説明

ロケーションデバイス

ロケーションデバイス(10)は、好ましくは、衛星信号を受信するグローバルポジショニングデバイスである、ロケーション検出および処理モジュール(12)を具備する。モジュールは、デジタルでエンコードされた信号の形態で、ポジションデータを、起動デバイス(16)に結合されている制御プロセッサ(14)に出力する。プロセッサ(14)は、プロセッサ(12)から受け取った信号をさらに処理して、シンセサイザーが認識して、緯度および経度に関してデバイス(10)のポジションを表す音声データ信号に変換できる形態で、信号を音声シンセサイザー(20)に提供する。シンセサイザーはその信号を送信機(22)に送り、送信機は無線音声信号としてその信号を送信する。制御プロセッサは、中央機関への直接送信のために、デジタルでエンコードされた音声データを送信機(22)または送信機(23)に送ってもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、特に緊急または遭難状況において、人、動物、またはその他の物体のロケーションを提供するロケーションデバイスに関する。
【発明の背景】
【0002】
ロケーションデバイスは多数の環境において使用される。1つのそのような環境は、ボートに乗船している人が、通常タグまたはペンダントの形態でデバイスを着用する、海洋用途である。デバイスは継続的にボート上の監視システムと通信し、ボートに対するデバイスの近さを決定する。デバイスが検出される場合、これはその人が安全にボートに乗船していることを意味する。しかしながら、デバイスをもはや検出できない場合、これはその人がボートから水中へ落ちてしまったという表示であるかもしれない。したがって、適切なアラームを与え、その人に対する捜索を直ちに始めることができる。
【0003】
適切な遭難信号が与えられるように、これらのデバイスが水に接触するとき、デバイスが自己起動する能力も提供してもよい。
【0004】
デバイスがシステムから見失われたときのボートのロケーションを与えることができるように、搭載システムはGPSシステムを具備する。その人が直ちに発見されない事態において、何らかの追加捜索を容易にするためにこれを使用できる。
【0005】
海洋用途において使用される即知のデバイスが持つ不利点は、GPSポジションをロギングできるが、このGPSポジションは、その人が直ちに発見されない場合、流れにより漂流しているかもしれず、それゆえボートからかなり離れていて、システムに対してデバイスが見失われたときに提供されたオリジナルのGPSデータにより規定される捜索エリアのかなり外にいるかもしれないその人のポジションでは必ずしもないということである。
【0006】
人々または物品の救出を容易にする別のタイプのデバイスは、遭難ビーコン、緊急ビーコン、または、単にビーコンとしても知られている、遭難無線ビーコンである。
【0007】
一般的に、このようなビーコンが起動されるとき、ビーコンは衛星信号を送信して、衛星は次に、通常地上に配置されている中央捜索機関に信号を中継する。これらのビーコンは、特定の周波数において、電子的にデジタルでコード化されたフォーマットで、グローバルポジショニング情報を送信することが多く、したがって、情報はビーコンの緯度および経度に電子的に翻訳される。ビーコンの回収に携わる人々またはビーコン所有者は、グローバルポジショニング情報をデコードする特定の機器へのアクセスを持たなければならない、または、その機器へのアクセスを有している人とコンタクトを持たなければならない。
【0008】
人がボートから水中に落ちる事態のような海洋環境におけるこのようなビーコンの使用において、緊急ビーコンは、その事態が起きた船の乗組員と通信せず、むしろ地上ベースの設備と通信することが多い。ほとんどのケースで、ビーコンのデジタルグローバルポジショニング信号出力をピックアップする、または、解読する自己の機器を船は有していない。地上基地が、その事態に携わっている船への通信を試みる間、このプロセスは著しい時間的遅延の結果となりうる。
【0009】
遭難時の人の回収のスピードは、彼らの生存において重大な要素であり、それゆえに、できるだけ多くの人を、できるだけ迅速に位置特定に携わらせる能力と、事態の復旧訓練とが生存のチャンスを著しく向上させることを研究は示している。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、ロケーションデバイス中に存在してもよく、ロケーションデバイスは、
デバイスのロケーションに関するポジションデータを提供するロケーション検出プロセッサと、
データを受け取り、データを音声信号に変換する音声シンセサイザーと、
シンセサイザーから音声データを受け取り、音声データを無線音声メッセージとして送信する送信機とを具備する。
【0011】
したがって、ポジションデータは音声データに変換され、送信機により送信されることから、音声信号は、周辺の船またはこれに類するものによる検出のために、多数の標準チャネルのうちの任意の1つ以上のもの上で、デバイスから送信される。例えば、海洋用途のケースで、送信機は、通常、ボートオペレータにより聞かれる標準遭難チャネル上で送信してもよい。
【0012】
ゆえに、本発明は、同調可能な無線送信機を持つ任意の人が、デバイスからの音声信号をピックアップし、分かりやすい言語音声メッセージ送信で、デバイスの正確な緯度および経度のロケーションを聞けるようにする。よって、付近の誰かにより遭難メッセージがピックアップされる可能性は大きく増加し、それによって、保持デバイスを着用している人の迅速な救出の可能性も増加する。発明の1つの実施形態において、ロケーション検出はグローバルポジショニング衛星デバイスを具備する。
【0013】
発明の1つの実施形態において、デバイスは、1つ以上の衛星を通して、追加のコード化された信号としてポジションデータを中央機関または基本機関に直接的に送信してもよい。
【0014】
デバイスは、デバイスを起動し、音声シンセサイザーによる受け取りのために、ポジションデータを処理する制御プロセッサをさらに具備する。
【0015】
1つの実施形態において、デバイスは、特定の刺激に応答してデバイスを起動するデバイス起動モジュールも具備し、モジュールは、制御プロセッサにデバイスを起動させるために、制御プロセッサに信号を供給する。
【0016】
1つの実施形態において、この特定の刺激は、デバイスの水との接触や、ネットワークに対するデバイスの近さを決定する通信信号のシステムネットワークからの受信の失敗や、高度の急激な変化であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
発明の実施形態は、例えば、添付している図面を参照して説明されている。
【図1】図1は、発明の1つの実施形態のブロック図である。
【図2】図2は、図1の実施形態の海洋用途のブロック図である。
【実施形態の詳細な説明】
【0018】
図1を参照して、ロケーションデバイス10を示す発明の実施形態が開示されている。ロケーションデバイス10は、遭難信号を提供するために、人により着用もしくは保持され、そうでなければ、物品に取り付けられる、タグ、ペンダント、またはその他のデバイスの形態であると便利である。デバイス10は、ロケーション検出および処理モジュール12を具備する。ロケーション検出および処理モジュール12は、デバイスのポジションを決定できるように、(示されていない)複数の衛星からの信号を受信するグローバルポジショニングデバイスであることが好ましい。モジュール12は、デジタルでエンコードされた信号の形態で、ポジションデータを制御プロセッサ14に出力する。プロセッサ14は、起動デバイス16にも結合されている。起動デバイス16は、プロセッサ14にデバイス10を起動させるために、信号をプロセッサ14に提供する。プロセッサ14は、プロセッサ12から受け取ったデジタル信号の処理をさらに提供してもよく、シンセサイザーが認識して、緯度および経度に関してデバイス10のポジションを表す、送信機22への音声データ信号にシンセサイザーが変換できる形態で、プロセッサ14が信号を音声シンセサイザー20に提供する。そして、送信機22は、(示されていない)受信機による検出のために、音声信号としてその信号を無線で送信する。
【0019】
したがって、この信号を受信する任意の受信者は、デバイスのポジションを表す音声メッセージを聞き、それゆえ、援助を与えるために迅速に応答できる。この音声メッセージは、緊急または遭難状態に言及する標準メッセージも含んでもよい。
【0020】
デバイスのポジションを与えるデータを中央機関に中継し続ける衛星ネットワークに対して送信するために、プロセッサ制御装置14はまた、独立した送信機23の形態である送信装置に対して、デジタルでエンコードされた音声データを提供してもよい。代わりに、送信機22は、無線音声信号に加えて、エンコードされた音声データを受け取って送信してもよい。
【0021】
図2は、発明の海洋用途を図示しているブロック図である。同一の参照番号表示は、先に説明したものに対して同一の部品を示している。
【0022】
衛星ロケーションデータは、ロケーション検出プロセッサ12により、衛星から受信される。ロケーション検出プロセッサ12は、この実施形態において、グローバルポジショニング衛星受信機であり、デバイスのポジションを表しているデジタル信号をプロセッサ制御装置14に提供する。デバイス10は典型的に、ボートに乗船中の人により着用され、人が水中に落ちた事態において、緊急アラートを提供する。典型的に、このようなデバイスは、人が不注意で船から水中に落ちる可能性があるか否かにかかわらず、チャーターボート、クルーズ、または、それらに類するものの上にいる人により着用される。
【0023】
この実施形態中の起動モジュール16は、送信機/受信機16cを通し、通信リンク24を介して、ボートに搭載されたシステムネットワークと通信する。典型的に、システムネットワークは信号を出力し、この信号は、デバイス10’を着用している人が乗船中の場合に、デバイス10’により受信され、ネットワークシステムに対する返信により、信号に肯定応答するようにデバイスを促し、それゆえ返信は人が安全に乗船していることを示す。
【0024】
人が船から水中に落ちる事態において、ボートに搭載されているシステムネットワークはもはやデバイス10’から戻ってくる信号を受信しない。システムネットワークは、船客により着用されているデバイス10’のうちの1つが応答していないことを示すアラームを発生させることができ、これは、その人が船から水中に落ちたかもしれないことや、適切な捜索を直ちに始めることができることを示す。
【0025】
同時に、デバイス10’はもはやシステムネットワークからの信号を受信しない。GPS受信機12により提供されるポジションデータが処理されて、音声データへの変換と送信機22への提供とのために音声シンセサイザー20に提供され、送信機22が音声データを音声信号として、通常すべてのボートオペレータにより聞かれる遭難チャネル16および67上で送信できるように、信号の欠如が制御プロセッサ14により検出され、デバイス10’の起動を生じさせる。したがって、周辺の任意のボートオペレータは、そのボートに搭載されている受信機から、話されたメッセージとして、遭難メッセージと、デバイス10’のポジションとを聞き、援助を与えるために直ちに応答できる。
【0026】
緊急応答も提供することができる中央機関に対しての再送信ために、データが衛星ネットワークに送信されるように、制御プロセッサ14は、デジタルでコード化された音声データを(送信機22または独立した送信機であってもよい)送信機に供給してもよい。
【0027】
起動モジュール16は、デバイスを着用している人による、スイッチ16aの押下またはそれに類することにより、手動で起動させることもでき、あるいは、デバイス10’が水に接触するとき、水感知モジュール16bにより起動させることができ、それによって、起動モジュール16は、デバイス10’を起動させるための信号をプロセッサ制御装置14に提供する。
【0028】
デバイス10の主要部分は、再充電不可能なリチウムまたはポリマーバッテリ28により電力が供給されてもよい。
【0029】
添付された特許請求の範囲を逸脱することなく、多くの変更ができることを、当業者は理解するであろう。
【0030】
以下の特許請求の範囲および先の発明の説明において、明示された言語または必要な意味合いのために状況が必要とする場合を除いて、“用語“含む”や“含む”や“含んでいる”のような変形は、包含的な意味で、例えば、本発明のさまざまな実施形態中において、表されている特徴の存在を特定するために使用されているが、さらなる特徴の存在または追加を排除するために使用されていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロケーションデバイスにおいて、
前記デバイスのロケーションに関連するポジションデータを提供するロケーション検出プロセッサと、
前記データを受け取り、前記データを音声信号に変換する音声シンセサイザーと、
前記シンセサイザーから前記音声データを受け取り、前記音声データを無線音声メッセージとして送信する送信機とを具備するロケーションデバイス。
【請求項2】
前記デバイスが、付加的なコード化された信号として前記ポジションデータを直接的に中央機関に送信するようにも動作可能である請求項1記載のロケーションデバイス。
【請求項3】
前記デバイスを起動させ、前記音声シンセサイザーによる受け取りのために、前記ポジションデータを処理する制御プロセッサを具備する請求項1または2記載のロケーションデバイス。
【請求項4】
前記制御プロセッサが、デジタルでエンコードされた音声データを前記音声シンセサイザーに提供するように動作可能である請求項3記載のロケーションデバイス。
【請求項5】
前記制御プロセッサが、中央機関への送信のために、前記デジタルでエンコードされた音声データを送信装置に提供するようにも動作可能である請求項4記載のロケーションデバイス。
【請求項6】
前記送信機が前記送信装置を提供する請求項5記載のロケーションデバイス。
【請求項7】
前記送信装置が前記送信機に対して付加的である請求項6記載のロケーションデバイス。
【請求項8】
特定の刺激に応答して、前記デバイスを起動させるデバイス起動モジュールも具備し、前記モジュールは、前記制御プロセッサに前記デバイスを起動させるために、前記制御プロセッサに信号を供給する請求項3〜7のいずれか1項記載のロケーションデバイス。
【請求項9】
前記特定の刺激が前記デバイスの水との接触である請求項8記載のロケーションデバイス。
【請求項10】
前記特定の刺激がシステムネットワークからの通信信号の受信の失敗である請求項8記載のロケーションデバイス。
【請求項11】
前記特定の刺激が高度の変化である請求項8記載のロケーションデバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2011−501164(P2011−501164A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530220(P2010−530220)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001376
【国際公開番号】WO2009/052546
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510116657)モビルアーム・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】