説明

レーザ加工を用いた金型などの洗浄方法及び洗浄装置並びにタイヤ成形金型の洗浄装置

【課題】ゴムタイヤなどの成形金型に付着した残渣を、熱などで金型母材が変形することなく、短時間で確実に除去すること
【解決手段】被洗浄物を載置するワーク載置台と、上記ワーク載置台の上方に配置され少なくとも2節以上の多関節アームを有するマニュピュレータと、上記マニピュレータの先端に配置されたレーザヘッドと、上記レーザヘッドにレーザ光を供給するレーザ発振器と、上記レーザベッドに設けられ上記被洗浄物に対してレーザ光を照射する光学素子と、上記マニピュレータを上記被洗浄物の形状に沿って移動する制御手段とを備える。そして上記レーザ発振器はCO2レーザその他の短パルスレーザ光を発光すること、及び上記マニピュレータは被洗浄物に形成された凹凸形状に沿って上記レーザヘッドを移動するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種合成樹脂のモールド成形、合成ゴムの加硫成形などに用いる成形金型の洗浄方法及び装置に係わり、特にゴムタイヤなどの微細な表面形状を形成する成形金型の洗浄に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に合成樹脂などの成形は各種部品、装置ケーシングなど原料を成形型に流入して冷却固化するモールド成形が広く用いられ、またゴムタイヤなどの加硫成形も成形型内に液状ゴムを充填して加熱加硫する成形法が広く知られている。このような成形型で製品を生産する加工方法は、モールド成形、加硫成形に拘わらず広く用いられ、連続して大量に生産する設備機器として知られている。
【0003】
従来、このような成形型で例えばゴムタイヤを生産する場合、金型に材料などの残渣が残留しないように離型剤を用いているが、繰り返し成形する際に金型には原料物質(ゴムタイヤの場合有機物質)が型表面或いは溝などに付着して硬化することは避けられない。このような金型表面に原料物質などの残渣が固着すると成形形状に影響し、例えばゴムタイヤの場合、タイヤ表面のタイヤパターンの形状が変化してしまう問題が知られている。そこで製造工程では適時成形金型の表面を洗浄(研磨)して付着した物質を取り除いている。
従来この成形金型の洗浄は(1)研磨剤(以下「研掃剤」という)を用いた手作業洗浄、(2)ドライアイスペレットをショットブラストするドライアイスブラスト洗浄、(3)減圧下でマイクロ波を照射してH2Oプラズマを発生させて分解洗浄するプラズマ洗浄、(4)レーザ光を照射して発生する衝撃波で付着物質を除去するレーザ洗浄などが知られている。
【0004】
例えば特許文献1には図6に示すような装置が開示されている。同文献には、ゴムタイヤを加硫成型する金型を装置内に複数配置し、この金型の内側に光学走査装置(レーザ照射器)を配置し、この照射器からレーザ光を照射している。そしてこの照射器を360度回転することによって金型表面に付着した残渣を洗浄除去している。
そして従来はレーザ光としてYAGレーザ(波長1.064μm)を使用している。このYAGレーザは比較的波長が短いため、レーザ発振器からレーザを照射するレーザヘッドまで光ファイバー転送が可能であり、装置の光学系を小型化できる特徴がある。このようにレーザ光を用いた金型などの残渣除去には一般に次の特徴があるとされている。
1.薬剤・ブラスト材を使用しないこと
光学エネルギーのみを使用する為、廃棄物量は大幅に削減される。
2.ドライプロセスであること
作業はドライで行われ、衛生的な環境も保つ
3.母材(金型)にダメージを与えないこと
溶接・切断用レーザとはパラメータが異なり、金型などの金属母材への影響はない。 (表面温度は最高で200℃程度)
4.飛散物がないこと
周辺環境やオペレータへの飛散物の影響が少ない。
作業エリアへの飛散防止ネットを設置する必要がなくその養生も不要となる。
5.非接触であること
レーザ光のみを使用する非接触クリーニング方式を採用する為、特別なツールを必要としない。
6.無騒音であること
作業環境及び周辺環境への騒音の心配がない
7.低ランニングコストであること
薬品・水・ブラスト材等を使用しない為、ランニングコストが大幅に軽減される
8.自動化が容易であること
【特許文献1】 特開平9−327832号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようにゴムタイヤの加硫成形型(以下金型という)などに付着する残留物(残渣)をレーザ光で洗浄除去することは既に知られ、上述の特徴があることも知られている。ところが従来は、前掲特許文献1に開示されているようにYAGレーザ等の比較的波長の短いレーザ光を光ファイバーなどでレーザヘッドに導き、このヘッドから金型表面に照射しているため次の問題がある。
【0006】
まずYAGレーザなどの比較的短波長のレーザ光(を長パルスで発光させ、これを金型に照射しているため、金型がアルミ合金などの金属で形成されている場合に金型に形成されている形状パターンを変形する問題がある。つまり短波長のYAGレーザ(波長1.064μm)はアルミ合金に対する吸収率が大きいため金型自体に伝わる熱で形状が変形する問題がある。特にタイヤ金型の場合洗浄するゴム素材の残滓は有機物質であるのに対し、この残滓より金型自体の吸収率が大きいためその表面に形成されたタイヤパターンが熱で変形することがある。従って大きな光エネルギーのレーザ光を照射することが出来ず、確実にゴム質の残渣を剥離することが出来なかった。
【0007】
また、従来は前掲特許文献1のようにレーザ光を金型表面に形成されている凹凸形状に関係なく同一条件で全体に照射しているため、例えばトレッドパターンなどの凹凸溝内に付着した残渣を完全に除去するにはレーザ光を長時間照射する必要があり、反面長時間のレーザ光照射により金型母材が変形する問題が生ずる。
このように、光ファイバー伝送可能な波長帯(主としてYAGレーザの持つ波長)は、伝送損失が大きく、かつ基本的に集光ビームのため、照射面積が小さくなってしまう。これは残渣を完全に除去するために必要な加工処理時間(洗浄時間)が求められる数倍〜数十倍となってしまう。また、トレッドパターンなどの溝内に付着した残渣の除去が困難であるとの問題を有していた。
【0008】
そこで本発明は金型などに付着した有機物に対して吸収率が大きく、また、金型表面に凹凸形状などのパターン溝に適格に照射することが可能な短パルスCo2レーザなどの長波長のレーザ光を使用し、これと同時に複雑なパターン形状に沿ってレーザ光を照射することによって短時間で確実に残渣を剥離除去することが可能であるとの着想に基づいてなされたものである。
【0009】
従って本発明はゴムタイヤなどの成形金型に付着した残渣を、熱などで金型自体を変形することなく、短時間で除去することが可能な洗浄方法及び洗浄装置の提供をその主な課題としている。
また、本発明は金型などの被洗浄物に形成された溝パターンなどの形状に応じてレーザ光を照射することが可能な洗浄装置の提供をその課題としている。更に本発明は、レーザ光を照射するレーザヘッドを被洗浄物の複雑な形状に追尾して照射する簡単な制御システムの提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用する。
本発明は、ゴムタイヤなどの成形型(以下「金型」という)の付着物(以下「残渣」という)を、ゴム素材などの有機物に対して吸収率の大きいCo2レーザを短パルス(例えばパルス幅が10μSec〜100μSec)で照射することを特徴としている。これによって金型自体を変形することなく付着した有機物の残渣を確実に剥離して除去することが可能となる。また、本発明は上記Co2レーザを金型などの溝パターンに沿って照射することを特徴としている。このためレーザ光を照射するレーザヘッドをマニピュレータに装備し、このマニピュレータをレーザヘッドが溝パターンに沿って追尾するように制御する。これによって高速で短時間に金型洗浄が可能となる。
また、本発明は上記レーザ光を被洗浄物の溝パターンに沿って照射する際に少なくとも2節以上の多関節アームを有するマニピュレータで溝形状を追尾することを特徴としている。この多関節アームの先端にレーザ光を照射するレーザヘッドを装備し、アームの他端部にレーザ発振器を備える。そして上記レーザヘッドの3次元位置とレーザ発振器の発光パターンを溝形状に応じて制御する。これによって複雑な形状の被洗浄物に対しても、また付着物の付着個所に応じたレーザ光の照射が可能となり、より確実な付着物の剥離洗浄が可能となる。
【0011】
更に本発明は上記レーザ光を溝パターンに沿って追尾する際に所定長さのライン光(線条光)として照射することを特徴としている。このためレーザヘッドにはシリンドリカルレンズ及び/又はポリゴンミラー若しくはガルバノミラーを配置し、これによって溝パターンに沿って線条に成形されたライン状レーザ光を照射することにより、スポット状ビーム光に比較して高速・短時間で洗浄することが可能となる。そして本発明は上記マニピュレータを、被洗浄物例えば金型の原形状データ(キャドデータなど)と、レーザヘッドの位置補正手段(入力手段など)によって制御することを特徴としている。これによってマニピュレータを簡単に制御することが出来、洗浄作業は熟練を要することなく簡単に行うことが出来る。
【0012】
本発明は上記マニピュレータの制御の際、レーザヘッドの照射位置と残渣の除去状態をモニタリングすることを特徴としている。このモニタリングは例えばレーザ光を照射する光学素子(レンズ)の中心と付着物が発するプルームとを同軸的に視認することが出来るように構成する。これによってレーザ光が正確に溝パターンに沿って照射されているか否かと確実に付着物が除去されているかを確認してレーザヘッドの位置を制御することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ゴムタイヤ加硫金型などの被洗浄物にCo2レーザを照射することによって付着した残渣を除去するようにしたものであるから、従来のYAGレーザに比べ有機物に対する吸収率が高く金属に対する吸収率が低いため、ゴムなどの有機物を確実に除去することが出来、同時にアルミ合金などの金型母材を変形させることが少ない。
また、Co2レーザを短パルス(例えばパルス幅が10μSec〜100μSec)で照射するためタイヤのトレッドパターンなどの凹凸溝内に強力な衝撃波が生起され、これに付着した残渣を剥離除去することが可能となる。
【0014】
更に本発明は線条光線として上記Co2レーザを被洗浄物に照射するため従来のスポット状ビーム光を照射する場合に比べ高速洗浄が可能であり、この線条レーザ光の形状を被洗浄物の凹凸形状に応じて生成することも可能であり、この場合には更に高速洗浄が可能となる。また、本発明は上述のCo2レーザ光を発振するレーザヘッドを少なくとも2節以上の多関節アームを有するマニュピュレータの先端に配置し、このマニュピュレータの基端部にレーザ発振器を配置したものであるからレーザヘッドを被洗浄物に形成されている凹凸形状を追尾するように移動しながら照射することによって付着した残渣を確実に除去することが出来る。更には被洗浄物の原形状データに基づいて自動的に洗浄することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図示の実施の形態に基づいて本発明を詳述する。図1は被洗浄物の一形態としてゴムタイヤの加硫成形型の形状を示す。図2は本発明の洗浄装置の全体構成の説明図であり、図3はそのレーザヘッド部の詳細説明図であり、図4は多関節アーム部の詳細説明図である。また図5は線条レーザ光のモデル図である。
【0016】
図1に示すようにゴムタイヤなどの加硫成型時に使用する金型1は円筒形状で通常のゴムタイヤ形状に構成され、内部にはタイヤパターンを形成する溝パターン1aが形成されている。そしてこの金型1内にカーカス、ベルト、トレッド、ビードなどの各パーツを成型機で成型されたタイヤの原形(グリーンタイヤ)を収容し、グリーンタイヤを金型に入れ、高温・高圧の蒸気をブラダー(圧縮装置)で内側から金型に向けて押付ける。この時、熱と圧力によってゴムの分子と硫黄の分子が結合、グリーンタイヤのゴムに弾力性と耐久性が生まれる。また、タイヤの最終的な形状やトレッド面の模様(以下「トレッドパターン」という)もこの時、金型によって成形される。
【0017】
このような加硫加工を繰り返すと金型1にはゴム素材、硫黄その他の添加物が付着する(以下この付着物を「残渣」という)。この残渣は高温高圧下で金型に固着し、例えばトレッドパターンの溝内に固着する。このような残渣の固着が進むとトレッドパターン1aが崩れ均一高品質なタイヤの生産が不可能となる。この金型1は適時、残渣を除去する洗浄が必要となり、本発明はこのような被洗浄物(以下金型で総称する)の洗浄装置及び洗浄方法に係わる。
【0018】
まず本発明の洗浄装置について説明する。
図2に示すように洗浄装置Aは、ワーク載置台2と、レーザ発振器3と、マニピュレータ4と、制御装置5とで構成される。レーザ発振器3は発振器本体で構成され、その構造は詳述しないが通常のCo2レーザ光を所定パルスで発振する構造を採用している。特にこの発振器本体3はCo2レーザ光をパルス幅10μSec乃至100μSecの短パルスで発振するように構成してある。この発振器の出口端には集光レンズが長焦点レンズで点光源を発光するように構成されている。
尚短パルス発振としたのは金属などの母材(金型など)に対する熱の影響を少なくするためであり、実験から10乃至100μsecが好まして範囲として得られた。ワーク載置台2は被洗浄物(金型)1を載置するテーブルであり、その構成は被洗浄物1を所定姿勢で載置する適宜形状に構成する。特にこのワーク載置台2には被洗浄物(金型)1を静止状態に保持するクランプ手段を設けることが好ましい。尚、上記発振器本体3には必要に応じてホモジュナイザを内蔵し、レーザ光のエネルギー分布を均一化させる。これにより被洗浄物に対して同じエネルギーで安定して研磨作用を得ることが可能となる。
【0019】
上記マニピュレータ4は駆動側マニピュレータ41と従動側マニピュレータ42で構成され、従動側マニピュレータ42は少なくとも2節、図示のものは連結軸43a、43b、43cで連結された多関節アーム42aで構成され、その基端部には上記レーザ発振器3が光学的に接続されている。そして各連結軸部43a、43b、43cには図示しないがそれぞれ2枚構成のミラが配置され、反射軸に対して360度回転できるように対向配置されている。そしてCO2レーザ光は各アーム部44a、44b、44c、44d内に形成した中空光路を、その節部に固定ミラと回転ミラを組み合わせて先端ヘッド6に伝送するようになっている。つまり45度に反射させるミラを固定し、360度回転可能なミラを対向させることによって節部の角度を自由に設定できるように構成してある。
【0020】
上記従動側マニピュレータ42の先端部には上記レーザ発振器3からのレーザ光を前記金型1に照射するシリンドリカルレンズ及び/又はポリゴンミラー若しくはガルバノミラー(図示せず)を有するレーザヘッド6が設けられている。このポリゴンミラー若しくはガルバノミラー又はシリンドリカルレンズは長焦点深度(図示のものは±4mm)で被洗浄物の凹凸形状に拘わらずほぼ均一のエネルギーを作用させるようになっている。そしてこのシリンドリカルレンズに対して前記多関節アームを経由して伝送されたレーザ光をポリゴンミラー若しくはガルバノミラーで所定長さの線条光に変換して被洗浄物に照射する。この為レーザヘッド6にはポリゴンミラー若しくはガルバノミラーとこれを回転駆動する駆動モータとシリンドリカルレンズが内蔵されている。そしてこの駆動モータの制御によって被洗浄物に照射する線条光の長さを調節可能に構成されている。
【0021】
上述レーザヘッドからのレーザ光は図5に示すように被洗浄物である金型1に線条光Pを照射し。このレーザヘッド6はワーク載置台2の上方に配置され自由に3次元位置で移動可能に構成されている。一方駆動側マニピュレータ41は少なくとも2軸の連結軸で、図示のものは連結軸45a、45bで構成され、その先端部は従動側マニピュレータ42の先端部に連結されている。この駆動側マニピュレータ41の連結軸部には駆動モータ例えばステッピングモータが内蔵され、所定角度各関節アームを駆動するように構成され、この駆動側マニピュレータ41には制御装置5が連結されている。従って制御装置5で駆動側マニピュレータ41を3次元の所定位置に移動すると、前記従動マニピュレータ42のレーザヘッド6も同位置に移動することとなる。
【0022】
上記制御装置5は例えばコンピュータで構成され、制御CPU51とディスプレイ52と入力装置(マウスなど)53とを備えている。そして制御CPU51と前記駆動側マニピュレータ41のドライバ回路が連結されている。この制御CPU51には前記駆動側マニピュレータ41を位置制御するプログラムが組み込まれ、このプログラムに従って前記レーザヘッド6の3次元位置を制御するように構成されている。
この制御プログラムは例えば次のように構成される。制御CPU51には金型1の原形状が例えばCADデータとして記憶されている。そして上記プログラムはディスプレイ52上に金型形状(以下原モデル形状という)を表示し、このモデル形状の上にレーザヘッドの照射光を洗浄ポイントとしてポインタ表示する。同時にこの洗浄ポイントは例えばマウス操作によって位置変更できるのと同時に前記ガルバノミラーの振幅の幅を変更させることによって金型の形状に合わせてスキャニング幅を変更可能となる。
【0023】
そこで制御装置5はディスプレイ52上に表示された洗浄ポイントに従ってレーザヘッド6の3次元位置を同期するように前記駆動側マニピュレータ41を制御する。これによってオペレータはディスプレイ52上にティーチングされた原モデル形状に従ってレーザヘッド6を位置移動することが可能となる。これと同時に制御装置5はレーザヘッド6と金型との間の照射距離を例えば原モデル形状のデータから演算する。
【0024】
なお、図示の装置は上記制御装置5の制御を容易にするため、レーザヘッド6には同軸観測モニタ(図示せず)が設けてある。このモニタは例えば次のように構成する。前述のようにレーザヘッド6には長焦点レンズ(シリンドリカルレンズ;図示せず)が内蔵されレーザ光を金型1に照射する。このとき、このレンズの背面側から金型に照射したレーザ光を観測できるようにする。これによって金型の残渣から発せられるプルームを観測することによってオペレータはレーザ光が適切な溝パターン位置に照射されているか、残渣が確実に除去されているかを観測しながらレーザヘッドの位置を制御装置5で制御することが可能となる。
【0025】
次に本発明に係わる洗浄方法について説明すると、前述の金型1に形成されたタイヤパターン形状1aに沿って線条の短パルスCO2レーザ光を照射する部分残渣熔解工程と、上記部分残渣溶解工程をタイヤパターンのトレッド方向に走査する幅方向走査洗浄と、上記幅方向走査洗浄をタイヤパターンの周方向に走査する周方向走査洗浄と、上記幅方向走査洗浄と周方向洗浄とをタイヤパターンの凹凸形状に沿って実行することによって金型表面を面洗浄する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】被洗浄物の一形態としてゴムタイヤの加硫成形型の形状を示す。
【図2】本発明の洗浄装置の全体構成の説明図。
【図3】図2の装置におけるレーザヘッド部の詳細説明図。
【図4】図2の装置における多関節アーム部の詳細説明図。
【図5】図2の装置に於けるレーザ光の波形モデル図。
【図6】従来のレーザ洗浄装置の構造説明図。
【符号の説明】
【0027】
1 金型
1a トレッドパターン(溝パターン)
2 ワーク載置台
3 レーザ発振器(発振器本体)
4 マニピュレータ
5 制御装置(コンピュータ)
6 レーザヘッド
41 駆動側マニピュレータ
42 従動側マニピュレータ
42a 多関節アーム
43a、43b、43c 連結軸
51 制御CPU
52 ディスプレイ
53 マウスディバイス
A 洗浄装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を載置するワーク載置台と、
上記ワーク載置台の上方に配置され少なくとも2節以上の多関節アームを有するマニュピュレータと、
上記マニピュレータの先端に配置されたレーザヘッドと、
上記レーザヘッドにレーザ光を供給するレーザ発振器と、
上記レーザベッドに設けられ上記被洗浄物に対してレーザ光を照射する光学素子と、
上記マニピュレータを上記被洗浄物の形状に沿って移動する制御手段とから構成され、
上記レーザ発振器はCO2レーザその他の短パルスレーザ光を発光すること、及び上記マニピュレータは被洗浄物に形成された凹凸形状に沿って上記レーザヘッドを移動することを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記光学素子はシリンドリカルレンズ及び/又はポリゴンミラー若しくはガルバノミラーを有し、
前記レーザヘッドは前記レーザ発振器からのレーザ光を線条に均質化した線条光線として上記被洗浄物に照射することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記被洗浄物はゴムタイヤを加硫成形する金型で構成され、
前記レーザヘッドは上記金型に形成されたタイヤパターンに対しトレッド方向のライン光を照射し、
前記マニピュレータは上記レーザヘッドを上記金型のタイヤパターンに対し上記トレッド方向及び上記タイヤパターンの周方向に移動するように制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ金型の洗浄装置。
【請求項4】
前記マニピュレータは、先端部に前記レーザヘッドを、基端部に前記レーザ発振器を備えた少なくとも2節以上の多関節アーム部材と、この多関節アーム部材に連結された駆動マニピュレータとで構成され、
前記制御手段は上記駆動マニピュレータを3次元位置制御するコンピュータで構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記被洗浄物はゴムタイヤを加硫成形する金型で構成され、
前記コンピュータは、上記金型の原形状に関するキャドその他の基準形状データを備えると共に、この基準形状データに基づいて前記レーザヘッドの位置制御と照射光線の形状制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記被洗浄物はゴムタイヤを加硫成形する金型で構成され、
前記コンピュータは、上記金型の原形状に関するキャドその他の基準形状データを備え、
前記マニピュレータは、上記基準形状データと前記レーザヘッドの位置補正を行う操作手段からの信号で前記レーザヘッドの位置制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項7】
ゴムタイヤを加硫成形する金型に付着した残渣を除去する洗浄方法であって、
上記金型に形成されたタイヤパターン形状に沿って線条の短パルスCO2レーザ光を照射する部分残渣熔解工程と、
上記部分残渣溶解工程をタイヤパターンのトレッド方向に走査する幅方向走査洗浄と、
上記幅方向走査洗浄をタイヤパターンの周方向に走査する周方向走査洗浄と、
上記幅方向走査洗浄と周方向洗浄とをタイヤパターンの凹凸形状に沿って実行することによって金型表面を面洗浄することを特徴とするタイヤ金型洗浄方法。
【請求項8】
前記幅方向走査洗浄と周方向走査洗浄は前記金型の原形状データに基づいて自動的に実行されることを特徴とする請求項7に記載のタイヤ金型洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−62633(P2008−62633A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263532(P2006−263532)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(593097236)東成エレクトロビーム株式会社 (6)
【Fターム(参考)】