説明

レーダ装置

【課題】S/N比を改善し測距精度の向上を図った多周波パルス方式のレーダ装置を提供する。
【解決手段】電力の小さい近距離用パルスと電力の大きい遠距離用パルスを送信周波数を変えながら交互に送信し、目標で反射した近距離用パルスと遠距離用パルスをそれぞれ異なる周波数の帯域制限を与えて通過させた後出力する送受信系1〜6と、前記送受信系の出力から前記目標までの距離を測距する測距系7〜11と、を備えたレーダ装置。送受信系が、近距離用パルスと遠距離用パルスを生成して送信させると共に遠距離用パルスと近距離用パルスを切り換えるときに送信周波数をステップさせる合成帯域型の送信機1を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、目標を検出するためのレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1に開示されているようなダブルパルス方式では、高S/N比の近距離目標検出のための短パルス(近距離目標用短パルス)と低S/N比の遠距離目標検出のための長パルス(遠距離目標用長パルス)を交互に送受するダブルパルス送受信を行うことで検出機能のさらなる改善が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭50−104889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方式では、遠距離目標で反射した近距離用パルスと遠距離用パルスの混信、または遠距離用パルスを送信してから次の近距離用パルスを送信するまでの時間から定まる観測範囲よりも遠距離の目標で反射した遠距離用パルスが次の近距離用パルスに混信し、測距精度が劣化する問題点があった。
【0005】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、S/N比を改善し測距精度の向上を図ったダブルパルス方式のレーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、電力の小さい近距離用パルスと電力の大きい遠距離用パルスを送信周波数を変えながら交互に送信し、目標で反射した近距離用パルスと遠距離用パルスをそれぞれ異なる周波数の帯域制限を与えて通過させた後出力する送受信系と、前記送受信系の出力から前記目標までの距離を測距する測距系と、を備えたことを特徴とするレーダ装置にある。
【発明の効果】
【0007】
この発明では、S/N比を改善し測距精度の向上を図ったダブルパルス方式のレーダ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1によるレーダ装置の構成を示す図である。
【図2】図1の合成帯域型遠距離目標用測距手段の内部構成の一例を示す図である。
【図3】図1の合成帯域型近距離目標用測距手段の内部構成の一例を示す図である。
【図4】図2,3の超分解能測距手段の内部構成の一例を示す図である。
【図5】図1の合成帯域型送信機の動作タイムチャートである。
【図6】図1のレーダ装置の効果を説明するための図である。
【図7】この発明の実施の形態2によるレーダ装置の構成を示す図である。
【図8】図7の近遠順序型合成帯域型送信機の動作タイムチャートである。
【図9】この発明の実施の形態3によるレーダ装置の構成を示す図である。
【図10】図9の多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段の内部構成の一例を示す図である。
【図11】図9の多周波ステップICW型近距離目標用測距手段の内部構成の一例を示す図である。
【図12】図9の多周波ステップICW型送信機の動作タイムチャートである。
【図13】この発明の実施の形態4によるレーダ装置の構成を示す図である。
【図14】図13の近遠順序型多周波ステップICW型送信機の動作タイムチャートである。
【図15】この発明の実施の形態5によるレーダ装置の構成を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態6によるレーダ装置の構成を示す図である。
【図17】この発明の実施の形態7によるレーダ装置の構成を示す図である。
【図18】図17のソート機能付合成帯域型遠距離目標用測距手段の内部構成の一例を示す図である。
【図19】図17のソート機能付合成帯域型近距離目標用測距手段の内部構成の一例を示す図である。
【図20】図17の遠近個別型合成帯域型送信機の動作タイムチャートである。
【図21】この発明の実施の形態8によるレーダ装置の構成を示す図である。
【図22】図21のソート機能付多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段の内部構成の一例を示す図である。
【図23】図21のソート機能付多周波ステップICW型近距離目標用測距手段の内部構成の一例を示す図である。
【図24】図21の遠近個別型多周波ステップICW型送信機の動作タイムチャートである。
【図25】この発明の実施の形態9によるレーダ装置の構成を示す図である。
【図26】この発明の実施の形態9によるレーダ装置における周波数シフトの一例を示す図である。
【図27】この発明の実施の形態9によるレーダ装置におけるステップ周波数を大きくすることによる遠距離目標で反射した近距離用パルスの洩れ込みについて説明するための図である。
【図28】この発明の実施の形態10によるレーダ装置の構成を示す図である。
【図29】図28の近遠順序型広周波数ステップ間隔型合成帯域型送信機の動作タイムチャートである。
【図30】この発明の実施の形態11によるレーダ装置の構成を示す図である。
【図31】この発明の実施の形態12によるレーダ装置の構成を示す図である。
【図32】図31の近遠順序型広周波数ステップ間隔型多周波ステップICW型送信機の動作タイムチャートである。
【図33】この発明に関連する一般的なダブルパルスを用いて測距処理を行う方式の構成例を示した図である。
【図34】図33のパルス圧縮手段の内部構成例を示した図である。
【図35】図33の構成の動作タイムチャートである。
【図36】図33の構成の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初にダブルパルス方式のレーダ装置の問題について、もう少し詳しく説明する。図33は、一般的なダブルパルスを用いて測距処理を行う方式の構成例を示している。41は近距離用パルスと遠距離用パルスを出力する送信機、2は電波の送信と受信を切り換えるサーキュレータ、3は電波の送信または受信を行う送受信アンテナ、4は目標、5は受信パルスと送信パルスをミキシングするミキサー、6はミキサー出力信号の帯域制限、位相検波を行う受信機、7はアナログ信号をサンプリングしてディジタル信号を生成するA/D変換器、8は近距離目標用の処理と遠距離目標用の処理を切り換える切換スイッチ、12はS/N比(信号対雑音電力比)を改善するためのパルス圧縮手段、42は目標の距離を推定する目標測距手段である。図34はパルス圧縮手段12の内部構成を示している。43は入力信号にFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理を施すFFT手段、44は入力した信号の成分同士複素乗算する乗算手段、45は入力信号にIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)を施すIFFT手段である。
【0010】
次に動作について説明する。送信機41によりパルスが生成され、サーキュレータ2を通して送受信アンテナ3から送信される。図35はその動作タイムチャートを示している。まず、近距離目標の測距を行うための短パルス(近距離目標用パルス)を送信する。目標4で反射した近距離用パルスは再び送受信アンテナ3で受信される。受信された近距離用パルスはミキサー5にて参照信号(送信パルス)とミキシングされた後、受信機6で帯域制限、位相検波される。受信機出力信号はA/D変換器7にて周期Tsampでサンプリングされディジタル信号が出力される。nr(1≦nr≦Nr)番目にサンプリングされたA/D変換出力信号をs''nr(nr=1,2,…)と表記する。ここでnrはレンジビン番号を表している。切換スイッチ8によりA/D変換出力信号s''nrが目標測距手段42に伝達される。目標測距手段42では、A/D変換出力信号の電力値|s''nr|2と誤警報確率(雑音を目標信号と誤る確率)を基準に定められたスレッショルドと比較しレンジビン推定値(チルダ)nrを求める。そしてレンジビン推定値(チルダ)nrを用いて次式(1)により測距値(チルダ)rを求める。次式(1)でcは光速を表している。
【0011】
【数1】

【0012】
次に、遠距離目標の測距を行うための符号変調を施したパルス(遠距離目標用パルス)unrを送信する。目標4で反射したパルスは再び送受信アンテナ3で受信される。受信された遠距離用パルスはミキサー5にて参照信号(送信パルス)とミキシングされた後、受信機6で帯域制限、位相検波される。受信機出力信号はA/D変換器7にて周期Tsampでサンプリングされディジタル信号が出力される。切換スイッチ8によりA/D変換出力信号s'nr(nr=1,2,…)がパルス圧縮手段12に伝達される。図34のパルス圧縮手段12において、遠距離用パルスunrとA/D変換器出力信号s'nrはそれぞれのFFT手段43に伝達される。遠距離用パルスunrにFFTが施され遠距離用パルスの周波数スペクトルufnrが算出される。同様にしてA/D変換出力信号s'nrの周波数スペクトルsf'nrが算出される。周波数スペクトルufnrとsf'nrは乗算手段44に伝達される。乗算手段44では次式(2)により乗算信号sfnrを生成する。次式で(sfnr)*はsfnrの複素共役を表している。
【0013】
【数2】

【0014】
乗算信号sfnrはIFFT手段45に伝達される。IFFT手段45では乗算信号sfnrにIFFTが施されパルス圧縮信号snrを生成する。パルス圧縮信号snrは目標測距手段42に伝達される。以降は近距離用パルスと同様の処理が行われ式(1)により測距値が求まる。
【0015】
しかしながら、上記の方式では、遠距離目標で反射した近距離用パルスと遠距離用パルスの混信、または遠距離用パルスを送信してから次の近距離用パルスを送信するまでの時間から定まる観測範囲よりも遠距離の目標で反射した遠距離用パルスが次の近距離用パルスに混信し測距精度が劣化する問題点がある。図36はこの状況の一例を表している。遠距離範囲に2つの目標(目標1、目標2)が存在し、遠距離目標1で反射した近距離用パルスと遠距離目標2で反射した遠距離用パルスが混信している。そこでこの発明では、S/N比を改善し測距精度の向上を図ったダブルパルス方式のレーダ装置を提供する。
【0016】
以下、この発明によるレーダ装置を各実施の形態に従って図面を用いて説明する。なお、上述の一般的なレーダ装置も含めて、各実施の形態において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。
【0017】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置の構成を示す図である。1は周波数をステップ(例えば周波数を段階的に変える(増加又は減少)等)しながら送受信を行うための合成帯域型送信機、2は電波の送信と受信を切り換えるサーキュレータ、3は電波の送信または受信を行う送受信アンテナ、4は目標、5は受信パルスと送信パルスをミキシングするミキサー、6はミキサー出力信号の帯域制限、位相検波を行う受信機、7はアナログ信号をサンプリングしてディジタル信号を生成するA/D変換器、8は近距離目標用の処理と遠距離目標用の処理を切り換える切換スイッチである。9は受信信号を蓄えておくメモリ回路#1とメモリ回路#2、10は合成帯域型送信機のパルス送受信を想定して遠距離目標の測距処理を行う合成帯域型遠距離目標用測距手段、11は合成帯域型送信機のパルス送受信を想定して近距離目標を想定した測距処理を行う合成帯域型近距離目標用測距手段である。
【0018】
図2は図1の合成帯域型遠距離目標用測距手段10の内部構成の一例を示す図である。12-#1〜12-#NはS/N比を改善するためのパルス圧縮手段である。13は合成帯域型送信機1によるパルス送受信を想定した目標検出処理を行う合成帯域型目標検出手段、14は目標距離をレンジ分解能よりも高い分解能で測距する超分解能測距手段である。
図3は図1の合成帯域型近距離目標用測距手段11の内部構成の一例を示す図である。合成帯域型目標検出手段13、超分解能測距手段14は図2と同じである。
図4は図2,3の超分解能測距手段14の内部構成の一例を示す図である。15は入力信号の送信周波数間の相関を表す相関行列を生成する相関行列生成手段、16はMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)処理を行うための固有ベクトルを算出するMUSIC用固有ベクトル算出手段、17はMUSIC処理を行うMUSIC処理手段である。
【0019】
次に動作について説明する。合成帯域型送信機1から図5の動作タイムチャートに従って、まず、送信周波数f1の符号変調の施された遠距離(目標)用パルス(送信帯域幅の逆数より定まるチップ幅を単位として符号変調を施したパルス)が生成され、サーキュレータ2を通して送受信アンテナ3から出力される。目標4で反射した遠距離用パルスは再び送受信アンテナ3で受信される。受信された遠距離用パルスはミキサー5にて送信された遠距離用パルスとミキシングされた後、受信機6で帯域制限、位相検波される。このとき参照信号(受信された遠距離用パルス)の周波数は送信した遠距離用パルスの送信周波数に等しくなっている。受信機6の出力信号はA/D変換器7にて周期Tsampでサンプリングされ、切換スイッチ8により、A/D変換出力信号s'1,nrがメモリ回路9-#1に蓄えられる。また、送信周波数f1の近距離(目標)用パルス(送信帯域幅の逆数より定まるパルス幅を有する)が送信され遠距離用パルスと同様に処理され、切換スイッチ8により、A/D変換出力信号s''1,nrがメモリ回路9-#2に蓄えられる。
【0020】
次に、送信周波数をステップし、同様の送受信を行う。この動作が繰り返される。すなわち、送信期間中に例えば遠距離用パルス、近距離用パルスの順(または後述するように近距離用パルス、遠距離用パルスの順)でパルスを切り換えて生成して送信し、これを繰り返すことで遠距離用パルス、近距離用パルスを交互に送信し、さらに近距離用パルスから遠距離用パルス(またはその逆)へ切り換える度に送信周波数を変えて送信することで、各送信期間で送信周波数をステップさせて送信する。この動作が繰り返されることによりメモリ回路9-#1にはA/D変換出力信号s'n,nr(1≦n≦N)が蓄えられる。また、メモリ回路9-#2にはA/D変換出力信号s''n,nr(1≦n≦N)が蓄えられる。
【0021】
メモリ回路9-#1からA/D変換出力信号s'n,nrが合成帯域型遠距離目標用測距手段10の図2に示すパルス圧縮手段12-#nに伝達される。パルス圧縮手段12-#nでは上述の一般的な装置と同様に動作しパルス圧縮信号sn,nrが出力される。パルス圧縮信号sn,nrは合成帯域型目標検出手段13に伝達される。合成帯域型目標検出手段13では、パルス圧縮信号sn,nrの電力値|sn,nr|2と誤警報確率(雑音を目標信号と誤る確率)を基準に定められたスレッショルドと比較しレンジビン推定値
【0022】
【数3】

【0023】
を求める。そして、目標信号
【0024】
【数4】

【0025】
を出力する。目標信号
【0026】
【数5】

【0027】
は超分解能測距手段14の図4に示す相関行列生成手段15に伝達される。相関行列生成手段15では式(3)により相関行列
【0028】
【数6】

【0029】
を生成する。
【0030】
【数7】

【0031】
ここで、Mは相関行列の次元数、
【0032】
【数8】

【0033】
はベクトル
【0034】
【数9】

【0035】
の共役転置を表している。相関行列
【0036】
【数10】

【0037】
はMUSIC用固有ベクトル算出手段16に伝達される。MUSIC用固有ベクトル算出手段16では、相関行列
【0038】
【数11】

【0039】
の固有値
【0040】
【数12】

【0041】
と、固有値
【0042】
【数13】

【0043】
に対応する固有ベクトル
【0044】
【数14】

【0045】
を求める。固有値
【0046】
【数15】

【0047】
の大きさ等から目標数Kを推定する。そして、固有ベクトル
【0048】
【数16】

【0049】
を出力する。固有ベクトル
【0050】
【数17】

【0051】
はMUSIC処理手段17に伝達される。MUSIC処理手段17では、固有ベクトル
【0052】
【数18】

【0053】
を雑音空間としてMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)処理を行う。具体的には、目標距離をrとして式(4)によりステアリングベクトルa(r)を生成し、
【0054】
【数19】

【0055】
固有ベクトル
【0056】
【数20】

【0057】
の全てに直交するK種類のステアリングa(r)を求める。このときのrを
【0058】
【数21】

【0059】
とする。
【0060】
【数22】

【0061】
はk番目の目標の距離を表している。以上の処理によりドップラー分解能、レンジ分解能よりも近接したK種類の遠距離目標について距離が求まる。
【0062】
また、メモリ回路9-#2から出力されたA/D変換出力信号s''n,nrが合成帯域型近距離目標用測距手段11の図3に示す合成帯域型目標検出手段13に伝達される。以降は遠距離用パルスの処理と同様の処理が行われ各目標の測距値が求まる。
【0063】
上記実施の形態1では、遠距離用パルスを送信した後に周波数ステップしており、遠距離目標で反射した近距離用パルスはステップ周波数だけシフトした遠距離用パルスとミキシングされることとなり、受信機入力時には受信機の通過帯域外の周波数成分となる。図6はその状況を示している。そのため、遠距離目標で反射した近距離用パルスは受信機帯域を通過せず遠距離用パルスと近距離用パルスの混信が低減される。
【0064】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2によるレーダ装置の構成を示す図である。18は近距離用パルス、遠距離用パルスの順序でパルス送受信を行い周波数ステップする近遠順序型合成帯域型送信機である。その他の部分は基本的に上記実施の形態1の対応部分に相当する。
【0065】
次に動作について説明する。近遠順序型合成帯域型送信機18から図8の動作タイムチャートに従って、まず、送信周波数f1の近距離用パルスが生成され、サーキュレータ2を通して送受信アンテナ3から出力される。以降は実施の形態1と同様に動作しA/D変換出力信s''1,nrがメモリ回路9-#2に蓄えられる。また、送信周波数f1の遠距離用パルスが送信され実施の形態1と同様に動作しA/D変換出力信号s'1,nrがメモリ回路9-#1に蓄えられる。次に、送信周波数をステップし同様の送受信を行う。この動作が繰り返されることによりメモリ回路9-#1にはA/D変換出力信号s'n,nr(1≦N≦N)が蓄えられる。また、メモリ回路9-#2にはA/D変換出力信号s''n,nr(1≦n≦N)が蓄えられる。以降は実施の形態1と同様に動作し測距値が求まる。
【0066】
上記実施の形態2では、近距離用パルスを送信した後に周波数ステップしており、観測範囲よりも遠距離の目標で反射した遠距離用パルスはステップ周波数だけシフトした近距離用パルスとミキシングされることとなり、受信機入力時には受信機の通過帯域外の周波数成分となる。そのため、遠距離目標で反射した近距離用パルスは受信機帯域を通過しないため、遠距離用パルスと近距離用パルスの混信が低減される。
【0067】
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3によるレーダ装置の構成を示す図である。19は周波数の掃引パターンを複数回繰り返す多周波ステップICW(Interrupted Continuous Wave)送信機、20はドップラー周波数領域で遠距離目標の信号を検出し測距する多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段、21はドップラー周波数領域で近距離目標の信号を検出し測距する多周波ステップICW型近距離目標用測距手段である。その他の部分は基本的に上記実施の形態1の対応部分に相当する。
【0068】
図10は図9の多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段20の内部構成の一例を示す図である。パルス圧縮手段12-#n、超分解能測距手段14は実施の形態1と同じである。22-#nはパルスヒット方向に対する目標信号の位相変化からドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFT部、23は多周波ステップICW型送信機19によるパルス送受信を想定した目標検出処理を行う多周波ステップICW型目標検出手段、24-#nはドップラーにより回転した目標信号の位相回転を補正するドップラー補正手段である。
【0069】
図11は図9の多周波ステップICW型近距離目標用測距手段21の内部構成の一例を示す図である。超分解能測距手段14は実施の形態1と同じである。22-#nはパルスヒット方向に対する目標信号の位相変化からドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFT部、23は多周波ステップICW型送信機19によるパルス送受信を想定した目標検出処理を行う多周波ステップICW型目標検出手段、24-#nはドップラーにより回転した目標信号の位相回転を補正するドップラー補正手段である。
【0070】
次に動作について説明する。多周波ステップICW型送信機19から図12の動作タイムチャートに従ってパルス送受信が行われ、実施の形態1と同様に動作しメモリ回路9-#1とメモリ回路9-#2にはA/D変換器出力信号s'n,1,nrとs''n,1,nrがそれぞれ蓄えられる。以上の動作をNp回繰り返してメモリ回路9-#1とメモリ回路9-#2には最終的にはs'n,np,,nrとs''n,np,,nr(1≦np≦Np)が蓄えられる。ここでnpはパルスヒット番号を表している。メモリ回路9-#1からA/D変換器出力信号s'n,np,nrが出力され多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段20の図10に示すパルス圧縮手段12-#nに伝達される。実施の形態1と同様にパルス圧縮処理が行われパルス圧縮信号sn,np,nrがパルスヒット方向FFT部22-#nに伝達される。パルスヒット方向FFT部22-#nでは、A/D変換出力信号sn,np,nrのドップラー周波数成分であるドップラー信号pn,nd,nr(0≦nd≦Np−1)を下記の式(5)により算出する。式(5)でwnpはFFTを行う際の重みを表している。
【0071】
【数23】

【0072】
ドップラー信号p1,nd,nr,…,pN,nd,nrは、多周波ステップICW型目標検出手段23とドップラー補正手段24-#nに伝達される。多周波ステップICW型目標検出手段23では、ドップラー信号pn,nd,nrの電力値|pn,nd,nr|2と誤警報確率(雑音を目標信号と誤る確率)を基準に定められたスレッショルドと比較し、目標信号の存在するレンジビンの推定値(チルダ)nrとドップラービンの推定値(チルダ)ndの組((チルダ)nd,(チルダ)nr)を求める。下記式(6)により、各組((チルダ)nd,(チルダ)nr)に対応する目標の速度推定値(チルダ)v((チルダ)nd,(チルダ)nr)を算出する。このとき、予め定められた番号n0の送信周波数fn0を用いる。またcは光速、TPRIは同一送信周波数の繰り返し周期を表している。
【0073】
【数24】

【0074】
レンジビン推定値と速度推定値の組((チルダ)nd,(チルダ)nr)と対応する目標の速度推定値(チルダ)v((チルダ)nd,(チルダ)nr)はドップラー補正手段24-#nに伝達される。ドップラー補正手段24-#nでは、次式(7)によりドップラー補正信号
【0075】
【数25】

【0076】
を求める。
【0077】
【数26】

【0078】
ドップラー補正信号
【0079】
【数27】

【0080】
は超分解能測距手段14に伝達される。以降は実施の形態1と同様に動作しドップラー分解能、レンジ分解能よりも近接したK種類の遠距離目標について距離が求まる。
【0081】
また、メモリ回路9-#2から出力されたA/D変換出力信号s''n,np,,nrが多周波ステップICW型近距離目標用測距手段21の図11に示すパルスヒット方向FFT部22-#nに伝達される。以降は図10のパルスヒット方向FFT部22-#n以降の遠距離用パルスの処理と同様の処理が行われ各目標の測距値が求まる。
【0082】
上記実施の形態3では、遠距離用パルスを送信した後に周波数ステップしており、遠距離目標で反射した近距離用パルスはステップ周波数だけシフトした遠距離用パルスとミキシングされることとなり、受信機入力時には受信機の通過帯域外の周波数成分となる。そのため、遠距離目標で反射した近距離用パルスは受信機帯域を通過しない。そのため、遠距離目標で反射した近距離用パルスは受信機帯域を通過せず遠距離用パルスと近距離用パルスの混信が低減される。また、パルスヒット方向FFT部によるS/N比改善効果もあり目標検出性能が改善される。
【0083】
実施の形態4.
図13はこの発明の実施の形態4によるレーダ装置の構成を示す図である。25は近距離用パルス、遠距離用パルスの順序でパルス送受信を行い周波数ステップする近遠順序型多周波ステップICW型送信機である。その他の部分は基本的に上記実施の形態3の対応部分に相当する。
【0084】
次に動作について説明する。近遠順序型多周波ステップICW型送信機25から図14の動作タイムチャートに従ってパルス送受信が行われ、実施の形態2と同様に動作しメモリ回路9-#1とメモリ回路9-#2にはA/D変換器出力信号s'n,1,nrとs''n,1,nrがそれぞれ蓄えられる。以上の動作をNp回繰り返してメモリ回路9-#1とメモリ回路9-#2には最終的にはs'n,np,,nrとs''n,np,,nr(1≦np≦Np)が蓄えられる。以降は実施の形態3と同様に動作し測距値が求まる。
【0085】
上記実施の形態4では、近距離用パルスを送信した後に周波数ステップしており、観測範囲よりさらに遠距離の目標で反射した遠距離用パルスはステップ周波数だけシフトした近距離用パルスとミキシングされることとなり、受信機入力時には受信機の通過帯域外の周波数成分となる。そのため、遠距離目標で反射した近距離用パルスは受信機帯域を通過せず遠距離用パルスと近距離用パルスの混信が低減される。また、パルスヒット方向FFT部によるS/N比改善効果もあり目標検出性能が改善される。
【0086】
実施の形態5.
図15はこの発明の実施の形態5によるレーダ装置の構成を示す図である。26は近距離用パルスと遠距離用パルスの送信順序を所望の順序に切り換え可能な送信順序可変型合成帯域型送信機、27は近距離用パルスか遠距離用パルスの送信を判定する切換判定回路である。その他の部分は基本的に上記実施の形態1の対応部分に相当する。
【0087】
次に動作について説明する。予め設定された所定の順序に従って近距離用パルスと遠距離用パルスによる送受信が行われる。遠距離用パルス、近距離用パルスの順序のときは実施の形態1と同様に動作する。近距離用パルス、遠距離用パルスの順序のときは実施の形態2と同様に動作する。そして測距値が求まる。測距値は切換判定回路27に伝達される。
【0088】
切換判定回路27では、例えば受信パルスの波形のひずみを調べることにより、受信機6の帯域での抑圧効果が小さく遠距離目標で反射した近距離用パルスと遠距離用パルスの混信が見られる状況においては、遠距離用パルス、近距離用パルスの順序で送信するように送信順序可変型合成帯域型送信機26に伝達する。その場合には送信順序可変型合成帯域型送信機26では、遠距離用パルス、近距離用パルスの順序で送受信を行い実施の形態1と同様に動作し、合成帯域型遠距離目標用測距手段10、合成帯域型近距離目標用測距手段11で測距値を求める。また、観測範囲より遠距離の目標に反射した遠距離用パルスと近距離用パルスの混信が見られる状況においては、近距離用パルス、遠距離用パルスの順序で送信するように送信順序可変型合成帯域型送信機26に伝達する。その場合には送信順序可変型合成帯域型送信機26では、近距離用パルス、遠距離用パルスの順序で送受信を行い実施の形態2と同様に動作して、合成帯域型遠距離目標用測距手段10、合成帯域型近距離目標用測距手段11で測距値を求める。
【0089】
上記実施の形態5では、観測された目標の状況によりパルスの送信順序を切り換えており、近距離用パルスと遠距離用パルスが混信することなく測距を行える。
【0090】
実施の形態6.
図16はこの発明の実施の形態6によるレーダ装置の構成を示す図である。切換判定回路27は実施の形態5のものに相当する。28は近距離用パルスと遠距離用パルスの送信順序を所望の順序に切り換え可能な送信順序可変型多周波ステップICW型送信機である。その他の部分は基本的に上記実施の形態3の対応部分に相当する。
【0091】
次に動作について説明する。予め設定された所定の順序に従って近距離用パルスと遠距離用パルスによる送受信が行われる。遠距離用パルス、近距離用パルスの順序のときは実施の形態3と同様に動作する。近距離用パルス、遠距離用パルスの順序のときは実施の形態4と同様に動作する。そして測距値が求まる。測距値は切換判定回路27に伝達される。
【0092】
切換判定回路27では、例えば受信パルスの波形のひずみを調べることにより、受信機の帯域での抑圧効果が小さく遠距離目標で反射した近距離用パルスと遠距離用パルスの混信が見られる状況においては、遠距離用パルス、近距離用パルスの順序で送信するように送信順序可変型多周波ステップICW型送信機28に伝達する。その場合には送信順序可変型多周波ステップICW型送信機28では、遠距離用パルス、近距離用パルスの順序で送受信を行い実施の形態3と同様に動作し、多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段20、多周波ステップICW型近距離目標用測距手段21で測距値を求める。また、観測距離範囲より遠距離の目標に反射した遠距離用パルスと近距離用パルスの混信が見られる状況においては、近距離用パルス、遠距離用パルスの順序で送信するように送信順序可変型多周波ステップICW型送信機28に伝達する。その場合には送信順序可変型多周波ステップICW型送信機28では、近距離用パルス、遠距離用パルスの順序で送受信を行い実施の形態4と同様に動作して、多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段20、多周波ステップICW型近距離目標用測距手段21で測距値を求める。
【0093】
上記実施の形態6では、観測された目標の状況によりパルスの送信順序を切り換えており、近距離用パルスと遠距離用パルスが混信することなく測距を行える。
【0094】
実施の形態7.
図17はこの発明の実施の形態7によるレーダ装置の構成を示す図である。30は遠距離用パルスと近距離用パルスを切り換える毎に送信周波数も切り換える遠近個別型合成帯域型送信機、31は目標で反射した遠距離用パルスを送信周波数の低い方から順に並べ替えた後測距処理を行うソート機能付合成帯域型遠距離目標用測距手段、32は目標で反射した近距離用パルスを送信周波数の低い方から順に並べ替えた後測距処理を行うソート機能付合成帯域型近距離目標用測距手段である。その他の部分は基本的に上記実施の形態1の対応部分に相当する。
【0095】
図18は図17のソート機能付合成帯域型遠距離目標用測距手段31の内部構成の一例を示す図である。パルス圧縮手段12-#1〜12-#N、合成帯域型目標検出手段13、超分解能測距手段14は実施の形態1と同じである。33は送信周波数の低い方から順に受信信号を並べ替えて出力するソート手段である。図19は図17のソート機能付合成帯域型近距離目標用測距手段32の内部構成の一例を示す図である。図2と図3、図10と図11と同様にパルス圧縮手段がない点が図18と異なる。
【0096】
次に動作について説明する。図20の動作タイムチャートに従って遠近個別型合成帯域型送信機30から遠距離用パルスが送信される。図20でf1,iは遠距離用パルスの送信周波数を表しており、周波数f1,i(1≦i≦N)は、Δfをステップ周波数、f0を最小の周波数としてN個の周波数f0, f0+Δf, …, f0+(N−1)Δfに一対一対応しているとする。目標4で反射した遠距離用パルスが送受信アンテナ3で受信され実施の形態1と同様に動作しソート機能付合成帯域型遠距離目標用測距手段31の図18に示すパルス圧縮手段12-#nに伝達される。以降は実施の形態1と同様に動作しソート手段33に目標信号
【0097】
【数28】

【0098】
が伝達される。ソート手段33では目標信号
【0099】
【数29】

【0100】
を送信周波数の低い方から順に受信信号を並べ替えたソート信号
【0101】
【数30】

【0102】
を生成する。ソート信号
【0103】
【数31】

【0104】
は超分解能測距手段14に伝達され測距値が求まる。
【0105】
次に、図20の動作タイムチャートに従って遠近個別型合成帯域型送信機30から近距離用パルスが送信される。fi,2は近距離用パルスの送信周波数を表しており、周波数f2,i(1≦i≦N)は、Δfをステップ周波数、f0を最小の周波数としてN個の周波数f0, f0+Δf, …, f0+(N−1)Δfに一対一対応しているとする。また、互いに隣接する遠距離用パルスの送信周波数f1,iと近距離用パルスの送信周波数f2,i(1≦i≦N)及びf2,iとf1,i+1(1≦i≦N−1)は異なっている。目標4で反射した近距離用パルスが送受信アンテナ3で受信され実施の形態1と同様にソート機能付合成帯域型近距離目標用測距手段32の合成帯域型目標検出手段13に伝達される。以降は実施の形態1と同様に動作しソート手段33に目標信号
【0106】
【数32】

【0107】
が伝達される。ソート手段33にて送信周波数の低い方から順に目標信号が並べ替えられ超分解能測距手段14にて測距値が求まる。
【0108】
上記実施の形態7では、パルスごとに送信周波数を切り換えており、遠距離目標で反射した近距離用パルスは周波数成分の異なる遠距離用パルスとミキシングされることとなり、受信機入力時には受信機の通過帯域外の周波数成分となり受信機帯域を通過しない状況となる。同様の理由により、観測範囲よりも遠距離の目標で反射した遠距離用パルスも受信機の通過帯域外の周波数成分となり受信機帯域を通過しない状況となる。そのため、遠距離用パルスと近距離用パルスが混信することなく測距を行える。なお、本実施の形態では、遠距離用パルスを先に送信する構成となっているが近距離用パルスを先に送信する構成とすることもできる。
【0109】
実施の形態8.
図21はこの発明の実施の形態8によるレーダ装置の構成を示す図である。34は遠距離用パルスと近距離用パルスを切り換える毎に送信周波数も切り換える遠近個別(型)多周波ステップICW型送信機、35は目標で反射した近距離用パルスを送信周波数の低い方から順に並べ替えた後測距処理を行うソート機能付多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段、36は目標で反射した近距離用パルスを送信周波数の低い方から順に並べ替えた後測距処理を行うソート機能付多周波ステップICW型近距離目標用測距手段である。その他の部分は基本的に上記実施の形態1の対応部分に相当する。
【0110】
図22は図21のソート機能付多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段35の内部構成の一例を示す図である。パルス圧縮手段12-#1〜12-#N、パルスヒット方向FFT部22-#1〜22-#N、多周波ステップICW型目標検出手段23、ドップラー補正手段24-#1〜24-#N、超分解能測距手段14は実施の形態3と同じである。またソート手段33は実施の形態7と同じである。
【0111】
図23は図21のソート機能付多周波ステップICW型近距離目標用測距手段36の内部構成の一例を示す図である。パルスヒット方向FFT部22-#1〜22-#N、多周波ステップICW型目標検出手段23、ドップラー補正手段24-#1〜24-#N、超分解能測距手段14は実施の形態3と同じである。またソート手段33は実施の形態7と同じである。
【0112】
次に動作について説明する。図24の動作タイムチャートに従って遠近個別型多周波ステップICW型送信機34から遠距離用パルスが送信される。以降は実施の形態7と同様に動作し遠距離用パルス送受信により得られたA/D変換出力信号s'n,1,nrがメモリ回路9-#1に蓄えられる。また、近距離用パルス送受信により得られたA/D変換出力信号s''n,1,nrがメモリ回路9-#2に蓄えられる。以上の動作をNp回繰り返すことによりA/D変換出力信号s'n,np,nrがメモリ回路9-#1に蓄えられ、A/D変換出力信号s''n,np,nrがメモリ回路9-#2に蓄えられる。
【0113】
メモリ回路9-#1から出力されたA/D変換出力信号s'n,np,nrはソート機能付多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段35の図22に示すパルス圧縮手段12-#nに伝達される。以降は実施の形態3と同様に動作しドップラー補正信号
【0114】
【数33】

【0115】
がソート手段33に伝達される。ソート手段33ではドップラー補正信号
【0116】
【数34】

【0117】
を送信周波数の低い方から順に受信信号を並べ替えたソート信号
【0118】
【数35】

【0119】
を生成する。ソート信号
【0120】
【数36】

【0121】
は超分解能測距手段14に伝達され測距値が求まる。
【0122】
また、メモリ回路9-#2から出力されたA/D変換出力信号s''n,np,nrはソート機能付多周波ステップICW型近距離目標用測距手段36の図23に示すパルスヒット方向FFT部22-#nに伝達される。以降は図22のパルスヒット方向FFT部22-#n以降の遠距離用パルスの処理と同様の処理が行われ各目標の測距値が求まる。
【0123】
上記実施の形態8では、パルスごとに送信周波数を切り換えており、遠距離目標で反射した近距離用パルスは周波数成分の異なる近距離用パルスとミキシングされることとなり、受信機入力時には受信機の通過帯域外の周波数成分となり受信機帯域を通過しない状況となる。同様の理由により、観測範囲よりも遠距離の目標で反射した遠距離用パルスも受信機の通過帯域外の周波数成分となり受信機帯域を通過しない状況となる。そのため、遠距離用パルスと近距離用パルスが混信することなく測距を行える。なお、本実施の形態では、遠距離用パルスを先に送信する構成となっているが近距離用パルスを先に送信する構成とすることもできる。
【0124】
実施の形態9.
図25はこの発明の実施の形態9によるレーダ装置の構成を示す図である。37はステップ周波数を大きくして送信周波数をシフトする広周波数ステップ間隔型合成帯域型送信機である。その他の部分は基本的に上記実施の形態7の対応部分に相当する。
【0125】
次に動作について説明する。実施の形態7と同じ図20の動作タイムチャートに従って広周波数ステップ間隔型合成帯域型送信機37から遠距離用パルスが送信される。ここで、周波数ステップ間隔が大きくなるように送信周波数がシフトされているものとする。図26はこのような周波数シフトの一例を示している。図26の(a)のように送信帯域内をシフトするとステップ周波数はΔfであるが、(b)のように、例えば所定値より大きい値と小さい値で切り換えるようにして、周波数をシフトすることで最小のステップ周波数は2Δfとなり、ステップ周波数を2倍以上に大きくできる。目標4で反射した遠距離用パルスが送受信アンテナ3で受信され、以降は実施の形態7と同様にして測距値が求まる。
【0126】
上記実施の形態9では、ステップ周波数を大きくすることで遠距離目標で反射した近距離用パルスの洩れ込みを小さくでき、測距精度劣化が防止できる。図27はこの状況を示している。受信機のゲイン特性は一般には通過帯域幅よりも広い周波数まで通過する特性となっており、ステップ周波数が小さい場合は、(a)に示すように遠距離目標で反射した近距離用パルスの洩れ込みが大きくなる。一方、ステップ周波数を大きくすることで遠距離目標で反射した近距離用パルスの洩れ込みを(b)に示すように小さくできる。
【0127】
実施の形態10.
図28はこの発明の実施の形態10によるレーダ装置の構成を示す図である。38はステップ周波数を大きくして送信周波数をシフトして近距離用パルスを先に送信する近遠順序型の広周波数ステップ間隔型合成帯域型送信機である。その他の部分は基本的に上記実施の形態7の対応部分に相当する。
【0128】
次に動作について説明する。図29の動作タイムチャートに従って近遠順序型広周波数ステップ間隔型合成帯域型送信機38から近距離用パルス、遠距離用パルスの順序で送信される。目標4で反射した近距離用パルスと遠距離用パルスが送受信アンテナ3で受信されメモリ回路9-#1とメモリ回路9-#2にそれぞれ蓄えられる。以降は実施の形態7と同様に動作して測距値が求まる。
【0129】
上記実施の形態10では、ステップ周波数を大きくすることで観測距離範囲外の目標で反射した遠距離用パルスの洩れ込みを小さくでき、測距精度劣化が防止できる。
【0130】
実施の形態11.
図30はこの発明の実施の形態11によるレーダ装置の構成を示す図である。39はステップ周波数を大きくして送信周波数をシフトする広周波数ステップ間隔型多周波ステップICW型送信機である。その他の部分は基本的に上記実施の形態8の対応部分に相当する。
【0131】
次に動作について説明する。実施の形態8と同じ図24の動作タイムチャートに従って広周波数ステップ間隔型多周波ステップICW型送信機39から遠距離用パルスが送信される。ここで、周波数ステップ間隔が大きくなるように送信周波数がシフトされているものとする。目標4で反射した遠距離用パルスが送受信アンテナ3で受信され、以降は実施の形態8と同様にして測距値が求まる。
【0132】
上記実施の形態11では、ステップ周波数を大きくすることで遠距離目標で反射した近距離用パルスの洩れ込みを小さくでき、測距精度劣化が防止できる。
【0133】
実施の形態12.
図31はこの発明の実施の形態12によるレーダ装置の構成を示す図である。40はステップ周波数を大きくして送信周波数をシフトして近距離用パルスを先に送信する近遠順序型の広周波数ステップ間隔型多周波ステップICW型送信機である。その他の部分は基本的に上記実施の形態8の対応部分に相当する。
【0134】
次に動作について説明する。図32の動作タイムチャートに従って近遠順序型広周波数ステップ間隔型多周波ステップICW型送信機40から近距離用パルス、遠距離用パルスの順序で送信される。目標4で反射した近距離用パルスと遠距離用パルスが送受信アンテナ3で受信されメモリ回路9-#1とメモリ回路9-#2にそれぞれ蓄えられる。以降は実施の形態8と同様に動作して測距値が求まる。
【0135】
上記実施の形態12では、ステップ周波数を大きくすることで観測距離範囲外の目標で反射した遠距離用パルスの洩れ込みを小さくでき、測距精度劣化が防止できる。
【0136】
なお、各実施の形態では、超分解能処理方式としてMUSIC法を用いているが、MUSIC法に変えて超分解能処理を高速化が期待できるESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)法や、高精度測距が期待できる最尤推定法等を用いることもできる。
【0137】
また、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、これらの可能な組み合わせを全て含むことは云うまでもない。
【符号の説明】
【0138】
1 合成帯域型送信機、2 サーキュレータ、3 送受信アンテナ、4 目標、5 ミキサー、6 受信機、7 A/D変換器、8 切換スイッチ、9-#1,9-#2 メモリ回路、10 合成帯域型遠距離目標用測距手段、11 合成帯域型近距離目標用測距手段、12-#1〜12-#N パルス圧縮手段、13 合成帯域型目標検出手段、14 超分解能測距手段、15 相関行列生成手段、16 MUSIC用固有ベクトル算出手段、17 MUSIC処理手段、18 近遠順序型合成帯域型送信機、19 多周波ステップICW型送信機、20 多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段、21 多周波ステップICW型近距離目標用測距手段、22-#1〜22-#N パルスヒット方向FFT部、23 多周波ステップICW型目標検出手段、24-#1〜24-#N ドップラー補正手段、25 近遠順序型多周波ステップICW型送信機、26 送信順序可変型合成帯域型送信機、27 切換判定回路、28 送信順序可変型多周波ステップICW型送信機、30 遠近個別型合成帯域型送信機、31 ソート機能付合成帯域型遠距離目標用測距手段、32 ソート機能付合成帯域型近距離目標用測距手段、33 ソート手段、34 遠近個別型多周波ステップICW型送信機、35 ソート機能付多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段、36 ソート機能付多周波ステップICW型近距離目標用測距手段、37 広周波数ステップ間隔型合成帯域型送信機、38 近遠順序型広周波数ステップ間隔型合成帯域型送信機、39 広周波数ステップ間隔型多周波ステップICW型送信機、40 近遠順序型広周波数ステップ間隔型多周波ステップICW型送信機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の小さい近距離用パルスと電力の大きい遠距離用パルスを送信周波数を変えながら交互に送信し、目標で反射した近距離用パルスと遠距離用パルスをそれぞれ異なる周波数の帯域制限を与えて通過させた後出力する送受信系と、
前記送受信系の出力から前記目標までの距離を測距する測距系と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
送受信系が、送信帯域幅の逆数より定まるパルス幅の近距離用パルスと、送信帯域幅の逆数より定まるチップ幅を単位として符号変調を施した遠距離用パルスを交互に送信することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
送受信系が、近距離用パルスと遠距離用パルスを異なる周波数にて送信し、近距離目標検出時には近距離用パルスの送信周波数でミキシングし、遠距離目標検出時には遠距離用パルスの送信周波数でミキシングすることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項4】
送受信系が、近距離用パルスと遠距離用パルスを生成して送信させると共に遠距離用パルスと近距離用パルスを切り換えるときに送信周波数をステップさせる合成帯域型の送信機を含むことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項5】
送受信系が、近距離用パルスと遠距離用パルスを生成して送信させると共に送信周波数をステップさせる際の周波数の掃引パターンを複数回繰り返す多周波ステップICW型の送信機を含むことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項6】
送受信系が、近距離用パルスと遠距離用パルスを生成して送信させると共に遠距離用パルスと近距離用パルスの送信順序を切り換え可能な送信順序可変型の送信機を含み、
測距系が、前記送受信系の出力に基づくパルスの混信状況に従ってパルスの送信順序を判定し送信機にフィードバックする切換判定回路を含み、
前記送信機がフィードバックに従って遠距離用パルスと近距離用パルスの送信順序を切り換える
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項7】
送受信系が、近距離用パルスと遠距離用パルスを生成して送信させると共に遠距離用パルスと近距離用パルスとの切り換え毎に送信周波数をステップさせる遠近個別型の合成帯域型送信機を含むことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項8】
送受信系が、近距離用パルスと遠距離用パルスを生成して送信させると共に遠距離用パルスと近距離用パルスとの切り換え毎に送信周波数をステップさせ、かつ送信周波数をステップさせる際の周波数の掃引パターンを複数回繰り返す遠近個別型の多周波ステップICW型送信機を含むことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項9】
送受信系が、近距離用パルスと遠距離用パルスを生成して送信させると共に遠距離用パルスと近距離用パルスを切り換えるときに大きい周波数変動で送信周波数をステップさせて送信パルスを生成する広周波数ステップ間隔型の合成帯域型送信機を含むことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項10】
送受信系が、近距離用パルスと遠距離用パルスを生成して送信させると共に遠距離用パルスと近距離用パルスを切り換えるときに大きい周波数変動で送信周波数をステップさせ、かつ送信周波数をステップさせる際の周波数の掃引パターンを複数回繰り返す広周波数ステップ間隔型の多周波ステップICW型送信機を含むことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項11】
送受信系が、
遠距離用パルス、近距離用パルスの順番で交互に送信すると共に近距離用パルスから遠距離用パルスへの切換時に送信周波数をステップさせて送信パルスを生成する合成帯域型送信機、または近距離用パルス、遠距離用パルスの順番で交互に送信すると共に遠距離用パルスから近距離用パルスへの切換時に送信周波数をステップさせて送信パルスを生成する近遠順序型の合成帯域型送信機と、
電波の送信と受信を切り換えるサーキュレータと、
送信パルスによる電波の送信および受信パルスの受信を行う送受信アンテナと、
受信パルスと送信パルスをミキシングするミキサーと、
ミキシングされた受信信号の帯域制限、位相検波を行う受信機と、を含み、
測距系が、
前記受信機からのアナログ信号をサンプリングしてディジタル信号を生成するA/D変換器と、
前記A/D変換器からのディジタル信号を近距離目標用の処理と遠距離目標用の処理で切り換える切換スイッチと、
前記切換スイッチで切り換えられた近距離目標用と遠距離目標用のディジタル信号を別々に蓄積しておくメモリ回路と、
遠距離目標用のディジタル信号に基づき送信機のパルス送受信を想定して遠距離目標を想定した測距処理を行う合成帯域型遠距離目標用測距手段と、を含む、
近距離目標用のディジタル信号に基づき送信機のパルス送受信を想定して近距離目標を想定した測距処理を行う合成帯域型近距離目標用測距手段と、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項12】
送信機で遠距離用パルスに符号変調が施され、
合成帯域型遠距離目標用測距手段が、
メモリ回路に蓄積されたディジタル信号の符号変調の施された遠距離用パルスをS/N比を改善するためのパルス圧縮するパルス圧縮手段と、
パルス圧縮された信号に対し送信機によるパルス送受信を想定した目標検出処理を行う合成帯域型目標用検出手段と、
目標検出処理結果の目標距離をレンジ分解能よりも高い分解能で測距する超分解能測距手段と、
を含むことを特徴とする請求項11に記載のレーダ装置。
【請求項13】
合成帯域型近距離目標用測距手段が、
メモリ回路に蓄積されたディジタル信号の近距離用パルスの信号に対し送信機によるパルス送受信を想定した目標検出処理を行う合成帯域型目標用検出手段と、
目標検出処理結果の目標距離をレンジ分解能よりも高い分解能で測距する超分解能測距手段と、
を含むことを特徴とする請求項11または12に記載のレーダ装置。
【請求項14】
超分解能測距手段が、
目標検出処理結果の目標距離の送信周波数間の相関を表す相関行列を生成する相関行列生成手段と、
相関行列に対しMUSIC処理を行うための固有ベクトルを算出するMUSIC用固有ベクトル算出手段と、
固有ベクトルに従ってMUSIC処理を行うMUSIC処理手段と、
を含むことを特徴とする請求項12または13に記載のレーダ装置。
【請求項15】
送受信系が、
遠距離用パルス、近距離用パルスの順番で交互に送信すると共に近距離用パルスから遠距離用パルスへの切換時に送信周波数をステップさせさらに送信周波数をステップさせる際の周波数の掃引パターンを複数回繰り返す多周波ステップICW型送信機、または近距離用パルス、遠距離用パルスの順番で交互に送信すると共に遠距離用パルスから近距離用パルスへの切換時に送信周波数をステップさせさらに送信周波数をステップさせる際の周波数の掃引パターンを複数回繰り返す近遠順序型の多周波ステップICW型送信機と、
電波の送信と受信を切り換えるサーキュレータと、
送信パルスによる電波の送信および受信パルスの受信を行う送受信アンテナと、
受信パルスと送信パルスをミキシングするミキサーと、
ミキシングされた受信信号の帯域制限、位相検波を行う受信機と、を含み、
測距系が、
前記受信機からのアナログ信号をサンプリングしてディジタル信号を生成するA/D変換器と、
前記A/D変換器からのディジタル信号を近距離目標用の処理と遠距離目標用の処理で切り換える切換スイッチと、
前記切換スイッチで切り換えられた近距離目標用と遠距離目標用のディジタル信号を別々に蓄積しておくメモリ回路と、
遠距離目標用のディジタル信号に基づきドップラー周波数領域で遠距離目標の信号を検出し測距する多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段と、
近距離目標用のディジタル信号に基づきドップラー周波数領域で近距離目標の信号を検出し測距する多周波ステップICW型近距離目標用測距手段と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項16】
送信機で遠距離用パルスに符号変調が施され、
多周波ステップICW型遠距離目標測距手段が、
メモリ回路に蓄積されたディジタル信号の符号変調の施された遠距離用パルスをS/N比を改善するためのパルス圧縮するパルス圧縮手段と、
パルス圧縮された遠距離用パルスに基づきパルスヒット方向に対する目標信号の位相変化からドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFT部と、
送信機によるパルス送受信を想定した目標検出処理を行う多周波ステップICW型目標検出手段と、
目標検出処理結果のドップラーにより回転した目標信号の位相回転を補正するドップラー補正手段と、
ドップラー補正された目標検出処理結果の目標距離をレンジ分解能よりも高い分解能で測距する超分解能測距手段と、
を含むことを特徴とする請求項15に記載のレーダ装置。
【請求項17】
多周波ステップICW型近距離目標測距手段が、
メモリ回路に蓄積されたディジタル信号の近距離用パルスに基づきパルスヒット方向に対する目標信号の位相変化からドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFT部と、
送信機によるパルス送受信を想定した目標検出処理を行う多周波ステップICW型目標検出手段と、
目標検出処理結果のドップラーにより回転した目標信号の位相回転を補正するドップラー補正手段と、
ドップラー補正された目標検出処理結果の目標距離をレンジ分解能よりも高い分解能で測距する超分解能測距手段と、
を含むことを特徴とする請求項15または16に記載のレーダ装置。
【請求項18】
送受信系において、合成帯域型送信機または近遠順序型の合成帯域型送信機が遠距離用パルスと近距離用パルスを所望の順序に切り換え可能で、送信周波数をステップさせて送信パルスを生成するそれぞれ送信順序可変型の、合成帯域型送信機または近遠順序型の合成帯域型送信機からなり、
測距系が、合成帯域型近距離目標用測距手段と合成帯域型遠距離目標用測距手段のディジタル信号に基づきパルスの混信状況に従ってパルスの送信順序を判定し送信機にフィードバックする切換判定回路をさらに含み、
前記送信順序可変型の、合成帯域型送信機または近遠順序型の合成帯域型送信機がフィードバックに従って遠距離用パルスと近距離用パルスの送信順序を切り換える
ことを特徴とする請求項11から14までのいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項19】
送受信系において、多周波ステップICW型送信機または近遠順序型の多周波ステップICW型送信機が遠距離用パルスと近距離用パルスを所望の順序に切り換え可能で、送信周波数をステップさせ、送信周波数をステップさせる際の周波数の掃引パターンを複数回繰り返すそれぞれ送信順序可変型の、多周波ステップICW型送信機または近遠順序型の多周波ステップICW型送信機からなり、
測距系が、多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段と多周波ステップICW型近距離目標用測距手段のディジタル信号に基づきパルスの混信状況を判定し送信機にフィードバックする切換判定回路をさらに含み、
前記送信順序可変型の、多周波ステップICW型送信機または近遠順序型の多周波ステップICW型送信機がフィードバックに従って遠距離用パルスと近距離用パルスの送信順序を切り換える
ことを特徴とする請求項15から17までのいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項20】
送受信系において、合成帯域型送信機または近遠順序型の合成帯域型送信機が遠距離用パルスと近距離用パルスの切り換え毎に送信周波数をステップさせて送信パルスを生成するそれぞれ遠近個別型の、合成帯域型送信機または近遠順序型の合成帯域型送信機からなり、
測距系において、合成帯域型近距離目標用測距手段と合成帯域型遠距離目標用測距手段が、それぞれ近距離目標用、遠距離目標用のディジタル信号を送信周波数の低い方から順に並べ替えた後測距処理を行うそれぞれソート機能付合成帯域型近距離目標用測距手段、ソート機能付合成帯域型遠距離目標用測距手段からなる、
ことを特徴とする請求項11に記載のレーダ装置。
【請求項21】
送信機で遠距離用パルスに符号変調が施され、
ソート機能付合成帯域型遠距離目標用測距手段が、
メモリ回路に蓄積されたディジタル信号の符号変調の施された遠距離用パルスをS/N比を改善するためのパルス圧縮するパルス圧縮手段と、
パルス圧縮された信号に対し送信機によるパルス送受信を想定した目標検出処理を行う合成帯域型目標用検出手段と、
目標検出処理結果の信号を送信周波数の低い方から順に並べ替えて出力するソート手段と、
ソートされた目標検出処理結果の目標距離をレンジ分解能よりも高い分解能で測距する超分解能測距手段と、を含み、
ソート機能付合成帯域型近距離目標用測距手段が、
メモリ回路に蓄積されたディジタル信号の近距離用パルスの信号に対し送信機によるパルス送受信を想定した目標検出処理を行う合成帯域型目標用検出手段と、
目標検出処理結果の信号を送信周波数の低い方から順に並べ替えて出力するソート手段と、
ソートされた目標検出処理結果の目標距離をレンジ分解能よりも高い分解能で測距する超分解能測距手段と、を含む、
ことを特徴とする請求項20に記載のレーダ装置。
【請求項22】
送受信系において、多周波ステップICW型送信機または近遠順序型の多周波ステップICW型送信機が遠距離用パルスと近距離用パルスの切り換え毎に送信周波数をステップさせて送信パルスを生成するそれぞれ遠近個別型の、多周波ステップICW型送信機または近遠順序型の多周波ステップICW型送信機からなり、
測距系において、多周波ステップICW型近距離目標用測距手段と多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段が、それぞれ近距離目標用、遠距離目標用のディジタル信号を送信周波数の低い方から順に並べ替えた後測距処理を行うそれぞれソート機能付多周波ステップICW型近距離目標用測距手段、ソート機能付多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段からなる、
ことを特徴とする請求項15に記載のレーダ装置。
【請求項23】
送信機で遠距離用パルスに符号変調が施され、
ソート機能付多周波ステップICW型遠距離目標測距手段が、
メモリ回路に蓄積されたディジタル信号の符号変調の施された遠距離用パルスをS/N比を改善するためのパルス圧縮するパルス圧縮手段と、
パルス圧縮された遠距離用パルスに基づきパルスヒット方向に対する目標信号の位相変化からドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFT部と、
送信機によるパルス送受信を想定した目標検出処理を行う多周波ステップICW型目標検出手段と、
目標検出処理結果のドップラーにより回転した目標信号の位相回転を補正するドップラー補正手段と、
ドップラー補正された目標検出処理結果の信号を送信周波数の低い方から順に並べ替えて出力するソート手段と、
ソートされたドップラー補正された目標検出処理結果の目標距離をレンジ分解能よりも高い分解能で測距する超分解能測距手段と、を含み、
ソート機能付多周波ステップICW型近距離目標測距手段が、
メモリ回路に蓄積されたディジタル信号の近距離用パルスに基づきパルスヒット方向に対する目標信号の位相変化からドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFT部と、
送信機によるパルス送受信を想定した目標検出処理を行う多周波ステップICW型目標検出手段と、
目標検出処理結果のドップラーにより回転した目標信号の位相回転を補正するドップラー補正手段と、
ドップラー補正された目標検出処理結果の信号を送信周波数の低い方から順に並べ替えて出力するソート手段と、
ソートされたドップラー補正された目標検出処理結果の目標距離をレンジ分解能よりも高い分解能で測距する超分解能測距手段と、を含む、
ことを特徴とする請求項22に記載のレーダ装置。
【請求項24】
送受信系が、
遠距離用パルス、近距離用パルスの順番で交互に送信すると共に近距離用パルスから遠距離用パルスへの切換時に、所定周波数より大きい周波数と小さい周波数との間で周波数を切り換えることで、大きい周波数変動で送信周波数をステップさせ送信パルスを生成する広周波数ステップ間隔型の合成帯域型送信機、または近距離用パルス、遠距離用パルスの順番で交互に送信すると共に遠距離用パルスから近距離用パルスへの切換時に前記大きい周波数変動で送信周波数をステップさせて送信パルスを生成する近遠順序型の広周波数ステップ間隔型の合成帯域型送信機と、
電波の送信と受信を切り換えるサーキュレータと、
送信パルスによる電波の送信および受信パルスの受信を行う送受信アンテナと、
受信パルスと送信パルスをミキシングするミキサーと、
ミキシングされた受信信号の帯域制限、位相検波を行う受信機と、を含み、
測距系が、
前記受信機からのアナログ信号をサンプリングしてディジタル信号を生成するA/D変換器と、
前記A/D変換器からのディジタル信号を近距離目標用の処理と遠距離目標用の処理で切り換える切換スイッチと、
前記切換スイッチで切り換えられた近距離目標用と遠距離目標用のディジタル信号を別々に蓄積しておくメモリ回路と、
遠距離目標用のディジタル信号に基づき、送信機のパルス送受信を想定して遠距離目標を想定し、ディジタル信号を送信周波数の低い方から順に並べ替えた後測距処理を行うソート機能付合成帯域型遠距離目標用測距手段と、を含む、
近距離目標用のディジタル信号に基づき、送信機のパルス送受信を想定して近距離目標を想定し、ディジタル信号を送信周波数の低い方から順に並べ替えた後測距処理を行うソート機能付合成帯域型近距離目標用測距手段と、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項25】
送受信系が、
遠距離用パルス、近距離用パルスの順番で交互に送信すると共に近距離用パルスから遠距離用パルスへの切換時に、所定周波数より大きい周波数と小さい周波数との間で周波数を切り換えることで、大きい周波数変動で送信周波数をステップさせさらに送信周波数をステップさせる際の周波数の掃引パターンを複数回繰り返す広周波数ステップ間隔型の多周波ステップICW型送信機、または近距離用パルス、遠距離用パルスの順番で交互に送信すると共に遠距離用パルスから近距離用パルスへの切換時に前記大きい周波数変動で送信周波数をステップさせさらに送信周波数をステップさせる際の周波数の掃引パターンを複数回繰り返す近遠順序型の広周波数ステップ間隔型の多周波ステップICW型送信機と、
電波の送信と受信を切り換えるサーキュレータと、
送信パルスによる電波の送信および受信パルスの受信を行う送受信アンテナと、
受信パルスと送信パルスをミキシングするミキサーと、
ミキシングされた受信信号の帯域制限、位相検波を行う受信機と、を含み、
測距系が、
前記受信機からのアナログ信号をサンプリングしてディジタル信号を生成するA/D変換器と、
前記A/D変換器からのディジタル信号を近距離目標用の処理と遠距離目標用の処理で切り換える切換スイッチと、
前記切換スイッチで切り換えられた近距離目標用と遠距離目標用のディジタル信号を別々に蓄積しておくメモリ回路と、
遠距離目標用のディジタル信号に基づき、ドップラー周波数領域で遠距離目標の信号を検出し、ディジタル信号を送信周波数の低い方から順に並べ替えた後測距するソート機能付多周波ステップICW型遠距離目標用測距手段と、
近距離目標用のディジタル信号に基づき、ドップラー周波数領域で近距離目標の信号を検出し、ディジタル信号を送信周波数の低い方から順に並べ替えた後測距するソート機能付多周波ステップICW型近距離目標用測距手段と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2011−247776(P2011−247776A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121916(P2010−121916)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】