説明

レーザー活性石英ガラスの生産方法および使用

【課題】 本発明は、レーザー活性石英ガラスから作成されるコンポーネントのための任意の形状および大きさの素材の、経済的な生産方法に関する。
【解決手段】方法は次の工程を含む:
a)少なくとも40重量%の固形分を有し、SiOナノパウダーおよびドーパントを含み、液体中に希土類金属および遷移金属の陽イオンを含む、分散物を供給する工程、
b)35重量%未満の含水量および少なくとも0.95g/cmの密度を有する球状多孔性粒状粒子であるドープされたSiO粒状体が形成されるまで、水分を除去しながら分散物を運動させることによる造粒工程、
c)SiO粒状体を少なくとも温度1000℃に加熱することにより乾燥させ精製して、10ppm未満のOH含量を有するドープされた多孔性SiO小粒を形成する工程、および
d)ドープされたSiO小粒を還元雰囲気中で焼結または溶融させて、ドープされた石英ガラスの素材を得る工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザー活性石英ガラスを生産するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザー活性石英ガラスは、例えばファイバー増幅器またはファイバーレーザー、エッジフィルタまたは周波数変換器の生産のために用いられる。ポンプファイバーレーザーがとりわけ材料加工用に、および医用工学において用いられる。
【0003】
レーザー活性石英ガラスは、母材の石英ガラス中に、レーザー放射を増幅させるドーパントを含む。一般に、これらは希土類陽イオン(ランタニド)であるが、いわゆる遷移金属の陽イオンの場合もある。ここで重要なことは、できるだけ高い増幅力および増幅されるレーザー放射の減衰が低いことである。
【0004】
これに関連して発生する基本的課題は、石英ガラス中のドーパントの均質分布を保証し、特に高いドーパント濃度で発生する可能性のある失透を防止することである。例えば「ラージモードエリアファイバーレーザー」という名前で知られている高性能応用のためのファイバーレーザーにおいては、できるだけ大きいレーザー活性体積を確保することに特別な重点が置かれる。
【0005】
光ファイバーは通常は、レーザー活性物質から成り、クラッドガラス部分に取り囲まれたコア部を有するプレフォームから引き出される。ファイバーは減衰が十分に低くなければならないので、プレフォームを生産するために、高純度を保証する方法であるCVD法またはゾル−ゲル法が通常使用される。その場合、石英ガラスを主成分とした高性能レーザーファイバーを、主にいわゆるMCVD法(修正化学気相蒸着法)により生産する。前記方法はしかし、冗長で高価であり、また一方で、実現可能なファイバーの大きさに関してその限界に達してしまった。これとは別に、多くのレーザー活性ドーパントは、気相を介して(CVD方法により)蒸着させることはできない。この問題を、後続するドーピングにより解決する試みがなされた。これはしかし、一方では追加の処理工程を構成し、他方では材料特性中の欠陥をもたらす結果となる。この欠陥は拡散過程における物理的制限によるものである。本明細書においてドーパントの勾配に十分に言及するはずである。
【0006】
ゾル−ゲル方式に基づいた生産は、ある程度長い工程時間を要し、また必要な材質を生成しないことが多い。
【0007】
一般に必要な高純度を溶融法により達成することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、経済的で、ほとんど任意の形状および大きさのドープされた石英ガラスのレーザー活性体積を提供することを可能にする、レーザー活性高品質石英ガラスを生産するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、前記目的が、下記工程を含む方法により達成される:
a)少なくとも40重量%の固形分を有し、SiOナノパウダーおよびドーパントを含み、液体中に希土類金属および遷移金属の陽イオンを含む分散物を供給する工程、
b)35重量%未満の含水量および少なくとも0.95g/cmの密度を有する球状多孔性粒状粒子であるドープされたSiO粒状体が形成されるまで、水分を除去しながら分散物を運動させることによる造粒工程、
c)SiO粒状体を少なくとも温度1000℃に加熱することにより乾燥させ精製して、10ppm未満のOH含量を有するドープされた多孔性SiO小粒を形成する工程、および
d)ドープされたSiO小粒を還元雰囲気中で焼結または溶融させて、ドープされた石英ガラスの素材を形成する工程。
【0010】
レーザー活性石英ガラスのコンポーネント用の素材を、本発明により、CVD法、溶融法またはゾル−ゲル法のどれにもよらず、特別の「粉末ルート」経由で、即ち高純度で均質にドープされたSiO粒状体を用いて生産する。この「粒状体粉末ルート」により、一方で出発材料の純度についての要請を満たすことができ、他方で石英ガラス中の1つまたは複数のドーパントの必要な均質分布を保証することができることが見出された。
【0011】
驚くべきことに、粒状体粉末ルートによって生産されるファイバーは、他の出発材料からおよび他の方法により作成されるファイバーより相当高い吸収率、従ってよりよい増幅特性を有することが見出された。製造工程の「粒状体の歴史」または材料の目に見えない「粒子構造」が本質的な役割を果たすように見える。これは、出発材料に形成的に刻みつけられ、散乱効果(これは、いわゆる「ファイバーレーザースロープテスト」により検知することができる)によりレーザー光増幅の相当高い効率をもたらすように思われる。特に高い光減衰をもたらすこれらの散乱効果が、遠距離通信技術においてこのようなファイバーを使用する適格性を奪うように見える。
【0012】
本発明によれば、ドーパントで均一にドープしたSiO粒状体が最初に生産される。そのようなSiO粒状体の生産方法について、ドイツ連邦共和国特許公開第DE197 29 505A1号に記述されている。粒状体生産のための既知の方法について行われた本質的な修正は、本発明による分散物は、石英ガラスのレーザー活性を生じさせる希土類金属および遷移金属の陽イオンを含む少なくとも1つのドーパントを含有するということである。また、石英ガラスの粘性および屈折率を調節するためにさらにドーパントを加えてもよく、それには、アルミニウム、リンおよびホウ素から成る群より選ばれる1つまたはいくつかの成分が主として用いられてきた。
【0013】
分散物を作成するために用いられるSiO粉末は、いわゆるナノパウダーとして存在する。これは、100nm未満の粒径を有する粉末粒子を含み、それは、例えばSiO出発化合物の熱分解により、沈降反応により、またはガラス状SiO小粒を磨砕することにより得ることができる。前記の細かく分散されたナノパウダーは、石英ガラス中でドーパントの必要な均一分布を可能にする。
【0014】
本発明によれば、ドーパントは分散物中に均一に分布している。ドーパントはまた、細粉として、または液体の形で存在する。
【0015】
「粒状体粉末ルート」の場合には、多孔性の中間生成物が、多孔性SiO粒状体または多孔性SiO小粒の形で得られる(方法の工程b)およびc))。前記材料のさらなる処理において、閉じてガスで充たされた空洞が形成され、それが粘度の高い石英ガラスから撤去することができないか、または後続の融解により非常にゆっくり撤去することのみが可能で、石英ガラス中に気泡が生じる結果となる危険性がある。これはしかし、レーザー活性コンポーネント中ではほとんど許容されない。
【0016】
したがって方法b)に従い、造粒工程を、生成中の球状多孔性粒状体粒子が少なくとも0.95g/cmの密度を持つように実行する。この高密度には、粒状体粒子の低い小孔含量が伴い、それが、気泡形成の危険を減少させる。
【0017】
砕けやすく、かつ多孔性の集塊―粒状体を形成するまで、連続運動下で分散物から水分を除去することにより、造粒を達成する。その運動は一般に、ドイツ連邦共和国特許公開第DE197 29 505A1号に記述されているように、攪拌により行なわれる。分散物は、高い固形分を示す場合にのみ砕けやすい集塊へ崩壊するということが重要である。したがって、可能な限り分散物の液相を維持するべきであり、それは高いエネルギーを入力する運動によるチキソトロピー性の分散で確保することができる。それに適した造粒方法が皿形造粒機中の回転造粒である。しかし、スプレー造粒、遠心噴霧法または流動層造粒などの他の造粒技術を用いることも、粒状体を調製する有利な方法として可能である。造粒用破砕機を用い、圧縮、ロールプレス、ブリケッティングまたは押し出しを行なうことにより実行する他の造粒方法もまた可能であり、ドープした石英ガラスのカスタマイズされたコンポーネント製造を支援することができる。
【0018】
得られたSiO粒状体が、球形で含水量が35重量%未満である多孔性SiO粒状体粒子から成り、またその密度が少なくとも0.75g/cmであるということが必須である。SiO粒状体の高密度および高固形含量を通じてのみ、低収縮率および泡のない融解または焼結が保証される。
【0019】
得られた多孔性粒状体を、さらなる方法の工程において、少なくとも温度1000℃で加熱することにより、乾燥させ精製して、多孔性SiO小粒を形成する。この過程において粒状体は、多孔性を維持しながら熱により密度を高められる。
【0020】
引き続くガラス化中の気泡の形成、および吸収による石英ガラスの光学的性質の損傷に関しては、SiO粒状体が10重量ppm未満のOH含量を有することが重要である。さらに残存する多孔性のために、SiO粒状体には、方法の工程c)、即ち乾燥と精製の前に、間に、または後に、さらにドーパントを添加することができる。このドーピング工程を、気相または液相によって行なうことができる。
【0021】
ドーパントが、SiO小粒中に均一に分布した形で、またそこに堅く結合して存在することもまた重要である。この目的のために、温度が上昇すると揮発性化合物を形成する可能性のあるドーパントを、通常は固形酸化物に変換しなければならない。これを好ましくは、方法の工程a)〜c)の間に行なう。
【0022】
得られたSiO小粒をレーザー活性ドーパントで均質にドープし、そして次に、方法の工程d)により焼結または溶融させて石英ガラス素材を形成する。用いるSiO粒状体が(したがって得られたSiO小粒も)高密度を有し、同時に10重量ppm未満の低いOH含量を有しているとき、および焼結または溶融が還元雰囲気中で行なわれるときは、泡のない均質にドープされた石英ガラスを得ることが可能であることが判明した。
【0023】
方法の工程d)で言及した、ドープされたSiO小粒の焼結または溶融を還元雰囲気中で行なうという特徴はまた、気泡を減少させる作用を示す。還元雰囲気は、SiO素材の石英ガラス中の酸素含有ガス泡の形成または酸素含有ガスの充填による気泡の形成を減少させることができる。還元雰囲気は、例えば黒鉛または炭素のルツボまたは炉の部品を用いることにより達成される。
【0024】
本発明の方法は、方法の工程a)〜d)に基づくモジュール方式の「粒状体―粉末ルート」により、カスタマイズされた製品加工を保証する柔軟で経済的な製造方法を構成し、またこれにより最も様々なドーパント濃度を得ることができる。
【0025】
SiO粒状体の高い密度およびこれに伴う均質なドーパント分布、および生成される石英ガラスの低い気泡密度に関しては、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、の最初の固形分を分散物中に設定する手順が好ましい。
【0026】
低い泡密度のためにも、方法の工程b)により得られたSiO粒状体が、40m/g〜70m/gの範囲のBET表面積を有する場合が有利である。好ましくは、方法の工程b)によるBET表面積がSiO粒状体で少なくとも50m/gである。これが、SiO粒状体の焼結または溶融の間の気泡形成の減少を達成する。
【0027】
有利な焼結または溶融方法に関しては、球状多孔性粒状体粒子が500μm未満の粒子サイズを有する場合に有利であることが判明した。
【0028】
多孔性SiO粒状体粒子の特別に効率的で迅速な乾燥が、SiO粒状体を、塩素を含む雰囲気中で乾燥させ精製する場合に、達成される。SiO粒状体を少なくとも950℃の温度で乾燥させ精製する場合、特に有利であることが判明した。
【0029】
多孔性の粒状体の乾燥と精製を酸素含有雰囲気中で行なうのが有利である。これによって、高温に加熱する間に揮発性化合物を形成する可能性のあるドーパントの定着が達成される。
【0030】
方法の工程c)によって得られた多孔性SiO小粒が1重量ppm未満のOH含量を有する場合に、一層の利点があることが判明した。
【0031】
低いOH含量は、気泡生成および、OH吸収によって影響を受ける光の波長における石英ガラスの光減衰の両方に有利な効果を有する。
【0032】
気泡形成の減少に関しては、方法の工程c)によって得られた多孔性SiO小粒が20m/g未満のBET表面積を有する場合が、有利であることもまた判明した。
【0033】
方法の工程d)によるSiO小粒の焼結または溶融がガス圧焼結を含む手順が特に好ましい。ガス圧焼結では、焼結するSiO小粒を、この手順において増圧下で加熱して溶融させる。超過圧力が、気泡形成を減少させる。
【0034】
下記方法の工程を含むガス圧焼結手順の変法が、特に有利であることが判明した:
aa)負の圧力を加え、維持しながら、少なくとも1600℃の溶融温度へSiO小粒を加熱する工程;
bb)少なくとも30分間の溶融期間の間、溶融温度と5〜15バールの範囲の超過圧力下に保持して、石英ガラス素材を形成する工程;
cc)石英ガラス素材を冷却する工程。
【0035】
この変法により、特に光学的に完全な品質の、大きな成形品を生産することが可能である。
【0036】
方法の工程cc)による冷却を、超過圧力を維持しながら実行する場合が、特に有利であることが判明した。冷却中に超過圧力を維持することが、いまだに柔らかい石英ガラス中の気泡の形成および成長を防止する。
【0037】
SiO小粒の密度を、方法の工程d)に先立って熱により高める方法修正が、特に有利であることが判明した。SiO小粒の高密度化前処理も、溶融または焼結工程中の気泡形成の減少に役立つ。
【0038】
石英ガラス素材を少なくとも1120℃の温度で少なくとも40時間の保持期間、焼鈍する場合が有益であることが判明した。これが、複屈折を引き起こす熱応力を減少させる。
【0039】
特に好ましい変法では、方法の工程d)によるSiO小粒が鋳型の中で溶融される。SiO小粒の高密度、およびそれに伴う小粒から焼結した成型体の低収縮率により、前記成型体は、ほとんど完全に鋳型によってあらかじめ決められた大きさを示す。したがって再加工を回避することができ、材料ロスを減少させることができ、この方法の経済性がさらに改善される。
【0040】
方法の工程d)によるSiO素材を3次元的に均質化することが好ましい。均質化は、いくつかの方向にSiO素材を完全に混合することにより実行される。
【0041】
これが、脈理を無くし、3次元的に均質な屈折率分布が達成される。
【0042】
あるいはこの代わりに、放射状に不均質な屈折率分布を有するバルク体を、様々な屈折率のSiO小粒から形成する場合、および前記バルク体を焼結または溶融してSiO素材にする場合が、有利であることも判明した。
【0043】
バルク体中に異なる屈折率のSiO小粒を対応して配置することにより、任意の所望の屈折率分布を焼結した石英ガラス素材中で実現することができる。さらに、適合した機械的性質、例えば熱膨張率の調和関数的移行を実現することも可能である。
【0044】
本発明の方法は、ファイバーレーザー用のコア材料として、光学フィルターとして、またはレーザー用クラッド管として用いられるSiO素材の生産に特に適している。そのようなレーザー用クラッド管は、冷媒を導入するための冷却管として用いられる。ファイバーレーザーは、横方向から、または末端からポンプ注入されるファイバーレーザーである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
ここで実施例を参照して、より詳細に本発明について記述する。
【実施例1】
【0046】
[Ybをドープした石英ガラス]
直径6mmのロッドを、0.7mol% Ybおよび5.0mol% Alをドープしたレーザー活性石英ガラスから作成する。
【0047】
この目的のために、水、およびSiClの火炎加水分解により生成された50m/gのBET比表面積を有する非晶質ナノスケール発熱性SiO粒子から水性分散物を作成し、その分散物を均質化する。水溶性水和化合物を、均質な分散物へドーパント用の出発化合物として添加する。1000gのSiOおよび次の量のドーパントを水1500gに入れ、攪拌する:
YbCl×6HO:87g
AlCl×6HO:387g。
【0048】
粒状体を、Eirichミキサーを用い、標準湿式造粒法によって生成する。この目的のために、分散物が崩壊して、球状多孔性で、均質にドープされたSiO粒状体粒子から成る砕けやすい集塊が形成されるまで、加熱空気をその上に通し、連続的に撹拌して、分散物から水分を除去する。
【0049】
SiO粒状体粒子は、28重量%の低い含水量および0.75g/cmの密度によって識別される。
【0050】
それらを、続いて温度約1100℃において塩素を含む雰囲気中、連続炉で加熱することにより精製し乾燥させ、また同時に、熱によりわずかにあらかじめ密度が高められる。SiO粒子の表面は、小孔チャネルを介して精製ガスがアクセス可能であり、ガス状の不純物を容易に除去することができるので、塩素による精製がここで特に効率的である。
【0051】
この前処理の後に得られるSiO小粒は、1重量ppm未満のOH含量、34m/gのBET比表面積およびタンピング後の0.95g/cmの見かけ密度により識別される。平均粒子径は約420μmであり、約500μmより大きい粒子サイズの画分は、焼結に先立って除去した。不純物Li、Na、K、Mg、Ca、Fe、Cu、およびMnの合計含有量は200重量ppb未満である。
【0052】
このようにして生成された非晶質ナノスケールSiO粒子であるドープされた多孔性SiO小粒を、続いて黒鉛鋳型に入れ、温度1600℃でガス圧焼結によりガラス化する。鋳型をまず、負圧を維持ながら1600℃の焼結温度に加熱する。焼結温度に達した後、超過圧力を5バールに設定し、鋳型を約30分間この温度で維持する。続く室温への冷却中には、さらに超過圧力を温度400℃になるまで維持する。
【0053】
このようにして得られたYbをドープした石英ガラスのブロックは透明であり、また優れた光学品質を有する。石英ガラスは、光学的ポンプファイバーレーザー用のコアガラスとして適している。コアを穿つことにより、ブロック材料から15mmまでの直径を有するコアロッドが得られる。このようにして生成された中空円筒を、レーザー中でレーザー活性冷却管として用いることができる。
【実施例2】
【0054】
[Ndをドープした石英ガラス]
直径10mm、長さ1mのロッドを1300ppm Nbおよび0.5mol% Alをドープしたレーザー活性石英ガラスから作成する。
【0055】
この目的のために、最初の固形分50重量%の水性分散物を、水、およびゾルゲル沈降反応により生成された非晶質ナノスケールSiO粒子から作成し、その分散物を均質化する。水溶性水和化合物を、均質な分散物へドーパント用の出発化合物として添加する。40.0gのAlCl×6HOおよび 2.8g NdCl×6HOを、分散物にSiO1kg当たり加えて攪拌する。
【0056】
粒状体を、実施例1に記載したように調製する。従って、同じ特性のSiO粒状体粒子が得られる。
【0057】
ドープされた粒状体は、続いて連続炉中で、温度1250℃において塩素および酸素を含む雰囲気中で加熱されることにより、精製し乾燥され、同時に熱によりあらかじめわずかに密度が高められる。この前処理の後に得られるSiO小粒は、1重量ppm未満のOH含量、18m/gのBET比表面積により識別される。
【0058】
500μmより大きい粒子サイズを有する粒子画分を除去し、残りの小粒を温度約1450℃で短時間加熱することにより高密度に焼結する。このようにして得られた高密度のSiO小粒は、1重量ppm未満のOH含量によって、識別される。不純物、Li、Na、K、Mg、Ca、Fe、Cu、およびMnの合計含有量は、200重量ppb未満である。
【0059】
このようにして生成されたドープされた多孔性SiO小粒を、実施例1について上述したように、続いて黒鉛鋳型に入れ、温度1600℃でガス圧焼結によりガラス化する。
【0060】
得られたNdをドープした石英ガラスのブロックは透明であり、優れた光学品質を有し、ファイバーレーザー用のコア材料または光学フィルターとしての使用に適している。レーザー中でレーザー活性冷却チュ−ブとして用いられるチューブはコアの穿孔によりブロック材料から作成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー活性石英ガラスのコンポーネント用の素材を生産するための方法において:
a)少なくとも40重量%の固形分を有し、SiOナノパウダーおよびドーパントを含み、液体中に希土類金属および遷移金属の陽イオンを含む分散物を供給する工程、
b)35重量%未満の含水量および少なくとも0.95g/cmの密度を有する球状多孔性粒状体粒子であるドープされたSiO粒状体が形成されるまで、水分を除去しながら分散物を運動させることによる造粒工程、
c)SiO粒状体を少なくとも温度1000℃に加熱することにより乾燥させ精製して、10ppm未満のOH含量を有するドープされた多孔性SiO小粒を形成する工程、および
d)ドープされたSiO小粒を還元雰囲気中で焼結または溶融させて、ドープされた石英ガラスの素材を形成する工程、
とからなることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも50重量%の最初の固形分を分散物中に設定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程b)によって得られるSiO粒状体が、40m/g〜70m/gの範囲のBET表面積を有することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)によって得られるSiO粒状体が少なくとも50m/gのBET表面積を有することを特徴とする請求項3に記載の方法
【請求項5】
球状多孔性粒状体粒子が500μm未満の粒子サイズを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
SiO粒状体を、塩素を含む雰囲気下で乾燥および精製することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
SiO粒状体を少なくとも1050℃の温度で乾燥および精製することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
多孔性粒状体の乾燥と精製を酸素が含まれる雰囲気下で行なうことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程c)によって得られる多孔性SiO小粒が1重量ppm未満のOH含量を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程c)によって得られる多孔性SiO小粒が20m/g未満のBET表面積を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
工程d)によるSiO小粒の焼結または溶融がガス圧焼結を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ガス圧焼結が:
aa)負の圧力を加えて維持しながら、少なくとも1600℃の溶融温度へSiO小粒を加熱する工程;
bb)少なくとも30分間の溶融期間の間、溶融温度と5〜15バールの範囲の超過圧力下に保持して、石英ガラス素材を形成する工程;
cc)石英ガラス素材を冷却する工程、
を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程cc)による冷却を、超過圧力を維持しながら実行することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程d)に先立って、SiO小粒の密度を熱により高めることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
石英ガラス素材を、少なくとも1120℃の温度で少なくとも40時間の保持期間焼鈍することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
工程d)によるSiO小粒を鋳型の中で溶融することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
工程d)によるSiO素材を3次元的に均質化することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
放射状に不均質な屈折率分布を有するバルク体を様々な屈折率のSiO小粒から形成すること、およびバルク体を焼結または溶融してSiO素材を得ることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載される方法により得られるSiO素材の、ファイバーレーザー用のコア材料としての、光学フィルターとしての、またはレーザー用クラッド管としての使用。

【公表番号】特表2007−520408(P2007−520408A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543429(P2006−543429)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013544
【国際公開番号】WO2005/054139
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(503342524)ヘレウス クワルツグラス ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (13)
【Fターム(参考)】