部位の領域に対して、前記光源から光が導光しないよう、遮光材をレンズに付加することを特徴とする請求項3から5いずれか1項記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記レーザ加工装置は、被加工材に対して、閉曲線からなる任意形状の部材を切断することを特徴とする請求項2から7いずれか1項記載のレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−236204(P2012−236204A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105822(P2011−105822)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】