説明

レーザ封着用封着材料、封着材料層付きガラス部材、およびそれを用いた太陽電池とその製造方法

【課題】ガラス基板と封着層との接合界面に生じる残留応力を緩和することによって、ガラス基板間の封着信頼性を高めることを可能にしたレーザ封着用封着材料を提供する。
【解決手段】レーザ封着用封着材料は、低融点ガラスからなる封着ガラスと、質量割合で5〜25%の範囲の低膨張充填材と、1〜10%の範囲のレーザ吸収材と、0.5〜7%の範囲の中空ビーズとを含有する。封着材料はガラス基板3の封止領域に焼き付けられ、これにより封着材料層6が形成される。ガラス基板3はガラス基板2と封着材料層6を介して積層される。封着材料層6にレーザ光7を照射して溶融させることによって、ガラス基板2、3間が封着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ封着用封着材料、封着材料層付きガラス部材、およびそれを用いた太陽電池とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
色素増感型太陽電池のような太陽電池では、2枚のガラス基板で電池素子部(光電変換素子部)を封止したガラスパッケージの適用が進められている。2枚のガラス基板間を封止する封着材料としては、耐候性や耐湿性等に優れる封着ガラスが使用されている。ただし、封着ガラスによる封着温度は400〜600℃程度であるため、焼成炉を用いた加熱処理では電池素子部の特性が劣化してしまう。そこで、2枚のガラス基板の周辺部に封着ガラスとレーザ吸収材とを含む封着材料層を配置し、これにレーザ光を照射して封着材料層を局所的に加熱・溶融させるレーザ封着の適用が検討されている(特許文献1参照)。
【0003】
レーザ光による局所加熱を適用したレーザ封着は、電池素子部への熱的影響を抑制できる反面、封着材料層を局所的に急熱・急冷するプロセスであるため、封着材料層の溶融固着層からなる封着層とガラス基板との接合界面に残留応力が生じやすいという難点がある。接合界面の残留応力は、封着部やガラス基板にクラックや割れ等を生じさせる要因となる。特に、屋外に設置される太陽電池には、昼間と夜間との間の温度差等に基づく熱サイクルが繰り返し付加されるため、接合界面に残留応力が生じているガラスパッケージでは封着部やガラス基板にクラックや割れ等が生じやすい。
【0004】
ガラスパネルの封着にレーザ光による局所加熱を適用するにあたって、特許文献1に記載されているように、封着材料層とガラス基板との熱膨張係数の差を低減して熱応力の発生を抑制することが試みられている。また、特許文献2にはビスマス系封着ガラス(ガラスフリット)に、シリカ、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、リン酸ジルコニウム等の低膨張充填材を添加して低膨張化した封着材料が記載されている。しかしながら、封着材料層の熱膨張係数をガラス基板のそれに近似させただけでは、レーザ照射後の封着材料層の局所的な急冷に起因する接合界面の残留応力を十分に緩和することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−115057号公報
【特許文献2】特開2006−137637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、2枚のガラス基板間の封着にレーザ光による局所加熱を適用するにあたって、ガラス基板と封着層との接合界面に生じる残留応力を緩和することによって、ガラス基板間の封着信頼性を高めることを可能にしたレーザ封着用封着材料と封着材料層付きガラス部材、さらにそのような封着材料層付きガラス部材を用いることによって、長期信頼性を向上させた太陽電池とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るレーザ封着用封着材料は、低融点ガラスからなる封着ガラスと、質量割合で5〜25%の範囲の低膨張充填材と、1〜10%の範囲のレーザ吸収材と、0.5〜7%の範囲の中空ビーズとを含有することを特徴としている。
【0008】
本発明の態様に係る封着材料層付きガラス部材は、封止領域を備えるガラス基板と、前記ガラス基板の前記封止領域上に設けられ、本発明の態様に係るレーザ封着用封着材料の焼成層からなる封着材料層とを具備することを特徴としている。
【0009】
本発明の態様に係る太陽電池は、第1の封止領域を備える第1の表面を有する第1のガラス基板と、前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域を備える第2の表面を有し、前記第2の表面が前記第1のガラス基板の前記第1の表面と対向するように配置された第2のガラス基板と、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に設けられた太陽電池素子部と、前記太陽電池素子部を封止するように、前記第1のガラス基板の前記第1の封止領域と前記第2のガラス基板の前記第2の封止領域との間に形成され、本発明の態様に係る封着材料の溶融固着層からなる封着層とを具備することを特徴としている。
【0010】
本発明の態様に係る太陽電池の製造方法は、第1の封止領域を備える第1の表面を有する第1のガラス基板を用意する工程と、前記第1のガラス基板の前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域と、前記第2の封止領域上に形成され、本発明の態様に係る封着材料の焼成層からなる封着材料層とを備える第2の表面を有する第2のガラス基板を用意する工程と、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを、前記第1の表面と前記第2の表面とが対向するように前記封着材料層を介して積層する工程と、前記第1のガラス基板または前記第2のガラス基板を通して前記封着材料層にレーザ光を照射し、前記封着材料層を溶融させて前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に設けられる太陽電池素子部を封止する封着層を形成する工程とを具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様に係るレーザ封着用封着材料および封着材料層付きガラス部材によれば、レーザ封着時にガラス基板と封着層との接合界面に生じる残留応力を緩和することができる。従って、本発明の態様に係る太陽電池とその製造方法によれば、接合界面の残留応力に起因する封着部やガラス基板のクラックや割れ等を経時的に抑制することができ、これにより長期信頼性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による太陽電池の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す太陽電池の電池素子部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態による太陽電池の製造工程を示す断面図である。
【図4】図3に示す太陽電池の製造工程で使用する第1のガラス基板を示す平面図である。
【図5】図4のA−A線に沿った断面図である。
【図6】図3に示す太陽電池の製造工程で使用する第2のガラス基板を示す平面図である。
【図7】図6のA−A線に沿った断面図である。
【図8】本発明の実施例1における封着温度と残留応力との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態による太陽電池を示す断面図、図2は図1に示す太陽電池の電池素子部を拡大して示す断面図、図3は本発明の実施形態による太陽電池の製造工程を示す図、図4ないし図7はそれに用いる第1および第2のガラス基板の構成を示す図である。
【0014】
図1に示す太陽電池1は、色素増感型太陽電池のような電気化学的な湿式セル構造を有する太陽電池である。太陽電池1は、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3とを具備している。第1および第2のガラス基板2、3としては、例えばソーダライムガラス基板が使用される。ソーダライムガラス基板には、各種公知の組成を適用することができる。第1および第2のガラス基板2、3を構成するソーダライムガラス基板は、例えば80〜90×10-7/℃の範囲の熱膨張係数を有している。
【0015】
第1のガラス基板2の表面2aとそれと対向する第2のガラス基板3の表面3aとの間には、電池素子部4が設けられている。電池素子部4は、例えば色素増感型太陽電池素子(色素増感型光電変換素子)を備えている。電池素子部4の構造は特に限定されるものではなく、各種公知の素子構造を適用することができる。この実施形態の太陽電池1は、電池素子部4の素子構造に限定されるものではない。図2に電池素子部4の構成例として色素増感型太陽電池素子40の構造の一例を示す。
【0016】
図2に示す色素増感型太陽電池素子40において、第1のガラス基板2の表面2aには透明導電膜41を介して増感色素を有する半導体電極(光電極/アノード)42が設けられている。第2のガラス基板3の表面3aには、透明導電膜43を介して対向電極(カソード)44が設けられている。透明導電膜41、43は配線膜等を構成するものであり、例えばフッ素ドープ酸化スズ(FTO)や酸化インジウムスズ(ITO)等からなる。透明導電膜41、43はFTO膜やITO膜の単独膜に限らず、一部が他の導電膜(Al膜、Al合金膜、Cu膜、Cu合金膜等)や絶縁膜(SiOx膜やSiNx膜等)と積層された積層膜であってもよい。
【0017】
半導体電極42は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物の多孔質膜で構成されており、その内部に増感色素が吸着されている。増感色素としては、例えばルテニウム錯体色素やオスミウム錯体色素等の金属錯体色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素等の有機色素が用いられる。対向電極44は白金、金、銀等の薄膜からなる。そして、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間には電解質45が封入されており、これら各構成要素によって色素増感型太陽電池素子40が構成されている。
【0018】
太陽電池1の作製に用いられる第1のガラス基板2の表面2aは、図4および図5に示すように、電池素子部4の一部となる素子構造体4Aが形成される第1の素子領域2Aと、その外周に沿って設けられた第1の封止領域2Bとを備えている。第1の封止領域2Bは第1の素子領域2Aを囲うように設けられている。第2のガラス基板3の表面3aは、図6および図7に示すように、第1の素子領域2Aに対応する第2の素子領域3Aと、第1の封止領域2Bに対応する第2の封止領域3Bとを備えている。第2の素子領域3Aには電池素子部4の一部となる素子構造体4Bが形成される。素子構造体4A、4Bは、上述したように配線膜、電極膜等の素子膜やそれに基づく素子構造を有している。
【0019】
第1のガラス基板2と第2のガラス基板3とは、電池素子部4を構成する素子構造体4A、4Bが形成された表面2a、3aが対向するように、所定の間隙を持って配置される。第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間の間隙は、封着層5で気密封止されている。すなわち、封着層5は電池素子部4を気密封止するように、第1のガラス基板2の封止領域2Bと第2のガラス基板3の封止領域3Bとの間に形成されている。電池素子部4は第1のガラス基板2と第2のガラス基板3と封着層5とで構成されたガラスパネルで気密封止されている。封着層5は例えば20〜100μmの範囲の厚さを有する。
【0020】
封着層5は、第2のガラス基板3の封止領域3Bに形成された封着材料層6にレーザ光を照射して溶融させ、続いて急冷して第1のガラス基板2の封止領域2Bに固着させた溶融固着層からなるものである。第2のガラス基板3の封止領域3Bには、図6および図7に示すように枠状の封着材料層6が形成されている。封着材料層6にはレーザ光が照射される。そして、レーザ光の照射に基づいて発生する熱で封着材料層6を第1のガラス基板2の封止領域2Bに溶融固着させることによって、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間の空間を気密封止する封着層5が形成される。
【0021】
封着材料層6は封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材と中空ビーズとを含有する封着材料の焼成層である。封着材料は主成分としての封着ガラスに、レーザ吸収材と低膨張充填材と中空ビーズとを配合したものである。封着材料はこれら以外の添加材を必要に応じて含有していてもよい。封着ガラス(ガラスフリット)には、例えばビスマス系ガラス、錫−リン酸系ガラス、バナジウム系ガラス、鉛系ガラス等の低融点ガラスが用いられる。これらのうち、ガラス基板2、3に対する封着性やその信頼性、さらには環境や人体に対する影響性等を考慮して、ビスマス系ガラスや錫−リン酸系ガラスを使用することが好ましく、さらに耐候性等に優れるビスマス系ガラスを使用することが望ましい。
【0022】
ビスマス系ガラス(ガスフリット)は、70〜90質量%のBi23、1〜20質量%のZnO、および2〜18質量%のB23(基本的には合計量を100質量%とする)の組成を有することが好ましい。Bi23はガラスの網目を形成する成分である。Bi23の含有量が70質量%未満であると低融点ガラスの軟化点が高くなり、低温での封着が困難になる。Bi23の含有量が90質量%を超えるとガラス化しにくくなると共に、熱膨張係数が高くなりすぎる傾向がある。
【0023】
ZnOは熱膨張係数等を下げる成分である。ZnOの含有量が1質量%未満であるとガラス化が困難になる。ZnOの含有量が20質量%を超えると低融点ガラス成形時の安定性が低下し、失透が発生しやすくなる。B23はガラスの骨格を形成してガラス化が可能な範囲を広げる成分である。B23の含有量が2質量%未満であるとガラス化が困難となる。B23の含有量が18質量%を超えると軟化点が高くなりすぎて、封着時に荷重をかけたとしても低温で封着することが困難となる。
【0024】
Bi23、ZnO、B23の3成分(基本成分)で形成されるガラスは転移点が低く、低温用の封着材料に適しているが、Al23、CeO2、CuO、Fe23、Ag2O、WO3、MoO3、Nb23、Ta25、Ga23、Sb23、Li2O、Na2O、K2O、Cs2O、CaO、SrO、BaO、WO3、SiO2、P25、SnOx(xは1または2である)等の任意成分を含有してもよい。ただし、任意成分の含有量が多すぎるとガラスが不安定となって失透が発生したり、またガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあるため、任意成分の合計含有量は30質量%以下とすることが好ましい。この場合のガラス組成は基本成分と任意成分との合計量が基本的には100質量%となるように調整される。
【0025】
上述した任意成分のうち、Al23は熱膨張係数を下げ、かつ焼成時の低融点ガラスの安定性を向上させる成分である。Al23の含有量は0〜5質量%の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜5質量%の範囲である。Al23の含有量が5質量%を超えるとガラスの粘性が上がり、低融点ガラス中にAl23が未溶融物として残りやすくなる。Al23を0.1質量%以上含有させることによって、焼成時の低融点ガラスの安定性をより有効に高めることが可能となる。
【0026】
Fe23は粘性をほとんど増大させることなく、封着時におけるガラスの結晶化を抑制して封着可能温度域を広げる成分である。ただし、Fe23を過剰に添加するとガラス化範囲が狭くなるため、その含有量は0〜0.5質量%の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.2質量%の範囲である。CuOはガラスの粘性を下げ、特に低温側での封着可能温度域を広げる成分であり、その含有量は0〜5質量%の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。CuOの含有量が5質量%を超えると結晶の析出速度が大きくなり、高温側での封着可能温度域が狭くなる。
【0027】
CeO2はガラス組成中のBi23がガラス融解時に金属ビスマスとして析出することを抑制し、ガラスの流動性を安定化させる成分である。CeO2の含有量は0〜5質量%の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜5質量%の範囲である。CeO2の含有量が5質量%を超えるとガラスの粘度が高くなり、低温での封着が困難となる。さらに、CeO2はPtやPt合金からなるルツボでビスマス系ガラスを溶解する際に、ルツボの劣化(侵食や亀裂)を抑制する効果を有する。
【0028】
封着材料に配合されるレーザ吸収材としては、例えばFe、Cr、Mn、Co、NiおよびCuから選ばれる少なくとも1種の金属や前記金属の酸化物(複合酸化物を含む)等が用いられる。レーザ吸収材の含有量は封着材料に対して0.1〜10質量%の範囲とすることが好ましい。レーザ吸収材の含有量が0.1質量%未満であると、レーザ光を照射した際に封着材料層6を十分に溶融させることができない。レーザ吸収材の含有量が10質量%を超えると、レーザ光の照射時に第2のガラス基板3との界面近傍で局所的に発熱して第2のガラス基板3に割れ等が生じたり、また封着材料の溶融時の流動性が劣化して第1のガラス基板2との接着性が低下するおそれがある。
【0029】
封着材料に配合される低膨張充填材としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、チタン酸アルミニウム、ムライト、コージェライト、ユークリプタイト、スポジュメン、リン酸ジルコニウム系化合物、酸化錫系化合物、石英固溶体から選ばれる少なくとも1種が用いられる。リン酸ジルコニウム系化合物としては、(ZrO)227、NaZr2(PO43、KZr2(PO43、Ca0.5Zr2(PO43、Na0.5Nb0.5Zr1.5(PO43、K0.5Nb0.5Zr1.5(PO43、Ca0.25Nb0.5Zr1.5(PO43、NbZr(PO43、Zr2(WO3)(PO42、これらの複合化合物が挙げられる。低膨張充填材とは封着材料の主成分である封着ガラスより低い熱膨張係数を有するものである。
【0030】
低膨張充填材の含有量は、封着ガラスの熱膨張係数がガラス基板2、3の熱膨張係数に近づくように適宜に設定される。低膨張充填材は封着ガラスやガラス基板2、3の熱膨張係数にもよるが、封着材料に対して2〜25質量%の範囲で含有させることが好ましい。低膨張充填材の含有量が2質量%未満であると、封着材料の熱膨張率を調整する効果を十分に得ることができない。一方、低膨張充填材の含有量が25質量%を超えると、封着材料の流動性が低下して接着強度が低下するおそれがある。
【0031】
ところで、封着材料層6の局所加熱にレーザ光を使用する場合、封着材料層6はそれに沿って走査されるレーザ光が照射された部分から順に溶融し、レーザ光の照射終了と共に急冷固化されて第1のガラス基板2に固着する。封着材料層6はレーザ光の照射に伴って局所的に急熱・急冷される。このように、封着材料層6はレーザ光の照射部位が急熱されて溶融し、レーザ光の通過後に急冷されて固化することなる。従来の封着材料を用いた場合、レーザ光の通過後の急冷時において、封着材料層6の溶融固化層である封着層5とガラス基板2、3との接合界面に大きな残留応力が生じる。
【0032】
ガラス基板2、3と封着層5との接合界面の残留応力は、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3と封着層5とで構成されたガラスパネル、ひいては太陽電池1の信頼性を低下させる要因となる。特に、屋外に設置される太陽電池1には、昼間と夜間との間の温度差等に基づく熱サイクルが繰り返し付加されるため、接合界面に残留応力が生じていると封着層5やガラス基板2、3にクラックや割れ等が生じやすくなる。これが太陽電池1の経時的な信頼性(長期信頼性)を低下させる要因となっている。
【0033】
このような点に対して、この実施形態の封着材料は中空ビーズを含有している。中空ビーズは、その内部に閉塞された空孔を有する形状(中空形状)を備え、かつ封着材料層6をレーザ光で局所加熱する際に中空形状が維持されるものであればよい。このような中空ビーズの具体例としては、硼珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、およびソーダライムガラスから選ばれる硝材からなる中空ガラスビーズが挙げられる。これらの硝材は封着材料の主成分である封着ガラスより転移点および軟化点が高いため、レーザ封着時においても中空形状が維持される。なお、中空ビーズは中空ガラスビーズに限らず、上記した中空ガラスビーズと同様な形状および特性を有するものであればよく、例えば中空シリカビーズのような中空セラミックビーズを使用することも可能である。
【0034】
封着材料層6内に存在する中空ビーズは、レーザ封着時に生じる残留応力の緩和材として機能する。すなわち、レーザ光の照射後の局所的な急冷部位に生じる応力が中空ビーズの形状に基づく弾性(中空形状に基づく変形性)により緩和される。さらに、封着層5とガラス基板2、3との接合体の残留応力σは、以下の式から求められる。
σ=α・ΔT・E/(1−ν)
ここで、αは熱膨張係数、Eはヤング率、ΔTは温度差、νはポアソン比である。中空ビーズを含有する封着材料層6を使用した場合、封着層5のヤング率Eが下がるため、残留応力を低減することができる。これらによって、ガラス基板2、3と封着層5との接合界面に生じる残留応力を緩和することが可能となる。
【0035】
中空ビーズの含有量は封着材料に対して0.5〜7質量%の範囲とすることが好ましい。中空ビーズの含有量が0.5質量%未満であると、上述した中空ビーズによる残留応力の緩和効果を十分に得ることができない。中空ビーズの含有量が7質量%を超えると、封着材料の流動性が低下して接着強度等が低下するおそれがある。また、中空ビーズの形状は最大粒径がガラス基板2、3の間隔以下であり、かつ平均粒径が1〜15μmの範囲であることが好ましい。中空ビーズの平均粒径が15μmを超えると封着層5の緻密性等が損なわれるおそれがあり、これにより気密封止性が低下しやすくなる。中空ビーズの平均粒径が1μm未満であると、表面積が増大することで封着材料の流動性が低下しやすくなる。流動性を維持し得る含有量では残留応力の緩和効果が不十分になりやすい。
【0036】
中空ビーズは、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材と中空ビーズとの合計体積(封着材料の合計体積)Aに対する中空ビーズ内の空孔の合計体積Bの割合(B/A×100[%](封着材料の空孔率))が1〜20%の範囲となる空孔を有することが好ましい。封着材料の空孔率が1%未満の場合には、中空ビーズによる残留応力の緩和効果を十分に得ることができないおそれがある。一方、封着材料の空孔率が20%を超える場合には、封着層5による気密封止性が低下したり、また封着層5自体の強度が不十分となって封着性やその信頼性が低下するおそれがある。封着材料の空孔率(B/A×100[%])は1.5〜15%の範囲であることがより好ましい。
【0037】
封着材料層6は以下のようにして第2のガラス基板3の封止領域3B上に形成される。まず、封着材料をビヒクルと混合して封着材料ペーストを調製する。ビヒクルとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等の樹脂を、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤に溶解したもの、またメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリテート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート等のアクリル系樹脂を、メチルエチルケトン、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤に溶解したもの等が用いられる。
【0038】
封着材料ペーストの粘度は、ガラス基板3に塗布する装置に対応した粘度に合わせればよく、樹脂(バインダ成分)と溶剤の割合や封着用材料とビヒクルの割合により調整することができる。封着材料ペーストには、消泡剤や分散剤のようにガラスペーストで公知の添加物を加えてもよい。封着材料ペーストの調製には、撹拌翼を備えた回転式の混合機やロールミル、ボールミル等を用いた公知の方法を適用することができる。
【0039】
第2のガラス基板3の封止領域3Bに封着材料ペーストを塗布し、これを乾燥させて封着材料ペーストの塗布層を形成する。封着材料ペーストは、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法を適用して第2の封止領域3B上に塗布したり、あるいはディスペンサ等を用いて第2の封止領域3Bに沿って塗布する。封着材料ペーストの塗布層は、例えば120℃以上の温度で10分以上乾燥させることが好ましい。乾燥工程は塗布層内の溶剤を除去するために実施するものである。塗布層内に溶剤が残留していると、その後の焼成工程でバインダ成分を十分に除去できないおそれがある。
【0040】
上記した封着材料ペーストの塗布層を焼成して封着材料層6を形成する。焼成工程は、まず塗布層を封着材料の主成分である封着ガラス(ガラスフリット)のガラス転移点以下の温度に加熱し、塗布層内のバインダ成分を除去した後、封着ガラス(ガラスフリット)の軟化点以上の温度に加熱し、封着材料を溶融してガラス基板3に焼き付ける。このようにして、封着材料の焼成層からなる封着材料層6を形成する。
【0041】
この実施形態の太陽電池1は、図3に示すように、封着材料層6を有する第2のガラス基板3(素子構造体4Bを備える)とそれとは別に作製した第1のガラス基板2(素子構造体4Aを備える)とを用いて作製される。まず、図3(a)に示すように、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3とを、それらの表面2a、3a同士が対向するように配置する。次いで、図3(b)に示すように、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3とを、封着材料層6を介して積層する。第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間には、封着材料層6の厚さに基づいて電池素子部4の配置空間となる間隙が形成される。
【0042】
次に、図3(c)に示すように、第2のガラス基板3(または第1のガラス基板2)を通して封着材料層6にレーザ光7を照射する。レーザ光7は枠状の封着材料層6に沿って走査しながら照射される。レーザ光7は特に限定されるものではなく、半導体レーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ、HeNeレーザ等からのレーザ光が使用される。レーザ光7の出力は封着材料層6の厚さ等に応じて適宜に設定されるものであり、封着材料層6の加熱温度(加工温度)が450〜800℃の範囲となるような出力を適用することが好ましい。封着材料層6の加熱温度が450℃未満であると、封着材料層6を十分に溶融させることができないおそれがある。一方、封着材料層6の加熱温度が800℃を超えると、加熱時にガラス基板2、3にクラックや割れ等が生じやすくなる。
【0043】
封着材料層6はそれに沿って走査されるレーザ光7が照射された部分から順に溶融し、レーザ光7の照射終了と共に急冷固化されて第1のガラス基板2に固着される。そして、封着材料層6の全周にわたってレーザ光を照射することによって、図3(d)に示すように第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間を封止する封着層5を形成する。封着材料層6は中空ビーズを含有しているため、レーザ封着時にガラス基板2、3と封着層5との接合界面に生じる残留応力を緩和することができる。
【0044】
このようにして、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3と封着層5とで構成されたガラスパネルで、素子領域2A、3Aに形成された電池素子部4を気密封止した太陽電池1を作製する。太陽電池1の信頼性は、封着初期時のガラスパッケージの気密封止性に加えて、そのような気密封止性を長期間にわたって維持し得るかどうかに依存する。長期信頼性に関しては、特にガラス基板2、3と封着層5との接合界面に生じる残留応力が影響する。接合界面の残留応力が大きいと封着層5やガラス基板2、3にクラックや割れ等が生じやすくなる。この実施形態では接合界面の残留応力を緩和しているため、封着層5の接合強度やそれに基づく気密封止性を長期間にわたって維持することができる。従って、信頼性に優れる太陽電池1を再現性よく提供することが可能となる。
【0045】
なお、この実施形態の封着材料とそれを用いた封着材料層付きガラス部材(封着材料層6を有するガラス基板3)の使用用途は、太陽電池用のガラスパッケージの作製に限られるものではなく、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、液晶表示装置等の平板型ディスプレイ装置、有機EL素子を用いた有機EL照明等に用いられるガラスパッケージ(2枚のガラス基板と封着層とで構成したパッケージ)、また電子部品の封止体や真空ペアガラスのようなガラス部材(建材)等にも適用することが可能である。
【実施例】
【0046】
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。なお、以下の説明は本発明を限定するものではく、本発明の趣旨に沿った形での改変が可能である。
【0047】
(実施例1)
質量%表示で、Bi2382.8%、B235.6%、ZnO10.7%、Al230.5%、CeO20.2%、Fe230.1%、CuO0.1%の組成を有するビスマス系ガラスフリット(平均粒径=1μm、比重=7.2、DTAガラス転移点=356℃、DTAガラス軟化点=410℃)、低膨張充填材としてコージェライト粉末(平均粒径=2μm、比重=2.5)、レーザ吸収材としてFe23−Co23−Cr23系黒色顔料(平均粒径=1μm、比重=5.1)、中空ビーズとして硼珪酸ガラスからなる中空ガラスビーズ・Sphericel 110P8(ポッターズバロティーニ社製、平均粒径=12μm、比重=1.1、殻材質の比重=2.6、空間率=58%)を用意した。
【0048】
上記したビスマス系ガラスフリット84.1質量%とコージェライト粉末10.0質量%と黒色顔料4.7体積%と中空ガラスビーズ1.2質量%とを混合して封着材料(熱膨張係数:75×10-7/℃)を作製した。ガラスフリットとコージェライト粉末と黒色顔料と中空ガラスビーズとの合計体積Aに対する中空ガラスビーズの空孔の合計体積Bの割合(B/A×100[%](封着材料の空孔率))は3.5%である。次いで、封着材料90質量%をビヒクル10質量%と混合して封着材料ペーストを調製した。封着材料ペーストは粘度が130Pa・sとなるように溶剤で希釈した。ビヒクルはバインダ成分としてのエチルセルロース5質量%を2,2,4―トリメチル―1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートからなる溶剤95質量%に溶解して作製したものである。
【0049】
次に、ソーダライムガラス(熱膨張係数:87×10-7/℃)からなる第2のガラス基板(寸法:100×100×0.5mmt)の外周領域に、封着材料ペーストを線幅が1mmとなるようにスクリーン印刷法で塗布した後、120℃×10分の条件で乾燥させた。次いで、焼成炉にて460℃で10分間保持して焼成することによって、膜厚が35μmの封着材料層を形成した。
【0050】
上述した封着材料層を有する第2のガラス基板と第1のガラス基板(第2のガラス基板と同組成、同形状のガラス基板)とを積層した。次いで、第2のガラス基板を通して封着材料層に、波長940nm、出力13Wのレーザ光を10mm/sの走査速度で照射し、封着材料層を溶融並びに急冷固化することによって、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを封着した。封着材料層の加工温度は503℃(放射温度計で測定)であった。
【0051】
このようにして得たガラスパネルの気密封止性を、封着初期段階と熱サイクル試験(TCT)後に評価した。熱サイクル試験(TCT)は−40℃×30分→85℃×30分を1サイクルとし、これを200サイクル繰り返すことにより実施した。気密性封止性はヘリウムリーク試験により評価し、測定値が10-9Pa・m3/s以下である場合に気密性が十分であると判断した。その結果、実施例1によるガラスパネルは封着初期段階のみならず、熱サイクル試験後においても十分な気密性を有していることが確認された。なお、封着層の断面をSEMで観察したところ、中空ガラスビーズはレーザ封着後においても、その形状(中空形状)が維持されていることが確認された。
【0052】
次に、実施例1の封着材料(中空ガラスビーズを含有する封着材料)による残留応力の低減効果を確認するために、以下に示す試験を実施した。まず、上述した封着材料ペーストをソーダライムガラス基板(寸法:50×10×0.55mmt)に塗布した後、上記した焼成工程と同一条件で焼成することによって、形状が30×1mm、膜厚が35μmの封着材料層を形成した。この封着材料層上にソーダライムガラス基板を配置した後、上記したレーザ封着工程と同一条件でレーザ封着を実施することによって、応力測定用の接合体試料を作製した。ただし、レーザ光の出力は12W、13W、14Wとし、それぞれの場合でレーザ封着を実施して接合体試料を作製した。
【0053】
このようにして得た各試料の歪みを断面方向から測定し、この歪みの値から残留応力値を算出した。その結果を表1および図8に示す。また、中空ガラスビーズを含まない封着材料(後に記載する表2に組成を示す)を用いて形成した封着材料層(比較例1)について、実施例1と同一条件でレーザ封着を実施することによって、応力測定用の接合体試料を作製した。表1および図8には比較例1による接合体試料の測定結果を併せて示す。
【0054】
【表1】

【0055】
表1および図8から明らかなように、実施例1の中空ガラスビーズを含む封着材料を用いた接合体試料は、中空ガラスビーズを含まない封着材料を用いた比較例1の接合体試料と比べて、各封着温度において残留応力が低減されていることが分かる。従って、実施例1のガラスパッケージを適用して太陽電池を作製することによって、その信頼性を長期間にわたって維持することが可能となる。
【0056】
(実施例2)
実施例1と同一のガラスフリット、低膨張充填材、レーザ吸収材、および中空ガラスビーズを使用し、これらを表2に示す配合比で混合して封着材料を作製する以外は、実施例1と同様にしてガラスパッケージを作製(レーザ光の出力は13Wを使用)した。このガラスパッケージの気密封止性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。表2から明らかなように、実施例2のガラスパッケージは、実施例1と同様に封着初期段階のみならず、熱サイクル試験後においても十分な気密性を有していることが確認された。また、接合界面の残留応力も実施例1と同様に低減されていることが確認された。
【0057】
(実施例3〜4)
実施例1と同一のガラスフリット、低膨張充填材、レーザ吸収材、および中空ガラスビーズを使用し、これらを表2に示す配合比で混合して封着材料を作製する以外は、実施例1と同様にしてガラスパッケージを作製(レーザ光の出力は13Wを使用)した。実施例3は封着材料の空孔率を7%としたものであり、実施例4は封着材料の空孔率を10%としたものである。これらのガラスパッケージの気密封止性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
【0058】
次に、実施例3および実施例4の封着材料を用いる以外は、実施例1と同様にして応力測定用の接合体試料を作製した。なお、実施例3の封着材料については、レーザ光の出力を13Wとして接合体試料を作製した。実施例4の封着材料については、レーザ光の出力を12.5W、13W、13.5Wとして接合体試料をそれぞれ作製した。これらの接合体試料の歪みを実施例1と同様にして測定し、それらの値から残留応力値を算出した。それらの結果を表3に示す。
【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
表2および表3から明らかなように、封着材料の空孔率を7%および10%とした封着材料を用いた場合、残留応力の低減効果を得た上で、ガラスパッケージの気密封止性も維持されている。従って、封着材料に中空ガラスビーズを配合した場合においても、気密封止性を十分に確保し得ることが分かる。
【符号の説明】
【0062】
1…太陽電池、2…第1のガラス基板、2A…第1の素子領域、2B…第1の封止領域、3…第2のガラス基板、3A…第2の素子領域、3B…第2の封止領域、4…電池素子部、4A,4B…素子構造体、5…封着層、6…封着材料層、7…レーザ光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低融点ガラスからなる封着ガラスと、質量割合で5〜25%の範囲の低膨張充填材と、1〜10%の範囲のレーザ吸収材と、0.5〜7%の範囲の中空ビーズとを含有することを特徴とするレーザ封着用封着材料。
【請求項2】
前記中空ビーズは、硼珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、およびソーダライムガラスから選ばれる硝材からなる中空ガラスビーズであることを特徴とする請求項1記載のレーザ封着用封着材料。
【請求項3】
前記中空ビーズは1〜15μmの範囲の平均粒径を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のレーザ封着用封着材料。
【請求項4】
前記中空ビーズは、前記封着ガラスと前記低膨張充填材と前記レーザ吸収材と前記中空ビーズとの合計体積Aに対する前記中空ビーズ内の空孔の合計体積Bの割合(B/A×100[%])が1〜20%の範囲となる空孔を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のレーザ封着用封着材料。
【請求項5】
前記低融点ガラスは、質量割合で70〜90%の範囲のBi23、1〜20%の範囲のZnO、および2〜18%の範囲のB23を含むビスマス系ガラスからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載のレーザ封着用封着材料。
【請求項6】
前記低膨張充填材は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、チタン酸アルミニウム、ムライト、コージェライト、ユークリプタイト、スポジュメン、リン酸ジルコニウム系化合物、酸化錫系化合物、および石英固溶体から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載のレーザ封着用封着材料。
【請求項7】
封止領域を備えるガラス基板と、
前記ガラス基板の前記封止領域上に設けられ、請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載のレーザ封着用封着材料の焼成層からなる封着材料層と
を具備することを特徴とする封着材料層付きガラス部材。
【請求項8】
前記封着材料層は20〜100μmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項7記載の封着材料層付きガラス部材。
【請求項9】
第1の封止領域を備える第1の表面を有する第1のガラス基板と、
前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域を備える第2の表面を有し、前記第2の表面が前記第1のガラス基板の前記第1の表面と対向するように配置された第2のガラス基板と、
前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に設けられた太陽電池素子部と、
前記太陽電池素子部を封止するように、前記第1のガラス基板の前記第1の封止領域と前記第2のガラス基板の前記第2の封止領域との間に形成され、請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載のレーザ封着用封着材料の溶融固着層からなる封着層と
を具備することを特徴とする太陽電池。
【請求項10】
第1の封止領域を備える第1の表面を有する第1のガラス基板を用意する工程と、
前記第1のガラス基板の前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域と、前記第2の封止領域上に形成され、請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載のレーザ封着用封着材料の焼成層からなる封着材料層とを備える第2の表面を有する第2のガラス基板を用意する工程と、
前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを、前記第1の表面と前記第2の表面とが対向するように前記封着材料層を介して積層する工程と、
前記第1のガラス基板または前記第2のガラス基板を通して前記封着材料層にレーザ光を照射し、前記封着材料層を溶融させて前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に設けられる太陽電池素子部を封止する封着層を形成する工程と
を具備することを特徴とする太陽電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−126722(P2011−126722A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283943(P2009−283943)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】