レーザダイオードの制御方法及びレーザダイオード制御装置並びにカムコーダ
【課題】低温にあって、レーザダイオードが動作保証温度以下であっても、すぐに書込みが可能な可能なレーザダイオード制御方法を提供する。
【解決手段】レーザダイオードの温度を検出する温度センサを備え、温度センサの温度が、レーザダイオードの所定値以下であった場合には、レーザダイオードのしきい値電流に対応する電流をレーザダイオードに供給し、所定時間経過後にレーザ光を出力し、レーザダイオードの温度を動作保証温度に上昇させてから書みを開始する。
【解決手段】レーザダイオードの温度を検出する温度センサを備え、温度センサの温度が、レーザダイオードの所定値以下であった場合には、レーザダイオードのしきい値電流に対応する電流をレーザダイオードに供給し、所定時間経過後にレーザ光を出力し、レーザダイオードの温度を動作保証温度に上昇させてから書みを開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カムコーダに関し、特にカムコーダに使用する光ディスク装置の書込みに使用するレーザダイオードの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置を記録媒体としたビデオカメラが製品化されて久しい。また、光ディスク装置自体も、CD( Compact Disc )、DVD( Digital Versatile Disc )から、HD DVD( High Definition DVD )、Blu−ray Disc(ブルーレイディスク)といった次世代DVDへと進んできつつある。次世代DVDでは、記録容量が従来のDVDに比べて3倍〜5倍以上となり、近年のPDP( Plasma Display Panel )等の発展により益々高画質映像の要求が高まる中、高画質映像に伴うデータ量の増加に対応できる記憶媒体として脚光を浴びつつある。
【0003】
光ディスク装置において、記憶容量の増大に必要な要素の1つとして、単位面積あたりの記憶容量の増加が挙げられる。このためには、ディスクに焼付ける時に照射するレーザ光の直径(レーザ光径)を小さくすることが必要になってくる。レーザ光径を小さくするためには、単純には、焼付けに使用するレーザ光の波長を短くすれば良い。
現在、レーザダイオード(LD)光源としては、青紫色レーザダイオードから出力される光の波長が一番短い。青紫色レーザダイオードの光ディスク装置を使用した製品としては、PC( Personal Computer )の他、ゲーム機若しくはビデオレコーダ又はカムコーダ等がある。
【0004】
レーザダイオードを用いた装置としては、その他にレーザビーム画像形成装置がある。このような装置においては、レーザダイオードの温度が外気温度より低い場合には、レーザダイオードの出力面に水滴を生じることがあり、水滴によってレーザビームのエネルギーが熱エネルギーに変換されレンズ等が破壊する恐れがある。これを防ぐために、特許文献1若しくは特許文献2において、結露若しくは所定の温度より低い場合にはしきい値以下の電流を流し結露が消滅してからレーザ光を出力している(特許文献1若しくは特許文献2参照。)。
また、カムコーダに使用する光ディスク装置のレーザダイオード結露対策に関しては、結露の誤検出を少なくして撮影チャンスを逃さないようにする技術の一例が特許文献3に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−040850号公報
【特許文献2】特開2000−027905号公報
【特許文献3】特開2004−171655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、青紫色レーザダイオードは、他の色のレーザダイオードに比べて、動作保証温度範囲が狭く、低温になると動作しないか、または、低温キンク現象がおきることがある。低温キンク現象とは、温度をパラメータとしてレーザダイオードに流す電流を横軸にとり、縦軸にレーザ光の出力をとったときに、電流−レーザパワーの線形性が崩れる現象である。
従って、室内で使用する機器では問題ないが、屋外の寒冷地でも使うカムコーダやポータブルBDプレイヤ等では、記録(書込み)ができないという問題が起きる。
【0007】
図1は、レーザダイオード(LD)の温度が25℃の時の供給電流Iと出力レーザパワーLとの関係(I−L特性)の一例を示す図である。横軸は、レーザダイオードに供給する電流値(単位:mA )、縦軸は、供給された電流値に対応するレーザ光出力のレーザパワー(単位:mW )である。
図1において、Ithはしきい値電流、Iscは許容最大電流である。供給電流Iが小さくしきい値電流Ithまでは、レーザ光は出力されない。そして、しきい値電流Ithを超えるとレーザ光が出力され、線形性を保って、供給電流が増えるにつれてレーザパワーも増大していく。その後、最大許容電流Iscに達した後は、レーザ光出力は飽和していく。即ち、レーザダイオードは、動作保証温度範囲においては、温度が低いほど小電流で高パワーが得られる。
【0008】
図2によって、レーザダイオードの温度特性を説明する。図2は、レーザダイオードの温度(0℃、10℃、20℃)をパラメータとしたときの供給電流Iと出力レーザパワーLの関係の一例を示す図である。
図2に示すように、レーザダイオードの温度は0℃、10℃、及び20℃の特性において、温度が上がるにつれて、供給電力に対するレーザパワーが小さくなる。また、しきい値電流も温度が高くなるにつれて増大する傾向である。
更に、0℃では途中で線形性(リニアリティ)が失われている。このように、低温で線形性が失われる現象を低温キンクと呼ぶ。低温キンクが発生する温度では、線形性がないので、動作保証温度範囲外として、一般的に、レーザダイオードは使用できないので、光ディスク装置は書込み(記録)ができない。
【0009】
従来技術の特許文献1及び特許文献2は、レーザダイオード駆動装置に冷却器が備えられた機器について、レーザ光出力によってレーザダイオードが高温になり出力効率が落ちることを防ぐために冷却する場合に、冷却しすぎる問題を解決するための技術である。特に、特許文献1は、結露対策に関わり、また特許文献2は、冷却器が機能しない低い温度では温度制御ができないので、レーザ光を出力が変動するのでしきい値以下の電流を流して基準温度範囲内で駆動させる技術である。
特許文献3のカムコーダに内蔵される光ディスク装置での結露は、光ディスク装置が冷たくてレーザダイオード自体が周囲温度よりも低温状態のときに、周囲の雰囲気中の水分がレーザダイオードに付着する現象である。換言すれば、レーザダイオードの温度がレーザダイオードの動作保証温度より高くなった時に強制的に冷却を行い、レーザダイオードだけ周囲温度より低温の状態を作るので、結露の発生を必然的に伴う。従って、特許文献3の現象は、結露対策を目的とする特許文献1はもとより、冷却器を備える特許文献2の技術にも結露が必然的に発生する。
【0010】
いずれにしても、従来技術の特許文献1、特許文献2、若しくは特許文献3による問題は、本願発明にあるような、低温キンク現象が発生するような、即ち、レーザダイオードの補償温度以下の温度での問題とは異なる。
本発明の目的は、上記のような問題を解決し、低温キンク現象が発生するほど低温で(即ち、カムコーダ等の機器に使用し、屋外で使用する)レーザダイオードの動作保証温度以下の場合に、機器に備えられた光ディスク装置の書込みに使用するレーザダイオードの駆動方法及び駆動装置並びにカムコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明のレーザダイオード制御方法及び制御装置並びにカムコーダは、工場出荷前に、個々のレーザダイオードについて、初期の電流―レーザパワー特性を所定の温度をパラメータとして取得し、カムコーダ等のメモリに記憶し、かつ、温度毎のしきい値電流を記憶し、温度センサによってレーザダイオードの温度を監視し、低温時には、ユーザの指示に応じて、ユーザが低温書込みモードで使用することとしたときには、低温時には、温度に応じたしきい値以下の電流を供給する。供給中には、温度センサの検出温度を監視し、温度に応じたしきい値電流を供給するように制御するものである。
また好ましくは、温度上昇に追随してしきい値電流を増加させていくものである。
また経年変化に対しては、所定の最大出力パワーを出す電流値としきい値電流とが経年変化する。トレーニングモードを選択(若しくは、電源投入時)すると初期状態の特性からシフトした特性で制御するものである。
【0012】
即ち、本発明のレーザダイオード制御方法は、レーザダイオードと、レーザ光を出力するための電流を供給してレーザダイオードを駆動する駆動装置と、レーザダイオードの近傍の温度を検出する温度センサとを備えたレーザダイオード制御装置のレーザダイオード制御方法であって、温度センサの温度が、レーザダイオードの所定値以下であった場合には、レーザダイオードのしきい値電流に対応する電流をレーザダイオードに供給し、所定時間経過後にレーザ光を出力することを特徴とする。
【0013】
また本発明のレーザダイオード制御装置は、レーザダイオードと、レーザ光を出力するための電流を供給してレーザダイオードを駆動する駆動装置とを備えたレーザダイオード制御装置において、レーザダイオードの近傍の温度を検出する温度センサと、レーザダイオードのしきい値電流を記録したメモリと、温度センサの検出する温度に基づいて、温度に対応するしきい値電流を駆動装置によってレーザダイオードに供給させ、温度センサの検出した温度がレーザダイオードの動作保証温度に達したことを確認してからレーザ光を出力する電流をレーザダイオードに供給させる制御手段を有することを特徴とする。
また好ましくは、上記レーザダイオード制御装置の制御手段は、温度センサの温度に応じて、所定周期でレーザダイオードに供給する電流を更新することを特徴とする。
【0014】
更に、本発明のカムコーダは、レーザダイオードとレーザ光を出力するための電流を供給してレーザダイオードを駆動する駆動装置とを備えたレーザダイオード制御装置を有し、レーザダイオード制御装置によって記憶媒体に取得した映像データを記録するカムコーダであって、レーザダイオードの近傍の温度を検出する温度センサと、レーザダイオードのしきい値電流を記録したメモリと、温度センサの検出する温度に基づいて、温度に対応するしきい値電流を駆動装置によってレーザダイオードに供給させ、温度センサの検出した温度がレーザダイオードの動作保証温度に達したことを確認してからレーザ光を出力する電流をレーザダイオードに供給させる制御手段とを有することを特徴とする。
また好ましくは、本発明のカムコーダの制御手段は、温度センサの温度に応じて、所定周期でレーザダイオードに供給する電流を更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、情報の記録を適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図3は、本発明の一実施例のカムコーダの構成を示すブロック図である。1は光学ヘッド(ピックアップ)、2はディスク、3はレーザダイオード(LD)、4は温度センサ、5はコリメートレンズ、6はビームスプリッタ、7はトラッキングアクチュエータ、8はフォーカスアクチュエータ、9は対物レンズ、10は集光レンズ、25は集光レンズ10の光を電気信号に変換するフォトダイオード(PD)、11はカメラブロック、12はオーディオ入力部、13はビデオ/オーディオエンコーダ、14は圧縮/伸長処理部、15はRAM( Random Access Memory )、16はDVD信号処理部、17はプレイバックRAM、18はレコーディングRAM、19は制御用マイクロコンピュータ、20はアナログフロントエンド、21はモータアンプ、22はスピンドルモータ、24はシークモータ、31は多重化処理部、32はビデオ処理部、33はオーディオ処理部である。
【0017】
図3のカムコーダにおける光ディスク装置は、温度センサ4とレーザダイオード3を含む光学ヘッド1、光ディスク2、アナログフロントエンド20、モータアンプ21、及び、シークモータ24で構成されるが、カムコーダではなく、光ディスク装置として考える場合には、制御用コンピュータ19及びDVD信号処理部の一部(インターフェース)も構成に含まれる。また、本願発明として見れば、カムコーダ全体が関係することもある。
また同様に、光ディスク装置若しくはレーザダイオード駆動装置又はカムコーダは、クロック信号に基づいて動作する部分がある。従って、以降で述べる時間的要素の測定若しくは判定手段は特に明記しない。
【0018】
図3において、カメラブロック11は、レンズ、CCD( Charge Coupled Device )、駆動回路、及び映像信号処理回路を少なくとも備え、レンズを通して得られた光像を、駆動回路に駆動されたCCDが電気信号に変換し、映像信号処理回路によって画質調整されて圧縮/伸長処理部14のビデオ処理部32に出力する。一方。オーディオ入力部12はマイク等の音源センサによって取り込んだ音を電気信号に変換して圧縮/伸長処理部14のオーディオ処理部33に出力する。
ビデオ処理部32は、入力された映像をデジタル映像信号に変換して多重化処理部31とビデオ/オーディオエンコーダ13に出力し、オーディオ処理部33は、入力された音をデジタル映像信号に変換して多重化処理部31とビデオ/オーディオエンコーダ13に出力する。ビデオ/オーディオエンコーダ13は、制御用マイクロコンピュータの制御に応じて、入力された映像データと音声データを出力する。
多重化処理部31は、入力された映像データと音声データを多重化処理してDVD信号処理部16に出力する。
【0019】
DVD信号処理部16は、多重化処理部31から入力された映像音声圧縮データをレコーディングRAM18を使って一時記憶させながらDVD記録ストリームとしてアナログフロントエンド20に出力する。また、同時に、モータアンプ21にサーボ系信号(再生時にも使用)を出力して、光ディスクへの書込みを制御する。なお、プレイバックRAM17は、光ディスクから読出され、アナログフロントエンド20からDVD再生ストリームとして出力される映像音声データを、再生する時に一時記憶させながら多重化処理部31に出力するときに使用する。
アナログフロントエンド20は、DVD信号処理部16から入力されたDVD記録ストリームのデータから、電流パルスに変換して、光学ヘッド1のレーザダイオード3に供給する。
【0020】
レーザダイオード3は、供給された電流値に応じたパワーのレーザ光を出力する。出力されたレーザ光は、コリメートレンズ5ビームスプリッタ6、及び対物レンズ9を通って、光ディスク2にレーザ光を照射することによって、記録(書込み)がなされる。このとき、レーザダイオード3から出力されたレーザ光の一部がビームスプリッタ6で分光され集光レンズ10を介してフォトダイオード25に入射する。フォトダイオード25は、入射した光の強度を検出し、検出した強度データをアナログフロントエンド20に出力する。アナログフロントエンド20は入力された光の強度データから、現在のレーザ光のパワーが適切か否かを判定し、適切ならば、そのままの設定で電流を供給し、不適切と判定すれば、DVD信号処理部16から入力されるDVD記録ストリームのデータから電流パルスに変換する変換レートを変更して、電流を供給する、この時、アナログフロントエンド20と制御用マイクロコンピュータ19とは常にデータをアクセスし合い、状況に対応して設定条件を更新し続ける。
【0021】
モータアンプ21は、アナログフロントエンド20からサーボ系信号を受取り、受取ったサーボ系信号に基づいて、スピンドル制御信号をスピンドルモータ22に出力し、フォーカストラッキング制御信号をトラッキングアクチュエータ7に出力し、かつ、シーク制御信号をシークモータ24に出力する。そして、スピンドルモータ22はスピンドル制御信号に対応して光ディスク2を回転させ、トラッキングアクチュエータ7はフォーカストラッキング制御信号に対応して光ディスク2に照射されるレーザ光の焦点距離を変更し、シークモータ24はシーク制御信号に対応して光ディスクの所定位置にレーザ光の照射位置を変更する。
【0022】
この時、温度センサ4は、レーザダイオード3の近傍に設置され、レーザダイオード3の温度若しくは温度情報を検出し、検出した温度若しくは温度情報を制御用マイクロコンピュータ19に出力する。制御用マイクロコンピュータ19は、温度センサ4から入力される温度若しくは温度情報から、レーザダイオード3の温度を把握し、必要に応じてアナログフロントエンド20にアクセスしてレーザダイオード3に供給する電流値の変換レートの変更又は供給の開始若しくは停止を制御する。
なお、制御用マイクロコンピュータ19は、アナログフロントエンド20との間でアクセスするだけでなく、カムコーダ全般の構成要素間ともアクセスし合い、カムコーダを適切な動作状態に保つ。
【0023】
図4は、参考までに示す、カムコーダの外観図である。40はカムコーダ、41は光ディスク装置、42はレンズ部、43はマイク部、44はファインダ部である。
光ディスク装置41は、外部からリムーバルな記憶媒体である光ディスク(例えば、DVD−RAM)が着脱自在であるようになっており、外部雰囲気、特に気温の影響を受け易い。
【0024】
次に、図5と図3によって、本発明の光ディスク装置の動作の一実施例(モードI)を説明する。図5は、本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャートである。
以降の動作は、制御用マイクロコンピュータ19がカムコーダ内の必要な構成要素に、カムコーダの動作プログラムに従ってアクセスする(情報の吸上げとコントロールを行う)。なお、動作プログラムの判定若しくは算出、又は参照するために必要なデータは、あらかじめ、制御用マイクロコンピュータ19が取出せるように、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵するメモリに保存されており、かつ、データの中身も必要に応じて更新されている。また、温度センサ4は、制御用マイクロコンピュータ19の処理動作に支障ない所定時間間隔で、レーザダイオード3の温度を検出して制御用マイクロコンピュータ19に出力している。また、フォトダイオード、その他の検出要素も同様である。
【0025】
図5において、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスクの書込み(記録)を、ボタン等のインターフェースを使って指示すると、ステップ501以降の動作が開始される。
まず、ステップ501では、温度センサ4の検出するレーザダイオード3の温度が規定温度以下か否かを判定する。レーザダイオード3の温度が規定温度以下であれば、ステップ502に進み、規定温度を超えていればステップ508に進む。
ステップ508では、レーザ光を出力する通常の動作が行われる。即ち、カムコーダは撮像した映像を光ディスク装置にセットされたDVD−RAM等のディスクへ書込みを行い、書込み(記録)後動作を終了する。
ステップ502では、現在の温度から規定温度に達するまでの温度差を、上昇温度として算出する。
【0026】
ステップ503では、現在の温度でレーザ光が出力されない最大の電流値(即ち、検出された温度でのしきい値電流Ith)を、I−L特性データ(図1、図2、等参照。)を参照して取出し、そのしきい値電流Ithを供給電流とした時に必要な温度まで要する時間を温度テーブル参照若しくは計算式により算出する。そして、供給する電流値をアナログフロントエンド20に出力する。なお、カムコーダには、あらかじめ出荷時に測定した温度特性データもテーブル若しくは計算式として、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵されたメモリに、保存してある(後述の図7参照。)。
【0027】
ステップ504では、アナログフロントエンド20が制御用マイクロコンピュータ19から指示された電流値をレーザダイオード3に供給する(プリヒート)。
ステップ505では、算出した時間が経過したか否かを判定し、経過していなければステップ506に進み、経過していれば電流供給を停止して、ステップ508に進む。
なお、ステップ508に移行して、ステップ508の動作を開始するまで、電流供給をそのまま維持しても良い。
なお、時間は算出せず、所定時間経過したら、再度温度センサの値から再計算して再度指示を出しても良い。
【0028】
ステップ506では、入射する光の強度のフォトダイオード25による検出結果をアナログフロントエンド20から受取り、光を検出した場合には“光感度有”としてステップ507に進み、検出しない場合にはステップ504に進む。
ステップ507では、アナログフロントエンド20が供給する電流値を所定値下げるように指示して電流値を下げて、ステップ504に進む。
以上述べたように、図5の実施例によれば、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光を出力を開始するので、正常な書込みが実施できる。
【0029】
次に、図6と図3によって、本発明の光ディスク装置の動作の別の実施例(モードII)を説明する。図6は、本発明の一実施例であって、図5のモードIの動作をより簡便にした動作手順を説明するためのフローチャートである。
以降の動作でも図5と同様に、制御用マイクロコンピュータ19がカムコーダ内の必要な構成要素に、カムコーダの動作プログラムに従ってアクセスする(情報の吸上げとコントロールを行う)。なお、動作プログラムの判定若しくは算出、又は参照するために必要なデータは、あらかじめ、制御用マイクロコンピュータ19が取出せるように、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵するメモリに保存されており、かつ、データの中身も必要に応じて更新されている。また、温度センサ4は、制御用マイクロコンピュータ19の処理動作に支障ない所定時間間隔で、レーザダイオード3の温度を検出して制御用マイクロコンピュータ19に出力している。また、フォトダイオード、その他の検出要素も同様である。
【0030】
図6において、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスクの書込み(記録)を、ボタン等のインターフェースを使って指示すると、ステップ501以降の動作が開始される。
まず、ステップ501では、温度センサ4の検出するレーザダイオード3の温度が規定温度以下か否かを判定する。レーザダイオード3の温度が規定温度以下であれば、ステップ603に進み、規定温度を超えていればステップ508に進む。
ステップ508では、レーザ光を出力する通常の動作が行われる。即ち、カムコーダは撮像した映像を光ディスク装置にセットされたDVD−RAM等のディスクへ書込みを行い、書込み(記録)後、動作を終了する。
【0031】
ステップ603では、図5のステップ502と同様に、現在の温度から規定温度に達するまでの温度差を、上昇温度として算出する。かつ、現在の温度でレーザ光が出力されない最大の電流値(即ち、検出された温度でのしきい値電流Ith)を、I−L特性データ(図1、図2、等参照。)を参照して取出し、そのしきい値電流Ithを供給電流とした時に必要な温度まで要する時間を温度テーブル参照若しくは計算式により算出する。そして、供給する電流値と時間とをアナログフロントエンド20に出力する。なお、カムコーダには、あらかじめ出荷時に測定した温度特性データもテーブル若しくは計算式として、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵されたメモリに、保存してある(後述の図7参照。)。
【0032】
ステップ604では、アナログフロントエンド20が制御用マイクロコンピュータ19から指示された電流値をレーザダイオード3に供給(プリヒート)し、指示された所定時間が経過した後、電流供給を停止して、ステップ508に進む。
なお、ステップ508に移行して、ステップ508の動作を開始するまで、電流供給をそのまま維持しても良い。
以上述べたように、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光を出力を開始するので、正常な書込みが実施できる。
【0033】
次に、図7を用いて、図5(モードI)若しくは図6(モードII)の処理動作において必要なテーブル若しくは計算式について説明する。図7は、レーザダイオードにしきい値電流以下の電流を供給した時の、時間軸を横軸としたレーザダイオードの温度上昇特性の一例を示す図である。
しきい値電流が小、中、大としたときの経過時間tでのレーザダイオードの温度上昇△tは、個々のレーザダイオードでばらつきがあり、異なる温度特性値となる。従って、例えば、カムコーダ又は光ディスク装置若しくはレーザダイオードの出荷時に温度特性を取得して、取得した温度特性のデータをカムコーダ内のメモリ(例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵の不揮発性メモリ)に保存しておく。
【0034】
図5のステップ503では、供給する電流(その温度でのしきい値電流)をI−L特性データから取出し、ステップ502で算出した上昇温度[a]に達するまでの時間を図7のグラフをもとにしたテーブル若しくは計算式から算出する。
例えば、図7のグラフにおいて、供給電流が小の場合には、上昇温度[a]と交差するところの時間Cを求めることができる。
図6のステップ603も、上述したステップ502とステップ503と同様に求める。
【0035】
図7について、更に説明する。
レーザダイオードにしきい値Ith以下の電流を流すと、レーザ光は出力されないのでで、その電気エネルギーは、レーザダイオードのジャンクションで熱エネルギーに変換される。ジャンクションの熱容量をTc(単位:[J/℃])、与えられる熱量をQ(単位:[J])とした時、ジャンクションの上昇温度△t(単位:[℃])は、式(1)で求められる。
【0036】
【数1】
熱量Qと電力P(単位:[W])には、時間t(単位:[s])とすると、式(2)の関係があり、供給電流をId(単位:[A])と供給電圧をVd(単位:[V])とすると、
【0037】
【数2】
式(2)で式(1)を置換すると、式(3)となる。
【0038】
【数3】
【0039】
供給電流Idと供給電圧Vdを共に一定とすれば、電力Pも一定であるので、常時一定の熱量Qが与えられるので、上昇温度△tは時間tに比例して上昇する(図7の[d])。実際には、熱がジャンクション外に逃げるので、Qo=α×(Tj−T0)の熱量が逃げる。ここで、αは熱伝導係数、Tjはジャンクション温度(単位:[℃])、T0は外部温度(単位:[℃])である。ジャンクション温度Tjが高くなればなるほど、逃げる熱量Q0が大きくなるので、図7の[c]のように飽和していく。しきい値電流が大きいほど、飽和するまでの時間が大きくなる(例えば、図7の上昇温度[b]での所要時間D)ので、しきい値電流が大きいほど、レーザダイオードは加熱可能である。
【0040】
従って、図5のモードIのフローチャートの動作手順を変更して、図8のモードIIIように動作させれば、本発明のレーザダイオードの電流制御方法及び電流制御装置並びにカムコーダは、更に、良い結果を生むことができる。図8は、本発明の一実施例(モードIII)の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【0041】
以降の動作は、制御用マイクロコンピュータ19がカムコーダ内の必要な構成要素に、カムコーダの動作プログラムに従ってアクセスする(情報の吸上げとコントロールを行う)。なお、動作プログラムの判定若しくは算出、又は参照するために必要なデータは、あらかじめ、制御用マイクロコンピュータ19が取出せるように、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵するメモリに保存されており、かつ、データの中身も必要に応じて更新されている。また、温度センサ4は、制御用マイクロコンピュータ19の処理動作に支障ない所定時間間隔で、レーザダイオード3の温度を検出して制御用マイクロコンピュータ19に出力している。また、フォトダイオード、その他の検出要素も同様である。
【0042】
即ち、図8において、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスクの書込み(記録)を、ボタン等のインターフェースを使って指示すると、ステップ501以降の動作が開始される。
そして、ステップ501では、温度センサ4の検出するレーザダイオード3の温度が規定温度以下か否かを判定する。レーザダイオード3の温度が規定温度以下であれば、ステップ803に進み、規定温度を超えていればステップ508に進む。
ステップ508では、レーザ光を出力する通常の動作が行われる。即ち、カムコーダは撮像した映像を光ディスク装置にセットされたDVD−RAM等のディスクへ書込みを行い、書込み(記録)後動作を終了する。
【0043】
ステップ803では、現在の温度でのレーザ光が出力されない最大の電流値(即ち、検出された温度でのしきい値電流Ith)を、I−L特性データ(図1、図2、等参照。)を参照して取出す。そして、供給する電流値と時間とをアナログフロントエンド20に出力する。なお、カムコーダには、あらかじめ出荷時に測定した温度特性データもテーブル若しくは計算式として、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵されたメモリに保存してある。
【0044】
ステップ804では、アナログフロントエンド20が制御用マイクロコンピュータ19から指示された電流値をレーザダイオード3に供給(プリヒート)し、ステップ506に進む。
ステップ506では、集光レンズ10を介してフォトダイオード25に入射する光の強度の検出結果をアナログフロントエンド20から受取り、光を検出した場合には“光感度有”としてステップ507に進み、検出しない場合にはステップ805に進む。
ステップ507では、アナログフロントエンド20が供給する電流値を所定値下げるように指示して電流値を下げて、ステップ501に戻る。
ステップ805では、プリヒートした時間が所定時間経過したか否かを監視し、経過していなければ監視を続け、経過した場合には、ステップ501に戻る。
ステップ501では、プリヒートされて温度が上昇したレーザダイオードの温度を再度判定し、規定温度を超えていればステップ508に進み、以下であれば、ステップ803以降に進み、現在の温度でのレーザ光が出力されない最大の電流値(即ち、検出された温度でのしきい値電流Ith)で、レーザダイオードに電流を供給する。
【0045】
以上のように、図8のモードIII実施例では、所定周期(所定時間間隔)で温度を監視して、常に、レーザ光を出力しない最大の電流を供給するので、迅速かつ効率的にレーザダイオードを低温状態から動作補償温度まで到達させることができ、迅速かつ効率的に光ディスクへの書込み(記録)が実施できる。
なお、所定周期は、温度範囲に応じて、時間間隔若しくは周期を変更しても良い。例えば、レーザダイオードの温度が低い範囲内では周期を長く設定し、温度が高い範囲内では、周期を短く設定する。また、温度が高い範囲内では、範囲設定を小さく取り、小刻みに周期設定を短くする等である。
以上述べたように、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光を出力を開始するので、正常な書込みが実施できる。
【0046】
次に、本発明の他の実施例(モードIV)を図9によって説明する。図9は、もっとも簡便にレーザダイオードを動作保証温度範囲まで熱することができる動作手順である。
図9において、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスクの書込み(記録)を、ボタン等のインターフェースを使って指示すると、ステップ501以降の動作が開始される。
まず、ステップ501では、温度センサ4の検出するレーザダイオード3の温度が規定温度以下か否かを判定する。レーザダイオード3の温度が規定温度以下であれば、ステップ903に進み、規定温度を超えていればステップ508に進む。
ステップ508では、レーザ光を出力する通常の動作が行われる。即ち、カムコーダは撮像した映像を光ディスク装置にセットされたDVD−RAM等のディスクへ書込みを行い、書込み(記録)後動作を終了する。
【0047】
ステップ903では、現在の温度でのレーザ光が出力されない最大の電流値(即ち、検出された温度でのしきい値電流Ith)を、I−L特性データ(図1、図2、等参照。)を参照して取出す。そして、供給する電流値について、図7の温度特性データから、飽和する時間(図7の時間E)を参照し、しきい値電流Ithと時間Eとをアナログフロントエンド20に出力する。なお、カムコーダには、あらかじめ出荷時に測定した温度特性データもテーブル若しくは計算式として、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵されたメモリに、保存してある。
【0048】
ステップ904では、アナログフロントエンド20が制御用マイクロコンピュータ19から指示された電流値をレーザダイオード3に供給(プリヒート)し、ステップ508に進む。
なお、図9のモードIV実施例では、温度上昇の途中で、レーザダイオードのしきい値Ithを超す電流が供給され、レーザ光が出力される場合があるので、レーザ光の照射位置を媒体の位置からはずしておくか又は媒体の書込み若しくは読出し領域とは無関係な場所に照射位置を変えておく。また、更に焦点をぼかすようにしておく。そして、ステップ508では、一度供給電流をゼロにしてから、照射位置と焦点位置とを元にもどして書込みを開始する。
以上述べたように、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光を出力を開始するので、正常な書込みが実施できる。
【0049】
次に、本発明の他の実施例を図10によって説明する。図10は、カムコーダ若しくは光ディスク装置に低温スタンバイモードのオンオフ設定機能を備え、ユーザが、カムコーダ若しくは光ディスク装置について低温スタンバイモードに設定している場合には、上述の図5、図6、図8、若しくは図9の実施例(モードI〜モードIVのいずれか1つ)のフローチャートの手順を実行するようにしたものである。
【0050】
このモードを加えることにより、例えば、ユーザが、光ディスク装置のリムーバブル媒体を交換しようとする場合に、光ディスク装置の開閉蓋を開け閉めし、結露が発生し易い状態の時には、低温スタンバイモードをオフにすることで、レーザダイオードに結露を発生させないようにて、破損等による寿命が短くなることを防止することができる。
また、光ディスク装置の開閉蓋の開け閉めを行なった時には、自動的に所定時間低温スタンバイモードをオフにして、ファインダにその旨の警告を表示しても良い。
【0051】
即ち、図10の実施例においては、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスクの書込み(記録)を、ボタン等のインターフェースを使って指示すると、ステップ1001以降の動作が開始される。
ステップ1001では、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスク装置を低温スタンバイモードをオンに設定しているか否かを判定し、オンに設定されていることが判定によって分かれば、ステップ1002に進む。また、オフに設定していれば、図5等で説明したステップ508の書込み(記録)動作を実行する。
ステップ1002では、図5、図6、図8、若しくは図9の既に説明したプリヒート動作を実行する。
以上述べたように、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光を出力を開始するので、正常な書込みが実施できる。
【0052】
図11は、本発明の別の実施例で、図10の実施例の低温スタンバイモードのオンオフ設定機能に加え、ユーザが状況に応じて所望の低温スタンバイモードの種類を選択して設定できるものである。即ち、例えば、上述の図5、図6、図8、若しくは図9の実施例の動作モード(モードI〜IV)のいずれかを選択して実行するようにしたものである。
このモードを加えることにより、ユーザは、撮影の必要性や、環境条件、カムコーダ等の電子機器の状況に応じて、所望のモード若しくは低温スタンバイモードの種類を選択できるので、ユーザの使い勝手が向上する。
【0053】
図11において、ステップ1001では、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスク装置を低温スタンバイモードをオンに設定しているか否かを判定し、オンに設定されていることが判定によって分かれば、ステップ1101に進む。また、オフに設定していれば、図5等で説明したステップ508の書込み(記録)動作を実行する。
ステップ508の動作の手順は、図10でも説明したが、図11では、図面の都合上、ステップ508を別に描き、T1とT2を用いて動作手順の接続をしている。
【0054】
ステップ1101では、ユーザ設定が簡易モードで設定しているか否かを判定する。簡易モードの設定であればステップ1102に進み、そうでなければステップ1103に進む。
ステップ1102では、ユーザの設定した動作モードがモードII(図6参照)かモードIV(図9)か否かを判定し、モードIIならばステップ1104に進み、モードIVならばステップ1105に進む。
ステップ1103では、ユーザの設定した動作モードがモードI(図5参照)かモードIII(図8)か否かを判定し、モードIならばステップ1106に進み、モードIIIならばステップ1107に進む。
【0055】
ステップ1104では、モードII(図6参照)の動作手順を実行する。
ステップ1105では、モードIV(図9参照)の動作手順を実行する。
ステップ1106では、モードI(図5参照)の動作手順を実行する。
ステップ1107では、モードIII(図8参照)の動作手順を実行する。
【0056】
以上述べたように、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光の出力を開始するので、正常な書込みが実施できる。
【0057】
次に、本発明の他の実施例を図12、図1、図2、及び図4を参照しながら説明する。図12は、レーザダイオードのI−L特性について、レーザダイオード毎に個々のばらつきがあることを説明するための図である。
【0058】
図12は、図1のレーザダイオードのI−F特性について、個々のレーザダイオード毎の特性に違いがあることを説明するための図である。図12に示すように、レーザダイオードLD1、LD2、及びLD3について、I−F特性が異なる。また、これらの特性は、経年変化でも変化してくる。
従って、工場での出荷調整時に、先ず個々のレーザダイオードについて、初期のI−F特性を、所定の温度毎に、所定のサンプリング数(所定の電流値毎)に測定してデータの採取を行い、そのデータをテーブル若しくは計算式として、カムコーダ、若しくは光ディスク装置に内蔵する若しくは接続できるメモリに保存している。なお、レーザパワーは、例えば、図4のブロック構成図に示すように、フォトダイオード等で光強度を測定して検出する。このように、データを保存することによって、本発明の一連の動作を実行できる。
【0059】
また更に、経年変化については、例えば、カムコーダ若しくは光ディスクの起動時に、温度センサの検出温度をもとに、設定最大パワーHIが出力される電流値Imaxとしきい値電流Ithを測定し、測定したデータにシフトするように保存してあったデータを置換することによって行う。なお、その時に、温度は設定の使用が無いが、例えば、本発明の実施例の如く、所定の温度範囲になるまでプリヒートすることで解決しても良い。
【0060】
上述の実施例においては、光ディスク装置と一体化したカムコーダを例にして説明した。しかし、本発明は、それに限らず、一体化していないビデオカメラ(デジタルカメラを含む)でも、光ディスク装置だけの場合でも適用可能であり、またカムコーダ等のカメラに限らず、光ディスク装置を記録装置として搭載する電子機器、特に携帯用の電子機器に適用できる。
例えば、PDA( Personal Digital Assistant )、携帯電話機器、等でも良い。
【0061】
なお、本発明は、光ディスク装置を記録媒体としたレーザダイオードに関するが、特に、書込み(記録)と読み出しの両方について、レーザ等の光を使用するCD、DVD、次世代DVD、等である必要は無く、書込みをレーザ等の光を使用すれば良いので、読み取りに磁気を使用する光磁気記録方式の記録媒体、例えば、MO( Magneto-Optical Disc )やMD( Mini Disc )でも良い。また、MDの例を挙げた如く、記録する目的や対象が何であっても良い。
【0062】
更に本発明は、レーザダイオードだけに限らず、同様の特性を持つLED( Light Emitting Device )等にも適用でき、信号灯、屋外照明機器、電光掲示板等の広告表示装置、交通標識、テレビ放送受像機等にも有効に適用可能である。
更に、上述の温度センサは温度を直接検出するが、熱伝対のように別の物理的単位のデータを検出して、制御用マイクロコンピュータ等の制御部で温度に換算しても良いし、テーブル若しくは計算式を温度ではなく、温度センサの検出する物理的単位のデータで表しても良い。
【0063】
以上のように、上述の実施例によれば、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光の出力を開始するので、動作保証温度以下の低温でも正常な書込みが実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】レーザダイオードのI−L特性の一例を示す図。
【図2】レーザダイオードの温度をパラメータとしたときのI−L特性の一例を示す図。
【図3】本発明のカムコーダの一実施例の構成を示すブロック図。
【図4】本発明を適用するカムコーダの一実施例の外観図。
【図5】本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャート。
【図6】本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャート。
【図7】レーザダイオードにしきい値電流以下の電流を供給した時の、時間軸を横軸としたレーザダイオードの温度上昇特性の一例を示す図。
【図8】本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャート。
【図9】本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャート。
【図10】本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャート。
【図11】本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャート。
【図12】レーザダイオードのI−L特性についての個々のばらつきを説明するための図。
【符号の説明】
【0065】
1:光学ヘッド、 2:ディスク、 3:レーザダイオード(LD)、 4:温度センサ、 5:コリメートレンズ、 6:ビームスプリッタ、 7:トラッキングアクチュエータ、 8:フォーカスアクチュエータ、 9:対物レンズ、 10:集光レンズ、 11:カメラブロック、 12:オーディオ入力部、 13:ビデオ/オーディオエンコーダ、 14:圧縮/伸長処理部、 15:RAM、 16:DVD信号処理部、 17:プレイバックRAM、 18」レコーディングRAM、 19:制御用マイクロコンピュータ、 20:アナログフロントエンド、 21:モータアンプ、 22:スピンドルモータ、 24:シークモータ、 25:フォトダイオード(PD)、 31:多重化処理部、 32:ビデオ処理部、 33:オーディオ処理部、 40:カムコーダ、 41:光ディスク装置、 42:レンズ部、 43:マイク部、 44:ファインダ部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カムコーダに関し、特にカムコーダに使用する光ディスク装置の書込みに使用するレーザダイオードの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置を記録媒体としたビデオカメラが製品化されて久しい。また、光ディスク装置自体も、CD( Compact Disc )、DVD( Digital Versatile Disc )から、HD DVD( High Definition DVD )、Blu−ray Disc(ブルーレイディスク)といった次世代DVDへと進んできつつある。次世代DVDでは、記録容量が従来のDVDに比べて3倍〜5倍以上となり、近年のPDP( Plasma Display Panel )等の発展により益々高画質映像の要求が高まる中、高画質映像に伴うデータ量の増加に対応できる記憶媒体として脚光を浴びつつある。
【0003】
光ディスク装置において、記憶容量の増大に必要な要素の1つとして、単位面積あたりの記憶容量の増加が挙げられる。このためには、ディスクに焼付ける時に照射するレーザ光の直径(レーザ光径)を小さくすることが必要になってくる。レーザ光径を小さくするためには、単純には、焼付けに使用するレーザ光の波長を短くすれば良い。
現在、レーザダイオード(LD)光源としては、青紫色レーザダイオードから出力される光の波長が一番短い。青紫色レーザダイオードの光ディスク装置を使用した製品としては、PC( Personal Computer )の他、ゲーム機若しくはビデオレコーダ又はカムコーダ等がある。
【0004】
レーザダイオードを用いた装置としては、その他にレーザビーム画像形成装置がある。このような装置においては、レーザダイオードの温度が外気温度より低い場合には、レーザダイオードの出力面に水滴を生じることがあり、水滴によってレーザビームのエネルギーが熱エネルギーに変換されレンズ等が破壊する恐れがある。これを防ぐために、特許文献1若しくは特許文献2において、結露若しくは所定の温度より低い場合にはしきい値以下の電流を流し結露が消滅してからレーザ光を出力している(特許文献1若しくは特許文献2参照。)。
また、カムコーダに使用する光ディスク装置のレーザダイオード結露対策に関しては、結露の誤検出を少なくして撮影チャンスを逃さないようにする技術の一例が特許文献3に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−040850号公報
【特許文献2】特開2000−027905号公報
【特許文献3】特開2004−171655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、青紫色レーザダイオードは、他の色のレーザダイオードに比べて、動作保証温度範囲が狭く、低温になると動作しないか、または、低温キンク現象がおきることがある。低温キンク現象とは、温度をパラメータとしてレーザダイオードに流す電流を横軸にとり、縦軸にレーザ光の出力をとったときに、電流−レーザパワーの線形性が崩れる現象である。
従って、室内で使用する機器では問題ないが、屋外の寒冷地でも使うカムコーダやポータブルBDプレイヤ等では、記録(書込み)ができないという問題が起きる。
【0007】
図1は、レーザダイオード(LD)の温度が25℃の時の供給電流Iと出力レーザパワーLとの関係(I−L特性)の一例を示す図である。横軸は、レーザダイオードに供給する電流値(単位:mA )、縦軸は、供給された電流値に対応するレーザ光出力のレーザパワー(単位:mW )である。
図1において、Ithはしきい値電流、Iscは許容最大電流である。供給電流Iが小さくしきい値電流Ithまでは、レーザ光は出力されない。そして、しきい値電流Ithを超えるとレーザ光が出力され、線形性を保って、供給電流が増えるにつれてレーザパワーも増大していく。その後、最大許容電流Iscに達した後は、レーザ光出力は飽和していく。即ち、レーザダイオードは、動作保証温度範囲においては、温度が低いほど小電流で高パワーが得られる。
【0008】
図2によって、レーザダイオードの温度特性を説明する。図2は、レーザダイオードの温度(0℃、10℃、20℃)をパラメータとしたときの供給電流Iと出力レーザパワーLの関係の一例を示す図である。
図2に示すように、レーザダイオードの温度は0℃、10℃、及び20℃の特性において、温度が上がるにつれて、供給電力に対するレーザパワーが小さくなる。また、しきい値電流も温度が高くなるにつれて増大する傾向である。
更に、0℃では途中で線形性(リニアリティ)が失われている。このように、低温で線形性が失われる現象を低温キンクと呼ぶ。低温キンクが発生する温度では、線形性がないので、動作保証温度範囲外として、一般的に、レーザダイオードは使用できないので、光ディスク装置は書込み(記録)ができない。
【0009】
従来技術の特許文献1及び特許文献2は、レーザダイオード駆動装置に冷却器が備えられた機器について、レーザ光出力によってレーザダイオードが高温になり出力効率が落ちることを防ぐために冷却する場合に、冷却しすぎる問題を解決するための技術である。特に、特許文献1は、結露対策に関わり、また特許文献2は、冷却器が機能しない低い温度では温度制御ができないので、レーザ光を出力が変動するのでしきい値以下の電流を流して基準温度範囲内で駆動させる技術である。
特許文献3のカムコーダに内蔵される光ディスク装置での結露は、光ディスク装置が冷たくてレーザダイオード自体が周囲温度よりも低温状態のときに、周囲の雰囲気中の水分がレーザダイオードに付着する現象である。換言すれば、レーザダイオードの温度がレーザダイオードの動作保証温度より高くなった時に強制的に冷却を行い、レーザダイオードだけ周囲温度より低温の状態を作るので、結露の発生を必然的に伴う。従って、特許文献3の現象は、結露対策を目的とする特許文献1はもとより、冷却器を備える特許文献2の技術にも結露が必然的に発生する。
【0010】
いずれにしても、従来技術の特許文献1、特許文献2、若しくは特許文献3による問題は、本願発明にあるような、低温キンク現象が発生するような、即ち、レーザダイオードの補償温度以下の温度での問題とは異なる。
本発明の目的は、上記のような問題を解決し、低温キンク現象が発生するほど低温で(即ち、カムコーダ等の機器に使用し、屋外で使用する)レーザダイオードの動作保証温度以下の場合に、機器に備えられた光ディスク装置の書込みに使用するレーザダイオードの駆動方法及び駆動装置並びにカムコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明のレーザダイオード制御方法及び制御装置並びにカムコーダは、工場出荷前に、個々のレーザダイオードについて、初期の電流―レーザパワー特性を所定の温度をパラメータとして取得し、カムコーダ等のメモリに記憶し、かつ、温度毎のしきい値電流を記憶し、温度センサによってレーザダイオードの温度を監視し、低温時には、ユーザの指示に応じて、ユーザが低温書込みモードで使用することとしたときには、低温時には、温度に応じたしきい値以下の電流を供給する。供給中には、温度センサの検出温度を監視し、温度に応じたしきい値電流を供給するように制御するものである。
また好ましくは、温度上昇に追随してしきい値電流を増加させていくものである。
また経年変化に対しては、所定の最大出力パワーを出す電流値としきい値電流とが経年変化する。トレーニングモードを選択(若しくは、電源投入時)すると初期状態の特性からシフトした特性で制御するものである。
【0012】
即ち、本発明のレーザダイオード制御方法は、レーザダイオードと、レーザ光を出力するための電流を供給してレーザダイオードを駆動する駆動装置と、レーザダイオードの近傍の温度を検出する温度センサとを備えたレーザダイオード制御装置のレーザダイオード制御方法であって、温度センサの温度が、レーザダイオードの所定値以下であった場合には、レーザダイオードのしきい値電流に対応する電流をレーザダイオードに供給し、所定時間経過後にレーザ光を出力することを特徴とする。
【0013】
また本発明のレーザダイオード制御装置は、レーザダイオードと、レーザ光を出力するための電流を供給してレーザダイオードを駆動する駆動装置とを備えたレーザダイオード制御装置において、レーザダイオードの近傍の温度を検出する温度センサと、レーザダイオードのしきい値電流を記録したメモリと、温度センサの検出する温度に基づいて、温度に対応するしきい値電流を駆動装置によってレーザダイオードに供給させ、温度センサの検出した温度がレーザダイオードの動作保証温度に達したことを確認してからレーザ光を出力する電流をレーザダイオードに供給させる制御手段を有することを特徴とする。
また好ましくは、上記レーザダイオード制御装置の制御手段は、温度センサの温度に応じて、所定周期でレーザダイオードに供給する電流を更新することを特徴とする。
【0014】
更に、本発明のカムコーダは、レーザダイオードとレーザ光を出力するための電流を供給してレーザダイオードを駆動する駆動装置とを備えたレーザダイオード制御装置を有し、レーザダイオード制御装置によって記憶媒体に取得した映像データを記録するカムコーダであって、レーザダイオードの近傍の温度を検出する温度センサと、レーザダイオードのしきい値電流を記録したメモリと、温度センサの検出する温度に基づいて、温度に対応するしきい値電流を駆動装置によってレーザダイオードに供給させ、温度センサの検出した温度がレーザダイオードの動作保証温度に達したことを確認してからレーザ光を出力する電流をレーザダイオードに供給させる制御手段とを有することを特徴とする。
また好ましくは、本発明のカムコーダの制御手段は、温度センサの温度に応じて、所定周期でレーザダイオードに供給する電流を更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、情報の記録を適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図3は、本発明の一実施例のカムコーダの構成を示すブロック図である。1は光学ヘッド(ピックアップ)、2はディスク、3はレーザダイオード(LD)、4は温度センサ、5はコリメートレンズ、6はビームスプリッタ、7はトラッキングアクチュエータ、8はフォーカスアクチュエータ、9は対物レンズ、10は集光レンズ、25は集光レンズ10の光を電気信号に変換するフォトダイオード(PD)、11はカメラブロック、12はオーディオ入力部、13はビデオ/オーディオエンコーダ、14は圧縮/伸長処理部、15はRAM( Random Access Memory )、16はDVD信号処理部、17はプレイバックRAM、18はレコーディングRAM、19は制御用マイクロコンピュータ、20はアナログフロントエンド、21はモータアンプ、22はスピンドルモータ、24はシークモータ、31は多重化処理部、32はビデオ処理部、33はオーディオ処理部である。
【0017】
図3のカムコーダにおける光ディスク装置は、温度センサ4とレーザダイオード3を含む光学ヘッド1、光ディスク2、アナログフロントエンド20、モータアンプ21、及び、シークモータ24で構成されるが、カムコーダではなく、光ディスク装置として考える場合には、制御用コンピュータ19及びDVD信号処理部の一部(インターフェース)も構成に含まれる。また、本願発明として見れば、カムコーダ全体が関係することもある。
また同様に、光ディスク装置若しくはレーザダイオード駆動装置又はカムコーダは、クロック信号に基づいて動作する部分がある。従って、以降で述べる時間的要素の測定若しくは判定手段は特に明記しない。
【0018】
図3において、カメラブロック11は、レンズ、CCD( Charge Coupled Device )、駆動回路、及び映像信号処理回路を少なくとも備え、レンズを通して得られた光像を、駆動回路に駆動されたCCDが電気信号に変換し、映像信号処理回路によって画質調整されて圧縮/伸長処理部14のビデオ処理部32に出力する。一方。オーディオ入力部12はマイク等の音源センサによって取り込んだ音を電気信号に変換して圧縮/伸長処理部14のオーディオ処理部33に出力する。
ビデオ処理部32は、入力された映像をデジタル映像信号に変換して多重化処理部31とビデオ/オーディオエンコーダ13に出力し、オーディオ処理部33は、入力された音をデジタル映像信号に変換して多重化処理部31とビデオ/オーディオエンコーダ13に出力する。ビデオ/オーディオエンコーダ13は、制御用マイクロコンピュータの制御に応じて、入力された映像データと音声データを出力する。
多重化処理部31は、入力された映像データと音声データを多重化処理してDVD信号処理部16に出力する。
【0019】
DVD信号処理部16は、多重化処理部31から入力された映像音声圧縮データをレコーディングRAM18を使って一時記憶させながらDVD記録ストリームとしてアナログフロントエンド20に出力する。また、同時に、モータアンプ21にサーボ系信号(再生時にも使用)を出力して、光ディスクへの書込みを制御する。なお、プレイバックRAM17は、光ディスクから読出され、アナログフロントエンド20からDVD再生ストリームとして出力される映像音声データを、再生する時に一時記憶させながら多重化処理部31に出力するときに使用する。
アナログフロントエンド20は、DVD信号処理部16から入力されたDVD記録ストリームのデータから、電流パルスに変換して、光学ヘッド1のレーザダイオード3に供給する。
【0020】
レーザダイオード3は、供給された電流値に応じたパワーのレーザ光を出力する。出力されたレーザ光は、コリメートレンズ5ビームスプリッタ6、及び対物レンズ9を通って、光ディスク2にレーザ光を照射することによって、記録(書込み)がなされる。このとき、レーザダイオード3から出力されたレーザ光の一部がビームスプリッタ6で分光され集光レンズ10を介してフォトダイオード25に入射する。フォトダイオード25は、入射した光の強度を検出し、検出した強度データをアナログフロントエンド20に出力する。アナログフロントエンド20は入力された光の強度データから、現在のレーザ光のパワーが適切か否かを判定し、適切ならば、そのままの設定で電流を供給し、不適切と判定すれば、DVD信号処理部16から入力されるDVD記録ストリームのデータから電流パルスに変換する変換レートを変更して、電流を供給する、この時、アナログフロントエンド20と制御用マイクロコンピュータ19とは常にデータをアクセスし合い、状況に対応して設定条件を更新し続ける。
【0021】
モータアンプ21は、アナログフロントエンド20からサーボ系信号を受取り、受取ったサーボ系信号に基づいて、スピンドル制御信号をスピンドルモータ22に出力し、フォーカストラッキング制御信号をトラッキングアクチュエータ7に出力し、かつ、シーク制御信号をシークモータ24に出力する。そして、スピンドルモータ22はスピンドル制御信号に対応して光ディスク2を回転させ、トラッキングアクチュエータ7はフォーカストラッキング制御信号に対応して光ディスク2に照射されるレーザ光の焦点距離を変更し、シークモータ24はシーク制御信号に対応して光ディスクの所定位置にレーザ光の照射位置を変更する。
【0022】
この時、温度センサ4は、レーザダイオード3の近傍に設置され、レーザダイオード3の温度若しくは温度情報を検出し、検出した温度若しくは温度情報を制御用マイクロコンピュータ19に出力する。制御用マイクロコンピュータ19は、温度センサ4から入力される温度若しくは温度情報から、レーザダイオード3の温度を把握し、必要に応じてアナログフロントエンド20にアクセスしてレーザダイオード3に供給する電流値の変換レートの変更又は供給の開始若しくは停止を制御する。
なお、制御用マイクロコンピュータ19は、アナログフロントエンド20との間でアクセスするだけでなく、カムコーダ全般の構成要素間ともアクセスし合い、カムコーダを適切な動作状態に保つ。
【0023】
図4は、参考までに示す、カムコーダの外観図である。40はカムコーダ、41は光ディスク装置、42はレンズ部、43はマイク部、44はファインダ部である。
光ディスク装置41は、外部からリムーバルな記憶媒体である光ディスク(例えば、DVD−RAM)が着脱自在であるようになっており、外部雰囲気、特に気温の影響を受け易い。
【0024】
次に、図5と図3によって、本発明の光ディスク装置の動作の一実施例(モードI)を説明する。図5は、本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャートである。
以降の動作は、制御用マイクロコンピュータ19がカムコーダ内の必要な構成要素に、カムコーダの動作プログラムに従ってアクセスする(情報の吸上げとコントロールを行う)。なお、動作プログラムの判定若しくは算出、又は参照するために必要なデータは、あらかじめ、制御用マイクロコンピュータ19が取出せるように、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵するメモリに保存されており、かつ、データの中身も必要に応じて更新されている。また、温度センサ4は、制御用マイクロコンピュータ19の処理動作に支障ない所定時間間隔で、レーザダイオード3の温度を検出して制御用マイクロコンピュータ19に出力している。また、フォトダイオード、その他の検出要素も同様である。
【0025】
図5において、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスクの書込み(記録)を、ボタン等のインターフェースを使って指示すると、ステップ501以降の動作が開始される。
まず、ステップ501では、温度センサ4の検出するレーザダイオード3の温度が規定温度以下か否かを判定する。レーザダイオード3の温度が規定温度以下であれば、ステップ502に進み、規定温度を超えていればステップ508に進む。
ステップ508では、レーザ光を出力する通常の動作が行われる。即ち、カムコーダは撮像した映像を光ディスク装置にセットされたDVD−RAM等のディスクへ書込みを行い、書込み(記録)後動作を終了する。
ステップ502では、現在の温度から規定温度に達するまでの温度差を、上昇温度として算出する。
【0026】
ステップ503では、現在の温度でレーザ光が出力されない最大の電流値(即ち、検出された温度でのしきい値電流Ith)を、I−L特性データ(図1、図2、等参照。)を参照して取出し、そのしきい値電流Ithを供給電流とした時に必要な温度まで要する時間を温度テーブル参照若しくは計算式により算出する。そして、供給する電流値をアナログフロントエンド20に出力する。なお、カムコーダには、あらかじめ出荷時に測定した温度特性データもテーブル若しくは計算式として、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵されたメモリに、保存してある(後述の図7参照。)。
【0027】
ステップ504では、アナログフロントエンド20が制御用マイクロコンピュータ19から指示された電流値をレーザダイオード3に供給する(プリヒート)。
ステップ505では、算出した時間が経過したか否かを判定し、経過していなければステップ506に進み、経過していれば電流供給を停止して、ステップ508に進む。
なお、ステップ508に移行して、ステップ508の動作を開始するまで、電流供給をそのまま維持しても良い。
なお、時間は算出せず、所定時間経過したら、再度温度センサの値から再計算して再度指示を出しても良い。
【0028】
ステップ506では、入射する光の強度のフォトダイオード25による検出結果をアナログフロントエンド20から受取り、光を検出した場合には“光感度有”としてステップ507に進み、検出しない場合にはステップ504に進む。
ステップ507では、アナログフロントエンド20が供給する電流値を所定値下げるように指示して電流値を下げて、ステップ504に進む。
以上述べたように、図5の実施例によれば、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光を出力を開始するので、正常な書込みが実施できる。
【0029】
次に、図6と図3によって、本発明の光ディスク装置の動作の別の実施例(モードII)を説明する。図6は、本発明の一実施例であって、図5のモードIの動作をより簡便にした動作手順を説明するためのフローチャートである。
以降の動作でも図5と同様に、制御用マイクロコンピュータ19がカムコーダ内の必要な構成要素に、カムコーダの動作プログラムに従ってアクセスする(情報の吸上げとコントロールを行う)。なお、動作プログラムの判定若しくは算出、又は参照するために必要なデータは、あらかじめ、制御用マイクロコンピュータ19が取出せるように、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵するメモリに保存されており、かつ、データの中身も必要に応じて更新されている。また、温度センサ4は、制御用マイクロコンピュータ19の処理動作に支障ない所定時間間隔で、レーザダイオード3の温度を検出して制御用マイクロコンピュータ19に出力している。また、フォトダイオード、その他の検出要素も同様である。
【0030】
図6において、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスクの書込み(記録)を、ボタン等のインターフェースを使って指示すると、ステップ501以降の動作が開始される。
まず、ステップ501では、温度センサ4の検出するレーザダイオード3の温度が規定温度以下か否かを判定する。レーザダイオード3の温度が規定温度以下であれば、ステップ603に進み、規定温度を超えていればステップ508に進む。
ステップ508では、レーザ光を出力する通常の動作が行われる。即ち、カムコーダは撮像した映像を光ディスク装置にセットされたDVD−RAM等のディスクへ書込みを行い、書込み(記録)後、動作を終了する。
【0031】
ステップ603では、図5のステップ502と同様に、現在の温度から規定温度に達するまでの温度差を、上昇温度として算出する。かつ、現在の温度でレーザ光が出力されない最大の電流値(即ち、検出された温度でのしきい値電流Ith)を、I−L特性データ(図1、図2、等参照。)を参照して取出し、そのしきい値電流Ithを供給電流とした時に必要な温度まで要する時間を温度テーブル参照若しくは計算式により算出する。そして、供給する電流値と時間とをアナログフロントエンド20に出力する。なお、カムコーダには、あらかじめ出荷時に測定した温度特性データもテーブル若しくは計算式として、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵されたメモリに、保存してある(後述の図7参照。)。
【0032】
ステップ604では、アナログフロントエンド20が制御用マイクロコンピュータ19から指示された電流値をレーザダイオード3に供給(プリヒート)し、指示された所定時間が経過した後、電流供給を停止して、ステップ508に進む。
なお、ステップ508に移行して、ステップ508の動作を開始するまで、電流供給をそのまま維持しても良い。
以上述べたように、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光を出力を開始するので、正常な書込みが実施できる。
【0033】
次に、図7を用いて、図5(モードI)若しくは図6(モードII)の処理動作において必要なテーブル若しくは計算式について説明する。図7は、レーザダイオードにしきい値電流以下の電流を供給した時の、時間軸を横軸としたレーザダイオードの温度上昇特性の一例を示す図である。
しきい値電流が小、中、大としたときの経過時間tでのレーザダイオードの温度上昇△tは、個々のレーザダイオードでばらつきがあり、異なる温度特性値となる。従って、例えば、カムコーダ又は光ディスク装置若しくはレーザダイオードの出荷時に温度特性を取得して、取得した温度特性のデータをカムコーダ内のメモリ(例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵の不揮発性メモリ)に保存しておく。
【0034】
図5のステップ503では、供給する電流(その温度でのしきい値電流)をI−L特性データから取出し、ステップ502で算出した上昇温度[a]に達するまでの時間を図7のグラフをもとにしたテーブル若しくは計算式から算出する。
例えば、図7のグラフにおいて、供給電流が小の場合には、上昇温度[a]と交差するところの時間Cを求めることができる。
図6のステップ603も、上述したステップ502とステップ503と同様に求める。
【0035】
図7について、更に説明する。
レーザダイオードにしきい値Ith以下の電流を流すと、レーザ光は出力されないのでで、その電気エネルギーは、レーザダイオードのジャンクションで熱エネルギーに変換される。ジャンクションの熱容量をTc(単位:[J/℃])、与えられる熱量をQ(単位:[J])とした時、ジャンクションの上昇温度△t(単位:[℃])は、式(1)で求められる。
【0036】
【数1】
熱量Qと電力P(単位:[W])には、時間t(単位:[s])とすると、式(2)の関係があり、供給電流をId(単位:[A])と供給電圧をVd(単位:[V])とすると、
【0037】
【数2】
式(2)で式(1)を置換すると、式(3)となる。
【0038】
【数3】
【0039】
供給電流Idと供給電圧Vdを共に一定とすれば、電力Pも一定であるので、常時一定の熱量Qが与えられるので、上昇温度△tは時間tに比例して上昇する(図7の[d])。実際には、熱がジャンクション外に逃げるので、Qo=α×(Tj−T0)の熱量が逃げる。ここで、αは熱伝導係数、Tjはジャンクション温度(単位:[℃])、T0は外部温度(単位:[℃])である。ジャンクション温度Tjが高くなればなるほど、逃げる熱量Q0が大きくなるので、図7の[c]のように飽和していく。しきい値電流が大きいほど、飽和するまでの時間が大きくなる(例えば、図7の上昇温度[b]での所要時間D)ので、しきい値電流が大きいほど、レーザダイオードは加熱可能である。
【0040】
従って、図5のモードIのフローチャートの動作手順を変更して、図8のモードIIIように動作させれば、本発明のレーザダイオードの電流制御方法及び電流制御装置並びにカムコーダは、更に、良い結果を生むことができる。図8は、本発明の一実施例(モードIII)の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【0041】
以降の動作は、制御用マイクロコンピュータ19がカムコーダ内の必要な構成要素に、カムコーダの動作プログラムに従ってアクセスする(情報の吸上げとコントロールを行う)。なお、動作プログラムの判定若しくは算出、又は参照するために必要なデータは、あらかじめ、制御用マイクロコンピュータ19が取出せるように、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵するメモリに保存されており、かつ、データの中身も必要に応じて更新されている。また、温度センサ4は、制御用マイクロコンピュータ19の処理動作に支障ない所定時間間隔で、レーザダイオード3の温度を検出して制御用マイクロコンピュータ19に出力している。また、フォトダイオード、その他の検出要素も同様である。
【0042】
即ち、図8において、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスクの書込み(記録)を、ボタン等のインターフェースを使って指示すると、ステップ501以降の動作が開始される。
そして、ステップ501では、温度センサ4の検出するレーザダイオード3の温度が規定温度以下か否かを判定する。レーザダイオード3の温度が規定温度以下であれば、ステップ803に進み、規定温度を超えていればステップ508に進む。
ステップ508では、レーザ光を出力する通常の動作が行われる。即ち、カムコーダは撮像した映像を光ディスク装置にセットされたDVD−RAM等のディスクへ書込みを行い、書込み(記録)後動作を終了する。
【0043】
ステップ803では、現在の温度でのレーザ光が出力されない最大の電流値(即ち、検出された温度でのしきい値電流Ith)を、I−L特性データ(図1、図2、等参照。)を参照して取出す。そして、供給する電流値と時間とをアナログフロントエンド20に出力する。なお、カムコーダには、あらかじめ出荷時に測定した温度特性データもテーブル若しくは計算式として、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵されたメモリに保存してある。
【0044】
ステップ804では、アナログフロントエンド20が制御用マイクロコンピュータ19から指示された電流値をレーザダイオード3に供給(プリヒート)し、ステップ506に進む。
ステップ506では、集光レンズ10を介してフォトダイオード25に入射する光の強度の検出結果をアナログフロントエンド20から受取り、光を検出した場合には“光感度有”としてステップ507に進み、検出しない場合にはステップ805に進む。
ステップ507では、アナログフロントエンド20が供給する電流値を所定値下げるように指示して電流値を下げて、ステップ501に戻る。
ステップ805では、プリヒートした時間が所定時間経過したか否かを監視し、経過していなければ監視を続け、経過した場合には、ステップ501に戻る。
ステップ501では、プリヒートされて温度が上昇したレーザダイオードの温度を再度判定し、規定温度を超えていればステップ508に進み、以下であれば、ステップ803以降に進み、現在の温度でのレーザ光が出力されない最大の電流値(即ち、検出された温度でのしきい値電流Ith)で、レーザダイオードに電流を供給する。
【0045】
以上のように、図8のモードIII実施例では、所定周期(所定時間間隔)で温度を監視して、常に、レーザ光を出力しない最大の電流を供給するので、迅速かつ効率的にレーザダイオードを低温状態から動作補償温度まで到達させることができ、迅速かつ効率的に光ディスクへの書込み(記録)が実施できる。
なお、所定周期は、温度範囲に応じて、時間間隔若しくは周期を変更しても良い。例えば、レーザダイオードの温度が低い範囲内では周期を長く設定し、温度が高い範囲内では、周期を短く設定する。また、温度が高い範囲内では、範囲設定を小さく取り、小刻みに周期設定を短くする等である。
以上述べたように、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光を出力を開始するので、正常な書込みが実施できる。
【0046】
次に、本発明の他の実施例(モードIV)を図9によって説明する。図9は、もっとも簡便にレーザダイオードを動作保証温度範囲まで熱することができる動作手順である。
図9において、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスクの書込み(記録)を、ボタン等のインターフェースを使って指示すると、ステップ501以降の動作が開始される。
まず、ステップ501では、温度センサ4の検出するレーザダイオード3の温度が規定温度以下か否かを判定する。レーザダイオード3の温度が規定温度以下であれば、ステップ903に進み、規定温度を超えていればステップ508に進む。
ステップ508では、レーザ光を出力する通常の動作が行われる。即ち、カムコーダは撮像した映像を光ディスク装置にセットされたDVD−RAM等のディスクへ書込みを行い、書込み(記録)後動作を終了する。
【0047】
ステップ903では、現在の温度でのレーザ光が出力されない最大の電流値(即ち、検出された温度でのしきい値電流Ith)を、I−L特性データ(図1、図2、等参照。)を参照して取出す。そして、供給する電流値について、図7の温度特性データから、飽和する時間(図7の時間E)を参照し、しきい値電流Ithと時間Eとをアナログフロントエンド20に出力する。なお、カムコーダには、あらかじめ出荷時に測定した温度特性データもテーブル若しくは計算式として、例えば、制御用マイクロコンピュータ19に内蔵されたメモリに、保存してある。
【0048】
ステップ904では、アナログフロントエンド20が制御用マイクロコンピュータ19から指示された電流値をレーザダイオード3に供給(プリヒート)し、ステップ508に進む。
なお、図9のモードIV実施例では、温度上昇の途中で、レーザダイオードのしきい値Ithを超す電流が供給され、レーザ光が出力される場合があるので、レーザ光の照射位置を媒体の位置からはずしておくか又は媒体の書込み若しくは読出し領域とは無関係な場所に照射位置を変えておく。また、更に焦点をぼかすようにしておく。そして、ステップ508では、一度供給電流をゼロにしてから、照射位置と焦点位置とを元にもどして書込みを開始する。
以上述べたように、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光を出力を開始するので、正常な書込みが実施できる。
【0049】
次に、本発明の他の実施例を図10によって説明する。図10は、カムコーダ若しくは光ディスク装置に低温スタンバイモードのオンオフ設定機能を備え、ユーザが、カムコーダ若しくは光ディスク装置について低温スタンバイモードに設定している場合には、上述の図5、図6、図8、若しくは図9の実施例(モードI〜モードIVのいずれか1つ)のフローチャートの手順を実行するようにしたものである。
【0050】
このモードを加えることにより、例えば、ユーザが、光ディスク装置のリムーバブル媒体を交換しようとする場合に、光ディスク装置の開閉蓋を開け閉めし、結露が発生し易い状態の時には、低温スタンバイモードをオフにすることで、レーザダイオードに結露を発生させないようにて、破損等による寿命が短くなることを防止することができる。
また、光ディスク装置の開閉蓋の開け閉めを行なった時には、自動的に所定時間低温スタンバイモードをオフにして、ファインダにその旨の警告を表示しても良い。
【0051】
即ち、図10の実施例においては、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスクの書込み(記録)を、ボタン等のインターフェースを使って指示すると、ステップ1001以降の動作が開始される。
ステップ1001では、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスク装置を低温スタンバイモードをオンに設定しているか否かを判定し、オンに設定されていることが判定によって分かれば、ステップ1002に進む。また、オフに設定していれば、図5等で説明したステップ508の書込み(記録)動作を実行する。
ステップ1002では、図5、図6、図8、若しくは図9の既に説明したプリヒート動作を実行する。
以上述べたように、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光を出力を開始するので、正常な書込みが実施できる。
【0052】
図11は、本発明の別の実施例で、図10の実施例の低温スタンバイモードのオンオフ設定機能に加え、ユーザが状況に応じて所望の低温スタンバイモードの種類を選択して設定できるものである。即ち、例えば、上述の図5、図6、図8、若しくは図9の実施例の動作モード(モードI〜IV)のいずれかを選択して実行するようにしたものである。
このモードを加えることにより、ユーザは、撮影の必要性や、環境条件、カムコーダ等の電子機器の状況に応じて、所望のモード若しくは低温スタンバイモードの種類を選択できるので、ユーザの使い勝手が向上する。
【0053】
図11において、ステップ1001では、ユーザがカムコーダ若しくは光ディスク装置を低温スタンバイモードをオンに設定しているか否かを判定し、オンに設定されていることが判定によって分かれば、ステップ1101に進む。また、オフに設定していれば、図5等で説明したステップ508の書込み(記録)動作を実行する。
ステップ508の動作の手順は、図10でも説明したが、図11では、図面の都合上、ステップ508を別に描き、T1とT2を用いて動作手順の接続をしている。
【0054】
ステップ1101では、ユーザ設定が簡易モードで設定しているか否かを判定する。簡易モードの設定であればステップ1102に進み、そうでなければステップ1103に進む。
ステップ1102では、ユーザの設定した動作モードがモードII(図6参照)かモードIV(図9)か否かを判定し、モードIIならばステップ1104に進み、モードIVならばステップ1105に進む。
ステップ1103では、ユーザの設定した動作モードがモードI(図5参照)かモードIII(図8)か否かを判定し、モードIならばステップ1106に進み、モードIIIならばステップ1107に進む。
【0055】
ステップ1104では、モードII(図6参照)の動作手順を実行する。
ステップ1105では、モードIV(図9参照)の動作手順を実行する。
ステップ1106では、モードI(図5参照)の動作手順を実行する。
ステップ1107では、モードIII(図8参照)の動作手順を実行する。
【0056】
以上述べたように、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光の出力を開始するので、正常な書込みが実施できる。
【0057】
次に、本発明の他の実施例を図12、図1、図2、及び図4を参照しながら説明する。図12は、レーザダイオードのI−L特性について、レーザダイオード毎に個々のばらつきがあることを説明するための図である。
【0058】
図12は、図1のレーザダイオードのI−F特性について、個々のレーザダイオード毎の特性に違いがあることを説明するための図である。図12に示すように、レーザダイオードLD1、LD2、及びLD3について、I−F特性が異なる。また、これらの特性は、経年変化でも変化してくる。
従って、工場での出荷調整時に、先ず個々のレーザダイオードについて、初期のI−F特性を、所定の温度毎に、所定のサンプリング数(所定の電流値毎)に測定してデータの採取を行い、そのデータをテーブル若しくは計算式として、カムコーダ、若しくは光ディスク装置に内蔵する若しくは接続できるメモリに保存している。なお、レーザパワーは、例えば、図4のブロック構成図に示すように、フォトダイオード等で光強度を測定して検出する。このように、データを保存することによって、本発明の一連の動作を実行できる。
【0059】
また更に、経年変化については、例えば、カムコーダ若しくは光ディスクの起動時に、温度センサの検出温度をもとに、設定最大パワーHIが出力される電流値Imaxとしきい値電流Ithを測定し、測定したデータにシフトするように保存してあったデータを置換することによって行う。なお、その時に、温度は設定の使用が無いが、例えば、本発明の実施例の如く、所定の温度範囲になるまでプリヒートすることで解決しても良い。
【0060】
上述の実施例においては、光ディスク装置と一体化したカムコーダを例にして説明した。しかし、本発明は、それに限らず、一体化していないビデオカメラ(デジタルカメラを含む)でも、光ディスク装置だけの場合でも適用可能であり、またカムコーダ等のカメラに限らず、光ディスク装置を記録装置として搭載する電子機器、特に携帯用の電子機器に適用できる。
例えば、PDA( Personal Digital Assistant )、携帯電話機器、等でも良い。
【0061】
なお、本発明は、光ディスク装置を記録媒体としたレーザダイオードに関するが、特に、書込み(記録)と読み出しの両方について、レーザ等の光を使用するCD、DVD、次世代DVD、等である必要は無く、書込みをレーザ等の光を使用すれば良いので、読み取りに磁気を使用する光磁気記録方式の記録媒体、例えば、MO( Magneto-Optical Disc )やMD( Mini Disc )でも良い。また、MDの例を挙げた如く、記録する目的や対象が何であっても良い。
【0062】
更に本発明は、レーザダイオードだけに限らず、同様の特性を持つLED( Light Emitting Device )等にも適用でき、信号灯、屋外照明機器、電光掲示板等の広告表示装置、交通標識、テレビ放送受像機等にも有効に適用可能である。
更に、上述の温度センサは温度を直接検出するが、熱伝対のように別の物理的単位のデータを検出して、制御用マイクロコンピュータ等の制御部で温度に換算しても良いし、テーブル若しくは計算式を温度ではなく、温度センサの検出する物理的単位のデータで表しても良い。
【0063】
以上のように、上述の実施例によれば、レーザダイオードは、レーザ光を出力することのできない温度保証温度範囲外の低温であっても、しきい値未満の電流を流して温度上昇させることにより、動作保証温度範囲内にしてから、レーザ光の出力を開始するので、動作保証温度以下の低温でも正常な書込みが実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】レーザダイオードのI−L特性の一例を示す図。
【図2】レーザダイオードの温度をパラメータとしたときのI−L特性の一例を示す図。
【図3】本発明のカムコーダの一実施例の構成を示すブロック図。
【図4】本発明を適用するカムコーダの一実施例の外観図。
【図5】本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャート。
【図6】本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャート。
【図7】レーザダイオードにしきい値電流以下の電流を供給した時の、時間軸を横軸としたレーザダイオードの温度上昇特性の一例を示す図。
【図8】本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャート。
【図9】本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャート。
【図10】本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャート。
【図11】本発明の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャート。
【図12】レーザダイオードのI−L特性についての個々のばらつきを説明するための図。
【符号の説明】
【0065】
1:光学ヘッド、 2:ディスク、 3:レーザダイオード(LD)、 4:温度センサ、 5:コリメートレンズ、 6:ビームスプリッタ、 7:トラッキングアクチュエータ、 8:フォーカスアクチュエータ、 9:対物レンズ、 10:集光レンズ、 11:カメラブロック、 12:オーディオ入力部、 13:ビデオ/オーディオエンコーダ、 14:圧縮/伸長処理部、 15:RAM、 16:DVD信号処理部、 17:プレイバックRAM、 18」レコーディングRAM、 19:制御用マイクロコンピュータ、 20:アナログフロントエンド、 21:モータアンプ、 22:スピンドルモータ、 24:シークモータ、 25:フォトダイオード(PD)、 31:多重化処理部、 32:ビデオ処理部、 33:オーディオ処理部、 40:カムコーダ、 41:光ディスク装置、 42:レンズ部、 43:マイク部、 44:ファインダ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザダイオードと、レーザ光を出力するための電流を供給してレーザダイオードを駆動する駆動装置と、レーザダイオードの近傍の温度を検出する温度センサとを備えたレーザダイオード制御装置のレーザダイオード制御方法であって、
温度センサの温度が、レーザダイオードの所定値以下であった場合には、レーザダイオードのしきい値電流に対応する電流をレーザダイオードに供給し、所定時間経過後にレーザ光を出力することを特徴とするレーザダイオード制御装置のレーザダイオード制御方法。
【請求項2】
レーザダイオードと、レーザ光を出力するための電流を供給してレーザダイオードを駆動する駆動装置とを備えたレーザダイオード制御装置において、
レーザダイオードの近傍の温度を検出する温度センサと、
レーザダイオードのしきい値電流を記録したメモリと、
上記温度センサの検出する温度に基づいて、上記温度に対応するしきい値電流を上記駆動装置によってレーザダイオードに供給させ、上記温度センサの検出した温度がレーザダイオードの動作保証温度に達したことを確認してからレーザ光を出力する電流をレーザダイオードに供給させる制御手段を有することを特徴とするレーザダイオード制御装置。
【請求項3】
請求項2記載のレーザダイオード制御装置の上記制御手段は、上記温度センサの温度に応じて、所定周期でレーザダイオードに供給する電流を更新することを特徴とするレーザダイオード制御装置。
【請求項4】
レーザダイオードとレーザ光を出力するための電流を供給してレーザダイオードを駆動する駆動装置とを備えたレーザダイオード制御装置を有し、レーザダイオード制御装置によって記憶媒体に取得した映像データを記録するカムコーダであって、
レーザダイオードの近傍の温度を検出する温度センサと、
レーザダイオードのしきい値電流を記録したメモリと、
上記温度センサの検出する温度に基づいて、上記温度に対応するしきい値電流を上記駆動装置によってレーザダイオードに供給させ、上記温度センサの検出した温度がレーザダイオードの動作保証温度に達したことを確認してからレーザ光を出力する電流をレーザダイオードに供給させる制御手段とを有することを特徴とするカムコーダ。
【請求項5】
請求項4記載のカムコーダにおいて、上記制御手段は、上記温度センサの温度に応じて、所定周期でレーザダイオードに供給する電流を更新することを特徴とするカムコーダ。
【請求項1】
レーザダイオードと、レーザ光を出力するための電流を供給してレーザダイオードを駆動する駆動装置と、レーザダイオードの近傍の温度を検出する温度センサとを備えたレーザダイオード制御装置のレーザダイオード制御方法であって、
温度センサの温度が、レーザダイオードの所定値以下であった場合には、レーザダイオードのしきい値電流に対応する電流をレーザダイオードに供給し、所定時間経過後にレーザ光を出力することを特徴とするレーザダイオード制御装置のレーザダイオード制御方法。
【請求項2】
レーザダイオードと、レーザ光を出力するための電流を供給してレーザダイオードを駆動する駆動装置とを備えたレーザダイオード制御装置において、
レーザダイオードの近傍の温度を検出する温度センサと、
レーザダイオードのしきい値電流を記録したメモリと、
上記温度センサの検出する温度に基づいて、上記温度に対応するしきい値電流を上記駆動装置によってレーザダイオードに供給させ、上記温度センサの検出した温度がレーザダイオードの動作保証温度に達したことを確認してからレーザ光を出力する電流をレーザダイオードに供給させる制御手段を有することを特徴とするレーザダイオード制御装置。
【請求項3】
請求項2記載のレーザダイオード制御装置の上記制御手段は、上記温度センサの温度に応じて、所定周期でレーザダイオードに供給する電流を更新することを特徴とするレーザダイオード制御装置。
【請求項4】
レーザダイオードとレーザ光を出力するための電流を供給してレーザダイオードを駆動する駆動装置とを備えたレーザダイオード制御装置を有し、レーザダイオード制御装置によって記憶媒体に取得した映像データを記録するカムコーダであって、
レーザダイオードの近傍の温度を検出する温度センサと、
レーザダイオードのしきい値電流を記録したメモリと、
上記温度センサの検出する温度に基づいて、上記温度に対応するしきい値電流を上記駆動装置によってレーザダイオードに供給させ、上記温度センサの検出した温度がレーザダイオードの動作保証温度に達したことを確認してからレーザ光を出力する電流をレーザダイオードに供給させる制御手段とを有することを特徴とするカムコーダ。
【請求項5】
請求項4記載のカムコーダにおいて、上記制御手段は、上記温度センサの温度に応じて、所定周期でレーザダイオードに供給する電流を更新することを特徴とするカムコーダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−310845(P2008−310845A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155120(P2007−155120)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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