説明

レーザ溶着用樹脂組成物及び成形品

ポリブチレンテレフタレート(PBT)をベースとしながらも、均一に溶着可能であり、高い溶着強度を有するレーザ溶着用PBT系樹脂組成物、及び成形品を提供する。
レーザ溶着性樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(ホモポリエステル又はコポリエステル)(A)100重量部に対して、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーやポリエステル系熱可塑性エラストマーなどのエラストマー(B)1〜50重量部と、ポリカーボネート系樹脂(C)5〜100重量部と、可塑剤(芳香族多価カルボン酸エステル、アクリル系可塑剤など)(D)1〜10重量部と、ガラス繊維などの充填剤又は補強剤(E)0〜100重量部を含む。この樹脂組成物で成形品を調製すると、前記成形品の部位による光線透過率の変動幅が小さい。そのため、相手材と均一にレーザ溶着できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ溶着性が高く、成形加工性に優れるポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物、及びそれを用いた成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、電気特性、機械的特性、及び成形加工性などの種々の特性に優れるため、多くの用途に利用されている。具体的な用途としては、各種自動車用電装部品(各種コントロールユニット、各種センサー、イグニッションコイルなど)、コネクター類、スイッチ部品、リレー部品、コイル部品などが挙げられる。これらの部品には気密性が必要とされる場合があり、このような部品を簡便に作製するためには、接着剤、熱板溶着、超音波溶着などの接合方法が利用されている。しかし、これらの接合方法について、幾つかの問題点が指摘されている。例えば、接着剤を用いると、接着剤が硬化するまでの工程的な時間のロスや環境への負荷が問題となる。また、熱板溶着や超音波溶着では、熱や振動などによる製品の損傷が懸念される。
【0003】
一方、レーザ溶着による接合方法は、溶着に伴う熱や振動による製品のダメージが無く、溶着工程も非常に簡易である。しかし、PBT系樹脂をレーザ溶着で接合する場合、レーザ光の透過が低いため、炭化などを生じ、実質的に溶着できないことが指摘されている。特開2001−26656号公報(特許文献1)には、特定範囲の融点を有するポリエステル系共重合体で形成された成形品と他の成形品とを溶着加工により一体化させて成形体を製造する方法が開示されている。この文献には、ホモポリアルキレンアリレート樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)はレーザ溶着強度が小さいことが記載されている。
【0004】
特開平10−245481号公報(特許文献2)には、熱可塑性ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹脂とで構成された組成物に、架橋アクリル酸エステル系弾性体の存在下にメタクリル酸エステルを主成分とする単量体をグラフト重合して得られるメタクリル酸エステル系樹脂(グラフト樹脂)を1〜10重量%の割合で配合した熱可塑性樹脂組成物が開示されている。この文献には、前記樹脂組成物において、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂とを1.5/1〜4/1(重量比)の割合で用いた例が記載されている。さらに、前記組成物の熱溶着法として、熱板溶着法、振動溶着法又は超音波溶着法も記載されている。しかし、この組成物では、溶着強度を高めるためには前記グラフト樹脂を必要とすると共に、このグラフト樹脂を用いると、機械的強度や耐熱性などが低下しやすい。
【0005】
さらに、PBT系樹脂をベースとする成形品によっては、部位によってレーザ光に対する透過率が変動する場合がある。そのため、このような成形品を相手材(樹脂成形品)とレーザ溶着すると、成形品と相手材としての成形品とを接触界面で均一かつ強固に溶着できない場合がある。
【特許文献1】特開2001−26656号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平10−245481号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、PBT系樹脂をベースとしながらも、均一溶着性が高く、均一に溶着可能なレーザ溶着用PBT系樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、レーザ溶着性に優れ、高い溶着強度が得られるレーザ溶着用PBT系樹脂組成物、及びその成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、PBT系樹脂とポリカーボネート系樹脂とエラストマーと可塑剤とを組み合わせて射出成形すると、成形品の部位に依存することなくレーザ光に対する透過率が高く、しかも均一であり、PBT系樹脂組成物の成形品と相手材(樹脂成形品)とを界面で均一かつ強固にレーザ溶着できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明のレーザ溶着用樹脂組成物(又はレーザ溶着性樹脂組成物)は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)と、エラストマー(B)と、ポリカーボネート系樹脂(C)と、可塑剤(D)とを含んでいる。ベース樹脂としてのポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)は、ポリブチレンテレフタレート、又は30モル%以下の共重合性モノマーで変性されたポリブチレンテレフタレート系共重合体であってもよい。エラストマーの屈折率は、温度25℃において1.52〜1.59程度であってもよく、可塑剤の屈折率は、温度25℃で1.45〜1.60程度であってもよい。レーザ溶着性樹脂組成物は、さらに、充填剤又は補強剤(E)を含んでいてもよい。充填剤又は補強剤(E)は特に制限されず、例えば、ガラス質充填剤又は補強剤(ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズなど)などであってもよい。樹脂組成物の各成分の割合は、例えば、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)100重量部に対して、エラストマー(B)1〜50重量部、ポリカーボネート系樹脂(C)5〜100重量部、可塑剤(D)1〜10重量部、充填剤又は補強剤(E)0〜100重量部程度であってもよい。さらに、光透過性を安定させるため、樹脂組成物には核剤(F)を添加してもよい。
【0010】
本発明の樹脂組成物で形成した成形品は、光線透過性(レーザ光に対する光線透過性)が高く、しかも成形品の部位による透過率の差が小さいため、広範囲のレーザ溶着に適している。例えば、射出成形により形成された縦80mm×横80mm×厚み2mmの成形品において、800〜1200nmの波長の光線を照射したとき、前記成形品の部位による光線透過率の変動幅(光線透過率の最大値と最小値との差)は10%以下である。
【0011】
本発明の樹脂組成物で形成された成形品は、相手材とのレーザ溶着性に優れている。そのため、本発明は、前記樹脂組成物で形成された成形品も包含するのみならず、この成形品と、相手材の樹脂成形品とがレーザ溶着により接合されている複合成形品も包含する。この複合成形品は、前記樹脂組成物で形成され、かつレーザ光の透過側に位置する成形品と、レーザ光の受光側に位置する相手材の樹脂成形品とを接触させ、レーザ光を照射して前記成形品と前記樹脂成形品とを接合させることにより製造できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、PBT系樹脂とエラストマーとポリカーボネート系樹脂と可塑剤とを組み合わせて用いるので、PBT系樹脂をベースとしながらも、透過率が成形品全体に亘って均一であり、均一溶着性が高く、レーザ溶着により相手材と均一に溶着できる。さらに、レーザ溶着性に優れ、高い溶着強度を得ることができる。そのため、PBT系樹脂をベースとし、レーザ溶着性に優れる組成物および成形品や、高い溶着強度で接合した複合成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は実施例でのレーザ溶着を説明するための概略図である。
【発明の詳細な説明】
【0014】
[樹脂組成物]
(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂
ベース樹脂であるポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂としては、ブチレンテレフタレートを主成分(例えば、50〜100重量%、好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは75〜100重量%程度)とするホモポリエステル又はコポリエステル(ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートコポリエステル)などが挙げられる。
【0015】
コポリエステル(ブチレンテレフタレート系共重合体又は変性PBT樹脂)における共重合可能なモノマー(以下、単に共重合性モノマーと称する場合がある)としては、テレフタル酸を除くジカルボン酸、1,4−ブタンジオールを除くジオール、オキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられる。共重合性モノマーは一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0016】
ジカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などのC4-40ジカルボン酸、好ましくはC4-14ジカルボン酸)、脂環式ジカルボン酸(例えば、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などのC8-12ジカルボン酸)、テレフタル酸を除く芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸;2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸;4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェノキシエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸などのC8-16ジカルボン酸)、又はこれらの反応性誘導体(例えば、低級アルキルエステル(ジメチルフタル酸、ジメチルイソフタル酸(DMI)などのフタル酸又はイソフタル酸のC1-4アルキルエステルなど)、酸クロライド、酸無水物などのエステル形成可能な誘導体)などが挙げられる。さらに、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸などを併用してもよい。
【0017】
ジオールには、例えば、1,4−ブタンジオールを除く脂肪族アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオールなどのC2-12アルカンジオール、好ましくはC2-10アルカンジオール)、ポリオキシアルキレングリコール[複数のオキシC2-4アルキレン単位を有するグリコール、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジテトラメチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど]、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなど)、芳香族ジオール[例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、ナフタレンジオールなどのC6-14芳香族ジオール;ビフェノール;ビスフェノール類;キシリレングリコールなど]などが挙げられる。さらに、必要に応じて、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのポリオールを併用してもよい。
【0018】
前記ビスフェノール類としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールAD)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタンなどのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)C4-10シクロアルカン;4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド;4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトン、及びこれらのアルキレンオキサイド付加体が例示できる。アルキレンオキサイド付加体としては、ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールFなど)のC2-3アルキレンオキサイド付加体、例えば、2,2−ビス−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジエトキシ化ビスフェノールA(EBPA)、2,2−ビス−[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、ジプロポキシ化ビスフェノールAなどが挙げられる。アルキレンオキサイド付加体において、アルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのC2-3アルキレンオキサイド)の付加モル数は、各ヒドロキシル基に対して1〜10モル、好ましくは1〜5モル程度である。
【0019】
オキシカルボン酸には、例えば、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ヒドロキシフェニル酢酸、グリコール酸、オキシカプロン酸などのオキシカルボン酸又はこれらの誘導体などが含まれる。ラクトンには、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン(例えば、ε−カプロラクトンなど)などのC3-12ラクトンなどが含まれる。
【0020】
好ましい共重合性モノマーとしては、ジオール類[C2−6アルキレングリコール(エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオールなどの直鎖状又は分岐鎖状アルキレングリコールなど)、繰返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシC2−4アルキレングリコール(ジエチレングリコールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノール類又はそのアルキレンオキサイド付加体など)など]、ジカルボン酸類[C6−12脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)、カルボキシル基がアレーン環の非対称位置に置換した非対称芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジメタノールなど]などが挙げられる。これらの化合物のうち、芳香族化合物、例えば、ビスフェノール類(特にビスフェノールA)のアルキレンオキサイド付加体、及び非対称芳香族ジカルボン酸[フタル酸、イソフタル酸、及びその反応性誘導体(ジメチルイソフタル酸(DMI)などの低級アルキルエステル)など]などが好ましい。
【0021】
PBT系樹脂としては、ホモポリエステル(ポリブチレンテレフタレート)及び/又はコポリエステル(共重合体)が好ましく、共重合性モノマーの割合(変性量)は、30モル%以下(0〜30モル%)である。共重合体において、共重合性モノマーの割合は、例えば、0.01〜30モル%程度の範囲から選択でき、通常、1〜30モル%、好ましくは3〜25モル%、さらに好ましくは5〜20モル%(例えば、5〜15モル%)程度である。
【0022】
PBT系樹脂は、テレフタル酸又はその反応性誘導体と1,4−ブタンジオールと必要により共重合可能なモノマーとを、慣用の方法、例えば、エステル交換、直接エステル化法などにより共重合することにより製造できる。
【0023】
(B)エラストマー
エラストマーとしては、種々の熱可塑性エラストマーが使用できる。エラストマーの屈折率は、例えば、温度25℃において1.52〜1.59、好ましくは1.53〜1.58程度であってもよい。エラストマーの屈折率が小さすぎたり大きすぎると、透過光の散乱が著しくなり、溶着エネルギーの低下をもたらす。
【0024】
エラストマーは、通常、ハードセグメント(又は硬質性分)とソフトセグメント(又は軟質性分)とで構成されている。エラストマー(熱可塑性エラストマー)は、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどであってもよい。これらのエラストマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0025】
ポリスチレン系エラストマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル単量体の単独又は共重合体で構成されたハードセグメントと、α−C2−12オレフィン(エチレン、プロピレン、ブテンなど)、ジエン(ブタジエン、イソプレンなど)などから選択された単量体の単独又は共重合体で構成されたソフトセグメントとのブロック共重合体又はその水素添加ブロック共重合体が例示できる。
【0026】
ポリエステル系エラストマーとしては、ポリアルキレンアリレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2−4アルキレンアリレート、共重合成分(イソフタル酸などの前記例示の共重合性モノマー)1〜30モル%(例えば、3〜25モル%程度)で変性又は共重合された変性ポリC2−4アルキレンアリレート)で構成されたハードセグメントと、ポリカプロラクトン、オキシC2−6アルキレン単位を有する脂肪族ポリエーテル(ポリC2−6アルキレングリコールなど)や脂肪族ポリエステルで構成されたソフトセグメントとのブロック共重合体が例示できる。
【0027】
ポリアミド系エラストマーは、通常、ポリアミドで構成されたハードセグメントと、ポリC2−6アルキレングリコールなどの脂肪族ポリエーテルで構成されたソフトセグメントとのブロック共重合体である。ポリウレタン系エラストマーとしては、短鎖グリコールのポリウレタンで構成されたハードセグメントと、脂肪族ポリエーテルや脂肪族ポリエステルで構成されたソフトセグメントとのブロック共重合体、例えば、ポリエステルウレタンエラストマー、ポリエーテルウレタンエラストマーなどが例示できる。
【0028】
ポリオレフィン系エラストマーとしては、ポリスチレン又はポリプロピレンで構成されたハードセグメントと、エチレン−プロピレンゴムやエチレン−プロピレン−ジエンゴムで構成されたソフトセグメントとの共重合体、結晶性ハードセグメントと非結晶性ソフトセグメントとの共重合体[例えば、結晶性シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンで構成されたハードセグメントと、無定形1,2−ポリブタジエンで構成されたソフトセグメントとの共重合体(シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン系エラストマー)、結晶性トランス1,4−ポリイソプレンで構成されたハードセグメントと、非結晶性1,4−ポリイソプレンで構成されたソフトセグメントとの共重合体(トランス1,4−ポリイソプレン系エラストマー)]などが例示できる。
【0029】
ポリオレフィン系エラストマーには、エラストマーとして機能するエチレン系共重合体、例えば、エチレンと、脂肪酸ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、アクリル酸エステル類(アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸C1−10アルキルエステルなど)、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)から選択された少なくとも一種の共重合性単量体と、必要により(メタ)アクリル酸などとの共重合体も含まれる。このようなオレフィン系エラストマーには、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸C1−8アルキルエステル共重合体(エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体など)、エチレン−アクリル酸C1−8アルキルエステル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−スチレン共重合体などが例示できる。
【0030】
熱可塑性エラストマーのブロック構造は特に制限されず、トリブロック構造、マルチブロック構造、星形ブロック構造などであってもよい。
【0031】
好ましい熱可塑性エラストマーには、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーが含まれる。代表的なポリスチレン系エラストマーとしては、スチレン−ジエン−スチレンブロック共重合体[スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)など]、水素添加ブロック共重合体[スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、ランダムスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加重合体]、官能基(エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基など)が導入された変性共重合体[ジエンの不飽和結合がエポキシ化されたエポキシ化スチレン−ジエン共重合体(エポキシ化スチレン−ジエン−スチレンブロック共重合体又はその水素添加重合体など)など]が例示できる。
【0032】
代表的なポリエステル系エラストマーには、ポリエステル−ポリエステル型熱可塑性エラストマー[例えば、ポリC2−4アルキレンアリレート(特にポリブチレンテレフタレート単位を有する単独重合体、又は共重合成分(エチレングリコール、イソフタル酸など)を5〜20モル%程度の割合で共重合した共重合体)などの芳香族系結晶性ポリエステルで構成されたハードセグメントと、脂肪族ポリエステル(ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペートなどのC2−6アルキレングリコールとC6−12アルカンジカルボン酸とのポリエステルなど)で構成されたソフトセグメントとのブロック共重合体]、ポリエステル−ポリエーテル型熱可塑性エラストマー[例えば、前記芳香族系結晶性ポリエステルで構成されたハードセグメントと、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリオキシC2−4アルキレングリコールなどのポリエーテルで構成されたソフトセグメントとのブロック共重合体]、液晶性熱可塑性エラストマー[例えば、液晶分子で構成されたハードセグメントと、前記脂肪族ポリエステルで構成されたソフトセグメントとのブロック共重合体]などが含まれる。
【0033】
熱可塑性エラストマーにおいて、ハードセグメント(又は硬質成分)とソフトセグメント(又は軟質成分)との重量割合は、通常、前者/後者=10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは30/70〜70/30(例えば、40/60〜60/40)程度である。
【0034】
エラストマーの使用量は、PBT系樹脂(A)100重量部に対して1〜50重量部(例えば、1〜40重量部)、好ましくは2〜40重量部(例えば、2〜30重量部)、さらに好ましくは5〜35重量部(例えば、5〜30重量部)程度である。
【0035】
(C)ポリカーボネート(PC)系樹脂
ポリカーボネート系樹脂は、ジヒドロキシ化合物と、ホスゲン又はジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとの反応により得ることができる。ジヒドロキシ化合物は、脂環族化合物などであってもよいが、好ましくは芳香族化合物(特にビスフェノール化合物)である。
【0036】
ビスフェノール化合物としては、前記PBT系樹脂の項で例示のビスフェノール類(例えば、ビス(ヒドロキシアリール)C1−6アルカン;ビス(ヒドロキシアリール)C4−10シクロアルカン;4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド;4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトンなど)が挙げられる。好ましいポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールA、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)C5−6シクロアルカンをベースとしたポリカーボネート、特にビスフェノールA型ポリカーボネートが含まれる。
【0037】
ポリカーボネート系樹脂(C)の使用量は、PBT系樹脂(A)100重量部に対して、5〜100重量部(例えば、10〜100重量部)程度の範囲から選択でき、通常、10〜80重量部(例えば、10〜60重量部)、好ましくは10〜60重量部(例えば20〜40重量部)程度である。
【0038】
可塑剤(D)
可塑剤としては、例えば、種々の可塑剤、例えば、エステル系可塑剤(芳香族多価カルボン酸エステル、脂環族多価カルボン酸エステル、ポリエステル、ショ糖脂肪酸エステルなど)、リン酸エステル系可塑剤(リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジルなど)、アクリル系重合体などが例示できる。これらの可塑剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの可塑剤のうち、沸点の高い可塑剤(例えば、沸点250〜400℃、好ましくは270〜400℃、さらに好ましくは300〜400℃程度の可塑剤)が好ましい。
【0039】
芳香族多価カルボン酸エステルは、複数のエステル基(アルコキシカルボキシル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)を有する芳香族化合物であればよく、例えば、式φ−(COOR)n(式中、φはベンゼン、ナフタレン環などのC6−12アレーン環を示し、Rはアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基を示し、nは2以上の整数を示し、各基COORのRは同一であってもよく異なっていてもよい)で表すことができる。これらの芳香族多価カルボン酸エステルは一種または二種以上を併用することができる。
【0040】
芳香族多価カルボン酸エステル成分の多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、これらの酸無水物など)、芳香族トリカルボン酸(トリメリット酸又はその酸無水物など)、芳香族テトラカルボン酸(ピロメリット酸又はその酸無水物)などが例示できる。
【0041】
芳香族多価カルボン酸エステル系可塑剤において、係数nは、通常、2〜6,好ましくは2〜4(特に3〜4)程度である。nが3以上の多価カルボン酸エステルは、耐熱性が高いので有用である。
【0042】
アルキルエステルを構成するアルキル基としては、例えば、ブチル,t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、トリイソデシルル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−20アルキル基などが例示できる。好ましいアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状C3−16アルキル基,特に直鎖状又は分岐鎖状C4−14アルキル基である。シクロアルキルエステル基を構成するシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基が例示でき、アラルキルエステル基を構成するアラルキル基としては、ベンジル基などのC6−12アリール−C1−4アルキル基が例示できる。
【0043】
代表的な芳香族多価カルボン酸エステルとしては、トリメリット酸トリC4−20アルキルエステル(トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリイソデシルなど)、トリメリット酸トリC5−10シクロアルキルエステル(トリメリット酸トリシクロヘキシルなど)、トリメリット酸トリアラルキル(トリメリット酸トリベンジルなどなど)、トリメリット酸ジアルキル モノアラルキル(トリメリット酸ジ(2−エチルヘキシル)モノベンジル)、ピロメリット酸テトラC4−20アルキルエステル(ピロメリット酸テトラブチル、ピロメリット酸テトラオクチル、ピロメリット酸テトラ2−エチルヘキシル、ピロメリット酸テトライソデシルなど)、ピロメリット酸テトラアラルキル(ピロメリット酸テトラベンジルなど)、ピロメリット酸ジアルキル ジアラルキル(ピロメリット酸ジ(2−エチルヘキシル)ジベンジルなど)などが例示できる。なお、カルボン酸エステルは異なるエステル基(アルコキシカルボキシル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)を有する混合エステルであってもよい。
【0044】
脂環族多価カルボン酸エステル系可塑剤としては、前記芳香族多価カルボン酸エステルに対応する脂環族多価カルボン酸エステル、例えば、脂環族トリカルボン酸(メチルシクロヘキセントリカルボン酸又はその酸無水物など)のエステル(直鎖状又は分岐鎖状C1−20アルキルエステル(特に直鎖状又は分岐鎖状C4−14アルキルエステル)、C5−10シクロアルキルエステル、アラルキルエステル(特にベンジルエステル))などが例示できる。
【0045】
ポリエステル系可塑剤は、ジカルボン酸成分[脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、セバシン酸などのC6−12アルカンジカルボン酸)、芳香族ジカルボン酸(フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの非対称性芳香族ジカルボン酸)]とグリコール成分(ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコールなどのC2−10アルカンジオールなど)との反応により生成するポリエステル(オリゴポリエステルを含む)を含む。これらのポリエステル系可塑剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量は、通常、500〜10000(特に800〜8000)程度であってもよい。
【0046】
リン酸エステル系可塑剤としては、リン酸トリアルキル(リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシルなどのリン酸C4−14アルキルエステル)、リン酸トリアリールエステル(リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジルなどのリン酸トリC6−12アリールエステルなど)などが例示できる。
【0047】
アクリル系重合体の可塑剤(以下、単にアクリル系可塑剤という場合がある)は、少なくとも(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体であり、例えば、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体((メタ)アクリル系単量体とスチレン系単量体との共重合体)であってもよい。この可塑剤は、オリゴマー(例えば、重量平均分子量500〜8000(好ましくは800〜5000)程度のオリゴマー)であってもよい。なお、アクリル系可塑剤は、流動性改善剤と称される場合がある。
【0048】
前記(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジルなど]、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル系単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0049】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルナフタリンなどが例示できる。これらのスチレン系単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのスチレン系単量体のうち、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
【0050】
(メタ)アクリル系単量体とスチレン系単量体との重量割合は、例えば、前者/後者=10/90〜90/10程度の範囲から選択でき、20/80〜80/20、好ましくは30/70〜70/30程度であってもよい。
【0051】
なお、必要により、共重合性単量体を共重合させてもよい。共重合性単量体としては、例えば、重合性多価カルボン酸(フマル酸、マレイン酸など)、ビニルエステル系単量体(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)などが挙げられる。これらの共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0052】
可塑剤の屈折率は、レーザ光の透過性を損なわない限り特に制限されず、例えば、1.45〜1.6、好ましくは1.48〜1.58程度である。
【0053】
可塑剤としては、非揮発性可塑剤、例えば、芳香族多価カルボン酸エステル系可塑剤やアクリル系可塑剤を用いる場合が多い。
【0054】
可塑剤(D)の使用量は、PBT系樹脂(A)100重量部に対して、例えば、1〜20重量部(例えば、1〜15重量部)程度の範囲から選択でき、通常、1〜10重量部、好ましくは1〜8重量部(例えば、1〜6重量部)程度である。
【0055】
充填剤又は補強剤(E)
樹脂組成物は充填剤又は補強剤(E)を含んでいてもよい。このような充填剤又は補強剤(E)には、繊維状補強材[例えば、無機質繊維(例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミニウムシリケート繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、ウィスカー(炭化ケイ素、アルミナ、窒化ホウ素などのウィスカー)など)、有機質繊維(例えば、脂肪族又は芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリルなどのアクリル樹脂、レーヨンなどで形成された繊維)など]、板状補強材[例えば、タルク、マイカ、ガラスフレークなど]、粉粒状補強材[例えば、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルドファイバー(例えば、ミルドガラスファイバーなど)など]、ウォラストナイト(珪灰石)などが含まれる。ウォラストナイトは、板状、柱状、繊維状などの形態であってもよい。繊維状補強材の平均径は、例えば、1〜50μm(好ましくは3〜30μm)程度、平均長は、例えば、100μm〜3mm(好ましくは500μm〜1mm)程度であってもよい。また、板状又は粉粒状補強材の平均粒径は、例えば、0.1〜100μm、好ましくは0.1〜50μm程度であってもよい。これらの補強材は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0056】
これらの充填剤又は補強剤(E)のうち、レーザ光が透過可能な補強材が好ましい。このような補強材はレーザ光の波長に応じて選択できる。このような補強材としては、例えば、ガラス系又はガラス質充填剤又は補強材(ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズなど)などが例示でき、特に、ガラス繊維、例えば、高い強度・剛性を有するガラス繊維(チョップドストランドなど)などが好ましい。
【0057】
充填剤又は補強剤(E)の割合は、PBT系樹脂100重量部に対して、0〜100重量部(例えば、0〜80重量部)程度の範囲から選択でき、通常、10〜100重量部(例えば、10〜80重量部)、好ましくは20〜80重量部、さらに好ましくは30〜80重量部(例えば、50〜70重量部)程度である。
【0058】
核剤(F)
核剤(F)としては、無機核剤(例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタンなどの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの金属炭酸塩;タルクなどの板状無機物又は珪酸塩;炭化ケイ素などの金属炭化物;窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化タンタルなどの金属窒化物など)が一般的に使用されるが、有機核剤を使用してもよい。核剤(例えば、無機核剤)の平均粒子径は、例えば、0.01〜10μm、好ましくは0.01〜5μm(例えば、0.01〜2μm)、さらに好ましくは0.01〜1μm程度であってもよい。
【0059】
ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)100重量部に対する核剤(F)の割合は、0.001〜5重量部(例えば、0.01〜5重量部)、好ましくは0.01〜3重量部(例えば、0.01〜2重量部)、さらに好ましくは0.01〜1重量部(例えば、0.01〜0.5重量部)程度であってもよい。
【0060】
樹脂組成物には、種々の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、難燃剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、無機充填剤、染顔料などの着色剤、分散剤、帯電防止剤、充填剤などを添加してもよい。なお、PBT系樹脂とポリカーボネート系樹脂との間でエステル交換反応が生じることが知られているが、このような反応を防止するための一般的な安定剤(例えば、ホスファイト系酸化防止剤などの燐系安定剤)を用いるのが有利である。また、耐加水分解性、耐ヒートショック性などを改善するため、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物などのエポキシ化合物を添加してもよい。また、レーザ光に対する反射成分(例えば、波長800〜1200nm領域の入射光を殆ど反射する成分(例えば、酸化チタンなど))は、レーザ溶着性を損なわない範囲であれば使用してもよいが、通常、このような反射成分は添加しない場合が多い。また、必要であれば、他の樹脂[スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体など)、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(エチレンテレフタレート単位を有する共重合体など)、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂など]と組合せて用いてもよい。
【0061】
本発明のPBT系樹脂組成物は、粉粒体混合物や溶融混合物(ペレットなど)であってもよい。本発明の樹脂組成物は、成形性が高く、機械的強度や耐熱性の高い成形体又は成形品を製造できる。特に、本発明の樹脂組成物で形成した成形品は、PBT系樹脂組成物で形成されているにも拘わらず、光線透過性(特に、レーザ光に対する光線透過性)が高く、レーザ溶着に適している。例えば、サイドゲート方式で幅2mmのゲートからの射出成形(例えば、実施例に記載の条件での射出成形)により形成された成形品[長さ80mm×幅80mm×厚み2mm]において、800〜1200nmの波長の光線透過率は厚み方向において20%以上(例えば、20〜70%程度)、好ましくは25%以上(例えば、25〜60%)、さらに好ましくは30%以上(例えば、30〜50%)程度である。しかも、本発明の樹脂組成物で形成した成形品は、成形品の部位(場所)による光透過性の変動が少なく、レーザ光が一様に透過する。例えば、本発明の樹脂組成物を射出成形して形成した前記成形品[長さ80mm×幅80mm×厚み2mm]において、800〜1200nmの波長の光線(レーザ光)を厚み方向に照射したとき、成形品の部位による光線透過率の変動幅は10%以下(0〜10%)、好ましくは7%以下(0〜7%)、さらに好ましくは5%以下(0〜5%)、特に3%以下(0〜3%)であり、2〜6%程度であってもよい。そのため、広範囲に均一かつ強固にレーザ溶着でき、溶着界面部の気密性を高めることができる。さらに、レーザ光による溶着性が高いので、レーザ光を利用して溶着するための成形体を製造するのに有用である。
【0062】
[成形体]
成形体は、PBT系樹脂(A)と、エラストマー(B)と、ポリカーボネート系樹脂(C)と、可塑剤(D)と、必要により充填剤又は補強材(E)及び/又は核剤(F)などで構成された樹脂組成物を慣用の方法、例えば、(1)各成分を混合して、一軸又は二軸の押出機により混練し押出してペレットを調製した後、成形する方法、(2)一旦、組成の異なるペレット(マスターバッチ)を調製し、そのペレットを所定量混合(希釈)して成形に供し、所定の組成の成形品を得る方法、(3)成形機に各成分の1又は2以上を直接仕込む方法などで製造できる。なお、ペレットは、例えば、脆性成分(ガラス系補強材など)を除く成分を溶融混合した後に、脆性成分(ガラス系補強材)を混合することにより調製してもよい。
【0063】
成形体は、前記PBT系樹脂組成物を溶融混練し、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、回転成形、ガスインジェクションモールディングなどの慣用の方法で成形してもよいが、通常、射出成形により成形される。射出成形の条件は適当に選択でき、例えば、250〜280℃程度でPBT系樹脂組成物を溶融混錬し、必要によりペレットを調製し、射出成形機により、シリンダー温度250〜280℃程度の条件で射出成形してもよい。なお、金型温度は60℃以下(例えば、40〜60℃程度)であってもよいが、均一なレーザ光線透過率の成形体を得るためには、金型温度65〜90℃(例えば、70〜90℃)程度であるのが好ましい。
【0064】
成形品の形状は特に制限されないが、成形品をレーザ溶着により相手材(他の樹脂成形品)と接合して用いるため、通常、少なくとも接触面(平面など)を有する形状(例えば、板状)である。また、本発明の成形体はレーザ光に対する透過性が高いので、レーザ光が透過する部位の成形品の厚み(レーザ光が透過する方向の厚み)は、広い範囲から選択でき、例えば、0.1〜5mm、好ましくは0.1〜4mm、さらに好ましくは0.1〜3mm(例えば、0.5〜3mm)程度であってもよい。
【0065】
レーザ光源としては、特に制限されず、例えば、色素レーザ、気体レーザ(エキシマレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウム−ネオンレーザなど)、固体レーザ(YAGレーザなど)、半導体レーザなどが利用できる。レーザ光としては、通常、パルスレーザが利用される。
【0066】
前記成形品は、レーザ溶着性に優れているため、通常、レーザ溶着により相手材の樹脂成形品と溶着させるのが好ましいが、必要であれば、他の熱溶着法、例えば、振動溶着法、超音波溶着法、熱板溶着法などにより他の樹脂成形品と溶着させることもできる。
【0067】
本発明はレーザ溶着した複合成形品も開示する。この複合成形品は、前記PBT系樹脂組成物で形成された成形品(第1の成形品)と、相手材の樹脂成形品(第2の成形品、被着体)とがレーザ溶着により接合され、一体化されている。例えば、第1の成形品と第2の成形品とを接触(特に少なくとも接合部を面接触)させ、レーザ光を照射することにより、第1の成形品と第2の成形品との界面を少なくとも部分的に溶融させて接合面を密着させ、冷却することにより二種の成形品を接合、一体化して1つの成形体とすることができる。このような複合成形体において、本発明の成形体を用いると、融着により高い接合強度が得られ、レーザ光の照射により融着していない非融着部材と同等の高い融着強度を保持できる。そのため、レーザ溶着しても接合強度を実質的に低下させることがなく、強固に接合した複合成形体を得ることができる。
【0068】
前記相手材の樹脂成形品を構成する樹脂としては、特に制限されず、種々の熱可塑性樹脂、例えば、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂のうち、前記PBT系樹脂組成物を構成する樹脂と同種類又は同系統の樹脂(PBT系樹脂、PET系樹脂などのポリエステル系樹脂(芳香族ポリエステル系樹脂)、ポリカーボネート系樹脂など)又はその組成物で相手材を構成してもよい。例えば、第1の成形体と第2の成形体とを、それぞれ、本発明のPBT系樹脂組成物で形成してもよい。
【0069】
前記PBT系樹脂組成物(又は第1の成形体)は、レーザ透過性(例えば、波長800〜1200nmのレーザ光に対する透過性)を損なわない限り、着色剤(例えば、特開2000−309694号公報や特開2001−71384号公報に記載の着色剤など)を含んでいてもよい。着色剤としては、レーザ光に対して非吸収性の着色剤(無機又は有機染顔料)、例えば、黄色染顔料(カドミイエローなどの無機顔料、ベンジジンイエローなどの有機顔料)、橙色染顔料(ハンザイエローなど)、赤色顔料(赤色顔料などの無機顔料、レーキレッドなどの有機顔料)、青色顔料(コバルトブルーなどの無機顔料、フタロシアニンブルーなどの有機顔料)、緑色染顔料(クロムグリーンなどの無機顔料、フタロシアニングリーンなどの有機顔料)、紫色染顔料などが挙げられる。このような着色剤は、単独で用いてもよく、複数の着色剤を組み合わせて用いて所望の色調に調整してもよい。例えば、減色混合(複数の染顔料、例えば、黄色染顔料と紫色染顔料との組合せ、黄色染顔料と赤色染顔料と青色染顔料との組合せなど)を利用して樹脂を無彩色(灰色や黒色)に着色することもできる。このような着色剤の使用により第1の成形体と第2の成形体とを視覚的に識別できなくすることも可能である。第1の成形体での着色剤の総使用量は、特に制限されず、例えば、樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部(例えば、0.01〜7重量部)、好ましくは0.01〜5重量部程度であってもよい。
【0070】
被着体(又は相手材)は、レーザ光に対する吸収剤又は着色剤を含んでいてもよい。前記着色剤は、レーザ光の波長に応じて選択でき、無機顔料[カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックなど)などの黒色顔料、酸化鉄赤などの赤色顔料、モリブデートオレンジなどの橙色顔料、酸化チタンなどの白色顔料など]、有機顔料(黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料など)などが挙げられる。これらの吸収剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。吸収剤としては、通常、黒色顔料又は染料、特にカーボンブラックが使用できる。カーボンブラックの平均粒子径は、通常、10〜1000nm、好ましくは10〜100nm程度であってもよい。着色剤の割合は、被着体全体に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%(例えば、0.5〜3重量%)程度である。
【0071】
レーザ光の照射は、通常、第1の成形体から第2の成形体の方向に向けて行われ、吸収剤又は着色剤を含む第2の成形体の界面で発熱させることにより、第1の成形体と第2の成形体とを融着させる。すなわち、レーザ光の透過側に位置する第1の成形体(本発明の樹脂組成物で形成された成形品)と、レーザ光の受光側に位置する第2の成形体(相手材の樹脂成形品)とを接触させ、レーザ光を照射することにより前記第1の成形体と第2の成形体とを接合させることができ、複合成形品が得られる。なお、必要によりレンズ系を利用して、第1の成形品と第2の成形品との界面にレーザ光を集光させ接触界面を融着してもよい。
【0072】
本発明の好ましい態様は、次の通りである。
【0073】
(1)ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)が、ブチレンテレフタレート単位を有するホモポリエステル及びコポリエステルから選択された少なくとも一種である前記レーザ溶着性樹脂組成物。
【0074】
ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)が、ポリブチレンテレフタレート及びコポリエステルから選択された少なくとも一種であり、コポリエステルの共重合性モノマーが、ビスフェノール類又はそのアルキレンオキサイド付加体、非対称芳香族ジカルボン酸、及びこれらのエステル形成可能な誘導体から選択された少なくとも一種である前記樹脂組成物。
【0075】
ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)が、ポリブチレンテレフタレート及びコポリエステルから選択された少なくとも一種であり、コポリエステルの共重合性モノマーが、フタル酸、イソフタル酸、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体、及びこれらの反応性誘導体から選択された少なくとも一種である前記樹脂組成物。
【0076】
ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)が、ポリブチレンテレフタレート及び1〜20モル%の共重合性モノマーで変性されたポリブチレンテレフタレート系共重合体から選択された少なくとも一種である前記樹脂組成物。
【0077】
(2)エラストマー(B)がポリスチレン系エラストマー及びポリエステル系エラストマーから選択された少なくとも一種である前記樹脂組成物。
【0078】
(3)可塑剤(D)の屈折率が1.45〜1.60である前記樹脂組成物。
【0079】
(4)ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)100重量部に対して、エラストマー(B)1〜40重量部と、ポリカーボネート系樹脂(C)5〜80重量部と、可塑剤(D)1〜10重量部と、充填剤又は補強剤(E)0〜100重量部とを含む前記樹脂組成物。
【0080】
(5)射出成形により形成された縦80mm×横80mm×厚み2mm(サイドゲート ゲート幅2mm)の成形品において、800〜1200nmの波長の光線透過率が20%以上であり、800〜1200nmの波長の光線を照射したとき、前記成形品の部位による光線透過率の変動幅が7%以下である前記樹脂組成物。
【0081】
(6)前記樹脂組成物で形成された射出成形品(又はレーザ溶着性射出成形品)。
【産業上の利用可能性】
【0082】
得られた複合成形品は、高い溶着強度を有し、レーザ光照射によるPBT系樹脂の損傷も少ないため、種々の用途、例えば、電気・電子部品、オフィスオートメーション(OA)機器部品、家電機器部品、機械機構部品、自動車機構部品などに適用できる。特に、自動車電装部品(各種コントロールユニット、イグニッションコイル部品など)、モーター部品、各種センサー部品、コネクター部品、スイッチ部品、リレー部品、コイル部品、トランス部品、ランプ部品などに好適に用いることができる。
【実施例】
【0083】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0084】
実施例1〜10及び比較例1〜2
実施例及び比較例では、以下のPBT系樹脂(A)、エラストマー(B)、ポリカーボネート系樹脂(C)、可塑剤(D)、充填剤又は補強剤(E)、核剤(F)、および着色剤を用いた。
【0085】
PBT系樹脂(A)
(A−1)ジメチルイソフタル酸(DMI)変性PBT樹脂
テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの反応において、テレフタル酸の一部(12.5mol%)に代えて、共重合成分としてのDMI 12.5mol%を用い、変性ポリブチレンテレフタレートを調製した。
【0086】
エラストマー(B)
(B−1)エポキシ基含有ポリスチレン系熱可塑性エラストマーESBS[ダイセル化学工業(株)製「エポフレンドAT504」]
(B−2)ポリエステル系熱可塑性エラストマー[東洋紡(株)製「GP200」]
(B−3)ポリスチレン系熱可塑性エラストマー[クラレ(株)製「セプトン4055」]
ポリカーボネート系樹脂(C)
(C−1)ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製「パンライトL−1225」)
可塑剤(D)
(D−1)芳香族多価カルボン酸エステル[旭電化工業(株)製 アデカサイザー UL−100]
(D−2)アクリル系可塑剤[東亜合成(株)製 ARUFON UP−1020]
(D−3)スチレンーアクリル系流動性改良剤[東亜合成(株)製 ARUFON XFM910]
充填剤又は補強剤(E)
(E−1)ガラス繊維[日東紡績(株)製「CS3J−948S」、平均繊維径φ11μm、平均繊維長400μm]
核剤(F)
(F−1)窒化ホウ素[川崎製鉄(株)製 FS−1]
(F−2)タルク[日本タルク(株)製 タルク3A]
着色剤
紫色染顔料[クラリアントジャパン製 SANDOPLAST VIOLET RSB]
黄色染顔料[クラリアントジャパン製 SANDOPLAST YELLOW 2G]
表1に示す割合(重量比)で、各成分を2軸押出機(日本製鋼所製,30mmφ)により260℃で混錬し、ペレットを作製した。得られたペレットを射出成形機((株)東芝製)により、シリンダー温度260℃及び金型温度80℃の条件で射出成形し、試験片A(縦80mm×横80mm×厚さ2mm,サイドゲート,ゲート幅2mm)を成形した。
【0087】
また、前記試験片Aに対する被溶着体Bとして、前記ペレット100重量部と黒色着色用カーボンブラック(ウィンテックポリマー(株)製,商品名「2020C」)5重量部とを用いて射出成形し、肉厚2mmの箱形試験体Bを作製した。この箱形試験体Bは、長さ80mm、幅40mm及び高さ20mmの長方体状であり、上端面が開口している。また、下端面には、レーザー溶着により封止した後、内圧を加えるための孔(φ10mm)をボール盤を用いて形成した。なお、試験体Bはレーザ光による発熱体として作用する。
【0088】
図1に示すように、箱形試験体B(4)の開口端部に試験片A(3)を重ねて接触させ、レーザ溶着機(ライスター社製)を用いて、レーザ発振器のヘッダ(1)からのレーザ光(2)の焦点を調整して、試験片Aと箱形試験体Bとの接触面に線幅1.5mmで集光させた。そして、試験片A(3)側から、波長940nmのレーザ光を走査速度10mm/秒の条件で照射して溶着し、箱形試験体Bの開口部が試験片A(3)で封止されたボックス状複合体を作製した。
【0089】
(1)気密性(均一溶着性)
レーザ溶着により得られた試験片Aと試験体Bとのボックス状複合体について、水中にて内圧0.02MPaを30秒間加え、接合部での気泡の発生の有無により気密性を評価した。
【0090】
(2)光線透過率
試験片Aの各部位について、分光光度計[日本分光(株)製「V570」]を用いて波長940nmでの光透過率(%)を測定し、光透過率の最大値と最小値との差(変動幅、%)を算出した。
【0091】
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
【0092】
【表1】

実施例では、レーザ光に対する試験片Aの光線透過率が均一であるとともに、均一に溶着でき、気密性が高い。これに対して、比較例では、光線透過率が部位によって大きく変動し、気密性が低い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)と、エラストマー(B)と、ポリカーボネート系樹脂(C)と、可塑剤(D)とを含むレーザー溶着用樹脂組成物。
【請求項2】
ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)が、ポリブチレンテレフタレート、又は30モル%以下の共重合性モノマーで変性されたポリブチレンテレフタレート系共重合体である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
エラストマー(B)の屈折率が温度25℃において1.52〜1.59である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項4】
可塑剤(D)が、芳香族多価カルボン酸エステル、及びアクリル系重合体から選択された少なくとも一種である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項5】
可塑剤(D)の屈折率が温度25℃で1.45〜1.60である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項6】
ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)100重量部に対して、エラストマー(B)1〜50重量部と、ポリカーボネート系樹脂(C)5〜100重量部と、可塑剤(D)1〜10重量部とを含む請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、充填剤又は補強剤(E)を含む請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項8】
充填剤又は補強剤(E)が、ガラス質である請求項7記載の樹脂組成物。
【請求項9】
さらに、核剤(F)を含む請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項10】
射出成形により形成された縦80mm×横80mm×厚み2mmの成形品において、800〜1200nmの波長の光線を照射したとき、前記成形品の部位による光線透過率の変動幅が10%以下である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1記載の樹脂組成物で形成された成形品。
【請求項12】
請求項1記載の樹脂組成物で形成された成形品と、相手材の樹脂成形品とがレーザ溶着により接合されている複合成形品。
【請求項13】
請求項1記載の樹脂組成物で形成され、かつレーザ光の透過側に位置する成形品と、レーザ光の受光側に位置する相手材の樹脂成形品とを接触させ、レーザ光を照射して前記成形品と前記樹脂成形品とを接合させる複合成形品の製造方法。

【図1】
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【国際公開番号】WO2005/035657
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【発行日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514559(P2005−514559)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014522
【国際出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(501183161)ウィンテックポリマー株式会社 (54)
【Fターム(参考)】