説明

ロータリスイッチの節度切換構造

【課題】電力を使わずに機械的にノブ部の節度を切り換えることができるロータリスイッチの節度切換構造を提供する。
【解決手段】スイッチ2は、後が節度付勢部材14により押された節度ピース13と、この節度ピース13と協同して操作ノブ3に節度を付与する節度山部材6とを備える。そして、節度山部材6の隣に、節度山部材6の回転を停止可能なブレーキ部材16を設ける。また、操作ノブ3の隣に、節度切り換えの際に操作する節度切換ノブ5を設け、このノブ5の先端にカム20を取り付ける。そして、節度切換ノブ5の回転操作によりカム20でブレーキ部材16を奥に押し込み、ブレーキ部材16を節度山部材6に当接させて固定する。これにより、操作ノブ3が操作された際には、ケース部材12が節度山部材6に対して回り、これらの間に介在する節度ピース13が利いて操作ノブ3に節度が発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ操作時の摘み部分であるノブが回動操作式をとるロータリスイッチの節度切換構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から周知のように、機器や装置を動作させる際のスイッチとして、様々な種類のものが開発されている。スイッチの種類には、例えばスイッチの操作箇所であるノブが回動操作式をとるロータリスイッチがある。このスイッチには、例えばスイッチを回すときにノブに発生する節度感を切り換えることが可能な節度可変式がある。このような可変式としては、例えば電磁石を用いてプランジャを切り換えることにより、スイッチの節度を2種類の間で切り換える技術が開示(例えば、特許文献1参照)されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2008−016426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術は、スイッチノブの節度を切り換える際に、電磁石に電流を流す必要があるので、節度切り換えに際して電力コストを要する装置となってしまっている。このため、特許文献1の技術は、電力コストが必要となってしまう問題があり、長時間の間、節度を切り換えの動作を続けると、電力コストが高くついてしまう問題があるので、採用するには現実性が低く、電力を使わない機械式の節度可変式のスイッチの開発が強く要望されていた。
【0005】
本発明の目的は、電力を使わずに機械的にノブ部の節度を切り換えることができるロータリスイッチの節度切換構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明では、操作箇所であるノブ部に発生する節度を切り換え可能なロータリスイッチの節度切換構造において、前記節度を切り換える際に操作される操作手段と、奥に押し込まれて前記ノブ部側と当接することが可能なブレーキ部材と、前記操作手段の操作を基に前記ブレーキ部材を奥に押し込むことにより、前記節度を切り換える押し当て部材とを備えたことを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、操作手段の操作により押し当て部材をブレーキ部材から離して、ブレーキ部材によるノブ部の動作制限を解除すると、ノブ部が自由に操作可能となり、ノブ部に節度感として小節度が発生する。一方、操作手段を操作することにより、押し当て部材によってブレーキ部材を奥に押し込んで、ブレーキ部材をノブ部に当接させると、ノブ部に操作制限がかかり、ノブ部に節度として大節度が発生する。このように、本構成では、ノブ部の節度切換構造として、操作手段とブレーキ部材と押し当て部材とからなる機械的構造としたので、節度切り換えに際して電力を不要とすることが可能となる。
【0008】
本発明では、付勢部材により後から押された節度部材が、ノブ部の操作に伴って前記付勢部材の付勢力に抗して節度山を乗り越えることにより、この際の抗力が節度として前記ノブ部に発生するロータリスイッチの節度切換構造において、前記節度を切り換える際に操作される操作手段と、奥に押し込まれて前記節度部材側及び前記節度山側の一方に当接することが可能なブレーキ部材と、前記操作手段の操作を基に前記ブレーキ部材を奥に押し込むことにより、前記節度を切り換える押し当て部材とを備えたことを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、例えば操作手段の操作により押し当て部材をブレーキ部材から離して、ブレーキ部材による節度部材又は節度山の動作制限を解除すると、節度部材及び節度山はノブ部と連れ回り可能となって、ノブ部に節度感として小節度が発生する。一方、操作手段を操作することにより、押し当て部材によってブレーキ部材を奥に押し込んで、ブレーキ部材を節度部材側又は節度山側に当接させると、この当接側の動きがブレーキ部材によって固定される。このため、ノブ部と当接側とが機械的に分離し、ノブ部が回し操作されると節度が利く状態となり、ノブ部に節度として大節度が発生する。このように、本構成では、ノブ部の節度切換構造として、操作手段とブレーキ部材と押し当て部材とからなる機械的構造としたので、節度切り換えに際して電力を不要とすることが可能となる。
【0010】
本発明では、前記ブレーキ部材は、少なくとも当接面が摩擦材により形成されていることを要旨とする。
この構成によれば、ブレーキ部材を節度部材側又は節度山側に当接させた際、これら部材間に強い摩擦力が発生することになるので、節度部材側又は節度山側をブレーキ部材によって、より確実に停止させることが可能になる。
【0011】
本発明では、前記操作手段は、回転操作式の前記ノブ部の回動軸心と平行の直線を回動軸心とする回転操作式であり、前記押し当て部材は、前記操作手段の回動軸心と同一軸心をとるカム形状をなし、前記操作手段が操作されると、カム形状の前記押し当て部材が回って、該押し当て部材の突部が前記ブレーキ部材を奥に押し込み、当該ブレーキ部材によって前記節度部材及び前記節度山の一方の側の動きが制限されることにより、前記節度が切り換えられることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、回転操作式のノブ部と、回転操作式の操作手段とを、軸が互いに平行をとるように配置したので、操作手段の操作力で以てノブ部の動きを制限すべく、操作手段の操作力をノブ部に伝えるに際して、交差する軸間で操作力を伝達するような複雑な伝達機構が必要とならない。よって、このような機械式の節度切換構造を備えたロータリスイッチを、より簡素な構造のものとすることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電力を使わずに機械的にノブ部の節度を切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態におけるロータリスイッチの設置状態を示す車内の外観図。
【図2】ロータリスイッチの概略構成を示す斜視図。
【図3】ロータリスイッチの概略構成を示す分解斜視図。
【図4】操作ノブに節度が発生しないときの状態を示す模式説明図。
【図5】操作ノブに節度が発生するときの状態を示す模式説明図。
【図6】スイッチの電気的構成を示すブロック図。
【図7】別例におけるロータリスイッチの概略構成を示す模式図。
【図8】他の別例におけるロータリスイッチの概略構成を示す斜視図。
【図9】他の別例におけるロータリスイッチの概略構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化したロータリスイッチの節度切換構造の一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示すように、車両のセンタークラスター1には、車載機器(例えば、エアーコンディショナーシステム)の動作を切り換える際に操作する回転操作式のスイッチ(ロータリスイッチ)2が設けられている。このロータリスイッチ2には、その操作箇所として回転操作が可能な操作ノブ3が設けられている。ロータリスイッチ2は、例えばエアーコンディショナーシステムの送風温度、送風強度、風向等を切り換える際に使用され、操作ノブ3を回し操作することで各値が切り換え可能となっている。なお、操作ノブ3がノブ部に相当する。
【0016】
このスイッチ2には、操作ノブ3に発生する節度を切り換える節度切換機構4が設けられている。この場合、車体(図示略)には、操作ノブ3の節度を切り換える際に操作する回転操作式の節度切換ノブ5が設けられている。節度切換ノブ5は、操作ノブ3の近傍位置に配置され、節度を切り換える際に操作される。ここで、節度とは、操作ノブ3を回転操作させた際に、操作ノブ3に発生するクリック感や、回し操作した際に感じる操作ノブ3の重さなどのことを言う。なお、節度切換ノブ5が操作手段に相当する。
【0017】
操作ノブ3に発生する節度は、節度切換ノブ5の操作位置によって切り換わるようになっている。例えば、節度切換ノブ5が一方向(図1の左方向)に回されて、左回し操作位置をとる際には、操作ノブ3の節度が節度無しの状態に設定される。よって、このときは、操作ノブ3を操作しても、操作ノブ3にはクリック感が発生しない。一方、節度切換ノブ5が他方向(図1の左方向)に回されて、右回し操作位置をとる際には、操作ノブ3の節度が節度有りの状態に設定される。よって、このとき、操作ノブ3を回転操作すると、操作ノブ3にはクリック感が発生する。
【0018】
図2及び図3に示すように、車体には、相対回動可能な状態で略円板状の節度山部材6が取り付けられている。節度山部材6は、操作ノブ3の操作ノブ軸7と同一軸心に配置されている。節度山部材6の中央部には、操作ノブ3側に向かって大きく開口した凹部8が設けられている。この凹部8の内側壁には、操作ノブ軸7の軸回りに沿って節度山9と節度谷10とが等間隔に交互に複数連なった節度山群11が設けられている。
【0019】
図2及び図3に示すように、節度山部材6の凹部8には、略円板状のケース部材12が相対回転可能に収納されている。凹部8とケース部材12との間には、若干の隙間が形成されている。ケース部材12には、操作ノブ3の操作ノブ軸7が同一軸心位置に取り付け固定されている。この操作ノブ軸7の回動軸心L1(図2参照)は、ケース部材12の中心と一致している。図3に示すように、このケース部材12には、節度山群11と協同して操作ノブ3に付勢力を発生させる節度ピース13が取り付けられている。この節度ピース13は、球形状をなすとともに、後側から節度ばね14により半径方向外側に付勢された状態で、この節度ばね14ごと、ケース部材12の側部に形成された穴15に収納されている。節度ばね14は、例えばコイルスプリングからなる。なお、節度ピース13が節度部材に相当し、節度ばね14が付勢部材に相当する。
【0020】
車体には、節度山部材6の回転動作を制限可能なブレーキ部材16が端部(同図の下端)を支軸17として傾動可能に取り付けられている。支軸17の軸心は、操作ノブ軸7と平行に配置されている。ブレーキ部材16は、節度山部材6の径方向の隣位置に配置され、節度山部材6の外周に沿って湾曲形状に形成されている。ブレーキ部材16には、ブレーキ部材16を反節度山部材側(図3の矢印X方向)に常時付勢して、節度山部材6に当接させなくする戻し付勢部材18が取り付けられている。戻し付勢部材18は、例えばコイルばね等が使用されている。ブレーキ部材16は、支軸17を軸に傾動した際、湾曲形状の内周面を当接部16aとして節度山部材6の外周面に広い面積で当接可能となっている。なお、当接部16aが当接面に相当する。
【0021】
また、節度切換ノブ5は、自身の回動の中心である節度切換ノブ軸19が操作ノブ軸7と平行する向きをとって配置されている。節度切換ノブ軸19の回動軸心L2は、操作ノブ軸7の回動軸心L1と平行状態をとる。節度切換ノブ軸19の先端には、ブレーキ部材16を傾動させる際に働くカム20が取り付けられている。カム20は、節度切換ノブ5の回転操作に伴って節度切換ノブ5と同期して回転する。カム20が節度山部材6側に回転した際には、カム先端の突部20aがブレーキ部材16に当接するとともに、この突部20aに押し込まれてブレーキ部材16が奥に傾倒する。なお、カム20が押し当て部材を構成する。
【0022】
図6に示すように、操作ノブ3には、操作ノブ3の操作量(回転量)を検出する操作量検出部21が設けられている。また、節度切換ノブ5には、節度切換ノブ5の操作量(回転量)を検出する操作量検出部22が設けられている。これら操作量検出部21,22は、例えばマイクロスイッチや各種センサ等からなる。これら検出部21,22は、ノブ3,5の操作位置(回転量)を基にスイッチ2の動作を制御する制御部23に接続されている。制御部23は、例えばCPU(Central Processing Unit:図示略)やメモリ(図示略)等からなり、車両の電源がオン状態になると起動する。
【0023】
制御部23は、操作量検出部22からの検出信号を基に節度切換ノブ5の操作位置を把握し、節度切換ノブ5が左回り操作位置にあれば、スイッチ2の動作モードを同位置用のモードに設定し、節度切換ノブ5が右回り操作位置にあれば、スイッチ2の動作モードを同位置用のモードに設定する。また、制御部23は、操作量検出部21の検出信号を基に操作ノブ3の操作量を把握し、そのとき実行状態にあるモードに対応した車載機器を、操作ノブ3の操作位置に応じた動作状態に制御する。
【0024】
さて、まずは、図4に示すように、節度切換ノブ5が左回し操作位置に操作されたとする。このときは、カム20の突部20aが同図の右側を向いて、カム20がブレーキ部材16から離間した状態をとる。これにより、ブレーキ部材16はカム20による押し込みを受けず、自身の戻し付勢部材18によって節度山部材6から離れた状態をとる。即ち、ブレーキ部材16は、節度山部材6に接触しない状態をとる。このため、節度山部材6の回転は、ブレーキ部材16によって制限されず、自由に回ることが可能となる。
【0025】
この状態において、操作ノブ3が回転操作されると、操作ノブ3の回転に伴ってケース部材12も同期して回る状態をとる。このとき、ケース部材12には、節度ピース13によって節度山部材6が引っ掛かる状態をとるので、ケース部材12と節度山部材6とが連れ回りしようとする。ここでは、節度山部材6は、ブレーキ部材16により回転が規制されていない。よって、操作ノブ3が操作されてケース部材12が回った際には、節度山部材6もこれに連れ回りする。このため、節度ピース13が節度山9を乗り越える動きはとらず、操作ノブ3には節度が発生しない状態となる。
【0026】
一方、図5に示すように、節度切換ノブ5が右回し操作位置に操作されたとする。このときは、カム20の突部20aが同図の左側を向いて、カム20がブレーキ部材16を奥に押し込む状態をとる。これにより、ブレーキ部材16はカム20の押し込みにより、戻し付勢部材18の付勢力に抗して節度山部材6に当接する状態をとる。即ち、ブレーキ部材16の当接部16aが節度山部材6の外周に当接する状態をとる。このため、節度山部材6の回転は、ブレーキ部材16によって制限されることとなり、自由に回ることができなくなる。
【0027】
この状態において、操作ノブ3が回転操作されると、操作ノブ3の回転に伴って回るケース部材12の節度ピース13によって、節度山部材6も回ろうとするが、節度山部材6はブレーキ部材16により動きが固定されて、ケース部材12のみが操作ノブ3と連れ回りする。このため、ケース部材12に取り付けられている節度ピース13が、固定となっている節度山部材6を節度ばね14に抗して乗り越え、このときの抗力が節度として操作ノブ3に発生する。そして、操作ノブ3には、節度ピース13が節度山9を乗り越える度に節度が発生する。
【0028】
従って、本例においては、操作ノブ3の節度を切り換える節度切換機構4を、節度切換ノブ5とブレーキ部材16とカム20とからなる機械的構成としたので、操作ノブ3の節度を切り換えるに際して、電力を不要とすることが可能となる。また、節度切換機構4をこのような機械式にして、節度切換機構4が電気式のときに必要となっていた電磁石をスイッチ2から省略することが可能となれば、その部品省略分だけスイッチ2の小型化を図ることも可能となり、ひいては部品コストの削減にも効果が高くなる。
【0029】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)操作ノブ3の節度を切り換える節度切換機構4を機械式としたので、節度切り換えの際に電力を不要とすることができる。よって、節度切換機構4を持つロータリスイッチ2を、動作に際して電力コストを要しない機器とすることができる。また、本例の節度切換機構4は、電気式の際に用いていた電磁石が不要となるので、その分だけロータリスイッチ2の小型化を図ることもできる。
【0030】
(2)ブレーキ部材16を摩擦材により形成したので、節度山部材6の回転をブレーキ部材16で止める際に、この停止をより確実に行うことができる。
(3)操作ノブ3と節度切換ノブ5とを、それぞれの軸心L1,L2が互いに平行状態をとるように配置したので、節度切換ノブ5の回し操作で以てカム20を回転させてブレーキ部材16を節度山部材6に当接させるに際して、例えば交差する軸環で操作力を伝達するような複雑な伝達機構を設ける必要がない。よって、本例のような機械式の節度切換機構4を備えたロータリスイッチ2を、より簡素な構成のスイッチとすることができる。
【0031】
(4)節度切換機構4を節度切換ノブ5とカム20とブレーキ部材16という部品群から構成したので、節度切換機構4が複雑な部品構成をとるものにならずに済む。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
【0032】
・ 節度切換機構4による節度切り換えは、節度有無を切り換えるパターンに限らず、発生節度の大小を切り換えるものでもよい。この場合、例えば図7に示すように、節度山部材6の外周面に、節度山9の内部の節度山群11よりも小節度を発生可能な節度山25を設けるとともに、この節度山25とブレーキ部材16との間に、ブレーキ部材16により押さえ付けられた状態をとる節度ピース26を設ける。そして、ブレーキ部材16がカム20により押し込まれていない際には、ケース部材12の回転とともに節度山部材6が連れ回りして、節度山25及び節度ピース26によって小節度が発生する。一方、ブレーキ部材16がカム20により押さえ付けられると、節度ピース26を介して節度山部材6の動きが固定され、今度は節度山部材6の内部の節度山群11及び節度ピース13によって大節度が発生する。
【0033】
・ 切り換え対象とする節度は、必ずしも操作ノブ3のクリック感であることに限らず、例えば操作ノブ3に発生する操作の重さでもよい。この場合、例えば図8に示すように、操作ノブ3の先端に略円板状の摺動部材31を取り付ける。そして、ブレーキ部材16がカム20により押し込まれずに摺動部材31がフリーの際には、操作ノブ3に軽い操作感を付与する。一方、カム20によりブレーキ部材16を奥に押し込んで摺動部材31に当接させた際には、摺動部材31をブレーキ部材16に対して滑らせるようにして、操作ノブ3に重い操作感を付与する。
【0034】
・ ブレーキ部材16を奥に押し込む部材は、必ずしもカム20であることに限定されない。例えば図9に示すように、節度切換ノブ5と同一軸心の位置関係をとって配置された略円環状のリング部材41を操作ノブ3に設ける。そして、このリング部材41の内部に節度山部材6を収納し、リング部材41の内面に突起42を形成する。この場合、節度切換ノブ5が回し操作されると、これに伴いリング部材41も回り、突起42がブレーキ部材16を奥に押し込んで、節度山部材6が固定される。なお、突起42が押し当て部材を構成する。
【0035】
・ 節度切換ノブ5は、必ずしも回転操作式のものに限らず、例えばスライド操作式としてもよい。
・ 操作手段は、必ずしもノブ形状をとる節度切換ノブ5に限らず、その形状は特に限定されない。
【0036】
・ ブレーキ部材16の形状は、実施形態で述べたような湾曲形状に限定されない。即ち、ブレーキ部材16の形状は、節度山部材6の回転を停止可能となるものであれば、特に限定されない。
【0037】
・ ブレーキ部材16は、支軸17を支点に傾動動作するものに限らず、節度山部材6に対して接近及び離間できるものであれば、どのような動きをとってもよい。
・ ブレーキ部材16は、全体が摩擦材で形成されることに限らず、少なくとも当接部16aが摩擦材から形成されていればよい。
【0038】
・ ブレーキ部材16を摩擦材から形成する場合、この材質は滑り難いものであれば、どのような材質のものを採用してもよい。
・ 押し当て部材は、前述したカム20や突起42に限定されず、節度山部材6の回転を止めることができれば、どのような形状のものでもよい。
【0039】
・ 操作ノブ3と節度切換ノブ5は、それぞれの軸心L1,L2が互いに平行向きをとる状態で配置されることに限定されない。例えば、これら軸心L1,L2が互いに直交し、節度切換ノブ5の操作で動く係止箇所が節度山部材6に引っ掛かるものとしてもよい。
【0040】
・ カム20は、節度切換ノブ5とは別体の形状をとることに限らず、節度切換ノブ5の一部として形成されるものでもよい。
・ 節度山群11を持つ節度山部材6と、節度ピース13を持つケース部材12とは、ノブ径方向の内側にケース部材12が位置し、ノブ径方向の外側に節度山部材6が配置されることに限定されず、これらの配置関係を内外で逆としてもよい。なお、これは、節度発生の関係部品である操作ノブ3群と、節度切り換えの関係部品である節度切換ノブ5群との間でも同様にいえる。
【0041】
・ 付勢部材は、必ずしもばねに限定されず、例えばゴム等の他の弾性部材を採用してもよい。
・ ロータリスイッチ2は、スイッチの操作状態が、車内に設けられたモニタ(画面)と表示が連携するものでもよい。
【0042】
・ ロータリスイッチ2は、車両に適用される場合、これはエアーコンディショナーシステムに適用されることに限らず、他の車載機器に適用してもよい。
・ 本例の節度切換機構4は、必ずしも車両のスイッチに応用されることに限らず、他の物品のスイッチにも適用可能である。
【0043】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項2〜4のいずれかにおいて、前記ノブ部の節度は、前記ブレーキ部材が利かずに前記ノブ部に節度が発生しない状態と、前記ブレーキ部材が利いて前記ノブ部に節度が発生する状態との節度有り無しの2段階に切り換えられる。この構成によれば、ノブ部の節度を節度有り無しの2段階で切り換えることが可能となる。
【0044】
(ロ)請求項1において、請求項3,4又は前記技術的思想(イ)の構成要件を新たに備えるロータリスイッチの節度切換構造。
【符号の説明】
【0045】
2…ロータリスイッチ、3…ノブ部としての操作ノブ、5…操作手段としての節度切換ノブ、9,25…節度山、13…節度部材としての節度ピース、14…付勢部材としての節度付勢部材、16…ブレーキ部材、16a…当接面としての当接部、20…押し当て部材を構成するカム、20a…突部、42…押し当て部材を構成する突起、L1,L2…回動軸心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作箇所であるノブ部に発生する節度を切り換え可能なロータリスイッチの節度切換構造において、
前記節度を切り換える際に操作される操作手段と、
奥に押し込まれて前記ノブ部側と当接することが可能なブレーキ部材と、
前記操作手段の操作を基に前記ブレーキ部材を奥に押し込むことにより、前記節度を切り換える押し当て部材と
を備えたことを特徴とするロータリスイッチの節度切換構造。
【請求項2】
付勢部材により後から押された節度部材が、ノブ部の操作に伴って前記付勢部材の付勢力に抗して節度山を乗り越えることにより、この際の抗力が節度として前記ノブ部に発生するロータリスイッチの節度切換構造において、
前記節度を切り換える際に操作される操作手段と、
奥に押し込まれて前記節度部材側及び前記節度山側の一方に当接することが可能なブレーキ部材と、
前記操作手段の操作を基に前記ブレーキ部材を奥に押し込むことにより、前記節度を切り換える押し当て部材と
を備えたことを特徴とするロータリスイッチの節度切換構造。
【請求項3】
前記ブレーキ部材は、少なくとも当接面が摩擦材により形成されていることを特徴とする請求項2に記載のロータリスイッチの節度切換構造。
【請求項4】
前記操作手段は、回転操作式の前記ノブ部の回動軸心と平行の直線を回動軸心とする回転操作式であり、
前記押し当て部材は、前記操作手段の回動軸心と同一軸心をとるカム形状をなし、
前記操作手段が操作されると、カム形状の前記押し当て部材が回って、該押し当て部材の突部が前記ブレーキ部材を奥に押し込み、当該ブレーキ部材によって前記節度部材及び前記節度山の一方の側の動きが制限されることにより、前記節度が切り換えられることを特徴とする請求項2又は3に記載のロータリスイッチの節度切換構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−282937(P2010−282937A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137513(P2009−137513)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】