説明

ロータブレード

【課題】ロータブレードを提供する。
【解決手段】本ロータブレード(50)は、少なくとも1つのシール歯(70)を有する先端シュラウド(62)を含むことができ、少なくとも1つのシール歯(70)は、組立て状態にある時にエンジン中心線、先端シュラウド(62)の前端縁部(77)及び/又は先端シュラウド(62)の後端縁部(79)に対してある角度で配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、総括的にはガスタービンエンジン構成要素に関し、より具体的には先端シュラウドを有するロータブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは一般的に、圧縮機、燃焼器及び少なくとも1つのタービンを含む。圧縮機は空気を加圧することができ、加圧空気は、燃料と混合させかつ燃焼器に送ることができる。混合気は次に、点火されて高温燃焼ガスを発生し、この燃焼ガスは、タービンに送ることができる。タービンは、燃焼ガスからエネルギーを抽出して圧縮機に動力を供給すると共に、飛行中の航空機を推進させ又は発電機などの負荷に動力を供給するような有用な仕事を行うことができる。
【0003】
タービンは、ロータ組立体及びステータ組立体を含むことができる。ロータ組立体は、ディスクから半径方向外向きに延びる複数のロータブレードを含むことができる。各ロータブレードは、翼形部を含むことができ、翼形部は、プラットホームと先端との間で延びることができる。各ロータブレードはまた、プラットホームの下方に延びかつディスクの対応するスロット内に受けることができる根元を含むことができる。それに代えて、ディスクは、根元の必要性をなくすことができるブリスク又はブレード付きディスクとすることができ、翼形部は、ディスクから直接延びることができる。ロータ組立体を通る燃焼ガス流路は、ロータブレードプラットホームが半径方向内側の境界となり、また複数の先端シュラウドが半径方向外側の境界となり、各先端シュラウドは、少なくとも1つのシール歯を含むことができる。
【0004】
一般的に、少なくとも1つのシール歯は、半径方向に隣接するハニカムと協働して流路をシールすることができる。少なくとも1つのシール歯は、該シール歯の残りの部分よりも断面積が大きい少なくとも一部分を有することができる。ハニカムに対するブレードの前進運動の間に、このより大きい部分は、シール歯の残りの部分に先立ってハニカムと係合し、該ハニカム内に摩耗痕跡を切り込むことができる。このことにより、シール歯は、非軸対称であることを必要とする可能性もある。
【0005】
ロータブレードは、多様な材料で作ることができる。それらの材料の幾つかは、何らかの機械加工を必要とするにしても殆ど必要とせずに非軸対称シール歯を最終形状内に鋳造するのを可能にすることができる。しかしながら、その他のより軽量、より低コスト又はより長寿命の材料は、最終形状に鋳造される特性を有しておらず、機械加工することが必要である。それら材料を用いて非軸対称機構を機械加工することは、時間がかかりかつ材料の無駄を引き起こして、より長時間の作製サイクルを招くおそれがある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの例示的な実施形態は、ロータブレードに関するものとすることができ、本ロータブレードは、先端シュラウドを有し、先端シュラウドは、組立て状態にある時にエンジン中心線に対してある角度で配置された少なくとも1つのシール歯を有することができる。別の例示的な実施形態では、シール歯は、前端縁部及び/又は後端縁部に対してある角度で配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、例示的なガスタービンエンジン10の概略図であり、ガスタービンエンジン10は、ファン組立体12、ブースタ14、高圧圧縮機16及び燃焼器18を含む。エンジン10はまた、高圧タービン20及び低圧タービン22を含む。ファン組立体12は、ロータディスク26から半径方向外向きに延びるファンブレード24の配列を含む。エンジン10は、吸気側28及び排気側30を有する。エンジン10は、あらゆるガスタービンエンジンとすることができる。例えば、エンジン10は、それに限定されないが、オハイオ州シンシナティ所在のGeneral Electric Companyから入手可能なGE90型ガスタービンエンジンとすることができる。ファン組立体12、ブースタ14及びタービン22は、第1のロータシャフト32によって結合することができ、また圧縮機16及びタービン20は、第2のロータシャフト34によって結合することができる。
【0008】
作動中、空気がファン組立体12を通って流れ、加圧空気が、ブースタ14を介して高圧圧縮機16に供給される。高度に加圧された空気が燃焼器18に送給され、燃焼器18において、加圧空気は、燃料と混合されかつ点火されて燃焼ガスを発生する。燃焼ガスは、燃焼器18から送られてタービン20及び22を駆動する。タービン22は、シャフト32によってファン組立体12及びブースタ14を駆動する。タービン20は、シャフト34によって圧縮機16を駆動する。
【0009】
図2は、それに限定されないが、ガスタービンエンジン10(図1に示す)のようなガスタービンエンジンで使用することができる例示的な回転組立体の部分切欠き断面図である。この例示的な実施形態では、ロータ組立体36は、それに限定されないが、低圧タービン20(図1に示す)のようなタービンとすることができる。しかしながら、本明細書に説明しかつ/又は図示した例示的な実施形態は、あらゆるロータ組立体で使用することができる。ロータ組立体36は、軸方向中心線軸線(図示せず)の周りで継手40によって互いに接合された複数のロータ38を含む。各ロータ38は、環状の半径方向外側リム44、半径方向内側ハブ46、及びそれらの間で半径方向に延びる一体形ウェブ48を備えたロータディスク42を含む。各ロータ38はまた、外側リム44から半径方向外向きに延びる複数のブレード50を含む。1つ又はそれ以上のロータ38の1つ又はそれ以上のブレード50は、それぞれのリム44と一体形に接合することができる。さらに、1つ又はそれ以上のロータ38の1つ又はそれ以上のブレード50は、それぞれのリム44の相補形スロット(図示せず)内に取付けたブレードダブテイル(図示せず)を使用する公知の方法でそれぞれのリム44に取外し可能に接合することができる。
【0010】
ロータブレード50は各々、前縁52、後縁54、及びそれらの間で延びる翼形部56を含む。各翼形部56は、負圧側面58及び円周方向に対向する正圧側面60を含む。負圧及び正圧側面58及び60はそれぞれ、軸方向に間隔を置いて配置されたそれぞれ前縁及び後縁52及び54間で延び、かつロータブレード先端シュラウド62及びロータブレードプラットホーム64間で半径方向スパンにわたって延びる。ブレード翼弦は、それぞれロータブレード前縁及び後縁52及び54間で測定される。プラットホーム64の半径方向外側面66は、ロータ組立体36の半径方向内側流路面を形成し、またブレード先端シュラウド62の半径方向内側面68は、ロータ組立体36の半径方向外側流路面を形成する。
【0011】
図3は、図1に示すガスタービンのようなガスタービンエンジンで使用することができる例示的なロータブレードの一部分の斜視図である。図4は、図3に示すロータブレードの平面図である。1つの例示的な実施形態では、ロータブレード50は、1つ又はそれ以上のシール歯70を含むことができ、これらシール歯70は、ステータシュラウド72に隣接しかつ該ステータシュラウド72と相互に作用することができる。1つ又はそれ以上のシール歯70は、ステータシュラウド72及びロータブレード先端シュラウド62によって形成された空洞74内に配置することができる。シール歯70は、ステータシュラウド72上の半径方向に隣接するハニカムと協働して流路をシールすることができる。ハニカムは、ステータシュラウド72の半径方向下面上に配置することができる。各ブレード先端シュラウド62は、図2〜図4ではその各々がシュラウド62(図3に示す)の全円周方向幅にわたって延びる2つのシール歯を含むものとして図示しているが、各先端シュラウド62は、その各々がシュラウド62の円周方向幅のいずれかの部分にわたって延びることができるあらゆる数のシール歯70を含むことができることに注目されたい。さらに、各先端シュラウド62はまた、ロータ38内で隣接するロータブレード50のシュラウド62を相互噛合いさせるのを可能にする一対の対向する相互噛合い面76及び78を含むことができる。各先端シュラウド62は、前端縁部77及び後端縁部79を含むことができる。
【0012】
図3及び図4に示すように、先端シュラウド62は、シール歯80のような1つ又はそれ以上のシール歯を含むことができる。シール歯80は、隣接するブレードのシール歯82が該シール歯80からオフセットし、従ってブレード対ブレード接合面84において「鋸歯」パターンを形成するように、ある角度で配置することができる。この角度は、組立て状態にある時にシール歯がエンジン中心線に対して垂直でない限り、あらゆる角度とすることができる。シール歯はまた、先端シュラウド80の前端縁部77及び/又は後端縁部79に対してある角度で配置することができる。オフセットは、シール歯80が接合面84において「有効な」拡大部分を有するのを可能にして、シール歯80が、付加的な材料を有しないでハニカム内に適切に切込むことができるようにする。オフセットはまた、シール歯80が軸対称になるのを可能にし、そのことにより、製造する上での利点を得ることができる。シール歯80及び82の角度は、1つのシール歯が隣接するシール歯についてオフセットするようなあらゆる適切な角度とすることができる。1つの例示的な実施形態では、シール歯80及びシール歯82は、接合面84において部分的に重なり合うことができる。1つの例示的な実施形態では、先端シュラウド62は、付加的なシール歯86を有することができる。シール歯80と同様に、シール歯86は、隣接するブレードのシール歯88が該シール歯86からオフセットし、従ってブレード対ブレード接合面90において鋸歯パターンを形成するように、ある角度で配置することができる。シール歯86及び88の角度は、1つのシール歯が隣接するシール歯についてオフセットするようなあらゆる適切な角度とすることができる。1つの例示的な実施形態では、シール歯80及び82は、シール歯86及び88と同一の角度を有し、従って互いに平行にすることができる。別の例示的な実施形態では、シール歯80及び82は、シール歯86及び88の角度と異なる角度を有することができる。
【0013】
ロータブレード及び/又は先端シュラウドは、当技術分野で公知のあらゆる材料で作ることができる。1つの例示的な実施形態では、ブレード及び/又は先端シュラウドは、ニッケル又はコバルト基超合金で作ることができる。別の例示的な実施形態では、ブレード及び/又は先端シュラウドは、それに限定されないがチタンアルミナイドのようなチタン合金で作ることができる。加えて、ブレード、先端シュラウド及び/又はシール歯は、当技術分野で公知のあらゆる皮膜で被覆することができる。1つの例示的な実施形態では、ブレード及び/又は先端シュラウドは、環境皮膜で被覆することができる。シール歯は、それに限定されないが酸化アルミニウムのようなアブレイシブ皮膜で被覆することができる。
【0014】
ブレード及び/又は先端シュラウドは、その最終形状に形成するか、又は形成後にその最終形状に機械加工することができる。先端シュラウドの外面を機械加工する必要がある場合には、角度付きのシール歯の使用により、ハニカムに「切込む」機構を可能にしながら機械加工の容易な軸対称形態を可能にすることができる。一般的に、先端シュラウドは、その回転軸線がエンジン中心線である弓形経路上に機械加工することができる。先端シュラウドの外面がほぼ円筒形である(すなわち、断面においてエンジン中心線にほぼ平行である)場合に、外面を形成する弓形経路の回転軸線は、隣接シール歯間でオフセットを達成するのに十分なほどに回転したエンジンの中心線とすることができる。外面がほぼ円錐形である場合には、回転軸線は、エンジン中心線に対して角度を付けるだけでなくオフセットさせる必要がある可能性がある。これは、先端シュラウドの端縁部における厚さが望ましくないほど薄く又は厚くならないことを保証するために、必要となる可能性がある。
【0015】
様々な特定の例示的な実施形態について本出願を説明してきたが、これらの例示的な実施形態が特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内の変更で実施することができることは、当業者には分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】例示的なガスタービンエンジンの概略断面図。
【図2】図1に示すガスタービンエンジンのようなガスタービンエンジンで使用することができる例示的なガスタービン組立体の部分切欠き断面図。
【図3】図1に示すガスタービンエンジンのようなガスタービンエンジンで使用することができる例示的なロータブレードの一部分の斜視図。
【図4】図3に示すロータブレードの平面図。
【符号の説明】
【0017】
10 ガスタービンエンジン
12 ファン組立体
14 ブースタ
16 高圧圧縮機
18 燃焼器
20 高圧タービン
22 低圧タービン
24 ファンブレード
26 ロータディスク
28 吸気側
30 排気側
32 第1のロータシャフト
34 第2のロータシャフト
36 ロータ組立体
38 ロータ
40 継手
42 ロータディスク
44 外側リム
46 内側ハブ
48 ウェブ
50 ブレード
52 前縁
54 後縁
56 翼形部
58 負圧側面
60 正圧側面
62 先端シュラウド
64 プラットホーム
66 外側面
68 内側面
70 シール歯
72 ステータシュラウド
74 空洞
76 第1の相互噛合い面
77 前端縁部
78 第2の相互噛合い面
79 後端縁部
80 シール歯
82 シール歯
84 接合面
86 シール歯
88 シール歯
90 接合面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼形部(56)と、
前記翼形部(56)から延びる先端シュラウド(62)と、を含み、
前記先端シュラウド(62)が、組立て状態にある時にエンジン中心線に対してある角度で配置された少なくとも1つのシール歯(82)を有する、
ロータブレード(50)。
【請求項2】
翼形部(56)と、
前記翼形部(56)から延びる先端シュラウド(62)と、を含み、
前記先端シュラウド(62)が、前端縁部(77)、後端縁部(79)及び少なくとも1つのシール歯(80)を有し、
前記少なくとも1つのシール歯(80)が、該少なくとも1つのシール歯(80)が前記前端縁部(77)及び/又は後端縁部(79)に平行でないように、該前端縁部(77)及び/又は後端縁部(79)に対してある角度で配置される、
ロータブレード(50)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのシール歯(80)が軸対称である、請求項1又は請求項2記載のロータブレード(50)。
【請求項4】
前記先端シュラウド(62)が、第1の相互噛合い面(76)と第2の相互噛合い面(78)とをさらに含む、請求項1又は請求項2記載のロータブレード(50)。
【請求項5】
前記先端シュラウド(62)が、組立て状態にある時にエンジン中心線に対してある角度で配置された第2のシール歯(86)をさらに含む、請求項1記載のロータブレード(50)。
【請求項6】
前記ロータブレード(50)が、チタンアルミナイドで形成される、請求項1又は請求項2記載のロータブレード(50)。
【請求項7】
前記先端シュラウド(62)が、前記前端縁部(77)及び/又は後端縁部(79)に平行でないように該前端縁部(77)及び/又は後端縁部(79)に対してある角度で配置された第2のシール歯(86)をさらに含む、請求項2記載のロータブレード(50)。
【請求項8】
ロータ(38)と、
前記ロータ(38)から半径方向に延びかつ第1のシール歯(80)を有する第1のロータブレード(50)と、
前記ロータ(38)から半径方向に延びかつ第2のシール歯(82)を有する第2のロータブレード(50)と、を含み、
前記第1のシール歯(80)及び第2のシール歯(82)が、該シール歯が互いに対してオフセットするように配置される、
ロータ組立体(36)。
【請求項9】
前記第1のロータブレード(50)が、前記第2のロータブレード(50)に隣接する、請求項8記載のロータ組立体(36)。
【請求項10】
前記第1のシール歯(80)及び第2のシール歯(82)が、部分的に重なり合って、鋸歯パターンを形成する、請求項8記載のロータ組立体(36)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−36203(P2009−36203A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189349(P2008−189349)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】