説明

レンズ欠陥検査装置

【課題】面照明とルーバー層からなる照明手段の使用により所定の角度を持った平行光源を多数形成できると共に、撮像手段のフォーカス位置を最適に設定し、レンズの外観上の欠陥を撮像手段で精度良く撮像して検査の自動化を図ることが可能なレンズ欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】検査対象レンズの製造時に発生する傷、割れ、異物、気泡等の欠陥を検査するレンズ欠陥検査装置であって、面照明及び該面照明から照射される光を多数の平行光源とするルーバー層からなる照明手段と、該照明手段から照射されて検査対象レンズを透過した光を撮像する撮像手段と、該撮像手段の検査対象レンズに対するフォーカス位置を調整しつつ撮像データを処理して検査対象レンズの良否を判定する制御手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラレンズやメガネレンズ等の少量多品種レンズの外観上の欠陥を自動的に検査するためのレンズ欠陥検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少量多品種の例えば樹脂製レンズの製造時に発生する、レンズ表面の傷や割れ、レンズ内部の異物や気泡等の外観上の欠陥を検査する場合、図9に示すような検査装置が使用されている。この検査装置101は、単一の光源102から照射される光がレンズ103により平行光とされ、この平行光が集光レンズ104で集光されて検査対象レンズWを透過し、この検査対象レンズWを透過した光により該レンズWの欠陥が結像レンズ105で結像されてその画像が結像スクリーン106に映し出される。そして、この結像スクリーン106に写し出された画像を検査員が目視で観察することにより、検査対象レンズWの欠陥が検査されるようになっている。なお、この種の検査装置に関する公報としては、例えば特許文献1がある。
【特許文献1】特開2002−5853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような検査装置101においては、検査対象レンズWの凹凸等の形態(曲率)に応じて屈折率が異なるため、個々の検査対象レンズWに応じて集光レンズ104や結像レンズ105等を所定の曲率に設定したり、その位置を図の矢印ロ、ハの如く一々手動で動かして所定に設定する必要があり、この調整が面倒となる。また、検査時の各種レンズの設定や調整を検査員の経験と勘に頼っているため、検査効率や検査精度の面でも劣り、特に少量多品種のレンズの検査には好ましくなく、レンズのコストアップを招いているのが実情である。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、面照明とルーバー層からなる照明手段の使用により所定の角度を持った平行光源を多数形成できると共に、撮像手段のフォーカス位置を最適に設定し、レンズの外観上の欠陥を撮像手段で精度良く撮像して検査の自動化を図ることが可能なレンズ欠陥検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、検査対象レンズの製造時に発生する傷、割れ、異物、気泡等の欠陥を検査するレンズ欠陥検査装置であって、面照明及び該面照明から照射される光を多数の平行光源とするルーバー層からなる照明手段と、該照明手段から照射されて検査対象レンズを透過した光を撮像する撮像手段と、該撮像手段の検査対象レンズに対するフォーカス位置を調整すると共に撮像データを処理して検査対象レンズの良否を判定する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、前記制御手段が、予め設定した検査対象レンズの複数のゾーンに前記フォーカス位置を合わせた状態で前記撮像手段により撮像することを特徴とし、請求項3に記載の発明は、前記ゾーンが、検査対象レンズを正面から見た場合に円環状のゾーンを有することを特徴とする。さらに、請求項4に記載の発明は、前記制御手段が、各ゾーン内の欠陥に重み付けをして検査対象レンズの良否を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、面照明とルーバー層からなる照明手段により多数の平行光源を形成し、この照明手段から照射されて検査対象レンズを透過した光がフォーカス位置が調整されて撮像手段で撮像されるため、照明手段で平行光源を多数形成でき、その光によりコントラストを低下させることなくかつフォーカス位置を最適に設定して、レンズの欠陥を撮像手段で精度良く撮像でき、少量多品種のレンズであってもその検査の自動化を図り、コスト安価なレンズを得ることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、制御手段により、予め設定した検査対象レンズの複数のゾーンに撮像手段のフォーカス位置を合わせた状態で撮像するため、ゾーンを所定に設定することでレンズの全域を精度良く撮像できて、レンズの検査精度をより向上させることができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、ゾーンが検査対象レンズを正面から見た場合に円環状のゾーンを有するため、例えばレンズの中心から外側に向けた円環状の撮像データにより各ゾーン内の欠陥を検出できて、レンズ全域の外観を高精度に検査することができる。
【0010】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、請求項2または3に記載の発明の効果に加え、制御手段が、各ゾーン内の欠陥に重み付けをして検査対象レンズの良否を判定するため、例えば致命的とならない外周部の軽い欠陥を不良品として判定すること等が防止されたり、最初にレンズの中央部を検査して不良が発生した場合に外周部の検査を中止して検査時間の短縮化を図る等、レンズに要求される品質に応じた適正な検査を行うことができて、レンズのコストを一層低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図8は、本発明に係るレンズ欠陥検査装置の一実施形態を示し、図1がその正面図、図2が側面図、図3が概略構成図、図4が制御手段のブロック図、図5がルーバー層の分解斜視図、図6が動作の一例を示すフローチャート、図7及び図8がその説明図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、レンズ欠陥検査装置1(以下、検査装置1という)は、コラム2と、このコラム2上にXYZ方向に移動可能に配置されると共に、内部の所定位置に面照明5及びルーバー層6からなる照明手段4が配置されて検査対象レンズW(以下、ワークWという)がセットされるテーブル3と、このテーブル3の上方でZ方向に移動可能に配置された撮像手段7等を備えている。また、テーブル3の上方の所定位置には、テーブル3上のワークWをセットしたり検査済みのワークWを取り出すためのワーク交換ロボット8(図1参照)が例えばXYZ方向に移動可能に配置されている。
【0013】
この検査装置1は、図3に示すように、照明手段4にLED駆動部10が接続され、撮像手段7にカメラ移動部11が接続され、これらが制御手段9に接続されている。また、撮像手段7のCCDからなる撮像部7aも制御手段9に接続され、制御手段9にはディスプレイ12等が接続されている。そして、面照明5で照射される光がルーバー層6で平行光となり、この平行光がワークWを透過し、その透過光が図の矢印イ方向に移動可能な撮像手段7の撮像部7aで撮像されるようになっている。
【0014】
前記制御手段9は、図4に示すように、バスライン13を介して接続されたタイマ等を有するCPU14、ROM15、RAM16、入力インターフェース17(入力I/F)、出力インターフェース18(出力I/F)、ハードディスク19(HD)と、入力I/F17に接続されたキーボード20及びマウス21と、出力I/F18に接続されたスピーカ22等で構成されている。
【0015】
そして、この制御手段9の前記入力I/F17には、前記撮像手段7が接続されると共に、前記カメラ移動部11からのフォーカス位置信号S1や検査位置に配置した図示しないセンサ等で検知されるワーク有無信号S2等の各種信号が入力されるようになっている。また、制御手段9の出力I/F18には、前記ディスプレイ12が接続されると共に、前記カメラ移動部11とLED駆動部10がそれぞれ接続されている。
【0016】
前記照明手段4の面照明5は、LED素子を使用して面発光させる所定面積の面発光LED照明で構成されている。また、照明手段4の前記ルーバー層6は、図5に示すように、XY平面に広がる第1ルーバー層6aと第2ルーバー層6bにより薄板状に形成されている。第1ルーバー層6aは、光透過帯24aと遮光帯24bとが交互に配置されて、遮光帯24bが例えばX方向に延びる壁状に形成されて遮光帯24bで区切られた部分が光透過帯24aとなっている。この第1ルーバー層6aの表裏面には透明保護層24cが設けられている。
【0017】
また、第2ルーバー層6bは、光透過帯25aと遮光帯25bとが交互に配置されて、遮光帯25bが例えばY方向に延びる壁状に形成されて遮光帯25bで区切られた部分が光透過帯25aとなっており、これにより、遮光帯25bの方向が第1ルーバー層6aの遮光帯24aに対して直交するように設定されている。この第2ルーバー層6bの表裏面にも透明保護層25cが設けられている。なお、各ルーバー層6a、6bの光透過帯24a、25aと遮光帯24b、25bのZ方向の厚さは、0.1〜2.5mm程度が好ましく、また、光透過帯24aのY方向の幅と光透過帯25aのX方向の幅は、50μm〜0.3mmの範囲が好ましく、さらに、遮光帯24bのY方向の幅と遮光帯25bのX方向の幅は、5〜50μmが好ましい。
【0018】
また、各ルーバー層6a、6bの光透過帯24a、25aは、その材料として透明性の高い樹脂が好ましく、Z方向の光透過率が75%以上(より好ましくは85%以上)が好ましく、遮光帯24b、25bとしては、その色調が黒、赤、黄、緑、青、水色で、その光透過率が40%以下(より好ましくは10%以下)が好ましい。さらに、各ルーバー層6a、6bの透明保護層24c、25cは、光透過率が75%以上(より好ましくは85%以上)が好ましい。
【0019】
次に、このように構成された検査装置1の動作の一例を、図6のフローチャートに基づいて説明する。なお、図6に示すフローチャートは、制御手段9のROM15に記憶されているプログラムに従って自動的に実行される。先ず、検査装置1の電源が投入されるとプログラムがスタート(S101)し、キャリブレーションレンズ26がセットされたか否かが判断(S102)され、この判断S102は「YES」になるまで繰返される。
【0020】
このキャリブレーションレンズ26は、図7に示すように、ワークWと同一形態のレンズに直径方向に4本のライン26aを入れたものが使用され、このキャリブレーションレンズ26がテーブル3上にセットされて検査位置まで移動すると、判断S102で「YES」となり、撮像手段7が作動してキャリブレーションレンズ26が撮像(S103)される。このリャリブレーションレンズ26の撮像は、次のようにして行われる。
【0021】
すなわち、制御手段9からLED駆動部10に駆動信号(点灯信号)が出力されると、図3に示すように、面照明5が点灯して所定色の光がルーバー層6に照射され、このルーバー層6を透過することにより多数の平行光となってワークWに照射される。これにより、ルーバー層6に多数の光源が存在する状態となり、この光源から多数の平行光がキャリブレーションレンズ26に照射されて該レンズ26の全域を透過し、その透過光が撮像手段7で撮像されることになる。
【0022】
そして、ステップS103でキャリブレーションレンズ26が撮像されると、各ライン26aのエッジ部のコントラスが合う部分がフォーカス位置として定義(S104)され、次にワークWがセットされたか否かが判断(S105)され、この判断S105も「YES」になるまで繰返される。判断S105で「YES」になると、すなわちテーブル3上のキャリブレーションレンズ26がワーク交換ロボット8により取り外されてワークWがセットされると、カメラ移動部11により撮像手段7が所定量移動(上下動)してフォーカス位置iに設定(S106)される。
【0023】
このフォーカス位置iとは、図8(a)に示すワークWの厚さ方向のA〜Hの8つの位置と、図8(b)に示すワークWの平面状で円形のa〜dの4つの位置が使用、すなわち合計32カ所のフォーカス位置が使用される。これにより、各フォーカス位置のうち隣り合うフォーカス位置により所定幅の複数のゾーンがそれぞれ形成され、ワークを正面側から見た場合の各ゾーンは、円環状を呈していることになる。
【0024】
そして、例えば最初のフォーカス位置である平面位置がaで厚さ方向位置がAの位置に、制御手段9の制御信号によりカメラ移動部11を介して撮像手段7が上下動して設定されると、該位置でワークWが撮像手段7により撮像(S107)される。このワークWの撮像も、前述したキャリブレーションレンズ26の撮像時と同様に、照明手段4のルーバー層6で形成される多数の光源から照射される平行光がワークWの全域を透過し、その透過光が撮像手段7で撮像されることにより行われる。
【0025】
ワークWが撮像されると、その撮像データが適宜に処理されて記憶(S108)される。このとき、撮像手段7の撮像部7aに撮像された撮像データは、制御手段9のCPU14により二値化処理等の画像処理がなされ、この処理データ中に例えば予め記憶してある欠陥に関する基準値を超えた部位がある場合に、該部位が欠陥として検出されその個数や大きさ等が欠陥データとしてHD19やRAM16に一時記憶される。
【0026】
ステップS108で最初のフォーカス位置の撮像データが記憶されたら、全フォーカス位置が撮像されたか否かが判断(S109)され、この判断S109で「NO」の場合は、ステップS106に戻り、撮像手段7が次のフォーカス位置、例えば平面位置がaで厚さ方向位置がBに設定され、該位置でワークWが撮像(S107)されてその撮像データが記憶(S108)される。
【0027】
この動作が全てのフォーカス位置である32カ所について実行されると、判断S109で「YES」となり、欠陥度が算出(S110)される。この欠陥度とは、欠陥がある場合はステップS108で記憶した欠陥データに基づいて算出され、欠陥がない場合は欠陥度ゼロとして算出される。なお、欠陥度は、例えば平面方向の各フォーカス位置で欠陥が検出された場合、ワークを正面から見た場合の中心であるa位置に向かうに従い欠陥度合いが高くなるように設定、すなわち各フォーカス位置に重み付けがなされている。また、例えばa位置とb位置からなるゾーン間に存在する欠陥は、両位置にファーカスを合わせた撮像データ上で共に検出されるが、このような欠陥はその位置データにより重複してカウントしないようになっている。
【0028】
そして、ステップS110で欠陥度が算出されると、この欠陥度と予めワークWに対応してROM15等に記憶されている基準値とが比較され、欠陥度が所定値内か否かが判断(S111)される。この判断S111で「YES」の場合、すなわち算出した欠陥度が所定値内の場合は、ワークWを良品と判定(S112)し、判断S111で「NO」の場合、すなわち算出した欠陥度が所定値を超える場合は、ワークWを不良品と判定(S113)し、これらのデータはHD19等に記憶される。
【0029】
このようにして、所定のワークWが撮像されて「良品」もしくは「不良品」と判定されたら、ワークWの対象ロットの検査が終了したか否かが判断(S114)され、この判断S114で「NO」の場合は、判断S105に戻り、同一ロットの次のワークWに対して判断S105以降を繰返す。一方、判断S114で「YES」の場合、すなわち対象ロットの全てのワークWの検査が終了したら、一連のプログラムがエンド(S115)となる。なお、ステップS112、S113で良品もしくは不良品と判定されたワークWは、ワーク交換ロボット8等により、良品箱もしくは不良箱に明確に区別されて保管されたり、ディスプレイ12に判定結果や欠陥箇所(部位)が表示されるようになっている。
【0030】
つまり、このフローチャートによれば、テーブル3上にワークWと同一形態のキャリブレーションレンズ26をセットしてフォーカス位置を定義し、この定義に基づいて、撮像手段7をワークWの平面方向や厚さ方向の複数のゾーンを形成する各フォーカス位置にフォーカスしてワークWの画像が撮像され、その撮像データに基づいて欠陥が検出記憶され、その欠陥度が所定値を超える場合にワークWが不良品と判定されることになる。そして、キャリブレーションレンズ26のセット及び取り外し、ワークWのセット及び取り外しから良否の判定までが制御手段9による各部の制御等で自動的に実行される。
【0031】
なお、以上のフローチャートにおいては、ワークWの32カ所の全てのフォーカス位置について順に検査するようにしたが、例えば最初にワークWの中心部分のフォーカス位置について検査し、この検査で不良が検出された場合に、外周部等の他の部分の検査を省略して検査時間の短縮化を図るフローチャートとすることもできる。また、上記フローチャートにおいては、キャリブレーション26を使用して32カ所のフォーカス位置を設定したが、例えばワークWの形状データから所定数のフォーカス位置を計算で求め、この計算値を入力することにより、フォーカス位置を設定するようにしても良い。
【0032】
このように、上記実施形態の検査装置1にあっては、照明手段4に面照明5から照射される光を多数の平行光源とするルーバー層6が配置され、このルーバー層6から照射されてワークWを透過した光が撮像手段7で撮像されるため、面照明5とルーバー層6の効果的な使用により、平行光源を多数形成することができて、その光によりコントラストを低下させることなくワークWの状態を撮像手段7で精度良く撮像することができる。
【0033】
特に、撮像手段7が上下動可能に配置されて、制御手段9によりフォーカス位置が調整可能に構成されると共に、キャリブレーションレンズ26の使用でフォーカス位置を高精度に設定できることから、一つの撮像手段7を使用しつつその焦点をワークWの所定位置に容易に設定できて、ワークWの全域を撮像することができる。また、制御手段9により、予め設定したワークWの32カ所のフォーカス位置で形成されるゾーンに撮像手段7のフォーカス位置を合わせた状態で撮像されることから、ワークWの全域を精度良く撮像することができると共に、ワークWを正面から見た場合にフォーカス位置a〜dで形成されるゾーンが円環状を呈することから、例えばワークWの中心から外側に向けた円環状の撮像データにより各ゾーン内の欠陥を検出することができ、これらのことから、ワークW全域の外観を高精度に検査することができる。
【0034】
また、制御手段9により、各ゾーン内の欠陥が重み付けされてワークWの良否が判定されるため、例えば致命的となり易いワークWの中心部にある軽い欠陥は不良品と判定し、メガネレンズのようにフレーム装着時にカットされて致命的となり難い外周部の軽い欠陥は良品として判定したり、例えば最初にレンズの中央部を検査するようにして、この検査で不良が発生した場合に外周部の検査を中止して検査時間の短縮化を図ることができ、これらにより、レンズに要求される品質に応じた適正な検査を行うことができて、レンズのコストを一層低減させることができる。
【0035】
またさらに、ルーバー層6が、第1ルーバー層6aとこの第1ルーバー層6aと直交する状態で配置された第2ルーバー層6bとを備えるため、ルーバー層6として例えばマイクロルーバー等を使用できて、多数の平行光源を容易に形成でき、一層良好な撮像データを得ることができると共に、照明手段4の面照明5が所定色の面発光LED照明であるため、安定かつ省エネ的に優れた平行光が得られると共に、検査装置1の信頼性を向上させることができる。
【0036】
また、制御手段9の制御により、キャリブリレーションレンズ26やワークWのセット及び取り外しから撮像手段7による撮像等の一連の作業がワーク交換ロボット8等により機械的に行われるため、従来の検査装置101のようにワークWの形態に応じて集光レンズ104等して一々交換したり各レンズの位置を手動で調整する必要がなくなる。また、撮像した撮像データに基づき制御手段9により欠陥が機械的に検出されて良品か不良品かが判定されるため、従来のような検査員の勘や経験に頼る作業が少なくなり、検査精度を向上させることができ、その結果、少量多品種のワークWの検査に容易に対応できて、ワークWの製造コストの大幅な低減化を図ること等が可能となる。
【0037】
なお、上記実施形態においては、ワークWのフォーカス位置を厚さ方向に8カ所で平面方向に4カ所の合計32カ所としたが、本発明はこれに限定されず、ワークWの形態や要求される品質に応じてフォーカス位置を適宜に増減することができるし、ワークW自体も凸レンズに限らず凹レンズでも適用できる。また、上記実施形態においては、面照明5として面発光LED照明を使用したが、例えばハロゲンランプと光ファイバーを用いて面照明5と略同等の機能を有する照明を形成して使用することもできる。さらに、上記実施形態における、制御手段9の構成図やコラム2に対する照明手段4と撮像手段7の配置位置等も一例であって、例えば画像処理部を撮像手段7に内蔵したり、撮像手段7を下方で照明手段4を上方に配置する等、本発明に係る各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、メガネレンズやカメラレンズへの利用に限らず、他の全てのレンズの外観上の欠陥検査にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るレンズ欠陥検査装置の一実施形態を示す正面図
【図2】同その側面図
【図3】同概略構成図
【図4】同制御手段のブロック図
【図5】同ルーバー層の分解斜視図
【図6】同動作の一例を示すフローチャート
【図7】同その説明図
【図8】同他の説明図
【図9】従来のレンズ欠陥検査装置の概略構成図
【符号の説明】
【0040】
1・・・レンズ欠陥検査装置、2・・・コラム、3・・・テーブル、4・・・照明手段、5・・・面照明、6・・・ルーバー層、6a・・・第1ルーバー層、6b・・・第2ルーバー層、7・・・撮像手段、7a・・・撮像部、8・・・ワーク交換ロボット、9・・・制御手段、10・・・LED駆動部、11・・・カメラ移動部、12・・・ディスプレイ、14・・・CPU、15・・・ROM、16・・・RAM、24a、25a・・・光透過帯、24b、25b・・・遮光帯、24c、25c・・・透明保護層、26・・・キャリブーションレンズ、26a・・・ライン、W・・・ワーク(検査対象レンズ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象レンズの製造時に発生する傷、割れ、異物、気泡等の欠陥を検査するレンズ欠陥検査装置であって、
面照明及び該面照明から照射される光を多数の平行光源とするルーバー層からなる照明手段と、該照明手段から照射されて検査対象レンズを透過した光を撮像する撮像手段と、該撮像手段の検査対象レンズに対するフォーカス位置を調整すると共に撮像データを処理して検査対象レンズの良否を判定する制御手段と、を備えることを特徴とするレンズ欠陥検査装置。
【請求項2】
前記制御手段は、予め設定した検査対象レンズの複数のゾーンに前記フォーカス位置を合わせた状態で前記撮像手段により撮像することを特徴とする請求項1に記載のレンズ欠陥検査装置。
【請求項3】
前記ゾーンは、検査対象レンズを正面から見た場合に円環状のゾーンを有することを特徴とする請求項2に記載のレンズ欠陥検査装置。
【請求項4】
前記制御手段は、各ゾーン内の欠陥に重み付けをして検査対象レンズの良否を判定することを特徴とする請求項2または3に記載のレンズ欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−74816(P2009−74816A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241706(P2007−241706)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(399003020)ディスク・テック株式会社 (6)
【Fターム(参考)】