説明

レーザクラッドバルブシートの内部検査方法

【課題】レーザクラッドバルブシートの内部検査を非破壊で行える、レーザクラッドバルブシートの内部検査方法を提供する。
【解決手段】レーザ光を照射しながら金属粉末を溝部11に供給して、当該溝部に肉盛り部を形成した後に、当該肉盛り部19を所定のシート形状に仕上げ加工して形成する、レーザクラッドバルブシート7の内部検査方法において、肉盛り部19の表層部を、仕上げ加工面L1から少なくとも超音波探傷器51の不感帯に対応する領域54を残して、バルブシート幅Sよりも広い範囲に亘って鏡面加工L2し、鏡面加工の領域Nよりも広い幅Rに亘って超音波探傷器51を走査し、超音波探傷器51の検査結果に基づいて肉盛り部19の良否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内燃機関のシリンダヘッド等に配置されて、例えば吸気バルブや、排気バルブ等のバルブシートとなる、レーザクラッドバルブシートの非破壊による内部検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関用シリンダヘッドへのバルブシートの形成方法として、バルブシート形成予定部にレーザを照射して金属粉末(クラッド材料)を溶融させながら肉盛りを行うレーザクラッド(レーザ肉盛とも呼ばれる)を用いた方法が知られている。レーザクラッドを用いることで、高硬度の異種金属層を肉盛り部として形成できるため、耐摩耗性に優れたバルブシートが得られる。
このレーザクラッド製法では、クラッド層内部に空孔が発生し、クラッド層の機械的強度に影響し、バルブシートのような、無負荷と高負荷が断続的に繰り返し付与される環境下では、その影響が大きい。
従来では、一般的な肉盛り部の内部欠陥の検査方法として、平面状のバルブ傘表面に超音波を入射させて反射波の状態により肉盛り部の良否を判定するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2008−145319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の検査方法は、超音波探傷を肉盛り部の背面から行っており、シリンダヘッドのバルブシート等では、裏側から超音波を照射できず、これでは肉盛り部の良否の判定を行えない、という問題があった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、レーザクラッドバルブシートの内部検査を非破壊で行える、レーザクラッドバルブシートの内部検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、レーザ光を照射しながら金属粉末を溝部に供給して、当該溝部に肉盛り部を形成した後に、当該肉盛り部を所定のバルブシート形状に仕上げ加工して形成するレーザクラッドバルブシートの内部検査方法において、前記肉盛り部の表層部を、バルブシート形状の仕上げ加工の予定部から少なくとも超音波探傷器の不感帯に対応する領域を残して、前記予定部におけるバルブシート面の幅よりも広い範囲に亘って鏡面加工し、前記鏡面に垂直に超音波探傷器を走査し、前記超音波探傷器の検査結果に基づいて肉盛り部の良否を判定することを特徴とする。
【0006】
本発明では、超音波反射原理を活用し、例えば肉盛り部の空孔を可視化することで、肉盛り部の良否を判定する。超音波反射原理を活用した場合、超音波特有の不感帯の存在により、表層〜0.4mmの範囲に存在する空孔を判定できない。
本発明では、肉盛り部の表層部を、バルブシート形状の仕上げ加工の予定部から少なくとも超音波探傷器の不感帯に対応する領域を残して、予定部におけるバルブシート面の幅よりも広い範囲に亘って鏡面加工し、鏡面に垂直に超音波探傷器を走査しているため、少なくとも鏡面加工の下側領域の良否を正しく判定できる。
【0007】
前記鏡面加工は、バルブシートのシート面と略平行に行われてもよい。
本構成では、超音波探傷器の不感帯に対応する領域を均等の幅で残すことができ、鏡面加工ラインをバルブシート面に近づけることができ、従って、超音波探傷器が溝底面に近づき、超音波探傷器による検出が容易になる。
前記鏡面加工は、両端に肉盛り部の黒皮部分を残存させて行われてもよい。
鏡面からの表面反射波が、空孔からの表面反射波に比して、例えば120%くらい高くなるようにゲイン調整したとすれば、鏡面加工の領域外の黒皮部分からの表面反射波は、面粗度に応じて80%程度と低くなるため、検査に当たっては、80%程度と低い黒皮部分のデータは、除外して検査できる。
このバルブは、レーザクラッドバルブシートであるため、溝の両溝壁の近傍にクラッド層のひけ変形部ができる。このひけ変形部、すなわち肉盛り部の黒皮部分を、鏡面の両端に残存させた場合には、超音波探傷器による検査時に、黒皮部分から鏡面、或いは鏡面から黒皮部分に走査する際に、その境界部を正確に検出でき、超音波探傷器の検出データの処理が容易になる。
【0008】
前記鏡面加工の基準ラインを、超音波探傷器の不感帯を考慮して決定した加工下限ラインと、切削機械の加工公差を考慮して決定した加工上限ラインとの間の中間位置に設定してもよい。
本構成では、切削機械の加工公差により、加工ラインが、加工下限から加工上限までのいずれのラインにずれたとしても、加工で得られる鏡面の幅が、前記バルブシート面の幅より広く設定される。
従って、加工公差により、加工ラインが基準ラインからずれて、加工で得られる鏡面が上下にずれても、バルブシート面の幅よりも広い、最低保証幅を持つ鏡面を確実に得ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、肉盛り部の表層部を、仕上げ加工面から少なくとも超音波探傷器の不感帯に対応する領域を残して、バルブシート幅よりも広い範囲に亘って鏡面加工し、鏡面加工の領域よりも広い幅に亘って超音波探傷器を走査しているため、少なくとも鏡面加工の下側領域の良否を正しく判定できる。
また、超音波探傷器の不感帯に対応する領域を均等の幅で残すことができ、鏡面加工ラインをバルブシート面に近づけることができるため、超音波探傷器が溝底面に近づき、超音波探傷器による検出が容易になる。
このバルブは、レーザクラッドバルブシートであるため、両溝壁の近傍にクラッド層のひけ変形部ができる。このひけ変形部、すなわち肉盛り部の黒皮部分を、鏡面の両端に残存させた場合には、超音波探傷器による検査時に、黒皮部分から鏡面、或いは鏡面から黒皮部分に走査する際、その境界部を正確に検出できるため、超音波探傷器の検出データの処理が容易になる。
また、本発明では、加工公差により、加工ラインが基準ラインからずれて、加工により得られる鏡面が上下にずれたとしても、バルブシート面の幅よりも広い最低保証幅を持つ鏡面が確実に得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るシリンダヘッド1の製造工程を示す図であり、図1(A)はレーザクラッドバルブシートの形成前、図1(B)は肉盛り部形成後、図1(C)はレーザクラッドバルブシートの形成後をそれぞれ示している。
シリンダヘッド1は、燃焼室3に連通する吸気ポート5A及び排気ポート5Bを備え、これら吸気ポート5A及び排気ポート5Bの開口が、それぞれ吸気バルブ及び排気バルブ(図示せず)で開閉される。なお、以下の説明では、これら吸気ポート5A及び排気ポート5Bを区別する必要が無いときは単にポート5と称する。
図1(C)に示すように、ポート5の開口縁には、吸気/排気バルブに密着して燃焼室3を気密に維持するためのバルブシート7が形成されている。
【0011】
シリンダヘッド1の素材にはアルミ合金が使用されて軽量化が図られるとともに、バルブシート7については、吸気/排気バルブに繰り返し接触し、そのシート面のヘルツ面圧が高負荷で、なおかつ、この高負荷が連続的に付与される部位であることから、レーザクラッドにより、シリンダヘッド1の素材と異なる金属で肉盛形成されることで耐摩耗性及び耐熱性の向上が図られている。
【0012】
(図3のステップ1)
本製造工程においては、レーザクラッドに用いる金属粉末15は、シリンダヘッド1の素材の金属とは異なる銅及びニッケルをベースとする合金のアトマイズ粉末が用いられ、高硬度の異種金属層が肉盛り部19として形成される。
レーザクラッドに用いるレーザ光17の波長は、金属粉末15のエネルギー吸収が大きい波長範囲に設定されており、金属粉末15の溶融効率が高められている。具体的には、金属粉末15が銅−ニッケル合金の場合、800〜950[nm]の波長範囲の所定値が用いられる。この波長範囲のレーザ光17の光源には、例えばモジュール式でGaaAlbAs型(a,bは固相比)のレーザ発振部を有し、半導体のPN接合部からレーザ光17を発する半導体レーザが好適に用いられ、半導体の成分を調整することで上記所定値の波長のレーザ光17が得られる。
上述したレーザ光17の波長設定により金属粉末15の溶融効率が高められているため、半導体レーザとしては1.2〜2.0[kW]程度の低出力の装置を使用して、例えば、5[mm]の肉厚の肉盛り部19を形成することができる。
レーザ光17は、照射範囲内(光軸に対して垂直な面内)でのエネルギー分布が略一様な強度分布特性を有することで、レーザ光17の照射位置で偏り無く入熱される。
【0013】
バルブシート形成前のシリンダヘッド1には、図1(A)に示すように、各ポート5の開口縁に沿ってバルブシート形成予定部9が形成されており、このバルブシート形成予定部9に上述のレーザクラッドにより肉盛り部19が形成される。
さらに詳述すると、バルブシート形成予定部9には、断面台形状の台形凹溝11がポート5の開口縁に沿って環状に形成されている。
【0014】
肉盛り部形成時には、図1(B)に示すように、台形凹溝11に粉末供給ノズル13から金属粉末15を供給しつつ半導体レーザのレーザ光17を照射することで金属粉末15を溶融し、レーザ光17の照射位置に肉盛り部19を形成する。そして、シリンダヘッド1を回転させる等してレーザ光17の照射位置を台形凹溝11に沿って環状に移動させることで、ポート5の開口縁の全周に亘って肉盛り部19を形成する。
【0015】
図2(A)は、台形凹溝11及び肉盛り部19を拡大して示す。
台形凹溝11は、いわゆる逆台形状とされており、肉盛り部形成時には、台形凹溝11に収まる程度の金属粉末15が供給されつつ、レーザ光17が広い幅に亘って、台形凹溝11の溝底面31に対して略垂直に照射されることで、当該照射範囲に対して均一な入熱が行われて肉盛り部19が形成される。
台形凹溝11とした場合、溝底が湾曲形状の溝に比べ、溝底面31が平坦であるため、開口端側でも十分な量の金属粉末15が確保される。従って、金属粉末15の量に対して入熱量が過多になることがなく、開口端側での肉盛り部19のクラックが抑制される。台形凹溝11の中央部では、溝底がV溝等に比べて溝底面31の深さが浅くなるため、金属粉末15の量が抑えられる。従って、金属粉末15の量に対して入熱量が足りなくなることが少なく、台形凹溝11の中央部で肉盛り部19に空孔の発生が抑制される。さらに、バルブシート7の幅よりも広い幅に亘って肉盛り部19を形成するため、肉盛り部19の両側に所定幅のマージンが得られる。
【0016】
台形凹溝11の開き角が大きくなるほど、台形凹溝11が浅くなるため肉盛り部19の厚みが薄くなってしまいバルブシート7の耐摩耗性の向上効果が少なくなる。また、仕上げ加工時に、平面を切り出す際の加工性も悪くなる。
これとは逆に、台形凹溝11の開き角を小さくするほど、台形凹溝11が深くなるため、レーザ光17による入熱が最深部である中央部で不足して空孔が生じ易くなる。これに加え、レーザクラッドにおいては、通常、肉盛り部19の両側に溶湯の表面張力によって凹む、いわゆる、ひけ変形部19Aが生じる。ひけ変形部19Aの凹み量は、台形凹溝11の開き角が小さくなるほど大きくなるため、このように台形凹溝11の開き角を小さくし過ぎると、バルブシート7として使用可能な厚みが減少してしまい、所定のシート幅を確保し難くなる虞もある。
上記構成では、台形凹溝11の開き角を、90度<θ≦120度の範囲で設定している。これにより肉盛り部19に十分な厚みを確保しつつ、台形凹溝11の中央部での空孔を抑制し、所定シート幅を確保している。
【0017】
本実施の形態では、図1(C)に示すバルブシート7を形成するに先だって、図2に示すように、肉盛り部19の内部検査が行われる。
この肉盛り部19を形成するに際しては、上述したように、金属粉末15の量に対して入熱量が不足すると、空孔が発生し易くなる。
この原理からすると、両溝壁32,33に近い部分と、台形凹溝11の中央部分とを比較した場合、等しい入熱量に対して、金属粉末15の量が多い中央部分において、空孔が発生し易くなる。これを言い換えると、金属粉末15の量が少ない両溝壁32,33に近い部分では、空孔が発生し難い。
従って、本構成では、肉盛り部19のうち空孔が発生し難い、両溝壁32,33に近い部分19Aを検査の対象外とする。
【0018】
肉盛り部19の内部検査は、超音波反射原理を活用し、例えば肉盛り部19の空孔を可視化することで、肉盛り部19の良否を判定する。
図2(A)中で、実線L1は、レーザクラッドバルブシート7の仕上げ加工予定部を示すラインであり、図1(C)に示すバルブシート7の仕上げ加工では、ラインL1より図中上側の余剰肉部がすべて切除される。また、図1(C)に示すバルブシート7の仕上げ加工では、幅Sのバルブシート面7Aが形成される。
【0019】
(図3のステップ2)
本検査では、まず、肉盛り部19の表層部を、基準ラインL2に沿って鏡面加工して、この鏡面に垂直に、超音波探傷器(プローブ)51を、矢印Xの方向(バルブシート7の幅方向)に往復走査する。ラインL2に沿った加工で得られる鏡面は、図1から明らかなように、略円錐面で構成され、バルブシート7のシート面7Aと略平行に延在する。
プローブ51を活用する場合、超音波特有の不感帯の存在により、表層〜0.4mmの範囲に存在する空孔を判定できない。
そこで、基準ラインL2は、レーザクラッドバルブシート7の仕上げ加工予定部を示すラインL1から、少なくともプローブ51の不感帯に対応する領域54(肉盛り部19の一部)を、ラインL2の下に残して決定する。
【0020】
基準ラインL2の決定は、まず、プローブ51の不感帯を考慮して、破線の加工下限ラインL3を決定し、切削機械(不図示)の加工公差を考慮して、破線の加工上限ラインL4を決定し、各線の中間位置を基準ラインL2と決定する。
切削機械の加工位置は、加工公差の関係から、ラインL3,L4の間でばらつくことが前提であり、いずれのラインL3〜L4の間で加工が行われても、肉盛り部19を横切る幅(鏡面の幅)は、バルブシート面7Aの幅Sよりも広く設定される。
この構成では、ラインL3〜L4のうち、加工上限ラインL4の横切る幅(保証幅N)が最も短くなっており、切削機械の加工位置が、仮にL3〜L4の間でばらついて、鏡面が上下にずれたとしても、バルブシート面7Aの幅Sよりも広い、最低保証幅Nを持つ鏡面を確実に得ることができる。
【0021】
図2(B)は、プローブ51を示し、該プローブ51は、超音波探傷ユニット52と、ディスプレイユニット53とに接続されている。
【0022】
(図3のステップ3)
プローブ51は、幅Pの超音波を発振すると共に、探傷距離WL、探傷焦点距離A、自由焦点距離Fに設定され、矢印Xの方向に往復走査される。
プローブ51の往復走査の範囲Rは、最低保証幅Nの両側に、相対位置のバラツキをみて決定した所定のマージンQをとり、各マージンQの中央間の距離に設定され、走査始点Tから走査終点Uまでの範囲である。
本構成では、鏡面加工の領域(最低保証幅N)よりも、広い幅(往復走査の範囲R)に亘ってプローブ51を走査する。プローブ51の走査方向は、バルブシート7の幅方向である。そして、プローブ51が発振した超音波を、ラインL2を含む、肉盛り部19の表面で反射し、この反射波を受けて超音波探傷ユニット52に入力し、ディスプレイユニット53に表示する。
【0023】
(図3のステップ4)
鏡面からの表面反射波が、空孔(不図示)からの表面反射波に比し、例えば120%くらい高くなるようにゲイン調整すれば、肉盛り部19の空孔が可視化されて、ディスプレイユニット53に表示され、空孔の存在確認により、肉盛り部19の良否を判定できる。プローブ51は、鏡面加工の領域外の黒皮部分も走査するが、黒皮部分からの表面反射波は、面粗度に応じて80%程度と低くなるため、検査に当たり、80%程度と低い黒皮部分のデータを除外して検査できる。従って、超音波探傷ユニット52において、プローブ51の検出データの処理が容易になる。
(図3のステップ5)
肉盛り部19の検査結果がNOであれば、不良品処理工程に移行する。
【0024】
本実施の形態では、バルブシート形状の仕上げ加工の予定部から少なくともプローブ51の不感帯に対応する領域54を残して、バルブシート幅Sよりも広い範囲に亘って鏡面加工し、鏡面の領域よりも広い幅に亘ってプローブ51を走査しているため、少なくとも鏡面の下側領域の良否を正しく判定できる。
レーザクラッドバルブシート7であるため、両溝壁32,33の近傍にクラッド層のひけ変形部19Aができる。このひけ変形部19A、すなわち肉盛り部19の黒皮部分を、鏡面の両端に残存させるため、プローブ51の検査時に、上述したように、黒皮部分から鏡面、或いは鏡面から黒皮部分に走査する際、その境界部を正確に検出でき、プローブ51の検出データの処理が容易になる。
バルブシート面7Aと略平行に、鏡面加工するため、プローブ51の不感帯に対応する領域54を基準ラインL2の下に均等の幅で残すことができ、基準ラインL2をバルブシート面7Aに近づけることができる。従って、プローブ51が溝底面31に近づき、プローブ51による検出が容易になる。
【0025】
(図3のステップ6)
図2に示す肉盛り部19の内部検査が行われ、良品(YES)と判定された後、バルブシート形成予定部9に対して仕上げ加工を施して、図1(C)に示すレーザクラッドバルブシート7を形成する。仕上げ加工では、図2(A)に示すように、所定幅Sのバルブシート7が得られるように、実線で示す輪郭線L1に沿って肉盛り部19の表層部を削り落とすとともに、バルブのかさ部分のファンネル形状に合せて台形凹溝11の両側面31A、31Bを削り落とす切削加工が施される。
バルブシート7の所定幅Sは、少なくともバルブのかさ部分との間で所定の気密性が得られる幅とされている。
【0026】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形および応用が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態に係るシリンダヘッドの製造工程を示す図であり、(A)はバルブシート形成前、(B)は肉盛り部形成後、(C)はバルブシート形成後をそれぞれ示す図である。
【図2】肉盛り部形成後のバルブシート形成予定部を拡大して示す図である。
【図3】シリンダヘッドの製造工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
1 シリンダヘッド
7 バルブシート
15 金属粉末
19 肉盛り部
11 台形凹溝
L1 ライン
L2 ライン
51 超音波探傷器(プローブ)
52 超音波探傷ユニット
53 ディスプレイユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射しながら金属粉末を溝部に供給して、当該溝部に肉盛り部を形成した後に、当該肉盛り部を所定のバルブシート形状に仕上げ加工して形成するレーザクラッドバルブシートの内部検査方法において、
前記肉盛り部の表層部を、バルブシート形状の仕上げ加工の予定部から少なくとも超音波探傷器の不感帯に対応する領域を残して、前記予定部におけるバルブシート面の幅よりも広い範囲に亘って鏡面加工し、
前記鏡面に垂直に超音波探傷器を走査し、
前記超音波探傷器の検査結果に基づいて肉盛り部の良否を判定することを特徴とするレーザクラッドバルブシートの内部検査方法。
【請求項2】
前記鏡面加工は、前記バルブシートのシート面と略平行に行われることを特徴とする請求項1に記載のレーザクラッドバルブシートの内部検査方法。
【請求項3】
前記鏡面加工は、両端に肉盛り部の黒皮部分を残存させて行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザクラッドバルブシートの内部検査方法。
【請求項4】
前記鏡面加工の基準ラインを、超音波探傷器の不感帯を考慮して決定した加工下限ラインと、切削機械の加工公差を考慮して決定した加工上限ラインとの間の中間位置に設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のレーザクラッドバルブシートの内部検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−230314(P2010−230314A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74893(P2009−74893)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】