説明

レーザ印字を用いた製品管理システム

【課題】 製品管理データが損傷が受け難い、レーザ印字を用いた製品管理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 被結束物Bの表面あるいは該被結束物を結束する結束バンド表面にレーザ印字装置1を用いてレーザ印字して、該レーザ印字を用いて製品管理する製品管理システムであって、被結束物Bを結束する際、あるいはその後工程において、被結束物Bの表面あるいは該被結束物Bを結束する結束バンド表面に、コンピュータ(制御装置(1)2)からの、その製品に関するデータに基づいて形成されるバーコードからなる製品管理データを、レーザ印字装置1を用いて印字し、該レーザ印字された被結束物を、そのレーザ印字された製品管理データに基づいて、所定の保管場所に搬送手段9によって搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル状や板状、あるいは塊状の被結束物の表面に、あるいは該被結束物を結束する結束バンドの表面に、その製品の製品管理データをレーザ印字し、該レーザ印字された製品管理データに基づいて、保管され、払いだされ、あるいは後処理される、レーザ印字を用いた製品管理システム(ビジネスモデル)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被結束物、例えばコイル状に巻かれた薄板状の鋼板等は、コイル状に巻かれた状態でバンド(結束バンド)による結束がおこなわれるとともに、この製品の表面あるいは前記結束バンドの表面に、塗料等やインク等で製品管理データが記載され、あるいは製品管理データを記載したラベルが張りつけられて、保管ヤードに保管されたり、あるいは保管ヤードから払いだされたり、あるいは焼鈍され、又はメッキなどの表面処理等の後処理がなされていた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−10083号公報。
【0003】
しかしながら、一般にこれら被結束物は重量的に重く、従ってこれらを搬送する搬送手段もチェーンコンベヤ等の金属の搬送面を具備したものが用いられるため、該被結束物の表面やこれを結束する結束バンドの表面に塗料等で記載されたり、ラベルに記載された製品管理データは、損傷を受けることが多い。
このように被結束物に付された製品管理データが損傷してしまうと、その被結束物に関するその後の管理に大きな支障を来すことになる。
さらには、製品管理データを記したラベルを付着したり、あるいは塗料等又はインク等で製品管理データを印字したりした場合には、焼鈍処理やメッキ処理の際に、これらの異物が加工装置内に入り込むことにより、装置の寿命を短くしたり、製品の品質の低下を招くこともある。また、塗料等やインク等あるいはラベルを使用する場合には、その補充やその資材管理にも手間がかかり、読み取りにも人が介在する必要があり、読み取りミスが発生する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みておこなわれたもので、製品管理データが損傷が受け難い又焼鈍処理等の後処理工程において害を発生させない、レーザ印字を用いた製品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記本発明の目的は、以下の構成からなる製品管理システムによって解決される。つまり、本発明にかかる製品管理システムは、被結束物の表面あるいは該被結束物を結束する結束バンド表面にレーザ印字装置を用いてレーザ印字して、該レーザ印字を用いて製品管理する製品管理システムであって、
前記被結束物を結束する際、あるいはその後工程において、被結束物の表面あるいは該被結束物を結束する結束バンド表面に、コンピュータからの、その製品に関するデータに基づいて形成されるバーコードからなる製品管理データを、レーザ印字装置を用いて印字し、
該レーザ印字された被結束物を、そのレーザ印字された製品管理データに基づいて、所定の保管場所に搬送手段によって搬送されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
前述のような構成からなる本発明にかかるレーザ印字を用いた製品管理システムによると、被結束物の表面あるいは結束バンドの表面にレーザ印字装置によって、バーコードからなる製品管理データがレーザ印字されるため、チェーンコンベヤのチェーン等の金属と多少の接触があったとしても、製品管理データを視認することができる。つまり、製品管理データの要部は、被結束物の表面あるいは結束バンドの表面にレーザ印字しているため、金属、例えばチェーンコンベヤ等と接触して傷がいったとしても、被結束物の表面あるいは結束バンドの表面が損傷を受けるだけで、製品管理データのデータ部分が読めなくなる程には損傷を受けない。従って、光学的あるいはその他の読取装置によって、簡単に読み取ることが可能となり、人の読み取りミスを防ぐことができる。
また、従来の塗料等やインク等を使用したりラベルによって製品管理データを付する場合のように、消耗品がない点で安価に、且つ資材管理等に人手がかからず、実施することができる。
さらには、従来の塗料等やインク等によって製品管理データを記載した場合に発生する、焼鈍処理やメッキ処理等をする装置の損傷を防ぎ、製品の品質を落とすこともなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
また、前記発明にかかるレーザ印字を用いた製品管理システムにおいて、前記保管されている被結束物が、前記コンピュータからの払出し指示によって、被結束物の表面あるいは該被結束物を結束する結束バンド表面にレーザ印字された前記製品管理データに基づいて、必要に応じて、前記保管場所から払いだされるよう構成すると、レーザ印字された製品管理データに基づいて確実に払いだすことが可能となる。
【0008】
また、前記発明にかかるレーザ印字を用いた製品管理システムにおいて、前記保管されている被結束物が、前記コンピュータからの払出し指示によって、被結束物の表面あるいは該被結束物を結束する結束バンド表面にレーザ印字された前記製品管理データに基づいて、必要に応じて、後処理されるよう構成すると、レーザ印字された製品管理データに基づいて確実に払いだされ、所定の後処理を確実におこなうことが可能となる。
【実施例1】
【0009】
以下、本願発明にかかる製品管理システムの実施例を図面を参照しながら具体的に説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施例にかかる製品管理システムの全体の概略の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1において、1はレーザ印字装置で、このレーザ印字装置1は、制御装置(1)2と信号線L1で接続されており、この制御装置(コンピュータ)(1)2は、被結束物Bの表面に、被結束物Bを結束する結束バンド3(図2、図3参照)の表面に、該被結束物Bを特定するためのバーコードからなる製品管理データ4(図3参照)をレーザ印字するよう前記レーザ印字装置1に指示する。前記結束バンド3の表面に代えて、被結束物B自体の表面に印字しても勿論よい。
この実施例では、この製品管理データの内容としては、例えば、鋼種、後処理の内容、生産ロット番号、客先、出荷時期等に関するものである。しかし、別の実施例として、この製品管理データの内容として、単に、製品を特定する製品番号のみとし、その製品番号で特定される製品に対して、前記鋼種、後処理の内容、生産ロット番号、客先、出荷時期等に関するデータを制御装置の記憶装置側に対応させて記憶させるような構成としてもよい。
【0012】
そして、このように被結束物Bを結束する結束バンド3の表面等に製品管理データ4(図3参照)がレーザ印字された該被結束物B(図2参照)は、後処理工程への時間待ちのため、保管場所(例えば、立体倉庫5)等に一時的に保管される。また、この保管場所である立体装置5は、信号線L5で制御装置(1)2に接続されている。
【0013】
そして、後処理工程の順番が来ると、搬送装置(例えば、チェーンコンベヤ又は天井走行クレーン)9等によって、別の建屋(あるいは別の処理ヤード)にある前記保管ヤードから後処理工程をおこなう装置等、例えば、前記制御装置(1)と信号線L6で接続された焼鈍装置6へ払いだされるが、この払出しに際し、保管場所に設けられた読取装置によって製品管理データが読み取られることによって、所定のところへ誤りなく払いだされる。また、焼鈍装置6へ入る際に読取装置7によって、被結束物Bの表面等に印字された製品管理データが読み取られる。この読取装置7は、信号線L7で前記制御装置(1)2に接続され、該制御装置(1)2にその製品管理データが送られる。
そして、この製品管理データに記載された焼鈍処理に関する内容の、あるいはこの製品管理データで特定された被結束物Bについて、前記制御装置(1)2に記憶されている焼鈍処理データに基づいて、誤りなく焼鈍処理がおこなわれる。従って、その被結束物Bについて、誤りのない焼鈍処理が実施され、この焼鈍処理後に、再度製品管理データをレーザ印字する。
次に、前記焼鈍処理がおこなわれた被結束物Bは、さらに別の後処理(例えば、メッキ処理)のために、搬送装置(例えば、チェーンコンベヤ)9等によって、さらに別の建屋(あるいは別の処理ヤード)に搬送される。
【0014】
そして、この別の建屋(あるいは別の処理ヤード)において、被結束物B表面等に印字された製品管理データは、読取装置11によって、読み取られる。この読取装置11は、別の制御装置(2)12に信号線L11で接続され、この読取装置11で読み取られた製品管理データが、制御装置(2)12に送られ、このように制御装置(2)12に送られた製品管理データは、メッキ装置13に供給され、このメッキ装置13でこの製品管理データに基づいて後処理の一つであるメッキ処理が誤りなくおこなわれる。また、前記メッキ装置13は、前述のように製品管理データを受け取るため、制御装置(2)12と信号線L13で接続されている。
従って、前記メッキ処理に関して、前記制御装置(1)2と制御装置(2)12とを、信号線で特に接続していなくとも、被結束物Bの表面等にレーザ印字されている製品管理データに基づいて、所定の後処理をその被結束物Bについて、その被結束物Bについてなすべき処理を誤ることなく、正確におこなうことができ、このメッキ処理後に、再度レーザ印字装置14によって製品管理データをレーザ印字する。
【0015】
また、前記製品管理データは、レーザ印字されているため、この被結束物Bが金属等に多少接触したとしても、読み取ることが可能となる。
【0016】
そして、前述のように後処理された被結束物Bは、客先に向けて発送されるが、あるいはその発送に先立ち、立体倉庫等で保管されるが、その発送あるいは保管に際しても、前記レーザ印字された製品管理データに基づいて、容易におこなうことが可能となり、しかも金属等の接触によっても、損傷することなく読み取ることが可能となる。
【0017】
このように、本発明にかかるレーザ印字を用いた製品管理システムによれば、製鉄所あるいは圧延加工工場およびその流通業者にとって、好適なシステムとなる。
【0018】
ところで、前記実施例に代えて、前述したように、製品管理データの内容として、単に、製品を特定する製品番号のみとし、その製品番号で特定される製品に対して、前記鋼種、後処理の内容、生産ロット番号、客先、出荷時期等に関するデータを対応させて、制御装置の記憶装置側に記憶させるような構成とすると、製品管理データ側のデータ量を低減させることができ、より迅速な製品管理データの印字と読み取りができる点で優れた構成となる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本願発明にかかるはレーザ印字を用いた製品管理システムは、製鉄所、圧延等の製造加工工場、流通業者が利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例にかかる製品管理システムの全体の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】結束バンドで結束された被結束物の状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示す結束バンド表面にレーザ印字された状態を示す結束バンド表面に直交する方向から見た部分拡大図である。
【符号の説明】
【0021】
B…被結束物
1…レーザ印字装置
2…制御装置(コンピュータ)(1)
9…搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被結束物の表面あるいは該被結束物を結束する結束バンド表面にレーザ印字装置を用いてレーザ印字して、該レーザ印字を用いて製品管理する製品管理システムであって、
前記被結束物を結束する際、あるいはその後工程において、被結束物の表面あるいは該被結束物を結束する結束バンド表面に、コンピュータからの、その製品に関するデータに基づいて形成されるバーコードからなる製品管理データを、レーザ印字装置を用いて印字し、
該レーザ印字された被結束物を、そのレーザ印字された前記製品管理データに基づいて、所定の保管場所に搬送手段によって搬送されることを特徴とする製品管理システム。
【請求項2】
前記保管されている被結束物が、前記コンピュータからの払出し指示によって、被結束物の表面あるいは該被結束物を結束する結束バンド表面にレーザ印字された前記製品管理データに基づいて、必要に応じて、前記保管場所から払いだされることを特徴とする請求項1記載の製品管理システム。
【請求項3】
前記保管されている被結束物が、前記コンピュータからの払出し指示によって、被結束物の表面あるいは該被結束物を結束する結束バンド表面にレーザ印字された前記製品管理データに基づいて、必要に応じて、後処理されることを特徴とする請求項1記載の製品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−293844(P2006−293844A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116030(P2005−116030)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(592047250)シグノード株式会社 (5)
【Fターム(参考)】