説明

レーザ加工制御装置及びレーザ加工制御方法

【課題】高精度かつ高速に加工対象物へのレーザ加工を実現する。
【解決手段】予め設定された加工対象物の各加工位置へレーザ光を照射し加工を行うための制御を行うレーザ加工制御装置において、前記レーザ光を照射するレーザ発振器の照射タイミングを制御するトリガ制御手段と、前記レーザ光の方向を変えるガルバノミラーを所定の位置に整定させるガルバノスキャナを制御するガルバノ駆動制御手段と、前記加工対象物を所定の位置に移動させるステージの移動制御を行うステージ駆動制御手段と、前記トリガ制御手段、前記ガルバノ駆動制御手段、及び前記ステージ駆動制御手段にそれぞれ対応する制御信号を出力し、前記トリガ制御手段、前記ガルバノ駆動制御手段、及び前記ステージ駆動制御手段の何れか1つから制御完了信号を入力する主制御手段とを有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工制御装置及びレーザ加工制御方法に係り、特に高精度かつ高速に加工対象物へのレーザ加工を実現するためのレーザ加工制御装置及びレーザ加工制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ加工制御装置において、レーザ光を用いた半導体基板等の加工対象物への加工を行う場合、予めどのような加工対象物のどの位置に、どの程度のレーザパワーからなるレーザ光を何ショット照射するか等が設定された加工計画情報(パラメータ、プログラム等を含む)等により、レーザ光の照射タイミングや加工対象物が載置されたステージ等を目標位置に移動させるコントローラ(制御装置)が設けられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
ここで、従来のレーザ加工制御装置について図を用いて説明する。図1は、従来のレーザ加工制御装置の一例を示す図である。図1に示すレーザ加工制御装置10は、主制御手段としてのメインコントローラ11と、トリガ制御手段としてのトリガコントローラ12と、レーザ発振器13と、反射ミラー14と、ガルバノ駆動制御手段としてのガルバノドライバ15と、ガルバノスキャナ16と、ガルバノミラー17と、ステージ駆動制御手段としてのステージドライバ18と、ステージ19とを有するよう構成されている。ここで、上述の構成におけるドライバとは、各制御信号(連続的なデータ)を入力して、各装置(ガルバノスキャナ16やステージ19等)を動作させるものである。
【0004】
メインコントローラ11は、レーザ加工制御装置10全体の制御を行う。具体的には、メインコントローラ11は、加工計画パラメータ21を入力し、入力した情報に基づいて加工条件を設定し、トリガコントローラ12、ガルバノドライバ15、及びステージドライバ18のそれぞれ対応する制御情報(照射条件設定情報、照射開始情報、整定情報、ステージ目標位置情報等)を出力する。
【0005】
また、メインコントローラ11は、トリガコントローラ12、ガルバノドライバ15、及びステージドライバ18のそれぞれからの完了信号やエラー信号を受信し、レーザ加工制御装置10の制御を行う。
【0006】
トリガコントローラ12は、メインコントローラ11から得られる所定の加工対象物22の加工領域をレーザ加工するためのレーザ光の周波数やパワー、ショット数、パルス幅、照射タイミング情報、照射位置等の照射条件設定情報に基づいて、レーザ光の照射条件を設定すると共に、メインコントローラ11から得られる照射開始情報に基づいて、レーザ発振器13から所定のレーザ光を照射させる。また、トリガコントローラ12は、レーザ光の照射が正常に完了した場合には、照射完了信号をメインコントローラ11に出力する。更に、トリガコントローラ12は、例えばレーザ光の照射処理中にガス不足により所定のレーザパワーが出力されない等の何らかのエラーが発生した場合、エラー信号を生成し、メインコントローラ11に出力する。
【0007】
レーザ発振器13は、トリガコントローラ12の制御により、所定のタイミングでレーザ光を照射する。なお、レーザ光の種類としては、YAGレーザやエキシマレーザ、COレーザ等、通常のレーザ光を用いることができる。また、反射ミラー14は、レーザ発振器13から照射されたレーザ光を所定の加工対象物22の方向に導く。
【0008】
ガルバノドライバ15は、メインコントローラ11から得られるガルバノミラー17の位置や角度等の整定情報に基づいて、ガルバノミラー17を所定の位置に移動させるガルバノスキャナ16を駆動させる。また、ガルバノドライバ15は、ガルバノミラー17が所定の位置に整定された場合、整定完了信号をメインコントローラ11に出力する。また、ガルバノドライバ15は、整定情報による整定処理中に何らかのエラーが発生した場合は、エラー信号をメインコントローラ11に出力する。
【0009】
ガルバノスキャナ16は、ガルバノドライバ15からの制御信号に基づいて、ガルバノミラー17を所定の位置に移動及び整定させ、反射ミラー14により反射されたレーザ発振器13からのレーザ光の方向を変えて加工対象物22の所定の加工位置に照射させる。ガルバノスキャナ16を用いることで、加工対象物22の水平方向(XY方向)に対するレーザ光の照射位置を変更し、所定の領域(ブロック)に対してレーザ光を振って照射させることができる。
【0010】
ステージドライバ18は、メインコントローラ11から得られるレーザ加工を行う加工対象物22が載置されたステージ19を加工条件に対応した所定の高さ(Z方向)及び/又は平面上の位置(XY方向)に位置付けるためのステージ目標位置情報に基づいて加工対象物22を載置したステージ19を移動させる。また、ステージドライバ18は、ステージ19の移動が完了した場合、移動完了信号をメインコントローラ11に出力する。更に、ステージドライバ18は、ステージ19の移動処理中に何らかのエラーが発生した場合は、エラー信号をメインコントローラ11に出力する。
【0011】
ここで、従来技術におけるメインコントローラ11と、メインコントローラ11により制御されるステージドライバ18、ガルバノドライバ15、及びトリガコントローラ12のそれぞれにおける処理手順についてフローチャートを用いて説明する。
【0012】
<(従来)メインコントローラ11>
図2は、従来のメインコントローラにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。メインコントローラ11は、上述した加工計画パラメータを入力し、加工条件を設定する(S01)。
【0013】
次に、メインコントローラ11は、ステージの目標位置情報をステージドライバ18に出力し(S02)、ステージドライバ18から移動完了信号が入力されたか否かを判断する(S03)。ここで、移動完了信号が入力されていない場合(S03において、NO)、ステージドライバ18からエラー信号が入力されたか否かを判断し(S04)、エラー信号が入力されていない場合(S04において、NO)、S03の処理に戻る。つまり、メインコントローラ11は、ステージドライバ18から移動完了信号又はエラー信号が入力されるまで待ち状態となる。
【0014】
また、メインコントローラ11は、S03の処理において、移動完了信号を入力した場合(S03において、YES)、ガルバノスキャナ16におけるミラーの整定情報をガルバノドライバ15に出力する(S05)。また、メインコントローラ11は、ガルバノドライバから、整定完了信号が入力されたか否かを判断する(S06)。ここで、整定完了信号が入力されていない場合(S06において、NO)、エラー信号が入力されたか否かを判断し(S07)、エラー信号が入力されていない場合(S07において、NO)、S06の処理に戻る。つまり、メインコントローラ11は、ガルバノドライバ15からの整定完了信号又はエラー信号が入力されるまで待ち状態となる。
【0015】
また、メインコントローラ11は、S06の処理において、整定完了信号を入力した場合(S06において、YES)、照射条件設定情報をトリガコントローラ12に出力し(S08)、トリガコントローラ12から設定完了信号が入力されたか否かを判断する(S09)。ここで、設定完了信号が入力されていない場合(S09において、NO)、トリガコントローラ12からエラー信号が入力されたか否かを判断し(S10)、エラー信号が入力されていない場合(S10において、NO)、S09の処理に戻る。つまり、メインコントローラ11は、トリガコントローラ12から設定完了信号又はエラー信号が入力されるまで待ち状態となる。
【0016】
また、メインコントローラ11は、S09の処理において、設定完了信号を入力した場合(S09において、YES)、照射開始情報をトリガコントローラ12に出力し(S11)、トリガコントローラ12から照射完了信号が入力されたか否かを判断する(S12)。ここで、照射完了信号が入力されていない場合(S12において、NO)、トリガコントローラ12からエラー信号が入力されたか否かを判断し(S13)、エラー信号が入力されていない場合(S13において、NO)、S12の処理に戻る。つまり、メインコントローラ11は、トリガコントローラ12から照射完了信号又はエラー信号が入力されるまで待ち状態となる。
【0017】
また、照射完了信号を入力した場合(S13において、YES)、整定された現在のガルバノミラー17の位置からミラーのみの移動及び整定により照射可能な範囲(ある1ブロック)内の全ての加工位置への加工が終了したか否かを判断する(S14)。ここで、1ブロック内の全ての加工位置への加工が終了していない場合(S14において、NO)、ガルバノミラーの整定情報をガルバノドライバ15に出力する(S15)。また、ガルバノドライバ15からの信号を入力してステージドライバ18、ガルバノドライバ15、及びトリガコントローラ12の全制御が正常であるか否かを判断する(S16)。ここで、全制御が正常でない場合(S16において、NO)、ガルバノドライバ15からエラー信号が入力されたか否かを判断し(S17)、エラー信号が入力されていない場合(S17において、NO)、S16の処理に戻る。つまり、メインコントローラ11は、ガルバノドライバ15からの整定完了信号又はエラー信号が入力されるまで待ち状態となる。
【0018】
また、メインコントローラ11は、S16の処理において、全制御が正常である場合(S16において、YES)、S11に戻り上述した処理を1ブロック内の全ての加工位置への加工が終了するまで行う。
【0019】
また、メインコントローラ11は、S14の処理において、1ブロック内の全ての加工位置への加工が終了した場合(S14において、YES)、予め設定された加工対象物への加工対象範囲に対応する全ブロックの加工が終了したか否かを判断する(S18)。ここで、全ブロックの加工が終了していない場合(S18において、NO)、S02に戻り、加工をしていない他のブロックについて上述した処理を行う。
【0020】
また、全ブロックの加工が終了した場合(S18において、YES)、あるいはS04、S07、又はS10の処理において、エラー信号を入力した場合(S04、S07、又はS10において、YES)、処理を終了する。なお、エラー信号を入力した場合には、レーザ加工制御装置10が備えたモニタ(図示せず)等にエラーの内容等を表示して管理者等に知らせてもよい。
【0021】
<(従来)ステージドライバ18>
図3は、従来のステージドライバにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。ステージドライバ18は、メインコントローラ11からステージ19の目標位置情報を入力し(S21)、入力された目標位置にステージを移動させる(S22)。
【0022】
ここで、目標位置情報に基づくステージ移動処理中にエラーが発生したか否かを判断し(S23)、エラーが発生した場合(S23において、YES)、エラー信号をメインコントローラ11に出力する(S24)。また、S23の処理において、エラーが発生せずにステージの移動が完了した場合(S23において、NO)、ステージ移動完了信号をメインコントローラ11に出力する(S25)。
【0023】
<(従来)ガルバノドライバ15>
図4は、従来のガルバノドライバにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。ガルバノドライバ15は、メインコントローラ11からガルバノミラー17の位置、角度等を整定するための整定情報を入力し(S31)、ガルバノスキャナ16によりガルバノミラー17を整定させる(S32)。
【0024】
ここで、整定情報に基づくガルバノミラー17の整定処理中にエラーが発生したか否かを判断し(S33)、エラーが発生した場合(S33において、YES)、エラー信号をメインコントローラ11に出力する(S34)。また、S33の処理において、エラーが発生せずにガルバノミラー17の整定が完了した場合(S33において、NO)、整定完了信号をメインコントローラ11に出力する(S35)。
【0025】
<(従来)トリガコントローラ12>
図5は、従来のトリガコントローラにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。トリガコントローラ12は、メインコントローラ11から情報を入力し(S41)、その情報が照射条件設定情報であるか否かを判断する(S42)。
【0026】
ここで、照射条件設定情報である場合(S42において、YES)、入力した条件に基づいて照射条件を設定する(S43)。また、S42の処理において、照射条件設定情報でない場合(S42において、NO)、メインコントローラ11から入力される情報は、レーザ光の照射開始情報であるため、レーザ発振器13によりレーザ光を照射させる(S44)。
【0027】
ここで、上述のS43又はS44の処理において、エラーが発生したか否かを判断し(S45)、エラーが発生した場合(S45において、YES)、エラー信号をメインコントローラ11に出力する(S46)。また、S45の処理において、エラーが発生せずに処理が完了した場合(S45において、NO)、完了信号をメインコントローラ11に出力する(S47)。なお、S47の処理においては、S43における照射条件の設定を行った場合には、設定完了信号をメインコントローラ11に出力し、S44におけるレーザ光の照射を行った場合には、照射完了信号をメインコントローラ11に出力する。
【0028】
上述したような各コントローラ及びドライバによる制御処理により、加工制御が行われる。つまり、メインコントローラ11からの信号を契機として各構成装置が駆動制御されている。
【特許文献1】特開2004−34121号公報
【特許文献2】特開2002−283074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
しかしながら、上述したレーザ加工制御装置の場合、上位のメインコントローラは、下位のコントローラ及びドライバとの間で、ステージ移動や、ミラーの整定、レーザ光の照射等の各イベント発生毎に制御信号のやり取りを行っているため、メインコントローラに多大な負担がかかっていた。
【0030】
また、メインコントローラは、ステージの移動完了待ち、ミラーの整定完了待ち、レーザ光の照射完了待ち等の待ち時間が多く発生していた。このため、高速な加工制御が実現できない状況であった。
【0031】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、高精度かつ高速に加工対象物へのレーザ加工を実現するためのレーザ加工制御装置及びレーザ加工制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上述の目的を達成するために、本発明は、予め設定された加工対象物の各加工位置へレーザ光を照射し加工を行うための制御を行うレーザ加工制御装置において、前記レーザ光を照射するレーザ発振器の照射タイミングを制御するトリガ制御手段と、前記レーザ光の方向を変えるガルバノミラーを所定の位置に整定させるガルバノスキャナを制御するガルバノ駆動制御手段と、前記加工対象物を所定の位置に移動させるステージの移動制御を行うステージ駆動制御手段と、前記トリガ制御手段、前記ガルバノ駆動制御手段、及び前記ステージ駆動制御手段にそれぞれ対応する制御信号を出力し、前記トリガ制御手段、前記ガルバノ駆動制御手段、及び前記ステージ駆動制御手段の何れか1つから制御完了信号を入力する主制御手段とを有することを特徴とする。これにより、高精度かつ高速に加工対象物へのレーザ加工を実現することができる。
【0033】
更に、前記トリガ制御手段は、前記主制御手段から得られる前記レーザ光の照射条件設定情報に基づき、前記ガルバノ駆動制御手段からの前記ガルバノミラーの整定完了信号及び前記ステージ移動完了信号を契機として、前記レーザ発振器によるレーザ光の照射を行わせることが好ましい。これにより、主制御手段の制御負担を軽減することができる。また、ガルバノ駆動制御手段及びステージ駆動制御手段の処理を並行して制御することができる。したがって、レーザ加工制御の高速化を実現することができる。
【0034】
更に、前記ガルバノ駆動制御手段は、前記主制御手段から得られる前記ガルバノミラーの整定情報に基づき、前記ガルバノミラーの所定位置への整定を行い、整定完了後に整定完了信号を前記トリガ制御手段に出力することが好ましい。これにより、整定完了信号をトリガ制御手段に出力することで、主制御手段の制御負担を軽減することができる。
【0035】
更に、前記ステージ駆動手段は、前記主制御手段から得られる位置移動情報に基づいてステージを所定位置に移動し、移動完了後にステージ移動完了信号を前記トリガ制御手段に出力することが好ましい。これにより、ステージ移動完了信号をトリガ制御手段に出力することで、主制御手段の制御負担を軽減することができる。
【0036】
更に、前記トリガ制御手段は、前記主制御手段により得られる前記レーザ光の照射条件設定情報に基づき、前記ガルバノ駆動制御手段からの前記ガルバノミラーの整定完了信号を契機として、前記レーザ発振器によるレーザ光の照射を行わせることが好ましい。これにより、主制御手段の制御負担を軽減することができる。また、主制御手段を経由せずに、整定完了信号を契機としてレーザ光の照射を行うため、レーザ加工の高速化を実現することができる。
【0037】
更に、前記ガルバノ駆動制御手段は、前記主制御手段により得られる前記ガルバノミラーの整定情報に基づき、前記ステージ駆動制御手段からのステージ移動完了信号を契機として、前記ガルバノスキャナによる前記ガルバノミラーの所定位置への整定を行わせ、整定完了後に整定完了信号を前記トリガ制御手段に出力することが好ましい。これにより、主制御手段の制御負担を軽減することができる。また、ステージ駆動制御手段及びガルバノ駆動制御手段における制御を連続的に実施することができる。したがって、トリガ制御手段における処理を簡略化することができる。
【0038】
更に、前記ステージ駆動手段は、前記主制御手段から得られる位置移動情報に基づいてステージを所定位置に移動し、移動完了後にステージ移動完了信号を前記ガルバノ駆動制御手段に出力することが好ましい。これにより、ステージ移動完了信号をガルバノ駆動制御手段に出力することで主制御手段の制御負担を軽減することができる。
【0039】
また、本発明は、レーザ光を照射するレーザ発振器の照射タイミングを制御するトリガ制御手段、前記レーザ光の方向を変えるガルバノミラーを所定の位置に整定させるガルバノスキャナを制御するガルバノ駆動制御手段、及び加工対象物を所定の位置に移動させるステージの移動制御を行うステージ駆動制御手段により、予め設定された加工対象物の各加工位置へレーザ光を照射して加工を行うためのレーザ加工制御方法において、前記トリガ制御手段、前記ガルバノ駆動制御手段、及び前記ステージ駆動制御手段にそれぞれ対応する制御信号を出力する制御信号出力ステップと、前記トリガ制御手段、前記ガルバノ駆動制御手段、及び前記ステージ駆動制御手段の何れか1つから制御完了信号を入力する制御完了信号入力ステップとを有することを特徴とする。これにより、高精度かつ高速に加工対象物へのレーザ加工を実現することができる。
【0040】
更に、前記制御信号出力ステップにより得られる前記ガルバノミラーの整定情報に基づき、前記ガルバノスキャナによる前記ガルバノミラーの所定位置への整定を行わせ、整定完了後に整定完了信号を前記トリガ制御手段に出力する整定完了信号出力ステップと、前記制御信号出力ステップにより得られる前記レーザ光の照射条件設定情報に基づき、前記整定完了信号出力ステップにより得られる整定完了信号を契機として、前記レーザ発振器によるレーザ光の照射を行わせるレーザ照射制御ステップとを有することが好ましい。これにより、整定完了信号を契機としてレーザ光の照射を行うため、レーザ加工の高速化を実現することができる。
【0041】
更に、前記制御信号出力ステップにより得られる位置移動情報に基づいてステージを所定位置に移動し、移動完了後にステージ移動完了信号を前記トリガ制御手段に出力するステージ移動制御ステップを有し、前記レーザ照射制御ステップは、前記整定完了信号出力ステップにより得られる整定完了信号及び前記ステージ移動制御ステップからのステージ移動完了信号を契機として、前記レーザ発振器によるレーザ光の照射を行わせることが好ましい。これにより、ガルバノ駆動制御手段及びステージ駆動制御手段の処理を並行して制御することができる。したがって、レーザ加工の高速化を実現することができる。
【0042】
更に、前記制御信号出力ステップにより得られる位置移動情報に基づいてステージを所定位置に移動し、移動完了後にステージ移動完了信号を前記ガルバノ駆動制御手段に出力するステージ移動制御ステップを有し、整定完了信号出力ステップは、前記ステージ移動制御ステップからのステージ移動完了信号を契機として、前記ガルバノミラーの整定情報に基づき、前記ガルバノスキャナによる前記ガルバノミラーの所定位置への整定を行わせることが好ましい。これにより、ステージ移動完了信号を契機としてガルバノミラーの所定位置への整定を行うため、ステージ駆動制御手段及びガルバノ駆動制御手段における制御を連続的に実施することができる。したがって、トリガ制御手段における処理を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、高精度かつ高速に加工対象物へのレーザ加工を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下に、本発明におけるレーザ加工制御装置及びレーザ加工制御方法を好適に実施した形態について、図面を用いて説明する。
【0045】
<第1の実施形態>
図6は、第1の実施形態におけるレーザ加工制御装置の一例を示す図である。なお、図6において図1と同一の機能構成を有する部分については同一の符号を付すものとし、ここでの説明は省略する。
【0046】
図6に示すレーザ加工制御装置100は、主制御手段としてのメインコントローラ111と、トリガ制御手段としてのトリガコントローラ112と、レーザ発振器13と、反射ミラー14と、ガルバノ駆動制御手段としてのガルバノドライバ115と、ガルバノスキャナ16と、ガルバノミラー17と、ステージ駆動制御手段としてのステージドライバ118と、ステージ19とを有するよう構成されている。
【0047】
メインコントローラ111は、レーザ加工制御装置100全体の制御を行う。具体的には、メインコントローラ111は、加工計画パラメータ21を入力し、入力した情報に基づいて加工条件を設定し、トリガコントローラ112、ガルバノドライバ115、及びステージドライバ118のそれぞれ対応する制御情報(照射条件設定情報、照射開始情報、整定情報、ステージ目標位置情報等)を出力する。また、メインコントローラ111は、トリガコントローラ112のみから制御完了信号やエラー信号を受信し、レーザ加工制御装置100の制御を行う。
【0048】
トリガコントローラ112は、メインコントローラ111から得られる所定の加工対象物22の加工領域をレーザ加工するためのレーザ光の周波数やパワー、ショット数、パルス幅、照射タイミング情報、照射位置等の照射条件設定情報に基づいて、レーザ光の照射条件を設定すると共に、タイミング情報として得られるガルバノドライバ115からの整定完了信号と、ステージドライバ118からのステージ移動完了信号とに基づいて、レーザ発振器13から所定のレーザ光を照射させる。つまり、トリガコントローラ112は、レーザ光の照射条件を設定し、整定完了信号及びステージ移動完了信号を照射開始情報として、これを契機にレーザ発振器13から所定のレーザ光を照射させる。
【0049】
また、トリガコントローラ112は、レーザ光の照射が正常に完了した場合には、完了信号をメインコントローラ111に出力する。更に、トリガコントローラ112は、照射条件の設定中やレーザ光の照射中に何らかのエラーが発生した場合、エラー信号を生成し、メインコントローラ111に出力する。
【0050】
ガルバノドライバ115は、メインコントローラ111から得られるガルバノミラー17の整定情報に基づいて、ガルバノミラー17を所定の位置に移動させるガルバノスキャナ16を駆動させる。また、ガルバノドライバ115は、ガルバノスキャナ16によりガルバノミラー17を所定の位置に整定させた場合には、整定完了信号をトリガコントローラ112に出力する。なお、ガルバノドライバ115は、整定中に何らかのエラーが発生した場合、エラー信号をメインコントローラ111に出力する。
【0051】
ステージドライバ118は、メインコントローラ111から得られるステージ移動情報に基づいてステージ19を高さ(Z)方向(及び/又は平面(XY)方向)に移動させる。また、ステージドライバ118は、ステージ19の移動が完了した場合、移動完了信号をトリガコントローラ112に出力する。なお、ステージドライバ118は、ステージ19を移動させる際、何らかのエラーが発生した場合は、エラー信号をメインコントローラ111に出力する。
【0052】
ここで、本発明におけるエラー信号には、どのドライバ及びコントローラにおいてエラーが発生したのかを示す装置識別情報と、エラーの内容を示すエラー識別情報とが少なくとも含まれる。なお、本発明においてエラー信号に含まれる情報はこの限りではなく、例えば、エラー発生日時や、エラー発生時における入力情報(入力コマンド)、エラー発生回数、負荷率等の情報が含まれていてもよい。
【0053】
ここで、上述した第1の実施形態におけるメインコントローラ111と、メインコントローラ111により制御されるステージドライバ118、ガルバノドライバ115、及びトリガコントローラ112の各処理手順についてフローチャートを用いて説明する。
【0054】
<(第1の実施形態)メインコントローラ111>
図7は、第1の実施形態のメインコントローラにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0055】
まず、メインコントローラ111は、上述した加工計画パラメータを入力し、加工条件を設定する(S101)。次に、メインコントローラ11は、ステージの目標位置情報をステージドライバ118に出力する(S102)。更に、ガルバノスキャナ16におけるミラーの整定情報をガルバノドライバ115に出力し(S103)、レーザ発振器13における照射条件設定情報をトリガコントローラ112に出力する(S104)。
【0056】
ここで、メインコントローラ111は、トリガコントローラ112からの照射制御の完了信号が入力されたか否かを判断し(S105)、完了信号が入力されていない場合(S105において、NO)、ステージドライバ118、ガルバノドライバ115、及びトリガコントローラ112からエラー信号が入力されたか否かを判断し(S106)、エラー信号が入力されていない場合(S106において、NO)、S105の処理に戻る。つまり、メインコントローラ111は、トリガコントローラ112から照射完了信号又はエラー信号が入力されるまで待ち状態となる。
【0057】
また、照射完了信号を入力した場合(S105において、YES)、整定された現在のガルバノミラー17の位置からミラーのみの移動及び整定により照射可能な範囲(ある1ブロック)内の全ての加工位置への加工が終了したか否かを判断する(S107)。ここで、1ブロック内の全ての加工位置への加工が終了していない場合(S107において、NO)、ガルバノミラーの整定情報をガルバノドライバ115に出力し(S108)、S105に戻り、上述した処理を1ブロック内の全ての加工位置への加工が終了するまで、繰り返し行う。
【0058】
次に、S107の処理において、1ブロック内の全ての加工位置への加工が終了した場合(S107において、YES)、予め設定された加工対象物への加工対象範囲に対応する全ブロックの加工が終了したか否かを判断する(S109)。ここで、全ブロックの加工が終了していない場合(S109において、NO)、S102に戻り、加工をしていない他のブロックについて上述した処理を行う。また、全ブロックの加工が終了した場合(S109において、YES)、あるいはS106の処理において、エラー信号を入力した場合(S06において、YES)、処理を終了する。なお、エラー信号を入力した場合には、レーザ加工制御装置100が備えたモニタ(図示せず)等にエラーの内容等を表示して管理者等に知らせてもよい。
【0059】
<(第1の実施形態)ステージドライバ118>
図8は、第1の実施形態のステージドライバにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。ステージドライバ118は、メインコントローラ111からステージ19の目標位置情報を入力し(S121)、入力された目標位置にステージを移動させる(S122)。ここで、目標位置情報に基づくステージ移動処理中にエラーが発生したか否かを判断し(S123)、エラーが発生した場合(S123において、YES)、エラー信号をメインコントローラ111に出力する(S124)。また、S123の処理において、エラーが発生せずにステージの移動が完了した場合(S123において、NO)、ステージ移動完了信号をトリガコントローラ112に出力する(S125)。
【0060】
<(第1の実施形態)ガルバノドライバ115>
図9は、第1の実施形態のガルバノドライバにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。ガルバノドライバ115は、メインコントローラ111からガルバノミラー17の位置を整定するための整定情報を入力し(S131)、ガルバノスキャナ16によりガルバノミラー17を整定させる(S132)。
【0061】
ここで、整定情報に基づくガルバノミラー17の整定処理中にエラーが発生したか否かを判断し(S133)、エラーが発生した場合(S133において、YES)、エラー信号をメインコントローラ111に出力する(S134)。また、S133の処理において、エラーが発生せずにガルバノミラー17の整定が完了した場合(S133において、NO)、整定完了信号をトリガコントローラ112に出力する(S135)。
【0062】
<(第1の実施形態)トリガコントローラ112>
図10は、第1の実施形態のトリガコントローラにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。トリガコントローラ112は、情報を入力し(S141)、その情報はメインコントローラ111からの照射条件設定情報の入力であるか否かを判断する(S142)。ここで、照射条件設定条件の入力である場合(S142において、YES)、入力された情報に基づいて照射条件の設定を行う(S143)。更に、照射条件の設定中に何らかのエラーが発生したか否かを判断し(S144)、エラーが発生した場合は、エラー信号をメインコントローラ111に出力する。また、S144の処理において、エラーが発生していない場合(S144において、NO)、S141に戻り上述した処理を行う。
【0063】
また、S142の処理において、S141にて入力した情報が、メインコントローラ111からの照射条件設定情報の入力でない場合(S142において、NO)、S141にて入力された情報は、ステージドライバ118から得られるステージ移動完了信号、又はガルバノドライバ115から得られる整定完了信号であるため、トリガコントローラ112は、ステージドライバ118、ガルバノドライバ115、トリガコントローラ112における全ての制御が正常であるか否かを判断する(S146)。
【0064】
なお、S146の処理では、ガルバノミラー17の移動及び整定により照射可能な各ブロック範囲において、各ブロック毎に最初にレーザ光を照射する場合、ステージドライバ118、ガルバノドライバ115、及びトリガコントローラ112の全てにおいて変更が必要になるため、照射条件の設定の完了、ステージ移動完了信号及び整定完了信号の入力により、全制御が正常であるか否かが判断される。また、同一ブロック内で異なる箇所にレーザ光を照射する場合には、ガルバノスキャナ16によるガルバノミラーの移動及び整定のみが行われるため、新たに入力される整定完了信号と、既に得られている照射条件の設定の完了、及びステージ移動完了信号の入力とに基づいて全制御が正常であるか否かが判断される。
【0065】
ここで、S146の処理において、全制御が正常でない場合(S146において、NO)、S141に戻り、まだ得られていない他の情報の入力や新たな照射条件設定情報の入力等を行う。また、S146の処理において、全制御が正常である場合(S146において、YES)、レーザ発振器13からレーザ光を照射させる(S147)。
【0066】
ここで、レーザ光の照射処理中にエラーが発生したか否かを判断し(S148)、エラーが発生した場合(S148において、YES)、エラー信号をメインコントローラ111に出力する(S146)。また、S148の処理において、エラーが発生せずに照射処理が完了した場合(S148において、NO)、照射完了信号をメインコントローラ111に出力する(S150)。
【0067】
上述したように、各コントローラ及びドライバによる加工制御処理により本発明のおけるレーザ加工制御が行われる。つまり、第1の実施形態によれば、メインコントローラ111は、トリガコントローラ112からの信号のみを待てばよいだけとなり、下位コントローラ又はドライバとの処理のやり取りを削減することができ、レーザ加工の高速化を実現することができる。したがって、高精度かつ高速に加工対象物へのレーザ加工を実現する。
【0068】
また、上述した実施形態では、ステージドライバにおける処理と、ガルバノドライバにおける処理とを並行して行い、それぞれからトリガコントローラに完了信号又はエラー信号を送り、トリガコントローラは、その内容に基づいて加工制御を行うため、より高速なレーザ加工を実現することができる。
【0069】
なお、上述した実施形態においては、ステージの移動を行わないレーザ加工を行うような場合には、上述したステージドライバ118における処理は省略される。また、上述した実施形態においては、下位コントローラ又はドライバにおいて、何らかのエラーが発生した場合、そのエラー信号をメインコントローラ111に送信することでメインコントローラ111において迅速に制御、管理を行うことができる。
【0070】
<第2の実施形態>
ここで、上述した第1の実施形態では、ステージドライバにおける処理と、ガルバノドライバにおける処理とを並行して行い、それぞれからトリガコントローラに完了信号又はエラー信号を送り、トリガコントローラは、その内容に基づいてレーザ加工を行うよう制御を行っていたが、ステージドライバにおける処理と、ガルバノドライバにおける処理とを連続的に行ってもよい。上述の内容を第2の実施形態として、以下に説明する。
【0071】
図11は、第2の実施形態におけるレーザ加工制御装置の一例を示す図である。なお、図11において、図1及び図6と同一の機能構成を有する部分については同一の符号を付すものとし、ここでの説明は省略する。
【0072】
図11に示すレーザ加工制御装置200は、主制御手段としてのメインコントローラ111と、トリガ制御手段としてのトリガコントローラ212と、レーザ発振器13と、反射ミラー14と、ガルバノ駆動制御手段としてのガルバノドライバ215と、ガルバノスキャナ16と、ガルバノミラー17と、ステージ駆動制御手段としてのステージドライバ218と、ステージ19とを有するよう構成されている。
【0073】
ここで、第2の実施形態を上述した第1の実施形態と比較すると、ステージドライバ218は、ステージ19の移動を完了させるとステージ移動完了信号をガルバノドライバ215に出力する。また、ガルバノドライバ215は、ステージドライバ218からの移動完了信号を契機として、ガルバノミラー17の整定を行い、整定を完了後に整定完了信号をトリガコントローラ212に出力する。したがって、トリガコントローラ212は、整定完了信号の入力により、移動完了信号も含めて得られることになる。
【0074】
次に、上述の各構成について図を用いて説明する。トリガコントローラ212は、メインコントローラ111から得られる所定の加工対象物22の加工領域をレーザ加工するためのレーザ光の周波数やパワー、ショット数、パルス幅、照射タイミング情報、照射位置等の照射条件設定情報と、タイミング情報として得られるガルバノドライバ215からの整定完了信号とに基づいて、レーザ発振器13から所定のレーザ光を照射させる。
【0075】
また、トリガコントローラ212は、レーザ光の照射が正常に完了した場合には、照射完了信号をメインコントローラ111に出力する。更に、トリガコントローラ212は、照射条件の設定中やレーザ光の照射処理中に何らかのエラーが発生した場合には、エラー信号を生成しメインコントローラ111に出力する。
【0076】
ガルバノドライバ215は、メインコントローラ111から得られるガルバノミラー17の整定情報と、タイミング情報として得られるステージドライバ218からのステージの移動完了信号に基づいて、ガルバノミラー17を所定の位置に移動させるガルバノスキャナ16を駆動させる。
【0077】
また、ガルバノドライバ215は、ガルバノスキャナ16によりガルバノミラー17を所定の位置に整定させた場合には、整定完了信号をトリガコントローラ212に出力する。また、ガルバノドライバ215は、整定中に何らかのエラーが発生した場合、エラー信号をメインコントローラ111に出力する。
【0078】
また、ステージドライバ218は、メインコントローラ111から得られるステージ移動情報に基づいてステージ19を高さ(Z)方向(及び/又は平面(XY)方向)へ移動させる。また、ステージドライバ218は、ステージ19の移動が完了した場合、移動完了信号をガルバノドライバ215に出力する。更に、ステージドライバ218は、ステージ19を移動させる際、何らかのエラーが発生した場合は、エラー信号をガルバノドライバ215に出力する。
【0079】
ここで、本発明におけるエラー信号には、どのドライバ及びコントローラにおいてエラーが発生したのかを示す装置識別情報と、エラーの内容を示すエラー識別情報とが少なくとも含まれる。なお、本発明においてエラー信号に含まれる情報はこの限りではなく、例えば、エラー発生日時や、エラー発生時における入力情報(入力コマンド)、エラー発生回数、負荷率等の情報が含まれていてもよい。
【0080】
ここで、上述した第2の実施形態におけるメインコントローラ111における処理手順は、上述した第1の実施形態に示す処理手順(図7)を同様であるため、ここでの説明は省略する。また、トリガコントローラ212における処理手順についても上述した第1の実施形態に示す処理手順(図14)と同様であるため、ここでの説明は省略するが、トリガコントローラ212における処理手順においては、図14に示すS146の処理において、ガルバノミラー17の移動及び整定により照射可能な各ブロック範囲において、各ブロック毎に最初にレーザ光を照射する場合には、照射条件の設定の完了及び整定完了信号の入力により、トリガコントローラ212、ガルバノドライバ215、及びステージドライバ218における全制御が正常であるか否かを判断することができる。また、同一ブロック内で異なる箇所にレーザ光を照射する場合には、ガルバノスキャナ16によるガルバノミラーの移動及び整定のみが行われるため、新たに入力される整定完了信号と、既に得られている照射条件の設定の完了とに基づいて全制御が正常であるか否かを判断することができる。
【0081】
次に、第2の実施形態におけるメインコントローラ111により制御されるステージドライバ218及びガルバノドライバ215の各処理手順についてフローチャートを用いて説明する。
【0082】
<(第2の実施形態)ステージドライバ218>
図12は、第2の実施形態のステージドライバにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。ステージドライバ218は、メインコントローラ111からステージ19の目標位置情報を入力し(S221)、入力された目標位置にステージを移動させる(S222)。
【0083】
ここで、目標位置情報に基づくステージ移動処理中にエラーが発生したか否かを判断し(S223)、エラーが発生した場合(S223において、YES)、エラー信号をメインコントローラ111に出力する(S224)。また、S223の処理において、エラーが発生せずにステージの移動が完了した場合(S223において、NO)、ステージ移動完了信号をガルバノドライバ215に出力する(S225)。
【0084】
<(第2の実施形態)ガルバノドライバ215>
図13は、第2の実施形態のガルバノドライバにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。ガルバノドライバ215は、メインコントローラ111からガルバノミラー17の位置を整定するための整定情報を入力し(S231)、またステージドライバ218からステージ移動完了信号が入力されたか否かを判断する(S232)。
【0085】
ここで、ステージドライバ218からの信号が入力されていない場合(S232において、NO)、ステージドライバ218から何らかの信号が入力されるまで待機する。
【0086】
また、S232の処理において、ステージドライバ218から何らかの信号が入力された場合(S232において、NO)、ガルバノスキャナ16によりガルバノミラー17を整定させる(S233)。
【0087】
ここで、整定情報に基づくガルバノミラー17の整定処理中にエラーが発生したか否かを判断し(S234)、エラーが発生した場合(S234において、YES)、エラー信号をメインコントローラ111に出力する。
【0088】
また、S234の処理において、エラーが発生せずにガルバノミラー17の整定が完了した場合(S234において、NO)、整定完了信号をトリガコントローラ112に出力する(S236)。
【0089】
上述したような各コントローラ及びドライバによる制御処理により、本発明のおけるレーザ加工制御が行われる。つまり、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、ステージドライバ及びガルバノドライバにおける制御を連続的に実施することができる。したがって、トリガコントローラ212における処理を簡略化することができる。
【0090】
なお、上述した第2の実施形態において、ステージドライバ218における処理と、ガルバノドライバ215における処理とは、それぞれの制御が完了していれば、レーザ光を照射させる処理をトリガコントローラ212に行わせることができる。そのため、ステージドライバ218における処理と、ガルバノドライバ215における処理とを上述とは逆の手順で行ってもよい。
【0091】
上述したように本発明によれば、高精度かつ高速に加工対象物へのレーザ加工を実現することができる。具体的には、メインコントローラ(主制御手段)の加工ソフトが加工開始コマンドを発行し、下位コントローラ(トリガコントローラ)及びドライバ(ガルバノドライバ、ステージドライバ)は、それぞれの制御のタイミングを各制御完了の信号で行うことができる。そのため、処理のやり取りが削減されて、高速化を実現することができる。更に、加工ソフトにおけるアルゴリズムが単純になる。なお、本発明における加工制御は、加工対象物の穴あけや溶接、切断、アニール等のレーザ加工全般に適用することができる。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】従来のレーザ加工制御装置の一例を示す図である。
【図2】従来のメインコントローラにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】従来のステージドライバにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】従来のガルバノドライバにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】従来のトリガコントローラにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態におけるレーザ加工制御装置の一例を示す図である。
【図7】第1の実施形態のメインコントローラにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施形態のステージドライバにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施形態のガルバノドライバにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】第1の実施形態のトリガコントローラにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施形態におけるレーザ加工制御装置の一例を示す図である。
【図12】第2の実施形態のステージドライバにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施形態のガルバノドライバにおける制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
10,100,200 レーザ加工制御装置
11,111 メインコントローラ
12,112,212 トリガコントローラ
13 レーザ発振器
14 反射ミラー
15,115,215 ガルバノドライバ
16 ガルバノスキャナ
17 ガルバノミラー
18,118,218 ステージドライバ
19 ステージ
21 加工計画パラメータ
22 加工対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された加工対象物の各加工位置へレーザ光を照射し加工を行うための制御を行うレーザ加工制御装置において、
前記レーザ光を照射するレーザ発振器の照射タイミングを制御するトリガ制御手段と、
前記レーザ光の方向を変えるガルバノミラーを所定の位置に整定させるガルバノスキャナを制御するガルバノ駆動制御手段と、
前記加工対象物を所定の位置に移動させるステージの移動制御を行うステージ駆動制御手段と、
前記トリガ制御手段、前記ガルバノ駆動制御手段、及び前記ステージ駆動制御手段にそれぞれ対応する制御信号を出力し、前記トリガ制御手段、前記ガルバノ駆動制御手段、及び前記ステージ駆動制御手段の何れか1つから制御完了信号を入力する主制御手段とを有することを特徴とするレーザ加工制御装置。
【請求項2】
前記トリガ制御手段は、
前記主制御手段から得られる前記レーザ光の照射条件設定情報に基づき、前記ガルバノ駆動制御手段からの前記ガルバノミラーの整定完了信号及び前記ステージ移動完了信号を契機として、前記レーザ発振器によるレーザ光の照射を行わせることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工制御装置。
【請求項3】
前記ガルバノ駆動制御手段は、
前記主制御手段から得られる前記ガルバノミラーの整定情報に基づき、前記ガルバノミラーの所定位置への整定を行い、整定完了後に整定完了信号を前記トリガ制御手段に出力することを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工制御装置。
【請求項4】
前記ステージ駆動手段は、
前記主制御手段から得られる位置移動情報に基づいてステージを所定位置に移動し、移動完了後にステージ移動完了信号を前記トリガ制御手段に出力することを特徴とする請求項2又は3に記載のレーザ加工制御装置。
【請求項5】
前記トリガ制御手段は、
前記主制御手段により得られる前記レーザ光の照射条件設定情報に基づき、前記ガルバノ駆動制御手段からの前記ガルバノミラーの整定完了信号を契機として、前記レーザ発振器によるレーザ光の照射を行わせることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工制御装置。
【請求項6】
前記ガルバノ駆動制御手段は、
前記主制御手段により得られる前記ガルバノミラーの整定情報に基づき、前記ステージ駆動制御手段からのステージ移動完了信号を契機として、前記ガルバノスキャナによる前記ガルバノミラーの所定位置への整定を行わせ、整定完了後に整定完了信号を前記トリガ制御手段に出力することを特徴とする請求項5に記載のレーザ加工制御装置。
【請求項7】
前記ステージ駆動手段は、
前記主制御手段から得られる位置移動情報に基づいてステージを所定位置に移動し、移動完了後にステージ移動完了信号を前記ガルバノ駆動制御手段に出力することを特徴とする請求項5又は6の何れか1項に記載のレーザ加工制御装置。
【請求項8】
レーザ光を照射するレーザ発振器の照射タイミングを制御するトリガ制御手段、前記レーザ光の方向を変えるガルバノミラーを所定の位置に整定させるガルバノスキャナを制御するガルバノ駆動制御手段、及び加工対象物を所定の位置に移動させるステージの移動制御を行うステージ駆動制御手段により、予め設定された加工対象物の各加工位置へレーザ光を照射して加工を行うためのレーザ加工制御方法において、
前記トリガ制御手段、前記ガルバノ駆動制御手段、及び前記ステージ駆動制御手段にそれぞれ対応する制御信号を出力する制御信号出力ステップと、
前記トリガ制御手段、前記ガルバノ駆動制御手段、及び前記ステージ駆動制御手段の何れか1つから制御完了信号を入力する制御完了信号入力ステップとを有することを特徴とするレーザ加工制御方法。
【請求項9】
前記制御信号出力ステップにより得られる前記ガルバノミラーの整定情報に基づき、前記ガルバノスキャナによる前記ガルバノミラーの所定位置への整定を行わせ、整定完了後に整定完了信号を前記トリガ制御手段に出力する整定完了信号出力ステップと、
前記制御信号出力ステップにより得られる前記レーザ光の照射条件設定情報に基づき、前記整定完了信号出力ステップにより得られる整定完了信号を契機として、前記レーザ発振器によるレーザ光の照射を行わせるレーザ照射制御ステップとを有することを特徴とする請求項8に記載のレーザ加工制御方法。
【請求項10】
前記制御信号出力ステップにより得られる位置移動情報に基づいてステージを所定位置に移動し、移動完了後にステージ移動完了信号を前記トリガ制御手段に出力するステージ移動制御ステップを有し、
前記レーザ照射制御ステップは、前記整定完了信号出力ステップにより得られる整定完了信号及び前記ステージ移動制御ステップからのステージ移動完了信号を契機として、前記レーザ発振器によるレーザ光の照射を行わせることを特徴とする請求項9に記載のレーザ加工制御方法。
【請求項11】
前記制御信号出力ステップにより得られる位置移動情報に基づいてステージを所定位置に移動し、移動完了後にステージ移動完了信号を前記ガルバノ駆動制御手段に出力するステージ移動制御ステップを有し、
整定完了信号出力ステップは、前記ステージ移動制御ステップからのステージ移動完了信号を契機として、前記ガルバノミラーの整定情報に基づき、前記ガルバノスキャナによる前記ガルバノミラーの所定位置への整定を行わせることを特徴とする請求項9に記載のレーザ加工制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2007−283345(P2007−283345A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112512(P2006−112512)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】