説明

ロリポップの製造に用いる保持台およびロリポップの製造方法

柄をタブレットへ取り付けてロリポップを形成する方法において、特異的な保持台を用いる。該保持台は、頂面から底面にわたる複数の開口部を備える工作パレットを有する。個々の開口部にバレットおよびバネが配置され、工作パレットの底面の溝部に沿って摺動することで底面において開口部を塞ぐ板部により保持される。個々のバネはバレットと板部との間に配置される。個々のバレットの空洞にタブレットを配置し、個々のタブレットに接触するように柄を配置する。超音波振動等の高周波機械的振動を個々のタブレットと柄との接合界面に、該接合界面が溶融状態に達するまで印加する。それから接合界面を冷却し、柄を個々のタブレットに取り付けてロリポップを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形経口服用形態等のタブレットに柄を取り付けることでロリポップを形成するための保持台、および該保持台を同様に利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、経粘膜活性剤配送のために柄に取り付けられる薬剤の固形経口服用形態が、特許文献1において開示されている。非侵入であり特に容易な配送方法を提供することに加えて、柄に取り付けられる固形経口服用形態によって、患者または介護者が用量を口に出し入れし該用量を滴定することが可能となる。この行為は効果までの投与量と呼ばれ、これにおいては患者または介護者が、予想される治療効果が達成されるまで投与量を制御する。痛み、吐き気、乗物酔い、麻酔前の前投薬等の症状の患者はこれらの症状の治療のために異なる量の服用を必要とするため、効果までの投与量の行為はこれらの症状に特に重要である。一旦適切な量の活性剤が配送されれば,患者または介護者は固形経口服用形態を取り外し、これによって活性剤配送を停止して過剰投与を防止することができる。
【0003】
柄に取り付けられる薬用固形経口服用形態についての一般的な関心事は、装置の一部の該固形経口服用形態が柄から外れうることである。固形経口服用形態が柄から外れた場合、活性剤を望まれるように除去および/あるいは投与することがより困難になりうる。柄から外れた固形経口服用形態全体が嚥下され活性剤の過剰投与となりうる可能性もまた関心事である。同様に、外れた固形経口服用形態は窒息の危険を生じうる。
【0004】
固形経口服用形態の柄への安全な取り付け方法の一つは、特許文献2に開示されているような、超音波振動等の機械的振動の利用である。このような手順は、柄の固形経口服用形態への挿入、およびホーンによる振動の伝達による柄への圧力の印加を含む。複数の柄と固形経口服用形態との取り付けを自動化された手順において同一のホーンで行なう場合、柄が同じ高さではない際にいくつかの柄が取り付けられない、あるいはいくつかの柄に過剰な圧力が印加され固形経口服用形態に亀裂が生じる恐れがあるという問題がある。
【0005】
よって、当該技術において、例えば固形経口服用形態等のロリポップのタブレット部分をそれに挿入される柄とともに、個々の組み立てられる柄とタブレットとの相対的移動を許容する取り付け手順の間保持することが可能な保持台が必要とされる。相対的移動を許容するこのような保持台は、全ての柄のタブレットへの取り付けを確実とするとともに、タブレットの亀裂の原因となる柄への過剰な圧力の印加を防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許4671953号
【特許文献2】米国特許出願11/446510、2006年6月5日出願
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施例の一つに係る保持台は、
第一表面、第二表面および第一表面内の複数の開口部を有する工作パレット、
複数のバレットであって、個々のバレットは第一空洞を有するとともに、複数のバレットのそれぞれが前記工作パレットの前記複数の開口部の1つに挿入されるものとするバレット、および
複数のバネであって、個々のバネは工作パレットの前記複数の開口部の1つの中で、前記バレットの1つと表面との間に配置されるものとするバネ、
からなるものである。
【0008】
本発明の別実施例に係る保持台は、柄の固形経口服用形態への超音波による結合に用いられるものである。
該保持台は、
工作パレットであって、第一表面、第二表面、該工作パレットを通して前記第一表面から前記第二表面へ延伸する複数の開口部、および前記工作パレットの前記第二表面の長手方向に延伸する溝部を有する工作パレット、
工作パレットの前記溝部に挿入され、工作パレットの第二表面の前記複数の開口部を塞ぐ板部、
複数のバレットであって、個々のバレットは一方の側で固形経口服用形態を受けるように形成される第一空洞およびもう一方の側でバネを受けるように形成される第二空洞を有するとともに、該複数のバレットのそれぞれが工作パレットの前記複数の開口部の1つに挿入され、前記第一空洞が工作パレットの前記第一表面と対向するとともに前記第二空洞が前記板部と対向するものとするバレット、および
複数のバネであって、個々のバネは前記第二空洞の一つに接するとともに前記複数のバレットの一つと前記板部との間に配置されるものとするバネ、
からなるものである。
【0009】
本発明の別実施例は、柄をタブレットへ取り付けてロリポップを形成する方法に関する。
該方法は、
第一表面、第二表面および第一表面内の複数の開口部を有する工作パレット、
複数のバレットであって、個々のバレットは第一空洞を有するとともに、それぞれ前記工作パレットの複数の開口部の1つに挿入されるものとするバレット、および
複数のバネであって、個々のバネはそれぞれ工作パレットの前記複数の開口部の中で、バレットの1つと表面との間に配置されるものとするバネ、
からなる保持台を設けることからなる。
前記複数のバレットの第一空洞にそれぞれタブレットを配置し、それから柄を前記タブレットと接するように配置し、個々の柄とタブレットとの接触領域に接合界面を形成させる。個々の前記接合界面において前記タブレットが溶融状態に達するまで高周波機械的振動を接合界面に印加し、前記接合界面を溶融状態から冷却し凝固させることで、個々のタブレットに柄を取り付けロリポップを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の保持台の分解図である。
【図2】保持台の長手方向の断面図である。
【図3】保持台の上面図である。
【図4】保持台の側面図である。
【図5】図3中5−5矢視断面図である。
【図6】保持台のバレットの断面図である。
【図7】取り付け前のタブレットおよび柄を備える保持台の断面図である。
【図8】取り付け中のタブレットおよび柄を備える保持台の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、タブレットに柄を取り付けることでロリポップを形成するための保持台、および該保持台を利用してロリポップを作成する方法に関する。
【0012】
本発明の保持台について図1乃至6を用いて説明する。保持台100は、第一表面102、第二表面103および第一表面102内の複数の開口部104を有する工作パレット101を含む。好ましくは、工作パレット101は超高分子量ポリスチレンから作成されるが、限定なしに高分子材質、鉄またはナイロンを含む他の材質を利用してもよいことは当業者には認識されるであろう。個々の開口部104はバレット106およびバネ108を収容する。好ましくは、バレット106およびバネ108はステンレス鋼から作成される。好ましくは、バネ108は21.2〜21.8lbs/inの範囲のバネ定数を有するものとする。好ましい実施例において、複数の開口部104は工作パレット101の第一表面102から第二表面103へと延伸する。工作パレット101の底面103は、その長手方向に延伸し板部112を受ける溝部110を有する。工作パレット101の底面103の開口部104を板部112が覆うことでバレット106およびバネ108は複数の開口部104内に保持され、好ましくは板部112はステンレス鋼から作成される。ピン114が工作パレット101の開口部116および板部112の開口部118を通過することで、板部112と工作パレット101とを締結する。図2に示すように、個々のバレット106は、固形経口服用形態等のロリポップのタブレット部分および柄を受ける上部空洞220、およびバネ108を受ける下部空洞222を有する。個々のバレット106は開口部104内に配置され、これによって個々のバネ108は下部空洞222内に、板部112とバレット106との間に配置されるとともに、上部空洞220は板部112と反対側に面する。
【0013】
図3に示すように、工作パレット101の第一表面102は、好ましくは第一端部326においてC字状に形成される第一凹部324、同様に好ましくは第二端部330においてC字状に形成される第二凹部328,および凹部324・328の間の島部332を有する。好ましい実施携帯において、工作パレット101は長さ15.5インチ、幅2.95インチ、高さ1.688インチとする。島部332は長さ15.0インチであるとともに、工作パレット101の第一端部326および第二端部330から0.25インチ後方に設定される。好ましくは、工作パレット101の第一表面102に10個の開口部104を設け、隣接する開口部の中心の間隔を0.50インチとする。最初と最後の開口部の中心はそれぞれ端部326および330から1.0インチの間隔を置く。好ましくは、工作パレット101の第一表面102のピン開口部116は直径を0.38インチとするとともに、島部332上の第一端部326付近に配置し、その中心は好ましくは開口部104の中心と整列させる。好ましくは、穴334は直径0.472インチ、深さ0.32インチとする。穴334の寸法は高周波識別(RFID)タグを収容できるように設定される。好ましくは、板部112は長さ15.5インチ、幅0.975インチ、高さ0.078インチとする。好ましくは、板部112のピン開口部118は直径を0.192インチとし、該ピン開口部118の中心は好ましくは板部112の端部から0.44インチに配置するとともに、板部112が溝部110内にある際にピン開口部118がピン開口部116と整列されるように配置する。
【0014】
図5に示すように、溝部110は開口部538の直上に配置されるとともに連結され、該開口部は第二表面103内で前後軸に沿っている。溝部110は板部112を保持するとともに、好ましくは幅1.0インチ、高さ0.09インチとする。好ましくは、開口部538は幅0.79インチ、高さ0.13インチとする。開口部104は上部円筒部540および下部円筒部542を有する。上部円筒部540は第一表面102に隣接するとともに、好ましくは直径約0.626インチとする。下部円筒部542は第二表面103に隣接するとともに、好ましくは直径約0.751インチとする。
【0015】
図6に示すように、個々のバレット106は、円筒壁部644と凹状底面646とにより定義される上部空洞220、および円筒壁部648と平頂面650とにより定義される下部空洞222を有する。棚部652が上部空洞220と下部空洞222との間に配設される。バレット106の棚部652は、開口部104に挿入された際に該開口部の上部円筒部540と下部円筒部542との間の部分に当接するとともに、バレット106が最初に上部空洞220から入って底面103を経て開口部104に挿入されることを要する。好ましくは、バレット106は長さ1.487インチとする。好ましくは、上部空洞220は内径0.048インチ、外径0.625インチ、深さ0.688インチとする。好ましくは、上部空洞220の凹状底面646は曲率半径0.258インチで屈曲するとともにその曲線の深さは約0.091インチとする。好ましくは、下部空洞222は内径0.5インチ、外径0.75インチ、深さ0.656インチとする。
【0016】
前記の保持台100の様々な部材の寸法全て、および開口部104の個数は、具体例であって目的となる適用や保持台に保持される材質の要素に応じて変動させることができるということが注目される。
【0017】
固形経口服用形態等のタブレットへの柄の取り付けのための保持台100の利用方法について、図7および8を用いて説明する。例えば超音波振動等の高周波機械的振動を、固形経口服用形態への柄の取り付けに用いることができる。高周波機械的振動によって部材間の接触部における摩擦により材料を溶融し、これにより材料の少なくとも1つの局所的溶融を起こす。それから部材は、材料が冷却され接合界面で結合が形成されるまで、圧力によって接触を維持される。結合の生成により固形経口服用形態の柄への取り付けが増強され、固形経口服用形態が柄から外れる確率が低下する。
【0018】
複数のタブレット754および柄756を、バレット106の上部空洞220内に配置する。ロリポップのタブレット部分は、通常の飴または固形経口服用形態を含みうる。"固形経口服用形態"という語は、口腔内に配置可能な大きさの固形物であり該固形物は活性剤を放出可能な基質からなるとするものを示す。いくつかの実施例において、該基質はアレルゲンおよび合成調味料、染料、保存料、アルコール等の添加物を含まないものとする。
【0019】
固形経口服用形態は、材料の少なくとも1つが溶融可能である限り、様々な材料を含みうる。ここで"溶融可能"とは、材料が温度変化により例えば固体状態から液体状態への物理的変化が可能である物理的性質をいう。いくつかの実施例において、溶融可能材料は約25℃から約200℃、または約40℃から約180℃の温度において溶融可能とする。いくつかの実施例において、溶融可能材料は約50℃から約200℃、または約75℃から約150℃の上昇した温度において溶融可能とする。溶融可能材料は少なくとも室温より上の約25℃において物理的変化が可能とする。"溶融不可能"とは、全ての薬事的に許容可能な材料のうち220℃以上の融点を有するもの、および該材料のうち溶融の代わりに分解するものを意味する。いくつかの実施例において、配合物の温度が溶融の起こる温度より低い温度に戻ると、溶融可能材料は再凝固するものとする。ここで、溶融可能材料を含む固形経口服用形態は室温(約25℃)において固体または半固体であるものとする。これらの溶融可能材料はさらに親水性か疎水性かで分類することができる。
【0020】
本発明に用いる適当な溶融可能親水性材料には、ポビドン、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物が含まれる。本発明に用いる適当な溶融可能疎水性材料には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、水素化植物油およびこれらの混合物が含まれる。
【0021】
いくつかの実施例において、経口服用形態内に存在する親水性、疎水性またはこれらを混合した溶融可能材料の量は、固形経口服用形態の重量の約1%から約95%とする。いくつかの実施例において、経口服用形態内に存在する溶融可能材料の量は、固形経口服用形態の重量の約1%から約75%、約1%から約55%、約1%から約35%、または約1%から約15%とする。いくつかの実施例において、溶融可能材料は固形経口服用形態の重量の約15%とする。いくつかの実施例において、経口服用形態内に存在する溶融可能材料は、固形経口服用形態の重量の約5%から約95%、約10%から約80%、約15%から約60%、または約15%から約40%とする。
【0022】
いくつかの実施例において、固形経口服用形態は炭水化物を含まない基質からなる。いくつかの実施例において、該炭水化物を含まない基質はポビドンである。いくつかの実施例において、該炭水化物を含まない基質は人工甘味料からなる。いくつかの実施例において、固形経口服用形態は"砂糖を含まない固形経口服用形態"または"炭水化物を含まない固形経口服用形態"とする。"砂糖を含まない固形経口服用形態"または"炭水化物を含まない固形経口服用形態"という語は、炭水化物を実質的に含まない服用形態を示す。炭水化物を実質的に含まないとは、服用形態が炭水化物を重量で約5%未満含むことをいう。いくつかの実施例において、炭水化物を実質的に含まないとは、服用形態が炭水化物を重量で約3%未満含む、重量で約2%未満含む、または重量で約1%未満含むことをいう。いくつかの実施例において、炭水化物を実質的に含まないとは、服用形態が炭水化物を含まないことを意味する。いくつかの実施例において、服用形態は服用形態あたり0.5g未満の炭水化物を含む。いくつかの実施例において、基質は炭水化物を含む基質からなる。ここで"炭水化物"という語は、ポリヒドロキシアルデヒドまたはケトンである配合物または加水分解によりこのような配合物を生じる物質を示す。多くの、しかし全てではない炭水化物は、実験式(CHO)を有する。ここで参考文献に加えるレーニンジャー著『生化学の原理』W.H.フリーマン・アンド・カンパニー、4版(2005年)に述べられるように、いくつかの炭水化物はまた、窒素、リンまたは硫黄を含みうる。炭水化物の主要な類には単糖類、二糖類、オリゴ糖類および多糖類が含まれる。本発明においてはこれら4つの類は全て炭水化物とみなしている。例えば、いくつかの実施例において、炭水化物基質からなる固形経口服用形態は澱粉、スクロース、フルクトースまたはこれらの組み合わせを含みうる。
【0023】
いくつかの実施例において、固形経口服用形態は付形剤を含みうる。いくつかの実施例において、該付形剤は吸収剤、緩衝剤、着色剤、香味料、溶剤、被覆剤、直接圧縮剤、崩壊剤、流動促進剤、潤滑剤、不透明化剤、沈澱防止剤、甘味料、付着防止剤、結合剤、防腐剤、またはこれらの組み合わせでありうるが、これに限定されるものではない。
【0024】
"取り付ける"という語は、固形経口服用形態等のタブレットへの柄の締結を示す。取り付け結合強度は変化しうる。いくつかの実施例において、固形経口服用形態からの柄の取り外しに約1ポンドから約70ポンドの力が必要となる。いくつかの実施例において、固形経口服用形態からの柄の取り外しに約5ポンドから約70ポンドの力が必要となる。取り付け結合強度は、シャティヨン(Chatillon)TCD201MFテスタースタンドまたはシャティヨンDFA−50デジタルフォースゲージ(シャティヨン・フォース・メジャーメント・システムズ社、フランス、ラルゴ市)等の牽引力試験機によって決定される。
【0025】
"柄"という語は、固形経口服用形態の構成において明白な装置の特性であり、固形経口服用形態から突出し固形経口服用形態を口腔へ挿入および除去可能とするものを示す。いくつかの実施例において、"柄"という語は、固形経口服用形態を口腔から取り出すための手段を意味する。いくつかの実施例において、柄は硬質であり、例えば棒である。いくつかの実施例において、柄は弛緩性であり、例えばひもまたはコードである。柄の形状は変化させることができる。いくつかの実施例において、柄は相対的に直線状である。いくつかの実施例において、柄は環状である。いくつかの実施例において、柄は展性であり、所望の形状とするために屈曲または変化可能である。柄の大きさは変化させることができる。いくつかの実施例において、固形経口服用形態が被験者の口腔内に配置された際に、柄は被験者の口の外側に突出するのに充分な大きさとする。いくつかの実施例において、固形経口服用形態が被験者の口腔内に配置された際に、柄は被験者が口を閉じた場合に口腔内に留まるほど小さいものとする。
【0026】
"接合界面"という語は、柄と固形経口服用形態との接触の領域を示す。いくつかの実施例において、接合界面の面積は約0.01cmから約10cmとする。いくつかの実施例において、接合界面の面積は約0.1cmから約1cmとする。
【0027】
高周波機械的振動を生成する機器は当業者には既知である。例えば、いくつかの実施例において、該機器はブランソン(Branson)2000AEDアクチュエータおよびブランソン2000D電源(ブランソン社、アメリカ合衆国、ダンベリー市)からなる。高周波機械的振動の生成および伝達のための機器は、概して4つの部分、電源、変換器、振幅変調装置(一般にブースターと称される)、およびホーン(またはソノトロード)として知られる音響道具を含む。いくつかの実施例において、固体電源を用いて高周波機械的振動を生成し、50/60Hzの電流を約15、20、30または40kHzの電力量に変換する。この高周波電力量を変換器に供給し、該変換器は電力量を高周波の機械的運動に変換する。該機械的運動、すなわち振動エネルギーはそれから振幅変調ブースターを経てホーンに伝達される。ホーンはこの振動エネルギーを組み立てられる部材へ直接伝達する。
【0028】
タブレット754および柄756をバレット106の上部空洞220内に配置してから、機械的振動機器のホーン758を下降させ柄756と接触させる。ホーン758は様々な材質から構成することができる。いくつかの実施例において、ホーンの材質はアルミニウムまたはチタンからなる。それぞれバレット106の下部空洞222内に配置されるバネ108は板部112および下部空洞222の平頂面650と接触し、柄756のタブレット754への均等な溶接を可能とする。しばしば柄756のいくつかは完全に挿入されず、その結果、ホーン758が下降し柄756と接触する前に、柄756のいくつかが他よりもタブレット754に近接する。図8に示すように、バネ108のバネ動作によりバレット106の互いに関する相対移動が可能となり、これによってホーン758が個々の柄756と接触し、均等な溶接および取り付けを確実とするとともに、当初からホーン758に近接していた柄756が、該柄756の配置されるバレット106に組み合わされたバネ108の圧縮によって下降される。よって、バネ動作により個々の柄756へ均等な圧力が加えられるとともに、タブレット754の亀裂の原因となりうるホーン758からの過剰な圧力を柄756の一部が受けることが防止される。
【0029】
ホーン758は機械的振動を伝達するとともに圧力を印加し、高周波機械的振動の印加の間に柄756とタブレット754との接触を増強させる。いくつかの実施例において、該圧力は約1psiから約100psi、または約2psiから約50psiとする。いくつかの実施例において、該圧力は約10psiから約20psiとする。
【0030】
いくつかの実施例において、溶接後自動検査を行い、個々の組のタブレット754と柄756との適切な溶接を確実としている。個々の組のタブレット754と柄756との溶接が検査を通過したかどうかの情報を含む信号を受信するRFIDタグが、工作パレット101の穴334に収容される。溶接が検査を通過しなかった場合、RFIDタグから除去装置、例えば取り出しロボットアーム等へ、タブレット754と柄756との溶接が不完全なバレット104の情報を含む信号が送信され、不完全なロリポップが除去される。不完全なロリポップの除去後に、残りのロリポップが包装される。
【0031】
本発明においては様々な周波数を用いることができる。"高周波数"という語は1kHzより上の周波数を示す。いくつかの実施例において、高周波数とは約1kHzから約10MHzの周波数を指す。いくつかの実施例において、高周波数機械的振動は約5kHzから約100kHzの周波数を有する。いくつかの実施例において、高周波数機械的振動は約15kHzから約40kHzの周波数を有する。いくつかの実施例において、高周波数機械的振動は超音波振動である。"超音波"という語は人間の可聴域の上限、約20kHzより高い音響エネルギーの周波数を示す。いくつかの実施例において、超音波周波数は約20kHzから約1MHzの周波数である。いくつかの実施例において、超音波周波数は約20kHzから約500kHz、約20kHzから約200kHz、または約20kHzから約50kHzの周波数である。
【0032】
様々な種類の振動エネルギーを用いることができる。いくつかの実施例において、高周波数振動は線形振動である。線形振動を用いる場合、接合または振幅の線形変位面を経ての圧力下でのある部分の他の部分に対する移動により摩擦熱が生じる。接合界面が溶融状態に達すると振動を停止する。溶融した材料が凝固し結合を形成するまで、圧締圧力を一時的に維持する。いくつかの実施例において、高周波数振動は軌道振動である。軌道振動は電磁駆動を用い、固形経口服用形態と柄との間で相対的環状運動を生じる。この定速度運動により熱が生じ、これにより接合部の材料の温度がその融点へと上昇する。該運動は材料が充分に溶融した後で終了する。それから溶融した材料が凝固し恒久的な結合を形成する。
【0033】
本発明においては様々な発振振幅を用いることができる。いくつかの実施例において、高周波数機械的振動は1μmから1cmの発振振幅を有する。いくつかの実施例において、高周波数機械的振動は5μmから300μmの発振振幅を有する。いくつかの実施例において、高周波数機械的振動は10μmから100μmの発振振幅を有する。
【0034】
高周波数振動の印加の時間の長さは、複数の要因に依存する。これらの要因には、柄および固形経口服用形態の組成、界面に印加される圧力の量、柄と固形経口服用形態との間の接合界面の大きさ、振動の周波数、および振動の振幅が含まれうるがこれに限定されない。いくつかの実施例において、高周波数振動は約1ミリセカンドから約30秒の間印加される。いくつかの実施例において、高周波数振動は約0.1秒から約10秒の間印加される。いくつかの実施例において、高周波数振動は約0.1秒から約5秒の間印加される。いくつかの実施例において、高周波数振動は約1秒の間印加される。
【0035】
接合界面への高周波数機械的振動の印加により、該接合界面において固形経口服用形態が溶融状態に達する。"溶融状態"という語は、加熱により起こる液化した物理的状態を示す。
【0036】
いくつかの実施例において、固形経口服用形態はさらに活性剤を含む。様々な活性剤を用いることができる。いくつかの実施例において活性剤は、メトヘキシタール、ペントバルビタール、チアミラール、チオペンタール、フェンタニール、モダフィニル、アルフェンタニル、サフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、ナロキソン、エパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、トリアゾラム、ドロペリドール、プロパニジド、エトミデート、プロポフォル、ケタミン、ジプリバン、ブレチリウム、カプトプリル、クロニジン、ドーパミン、エナラプリル、エスモロール、フロセミド、イソソルビド、ラベタロール、リドカイン、メトラゾン、メトプロロール、ナドロール、ニフェジピン、ニトログリセリン、ニトロプルシド、プロプラノロール、ベンズキナミド、メクリジン、メトクロプラミド、プロクロルペラジン、トリメトベンズアミド、クロトリマゾール、ナイスタチン、カルビドーパ、レボドーパ、スクラルフェート、アルブテロール、アミノフィリン、ベクロメタゾン、ジフィリン、エピネフリン、フルニソリド、イソエタリン、イソプロテレノールHCl、メタプロテレノール、オキシトリフィリン、テルブタリン、テオフィリン、エルゴタミン、メチセルギド、プロプラノロール、スロクチジル、エルゴノビン、オキシトシン、デスモプレシン、酢酸塩、リプレシン、バソプレシン、インスリン、ベータ−エンドルフィン、エンケファリン、ブラジキニン、アニオテンシンI、性腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン、多糖類(ヘパリン等)、これらの塩またはエステル、またはこれらの組み合わせでありうるがこれに限定されない。いくつかの実施例において活性剤は、フェンタニールまたはその塩、例えばクエン酸フェンタニール、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施例において活性剤はフェンタニールである。
【0037】
本発明において、柄は様々な材料から構成されうる。いくつかの実施例において、柄はアセトニトリルブタジエンスチレン、熱可塑性樹脂、半結晶質熱可塑性樹脂、オレフィン、恒温ポリマー、熱可塑性ゴム、複合プラスチック、またはこれらの混合物からなる。いくつかの実施例において、柄は非塑性物質、例えば金属からなる。いくつかの実施例において、柄は管材料からなる。
【0038】
固形経口服用形態は複数の方法で製造することができる。いくつかの実施例において、活性剤を溶融飴錬剤に加える。その結果の混合物を完全に混合し活性剤を溶融飴錬剤中に適切に分布させる。それから溶融状態のまま混合物を注入し半固体錬剤へと凝固させる。いくつかの実施例において、高温の飴錬剤を、所望の大きさと形状の型に注入する。
【0039】
固形経口服用形態等のタブレットはまた、直接圧縮、射出成形、凍結乾燥または他の固体加工技術で作成することができる。いくつかの実施例において、固形経口服用形態は圧縮服用形態である。いくつかの実施例において、柄は固形経口服用形態が形成される際に固形経口服用形態と接触する。例えば、圧縮服用形態において、柄は固形経口服用形態の圧縮の間に存しうる。よって、柄は型の中に配置され、固形経口服用形態がその周囲に形成される。あるいは、柄の不在で固形経口服用形態を形成し、それから固形経口服用形態に柄を接触させる。いくつかの実施例において、固形経口服用形態に空洞が形成される。いくつかの実施例において、柄の一部が該空洞の内側に接触する。
【0040】
発明の概要および要約ではなく発明を実施するための形態が、請求項を説明しようとするものであることは認識されるであろう。概要および要約は発明者の企図する本発明の典型的な実施例のうち1つ以上について述べるが、しかしその全てではなく、よって添付の請求項を如何様にも限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄と固形経口服用形態との超音波結合に用いる保持台であって、
工作パレットであって、第一表面、第二表面、該工作パレットを通して前記第一表面から前記第二表面へ延伸する複数の開口部、および前記工作パレットの前記第二表面の長手方向に延伸する溝部を有する工作パレット、
工作パレットの前記溝部に挿入され、工作パレットの第二表面の前記複数の開口部を塞ぐ板部、
複数のバレットであって、個々のバレットは一方の側で固形経口服用形態を受けるように形成される第一空洞およびもう一方の側でバネを受けるように形成される第二空洞を有するとともに、該複数のバレットのそれぞれが工作パレットの前記複数の開口部の1つに挿入され、前記第一空洞が工作パレットの前記第一表面と対向するとともに前記第二空洞が前記板部と対向するものとするバレット、および
複数のバネであって、個々のバネは前記第二空洞の一つに接するとともに前記複数のバレットの一つと前記板部との間に配置されるものとするバネ、
からなる保持台。
【請求項2】
前記工作パレットは超高分子量ポリスチレンからなるものとする、請求項1に記載の保持台。
【請求項3】
バレットはステンレス鋼からなるものとする、請求項1に記載の保持台。
【請求項4】
第一表面、第二表面および第一表面内の複数の開口部を有する工作パレット、
複数のバレットであって、個々のバレットは第一空洞を有するとともに、複数のバレットのそれぞれが前記工作パレットの前記複数の開口部の1つに挿入されるものとするバレット、および
複数のバネであって、個々のバネは工作パレットの前記複数の開口部の1つの中で、前記バレットの1つと表面との間に配置されるものとするバネ、
からなる保持台。
【請求項5】
前記表面は工作パレットの前記第二表面であるとする、請求項4に記載の保持台。
【請求項6】
前記複数の開口部は工作パレットの前記第一表面から工作パレットの前記第二表面へ延伸するものとする、請求項4に記載の保持台。
【請求項7】
前記表面は、工作パレットの前記第二表面に隣接して配置され工作パレットの第二表面の前記複数の開口部を塞ぐ板部であるとする、請求項6に記載の保持台。
【請求項8】
工作パレットの前記第二表面は工作パレットの長手方向に延伸する溝部を有するとともに、前記板部を該溝部に挿入するものとする、請求項7に記載の保持台。
【請求項9】
複数のバレットそれぞれの前記第一空洞が固形経口服用形態を受けるように形成されるものとする、請求項4に記載の保持台。
【請求項10】
前記複数のバレットそれぞれが第二空洞を有し、複数のバレットそれぞれの該第二空洞が前記複数のバネの1つを受けるように形成されるものとする、請求項9に記載の保持台。
【請求項11】
柄をタブレットへ取り付けてロリポップを形成する方法であって、
第一表面、第二表面および第一表面内の複数の開口部を有する工作パレット、
複数のバレットであって、個々のバレットは第一空洞を有するとともに、それぞれ前記工作パレットの複数の開口部の1つに挿入されるものとするバレット、および
複数のバネであって、個々のバネはそれぞれ工作パレットの前記複数の開口部の中で、バレットの1つと表面との間に配置されるものとするバネ、
からなる保持台を設けること、
前記複数のバレットの第一空洞にそれぞれタブレットを配置すること、
柄を前記タブレットと接するように配置し、個々の柄とタブレットとの接触領域が接合界面を形成すること、
個々の前記接合界面において前記タブレットが溶融状態に達するまで高周波機械的振動を該接合界面に印加すること、および
溶融状態の前記接合界面を冷却し凝固させることで、個々のタブレットに柄を取り付けること、
からなる方法。
【請求項12】
前記個々のタブレットは固形経口服用形態であるとする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記高周波機械的振動はホーンによって生成されるものとする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ホーンが前記保持台へと移動し前記個々の柄と接触するとともに、前記複数のバネそれぞれによって前記複数のバレットそれぞれが他のバレットに対し独立に移動可能となる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のバレットそれぞれの他のバレットに対する独立移動によって、前記ホーンによる過剰な圧力の印加により前記複数のバレットそれぞれの中の固形服用形態に亀裂が生じることを防止する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のバレットそれぞれの他のバレットに対する独立移動によって、個々の柄の高さの差が補われ、前記ホーンが前記個々の柄と接触する間に前記個々のバネの圧縮によって前記個々の柄がホーンと接触することを確実とする、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記接合界面の面積を約0.01cmから約10cmとする、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
高周波機械的振動の印加の間に前記ホーンが約1psiから約100psiの圧力を前記柄に印加するものとする、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記高周波機械的振動は超音波振動であるとする、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記超音波振動は線形振動または軌道振動であるとする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記高周波機械的振動は約5kHzから約100kHzの周波数を有するものとする、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記高周波機械的振動は約15kHzから約40kHzの周波数を有するものとする、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
前記高周波数機械的振動は約5μmから約300μmの発振振幅を有するものとする、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
前記高周波数機械的振動は約10μmから約100μmの発振振幅を有するものとする、請求項11に記載の方法。
【請求項25】
前記固形経口服用形態は活性剤からなるものとする、請求項12に記載の方法。
【請求項26】
前記活性剤はフェンタニール、クエン酸フェンタニール、またはこれらの組み合わせであるとする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記柄はアセトニトリルブタジエンスチレン、熱可塑性樹脂、半結晶質熱可塑性樹脂、恒温ポリマー、オレフィン、熱可塑性ゴム、金属、複合プラスチック、またはこれらの混合物からなるものとする、請求項11に記載の方法。
【請求項28】
前記柄は硬質であるとする、請求項11に記載の方法。
【請求項29】
前記高周波数機械的振動は約0.1秒から約10秒の間印加されるものとする、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−509215(P2010−509215A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535271(P2009−535271)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/022428
【国際公開番号】WO2008/057203
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509106407)デュラムド・ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】