説明

レーザ加工素材板およびパターン形成体の製造方法

【課題】ヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層をレーザ光で除去して凹部を形成する場合において、レーザ光のフォーカスを安定させ、良好に加工を行う。
【解決手段】表面にヒートモードによる形状変化が可能なフォトレジスト層20を有する基板10を用意する準備工程と、フォトレジスト層20にレーザ光を照射してフォトレジスト層20の一部を除去する露光工程と、を有するパターン形成体の製造方法である。露光工程におけるレーザ光として、フォトレジスト層20の表面において反射した反射光をA、フォトレジスト層20を介してフォトレジスト層20と基板10との界面において反射した反射光をA′、フォトレジスト層20が除去された基板10の表面部分において反射した反射光をBとしたとき、AとBの位相差またはA′とBの位相差が±90°以内となるような波長のレーザ光を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工素材板およびパターン形成体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表面に微細な凹凸を有する部材が求められている。例えば、LEDや蛍光灯、EL(electro−luminescence)素子、プラズマディスプレイなどの発光素子は、透明なレンズ、保護膜またはガラス管などにより発光体の外装部材が形成されており、これらの外装部材の表面から光が外部へ放出される際の界面透過率を向上させるため、発光面などの表面に微細な凹凸構造を設ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような微細な凹凸構造は、他の分野でも求められている。
【0003】
また、上記の微細構造を簡易かつ精密に形成する方法として、従来、特許文献2のように、熱反応型(ヒートモード)材料に対しレーザ光で穴加工する方法が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−174191号公報
【特許文献2】特開2007−216263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層をレーザ加工する場合、レーザ光をフォトレジスト層にフォーカスする必要があるが、フォトレジスト層に穴が形成される前と後とでワークからのレーザ光の反射率が大きく異なると、フォーカスサーボが安定せず、加工が困難になるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明では、ヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層をレーザ光で除去して凹部を形成する場合において、レーザ光のフォーカスが安定し、良好に加工を行うことが可能となるレーザ加工素材板およびパターン形成体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明の方法は、表面にヒートモードによる形状変化が可能なフォトレジスト層を有する基板を用意する準備工程と、前記フォトレジスト層にオートフォーカス制御によりレーザ光を照射して前記フォトレジスト層の一部を除去する露光工程と、を有し、前記露光工程における前記レーザ光として、前記フォトレジスト層の表面において反射した反射光をA、前記フォトレジスト層を介して前記フォトレジスト層と基板との界面において反射した反射光をA′、フォトレジスト層が除去された前記基板の表面部分において反射した反射光をBとしたとき、AとBの位相差またはA′とBの位相差が±90°以内となるような波長のレーザ光を用いるパターン形成体の製造方法である。
【0008】
ヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層をレーザ光で除去する場合、レーザ光が照射されている範囲のうち、特に中心部分で温度が高くなるため、当該中心部分のみにおいてフォトレジスト材料が蒸発などして除去される。そのため、レーザ光は、凹部が形成された部分と、その周囲との両方に照射されるため、凹部の形成後には、ワークから、凹部の底の部分からの反射光と、凹部の周囲の部分の反射光の双方がレーザ光源に帰ってくる。レーザ光源の装置においては、この帰ってきた光に基づき、フォーカスが合っているか否かを判定する公知の制御部があるが、帰ってくる光は、ある程度明るさが安定している必要があり、光量が極端に減少してしまうのは望ましくない。
【0009】
ところで、フォトレジスト層にレーザ光を照射すると、フォトレジスト層の表面、すなわちフォトレジスト層と空気層の界面において反射が起こるだけでなく、フォトレジスト材料の選択にもよるが、フォトレジスト層は、ある程度レーザ光を透過するので、フォトレジスト層を介してフォトレジスト層と基板との界面でなされる反射も起こる。そこで、
レーザ光がフォトレジスト層の表面で反射するときの反射率をR1、レーザ光がフォトレジスト層を介して基板とフォトレジスト層の界面で反射するときの反射率をR2として、特に、R1≧R2の場合、つまり、フォトレジスト層の表面における反射が多い場合には、レーザ光のフォトレジスト層の表面での反射光Aと、フォトレジスト層が除去された状態におけるレーザ光の基板の表面での反射光Bとの位相差が±90°以内であることで、この2つの反射光同士が極端に弱め合うことがない。よって、レーザ加工時において、反射光量が安定するので、この反射光(2つの界面での反射光を合わせた反射光)に基づいてレーザ光源がオートフォーカス制御を行うときに、安定した制御が可能となる。
【0010】
また、R1<R2である場合、つまり、レーザ光がフォトレジスト層を介して基板とフォトレジスト層の界面でなされる反射が多い場合を考慮すると、フォトレジスト層を介して基板とフォトレジスト層の界面での反射光A′と、フォトレジスト層が除去された状態におけるレーザ光の基板の表面での反射光Bとの位相差が±90°以内であることで、この2つの反射光同士が極端に弱め合うことがない。よって、レーザ加工時において、反射光量が安定するので、この反射光(2つの界面での反射光を合わせた反射光)に基づいてレーザ光源がフォーカス制御を行うときに、安定した制御が可能となる。
【0011】
上記の製造方法においては、前記フォトレジスト層は、厚さが10〜10000nmであることが望ましく、前記レーザ光は、例えば、近紫外領域の波長である。なお、ここでいう近紫外領域とは、350〜450nmの波長範囲をいう。
【0012】
一方、上記のような製造方法に用いる好適なレーザ加工素材板は、近紫外領域のレーザ光線により表面に凹凸を形成するためのレーザ加工素材板であって、Siからなる基板と、当該基板の上に設けられた近紫外光を吸収するヒートモードによる形状変化が可能なフォトレジスト層とを備え、前記フォトレジスト層は、厚さが10〜10000nmの範囲であり、かつ、光路長が、
m×405−100nm〜m×405+100nm
(但し、mは干渉の次数を示し、1以上の整数)
を充足することを特徴とする。
【0013】
このようなレーザ加工素材板によれば、非常に薄くかつ上記の限定された範囲の厚みのフォトレジスト層を近紫外領域のレーザ光で加工したときに、フォトレジスト層に凹部ができる前後で反射光の光量変化が少ないので、レーザ光源が安定したフォーカス制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のレーザ加工素材板およびパターン形成体の製造方法によれば、ヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層をレーザ光で除去して凹部を形成する場合において、フォトレジスト層の除去後に、凹部の底で反射される光と、凹部の周囲で反射される光とが互いに極端に弱め合うことがないので、2つの反射光を合わせた反射光の光量が安定する。その結果、レーザ加工時のレーザ光源のフォーカスが安定する。よって、良好に凹凸パターンの加工を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明に係るレーザ加工素材板およびこれを利用したパターン形成体の製造方法の一実施形態について説明する。参照する図において、図1は、本発明のレーザ加工素材板の断面図であり、図2は、レーザ加工装置の概念図であるり、図3は、R1≧R2の場合にレーザ加工装置に影響を与える光の反射状態を示す図であり、図4は、R1<R2の場合にレーザ加工装置に影響を与える光の反射状態を示す図である。
【0016】
図1に示すように、本発明のレーザ加工素材板1は、基板10上にフォトレジスト層20が設けられて構成されている。
レーザ加工素材板1から製造されるパターン形成体の用途は、発光体、光透過率を向上させる光学素子、電子デバイス、金型など特に限定されない。
【0017】
基板10は、例えばシリコン板、SiO、ガラス板、GaN、サファイヤ、金属板などである。シリコン板の場合には、例えば、半導体集積回路が形成されている場合もある。基板10は、表面に凹凸パターンを形成する目的の板であれば何でもよい。
【0018】
フォトレジスト層20は、ヒートモードによる形状変化、つまり、光やX線などの電磁ビームを照射することにより加熱することで材料の変形、蒸発などが起きて形状が変化するフォトレジスト材料からなる。フォトレジスト層20の厚さは、例えば、1〜10000nmの範囲で適宜設定することができ、厚さの下限は、好ましくは10nmであり、より好ましくは50nmである。また、厚さの上限は、好ましくは1000nmであり、より好ましくは500nmである。
【0019】
フォトレジスト層20を形成するときは、フォトレジスト材料となる物質を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により基板10の表面に塗布することにより形成することができる。
【0020】
図1に示す矢印のように、基板10に対しフォトレジスト層20が設けられた側から照射された光は、一部がフォトレジスト層20の表面(空気との界面)21で反射するとともに、一部がフォトレジスト層20を通過して、フォトレジスト層20と基板10との界面22で反射する。ここでは、フォトレジスト層20の表面21における反射率をR1とし、フォトレジスト層20を介してフォトレジスト層20と基板10との界面22でなされる反射の反射率をR2とする。
【0021】
反射率R1(界面に垂直に入射する光の反射率。以下同じ。)は、外部環境、例えば空気の屈折率n0、フォトレジスト層20の屈折率n2を用いて
R1=(n0−n2)/(n0+n2)
で計算することができる。
また、反射率R2は、基板10の屈折率をn1として、
R2=(n1−n2)/(n1+n2)×(フォトレジスト層の透過率)
で計算することができる。
なお、フォトレジスト層20の透過率は、レーザ光を吸収しない場合、(1−R1)で定義することができる。吸収する場合には、透過係数×膜厚の値により補正する。
【0022】
レーザ加工装置でヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層20の加工を行う場合、レーザ光L(図3参照)の中心付近においてのみ十分な熱が発生し、凹部25が形成されるが、周囲においては、フォトレジスト材料が残ったままとなる。そのため、凹部25が加工されたときには、凹部25の底部26で露出した基板10の表面のみならず、凹部25の周辺領域におけるフォトレジスト層20の表面21でもレーザ光Lが反射される。
【0023】
[R1≧R2の場合]
R1≧R2の場合、フォトレジスト層20の表面21と前記した界面22のうち、レーザ加工装置のフォーカス制御に対し影響を与えやすいのは、表面21における反射である。そこで、図3に示すように、レーザ加工中にレーザ光Lで凹部25が形成されると、フォトレジスト層20の表面21での反射光L1と、凹部25の底部26で露出した基板10の表面での反射光L3とがレーザ加工装置に帰っていく。レーザ加工装置においては、この反射光L1と反射光L3とが合わさり干渉した光を検出し、レーザ光Lのフォーカス制御を行う。
【0024】
ここで、簡単にレーザ加工装置の原理について説明しておく。図2に示すように、レーザ加工装置50は、レーザ光源51から発した光を、レンズ52,54によりレーザ加工素材板1のフォトレジスト層20に集束させる装置である。レーザ加工素材板1から帰ってきた光は、ハーフミラー53により分岐され、レンズ55により集束され、分割された光検出部を有するディテクタ56で検出される。ディテクタ56で検出した光量は、制御装置58に入力される。そして、制御装置58は、フォーカス制御量を決定し、レンズアクチュエータ57でレンズ54を移動させてフォーカスを調整する。なお、詳細は説明しないが、レーザ光Lでフォトレジスト層20の全面を露光できるように、レーザ光Lおよびレーザ加工素材板1を互いに相対的に移動させる機構が設けられている。
【0025】
このフォーカス制御において、ワーク(レーザ加工素材板1)からの反射光の光量が大きく変化すると、制御量の決定値が安定しない。
そこで、本実施形態のレーザ加工素材板1は、R1≧R2の場合には、反射光L1と反射光L3の位相差が±90°以内とされている。この位相差が仮に180°であった場合には、反射光L1と反射光L3が弱め合い、反射光L1と反射光L3の光量バランスによっては全体としてほとんど反射光が帰らないことになる。しかし、位相差を±90°以内とすることで、レーザ加工装置に帰るレーザ光Lの光量が安定し、フォーカス制御を安定させることができる。
【0026】
このような観点から、上記の位相差は、より望ましくは±75°以内であり、さらに望ましくは±60°以内、最も望ましくは±45°以内である。
【0027】
上記の位相差を調整するには、フォトレジスト層20の厚さを調整すればよい。また、フォトレジスト材料の屈折率も、位相差に影響を与えるので、フォトレジスト層20の屈折率を考慮してフォトレジスト層20の厚さを決定するとよい。
【0028】
また、位相差は、レーザ光Lの波長によっても値が変化する。本実施形態においては、微細な凹凸パターンを基板10の表面に形成するという観点から、短い波長のレーザ光である青紫色レーザ(波長405nm)を基準とするのが望ましい。
もっとも、原理的には、レーザ光Lの波長は405nmに限定されるものではない。レーザ光Lの波長としては、ビームを細く絞って微細な加工をする観点からは、2μm以下が望ましく、1μm以下、800nm以下、700nm以下、600nm以下と短い方がより望ましい。一方、空気中においてレーザ光Lが吸収、散乱しすぎず、良好なビームを形成するためには、レーザ光Lの波長は、100nm以上であるのが望ましく、190nm以上がより望ましく、300nm以上がさらに望ましい。
【0029】
本実施形態のレーザ加工素材板1のさらに具体的な一例を挙げると、基板はSiであり、フォトレジスト層20は、近紫外光を吸収するヒートモードによる形状変化が可能な材料からなり、その厚さは、10〜10000nmの範囲であり、かつ、光路長は、次式を充足する。
m×405−100nm〜m×405+100nm
(但し、mは干渉の次数を示し、1以上の整数)
【0030】
フォトレジスト層20の光路長は、好ましくは、
m×405−70nm〜m×405+70nm
(但し、mは干渉の次数を示し、1以上の整数)
更に好ましくは、m×405−50nm〜m×405+50nm
(但し、mは干渉の次数を示し、1以上の整数)
である。
【0031】
レーザ光として波長が可視領域のものを使用する場合、例えば660nmのレーザ光を使用する場合は、フォトレジスト層20の光路長は、次式を充足する。
m×660nm−150nm〜m×660nm+150nm
(但し、mは干渉の次数を示し、1以上の整数)
レーザ光として波長が近赤外領域のものを使用する場合、例えば780nmのレーザ光を使用する場合は、フォトレジスト層20の光路長は、次式を充足する。
m×780nm−200nm〜m×780nm+200nm
(但し、mは干渉の次数を示し、1以上の整数)
【0032】
[R1<R2の場合]
R1<R2の場合、フォトレジスト層20の表面21と前記した界面22のうち、レーザ加工装置50のフォーカス制御に対し影響を与えやすいのは、界面22における反射である。この場合、図4に示すように、レーザ加工中にレーザ光Lで凹部25が形成されると、フォトレジスト層20と基板10の界面22での反射光L2と、凹部25の底部26で露出した基板10の表面での反射光L3とがレーザ加工装置50に帰っていく。レーザ加工装置50においては、この反射光L2と反射光L3とが合わさり干渉した光を検出し、レーザ光Lのフォーカス制御を行う。
そこで、本実施形態のレーザ加工素材板1は、R1<R2の場合には、反射光L2と反射光L3の位相差が±90°以内とされている。このように、位相差を±90°以内とすることで、レーザ加工装置50に帰るレーザ光Lの光量が安定し、フォーカス制御を安定させることができる。
【0033】
なお、本実施形態でいう、基板10とフォトレジスト層20の界面は、フォトレジスト層20と、フォトレジスト層20の下の層との界面を意味する。例えばシリコン基板上に金属層が設けられ、さらにフォトレジスト層20が設けられるような場合には、上記にいう「基板」とは、シリコン基板に金属層を設けた物を意味し、金属層とフォトレジスト層20との界面が、図1に示す界面22に相当する。
【0034】
次に、上記のレーザ加工素材板1を用いて、レーザ加工素材板1の表面に凹凸のパターンを形成してパターン形成体を製造する方法について説明する。
まず、図1に示すような、表面にヒートモードによる形状変化が可能なフォトレジスト層20を設けた基板10、すなわちレーザ加工素材板1を用意する(準備工程)。
【0035】
そして、このレーザ加工素材板1を、レーザ加工装置50にセットし、レーザ加工装置50によりフォトレジスト層20にレーザ光Lを照射してフォトレジスト層20の一部を除去する(露光工程)。この露光工程においては、レーザ加工素材板1がR1≧R2を満たすような場合には、レーザ光Lとして、フォトレジスト層20の表面21において反射した反射光L1と、フォトレジスト層20が除去された基板10の表面部分(底部26)において反射した反射光L3との位相差が±90°以内となるような波長のレーザ光Lを用いる。
【0036】
これにより、レーザ光Lがフォトレジスト層20を除去した後、反射光L1と反射光L3とが干渉してレーザ加工装置50に戻ってきたとしても、反射光L1と反射光L3とが極度に弱め合うことは無いので、レーザ加工装置50のフォーカス制御は安定し、良好な加工が可能となる。
【0037】
なお、レーザ光Lをフォトレジスト層20に対し走査させる線速は、6m/s以上であるのが望ましく、9m/s以上がより望ましく、15m/s以上がさらに望ましい。これは、フォトレジスト層20のごく狭い領域のみに熱を加えることで隣接する次の凹部25の形成に影響を与えずに済むからである。また、線速は、200m/s以下であるのが望ましく、150m/s以下がより望ましく、100m/s以下がさらに望ましい。これは、線速に比較して十分なレーザ出力の立ち上がりを確保して、明りょうな凹凸形状を形成するためである。
【0038】
また、レーザ加工素材板1がR1≧R2を満たすような場合には、露光工程において、レーザ光Lとして、フォトレジスト層20を介してフォトレジスト層20と基板10との界面22において反射した反射光L2と、フォトレジスト層20が除去された基板10の表面部分(底部26)において反射した反射光L3との位相差が±90°以内となるような波長のレーザ光Lを用いる。
これにより、レーザ光Lがフォトレジスト層20を除去した後、反射光L2と反射光L3とが干渉してレーザ加工装置50に戻ってきたとしても、反射光L2と反射光L3とが極度に弱め合うことは無いので、レーザ加工装置50のフォーカス制御は安定し、良好な加工が可能となる。
【0039】
以上のようにして、本実施形態のレーザ加工素材板1およびパターン形成体の製造方法によれば、レーザ光Lの露光によりフォトレジスト層20が除去され、除去前と比較してレーザ加工素材板1でのレーザ光Lの反射の仕方が変わったとしても、反射光量が過度に変化しないので、レーザ光Lのフォーカス制御が安定し、パターン形成体を良好に製造することができる。
【0040】
以上に、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することが可能である。例えば、基板10の材料や、フォトレジスト層20の材料は、目的に応じ適宜選択することができる。
【0041】
なお、前記実施形態で挙げたヒートモード型のフォトレジスト材料の具体例や、フォトレジスト層の加工条件等は、以下に示す通りである。
【0042】
ヒートモード型のフォトレジスト材料は、従来、光記録ディスクなどの記録層に多用されている記録材料、たとえば、シアニン系、フタロシアニン系、キノン系、スクワリリウム系、アズレニウム系、チオール錯塩系、メロシアニン系などの記録材料を用いることができる。
【0043】
本発明におけるフォトレジスト層は、色素をフォトレジスト材料として含有する色素型とすることが好ましい。
従って、フォトレジスト層に含有されるフォトレジスト材料としては、色素等の有機化合物が挙げられる。なお、フォトレジスト材料としては、有機材料に限られず、無機材料または無機材料と有機材料の複合材料を使用できる。ただし、有機材料であると、成膜をスピンコートやスプレー塗布により容易にでき、転移温度が低い材料を得易いため、有機材料を採用するのが好ましい。また、有機材料の中でも、光吸収量が分子設計で制御可能な色素を採用するのが好ましい。
【0044】
ここで、フォトレジスト層の好適な例としては、メチン色素(シアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、オキソノール色素、メロシアニン色素など)、大環状色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、アゾ色素(アゾ金属キレート色素を含む)、アリリデン色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、桂皮酸誘導体、キノフタロン系色素などが挙げられる。中でも、メチン色素、オキソノール色素、大環状色素、アゾ色素が好ましい。
【0045】
かかる色素型のフォトレジスト層は、露光波長領域に吸収を有する色素を含有していることが好ましい。特に、光の吸収量を示す消衰係数kの値は、その上限値が、10であることが好ましく、5であることがより好ましく、3であることがさらに好ましく、1であることが最も好ましい。また、消衰係数kの下限値は、0.0001であることが好ましく、0.001であることがより好ましく、0.1であることがさらに好ましい。消衰係数kを前述した範囲内に設定すると、穴形状の均一性を高めることができる。
【0046】
なお、フォトレジスト層は、前記したように露光波長において光吸収があることが必要であり、かような観点からレーザ光源の波長に応じて適宜色素を選択したり、構造を改変することができる。
例えば、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、ペンタメチンシアニン色素、ヘプタメチンオキソノール色素、ペンタメチンオキソノール色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素などから選択することが有利である。この中でも、フタロシアニン色素またはペンタメチンシアニン色素を用いるのが好ましい。
また、レーザ光源の発振波長が660nm付近であった場合は、トリメチンシアニン色素、ペンタメチンオキソノール色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ピロメテン錯体色素などから選択することが有利である。
さらに、レーザ光源の発振波長が405nm付近(近紫外領域)であった場合は、モノメチンシアニン色素、モノメチンオキソノール色素、ゼロメチンメロシアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ポルフィリン色素、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、キノフタロン系色素などから選択することが有利である。
【0047】
以下、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、660nm付近であった場合、405nm付近であった場合に対し、フォトレジスト層(フォトレジスト材料)としてそれぞれ好ましい化合物の例を挙げる。ここで、以下の化学式1,2で示す化合物(I−1〜I−10)は、レーザ光源の発振波長が780nm付近で(近赤外領域)あった場合の化合物である。また、化学式3,4で示す化合物(II−1〜II−8)は、660nm付近(可視領域)であった場合の化合物である。さらに、化学式5,6で示す化合物(III−1〜III−14)は、405nm付近であった場合の化合物である。なお、本発明はこれらをフォトレジスト材料に用いた場合に限定されるものではない。
【0048】
<レーザ光源の発振波長が780nm付近(近赤外領域)である場合のフォトレジスト材料例>
【化1】

【0049】
<レーザ光源の発振波長が780nm付近(近赤外領域)である場合のフォトレジスト材料例>
【化2】

【0050】
<レーザ光源の発振波長が660nm付近(可視領域)である場合のフォトレジスト材料例>
【化3】

【0051】
<レーザ光源の発振波長が660nm付近(可視領域)である場合のフォトレジスト材料例>
【化4】

【0052】
<レーザ光源の発振波長が405nm付近(近紫外領域)である場合のフォトレジスト材料例>
【化5】

【0053】
<レーザ光源の発振波長が405nm付近(近紫外領域)である場合のフォトレジスト材料例>
【化6】

【0054】
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、及び同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
【0055】
このような色素型のフォトレジスト層は、色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を、基板上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成できる。その際、塗布液を塗布する面の温度は、10〜40℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは、下限値が、15℃であり、20℃であることが更に好ましく、23℃であることが特に好ましい。また、上限値としては、35℃であることがより好ましく、30℃であることが更に好ましく、27℃であることが特に好ましい。このように被塗布面温度が上記範囲にあると、塗布ムラや塗布故障の発生を防止し、塗膜の厚さを均一とすることができる。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
ここで、フォトレジスト層は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布工程を複数回行うことによって形成される。
塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
【0056】
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。なお、フッ素系溶剤、グリコールエーテル類、ケトン類が好ましい。特に好ましいのはフッ素形溶剤、グリコールエーテル類である。更に好ましいのは、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルである。
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、更に、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0057】
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。なお、生産性に優れ膜厚のコントロールが容易であるという点でスピンコート法を採用するのが好ましい。
フォトレジスト層は、スピンコート法による形成に有利であるという点から、有機溶媒に対して0.3wt%以上30wt%以下で溶解することが好ましく、1wt%以上20wt%以下で溶解することがより好ましい。特にテトラフルオロプロパノールに1wt%以上20wt%以下で溶解することが好ましい。また、フォトレジスト材料は、熱分解温度が150℃以上500℃以下であることが好ましく、200℃以上400℃以下であることがより好ましい。
塗布の際、塗布液の温度は、23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜40℃の範囲であることがより好ましく、中でも、25〜30℃の範囲であることが特に好ましい。
【0058】
塗布液が結合剤を含有する場合、結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。フォトレジスト層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に色素に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。
【0059】
また、フォトレジスト層には、フォトレジスト層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、及び同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0060】
なお、フォトレジスト層は材料の物性に合わせ、蒸着、スパッタリング、CVD等の成膜法によって形成することもできる。
【0061】
なお、色素は、凹部パターンの加工に用いるレーザ光の波長において、他の波長よりも光の吸収率が高いものが用いられる。
この色素の吸収ピークの波長は、必ずしも可視光の波長域内であるものに限定されず、紫外域や、赤外域にあるものであっても構わない。
【0062】
なお、凹部パターンを形成するためのレーザ光の波長λwは、大きなレーザパワーが得られる波長であればよく、例えば、フォトレジスト層に色素を用いる場合は、193nm、210nm、266nm、365nm、405nm、488nm、532nm、633nm、650nm、680nm、780nm、830nmなど、1000nm以下が好ましい。
【0063】
また、レーザ光は、連続光でもパルス光でもよいが、自在に発光間隔が変更可能なレーザ光を採用するのが好ましい。例えば、半導体レーザを採用するのが好ましい。レーザを直接オンオフ変調できない場合は、外部変調素子で変調するのが好ましい。
【0064】
また、レーザパワーは、加工速度を高めるためには高い方が好ましい。ただし、レーザパワーを高めるにつれ、スキャン速度(レーザ光でフォトレジスト層を走査する速度;例えば、前記実施形態に係る回転ステージ55の回転速度)を上げなければならない。そのため、レーザパワーの上限値は、スキャン速度の上限値を考慮して、100Wが好ましく、10Wがより好ましく、5Wがさらに好ましく、1Wが最も好ましい。また、レーザパワーの下限値は、0.1mWが好ましく、0.5mWがより好ましく、1mWがさらに好ましい。
【0065】
さらに、レーザ光は、発信波長幅およびコヒーレンシが優れていて、波長並みのスポットサイズに絞ることができるような光であることが好ましい。
また、フォトレジスト層の厚さtと、凹部の直径dとは、以下の関係であることが好ましい。すなわち、フォトレジスト層の厚さtの上限値は、t<10dを満たす値とするのが好ましく、t<5dを満たす値とするのがより好ましく、t<3dを満たす値とするのがさらに好ましい。また、フォトレジスト層の厚さtの下限値は、t>d/100を満たす値とするのが好ましく、t>d/10を満たす値とするのがより好ましく、t>d/5を満たす値とするのがさらに好ましい。なお、このように凹部の直径dとの関係でフォトレジスト層の厚さtの上限値および下限値を設定すると、前述と同様に、エッチングマスクとしての効果や、加工速度の向上等を発揮することができる。
【実施例】
【0066】
次に、本発明の効果を確認した一実施例について説明する。
実施例1としては、下記の構造式のフォトレジスト材料を10mg/mlでTFP(テトラフルオロプロパノール)溶剤に溶解した塗布液を調製し、当該塗布液を直径4インチ(約10cm)のガラス基板(屈折率1.5)に、スピンコートにより50nmの厚さで塗布してフォトレジスト層を形成した。
【0067】
【化7】

【0068】
なお、上記のフォトレジスト材料の屈折率は1.72、消衰係数は0.01(つまり、ほとんど吸収しない)である。
【0069】
そして、レーザ露光装置によりフォトレジスト層にレーザ光を露光して、フォトレジスト層に凹部を形成した。
【0070】
凹部の形成条件は、以下の通りである。
露光装置 NEO1000(パルステック工業株式会社製)
レーザ光の波長 405nm
トラックピッチ 500nm
レーザ出力 12mW
露光信号のduty比 30%
線速 5m/s
なお、ここでのduty比は、形成する凹部の走査方向におけるピッチに対応する走査時間を100%としたとき、1つの凹部の加工のために発光を継続した時間をパーセント表示したものである。
【0071】
以上のような工程により凹部を形成した結果、フォーカスサーボ制御がエラーとなることなく、特に問題なく加工できた。
反射率は、R1=7.0%、R2=0.5%であった。
フォトレジスト層には、50nm深さの穴が開き、加工前後の位相差、つまり、フォトレジスト層の表面で反射した反射光と、穴が開くことにより露出した基板表面で反射した反射光との位相差は50nm×2/405nm×360°=89°であった。
【0072】
比較例1として、材料濃度を25mg/mlとして厚さを125nmとした。開口後の開口前に対する位相差は−138°であった。この場合には、加工時に反射率が急減し、自動焦点サーボ制御が安定せず、加工を完了できなかった。
【0073】
上記の凹部形成条件により、フォトレジスト材料と、フォトレジスト層の厚さを変更して、フォトレジスト層を除去して凹部を形成する実験を行った。図5は、R1≧R2の場合の、実施例および比較例の実験結果をまとめた表であり、図6は、R1<R2の場合の、実施例および比較例の実験結果をまとめた表である。図5および図6において、フォーカス安定性は、凹部の形成を3回試行したときの、フォーカスが外れた回数(フォーカスサーボ制御がエラーとなった回数)を×の数で示す。また、○が付されている場合、○の数により、形成された凹部の形状の良否を示す。すなわち、○○○は、凹部が良好な形状で形成されたことを示し、○○は、○○○に比較して一部に小さい凹部が形成されたことを示し、○は、○○よりもさらに小さい凹部が多かったことを示す。
【0074】
図5に示すように、フォトレジスト材料として下記一般式に示す材料を用いた場合には、R1≧R2となる。このとき、実施例2〜5のように、位相差が±90°以内であった場合には、フォーカスが外れることは無かったが、位相差が±90°よりも大きい場合には、フォーカスが外れた。フォーカスが外れない場合には、位相差が小さい程、良好な形状の凹部を形成できた。
【0075】
【化8】

【0076】
図6に示すように、フォトレジスト材料としてフタロシアニンを用いた場合には、R1<R2となる。このとき、実施例6〜9のように、位相差が±90°以内であった場合には、フォーカスが外れることは無かったが、位相差が±90°よりも大きい場合には、フォーカスが外れた。フォーカスが外れない場合には、位相差が小さい程、良好な形状の凹部を形成できた。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明のレーザ加工素材板の断面図である。
【図2】レーザ加工装置の概念図である。
【図3】R1≧R2の場合にレーザ加工装置に影響を与える光の反射状態を示す図である。
【図4】R1<R2の場合にレーザ加工装置に影響を与える光の反射状態を示す図である。
【図5】R1≧R2の場合の、実施例および比較例の実験結果をまとめた表である。
【図6】R1<R2の場合の、実施例および比較例の実験結果をまとめた表である。
【符号の説明】
【0078】
1 レーザ加工素材板
10 基板
20 フォトレジスト層
21 表面
22 界面
25 凹部
26 底部
50 レーザ加工装置
51 レーザ光源
L レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にヒートモードによる形状変化が可能なフォトレジスト層を有する基板を用意する準備工程と、
前記フォトレジスト層にオートフォーカス制御によりレーザ光を照射して前記フォトレジスト層の一部を除去する露光工程と、を有し、
前記露光工程における前記レーザ光として、前記フォトレジスト層の表面において反射した反射光をA、前記フォトレジスト層を介して前記フォトレジスト層と基板との界面において反射した反射光をA′、フォトレジスト層が除去された前記基板の表面部分において反射した反射光をBとしたとき、AとBの位相差またはA′とBの位相差が±90°以内となるような波長のレーザ光を用いることを特徴とするパターン形成体の製造方法。
【請求項2】
前記フォトレジスト層が、シアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、オキソノール色素およびメロシアニン色素を含むメチン色素;フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素およびポルフィリン色素を含む大環状色素;アゾ金属キレート色素を含むアゾ色素;アリリデン色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、桂皮酸誘導体およびキノフタロン系色素から選択される少なくとも1種以上の色素から形成されることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成体の製造方法。
【請求項3】
前記フォトレジスト層は、厚さが10〜10000nmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成体の製造方法。
【請求項4】
前記レーザ光は、近紫外領域の波長であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパターン形成体の製造方法。
【請求項5】
近紫外領域のレーザ光線により表面に凹凸を形成するためのレーザ加工素材板であって、
Siからなる基板と、当該基板の上に設けられた近紫外光を吸収するヒートモードによる形状変化が可能なフォトレジスト層とを備え、
前記フォトレジスト層は、厚さが10〜10000nmの範囲であり、かつ、光路長が、
m×405−100nm〜m×405+100nm
(但し、mは干渉の次数を示し、1以上の整数)
を充足することを特徴とするレーザ加工素材板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−54978(P2010−54978A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221909(P2008−221909)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】