説明

レーザ切断装置及びレーザ切断方法

【課題】厚板のレーザ切断において、送り速度に応じてビームの振動振幅と周波数を制御する際に、加速部でのえぐれ様の断面不良を解消することを目的とする。
【解決手段】レーザビームLBを被切断材上に集光照射し前記被切断材に対して前記レーザビームLBを走査して前記被切断材を切断するレーザ切断装置において、前記レーザビームLBを光軸を中心として振動させるレーザ切断装置であって、前記走査速度の値に応じて前記振動の周波数と振幅を制御するレーザ切断装置であって、前記走査速度の値が所定の初期値から別の所定の目的値に到達するまでの加速区間においては、初期値と目的値の中間の値を無視して、初期値に応じて決定した前記振動の周波数と振幅を保持し、目的値での静定を待って目的値に応じた前記振動の周波数と振幅に切り換える制御を行うレーザ切断装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚鋼板等のレーザ切断方法および装置に関する。特に、厚鋼板、並びに、他のレーザ切断が可能な金属材料や無機材料の、レーザ切断面の形状をより平坦に切断するのに好適な技術である。
【背景技術】
【0002】
レーザ切断は、特に、被切断材Wの鋼板の厚みが薄い場合には、自動化可能、切断幅(カーフ)が狭い、熱歪みが少ない等の利点に加え、いわゆるドロスフリー切断が比較的容易に実現され、後処理が不要で作業効率的に有利であるため多くの産業分野に普及している。ここで、ドロスフリーとは、例えば水平においた鋼板に鉛直上方からレーザビームを照射して切断するとき、切断された鋼板の断面(切断面)の下部に被切断材Wの溶融再凝固物(ドロス、ノロとも言う)が付着しないことである。一方、ガス切断では切断面下部にドロスが付着するため、付着したドロスを人手で除去する手入れ工程が必須であった。
【0003】
しかし、市販のレーザ切断機の有するレーザ出力は有限であるので、被切断材Wの厚みが厚くなるにつれ、切断面の下部に溶融物が滞留しやすくなり、熱が蓄積されるために過燃焼を生じ切断面粗さが粗くなったり、ドロスが付着する等、断面品位の劣化が顕在化してくる。これは、入熱不足により溶融物の温度が下がり粘性が増すこと、また、被切断材Wの厚みに対して切断溝(カーフ)が狭いためアシストガス流による溶融物の除去作用が低下することが主たる要因と考えられる。
【0004】
一方、市販されている厚板用のレーザ切断装置に用いられているレーザは初期コストの経済性等から炭酸ガスレーザが主流となっている。現状市販機の最高平均出力は6kWである。本願発明者等の調査によれば、厚板を顧客からの注文形状に応じて切断した切り板成品を大量生産するシヤリングメーカー等の現場において、6kW機を用いて定常的に軟鋼の良好な切断が可能とされている板厚の最大値は高々19mm程度である。出力が6kWを超える炭酸ガスレーザ装置は存在するものの、レーザ発振器や光学系の歪みのためにレーザビームの空間モード(断面の強度分布)において良好な単峰性モードを維持することが加速度的に困難となり、レーザビームの歪みが大きくなり、光軸外れの位置にいくつかのピークが発生するようになるなどして切断に適さなくなる。こうした理由によって一般的に6kWを超える炭酸ガスレーザ発振器はレーザ切断に用いられない。
【0005】
なお、出力光学系に人工ダイヤモンドを用いることで歪みを低減する技術が知られているが高価のため、レーザ切断機用レーザには適さない。以上のような技術的閉塞状況を抜本的に解消するには炭酸ガスレーザ発振器における格段の技術的進歩、あるいはファイバレーザ等、他の高ビーム品質の高出力レーザにおける格段の安価化が必要と考えられる。
【0006】
こうした現状の厚板のレーザ切断における板厚制約をレーザ出力以外の点で技術的に緩和して生産性向上を図るべく、従来、被切断材Wの表面で切断線(被切断材の面における切断部が形成する直線または曲線)を縫うようにレーザビームの照射位置を、当該切断線と交差する方向に変化させて振動させながら切断を行うことにより、切断可能な板厚の上限を拡大する複数の方法が提案されている。図4にレーザビームを振動させながら被切断材に照射して切断するときの、被切断材の面上におけるレーザビームの軌跡の一例の模式図を示す。
【0007】
例えば、特許文献1には、被切断材Wの表面に集光されたレーザビームを振動させつつ被切断材Wを切断するレーザ切断方法が開示されている。この方法によると、集光されたレーザビームを振動することにより広い溶融部を形成するため、カーフの幅が広くなり、アシストガスがカーフの奥部まで十分に供給されて厚手の被切断材Wを効果的にレーザ切断できるとされている。レーザビームの振動パターンの例としては、切断線に直角な直線、および切断線に弦が直角な半円が記載されている。
【0008】
特許文献2には、被切断材Wの表面に集光されたレーザビームを振動させつつ被切断材Wを切断する方法として、レーザビームの振動パターンを切断線に平行な方向の単振動、切断線に直角な方向の単振動、および両者の合成としての円軌道、または、焦点位置をレーザ光の進行方向に振動させるレーザ切断方法が開示されている。
【0009】
しかしながら、本発明者は、切断線に平行な方向にレーザビームを単振動させる場合、および、レーザ光の進行方向に集光スポットを振動させる場合には切断可能な限界厚さについて顕著に増大させる効果が得にくいことを実験的に調べた。
【0010】
また、切断線に直角な方向にレーザビームを単振動させる場合には、レーザビームを振動させない場合に比較して有意な限界板厚を増大させる効果が、実験的に認められた。
【0011】
一方、特許文献3に、前記レーザ加工ノズルが前記加工線に沿って移動する際に、前記レーザ加工ノズルの移動方向のみまたは移動方向と速さ(移動速度)を検出する移動速度検出手段と、前記移動方向または前記移動速度の検出値に基づいて、前記加工線に対して所定の角度、所定の周波数、及び所定の振幅でレーザビームを振動させるミラー駆動制御手段を具備する倣いレーザビーム振動装置を、本出願人は開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭60−210384号公報
【特許文献2】特開平7−236987号公報
【特許文献3】特開2007−21579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
鋼板のレーザ切断において、ドロスフリーで、被切断材の切断面の凹凸が小さいほど良好な切断面であるとされる。現場における切断面凹凸の評価はWES1級の標準サンプルを目安として目視レベルで比較する官能評価である場合が多いが、発明者等が独自に実施した粗度測定器による定量評価によれば上部断面がRz値にて50μm程度以下であれば目視評価による良好判定と一致する。
【0014】
特許文献3に記載したような倣いレーザビーム振動装置を備えたレーザ切断装置によるレーザ切断では種々の切断線の形状で被切断材を切り出すことが可能である。しかしながら、当該装置による切断において、切断の開始部や、切断線が鋭く方向を変えるコーナー部等において切断速度が大きく変化(加速、減速)することが多い。こうした、切断速度が大きく変化する部分すなわち加減速部の鋼板断面(切断面)において、しばしば“えぐれ様”と呼ばれる断面不良が発生し易いことを、本発明者らは見出した。厚手系鋼板のなかでも特に、被切断材Wの厚みが12mm以下と比較的薄い場合に当該不良が見られる頻度が高い。図5に当該不良の例を示す。丸で囲んだ部分である。なお、図5の丸で囲んだ部分以外は良好である。
【0015】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、鋼材等の被切断材の厚板をレーザビームを振動させながらレーザ切断する際に、切断途中で切断速度を大きく変化させたり、複雑な形状の切断線で切断しても、良好な性状の切断面を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり上記課題を解決するための本発明の要旨は、下記のごとくである。
本発明のレーザ切断装置は、被切断材面上の切断線に沿ってレーザ加工ノズルを被切断材に対して相対的にノズル送り速さVsで移動させて切断する際に、レーザビームを振動させながら照射するレーザ切断装置であって、前記被切断材上にレーザビームを振動させながら集光照射する振動ミラーまたは振動レンズ有するレーザ加工ヘッドと、前記レーザ加工ヘッドが前記切断線に沿って移動する際に,
前記レーザ加工ヘッドの移動方向と速さ(移動速度)を検出する移動速度検出手段と、前記移動速度の検出値に基づいて, 前記切断線に対して交差するように、振動の周波数および振幅Aを調節しつつ前記レーザビームを振動させるために前記振動ミラーまたは振動レンズを制御する振動駆動制御手段とを具備し、
前記振動駆動制御手段は、前記ノズル送り速さVsに予め設定した係数Cを乗算して前記振動の周波数を設定し、さらに、前記ノズル送り速さVsが略一定のときには、第1の閾値Vst以上且つ第2の閾値Vst未満の送り速さの範囲において、レーザビームの振動の振幅Aが単調に減少し、第1の閾値Vst未満の範囲において、振動の振幅Aが一定の値であり、第2の閾値Vst以上の送り速さの範囲においては振幅Aが零である、送り速さVsと振幅との関係を予め設定した振幅パターンに基づいて、前記ノズル送り速さVsに対する振動の振幅Aを設定し、前記ノズル送り速さVsが初期値Vから目的値Vへ変化するときには、初期値Vに対して設定した振動の周波数と振幅を保持し、ノズル送り速さVsが目的値Vに静定するのを待って、目的値Vに対して前記振幅パターンに基づいて振動の周波数および振幅に設定することを特徴とする
【0017】
また、本発明のレーザ切断装置は、前記レーザ加工ヘッドのレーザ切断ノズルの先端と前記被切断材との距離を検知する距離計を有し、前記振動駆動制御手段は、前記該距離計の測定値に基づいて、前記距離が予め設定した値以下であるときに前記レーザビームの振動を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明のレーザ切断方法は、被切断材面上の切断線に沿ってレーザ加工ノズルを相対的にノズル送り速さVsで移動させて切断する際に、レーザビームを振動させながら照射するレーザ切断方法であって、前記被切断材上にレーザビームを振動させながら集光照射する振動ミラーまたは振動レンズ有するレーザ加工ヘッドを用いて、前記レーザ加工ヘッドが前記切断線に沿って移動する際に,
前記レーザ加工ヘッドの移動方向と速さ(移動速度)を検出する移動速度検出工程と、前記移動速度の検出値に基づいて, 前記切断線に対して交差するように、振動の周波数および振幅Aを調節しつつ前記レーザビームを振動させるために前記振動ミラーまたは振動レンズを制御する振動駆動制御工程とを具備し、
前記振動駆動制御工程においては、前記ノズル送り速さVsに予め設定した係数Cを乗算して前記振動の周波数を設定し、さらに、前記ノズル送り速さVsが略一定のときには、第1の閾値Vst以上且つ第2の閾値Vst未満の送り速さの範囲において、レーザビームの振動の振幅Aが単調に減少し、第1の閾値Vst未満の範囲において、振動の振幅Aが一定の値であり、第2の閾値Vst以上の送り速さの範囲においては振幅Aが零である、送り速さVsと振幅との関係を予め設定した振幅パターンに基づいて、前記ノズル送り速さVsに対する振動の振幅Aを設定し、前記ノズル送り速さVsが初期値Vから目的値Vへ変化するときには、初期値Vに対して設定した振動の周波数と振幅を保持し、ノズル送り速さVsが目的値Vに静定するのを待って、目的値Vに対して前記振幅パターンに基づいて振動の周波数および振幅に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の、被切断材面上の切断線に沿ってレーザ切断トーチを被切断材に対して相対的に移動させる際に、振幅と周波数を移動速度の関数として変化させながらレーザビームを振動させて照射するレーザ切断装置によれば、厚板のレーザ切断において、トーチの静止状態あるいは一定の低速状態から高速の指令送り速度に到達する前の中間速度に反応しない機能を追加すること、並びに前処理工程におけるビーム振動を抑制することにより、切断能力を向上しかつ不良のない安定なレーザ切断が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態にかかるレーザ切断装置のレーザ切断トーチ部分(側面断面図)およびその他のブロック構成の一例を示す図である。
【図2】レーザビームを振動させるために、振動ミラー4内の駆動部へ入力される振動信号と送り速さVsとの関係のパターンの一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるレーザ切断装置の概略を示す斜視図である。
【図4】レーザビームスポットの動きを切断線に直角な直線振動としたときの軌跡の例を示す図である。
【図5】えぐれ様切断不良の一例を示す図である。
【図6】鋼板面上の四角形の切断経路における加減速部を例示する図である。
【図7】本発明の実施の形態における倣いレーザビーム振動装置を含むレーザ切断装置の概略構成例の平面図である。
【図8】微細工程から本切断工程への加速の様子の一例を示す図である。
【図9】レーザビームの振動周波数と、切断面におけるレーザ条痕の深さとの関係を示す実験結果の一例を示す図である。
【図10】えぐれ様切断不良抑制のために、レーザ切断トーチの急な加速・減速を検知する処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のレーザ切断装置及び方法を実施するための形態を、鋼板を被切断材の一例として、図面を用いて詳細に説明する。なお、下記の各図において、同一の機能を有する部分には同一の番号を付記して重複を避ける。
【0022】
本発明者らは、特許文献3に記載したような倣いレーザビーム振動装置を備えたレーザ切断装置を用いて、レーザビームを振動させながら行うレーザ切断に際して上記のえぐれ様の切断面が発生する原因を詳細にしらべた。具体的に被切断材のどのような部位にて上記のえぐれ様の不良が起こりやすいか説明するために、図6を用いて四角い形状の鋼板を切り出す場合の工程の一例を説明する。ここで、図6に示した四角形は切断線に当たる。レーザビームは切断線を交差するように振動しながら、切断線上を進行する。被切断材の鋼板を紙面上に置き、紙面上で上方向をY軸正方向、右方向をX軸正方向として座標系をとる。始めにピアシングと呼ばれる、鋼板の穴あけを行う。次に、+Y方向に低速の切り込み工程(以下「微細工程」と呼称する)を行う。次により高速の切断工程(以下「本切断工程」と呼称する)を行う。以下、同様に+X方向、−Y方向、−X方向に、微細工程→本切断工程を繰り返ことにより四角い形状の鋼板を切り出すことができる。このとき、レーザビームを照射するレーザ加工ヘッドまたは被切断材は有限の質量があり慣性を有するので急激な方向転換は不可能である。よって、四角形の角の前後においてレーザビームの被切断材に対する相対的な進行速度(送り速さ)は大きく減速、加速する必要がある。被切断材面上の微細工程に当たる区間(微細区間と記す)を図6に太線で示す。えぐれ様の切断面不良が発生するのは、微細区間(送り速さVj)から本切断(送り速さVk)に切り替わる加速中、または、本切断(送り速さVk)から角の頂点での停止(送り速さ0)に切り替わる減速区間であることを見出した。なお、被切断材面上の本切断工程に当たる区間を本切断区間と記す。
【0023】
<レーザ切断装置の実施の形態>
本発明のレーザ切断装置の実施の形態として、特許文献3に記載されたものと同様の倣いレーザビーム振動装置の構成を有するレーザビーム切断装置をベースにして構成例した例を図3(斜視図)、および図7(概略の平面図)に示す。当該レーザビーム切断装置は、被切断材Wの鋼板を積載可能でレール上をX軸方向に移動可能なテーブルを具備し、レーザビームLBを被切断材W上に集光・照射してレーザスポットを形成するレーザ切断トーチ7と振動ミラー4とを有するレーザ加工ヘッド9が被切断材W面上をXY軸方向に2次元的に相対的に移動可能としレーザ切断を統括して制御する数値制御(NC)装置と、レーザビームを振動させるための後付け装置として図7に示した速度検出手段1、演算部2、信号発生装置3等からなる。すなわち、図7に示すように制御盤14を介して操作盤15からの指示が速度検出手段1に出力され、速度検出手段1で検出された信号が演算部2に出力される。そして、演算部2では、振動ミラー4を振動させる周波数と振幅が演算により算出され、信号発生装置3を介して当該信号が振動ミラー4に出力される。これらの装置は、レーザ切断機ガントリー16上に設置されている。
【0024】
また、図1は本実施の形態のレーザ切断装置全体のうち、光学系の構成等を主体とする部分のブロック構成を示す図である。本願発明の装置は、レーザビームLBを被切断材W上に集光・照射してレーザスポットを形成すると共に、送り速度に応じて当該レーザスポットを切断線に直交する方向に振動させながら切断する装置である。本装置は、レーザビームLBを出力するレーザ装置5、およびレーザビームLBと共にレーザビームLBと同軸でアシストガスを出すレーザ切断トーチ7を有する。上記したように、当該トーチと、レーザ切断トーチ7の被切断材Wに対する送り速度を検出するための速度検出手段1、および速度検出手段1からの情報を基にレーザ集光スポットを切断線に対して直交する方向に対称的に振動させる周波数と振幅を決定する演算部2、演算部2の指示に基づいてレーザビームLBの振動制御信号を生成する信号発生装置3と、振動ミラー4を備えている。また、レーザ切断トーチ7には集光レンズ8とアシストガス供給口72を備えている。レーザ切断トーチ7および集光レンズ8には図示しない昇降機構を備えている。なお、上記振動ミラー4が内部にミラーを振動させる駆動部(図示せず)を有する例を以下で説明する。
【0025】
(速度検出手段1)
図3および図7において、レーザ切断トーチ7の被切断材Wに対する平面的(二次元的)な移動速度(移動方向と速さ)を検出する速度検出手段1は、レーザ切断を統括する数値制御(NC)装置から信号を取り出すか、市販のレーザ距離計等の光学式センサあるいはロータリーエンコーダ等の電磁式センサ等を利用してレーザ切断トーチ7(言い換えればレーザ加工ヘッド9)の位置(XY座標)を検知して、その時間変化から移動速度を演算するように構成することができる。なお、速度検出手段1はPLC等のデジタル制御器で構成することができる。このとき、レーザ切断トーチ7の移動速度を演算する周期は例えば50msec等にすることができる。
【0026】
(演算部2)
演算部2では、速度検出部1から入力される移動速度(移動方向と速さ)の情報を基に、予め設定した規則(振幅および振動パターンの設定情報)に従って、切断線に交差するようにレーザビームを振動させるために、レーザビームを反射する振動ミラー4を電気的に振動させる周波数f、および振幅Aを演算により算出する。まず、周波数fについては、例えば、被切断材Wに対するレーザ切断トーチ7の送り速度すなわち切断速度(ベクトル量)をV(Vx,Vy)(mm/s)で表わし、送り速度Vの絶対値すなわち送り速さ(スカラー量)をVsで表わすとき、レーザビームLBを振動させる周波数fをf=C×Vs(Hz)と演算して決める。ここで係数Cは定数であるが、物理的意味としては、単位長さ(mm)あたりの切断面に生じ、鋼板厚さ方向に伸びる条痕のピッチ(並行して隣接する条痕の中心の間隔)の逆数となる。Cを大きくすれば条痕の間隔は細かく、小さくすれば粗くなる。本発明者等の実験によれば図9(Vsが5mm/s、レーザビーム強度が1.1kWのときの条痕到達深さの実験値)に一例を示すごとく周波数20Hz程度の値に条痕到達深さピークがあることが確認された。したがって、この場合、上式よりC=4とすることが好ましい。但し、実際の駆動系を考慮すると、Cは3以上6以下に設定しても好適な結果を得られるものと考えられる。
【0027】
次に、レーザビームを反射して振動させる振動ミラー4内の駆動部へ入力する振動信号の振幅A(Vp-p)を例えば、A=2.75-0.15Vsのような所定の勾配を有するVsの関数として決める。振幅Aは、図2に一例を示すように、送り速さに対して単調減少する右肩下がりの関数となる。これは、入熱量の点から、一般に板厚が薄いほどレーザ切断時の送り速度を速くすることが可能であり、厚いほど遅くする必要があることに基づく。ここで、振動信号の振幅Aと被切断材Wの照射部におけるレーザビームの振幅A´との関係(ゲイン)を予め調節して設定しておく。例えば、振動信号の振幅Aの1Vp-pをレーザビームの振幅A´のXmmp-pなどと設定しておく。
【0028】
そして、送り速度VのX成分VxとY成分Vyから、レーザ切断トーチ7の送り方向すなわち切断線の接線方向が座標軸となす角を演算し、振動ミラー4を電気的に振動させる2軸の正弦波の振幅を、2軸を合成した振動が切断線に対して常に直交した振動方向となるように補正する。
【0029】
(信号発生装置3)
信号発生装置3では、演算部2から出力される周波数と振幅の設定値に従って振動ミラー4へ送る2軸の振動信号を発生する。なお、後述のピエゾ素子をアクチュエータとして用いる場合は、伸縮ストロークの中間点を動作点とする必要があるため、DCオフセットを与える必要がある。例えば、フルストロークで10Vの場合、5VのDCオフセットを与える。そして、これに振動信号を重畳させる。
【0030】
なお、信号発生装置3で発生する振動信号は、正弦波に限られるものではなく、例えば矩形波や三角波、あるいは鋸波といった種々の振動パターンを生成するレーザビームの走査信号でもよい。また、演算部2と信号発生装置3とで振動駆動制御手段を構成する。
【0031】
(振動ミラー4)
図1に構成例を示したように、振動ミラー4はミラーの角度をあおることでレーザビームLBを偏向させ被切断材W上でレーザビームスポットを2次元走査する機能を有する。2次元走査のためには2軸の自由度を要する。今、片方の軸をX軸、他方をY軸とする。例えば、ミラー52をミラーホルダー55にて支持し、X軸とY軸のあおり機構にピエゾ素子等の電気的に伸縮する素子53、54を取り付けて2軸振動させる。ピエゾ素子の伸縮による振動ミラー4のあおり角と被切断材W上でのレーザビームLBの振動振幅は一対一に対応する。例えば、Vs=8.3mm/sのとき、振動ミラー4内の駆動部に入力される振動信号の振幅Aは、A=1.5Vp-pであり、被切断材W上でのレーザビームLBの振動振幅は80μmに相当する。なお、ミラー52は、直接または間接的に水冷してもよい。
【0032】
なお、以上では、レーザビームを振動させる手段として、振動ミラー4で構成する態様を示したが、透過光学系でレンズを光軸に対して垂直方向に振動させる振動レンズを用いて構成してもよい。
【0033】
以上の構成のレーザ切断装置により鋼板をレーザビーム振動させながら切断する態様について記す。被切断材Wを板厚9 mmの鋼板を例として以下で説明する。図2に、レーザビームLBの振幅の設定の例を説明するために、振動ミラー4内の駆動部へ入力される振動信号のパターン(振動パターン)の一例を示す。すなわち、第1の閾値Vst以上且つ第2の閾値Vst未満の送り速さの範囲において、レーザビームの振動の振幅Aが単調に減少し、第1の閾値Vst未満の範囲において、振動の振幅Aが一定の値であり、第2の閾値Vst以上の送り速さの範囲においては振幅Aが零である振動パターンの例である。
【0034】
具体的には、出力6kWのレーザ切断機であれば板厚9 mmのとき、入熱量の点から図2の例では送り速度6 mm/s以上18.3 mm/s未満をレーザビームの振動の振幅を制御する範囲(振幅制御速度範囲)として設定してある。送り速度6 mm/s未満は微細工程での送り速度範囲である微細制御範囲とみなして一定の振幅を与える設定としている。ここでは当該一定の振幅を0とした例を示してある。なお、送り速度18.3 mm/s以上では振幅を与えない、すなわち振動させないが、これは周波数としては4×18.3=73.2Hzとなり比較的高速の振動であるため、レーザビームLBの振動に対して被切断材Wのカーフ内の熱伝導の応答性がなくなり、被切断材Wから見た入熱としては切断線に直交した方向に長い楕円ビームと等価となるためである。すなわち、板厚9mm以下の被切断材Wの場合で送り早さが18.3mm/s以上とするとき、レーザビームを振動させてもパワー密度(単位表面積当たりの入熱量)が低下するために切断性能がかえって低下するので、高速な送りに際してはレーザビームに振動を与えない設定となっている。
【0035】
なお、図2は、送り速さが小さい側にピークを持つ三角形状の振幅Aと送り速さVsとの関係の設定の例を示したが、送り速さについての振幅制御速度範囲の設定及び振幅Aを一定にする範囲の設定は、レーザビームの強度、鋼板等の被切断材の厚さ、および被切断材の熱伝導率により、適宜例えば実験的に設定する。また、振幅の送り速度との関係は、上記の三角形にする他に、振幅が単調に減少するパターンを実験的または熱伝導シミュレーションにより適宜設定して用いても良い。
【0036】
このようにレーザビームを振動で鋼板等を切断するとき、上記の図6に例示したように、えぐれ様の切断面不良の発生は、鋼板の板厚が9mmのとき、振動振幅が0である送り速度Vs<6 mm/sの微細工程区間から、同じく振動振幅が0となる送り速度Vs(>18.3 mm/s)の本切断工程区間に切り替わる際に発生することは既に述べた。この加減速区間(微細工程区間)では、速度検出部1がちょうど図8に示す加速中(または減速中)の時間帯に速度検出を行うと、検出された速度の値は振幅制御速度範囲内に該当するので比較的大きな振動振幅を発生することになる。この結果、切断面上部に比較的大きな周期性のある条痕が発生し、他の面と比較すると目立つため、えぐれ様の不良として見えるようになると考えられる。したがって、この加減速区間では振動振幅は0のまま推移するように切り換えるのがよい。
【0037】
また、鋼板の厚さが9mmよりも厚く、本切断工程区間における送り速度が振幅制御速度範囲内に設定するときも、微細工程区間内では振幅の増大を避けるために振動振幅を0にする。
【0038】
上記の微細工程区間で、えぐれ様の断面不良を防止するために、振動振幅を0を含む一定値としてするために、レーザ切断トーチ7を被切断材Wに対して相対的に移動させて切断するときに、以下に示すような、レーザ切断トーチ7の送り速さを評価する処理を行うことで実現される。
【0039】
演算部2において、一定時間間隔Δtの時刻t(n=1、2、・・・)に下記の定義にて、速度検出部1で検出したレーザ切断トーチ7の送り速度またはその絶対値(ここでは送り速さVsと記す)を用いて、繰り返し評価する。そして、送り速さの評価結果の値(ノミナルな送り速さ:採用速度)を信号発生装置3に出力する。
【0040】
(評価基準/フロー)
A.時刻tにおいて、前回の送り速さVs(tn-1)と今回の送り速さVs(tn)との差が変調不感幅Vf(mm/s)を超えた場合は、今回の送り速さVs(tn)をレーザ切断トーチのノミナルな送り速さ(採用速度と記す)として採用し、採用速度Vss(tn)=Vs(tn)とする。
B.前回の採用速度Vss(tn-1)と今回の送り速さVs(tn)の差が変調不感幅Vfに満たない場合は、前回の速度を採用速度Vss(tn)=Vs(tn-1)= Vss(tn-1)とする。
C.定義A及びBにおける前回とは、採用した速度とする。
D.前回の「実際」の速度と今回の速度の差が変調安定判定幅Vaで定義した範囲内なら等しいと判断し、今回の速度を採用する。
E.速度が0mm/secになった場合は上記に関係なく0mm/secとする。
【0041】
信号発生装置3において、Vsに変化があった場合は定義した関数に基づき波形を生成。

(Vs=0mm/sの場合は一定電圧値DC5V(を出し続ける波形を生成))
【0042】
図10に以上の、演算部2において実行される、レーザ切断トーチの急な加速・減速を検知して、ノミナルな送り速さを設定し、信号発生装置3に出力する処理のフローチャートを示す。
【0043】
つぎに、送り速さVsの時間変化から微細工程区間を検知して、振動振幅を調整する処理の具体的な例として、例1を表1に、例2を表2に示す(変調不感幅を10mm/sec、変調安定判定幅を0.2mm/secで設定)。
【0044】
(例1)
【表1】

時刻tn−1においては、(9.0-1.2=7.8)の為今回の速度を使用。
時刻tnにおいては、(18.3-1.2=17.1)の為今回の速度を使用。
【0045】
(例2)
【表2】

時刻tn−1においては、(9.0-1.2=7.8)の為前回の速度を使用。
時刻tnにおいては、前回の実際の速度と変調安定判定幅Va内で同等の場合、その値を使用。
【0046】
上記のようにして、ノズル送り速さVsが初期値Vから目的値Vへ変化するときには、初期値Vに対して設定した振動の周波数と振幅を保持し、ノズル送り速さVsが目的値Vに静定するのを待って、目的値Vに対して前記振幅パターンに基づいて振動の周波数および振幅に設定する。
【0047】
以上のようにして、本発明では、トーチの静止状態あるいは一定の低速状態から高速の指令送り速度に到達する前の中間速度に反応しない機能を追加することにより、切断能力を向上しかつ不良のない安定なレーザ切断を両立実現することができる。
【0048】
また、被切断材Wの表面に直角な方向をZ軸とすると、レーザ切断時は被切断材Wとレーザ切断ノズル71との距離は所定の値Z1で一定となるように制御するとよい。レーザ切断ノズル71の先端と被切断材Wとの距離は、例えば市販の半導体レーザ等を用いた距離計で測定するようにしても良い。当該距離の測定値を用いてレーザ切断ノズル71の高さを制御する機能を前記振動駆動制御手段に組み込み、さらに、振動駆動制御手段から出力される高さの制御信号に基づき動作する、レーザ加工ヘッド9内にレーザ切断ノズル71の昇降駆動部(図示せず)を付加するか、または、レーザ加工ヘッド9全体を上下させる昇降駆動部(図示せず)を設けてもよい。
【0049】
そして、前記レーザ加工ヘッドのレーザ切断ノズル71の先端と被切断材Wとの距離(間隔)が、例えば20mm以下といった一定の設定値以下のときにレーザビームを振動させるように、前記振動駆動制御手段により振動制御することにより、作業性および操作性が向上する。
【0050】
ところで、塗装鋼板を切断する場合に、切断の前処理としてトーチを上昇させビームをデフォーカスとして塗装を焼き切る工程を加えるが、この際には被切断材Wと切断ノズルの距離Z2は上記切断の場合よりも大きい。これを利用し、Zが所定の値以下の場合のみ、ビーム振動の制御をかけることにより、ムラのない塗装焼き切り工程を実現できる。例えば、Z1=2mm、Z2=50mmである場合、Z≦10mmで制御をかければ良い。
【0051】
以上で説明した、本発明のレーザ切断装置の実施の形態において、速度検出部1、演算部2、および信号発生部3は、例えば、光学式センサまたはロータリーエンコーダ等の位置センサ、レーザ切断を統括する数値制御(NC)装置、並びに、振動ミラーを駆動するピエゾ素子等のアクチュエータとのI/O部を具備したPLC(Programmable Logic Controller)やパーソナルコンピュータを用いて構成することができる。
【0052】
以上では、被切断材が鋼板であるときの一例を詳細に説明したが、本発明のレーザ切断装置は、レーザ切断が可能な他の金属材料および無機材料の厚板等の切断においても、平坦で良好な形状の切断面を得るのに有用である。
【実施例】
【0053】
本発明のレーザ切断装置を、出力6kWの市販の炭酸ガスレーザ搭載型切断機に設置し、軟鋼のレーザ切断を試みた。集光レンズはZnSe製であり、焦点距離は222.25mmである。集光レンズへの入射レーザビーム径は約35mm、集光点でのスポットサイズは約0.4mmである。被切断材Wは軟鋼の黒皮付き鋼板とした。
【0054】
図3を用いて本実施例を説明する。図示しないレーザビームLBはレーザ装置5から出力され光路折り曲げミラー11Aにて横行方向に反射され、光路長一定化装置11Bで折り返されて振動ミラー4にて被切断材Wに向かう方向(図3の−Z方向)に反射される。振動ミラー4は横行方向(図3のY方向)に移動できるようになっている。レーザ切断トーチ7は振動ミラー4に接続されており、Z方向に伸縮できる。そしてこれら全体が長手方向(図3のX方向)にレール13の上を移動する台車12に搭載されている。振動ミラー4はレーザビームLBを直交する2軸で独立に振動させる。また、被切断材Wに対するレーザ切断トーチ7送り速度を検知する速度検出装置1は、図示しないが、NC装置10の内部に設置した。速度検出装置1からの情報を処理する演算部2は台車12上に搭載した。演算部2により指定された周波数と振幅に従って振動ミラー4へ送る振動信号を発生する信号発生装置3は、台車12上に設置した。
【0055】
演算部には実施の形態に説明したロジックを搭載した。
【0056】
以上に説明した本発明の装置を適用した結果、厚板のレーザ切断において、送り速度に対応して周波数と振幅を適切に制御することにより、出力6kWの炭酸ガスレーザ切断機を用いて板厚32mmまでの軟鋼を大量生産の中で安定的に良好な断面品位にてレーザ切断することが可能となることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、例えば、金属やセラミックス等を被切断物として、溶接や切断などの切断を施すレーザ切断技術に利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 速度検出手段
2 演算部
3 信号発生装置
4 振動ミラー(駆動装置を含む)
5 レーザ装置
7 レーザ切断トーチ
8 集光レンズ
9 レーザ加工ヘッド
10 レーザ切断機本体のNC装置
11A 光路折り曲げミラー
11B 光路長一定化装置
12 台車
13 レール
14 制御盤
15 操作盤
16 レーザ切断機ガントリー
52 ミラー
53、54 ピエゾ素子
55 ミラーホルダー
71 レーザ切断ノズル
72 アシストガス供給口
LB レーザビーム
W 被切断材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断材面上の切断線に沿ってレーザ加工ノズルを被切断材に対して相対的にノズル送り速さVsで移動させて切断する際に、レーザビームを振動させながら照射するレーザ切断装置であって、
前記被切断材上にレーザビームを振動させながら集光照射する振動ミラーまたは振動レンズ有するレーザ加工ヘッドと、
前記レーザ加工ヘッドが前記切断線に沿って移動する際に, 前記レーザ加工ヘッドの移動方向と速さからなる移動速度を検出する移動速度検出手段と、
前記移動速度の検出値に基づいて, 前記切断線に対して交差するように、振動の周波数および振幅Aを調節しつつ前記レーザビームを振動させるために前記振動ミラーまたは振動レンズを制御する振動駆動制御手段とを具備し、
前記振動駆動制御手段は、前記ノズル送り速さVsに予め設定した係数Cを乗算して前記振動の周波数を設定し、さらに、
前記ノズル送り速さVsが略一定のときには、第1の閾値Vst以上且つ第2の閾値Vst未満の送り速さの範囲において、レーザビームの振動の振幅Aが単調に減少し、第1の閾値Vst未満の範囲において、振動の振幅Aが一定の値であり、第2の閾値Vst以上の送り速さの範囲においては振幅Aが零である、送り速さVsと振幅との関係を予め設定した振幅パターンに基づいて、前記ノズル送り速さVsに対する振動の振幅Aを設定し、
前記ノズル送り速さVsが初期値Vから目的値Vへ変化するときには、初期値Vに対して設定した振動の周波数と振幅を保持し、ノズル送り速さVsが目的値Vに静定するのを待って、目的値Vに対して前記振幅パターンに基づいて振動の周波数および振幅に設定することを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項2】
前記レーザ加工ヘッドのレーザ切断ノズルの先端と前記被切断材との距離を検知する距離計を有し、
前記振動駆動制御手段は、前記該距離計の測定値に基づいて、前記距離が予め設定した値以下であるときに前記レーザビームの振動を行うことを特徴とする請求項1に記載のレーザ切断装置。
【請求項3】
被切断材面上の切断線に沿ってレーザ加工ノズルを相対的にノズル送り速さVsで移動させて切断する際に、レーザビームを振動させながら照射するレーザ切断方法であって、
前記被切断材上にレーザビームを振動させながら集光照射する振動ミラーまたは振動レンズ有するレーザ加工ヘッドを用いて、
前記レーザ加工ヘッドが前記切断線に沿って移動する際に, 前記レーザ加工ヘッドの移動方向と速さからなる移動速度を検出する移動速度検出工程と、
前記移動速度の検出値に基づいて, 前記切断線に対して交差するように、振動の周波数および振幅Aを調節しつつ前記レーザビームを振動させるために前記振動ミラーまたは振動レンズを制御する振動駆動制御工程とを具備し、
前記振動駆動制御工程においては、前記ノズル送り速さVsに予め設定した係数Cを乗算して前記振動の周波数を設定し、さらに、
前記ノズル送り速さVsが略一定のときには、第1の閾値Vst以上且つ第2の閾値Vst未満の送り速さの範囲において、レーザビームの振動の振幅Aが単調に減少し、第1の閾値Vst未満の範囲において、振動の振幅Aが一定の値であり、第2の閾値Vst以上の送り速さの範囲においては振幅Aが零である、送り速さVsと振幅との関係を予め設定した振幅パターンに基づいて、前記ノズル送り速さVsに対する振動の振幅Aを設定し、
前記ノズル送り速さVsが初期値Vから目的値Vへ変化するときには、初期値Vに対して設定した振動の周波数と振幅を保持し、ノズル送り速さVsが目的値Vに静定するのを待って、目的値Vに対して前記振幅パターンに基づいて振動の周波数および振幅に設定することを特徴とするレーザ切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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